JP3818837B2 - パターン修正方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明はパターン修正方法に関し、特に、プラズマディスプレイ(以下、PDPと称する)のリブ(隔壁)の製造工程において発生するリブ欠け欠陥を修正するパターン修正方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図9〜図11は従来のPDPのリブ欠陥の修正方法を説明するための図である。
【0003】
図9に示すように、PDPのガラス基板20上には構造要素であるリブ21がたとえば高さ150μm程度であり、幅60〜100μm程度の大きさで形成されている。PDPの製造工程において、このようなリブ2の一部が欠けるリブ欠陥22を生じることがある。このようなリブ欠陥22を生じても、歩留りを高めるために、修正が行なわれ、適切に修正されたものは製品として用いられる。
【0004】
このような修正を行なう方法としては、たとえば特開平08−292442号公報に記載されているように、先端の形状が平坦に形成された針にペーストを付着させてリブ欠陥22の部分に接触させ、ペーストを塗布することにより欠陥箇所を修正する。
【0005】
また、特願平11−109517号には、塗布したペーストをレーザ光で焼成し、欠陥部からはみ出した余分なペーストをスクラッチ針機構で除去する方法について記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図10(a)に示すようにリブ欠陥の欠け幅が小さくて、100μm以下程度になると、図10(b)に示すように、塗布針23によって修正ペーストを欠陥内部に充填することができず、満足な修正を行なうことができない。
【0007】
これは、図11(a)に示すように欠陥幅が小さいため、塗布針23に付着した修正用ペーストが図11(b)に示すようにリブ欠22の両側の肩部分に先に付着してしまい、欠陥内部に充填しないためである。塗布針23の先端形状を極細にすることにより100μm以下でも若干な修正は可能となるが、これにも限界がある。
【0008】
それゆえに、この発明の主たる目的は、フラットディスプレイのリブ欠陥幅が小さくとも修正が可能なパターン修正方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明は、フラットディスプレの構造要素である基板上に形成されたリブの欠陥を修正するパターン修正方法において、リブが欠けた欠陥部の両側にレーザ光を照射して所定間隔の2つの切り込みを形成し、スクラッチ針によって2つの切り込みの間のリブ材を除去し、塗布針の先端に付着した修正ペーストを2つの切り込みの間に塗布することを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1はこの発明の一実施形態の外観図である。図1において、観察光学系部1はCCDカメラなどを内蔵しており、PDPのリブ欠陥を撮像する。カット用レーザ部2はリブ欠陥の幅を広げるためのレーザ光を照射する。ペースト塗布機構3は塗布針にペーストを付着させ、リブ欠陥に接触してペーストを欠陥部分に塗布する。スキージ機構4はペースト塗布機構3で塗布したペーストのうちはみ出した部分を平坦となるようにならす作用をする。スクラッチ機構5はスクラッチ針によりリブを除去するものであり、除去したカスを取るための吸引機構が設けられている。IR(赤外線)光源6は塗布したペーストを乾燥させる。
【0018】
画像処理機構7は観察光学系部1で撮像された画像信号に基づいて欠陥を認識するための画像処理を行なう。ホストコンピュータ8は装置全体を制御し、制御用コンピュータ9は装置機構部の動作を制御する。その他に、修正すべきワークをXY方向に移動させるためのXYテーブル10と、XYテーブル10上でワークを保持するチャック台11と、観察光学系部1,カット用レーザ部2,ペースト塗布機構3,スキージ機構4およびスクラッチ機構5を上下方向に駆動するZ軸テーブル12と、観察光学系部1で撮像された画像を表示するモニタ13とを含む。
【0019】
図2はこの発明の一実施形態によりリブ欠陥を修正する手順を示す図である。図2(a)に示すように、リブ欠陥が小さく、その幅が100μm以下では、図11で説明したようにペースト塗布機構9によるペーストの塗布では満足する結果が得られない。そこで、図2(b)に示すように、ペーストを塗布する前に、リブ欠陥22の欠け幅を拡張し、その拡張部分に図2(c)に示すようにペースト塗布機構3でペーストを充填することにより、リブ欠陥22を修正する。このようにリブ欠陥22を拡幅する方法には、以下に述べるようにレーザでカットする方法とスクラッチ針で切欠く方法がある。
【0020】
図3はカット用レーザ部2を用いてリブ欠陥を拡幅する方法を示す図である。図3において、カット用レーザ部2に用いられるレーザ光源としてはYAGの第2高調波(波長:532nm)の高周波発振タイプ(発振周波数:1000Hz)が用いられる。レーザ光の照射方法は、たとえば特開2000−42764号公報に記載された方法を用いることができる。それ以外にも、レーザ光源としては、YAGの第2高調波ジャイアントパルスタイプのレーザ光でもカットすることが可能である。さらに、YAG基本波でもカット可能であるが、基本波は赤外光であるため、リブ材質の熱による変色が大きいのであまり好ましくない。
【0021】
図3(a)に示すように、カットするリブの頂上に観察光学系部1による画像フォーカスを一致させ、その部分にカット用レーザ部2からレーザ光を照射し、図3(b)に示すようにリブ21を高さの半分程度の位置までカットが行なわれる。次いで、図3(c)に示すように半分程度にカットしたリブ21の頂上にフォーカスを合わせ、図3(d)に示すようにリブ21を最後までカットする。
【0022】
リブ21は従来の電極カットと異なり、高さが150μm程度と高いため、リブ21の頂上にフォーカスを合わせた状態で下(ガラス基板1)まで完全にリブ21をカットするのは難しく、またカットに時間がかかってしまう。これはリブ21の下方にいくに従ってフォーカスがずれてレーザのエネルギ密度が低下するためである。そこで、図3に示した方法では、フォーカス合わせを2段階で行なうことにより、上述の問題を低減する。
【0023】
図3に示した例では2段階でレーザによってリブ21のカットを行なっているが、3段階,4段階とさらに多段にすることにより、カット時におけるレーザのエネルギ密度低下を防ぐことができるが、その分フォーカス移動回数が多くなるため、フォーカス移動に時間がかかってしまうことになる。
【0024】
最適なフォーカス移動回数は、リブ21の高さ,レーザパワーによって変化するため、カット対象によって適宜その最適回数でカットするのが望ましい。なお、レーザ光によるリブ21のカットは、カット対象となるリブ21が焼成後でも乾燥後でも可能である。
【0025】
図4はスクラッチ針を用いてリブ欠陥22を拡幅する方法を示す図である。この方法は、図3に示したレーザ光によるカットと異なり、基本的には乾燥後のリブ21にしか適用することができない。図4(a)に示すように、スクラッチ針51をリブ21と直交する方向に移動させ、リブ欠陥22近傍のリブ21を削り取ることにより除去する。このとき、スクラッチ針51をリブ21に対して高さ方向にあまり深く入れすぎると、リブ21が大きく欠けてしまうことになるため、注意を要する。この方法をスクラッチ針51の高さを変えながら繰返し行なうことにより、リブ21を除去することが可能となる。この方法は、繰返し行なう必要があるが、1回の除去量が多いため、レーザ光でカットするよりは短時間でリブ21を除去することが可能となる。
【0026】
図5はレーザ光とスクラッチ針とによってリブ欠陥を拡幅する方法を示す図である。まず、図5(a)に示すように、リブ21の除去したい幅の両端部に対物レンズ25を介してレーザ光を照射し、スリット状の切込みをリブ21の底まで入れる。その結果、図5(b)に示すように、レーザ光によりリブ21にスリット23が形成される。次に、図5(c)に示すように、スクラッチ針51をリブ21と直交方向に移動させることにより、図5(d)に示すようにスリット加工した内側のリブを除去する。この方法の場合、スクラッチ針51による除去回数が少なくてよいため、大きい幅のリブ21を短時間で除去することが可能となる。また、この方法は乾燥後のリブだけでなく、焼成後のリブにも用いることができる。
【0027】
図6は乾燥後の電極を修正する方法を示す図である。図6(a)において、ガラス基板31上にITO電極32が形成されており、このITO電極32の上に乾燥後電極33が形成されている。乾燥後電極33上に異物欠陥34が生じていて、この異物欠陥34を除去する場合にもこの発明を適用できる。すなわち、異物欠陥34を挟むようにして、乾燥後銀電極33に対物レンズ25を介してレーザ光を照射し、スリット状に切込みを形成する。そして、図6(b)に示すように、切込みを形成した内側をスクラッチ針51で除去する。このように、レーザ光でスリット状に切込みを入れてやることにより、スクラッチ針51で除去したときの除去形状を安定させることができる。
【0028】
図7はレーザ光による切込みなしの場合の除去例を示す。この場合、スクラッチ針51による除去形状が安定せず、必要な部分まで除去してしまう可能性がある。
【0029】
これに対して、図6(c)に示すように、この実施形態では、下層のITO電極32へのダメージはレーザ光でスリット状にカットした部分のみとなるため、ダメージを極力抑えることができる。
【0030】
図8は銀電極のすべてをレーザ光でカットした場合の下層のITO電極32へのダメージ状態36を示している。
【0031】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0032】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、リブ欠け欠陥修正において、リブ欠け幅を広げた後ペーストを塗布して修正するようにしたので、従来では欠け幅が100μm以下の欠陥については修正が困難となっていたのに対して、この発明により100μm以下の欠陥も修正が可能となる。
【0033】
また、レーザ光によるリブ欠陥幅の拡幅において、上下方向に多段に移動させて行なうことにより、短時間で効率的なリブ欠陥の除去が可能となる。
【0034】
また、リブ欠陥幅の拡幅に針を用いることにより短時間での拡幅が可能となる。
【0035】
さらに、リブ欠陥幅の拡幅に、レーザ光と針を併用することにより、除去幅が大きい場合でも短時間で除去が可能となる。そして、リブの焼成後あるいは乾燥後を問わず実施することが可能となる。
【0036】
さらに、除去したカスを吸引するための機構を、リブを除去するスクラッチ針機構に付加することにより、修正後も修正箇所を清浄に保つことが可能となる。
【0037】
さらに、レーザ光と針による除去方法を乾燥後銀電極に用いることにより、銀電極の下層のITO電極のダメージの少ない銀電極欠陥除去が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施形態の外観図である。
【図2】 この発明の一実施形態の欠陥修正方法を示す図である。
【図3】 レーザ光を用いてリブ欠陥を除去する方法を示す図である。
【図4】 スクラッチ針を用いてリブ欠陥を除去する方法を示す図である。
【図5】 レーザ光とスクラッチ針とを用いてリブ欠陥を除去する方法を示す図である。
【図6】 銀電極の異物欠陥を除去する方法を示す図である。
【図7】 レーザ光を用いることなく異物欠陥を除去した場合の電極を示す図である。
【図8】 銀電極すべてをレーザ光でカットした場合のITO電極へのダメージ状態を示す図である。
【図9】 PDPのリブ欠陥を示す図である。
【図10】 従来のリブ欠陥修正方法を説明するための図である。
【図11】 リブ欠陥にペーストを除去する従来の方法を示す図である。
【符号の説明】
1 観察光学系部、2 カット用レーザ部、3 ペースト塗布機構、4 スキージ機構、5 スクラッチ機構、6 IR光源、7 画像処理機構、8 ホストコンピュータ、9 制御用コンピュータ、10 XYテーブル、11 チャック台、12 Z軸テーブル、13 モニタ。

Claims (1)

  1. フラットディスプレイの構造要素である基板上に形成されたリブの欠陥を修正するパターン修正方法において、
    前記リブが欠けた欠陥部の両側にレーザ光を照射して所定間隔の2つの切り込みを形成し、
    スクラッチ針によって前記2つの切り込みの間のリブ材を除去し、
    塗布針の先端に付着した修正ペーストを前記2つの切り込みの間に塗布することを特徴とする、パターン修正方法。
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