JP3818253B2 - 半導体装置用テープキャリアの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、TABテープ又はCSP、BGA、COF用テープキャリア等の半導体装置用テープキャリアの製造方法に関し、特に比較的大きなデバイスホールを有するT−BGA(テープBGA)用の半導体装置用テープキャリアの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置用テープキャリアであるTABテープは通常次のように形成される。ここではT−BGA用TABテープを用いて説明する。
【0003】
図3に従来のTABテープの製造工程におけるTABテープの構成を示す。(a)にプレス工程、(b)にラミネート工程、(c)にコート露光工程、(d)に現像工程、(e)に裏止め工程、(f)にエッチング工程、(g)に剥離工程、(i)にPSRメッキ工程におけるTABテープの構成状態を示す。
【0004】
まず、プレス工程(a)において、Bステージ(ボンディングステージ)となるテープ状の基材2の上に、接着剤4で保護フィルム10が貼り付けられた作製過程のTABテープに、貫通穴であるスプロケットホール7、デバイスホール5をプレスにより打ち抜く。なお、F−BGA(ファインピッチBGA)などの場合はここでビアホールを打ち抜く。通常、基材2には宇部興産製のユーピレックスが用いられる。基材2のフィルム厚は25、50、75、125μmが現在の主流である。ビアホールの大きさはφ0.3〜0.5μmが主流であり今後更に小さくなっていく傾向であるのに対し、デバイスホール5の大きさは10〜15mm×10〜15mm程度と大きく今後更に大きくなる傾向である。
【0005】
次に、ラミネート工程(b)において、デバイスホール5などが形成された基材2,接着剤4に銅箔3をラミネートすることにより3層構造とし、続いて接着剤4を硬化させる。なお、銅箔3の厚さは15μmや18μmが主流であるが、今後より薄くなる傾向にある。
【0006】
次に、コート露光工程(c)において、銅箔3による回路を形成するために、銅箔3の上に液状の感光性レジスト11を塗布し、この感光性レジスト11の上方に回路形成用の貫通穴によるパターンが形成された感光用マスク12を配置し、更に、感光用マスク12の上方から紫外線14を照射することによって感光性レジスト11を露光する。
【0007】
次に、現像工程(d)において、感光性レジスト11の露光部分を除去し、裏止め工程(e)において、デバイスホール5に裏止め剤13を充填する。更に、エッチング工程(f)において、現像工程(d)での現像処理によって露出した銅箔3を除去し、剥離工程(g)において、残った感光性レジスト11および裏止め剤13を除去することによって回路パターン3bを形成する。この回路パターン3bにおいて、デバイスホール5に突き出た3aで示す部分は、インナーリードである。最後に、PSRメッキ工程(i)において、回路パターン3bに感光性ソルダーレジスト8や金メッキなどのメッキ9を形成することによってTABテープ1を完成する。これが基本的な構成のTABテープ1である。(例えば、特許文献1参照。)。
【0008】
【特許文献1】
特開平1−200642号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の半導体装置用テープキャリアの製造方法においては、次の▲1▼〜▲5▼に記述する問題がある。
【0010】
▲1▼プレス工程(a)で比較的大きな貫通穴であるデバイスホール5を形成してからラミネート工程(b)において銅箔3をラミネートするため、図4に示すように、ラミネートされた銅箔3がデバイスホール5に落ち込んで変形し、このためインナーリード3aに変形が生じるという問題がある。
【0011】
▲2▼銅箔3の変形によりコート露光工程(c)で銅箔3上に塗布される感光性レジスト11の厚さが不均一となるため、インナーリード3aの寸法にバラツキが生じる。
【0012】
▲3▼銅箔3の変形により裏止め剤13で支える面積が大きくなると、エッチング工程(f)におけるエッチング時に裏止め剤13が振動するため、インナーリード3aと裏止め剤13との間で乖離が生じ、インナーリード3aに細りが生じてしまう。
【0013】
▲4▼上記▲3▼のインナーリード3aの細りを無くすためには、裏止め剤13を強固にする必要があるが、これには、裏止め工程(e)における裏止めのベーク・硬化処理を過剰にしたり、裏止め剤13の厚さを厚くするなどの強度向上が必要になるため、その分、製造コストが高くなる。また、過剰な裏止めのベークを行うことにより、感光性レジスト11にも負荷がかかり、エッチング精度を低下させる原因となる。
【0014】
▲5▼銅箔3の厚さは、パッケージの小型化に応じて、より薄くなる傾向にあり、またデバイスホール5の大きさはチップの高機能化などに応じて、より大きくなる傾向にあるので、▲1▼のデバイスホール5における銅箔3の変形が、より生じやすくなる。また裏止め工程(e)でデバイスホール5に充填される裏止め剤13の破損が生じやすくなるため、インナーリード3aの変形や寸法のバラツキが生じやすくなる。
【0015】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、製造時におけるデバイスホール内の銅箔の変形を無くすことにより、製造コストを高くすることなく、インナーリードの変形、細りおよび寸法のバラツキを無くすことができる半導体装置用テープキャリアの製造方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の半導体装置用テープキャリアの製造方法は、テープ状の基材に半導体チップの搭載用の回路パターンを有する半導体装置用テープキャリアの製造方法において、前記回路パターンの形成部材となる銅箔を前記基材の上に形成する前に、前記基材にデバイスホールを打ち抜く際に、前記デバイスホールの内側に前記基材の一部を四角状に残し、この四角状に残った基材の一部が夫々の四隅に形成され且つ前記デバイスホールの壁面に連結して形成された二股状の連結部にて連結されるように打ち抜き、前記銅箔による前記回路パターン形成後に前記残った基材を除去することを特徴としている。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
(実施の形態)
図1は、本実施の形態に係るTABテープの製造工程におけるTABテープの構成を示す図である。(a)にプレス工程、(b)にラミネート工程、(c)にコート露光工程、(d)に現像工程、(e)に裏止め工程、(f)にエッチング工程、(g)に剥離工程、(h)に形状保持部除去工程、(i)にPSRメッキ工程におけるTABテープの構成状態を示す。なお、この各工程(a)〜(i)で製造されるTABテープは、T−BGA用TABテープであるとする。
【0020】
まず、プレス工程(a)において、Bステージとなるテープ状の基材2の上に、接着剤4で保護フィルム10が貼り付けられた作製過程のTABテープに、貫通穴であるスプロケットホール7、デバイスホール5をプレスにより打ち抜く。この際に、後述で説明する剥離工程(g)における処理後のTABテープ構成図である図2に示すように、デバイスホール5内に、基材2を四角状に形成した形状保持部5aが残り、この形状保持部5aの四隅に基材2を二股状に残した連結部5bで、形状保持部5aが周囲の基材2に連結された状態となるように打ち抜く。但し、図2の構成は剥離工程(g)の処理後なので形状保持部5aの上に接着剤4が硬化している。
【0021】
次に、ラミネート工程(b)において、形状保持部5aがホール内に残されたデバイスホール5などが形成された基材2,接着剤4に銅箔3をラミネートすることにより3層構造とし、続いて接着剤4を硬化させる。
【0022】
次に、コート露光工程(c)において、銅箔3による回路を形成するために、銅箔3の上に液状の感光性レジスト11を塗布し、この感光性レジスト11の上方に回路形成用の貫通穴によるパターンが形成された感光用マスク12を配置し、更に、感光用マスク12の上方から紫外線14を照射することによって感光性レジスト11を露光する。
【0023】
次に、現像工程(d)において、感光性レジスト11の露光部分を除去し、裏止め工程(e)において、形状保持部5aがホール内に残されたデバイスホール5に裏止め剤13を充填する。更に、エッチング工程(f)において、現像工程(d)での現像処理によって露出した銅箔3を除去する。
【0024】
次に、剥離工程(g)において、残った感光性レジスト11および裏止め剤13を除去することによって回路パターン3bを形成する。この回路パターン3bにおいて、デバイスホール5に突き出た3aで示す部分は、インナーリードである。この剥離工程(g)における処理後のTABテープの平面図を図2に示す。
【0025】
次に、形状保持部除去工程(h)において、形状保持部5aの連結部5bをプレス又はレーザ加工により切断することによって形状保持部5aを除去する。最後に、PSRメッキ工程(i)において、回路パターン3bに感光性ソルダーレジスト8や金メッキなどのメッキ9を形成することによってTABテープ1aを完成する。なお、PSRメッキ工程(i)後に外形抜き工程があり、この工程において形状保持部5aを除去することも可能である。
【0026】
このように、本実施の形態の半導体装置用テープキャリアの製造方法によれば、ラミネート工程(b)で回路パターン3bの形成部材となる銅箔3を基材2の上にラミネートする前のプレス工程(a)において、基材2にデバイスホール5を打ち抜く際に、デバイスホール5の内側に基材2の一部を残し、この残った基材2による形状保持部5aの四隅が連結部5bでデバイスホール5の壁である基材2に連結されるように打ち抜き、その後の剥離工程(g)において銅箔3による回路パターン3b形成後に連結部5bを切断して形状保持部5aを除去するようにした。これによって、ラミネート工程(b)において、基材2の上にデバイスホール5を覆って銅箔3をラミネートした際に、デバイスホール5の内側に配置された形状保持部5aによって銅箔3が支えられるので、従来のように、ラミネートされた銅箔3がデバイスホール5に落ち込んで変形し、このため剥離工程(g)で形成されるインナーリード3aに変形が生じるということが無くなる。
【0027】
また、銅箔3の変形が無くなるので、コート露光工程(c)で銅箔3上に塗布される感光性レジスト11の厚さを均一とすることができ、インナーリード3aの寸法を安定させることができる。
【0028】
また、銅箔3の変形が無くなるので、従来のように、銅箔3の変形により裏止め剤13で支える面積が大きくなり、エッチング工程(f)におけるエッチング時に裏止め剤13が振動し、インナーリード3aと裏止め剤13との間で乖離が生じ、インナーリード3aに細りが生じてしまうといったことも無くなる。
【0029】
また、従来では、上記のインナーリード3aの細りを無くすために、裏止め剤13を強固にする必要があり、このため、裏止め工程(e)における裏止めのベーク・硬化処理を過剰にしたり、裏止め剤13の厚さを厚くするなどの強度向上が必要になって、その分、製造コストが高くなっていたが、本実施の形態では、そのような処置を行う必要がなくなるので、その分、製造コストを低くすることができる。
【0030】
また、銅箔3の厚さは、パッケージの小型化に応じて、より薄くなる傾向にあり、またデバイスホール5の大きさはチップの高機能化などに応じて、より大きくなる傾向にあるが、このような条件でも、本実施の形態の製造方法では、デバイスホール5における銅箔3の変形が生じないので、インナーリード3aの寸法を安定させることができる。
【0031】
総括すれば、本実施の形態の半導体装置用テープキャリアの製造方法によれば、製造時におけるデバイスホール5内の銅箔3の変形を無くすことにより、製造コストを高くすることなく、インナーリード3aの変形、細りおよび寸法のバラツキを無くすことができる。
【0032】
以上説明した実施の形態では、製造されるTABテープ1aがT−BGA用のものであるとしたが、これ以外でも比較的デバイスホールが大きいBGAやLCDドライバ用のTABテープにも応用することができる。また、1メタルTABテープ以外でも2メタルTABやマルチメタルTABテープにも応用することができる。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、テープ状の基材に半導体チップの搭載用の回路パターンを有する半導体装置用テープキャリアを製造する場合、回路パターンの形成部材となる銅箔を基材の上に形成する前に、基材にデバイスホールを打ち抜く際に、前記デバイスホールの内側に基材の一部を残し、この残った基材の一部がデバイスホールの壁面に連結されるように打ち抜き、銅箔による回路パターン形成後に、先の残った基材を除去するようにしたので、基材の上にデバイスホールを覆って銅箔を形成した際に、デバイスホールの内側に残した基材によって銅箔が支えられるので、従来のように、銅箔がデバイスホールに落ち込んで変形するということが無くなる。従って、製造コストを高くすることなく、インナーリードの変形、細りおよび寸法のバラツキを無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係るTABテープの製造工程におけるTABテープの構成を示す図である。
【図2】上記TABテープの製造工程における剥離工程での処理後のTABテープの平面図である。
【図3】従来のTABテープの製造工程におけるTABテープの構成を示す図である。
【図4】従来のTABテープの製造方法における問題点を説明するための図である。
【符号の説明】
1,1a TABテープ
2 テープ状の基材
3 銅箔
3a インナーリード
3b 回路パターン
4 接着剤
5 デバイスホール
5a 形状保持部
5b 連結部
7 スプロケットホール
8 感光性ソルダレジスト
9 メッキ
10 保護フィルム
11 感光性レジスト
12 感光用マスク
13 裏止め剤
14 紫外線
Claims (1)
- テープ状の基材に半導体チップの搭載用の回路パターンを有する半導体装置用テープキャリアの製造方法において、
前記回路パターンの形成部材となる銅箔を前記基材の上に形成する前に、前記基材にデバイスホールを打ち抜く際に、前記デバイスホールの内側に前記基材の一部を四角状に残し、この四角状に残った基材の一部が夫々の四隅に形成され且つ前記デバイスホールの壁面に連結して形成された二股状の連結部にて連結されるように打ち抜き、前記銅箔による前記回路パターン形成後に前記残った基材を除去する
ことを特徴とする半導体装置用テープキャリアの製造方法。
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JP2002342782A JP3818253B2 (ja) | 2002-11-26 | 2002-11-26 | 半導体装置用テープキャリアの製造方法 |
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