JP3818072B2

JP3818072B2 - 多柱合成橋脚構造およびその構築方法

Info

Publication number: JP3818072B2
Application number: JP2001049881A
Authority: JP
Inventors: 敏明加藤; 健大口; 典生寺田
Original assignee: Obayashi Corp
Current assignee: Obayashi Corp
Priority date: 2001-02-26
Filing date: 2001-02-26
Publication date: 2006-09-06
Anticipated expiration: 2021-02-26
Also published as: JP2002250006A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多柱合成橋脚構造およびその構築方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】
近年、土木建築構造物分野においては、技術開発や、顧客ニーズなどにより、耐久性、耐震性の向上などの観点から、高度化が進められている。例えば、道路建設において平野部等での連続高架橋には多数の橋脚が建設され、高度な耐震性、耐久性が要求される。
【０００３】
この種の建設条件に好適な橋脚の構造形式や施工方法として、本出願人は、先に、特許第２９８２５５１号公報、特許第２９７３７７４号公報及び特許第２９７３７７５号公報に示す技術を開発した。これらの技術は、複数のプレキャストコンクリート製型枠エレメントを組み合わせた型枠ブロックの中空内部に、コンクリートを打設する作業を、順次所定の高さになるまで交互に繰り返すことで作られる橋脚構造であり、構造物の構築にあたっては、型枠ブロックが、構造物の外形を構成する捨て型枠として用いられるため、従来工法のような、型枠の設置、撤去の手数が不要であるため、工期短縮に好適である。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この工法によって作られた橋脚構造物は、強度確保のために、型枠ブロックの中空内部に多数の主鉄筋や、横鉄筋、あるいは組立鉄筋などを輻輳状態に配置しなければならないため、施工にあたっては配筋作業が面倒で、手数が多くなり、作業時間に手間取っていた。とくに、長大橋梁では建設する橋脚基数が多く、これに伴い組立鉄筋の数が多量であるため、作業に手間と長時間を要するという欠点があった。
【０００５】
また、鉄筋のみで作られた橋脚構造物が極めて大きな地震力を受けると修復不可能なほど過大な残留変位を生じる可能性があり、一方、この種の残留変位を縮小させようとすれば、断面の増大化や鋼材量の増加などの対処が必要となり、不経済な設計となる。
【０００６】
本発明は、以上の課題を解決するものであって、橋脚構造物の荷重を減少でき、軽量でありながら、所要の耐力を十分に確保でき、さらには工期短縮にも好適な橋脚構造物を提供するものである。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
以上の目的を達成する本発明の多柱合成橋脚構造は、水平断面が多角形状ないしは円形の中空体であって、構造物の水平断面形状に応じて周囲を接するか離間状態で密集配置され、縦方向に順次接合されるプレキャストコンクリート製の複数のコラムと、各コラムの内部に建て込まれ縦方向に順次継がれる中空鋼管と、前記コラムの内側に前記各中空鋼管の周囲を囲んで配置される包囲部材とこれら包囲部材同士を結合する連結部材とによって一体的に構成され、前記コラムの高さ方向に所定の間隔をおいて配置される拘束部材と、前記各コラムの内側かつ前記中空鋼管の外側に形成される隙間空間に充填されるコンクリートと、を備えることとする（請求項１）。この構成により本発明では、多数の鉄筋に替えて単体の中空鋼管を接合した構造であるため、コンクリート量が少なく、軽量化を達成できる割に十分な耐力を確保でき、また、拘束部材とコンクリートとによって中空鋼管同士が束縛されることとなり、橋脚の耐力はより確実に確保されることになる。
【０００８】
また、本発明においては、前記コラムの断面が六角形であり、該コラムの各辺を隣接するコラムと所定間隔離して配置することが好ましい（請求項２）。また、本発明によれば、橋脚規模、高さなどに応じた計画強度に応じて、これをセグメント単位として、自由に組合わせることができ、各種バリエーションに応じた設計の多様化を図ることができる。
【０００９】
また、本発明においては、前記鋼管内にその軸方向に沿ってＰＣ鋼材を配置することが好ましく、これにより簡素化された構造でありながら、耐力および耐震性の向上を図ることができる（請求項３）。
【００１０】
さらに、本発明によれば、前記多柱合成橋脚構造の構築に際し、あらかじめ地上で前記包囲部材と前記連結部材を結合させて前記拘束部材を組み立てておき、前記中空鋼管と前記コラムとを建て込んだ後の前記コンクリートを充填する前に、組み立てておいた前記拘束部材を、前記包囲部材を前記中空鋼管に挿入するように前記中空鋼管の上部から吊り降ろして所定位置に配置するようにしたため（請求項４）、前記拘束部材を容易に所定位置に配置することができ、施工コストの削減や工期の大幅な短縮化を図ることができる。
【００１１】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、添付図面を参照して詳細に説明する。図１〜図７は、本発明に係る橋脚構造物を示す。
【００１２】
図１は基礎部分であり、地中に横設されたＨ型鋼等の鋼材１の上部には複数のリブ付鋼管２が鉛直配置され、その外周にコンクリートを打設することで、基礎３を構成している。そして、フーチング天端部の上部において、リブ付鋼管２の上部に中空鋼管４が接合され、さらに各鋼管４の外周部にプレキャスト部材（以下、ＰＣ部材と略記する）からなるコラム５が配置される。
【００１３】
各コラム５は、施工時は型枠として、完成後は本体として構造物を形成するもので、図２に示すように、断面正六角形状のプレキャストコンクリートであり、補強筋としての鉄筋、あるいは炭素繊維などを一体化した高強度軽量素材からなっている。なお、同図では、例えば、各コラム５が、基礎３の中心位置を中心としてその上下の各辺周囲に所定間隔ｄ開けて平行に密集配置された５個のコラム５からなっている。この配置形状は、橋脚の計画断面に応じた配置であって、図例のほか、規模や橋脚の高さに応じて各コラム５をセグメント単位として、複数密集配置することができる。
【００１４】
そして、最初の鋼管４及びコラム５が建て込まれた段階で、鋼管４とコラム５との隙間には、コンクリート打設工により、コンクリート６が打設され、一体化が図られる。また、各中空鋼管４の中心には縦方向にＰＣ鋼材７が配筋され、これの緊張により、耐震性の向上を図ることもできる。なお、各コラム５の縦方向接合面と、中空鋼管４との接合面の高さ方向のピッチをずらしておき、図３に示すように、中空鋼管４がコラム５の天端より突出する配置とし、接合部における脆弱性と施工性を向上させている。
【００１５】
橋脚外周には、図４に示すように、例えば仮設足場８が配置され、揚重機９などによりコラム５及び中空鋼管４を順次交互に建て込んでいく。
【００１６】
さらに、本発明においては、各コラム５の建て込み作業の数段毎について、上下の接合部周囲に、図３（ｂ）の斜線部分、および図５、図６に示すように、各コラム５で仕切られた内側の空間に、各中空鋼管４の周囲を囲んで配置される包囲部材１０ａとこれら包囲部材１０ａ同士を結合する連結部材１０ｂとによって一体的に構成された拘束部材１０を配置している。なお、包囲部材１０ａおよび連結部材１０ｂの素材は鋼材である。
【００１７】
この拘束部材１０は、あらかじめ地上で包囲部材１０ａと連結部材１０ｂとを結合して組み立てられ、中空鋼管４とコラム５とを建て込んだ後のコンクリートを充填する前に、中空鋼管４の上部から包囲部材１０ａが中空鋼管４に挿入されるように吊り降ろして所定位置に配置される。そしてこの配置後に、前記各コラムの内側かつ前記中空鋼管の外側に形成される空間、すなわち、中空鋼管４と各コラム５との間、包囲部材１０ａと各コラム５との間、各中空鋼管４と包囲部材１０ａとの間、および包囲部材１０ａと連結部材１０ｂとの間、などに形成される隙間空間に、コンクリートが充填される。このようにして配置された拘束部材１０は、中空鋼管４を強固に束縛することとなり、これにより橋脚の確実な一体化が図られることになる。
【００１８】
なお、拘束部材１０の形成位置において、予め横締用のＰＣ鋼線で各中空鋼管４間を接続緊縛し、各鋼管４の内部にもコンクリートを打設し、前記ＰＣ鋼線とともに一体化することでより確実に耐力が確保されることになる。
【００１９】
以上の作業を設計高さまで交互に繰り返すことで、図７に示すように、橋脚が完成し、その上部に橋１２が掛け渡される。この例では、各コラム５は多段に接合され、数段毎に拘束部材１０で一体に接合された構造となる。
【００２０】
なお、以上の実施形態において、コラム５の水平断面を六角形状としたが、これは、断面方向に対する適合性、密集配置状態における接合性などを考慮した結果である。但し以上に説明したコラム５の断面形状は、必ずしも六角のみに限定されるものでなく、三角形以上の任意の数の多角形状ないしは円断面または楕円断面としてもよい。また、コラム５の水平断面形状によっては、各コラム５の周面が接した状態で建て込むこともできる。
【００２１】
【発明の効果】
以上の説明により明らかなように、本発明による橋脚構造物にあっては、橋脚構造物の荷重を減少でき、軽量でありながら、所要の耐力を十分に確保でき、さらには工期短縮にも好適である。またコラム断面を六角形状とすることにより、橋脚規模、高さなどに応じた計画強度に応じて、これをセグメント単位として、自由に組み合わせることができ、各種バリエーションに応じた設計の多様化を図ることができる利点がある。
【００２２】
また、コラムの高さ方向に所定の間隔をおいて配置された拘束部材により確実に橋脚を一体化させることができ、さらに、この拘束部材は地上で組み立てておき、中空鋼管とコラムとを建て込んだ後のコンクリートを充填する前に中空鋼管の上部から中空鋼管に挿入されるように吊り降ろして配置することで、工事も簡単に行うことができ、工期の大幅な短縮を図ることができる。
【００２３】
そして、本発明の多柱合成橋脚構造にあっては、拘束部材を中心とする各種の構成により、地震力を受けた場合においても残留変位が効果的に抑制されることとなり、しかも断面の増大化や鋼材量の増加などの対処に比べて極めて経済的な設計が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明にかかる橋脚構造物の基礎構築段階を示す断面図である。
【図２】図１のＡ−Ａ線断面図である。
【図３】（ａ），（ｂ）は打継ぎ手順を示す斜視図である。
【図４】上下方向の打継ぎ手順を示す側面図である。
【図５】隔壁部分の縦断面図である。
【図６】隔壁部分の横断面図である。
【図７】完成後の橋脚の一例を示す図である。
【符号の説明】
４中空鋼管
５コラム
６コンクリート
７ＰＣ鋼線
１０拘束部材
１０ａ包囲部材
１０ｂ連結部材

Claims

水平断面が多角形状ないしは円形の中空体であって、構造物の水平断面形状に応じて周囲を接するか離間状態で密集配置され、縦方向に順次接合されるプレキャストコンクリート製の複数のコラムと、
各コラムの内部に建て込まれ縦方向に順次継がれる中空鋼管と、
前記コラムの内側に前記各中空鋼管の周囲を囲んで配置される包囲部材とこれら包囲部材同士を結合する連結部材とによって一体的に構成され、前記コラムの高さ方向に所定の間隔をおいて配置される拘束部材と、
前記各コラムの内側かつ前記中空鋼管の外側に形成される隙間空間に充填されるコンクリートと、
を備えたことを特徴とする多柱合成橋脚構造。
前記各コラムの断面が六角形であり、各コラムの各辺を隣接するコラムと所定間隔離して配置したことを特徴とする請求項１に記載の多柱合成橋脚構造。
前記中空鋼管内にその軸方向に沿ってＰＣ鋼材を配置することを特徴とする請求項１または２に記載の多柱合成橋脚構造。
請求項１〜３のいずれかに記載の前記多柱合成橋脚構造の構築方法であって、あらかじめ地上で前記包囲部材と前記連結部材を結合させて前記拘束部材を組み立てておき、前記中空鋼管と前記コラムとを建て込んだ後の前記コンクリートを充填する前に、組み立てておいた前記拘束部材を、前記包囲部材を前記中空鋼管に挿入するように前記中空鋼管の上部から吊り降ろして所定位置に配置することを特徴とする前記多柱合成橋脚構造の構築方法。