JP3817151B2 - チップ型可変抵抗器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、種々の電子機器等に使用されるチップ型可変抵抗器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来にチップ型可変抵抗器の構成を図10〜図14に基づいて説明すると、セラミック等からなる絶縁基板51の表面は、中央部に設けられた孔(図示せず)を中心として、円弧状の抵抗体52が設けられると共に、抵抗体52の端部には、端子となる電極部53が設けられている。
【0003】
金属板からなる回転体54は、上面板55と、この上面板55の中央部を下方に膨出した皿状の膨出部56と、連結部57によって上面板55に連結されると共に、連結部57がU字状に折り曲げられて下方に位置した摺動片58と、上面板55と膨出部56とに跨って形成された十字状のドライバー溝59とを有する。
【0004】
また、膨出部56は、孔56aを有する底壁56bを有すると共に、ドライバー溝59の溝部59aは、上面板55の中心Cと連結部57の横幅Aの中央部とを結ぶ線S上に設けられている。
そして、このように構成された回転体54は、膨出部56の底壁56bを絶縁基板51上に載置した状態で、絶縁基板51の下部に配置した金属板からなる端子60の突部(図示せず)を、孔56aに挿通する。
そして、端子60の突部の先端をカシメることによって、回転体54が絶縁基板51に回転可能に取り付けられると共に、摺動片58が抵抗体52に接触した状態となる。
【0005】
このような構成によってチップ型可変抵抗器が形成され、十字状のドライバー(図示せず)をドライバー溝59に挿入して、回転体54を回転すると、回転体54が端子60の突部を軸として回転すると共に、摺動片58が抵抗体52上を摺接して、抵抗値の可変が行われるようになっている。
【0006】
また、ドライバー溝59の溝部59aが上面板55の中心Cと連結部57の横幅Aの中央部とを結ぶ線S上に配置されているため、上面板55と摺動片59を連結する連結部57の中央部が細くなって、その強度が弱くなり、従って、ドライバーによって回転体54を回転した時、連結部57に捻れや曲がりが生じ、摺動片58の正常な回転に支障を来すものであった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来のチップ型可変抵抗器は、ドライバー溝59の溝部59aが上面板55の中心Cと連結部57の横幅Aの中央部とを結ぶ線S上に配置されているため、上面板55と摺動片59を連結する連結部57の中央部が細くなって、その強度が弱くなり、従って、ドライバーによって回転体54を回転した時、連結部57に捻れや曲がりが生じ、摺動片58の正常な回転に支障を来すという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、連結部の強度を大きくして、回転体の正常な回転ができるチップ型可変抵抗器を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための第1の解決手段として、表面に抵抗体を設けた絶縁基板と、この絶縁基板に回転可能に取り付けられ、前記抵抗体に摺接する摺動部を有する回転体とを備え、前記回転体は、前記摺動部を設けた基部と、連結部によって前記基部に連結された上面板と、この上面板に設けられた十字状のドライバー溝とを有し、前記連結部がU字状に折り曲げられて、前記基部と前記上面板とが重ね合わされると共に、前記ドライバー溝の溝部が前記上面板の中心と前記連結部の横幅の中央部とを結ぶ線から外れた位置に設けられた構成とした。
【0010】
また、第2の解決手段として、前記ドライバー溝の溝部が前記上面板の中心と前記連結部の横幅の中央部とを結ぶ線に対して対称な位置に、前記ドライバー溝の隣り合う二つの前記溝部が配置された構成とした。
【0011】
また、第3の解決手段として、前記ドライバー溝の溝部が前記上面板の中心と前記連結部の横幅の中央部とを結ぶ線を挟んで対向する二つの前記溝部の先端部が前記連結部に近接して配置されると共に、前記連結部に近接した前記二つの溝部の前記先端部間の幅と同等の前記横幅、或いはこの幅を超えた前記横幅で前記連結部が形成された構成とした。
また、第4の解決手段として、前記基部の中央部には、前記基部と繋がった状態で、中央部に凹部を有する膨出部が設けられ、前記凹部の一部が前記ドライバー溝と対向した状態で、前記上面板が前記膨出部上に位置した構成とした。
【0012】
また、第5の解決手段として、前記基部には、前記上面板の前記ドライバー溝と対向する位置に窪み部が設けられ、この窪み部にドライバーが挿入可能とした構成とした。
また、第6の解決手段として、前記窪み部にドライバーが係合可能とした構成とした。
また、第7の解決手段として、前記窪み部は、前記凹部に連通した状態で前記膨出部の端部に設けられた構成とした。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のチップ型可変抵抗器の図面を説明すると、図1は本発明のチップ型可変抵抗器の第1実施例に係る分解斜視図、図2は本発明のチップ型可変抵抗器の第1実施例に係る斜視図、図3は本発明のチップ型可変抵抗器の第1実施例に係る要部断面図、図4は本発明のチップ型可変抵抗器の第1実施例に係る回転体の平面図、図5は本発明のチップ型可変抵抗器の第1実施例に係る回転体の正面図、図6は本発明のチップ型可変抵抗器の第1実施例に係る回転体の製造方法を示す回転体の展開平面図、図7は図6の7−7線における断面図である。
また、第8は本発明のチップ型可変抵抗器の第2実施例に係る要部の断面図、図9は本発明のチップ型可変抵抗器の第2実施例に係る回転体の展開平面図である。
【0014】
次に、本発明のチップ型可変抵抗器の第1実施例に係る構成を図1〜図7に基づいて説明すると、セラミック等からなる絶縁基板1は、中央部に設けられた円形の孔1aと、対向する側壁に設けられた一対の切り欠き部1b、1cとを有すると共に、絶縁基板1の表面は、中央部に設けられた孔1aを中心として、円弧状の抵抗体2が設けられると共に、抵抗体2の端部には、銀等からなる電極部3が設けられている。
【0015】
一対の第1端子部4は、それぞれ平板部4aと、この平板部4aから直角に折り曲げされた一対の直立片4bとを有し、そしてこの第1端子部4は、平板部4aを絶縁基板1の隅部の下部に当接すると共に、直立片4bを絶縁基板1の側部に沿って位置させた状態で、直立片4bの上端部を折り曲げて、この折り曲げした上端部と平板部4aとで絶縁基板1を上下から抱持して、第1端子部4が取り付けられると共に、直立片4bが電極部3に接触した状態となっている。
【0016】
金属板からなる回転体5は、中央部に孔6aを有する上面板6と、この上面板6において、孔6aと繋がって設けられた十字状のドライバー溝7と、連結部8によって上面板6に連結されると共に、連結部8がU字状に折り曲げられて下方に位置した基部9と、基部9に設けられた摺動部9aを有する腕部9bと、基部9の中央部において、基部9に繋がって設けられた中央部に凹部10aを有する膨出部10と、膨出部10に設けられた孔10bを有する底壁10cとを有する。
【0017】
また、連結部8の折り曲げによって、上面板6と基部9とが重なるようになると共に、ドライバー溝7と膨出部10の凹部10aが対向した状態となって、ドライバー(図示せず)がドライバー溝7を通して凹部10aまで深く受け入れるようになっている。
【0018】
また、ドライバー溝7の溝部7aは、上面板6の中心Cと連結部8の横幅Aの中央部とを結ぶ線S上から外れた位置に設けられ、これによって連結部8の中央部と繋がった状態で、上面板6には広幅の肉部6bが存在して、連結部8の強度を高めることができると共に、この線Sに対して対称な位置に、隣り合う二つの溝部7aが位置している。
また、線Sを挟んで対向する二つの溝部7aの先端部7bが連結部8に近接して配置されると共に、この二つの溝部7aの先端部7b間の幅Bと同等の横幅A、或いはこの幅Bを超えた横幅Aで、連結部8が形成されている。
また、連結部8は、U字状に折り曲げた状態で、上面板6の外形の内側に位置するように形成されている。
【0019】
次に、このような構成を有する回転体5の製造方法を図6,図7で説明すると、金属板を打ち抜きして、連結部8で繋がった上面板6と基部9とを形成すると共に、上面板6には、孔6aとドライバー溝9とを形成し、また、基部9には、摺動部9aを設けた腕部9bと、底壁10cと凹部10aを有する膨出部10とを形成する。
しかる後、折り曲げ線Zの位置でU字状に折り曲げ加工すると、図4,図5に示すような回転体5が完成する。
【0020】
そして、このように構成された回転体5は、膨出部10の底壁10cを絶縁基板1上に載置して、孔10bを孔1aに合わせた状態にする。
また、金属板からなる第2端子部11は、平板状の基部11aと、基部11aの一端部から直角に切り曲げされた折り曲げ片11bと、基部11aから絞り加工によって上方に突出形成された円筒状の突部11cとを有する。
【0021】
そして、第2端子部11を絶縁基板1の下部に配置して、突部11cを孔1a、10bに挿通すると共に、切り曲げ片11bを切り欠き部1c内に位置した状態にする。
そして、突部11cの先端をカシメることによって、回転体5が絶縁基板1に回転可能に取り付けられると共に、摺動部9aが抵抗体2に接触した状態となる。
【0022】
このような構成によってチップ型可変抵抗器が形成され、十字状のドライバー(図示せず)をドライバー溝7と凹部10a内に挿入して、回転体5を回転すると、回転体5が突部11cを軸として回転すると共に、摺動部9aが抵抗体2上を摺接して、抵抗値の可変が行われるようになっている。
【0023】
そして、ドライバー溝7の溝部7aが上面板6の中心Cと連結部8の横幅Aの中央部とを結ぶ線S上から外れた位置に配置されているため、上面板6と基部9を連結する連結部8の中央部が幅広の肉部6bで上面板6と連結されて、その強度が高くなり、従って、ドライバーによって回転体5を回転した時、連結部8に捻れや曲がりが生じることが無く、基部9が正常に回転して、摺動部9aに支障の無いものが得られる。
なお、本実施例において、連結部8は、U字状に折り曲げた状態で上面板6の外形の内側に位置するように形成されているので、上面板6の外形を大きくすることなく、また、同時にドライバー溝7の溝部7aが上面板6の中央と連結部8の横幅Aの中央部とを結ぶ線Sから外れた位置に設けられているからドライバー溝7の長さを長くできる。
【0024】
また、図8,図9は本発明のチップ型可変抵抗器の第2実施例を示し、この第2実施例では、基部9には、上面板6のドライバー溝7と対向する位置に窪み部10dが設けられると共に、この窪み部10dは、凹部10aに連通した状態で膨出部10の端部に設けられた構成となっている。
これによって、特に、マイナス型のドライバー12を使用した場合、ドライバー12がドライバー溝7を通して、窪み部10dに深く挿入できて、ドライバー12が若干傾いた時でも、ドライバー溝7に確実に係合すると共に、ドライバー溝7を通して窪み部10dにも係合して、ドライバー12に対する回転体5の強度を増加している。
なお、窪み部10dの幅(円周方向の寸法)と長さ(半径方向の寸法)は、溝部7aよりも大きくしても良く、この場合、ドライバー12の挿入を深くでき、また、また、窪み部10dの幅と溝部7aの幅を同じにすると、ドライバー12の挿入時、上面板6と基部9とにドライバー12を係合できて、ドライバー12に対する回転体5の強度を増加できる。
また、その他の構成は、上述の第1実施例と同様であり、同一部品に同一番号を付し、ここではその説明を省略する。
【0025】
【発明の効果】
本発明のチップ型可変抵抗器において、回転体5は、摺動部9aを設けた基部9と、連結部8によって基部9に連結された上面板6と、この上面板6に設けられた十字状のドライバー溝7とを有し、連結部8がU字状に折り曲げられて、基部9と上面板6とが重ね合わされると共に、ドライバー溝7の溝部7aが上面板6の中心Cと連結部8の横幅Aの中央部とを結ぶ線Sから外れた位置に設けられたため、連結部8の中央部が幅広の肉部6bで上面板6と連結されて、その強度が高くなり、従って、ドライバーによって回転体5を回転した時、連結部8に捻れや曲がりが生じることが無く、基部9が正常に回転して、摺動部9aに支障の無いものが得られる。
【0026】
また、ドライバー溝7の溝部7aが上面板6の中心Cと連結部8の横幅Aの中央部とを結ぶ線Sに対して対称な位置に、ドライバー溝7の隣り合う二つの溝部7aが配置されたため、連結部8の中央部は、一層、幅広の肉部6bで上面板6と連結されて、その強度を一層高くできる。
【0027】
また、ドライバー溝7の溝部7aが上面板6の中心Cと連結部8の横幅Aの中央部とを結ぶ線Sを挟んで対向する二つの溝部7aの先端部7bが連結部8に近接して配置されると共に、連結部8に近接した二つの溝部7aの先端部7b間の幅Bと同等の横幅A、或いはこの幅Bを超えた横幅Aで連結部8が形成されたため、連結部8の横幅Aを広幅に形成できて、その強度を一層高くできる。
【0028】
また、基部9の中央部には、基部9と繋がった状態で、中央部に凹部10aを有する膨出部10が設けられ、凹部10aの一部がドライバー溝7と対向した状態で、上面板6が膨出部10上に位置したため、ドライバーがドライバー溝7を通して凹部10aまで深く挿入できて、調整時の操作性の良好なものが得られる。
【0029】
また、基部9には、上面板6のドライバー溝7と対向する位置に窪み部10dが設けられ、この窪み部10dにドライバー12が挿入可能としたため、特に、マイナス型のドライバー12を使用した場合、ドライバー12がドライバー溝7を通して、窪み部10dに深く挿入できて、ドライバー12が若干傾いた時でも、ドライバー12がドライバー溝7に確実に係合することができる。
【0030】
また、窪み部10dにドライバー12が係合可能としたため、ドライバー12が上面板6と基部9の2カ所で係合して、ドライバー12に対する回転体5の強度を増すことができる。
【0031】
また、窪み部10dは、凹部10aに連通した状態で膨出部10の端部に設けられたため、ドライバー12が膨出部10に係合して、ドライバー12に対する回転体5の強度を一層増すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のチップ型可変抵抗器の第1実施例に係る分解斜視図。
【図2】本発明のチップ型可変抵抗器の第1実施例に係る斜視図。
【図3】本発明のチップ型可変抵抗器の第1実施例に係る要部断面図。
【図4】本発明のチップ型可変抵抗器の第1実施例に係る回転体の平面図。
【図5】本発明のチップ型可変抵抗器の第1実施例に係る回転体の正面図。
【図6】本発明のチップ型可変抵抗器の第1実施例に係る回転体の製造方法を示す回転体の展開平面図。
【図7】図6の7−7線における断面図。
【図8】本発明のチップ型可変抵抗器の第2実施例に係る要部の断面図。
【図9】本発明のチップ型可変抵抗器の第2実施例に係る回転体の展開平面図。
【図10】従来のチップ型可変抵抗器の平面図。
【図11】従来のチップ型可変抵抗器の正面図。
【図12】従来のチップ型可変抵抗器に係る回転体の平面図。
【図13】本発明のチップ型可変抵抗器に係る回転体の正面図。
【図14】図12の14−14線における断面図。
【符号の説明】
1 絶縁基板
1a 孔
1b 切り欠き部
1c 切り欠き部
2 抵抗体
3 電極部
4 第1端子部
4a 平板部
4b 直立部
5 回転体
6 上面板
6a 孔
6b 肉部
7 ドライバー溝
7a 溝部
7b 先端部
8 連結部
9 基部
9a 摺動部
9b 腕部
10 膨出部
10a 凹部
10b 孔
10c 底壁
10d 窪み部
11 第1端子部
11a 基部
11b 切り曲げ部
11c 突部
12 ドライバー
A 横幅
B 幅
C 中心
S 結ぶ線
Z 折り曲げ線
Claims (7)
- 表面に抵抗体を設けた絶縁基板と、この絶縁基板に回転可能に取り付けられ、前記抵抗体に摺接する摺動部を有する回転体とを備え、前記回転体は、前記摺動部を設けた基部と、連結部によって前記基部に連結された上面板と、この上面板に設けられた十字状のドライバー溝とを有し、前記連結部がU字状に折り曲げられて、前記基部と前記上面板とが重ね合わされると共に、前記ドライバー溝の溝部が前記上面板の中心と前記連結部の横幅の中央部とを結ぶ線から外れた位置に設けられたことを特徴とするチップ型可変抵抗器。
- 前記ドライバー溝の溝部が前記上面板の中心と前記連結部の横幅の中央部とを結ぶ線に対して対称な位置に、前記ドライバー溝の隣り合う二つの前記溝部が配置されたことを特徴とする請求項1記載のチップ型可変抵抗器。
- 前記ドライバー溝の溝部が前記上面板の中心と前記連結部の横幅の中央部とを結ぶ線を挟んで対向する二つの前記溝部の先端部が前記連結部に近接して配置されると共に、前記連結部に近接した前記二つの溝部の前記先端部間の幅と同等の前記横幅、或いはこの幅を超えた前記横幅で前記連結部が形成されたことを特徴とする請求項1、又は2記載のチップ型可変抵抗器。
- 前記基部の中央部には、前記基部と繋がった状態で、中央部に凹部を有する膨出部が設けられ、前記凹部の一部が前記ドライバー溝と対向した状態で、前記上面板が前記膨出部上に位置したことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のチップ型可変抵抗器。
- 前記基部には、前記上面板の前記ドライバー溝と対向する位置に窪み部が設けられ、この窪み部にドライバーが挿入可能としたことを特徴とする請求項4記載のチップ型可変抵抗器。
- 前記窪み部にドライバーが係合可能としたことを特徴とする請求項5記載のチップ型可変抵抗器。
- 前記窪み部は、前記凹部に連通した状態で前記膨出部の端部に設けられたことを特徴とする請求項5、又は6記載のチップ型可変抵抗器。
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