JP3817041B2 - ポリプロピレン系樹脂組成物及びそのフィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、メタロセン系触媒を用いて重合したプロピレン系重合体からなるポリプロピレン系樹脂組成物及びそのフィルムに関するものである。さらに詳しくは、高い引張弾性率、フィルムインパクトを有し、且つ成形性もよいバランスのとれたフィルム物性をもたらす樹脂組成物及びそのフィルムである。
【0002】
【従来の技術】
ポリプロピレンフィルムは、極めて透明で、腰が強く、耐熱性があり、吸湿が少ない等の特徴を有するためし、二軸延伸フィルム、ラミネートフィルム等のキャストフィルムとして用いられている。
しかし、これらキャストフィルムの物性向上を図ろうとしてフィルムインパクトの向上を目指しても、引張弾性率が低下し、腰の弱いフィルムとなるほか成形性が低下し、フィルム外観が悪化するなど物性のバランスをとることは困難であった。従来は、チタン−マグネシウム系のチーグラー型触媒を用いてポリプロピレンを二元、三元系のブロック型あるいはランダム型のポリプロピレン共重合体に改質する試みがなされてきたが、最近、メタロセン系触媒を用いて重合したポリプロピレンがフィルム用として検討されている。これにより、フィルムインパクトと弾性率のバランスの向上がみられるがなお充分ではなく、成形性が悪く、ネックイン現象等も現れるのが実情であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高い引張弾性率、フィルムインパクトを有し、且つ成形性もよいバランスのとれたフィルム物性をもたらすポリプロピレン樹脂組成物及びそのフィルムの提供を目的とする。
【0004】
【課題を解決しようとする手段】
本発明者らは上記課題につき鋭意検討した結果、メタロセン系触媒を用いて製造したプロピレン系重合体単品では、フイルムインパクトと弾性率の向上はみられるものの、フイルムの成形性に難点があるが、これに同じくメタロセン系触媒を用いて製造した比較的高粘度のプロピレン系重合体を配合することで、フイルムインパクトと弾性率がさらに向上し、成形性の良いフィルムが得られることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下を要旨とするものである。
(1)(A)プロピレン単独重合体であって、アイソタクチックペンダット分率(mmmm分率)が80%〜99%であり、かつ分子量分布(Mw /Mn 比)が3.5以下であり、極限粘度〔η〕が1.0〜2.0デシリットル/gであるメタロセン系触媒を用いて重合したプロピレン系重合体99〜50重量部に、(B)プロピレン単独重合体であって、アイソタクチックペンダット分率(mmmm分率)が80%〜99%であり、かつ分子量分布(Mw /Mn 比)が3.5以下であり、極限粘度〔η〕が2.5〜4.5デシリットル/gであるメタロセン系触媒を用いて重合したプロピレン系重合体1〜50重量部を配合してなるポリプロピレン系樹脂組成物。
(2)上記(1)に記載のポリプロピレン系樹脂組成物を用いて成形したフィルム。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明について、以下に詳細に説明する。
〔1〕本発明の樹脂組成物は、(A)プロピレン単独重合体であって、アイソタクチックペンタッド分率(mmmm分率)が80〜99%であり、かつ極限粘度〔η〕が1.0〜2.0デシリットル/gであり、分子量分布(Mw /Mn 比)が3.5以下であるメタロセン系触媒を用いて重合したプロピレン系重合体99〜50重量部に、(B)プロピレン単独重合体であって、アイソタクチックペンタッド分率(mmmm分率)が80〜99%であり、かつ極限粘度〔η〕が2.5〜4.5デシリットル/gであり、分子量分布(Mw /Mn 比)が3.5以下であるメタロセン系触媒を用いて重合したプロピレン系重合体1〜50重量部を配合してなるポリプロピレン系樹脂組成物である。
【0006】
(1)(A)成分について
(A)成分としては、メタロセン系触媒を用いて重合したプロピレン単独重合体であって、予め少量(0.5モル%以下)のエチレン又は炭素数4〜20のα−オレフィンで予備重合等したプロピレン系重合体であってもよく、ポリプロピレンの立体規則性を示すアイソタクチックペンタッド分率(mmmm分率)が80〜99%、より好ましくは、85〜97%であり、かつ極限粘度〔η〕が1.0〜2.0デシリットル/g、より好ましくは1.5〜1.8デシリットル/gであり、分子量分布(Mw /Mn 比)が3.5以下、より好ましくは3.0以下であるものを使用する。
【0007】
本発明でいうアイソタクチックペンタッド分率(mmmm分率)とは、Cheng H.N.,Ewen J.A.,Macromol.cem.,1989,190,1350に記載された13C−NMRスペクトルのピークの帰属に基づいてプロピレン構造単位5個の中、メソ構造(メチル基5個の配列が同一方向に配列するmmmm構造)を有するものの含まれる割合(%)をいう。
【0008】
このアイソタクチックペンタッド分率が、80%未満ではフィルムの引張弾性率が低く、不充分となる場合があり、99%を超えるとフィルムの耐衝撃性が劣る場合が生ずるので好ましくない。
又、極限粘度〔η〕は、通常、主にフイルム成形性の観点から1.0〜2.0デシリットル/gがよく、1.0デシリットル/gより小さければ、フイルム成形性が悪化する場合があり、2.0デシリットル/gを超えれば流動性が低くいため、成形が困難になる場合が生ずる。
【0009】
更に、分子量分布(Mw /Mn 比)が、3.5を超える場合はヒートシール性が低下したり、耐ブロッキング性が低下したりする場合がある。
なお、本発明に用いる(A)成分のプロピレン系重合体は、シクロペンタジエニル環を有する周期律表第4族の遷移金属化合物及びメチルアルミノキサンあるいは周期律表第4族の遷移金属化合物と反応してイオン性の錯体を形成する化合物と有機アルミニウム化合物からなるメタロセン系触媒の存在下で重合させることにより製造することができる。
【0010】
主触媒のシクロペンタジエニル環を有する周期律表第4族の遷移金属化合物としては、シクロアルカジエニル基又はその置換体、具体的には、インデニル基、置換インデニル基及びその部分水素化物からなる群から選ばれた少なくとも2個の基が低級アルキレン基あるいはシリレン基を介して結合した多座配位化合物を配位子とするジルコニウム、チタン、及びハフニウム化合物である。すなわち、遷移金属化合物は、H.H.Brintzinger et al,J.Organometal.Chem.,288 ,63(1985) 記載のエチレン−ビス−(インデニル)ジルコニウムジクロリドやJ.Am.Chem.Soc.,109,6544(1987) 記載のエチレン−ビス−(インデニル)ハフニウムジク ロリド、H.Yamazaki et al,Chemistry Letters,1853(1989) 記載のジメチルシリルビス(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルビス(2,4,5−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドあるいはこれらの錯体のハフニウムジクロリド等のジルコニウム及びハフニウム化合物の立体硬質(stereorigid)キラル(chiral)化合物である。
【0011】
具体的に例示すれば、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(4−メチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(5−メチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(6−メチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(7−メチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(2,3−ジメチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(4,7−ジメチル−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(インデニル)ハフニウムジクロリド、エチレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ハフニウムジクロリド、エチレンビス(4−メチル−1−インデニル)ハフニウムジクロリド、エチレンビス(5−メチル−1−インデニル)ハフニウムジクロリド、エチレンビス(6−メチル−1−インデニル)ハフニウムジクロリド、エチレンビス(7−メチル−1−インデニル)ハフニウムジクロリド、エチレンビス(2,3−ジメチル−1−インデニル)ハフニウムジクロリド、エチレンビス(4,7−ジメチル−1−インデニル)ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(インデニル)ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(4−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(インデニル)ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2,4,5−トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2,4,5−トリメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(3−メチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド等を挙げることができる。
【0012】
また、(ジメチルシリレン)(ジメチルシリレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、(エチレン)(エチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、(エチレン)(エチレン)−ビス(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(エチレン)(エチレン)−ビス(4,7−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド等及びこれらの化合物におけるジルコニウムをハフニウム、又はチタンに置換したものを挙げることができる。
【0013】
また、助触媒の周期律表第4族の遷移金属化合物と反応してイオン性の錯体を形成する化合物としては、トリフェニルカルビニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのようなテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートアニオン含有化合物や、トリフェニルカルビニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネート、リチウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)アルミネートのようなテトラ(ペンタフルオロフェニル)アルミネートアニオン含有化合物が好適に使用される。
【0014】
また、有機アルミニウム化合物としては、少なくとも分子内に1個のAl−C結合を有するものである。かかる有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムハライド、ジイソブチルアルミニウムハライド等のジアルキルアルミニウムハライド、トリアルキルアルミニウムとジアルキルアルミニウムハライドの混合物、テトラエチルジアルモキサン、テトラブチルアルモキサン等のアルキルアルモキサンが例示できる。
【0015】
これらの有機アルミニウム化合物の内、トリアルキルアルミニウム、トリアルキルアルミニウムとジアルキルアルミニウムハライドの混合物、アルキルアルモキサンが好ましく、特にトリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムとジエチルアルミニウムクロリドの混合物及びテトラエチルジアルモキサンが好ましい。有機アルミニウムとしては、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等が好適に使用される。
【0016】
これらのメタロセン系触媒及び/又は助触媒は担持させて使用してもよく、担体としてはポリスチレン等の有機化合物、シリカ、アルミナ等の無機酸化物が挙げられる。
重合方法としては、塊状重合法、溶液重合法、気相重合法、懸濁重合法等のいずれの方法でもよいし、バッチ式、連続式のいずれでもよい。
【0017】
また、予め少量のα−オレフィン、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等で予備重合を行ってもよい。
重合温度は通常、−50〜250℃、好ましくは、0〜150℃の範囲であり、重合時間は通常、1〜10時間の範囲であり、圧力は通常、常圧〜300kg/cm2-Gの範囲である。
【0018】
(2)(B)成分について
(B)成分としては、メタロセン系触媒を用いて重合したプロピレン単独重合体であって、予め少量(0.5モル%以下)のエチレン又は炭素数4〜20のα−オレフィンで予備重合等したプロピレン系重合体であってもよく、ポリプロピレンの立体規則性を示すアイソタクチックペンタッド分率(mmmm分率)が80〜99%、より好ましくは、85〜97%であり、かつ極限粘度〔η〕が2.5〜4.5デシリットル/g、より好ましくは2.8〜4.0デシリットル/gであり、分子量分布(Mw /Mn 比)が3.5以下、より好ましくは3.0以下であるものを使用する。
【0019】
アイソタクチックペンタッド分率が、80%より小さければ引張弾性率が不充分となる場合があり、99%を超えるとフィルムの耐衝撃性が劣る場合が生ずるので好ましくない。
又、極限粘度〔η〕が2.5デシリットル/gより小さければ成形性の改良効果が見られない場合があり、4.5デシリットル/gを超えればフイルムにブツ(塊状物)が生成する場合があ。
【0020】
更に、分子量分布(Mw /Mn 比)が、3.5を超える場合はヒートシール性が低下したり、耐ブロッキング性が低下したりする場合がある。
(B)成分の重合には、基本的には前記した(A)成分のプロピレン系重合体に用いたメタロセン系触媒及び助触媒と同じものを用い、同様の重合方法により製造することができる。
【0021】
(3)配合
本発明のプロピレン系重合体組成物は、(A)成分と(B)成分の配合比(重量部比)が99〜50:1〜50からなる。より好ましくは、99〜75:1〜25であり、更により好ましくは、99〜90:1〜10である。(B)成分の配合が1%より小さければ引張弾性率が低下する場合があり、20%より大きければ耐衝撃性が低下する場合がある。
【0022】
上記(A)成分と(B)成分の配合するに際し、各種添加剤、例えば造核剤、熱安定剤、酸化防止剤、耐侯剤、中和剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、滑剤、染料、顔料、充填剤、防曇剤、耐電防止剤等を必要に応じて配合することができる。
本発明のプロピレン系重合体組成物は、上記各成分をヘンシェルミキサー、Vブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダー等で混合後、単軸押出機、多軸押出機、ニーダー、バンバリミキサー等の混練機により、混練することが出来る。
【0023】
〔2〕こうして得られた本発明のプロピレン系重合体組成物を、更に、射出成形、ブロー成形、押出成形等に用いることができ、中でもキャスト成形、インフレーション成形等のフイルム用途に好適に用いる事が出来る。フィルムの厚みは用途にもよるが、通常5〜500μm程度である。又、上記フィルムは、単層での使用のみならず、共押出し製膜法による多層フィルムにも好適に使用でき、延伸して延伸フィルムとしても好適に使用できる。
【0024】
【実施例】
〔実施例1〕
(1)A成分の製造
内容積10リットルのステンレス製オートクレーブにトルエン4.0リットル、トリイソブチルアルミニウム8ミリモル、テトラキスペンタフルオロフェニルボレートジメチルアニリウム塩20マイクロモルを仕込み、40℃に昇温し、水素10ミリモルを加え、全圧で7.0kg/cm2 −Gまでプロピレンを導入した。ここで、(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(インデニル)ハフニウムジクロライド5マイクロモルを加え、重合を開始した。圧力が一定になるように、調圧器によりプロピレンを供給した。2時間後、内容物を取り出し、減圧下で乾燥することにより、ポリプロピレン820gを得た。
ここで得られたポリプロピレンは、メソペンタッド分率(mmmm)が91%、極限粘度〔η〕が1.5デシリットル/g、分子量分布(Mw / Mn 比)が1.9であった。
【0025】
(2)B−1成分の製造
内容積10リットルのステンレス製オートクレーブにトルエン4.0リットル、トリイソブチルアルミニウム8ミリモル、テトラキスペンタフルオロフェニルボレートジメチルアニリウム塩20マイクロモルを仕込み、40℃に昇温し、全圧で7.0kg/cm2 −Gまでプロピレンを導入した。ここで、(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(インデニル)ハフニウムジクロライド5マイクロモルを加え、重合を開始した。圧力が一定になるように、調圧器によりプロピレンを供給した。2時間後、内容物を取り出し、大量のメタノールに投入し、濾過、乾燥することにより、ポリプロピレン300gを得た。
得られたポリプロピレンは、メソペンタッド分率(mmmm)が91%、極限粘度〔η〕が3.0デシリットル/g、分子量分布(Mw / Mn 比)が2.1であった。
【0026】
(3)配合及び混練
上記A成分を91重量%、B−1成分を9重量%で、更に、酸化防止剤として「イルガノクッス1010」(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名)を750ppm、「イルガノックス168」(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名)を750ppm、中和剤としてステアリン酸カルシウム500ppm,スリップ剤としてエルカ酸アミド1000重量ppm、アンチブロッキング剤としてシリカ系アンチブロッキング剤1800重量ppmを添加して、単軸押出機(塚田樹機製作所製 TLC35−20型)にて溶融混練して、樹脂組成物を得た。
【0027】
(4)フイルム成形
Tダイ・キャスト成形法により、塚田樹機製作所製の20mmφTダイ・キャスト成形機を用い、膜厚25μmのフイルムを以下の条件で製膜した。
ダイス出口温度191℃、チルロール温度30℃、引取速度6m/分で、なお製膜後、40℃で24時間のエージングを行なった。
得られたフィルムの引張弾性率、フィルムインパクトを測定評価し、併せてフイルムの外観を評価し、その結果を表1に示した。
【0028】
なお、各試験評価方法は以下に示す通りである。
〔1〕極限粘度〔η〕の測定方法
極限粘度〔η〕(デシリットル/g)は135℃のデカリン中で測定したものである。
〔2〕分子量分布Mw/Mn比の測定方法
Mw、Mw/Mnは、以下の装置及び条件で行い、測定したものである。
【0029】
GPC測定装置
カラム :昭和電工社製 ShodexUT806L
赤外検出器 :液体クロマトグラム用IR検出器
赤外検出フローセル:KBrセル(光路長1mm)
測定条件
溶媒 : o−ジクロロベンゼン
測定温度 : 135 ℃
流速 : 1.0ミリリットル/分
試料濃度 : 2ミリグラム/ミリリットル
注入量 : 200μリットル
赤外吸収波長 : 3.42μm
【0030】
〔3〕アイソタクチックペンタッド分率
アイソタクチックペンタッド分率(mmmm分率)は、Cheng H.N.,Ewen J.A.,Macromol.cem.,1989,190,1350に記載された13C−NMRスペクトルのピークの帰属に基づいてプロピレン構造単位5個の中、メソ構造(メチル基5個の配列が同一方向に配列するmmmm構造)を有するものの含まれる割合(%)をいい、以下の装置及び条件で求めた。
装置 :日本電子社製のJNM−EX400型NMR装置
試料濃度 : 220mg/NMR溶媒 3 ml
NMR溶媒 : 1,2,4- トリクロロベンゼン/重ベンゼン(90/10vol%)
測定温度 : 130℃
パルス幅 : 45°
パルス繰返し時間 :10秒
積算回数 : 4000 回
〔4〕引張弾性率
JIS K7127NI準拠した引張試験により測定した。測定条件はクロスヘッド速度が500mm/分であり、測定方向がマシン方向(MD方向)である。
〔5〕フィルムインパクト(F.I)
フィルムインパクトは、衝撃破壊強度を示し、東洋精機製フィルムインパクトテスターにおいて、1インチ衝撃ヘッドを用いて測定したものである。
【0031】
〔比較例1〕
実施例1のA成分のみで、B−1成分を配合しない以外は実施例1−(3)と同様に、プロピレン系樹脂組成物を調整し、実施例1−(4)と同様にフイルムを製膜して評価した。その結果を表1に示す。
【0032】
〔比較例2〕
(1)B−2成分の製造
内容積1リットルのステンレス製オートクレーブにトルエン400ミリリットル、トリイソブチルアルミニウム1ミリモル、テトラキスペンタフルオロフェニルボレートジメチルアニリウム塩40マイクロモルを仕込み、30℃に昇温し、全圧で7.0kg/cm2 −Gまでプロピレンを導入した。ここで、(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(インデニル)ハフニウムジクロライド10マイクロモルを加え、重合を開始した。圧力が一定になるように、調圧器によりプロピレンを供給した。2時間後、内容物を取り出し、大量のメタノールに投入し、濾過、乾燥することにより、ポリプロピレン60gを得た。
得られたポリプロピレンは、メソペンタッド分率(mmmm)が91%、極限粘度〔η〕が5.5デシリットル/g、分子量分布(Mw / Mn 比)が2.0であった。
実施例1のB−1成分を上記B−2成分に変えた以外は、実施例1−(3)と同様に、プロピレン系樹脂組成物を調整し、実施例1−(4)と同様にフイルムを製膜して評価した。その結果、フイルムは表面粗れが激しく、実用に供しないものであったため、物性測定はできなかった。
【0033】
【表1】
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、メタロセン系触媒を用いて得られたポリプロピレンに、同じメタロセン系触媒を用いて得られた極限粘度の比較的大きなポリプロピレンとを配合することにより、引張弾性率、フイルムインパクトに優れ、なおかつ成形性にすぐれたフィルムが得られる。
Claims (2)
- (A)プロピレン単独重合体であって、アイソタクチックペンダット分率(mmmm分率)が80%〜99%であり、かつ分子量分布(Mw /Mn 比)が3.5以下であり、極限粘度〔η〕が1.0〜2.0デシリットル/gであるメタロセン系触媒を用いて重合したプロピレン系重合体99〜50重量部に、(B)プロピレン単独重合体であって、アイソタクチックペンダット分率(mmmm分率)が80%〜99%であり、かつ分子量分布(Mw /Mn 比)が3.5以下であり、極限粘度〔η〕が2.5〜4.5デシリットル/gであるメタロセン系触媒を用いて重合したプロピレン系重合体1〜50重量部を配合してなるポリプロピレン系樹脂組成物。
- 請求項1記載のポリプロピレン系樹脂組成物を用いて成形したフィルム。
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JPH1160842A (ja) | 1999-03-05 |
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