JP3816801B2 - 電磁式燃料噴射弁 - Google Patents
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Description
本発明は、内燃機関用の電磁式燃料噴射弁に関する。
背景技術
従来より、自動車等の内燃機関においては、エンジン制御ユニットからの電気信号により駆動する電磁式の燃料噴射弁が広く用いられている。
この種の燃料噴射弁は、中空筒形の固定コアの周りに電磁コイル、ヨークが配置され、ヨークの下部には、弁体を有する可動子を内装したノズルボディが取付けられ、この可動子が戻しばねの力を受けて弁座側に付勢される構造をなしている。
可動子は、ストローク動作の安定性を図るために、一般に2点支持のガイド方式が採用されている。例えば、特開平11−200993号公報に示すように、可動子がニードルバルブである場合、その先端側をノズルボディ内の燃料旋回子(スワラー)の内周で摺動案内し、もう一点は、ニードルバルブに可動側のガイド面となる大径部を設けて、この大径部がノズルボディ内周に摺動案内されるようにしてある。弁体となるボールとロッドを一体結合した可動子であっても、同様の2点支持のガイド方式が採用されている。
近年においては、ガソリンエンジンにおいても燃料を内燃機関のシリンダ内に直接噴射させる燃料噴射弁が実用化されている。
直接噴射式の燃料噴射弁においては、ヨーク下部に設けるノズルボディを細身で長めにしたロングノズルインジェクタも提案されている。このロングノズルインジェクタは、シリンダヘッドに取付ける場合に、シリンダヘッド付近に吸気弁,吸気管等の部品が密集している場合に、スペースのとらない細身のノズルボディだけをシリンダヘッド上に位置させ、ヨークやコネクタモールド等の大径の胴体部分は他の部品やシリンダヘッドと干渉しないように離して設置できるので、取り付けの自由度が高い利点がある。
ところで、上記した可動子の2点支持ガイド方式において、可動子のストローク動作をノズルボディ内周でガイドする場合には、ノズルボディ内周に設けたガイド孔を仕上げ加工(研削加工)する必要があるが、ノズルボディがロング化すると、ガイド面が深まった位置にあると加工が容易でない。また、ノズルボディの開口側に近い内周にガイド面を設定して、その位置に仕上げ加工を施した場合であっても、ノズルホディ内周に高い研磨精度が要求される。その分、製作コストが高くなるので、そのコスト低減が望まれる。
その他、電磁式燃料噴射弁においては、弁閉動作時に弁体が弁座に衝突するために、その跳ね返りにより弁が開いていわゆる2次噴射が生じることもあり、それを防止する技術や、組立の容易、特に自動組立化に貢献できる構造等、種々の要求がある。
本発明の目的は、燃料噴射弁の低コスト化,心出し精度(同軸度精度)及び組立の容易化、部品の簡略化、取付性の自由度、2次噴射防止等の課題に応えることができる燃料噴射弁を提供することにある。
発明の開示
上記目的を達成するために種々の発明を提案する。その要点は、次の通りである。
基本的には、固定コアの周りに電磁コイルとヨークが配置され、ヨークの下部には、弁体を有する可動子を内装したノズルボディが取付けられ、この可動子が戻しばねの力を受けて弁座側に付勢されている電磁式燃料噴射弁であって、それに次のような手段を施した。
(1)2点支持ガイド方式の低コスト化と心出し精度(同軸精度)を図るために、燃料旋回子を有する燃料噴射弁において、固定コアのノズルボディ側の一端外周とノズルボディの一端内周とに圧入,溶接した非磁性の筒状シールリングを利用し、このシールリングの内周と燃料旋回子の内周とで弁ストローク動作時の可動子を摺動案内する2点支持ガイドを構成する。
(2)燃料噴射弁の組立の容易化,部品の簡略化を図るために、電磁コイル及びヨークは、固定コアの周りに該固定コアの上から通して装着され、且つヨークは電磁コイルの外周に上から被さるようにしてノズルボディと結合可能となる構造とした。このヨークの上部の一部に電磁コイルの端子取出し窓が形成され、ヨークの上端内面が前記電磁コイルを押し付けて該コイルを固定している。
(4)燃料旋回子の組付けの容易性,燃料噴射特性,応答性を高める手段としては、次のような手段を提案する。
燃料旋回子はノズルボディの受け面に受け止められるようにしてノズルボディの内周に隙間嵌めされ、オリフィスプレートは燃料旋回子を押し付けるようにして前記内周に圧入する。これは、見方を変えれば、燃料旋回子はノズルボディの受け面とオリフィスプレートの間に挾持されて、該燃料旋回子の外周とノズルボディの内周との間に環状の燃料通路が形成され、この環状の燃料通路を介して燃料旋回子の下端に設けた通路溝に燃料が流れる構造を提案するものである。
(5)2次噴射防止のために、可動子の閉弁動作の衝撃を緩和する液体ダンパ構造を実現し得る構造としては、次のような手段を提案する。
固定コアのノズルボディ側の一端外周とノズルボディの一端内周とにまたがって配置されたシールリングの内周が可動子のガイドになっており、可動子は、中空円筒形の可動コアを有し、この可動コアの上部側外周がシールリングの内周にガイドされ、その下部側外周とノズルボディ内周間に燃料通路を確保して、この燃料通路をその上流側の可動コア内部の燃料通路と可動コアに設けた通孔を介して連通させている。
(6)2次噴射防止のために、可動子の弁座やストッパに対する衝突動作(跳ね返り)を防止する手段としては、戻しばねと可動子との間に該可動子と独立して軸方向に可動な質量体を介在させたり、さらに、この質量体と前記可動子の間に板ばねを介在させたものを提案する。
発明を実施するための最良の形態
本発明の実施の形態を第1図から第5図に示した実施例を参照して説明する。
第1図に示すように、燃料噴射弁100は、中心から外径方向に向けて中空の固定コア1、電磁コイル2、ヨーク4が配置され、ヨーク4の下部に取付けたノズルボディ(ノズルホルダと称されることもある)18に弁体を有する可動子5を内装し、この可動子5が戻しばね7の力を受けて弁座31側に付勢されている。
この燃料噴射弁100の基本動作は、電磁コイル2を通電させると、ヨーク4,固定コア1.可動コア14(可動子5の一部).ノズルボディ18の上部が磁気回路を形成し、それによって、可動子5が戻しばね7の力に抗して吸引されることで、開弁動作が行われ、また、電磁コイル2の通電を止めると戻しばね7の力で可動子5が弁座31に当接し、閉弁動作が行われるものである。
本例では、固定コア1の下端面が開弁動作時に可動子5を受け止めるストッパとしての役割をなしている。
固定コア1は、細長の中空円筒形を呈している。この固定コア1とノズルボディ18は、固定コア1のノズルボディ側の一端外周とノズルボディ18の一端内周とにまたがって配置された非磁性の筒状シールリング8を介して結合されている。
シールリング8は、例えば、SUS316のような材料で、研磨加工されており、一端にフランジ8aを有する筒形を呈し、フランジ8aと反対側の筒部一端が固定コア1の外周一端に圧入,溶接され、フランジ部8aがノズルボディ18の上端内縁に設けた環状段差(環状溝)18cに圧入,溶接されている。この溶接は、シール性を保つためレーザ溶接等により例えば符号で示すb及びc個所のように結合境界部の一周にわたり行われる。
なお、環状段差18cは、ノズルボディ18の段付き内周となるもので、そのうち最も大きい内径となる。
ノズルボディ18の上部18bは、後述する可動コア14aを往復動作(弁開閉に必要なストローク動作)可能に収容するために、ノズルボディ1のうち最も大きい内径及び外径をなし、その下方に細身のロングノズル部18aが延設されている。
このロングノズル部18aは、燃料噴射弁100を第2図に示すように、エンジン105のシリンダヘッド106に直接設ける噴射方式において、吸気弁101,吸排気弁の駆動機構102,吸気管103等の実装密度が高い場合に、大径の噴射弁胴体部をこれらの部品やシリンダヘッド106から離した位置(干渉しない位置)に置くことができ、取り付けの自由度を高める利点がある。
ノズルボディ18の上部(大径部)18bは、電磁コイル2を通電したときに可動コア吸引用の磁束を通す位置、すなわち磁気回路の一部を構成する位置まで上方に延設されており、その意味では、ヨーク4の一部を兼ねるものである。
ノズルボディ18の上端面は、上記したシールリング8のフランジ部8aを圧入させるための環状段差18cと、ヨーク4といんろう係合(凹凸係合)方式で圧入する段差部18dを有し、計3段の段差面が形成されている。
ヨーク4は、下端(ノズルボディ18側を向く一端)側の開口を、樹脂モールド3付きの電磁コイル2の外径よりも幾分大きくして、いわゆる底抜けの形状をなし、このヨーク下端に上記ノズルボディ18の段差部18dといんろう係合方式で圧入するための段差部4cが形成されている。
ヨーク4は、電磁コイル2の樹脂モールド3上端部に被さるような上壁4b(以下、ショルダー部と称する)が形成され、そのショルダー部4bの中央に固定コア1の外周に嵌合するコア挿通孔4aが絞り加工により形成されている。
ヨーク4は、上記構成をなすことにより、固定コア1の上から通して装着される。また、ヨーク4は樹脂モールド3付き電磁コイル2に上から被さるようにして、
ノズルボディ18の環状段差部18dにいんろう方式で圧入(結合)可能な構造をなしている。ヨーク4のショルダー部4bの一部に電磁コイル3のコネクタ端子29を通すことのできる窓4dが形成されている。
電磁コイル2はノズルボディ18の上端面に受け止められ、ヨーク4のショルダー部4bの内面が電磁コイル2を押し付けて該コイルを固定している。
ヨーク4とノズルボディ18とは、その圧入個所(いんろう接続部)のつなぎ目aの位置が環状に溶接され、また、ヨーク4と固定コア1とがdの位置で溶接され、シール性が保たれている。
固定コア1,ヨーク4,可動子5,ノズルボディ18は、電磁コイル2の磁気回路を形成するために、例えばステンレス系の磁性材(電磁ステンレス)により構成される。その加工形態については、後述する。
ノズルボディ18の下端(先端)には、オリフィスプレート19と、燃料旋回子(以下、スワラーと称する)21とが設けられるが、これらの別部材18,19,21は別部材により形成される。
オリフィスプレート19は、例えばステンレス系の円板状のチップにより形成され、その中央部に噴射孔(オリフィス)20が設けられ、それに続く上流部に弁座31が形成されている。オリフィスプレート19は、ノズルボディ18の下端内周18fに圧入により取付ける仕様としてある。
一方、スワラー21は、ノズルボディ18の下端内周に隙間嵌めにより配置する仕様としてあり、SUS416のような焼結合金により形成されている。
このスワラー21は、ほゞ円板に近い形のチップで、その中央に可動子5の先端(弁体)を摺動案内するための中央孔(ガイド)25が設けられ、上面には第4図の(a)及び(c)に示すように、燃料を外周側に導くための案内溝24が形成されている。
一方、下面には、第4図の(b),(c)に示すように、その外周縁に環状の段差(流路)23が形成され、環状流路23と中央孔25との間に、燃料旋回形成用の通路溝26が複数、例えば6個配設されている。通路溝26は、スワラー21の外径側から内径のほゞ接線方向に向けて形成され、通路溝26から中央孔25の下端に向けて噴出する燃料に旋回力が生じるように設定してある。
上記環状段差23を設ける理由は、燃料溜りとして必要なためである。また、スワラー21の外周には、面取り27が複数個所に形成されている。この面取り27は、溝24,26等の加工時に基準としている役割をなす。
ノズルボディ18の先端(燃料噴射側一端)にスワラー21とオリフィスプート19を装着するための受け面18e付きの内周(段付き内周)18fが設けられ、スワラー21は、ノズルボディ18の受け面18eに受け止められるようにしてノズルボディ内周に隙間嵌めされ、一方、オリフィスプレート19はスワラー21を押し付けるようにして前記内周に圧入,溶接されている。
このようにスワラー21及びオリフィスプレート19を装着することで、スワラー21は、受け面18eとオリフィスプレート19の間に挾持され、また、スワラー21の外周とノズルボディ18の先端内周との間には、環状の燃料流路22が形成される。この環状の燃料通路22は、面取り27がなくとも十分な燃料通路を確保できるものであり、この環状の燃料通路22及び23を介してスワラー21の旋回形成用の溝26に燃料が流れる構造とした。
スワラー21の上端面は、ノズルボディ18に設けた受け面18eに圧接するために、燃料案内溝24を設けることで、スワラー上流側の燃料がこの溝24を介してスワラー21外周の環状燃料流路22に流れるようにしてある。この溝24は、スワラー21の上端面のほかに、ノズルボディの受け面18e側に形成することも可能である。
すなわち、スワラー21,ノズルボディ18を問わず、スワラー上端面とこれを受けるノズルボディの受け面との間に燃料をスワラー外周に導くための通路溝が形成されていればよい。
なお、スワラー21の一端面に設けた溝26には、オリフィスプレート19側の一部が通路溝の流れに支障のないように入り込んで、その回り止めを確実にしている。
例えば、スワラー21の硬度をオリフィスプレート19よりも大きくすることで、オリフィスプレート19を圧入した時にその一部を溝26に食い込ませることが可能であり、このようにしてスワラー21の回り止めと位置ずれを防止できる。
可動子5は、弁ロッド(ニードル)16と、これよりも外径を大きくした中空円筒形の可動コア14とを有し、これらは別部材で、ロッド16を可動コア14の一端に圧入,溶接することで一体に結合されている。
可動コア14及び弁ロッド16の一部が可動側のガイド面となっている。ここでは、弁開閉時のストローク動作時に、可動コア14の外周面の一部14aがシールリング8の内周に摺動案内され、弁ロッド16の先端近くの外周面がスワラー21の中央孔25に摺動案内されることで、いわゆる2点支持ガイド方式を構成している。
本例では、可動コア14の上部側外周14aを下部側外周14bよりも径を大きくして、この上部側外周14aがシールリング8の内周面に摺動案内されるようにし、下部側外周14bを上部側外周14aよりも小さくすることで、その下部側外周14bとノズルボディ18内周間に十分な燃料通路13を確保している。
この燃料通路13とその上流側通路12になる可動コア14内部とを、下部側外周14bのコア壁に複数設けた通孔(オリフィス)15を介して連通させている。
可動コア14の上部内面には段差14cが形成され、段差部14cには環状の板ばね(ダンパプレート)50が装着されている。
第5図に示すように板ばね50は、環状でその内側の符号51で示す部分が打ち抜き個所となっており、この打ち抜きにより内側に向けて弾性片52が複数突出形成され、これらの弾性片52は周方向に等間隔に配設されている。
この板ばね50の弾性片52によって、円筒形の可動質量体(重錘)9の一端が受け止められている。可動質量体9は例えば炭素鋼鍛鋼品である。
可動質量体9は、固定コア1の内周一端と可動コア14の内周一端にかけて位置している。固定コア1の中空孔11は燃料通路となるもので、この中空孔11に、下から順に可動質量体9,戻しばね7,ばね押え6が順に配置されるもので、中空孔11の上端にフィルタ30が装着されている。
ばね押え6は、固定コア1の外周一部10を加締めることで固定されている。
可動質量体9は、戻しばね7と可動子5(可動コア14)との間に可動子5と独立して軸方向に可動に介在している。この独立した可動を保証するために、質量体9と可動子5との間に板ばね50を介在させて、板ばね50の弾性片52で可動質量体9を受けるようにしたものである。
このように可動質量体9は、弁付き可動子5と独立しているために、弁閉動作時に可動子5の跳ね返り動作を抑えるダンパ作用をなす。このダンパ作用は、極めて有効な効果をなすが、その原理は次のように推察される。すなわち、可動子5が弁閉動作時に戻しばね7の力により弁座31に衝突すると、可動子5は跳ね返ろうとするが、その時の跳ね返りの運動エネルギーを可動質量体9の慣性と板ばね50の弾性変形により吸収して、はね返りを減衰させるものと考えられる。
固定コア1のうち、ヨーク4から突出した部分には、その周囲にコネクタモールド(樹脂モールド)27が形成されている。
次に本実施例の組立及びその主要部品の加工形態について説明する。
第3図に示すように、本実施例の燃料噴射弁を組み立てる場合には、コネクタモールドによる樹脂成形を除き、ノズルボディ18をベースにして部品を上から差し込んでいくものである。
この部品の組立の前工程として、次のような処理がなされる。
ヨーク4はプレス及び切削加工品である。ノズルボディ18は、冷間鍛造品であり、切削加工なしで、旋盤加工がなされる。スワラー21は焼結品であり、切削加工がなされる。オリフィスプレート19は旋盤加工で、硬度を高めるために焼き入れ処理され、弁座31及びオリフィス20は研磨され、端面ラップされる。
弁ロッド16は焼き入れされ、一方、可動コア14は焼鈍された後に、これらの部品14,16が圧入,溶接により一体結合され可動子5を構成する。
この可動子5は、外径研磨がなされ、可動コア14のうち上部外周面(可動ガイド面)14a及びその端面(可動ストッパ面)に硬質めっき処理がなされる。
固定コア1は冷間鍛造品であり、旋盤加工,焼鈍,及び可動子に対するストッパ面となる先端部に、硬質めっき処理がなされる。シールリング8は、旋盤加工後にめっき処理済の固定コア1の外周一端に圧入,溶接される。
スワラー21は心出し治具を用いてノズルボディ18に隙間嵌めされ、その後にオリフィスプレート19がノズルボディ18に圧入,溶接される。
上記の前処理された部品が、次のようにして組立られる。
ノズルボディ18に、板ばね50を装着させた可動子5を上から挿入し、次いで、シールリング8付きの固定コア1に取りけたシールリング8の一端フランジをノズルボディ18に圧入,溶接することで、固定コア1とノズルボディ18とを一体結合させる。この一体結合前に、結合(圧入)個所となるノズルボディ18の段差部測定がなされ、また、固定コア1側のシールリング8のフランジ部の段差測定もなされ、検査に通ったものが、上記の一体結合品となる。したがって、その同軸精度は保証されている。
その後、固定コア1には、上から電磁コイル2の組立体及びヨーク4が嵌装され、ヨーク4もノズルボディ18に圧入,溶接により結合される。その後、コネクタモールド27が形成される。
上記完成品は、電磁コイル2が通電(励磁)されると、既述した磁気回路を形成することによって可動子5が戻しばね7の力に抗して固定コア1の一端に当接するまで吸引され、開弁動作を行う。開弁時に、加圧燃料は、フィルター30,燃料通路11,12、オリフィス15,通路13,17を通りスワラー21を介して噴射孔20から旋回を伴って噴射される。
本実施例によれば、次のような効果が得られる。
(1)電磁コイル2の通電が遮断されると、戻しばね7に蓄積された荷重により可動子5は閉じ方向に移動して弁座31に当接する。このとき、既述した可動質量体9及び板ばね50のダンパ作用により、弁体16の跳ね返りが抑えられ、2次噴射を有効に防止できる。
(2)また、弁の開閉動作時には、可動コアの上部外周14aの全周が円周でシールリング18の内周に摺動案内されるので、燃料はこの摺動案内面にはほとんど逃げることなく、すべてオリフィス15を介して可動コア14内側の通路12と外側の通路13との間で燃料が流通するので、固定コア1下端面(ストッパ)と可動コア14端面との間には適度な液体ダンパ作用が働き、ストッパへの可動子5の衝撃緩和及び上記した閉弁時の可動子5の跳ね返り抑制に貢献することができる。
(3)可動子5の2点支持ガイドは、スワラー21内周とシールリング8の内周で行う。したがって、ノズルボディ自身は、従来のようなガイド機能を持たなくなったために、ノズルボディに高精度が研磨仕上げを要求されず、旋盤加工が容易なシールリングにより高精度なガイド機能を保証できる。そのため、ロングノズルインジェクタであっても、低コストで2点支持ガイドを実現することができる。
(4)ノズルボディ18の内周に手間を要する研磨作業(ガイド形成)を省略できる反面、それに代わって、どのようにして同軸精度を出すかが課題であったが、既述した組立工程を経て、シールリング18の圧入,溶接により固定コア1とノズルボディ18とを高い同軸精度を保持しつつ比較的簡便に出すことができ、組立作業の合理化、低コスト化を図ることができた。
(5)また、部品全体の組立も、第3図で示したように、ノズルボディ18をベースにして、その他の部品をコネクタモールドを除き、同一方向から組付けることが可能となり、作業の簡便化,自動化に貢献することができる。
(6)スワラー21は、隙間嵌めであるが、オリフィスプレート19により固定されるために、その移動を防止し、しかも、スワラー21の外周全体が環状の燃料通路となるので、通路抵抗を小さくし、また、スワラー21の下端部等に滞留しやすかった気泡を逃げやすくし、スムーズな燃料噴射を可能にする。
(7)スワラー21は、隙間嵌めであるが、取り付け時に心出し治具をセットするまでは、他の部材の物理的な拘束を受けないので、芯出しの自由度がある。また、オリフィスプレート19を溶接した場合でも、その熱から受ける熱膨張も、スワラー21の外周にある隙間で吸収されるので、スワラー21に熱変形が生じるのを防止できる。
(8)スワラー21の下端面には、燃料旋回形成用の溝24の上流位置に環状段差による環状流路23が存在し、これが燃料溜りとして機能することで、燃料噴射時の噴射応答性を高めることができる。
産業上の利用可能性
以上のように本発明によれば、燃料噴射弁の低コスト化,心出し精度(同軸度精度)及び組立の容易化、部品の簡略化、取付性の自由度、2次噴射防止等の課題に応えることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例に係わる燃料噴射弁の縦断面図、第2図はその実装状態を示す図、第3図は上記燃料噴射弁の組立工程を示す説明図、第4図の(a)は本実施例に用いる燃料旋回子の上面図、(b)は下面図、(c)はその縦断面図、第5図の(a)は上記実施例に用いるダンパプレート(板ばね)の平面図、(b)はその断面図である。
Claims (4)
- 中心から外径方向に向けて中空の固定コア、電磁コイル、ヨークが配置され、ヨークの下部に取付けたノズルボディに弁体を有する可動子を内装し、この可動子が戻しばねの力を受けて弁座側に付勢されている電磁式燃料噴射弁において、
前記ノズルボディの先端側に、噴射孔上流に位置する燃料旋回子が配置され、前記固定コアと前記ノズルボディは、固定コアのノズルボディ側の一端外周とノズルボディの一端内周とに圧入,溶接された非磁性の筒状シールリングを介して結合され、
前記燃料旋回子の内周と前記シールリングの内周が前記可動子のストローク動作を案内するガイドになっており、
前記シールリングは、一端にフランジを有して、フランジと反対側の筒部一端が前記固定コアの外周一端に圧入,溶接され、前記フランジが前記ノズルボディの上端に設けた環状段差部に圧入,溶接され、
かつ前記電磁コイル及びヨークは、前記固定コアの周りに該固定コアの上から通して装着される構造であり、且つ前記ヨークは前記電磁コイルに上から被さるようにして、ヨーク下端がノズルボディの上端に、いんろう係合方式で圧入,溶接され、このいんろう係合部であるヨーク下端・ノズルボディ上端の結合部が前記固定コア、可動子、ノズルボディおよびヨークにより形成される磁気回路の途中に位置し、
前記ヨーク下端のいんろう部は、前記ノズルボディに圧入される圧入面の内側及び外側にノズルボディ上端側に向いた段差面を有し、前記ノズルボディ上端のいんろう部は前記ヨーク下端のいんろう部の段差面に凹凸係合する段差面を有し、
前記ヨークの上部の一部に前記電磁コイルの端子取出し窓が形成され、前記ヨークの上端内面が前記電磁コイルを押し付けて該コイルを固定していることを特徴とする電磁式燃料噴射弁。 - 前記ヨークは、その上端の口径が絞られて、その上端内周が前記固定コアの外周に溶接,圧入,かしめのいずれかにより結合している請求項1記載の電磁式燃料噴射弁。
- 前記可動子は、中空円筒形の可動コアを有し、この可動コアの上部側外周がストローク動作時に前記シールリングの内周に摺動案内され、その下部側外周とノズルボディ内周間には燃料通路が確保され、この燃料通路と前記可動コア内部に形成された燃料通路を、可動コアに設けた通孔を介して連通させている請求項1記載の電磁式燃料噴射弁。
- 前記可動コアの下部側外周を上部側外周よりも径を小さくして下部側外周とノズルボディ内周間の燃料通路を広くし、この下部側外周のあるコア壁に前記通孔が配設してある請求項3記載の電磁式燃料噴射弁。
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