JP2004518902A - 燃料噴射弁 - Google Patents

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Abstract

内燃機関の燃料噴射装置のための燃料噴射弁(1)は、弁座面(6)とシール座を形成するように協働する弁ニードル(3)と、弁ニードル(3)に係合する可動子(20)とを備え、その際可動子(20)は弁ニードル(3)に沿って軸方向に可動であり、かつエラストマから成る緩衝エレメント(32)により緩衝される。緩衝エレメント(32)は、弁ニードル(3)と力接続で結合されているスリーブ(31)と接触している。緩衝エレメント(32)は、可動子(20)の下流側の端面(34)内に構成されている切り欠き部(35)内に配置されている。

Description

【0001】
背景技術
本発明は、独立請求項の上位概念に記載した燃料噴射弁から出発する。
【0002】
既にUS 4,766,405から公知の燃料噴射弁は、弁ニードルと結合されている弁閉鎖体を有しており、この弁閉鎖体は弁座体に構成されている弁座面とシール座を形成するように、協働する。燃料噴射弁を電磁的に操作するために、磁石コイルが設けられており、この磁石コイルは可動子と協働し、この可動子は弁ニードルと力接続で結合されている。可動子及び弁ニードルの回りに、付加的な質量が円筒形に設けられており、この質量はエラストマ層を介して可動子と結合されている。
【0003】
この場合の欠点は、特に、付加的な構造部分を備えた高価な構造形である。また大面のエラストマリングも磁界の延びのために不利であり、かつ磁力線の閉じ、ひいては高い引き付け力の達成を燃料噴射弁の開放の運動の際に困難にする。
【0004】
US 4,766,405から公知の燃料噴射弁の別の実施形では、緩衝及び脱衝撃のために、可動子及び弁ニードルの回りに別の円筒形の質量が設けられており、この質量は2つのエラストマリングによって、その位置を可動に締め込まれて、保持される。弁ニードルがシール座に衝突する際に、この第2の質量は可動子及び弁ニードルに対して相対的に動いて、かつ弁ニードルの衝撃を阻止することができる。
【0005】
この述べた実施形において欠点であることは、付加的な費用及びスペース所要量である。また可動子自体も脱連結されていない。そのパルスはこれにより弁ニードルにおいて衝撃の傾向を増大させる。
【0006】
US 5,299,776から、弁ニードル及び可動子を備えた燃料噴射弁が公知であり、この可動子は弁ニードルに沿って可動に案内されていて、弁ニードルの行程方向におけるその運動は、第1のストッパによって、かつ弁ニードルの行程方向とは逆の方向では第2のストッパによって、制限される。両方のストッパによって確定されている、可動子の軸方向の運動遊びは、ある限度内で、一面では弁ニードルの慣性質量の、かつ他面では可動子の慣性質量の、脱連結をもたらす。これによって燃料噴射弁の閉鎖の際の弁座面からの弁ニードルの戻り衝撃が、ある限度内で反対作用をせしめられる。しかしながら、可動子の軸方向の長さは、弁ニードルに関して、弁ニードルに対する可動子の自由な運動可能性によって完全に規定されていないので、衝撃は単に制限された程度にしか回避されない。特に、US 5,299,776から公知の、燃料噴射弁の構造形式では、可動子が燃料噴射弁の閉鎖運動の際に、弁閉鎖体に面したストッパに衝突して、そのパルスをこれによって衝撃的に弁ニードルに伝達することを回避することができない。この衝撃的なパルス伝達は、弁閉鎖体の付加的な衝撃を惹起することがある。
【0007】
発明の利点
独立請求項の特徴を備えた燃料噴射弁はこれに対し、次のような利点を有している。すなわち、緩衝エレメントが可動子の切り欠き部内に配置されていて、これによって一面では可動子が回動を阻止され、かつ他面では高価な付加的な構造部分並びに組み立て費を節減することができる。
【0008】
従属請求項に記載した手段によって、独立請求項に記載した燃料噴射弁の有利な展開が可能である。
【0009】
特に有利なのは、肩状の広部を有しているスリーブのコップ形の圧刻であって、これによって緩衝エレメントを必要な前緊縮にすることができる。
【0010】
更に、スリーブもまた緩衝エレメントも簡単にかつその場合極めて正確に製作可能であり、かつこれによって燃料噴射弁の誤差機能を回避し得ることは、有利である。
【0011】
有利には、スリーブ内に通流開口が存在しており、これらの通流開口は、シール座への、スリーブを通る燃料の妨げられない流動を可能にする。
【0012】
特に有利なのは、緩衝エレメントを長方形の横断面をもって、例えばホース区分として、製作することである。
【0013】
スリーブの肩状の広部にか、あるいはスリーブにおける緩衝エレメントの接触面に、深くされた範囲を構成することも、有利である。それは、範囲の数及び深さによって、緩衝特性に任意に影響を及ぼすことができるからである。
【0014】
実施例の説明
本発明の実施例は図面に簡略化して示されており、以下において詳細に説明する。
【0015】
図1に示した燃料噴射弁1は混合気圧縮、火花点火式の内燃機関の燃料噴射装置のための燃料噴射弁1の形で構成されている。燃料噴射弁1は特に燃料を内燃機関の図示していない燃焼室内に直接に噴射するのに適している。
燃料噴射弁1はノズル体2から成っており、この中に弁ニードル3が配置されている。弁ニードル3は弁閉鎖体4と作用結合していて、この弁閉鎖体は、弁座体5上に配置された弁座面6とシール座を形成するように協働する。燃料噴射弁1は実施例では内方に向かって開く燃料噴射弁1であり、これは噴射開口7を有している。ノズル体2はシール8によって、磁石コイル10の外極9に対してシールされている。磁石コイル10はコイルケーシング11内に密封されていて、かつコイル支持体12上に巻かれており、コイル支持体は磁石コイル10の内極13に接触している。内極13及び外極9は狭部26によって互いに分離されており、かつ互いに強磁性ではない結合構造部分29によって結合されている。磁石コイル10は導線19を介して、電気的なプラグ接点17を介して供給可能な電流を介して励磁される。プラグ接点17はプラスティック鋳くるみ部18により取り囲まれており、このプラスティック鋳くるみ部は内極13に鋳着しておくこおができる。
【0016】
弁ニードル3は弁ニードル案内14内で案内されており、この弁ニードル案内はディスク形に構成されている。行程調整のためには、対をなしている調整ディスク15が役立つ。調整ディスク15の他方の側には可動子20がある。可動子はフランジ21を介して力接続で弁ニードル3と結合されており、弁ニードルは溶接継ぎ目22によってフランジ21と結合されている。フランジ21上には戻しばね23が支えられており、この戻しばねは、燃料噴射弁1のこの構造形では、スリーブ24によって前緊縮されている。弁ニードル案内14内、可動子20内及び弁座体5には燃料通路30a〜30cが延びており、これらの燃料通路は、中央の燃料供給部16を介して供給されかつフィルタエレメント25によってろ過された燃料を噴射開口7に導く。燃料噴射弁1はシール28によって、図示していない燃料導管に対してシールされている。
【0017】
可動子20の下流側の側34には、切り欠き部35内でOリングとして構成された緩衝エレメント32が配置されており、これはエラストマ材料から成っている。緩衝エレメントは有利には深絞りされたスリーブ31の肩状の広部36上に接触しており、スリーブは溶接継ぎ目33を介して力接続で弁ニードル3と結合されている。
【0018】
可動子20と弁ニードル3とから成る構造部分を製作する場合、フランジ21が弁ニードル3と溶接され、可動子20及び緩衝エレメント32が差しはめられ、かつ次いでスリーブ31が加圧下で緩衝エレメント32上にプレスされ、かつやはり弁ニードル3と溶接される。この形式で、可動子20は単に強く緩衝された遊びだけを有し、単にわずかな、フランジ21と緩衝エレメント32との間の回動の傾向を有している。
【0019】
本発明による手段の詳細な説明は図2の説明から知ることができる。
【0020】
燃料噴射弁1が休止状態にある場合、可動子20は戻しばね23により、その行程方向とは逆向きに負荷され、弁閉鎖体4が弁座6にシール接触する。磁石コイル10が励磁されると、磁石コイル10が構成する磁界が、可動子20を戻しばねのばね力に抗して行程方向に動かし、その際行程は、休止位置において内極13と可動子20との間にある作業ギャップ27によって前規定されている。可動子20は、弁ニードル3と溶接されているフランジ21を、やはり行程方向に連行する。弁ニードル3と結合している弁閉鎖体4は弁座面6から離れ、かつ燃料は噴射開口7を通って噴射される。
【0021】
コイル電流が遮断されると、可動子20は、磁界が充分に取り除かれた後に、戻しばね23の圧力によって内極13から離れ、これによって弁ニードル3と結合しているフランジ21が行程方向とは逆の方向に動く。弁ニードル3はこれによって同じ方向に動かされ、これによって弁閉鎖体4は弁座面6上に座着し、かつ燃料噴射弁1が閉じられる。
【0022】
図2は図1の範囲IIの拡大された図を、部分的な断面図で示す。
【0023】
図示されているのは、弁ニードル3の部分、これと溶接されているフランジ21,スリーブ31並びに可動子20の切り欠き部35内に挿入された本発明により構成された緩衝エレメント32である。
【0024】
可動子20と弁ニードル3とから成る構造部分を組み立てる場合、まず、フランジ21が弁ニードル3と、溶接継ぎ目22を介して溶接される。緩衝エレメント32は、可動子20の下流側の端面34に構成された切り欠き部35内に挿入される。次いで、挿入されている緩衝エレメント32を備えた可動子20が弁ニードル3上に差しはめられる。次いで有利には深絞りによって製作され、燃料を導くために有利には打ち抜かれた通流開口37を有しているスリーブ31が、弁ニードル3上に差しはめられ、肩状の広部36を緩衝エレメント32上に圧着される。このように前緊縮されて、スリーブ31がやはり弁ニードルと溶接継ぎ目33を介して結合される。
【0025】
燃料噴射弁1の運転の際に、緩衝エレメント32は開く際にほとんど遅れなしの開放運動を行わせる。それは、可動子20は磁石コイル10の磁界内に引き込まれる際にスリーブ31を、前緊縮されている緩衝エレメント32を介して、瞬間的に連行するからである。
【0026】
燃料噴射弁1を閉鎖する場合に、可動子20は、磁界が充分に取り除かれた後に、内極13から離れ、これによって弁ニードル3と力接続で結合しているスリーブ31がやはり瞬間的に、予負荷されている緩衝エレメント32を介して、閉鎖方向に動かされる。
【0027】
緩衝エレメント32の前緊縮によって、燃料噴射弁1が閉鎖された後に、可動子20の、スリーブ31によって形成されている可動子ストッパ面における衝撃が、燃料噴射弁1を改めて不所望に開くことなしに、吸収されることが保証される。この目的のために、スリーブ31の軸方向の位置は、可動子20とスリーブ31との間にギャップ38が存在していて、このギャップが可動子のわずかな弾入を可能にするように、選ばれている。
【0028】
既に簡単に触れたように、緩衝エレメント32は例えばOリングとして構成されている。このような緩衝エレメント32は、例えば緩衝ダイヤフラムよりもより簡単に取り扱いかつ取り付けることができ、かつ製作の際の利点を有している。ダイヤフラムはしばしば亀裂、ばりあるいは汚い切断縁を有しており、更に燃料噴射弁1の運転の間にしばしば側方にずれ動き、かつその結果誤差機能を生ぜしめる傾向がある。Oリング形の緩衝エレメント32はこれに対し、室内に囲われていて、これによって横ずれの際に変形することがない。
【0029】
緩衝エレメント32の、可動子20の下流側の端面34内の切り欠き部35内での取り付けは、更に、前緊張によって、可動子20の回動及びこれに基づく行程変化を阻止することができる。燃料噴射弁1の持久運転特性はこれによって正の影響を受ける。
【0030】
図3は本発明による燃料噴射弁1の第2の実施例の部分的な概略的断面図を示す。互いに合致する構造部分には同じ符号が付けられている。
【0031】
この実施例では、緩衝エレメント32は成形リングとして構成されており、成形リングは可動子20の下流側の端面34内の切り欠き部35の幾何形状に適合せしめられている。これによって、スリーブ31の肩状の広部がより良く緩衝エレメント32に接触することができ、これによって形状接続が改善され、かつ燃料噴射弁1の緩衝特性に意図的に影響を及ぼすことができる。
【0032】
代替的に緩衝エレメント32は長方形の横断面を備えた成形部分として、例えばホース区分の形で、製作することができる。この形状は特に簡単でかつ安価に実現可能である。
【0033】
図4は、図2又は図3に示した、本発明により構成された燃料噴射弁1のスリーブ31の流動方向での概略的な平面図を示す。
【0034】
スリーブ31の肩状の広部36はこの場合、ハッチングした範囲39で示すように、何回も深さを変えられている。この手段も例えば深さ及び深くされている区分の数によって、緩衝特性に意図的に影響を及ぼすことができる。
【0035】
代替的に、スリーブ31の肩状の広部36の代わりに、緩衝エレメント32の接触面が深くされている範囲を有することもでき、かつスリーブの平らな接触面上に位置することができる。
【0036】
本発明は図示の実施例に限定されるものではなく、かつ例えば外方に開く燃料噴射弁1のためにも、あるいは他の可動子形、例えば扁平可動子のためにも、適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明による燃料噴射弁の第1の実施例の概略的な断面図を示す。
【図2】
本発明による燃料噴射弁の、図1に示した第1の実施例の、図1の範囲IIにおける概略的な部分図を示す。
【図3】
本発明による燃料噴射弁の第2の実施例の、図2におけると同じ範囲における概略的な部分図を示す。
【図4】
本発明による燃料噴射弁の、図3に示した第2の実施例の、流動方向でスリーブ上の概略的な平面図を示す。
【符号の説明】
1 燃料噴射弁、 2 ノズル体、 3 弁ニードル、 4 弁閉鎖体、 5 弁座体、 6 弁座面、 7 噴射開口、 8 シール、 9 外極、 10 磁石コイル、 11 コイルケーシング、 12 コイル支持体、 13 内極、 14 弁ニードル案内、 15 調整ディスク、 16 燃料供給部、 17 プラグ接点、 18 プラスティック鋳くるみ部、 19 導線、 20 可動子、 21 フランジ、 22 溶接継ぎ目、 23 戻しばね、 24 スリーブ、 25 フィルタエレメント、 26 狭部、 27 作業ギャップ、 28 シール、 29 結合構造部分、 30a 燃料通路、 30b 燃料通路、 30c 燃料通路、 31 スリーブ、 32 緩衝エレメント、 33 溶接継ぎ目、 34 側、 35 切り欠き部、 36 広部、 37 通流開口、 38 ギャップ、 39 ハッチングされた範囲、 40 接触面

Claims (10)

  1. 内燃機関の燃料噴射装置のための燃料噴射弁(1)であって、弁座面(6)とシール座を形成するように協働する弁ニードル(3)と、該弁ニードル(3)に係合している可動子(20)とを備えており、該可動子(20)は弁ニードル(3)に沿って軸方向に可動であり、かつエラストマから成る緩衝エレメント(32)により緩衝され、その際緩衝エレメント(32)は、弁ニードル(3)と摩擦接続式で結合されたスリーブ(31)上に載置されている形式のものにおいて、
    緩衝エレメント(32)が、可動子(20)の下流側の端面(34)に構成された切欠き部(35)に配置されていることを特徴とする、燃料噴射弁。
  2. スリーブ(31)が肩状の広部(36)をもって緩衝エレメント(32)に支えられていることを特徴とする、請求項1記載の燃料噴射弁。
  3. 緩衝エレメント(32)がスリーブ(31)によって予負荷されていることを特徴とする、請求項2記載の燃料噴射弁。
  4. 緩衝エレメント(32)がOリングとして構成されていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の燃料噴射弁。
  5. 緩衝エレメント(32)が長方形の横断面を有していることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の燃料噴射弁。
  6. 緩衝エレメント(32)が可動子(20)の切り欠き部(35)の形状に適合された形状を有していることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の燃料噴射弁。
  7. スリーブ(31)が深絞りによって製作されていることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の燃料噴射弁。
  8. スリーブ(31)が燃料のための通流開口(37)を有していることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の燃料噴射弁。
  9. 可動子(20)とスリーブ(31)との間にギャップ(38)が構成されていることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の燃料噴射弁。
  10. 緩衝エレメント(32)及び又はスリーブ(31)が、複数の深くされた範囲(39)を、スリーブ(31)の肩状の広部(36)に面した接触面(40)及び/又はスリーブ(31)の肩状の広部(36)に有していることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の燃料噴射弁。
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