JP3815555B2 - エッチング残渣除去方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エッチング残渣除去方法に関し、さらに詳しくは、半導体基板上に形成されたPMMAを所定のパターンにエッチングしたときにエッチングされたPMMAの側壁に付着した残渣を除去するためのエッチング残渣除去方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ハードディスクドライブ(HDD)においては、面記録密度の向上に伴ってヘッドの位置決め精度を高めるため、キャリッジアーム全体を大きく動かすためのメインアクチュエータと、微少な位置ずれを修正するためのマイクロアクチュエータと呼ばれるサブアクチュエータとを組み合わせることが提案されている。
【0003】
マイクロアクチュエータは、MEMS(Micro Electro Mechanical System:マイクロマシーン)技術を応用して製造することができる。マイクロアクチュエータを製造する際には、ニッケル製の櫛形電極を形成する工程が用いられる。この櫛形電極形成工程では、図11に示すように、シリコン基板1上に形成されたニッケルめっき用シード層2の上に、PMMA(ポリメチルメタアクリレート)3を塗布した後、PMMAを櫛形にドライエッチングする。ドライエッチング後、図12に示すようにPMMA3をマスクとしてニッケル4をめっきし、最後に、図13に示すようにPMMA3を削除する。これにより、ニッケル製櫛形電極を形成することができる。
【0004】
HDD用マイクロアクチュエータは、ニッケル製櫛形電極の静電容量を十分に確保するため、PMMA3を厚くし、高アスペクトレシオでエッチングする必要がある。たとえば、PMMA3の厚さを43ミクロン、エッチング幅を3ミクロンとした場合、アスペクトレシオは14以上(=43/3)にもなりうる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このようにPMMA3を高アスペクトレシオでエッチングするためには、PMMA3を図上縦方向にのみエッチングし、横方向にはエッチングしない、いわゆる異方性エッチングを行う必要がある。横方向にエッチングしないようにするためには、O2にCO2を添加したガスを流入することによって、PMMA3の側壁にPMMAのポリマを意図的に形成している。したがって、図11及び図14に示すように、必然的にPMMA3の側壁にポリマが付着して残ってしまう。この側壁に付着したポリマ残渣5はPMMA3とほとんど同じ成分を有しているため、これをPMMA3から選択的に除去することは非常に困難であった。
【0006】
ポリマ残渣5を除去する薬液を選定するにあたっては、エッチングされたPMMA3の底部にはシード層2が露出しているため、このシード層2を腐食しない薬液を選定しなければならない。しかし、従来はこのような適切な薬剤は存在しなかった。その結果、従来はポリマ残渣5を除去する工程がなく、以下のような問題が発生していた。
【0007】
(1)図13及び図15に示すようにポリマ残渣5がニッケル4の側壁に転写される。
【0008】
(2)PMMA3の側壁にポリマ残渣5が付着していると、ニッケルめっき時にニッケルの異常成長が発生する。
【0009】
(3)エッチングされたPMMA3の底部ではポリマ残渣5が繊維状になっているため、ニッケルめっき後にはポリマとニッケルが混ざり合った複合物を形成し、その除去はもはや不可能になる。
【0010】
(4)マイクロアクチュエータを動作させたとき、ニッケル4の側壁からポリマ残渣5が部分的に剥がれ落ち、ゴミになる。
【0011】
なお、特開2001−85384号公報には、シリコン基板上に形成された金属配線に付着するエッチング生成物及び金属残渣物を除去する方法が開示されている。この方法は、まず第1の剥離液でエッチング生成物を除去し、次に第2の剥離液で金属残渣物を除去している。しかし、2つの段階における除去対象は異なっており、第2の段階における除去対象は金属配線に付着した金属残渣物である。
【0012】
本発明の目的は、PMMAの側壁に付着した残渣を除去することの可能なエッチング残渣除去方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明によるエッチング残渣除去方法は、半導体基板上に形成されためっき用シード層上に形成されたPMMAを所定のパターンにエッチングしたときにエッチングされたPMMAの側壁に付着したPMMAのポリマ残渣を除去するためのエッチング残渣除去方法であって、フッ化アンモニウムを含有するPMMA可溶性溶剤の水溶液である第1の溶液にPMMAを暴露する工程と、その次に、PMMA可溶性溶剤の原液又はその水溶液である第2の溶液にPMMAを暴露する工程とを備えたことを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、最初に、PMMAをフッ化アンモニウムを含むPMMA可溶性溶剤の水溶液に暴露しているため、残渣をPMMAの側壁から浮き上がらせることができる。また、その次に、PMMAをPMMA可溶性溶剤の原液に暴露しているため、その浮き上がったポリマ残渣をPMMAの側壁から分離させることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明を援用する。
【0016】
まず図1に示すように、シリコン基板1上に、後のニッケル電気めっき工程のために薄いシード層2を形成する。シード層2は、銅(上層)とクロム(下層)の2層構造を有する。続いて図2に示すように、シード層2上に、厚さ43ミクロンのPMMA3をスピナにより塗布する。
【0017】
続いて図3に示すように、PMMA3を櫛形にドライエッチングする。このとき、O2にCO2を添加したガスを流入することによってPMMA3の側壁にポリマを形成させながら異方性エッチングを行うため、エッチングされたPMMA3の側壁にはポリマ残渣5が付着する。
【0018】
続いて、PMMA3を第1の溶液に浸漬する。すると、図4に示すように、ポリマ残渣5はPMMA3の側壁から浮き上がる。ここでは、ポリマ残渣5は浮き上がるだけで、PMMA3の側壁から分離できない。
【0019】
第1の溶液としては、フッ化アンモニウムを微量に含むPMMA可溶性溶剤の希釈水溶液を用いる。PMMA可溶性溶剤としては、好ましくはN−メチルピロリドン(以下「NMP」と略す)を用いるが、これに代えてエチルセロソルブ系有機溶剤又はメチルセロソルブ系有機溶剤を用いてもよい。また、フッ化アンモニウムの濃度は、好ましくは1〜10%、さらに好ましくは約5%である。また、NMPとフッ化アンモニウム水溶液との混合比は、好ましくは2:1〜5:1、さらに好ましくは約3:1である。
【0020】
続いて、PMMA3を第2の溶液に浸漬する。すると、図5に示すように、浮き上がったポリマ残渣5はPMMA3の側壁から分離され、剥がれ取れる。第2の溶液としては、好ましくはPMMA可溶性溶剤の原液を用いるが、これに代えてPMMA可溶性溶剤の水溶液を用いてもよい。PMMA可溶性溶剤としては、好ましくはNMPを用いるが、これに代えてエチルセロソルブ系有機溶剤又はメチルセロソルブ系有機溶剤を用いてもよい。この工程で、PMMA可溶性溶剤は浮き上がったポリマ残渣5の裏側に露出したPMMA3の側壁を微量に溶解させ、これによりポリマ残渣5がPMMA3の側壁から分離されると考えられる。
【0021】
続いて図6に示すように、PMMA3を水でリンスし、分離されたポリマ残渣5を流し落とす。続いて図7に示すように、PMMA3をモールドとしてニッケル4を電気めっきする。最後に図8に示すように、PMMA3を除去する。これによりニッケル4からなる櫛形電極が形成される。
【0022】
以上のように本発明の実施の形態によれば、最初に、フッ化アンモニウムを微量に含むPMMA可溶性溶剤の希釈水溶液にPMMA3を浸漬しているため、ポリマ残渣5をPMMA3の側壁から浮き上がらせることができる。しかも、この溶液はフッ化アンモニウムを微量にしか含まないので、シード層2を腐食することもない。また、その次に、PMMA可溶性溶剤の原液にPMMA3を浸漬しているため、その浮き上がったポリマ残渣5をPMMA3の側壁から完全に分離することができる。
【0023】
【実施例】
本発明者は、本発明の効果を確認するため、以下の実験を行った。
【0024】
第1の溶液としては、NMPと5%フッ化アンモニウム水溶液とを3:1で混合した混合液を用いた。第2の溶液としては、NMPの原液を用いた。そして、エッチングしたPMMAを上記混合液に45℃で5分間浸漬し、次にNMPの原液に室温で30秒間浸漬した。そして、室温で5分間水洗した後、ニッケルをめっきし、PMMAを除去した。
【0025】
上記実験の結果、ポリマ残渣がPMMAの側壁から除去された状態のSEM(走査型電子顕微鏡)写真を図9に示す。さらに、めっき後、PMMAを除去した状態のSEM写真を図10に示す。図15に示した従来のものと比較すれば明らかなように、非常に清浄なニッケル製櫛形電極を得ることができた。
【0026】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】マイクロアクチュエータを製造するにあたって、シリコン基板上にシード層を形成する工程を示す断面図である。
【図2】図1に続き、シード層上にPMMAを塗布する工程を示す断面図である。
【図3】図2に続き、PMMAをドライエッチングする工程を示す断面図である。
【図4】図3に続き、本発明の実施の形態によるエッチング残渣除去方法によりポリマ残渣をPMMAの側壁から浮き上がらせる工程を示す断面図である。
【図5】図4に続き、本発明の実施の形態によるエッチング残渣除去方法により浮き上がったポリマ残渣を分離させる工程を示す断面図である。
【図6】図5に続き、PMMAをリンスしてポリマ残渣を流し落とす工程を示す断面図である。
【図7】図6に続き、PMMAをモールドとしてニッケルを電気めっきする工程を示す断面図である。
【図8】図7に続き、PMMAを除去する工程を示す断面図である。
【図9】本発明の実施例により、ポリマ残渣がPMMAの側壁から除去された状態を撮ったSEM写真である。
【図10】本発明の実施例により、PMMAを除去した状態を撮ったSEM写真である。
【図11】マイクロアクチュエータを製造するにあたって、PMMAをドライエッチングした後、ポリマ残渣がPMMAの側壁に付着した状態を示す断面図である。
【図12】図11に続き、ポリマ残渣を除去することなく、PMMAをモールドとしてニッケルをめっきした状態を示す断面図である。
【図13】図12に続き、PMMAを除去した状態を示す断面図である。
【図14】図11のSEM写真である。
【図15】図13のSEM写真である。
【符号の説明】
1 シリコン基板
2 シード層
3 PMMA(ポリメチルメタアクリレート)
4 ニッケル
5 ポリマ残渣
Claims (6)
- 半導体基板上に形成されためっき用シード層上に形成されたPMMAを所定のパターンにエッチングしたときに前記エッチングされたPMMAの側壁に付着したPMMAのポリマ残渣を除去するためのエッチング残渣除去方法であって、
フッ化アンモニウムを含有するPMMA可溶性溶剤の水溶液である第1の溶液に前記PMMAを暴露する工程と、
その次に、PMMA可溶性溶剤の原液又はその水溶液である第2の溶液に前記PMMAを暴露する工程とを備えたことを特徴とするエッチング残渣除去方法。 - 請求項1に記載のエッチング残渣除去方法であって、
前記第1の溶液はフッ化アンモニウム水溶液とPMMA可溶性溶剤との混合液であることを特徴とするエッチング残渣除去方法。 - 請求項2に記載のエッチング残渣除去方法であって、
前記フッ化アンモニウム水溶液の濃度は1〜10%であることを特徴とするエッチング残渣除去方法。 - 請求項3に記載のエッチング残渣除去方法であって、
前記フッ化アンモニウム水溶液の濃度は5%であることを特徴とするエッチング残渣除去方法。 - 請求項2に記載のエッチング残渣除去方法であって、
前記第1の溶液のPMMA可溶性溶剤はN−メチルピロリドンであることを特徴とするエッチング残渣除去方法。 - 請求項1に記載のエッチング残渣除去方法であって、
前記第2の溶液のPMMA可溶性溶剤はN−メチルピロリドンであることを特徴とするエッチング残渣除去方法。
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---|---|---|---|
JP2002165221A JP3815555B2 (ja) | 2002-06-06 | 2002-06-06 | エッチング残渣除去方法 |
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US10727044B2 (en) | 2017-09-21 | 2020-07-28 | Honeywell International Inc. | Fill material to mitigate pattern collapse |
US10748757B2 (en) | 2017-09-21 | 2020-08-18 | Honeywell International, Inc. | Thermally removable fill materials for anti-stiction applications |
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- 2002-06-06 JP JP2002165221A patent/JP3815555B2/ja not_active Expired - Fee Related
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