JP3288492B2 - 金型の洗浄方法 - Google Patents

金型の洗浄方法

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  • Cleaning And De-Greasing Of Metallic Materials By Chemical Methods (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金型の洗浄方法に関
し、より詳しくは、光ディスク製造用スタンパのような
精密金型の表面に付着したゴミ,異物等を除去するのに
利用される洗浄方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の金型の洗浄方法として
は、例えば特開平4−205737号公報に開示された
方法が知られている。この方法は、超音波洗浄槽内の精
製水中で金型を洗浄した後、最終洗浄工程をスチーム洗
浄により行うものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述の従来
技術のように超音波洗浄により金型を洗浄する方法で
は、超音波により発生する気泡(キャビテーション)が
金型表面の微細な凹部に比べて大きいため、微細な凹部
の隅々まで十分に行き渡ることがなく、凹部の奥に入り
込んだ付着物を除去することができないという問題点が
あった。また、超音波の高エネルギーにより金型表面付
近に浮遊する微粒子が激しく振動するので、これらが金
型表面を叩いて傷つけてしまうことがあるという問題点
もあった。
【0004】本発明は上記問題点に鑑みてなされたもの
で、金型表面を傷つけることなく、金型表面の微細な凹
部に入り込んだゴミ,塵,埃などの付着物を完全に除去
することができる金型の洗浄方法を提供することを目的
としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の金型の洗浄方法では、洗浄すべき金型の表面
に該金型の材質と異なる材質の金属層を形成する第1の
工程と、前記金属層を溶解除去する第2の工程と、を有
することを特徴としている。なお、前記第2の工程で金
属層を除去するには、酸やアルカリ、又は電解により溶
解して除去するとよい。
【0006】
【作用】上記構成からなる本発明の金型の洗浄方法で
は、第1の工程で形成した金属層は、金型の微細な凹凸
内部に、さらにはゴミ・塵等の付着物と金型表面との間
にまで浸透するように形成される。そして、第2の工程
で金属層を除去すると、金属の溶解にともなって気体
(例えば水素ガス)が発生し、この気泡の圧力が金型表
面の付着物を除去するように働く。従って、金属層が除
去されるのと同時に併行して付着物の除去が行われる。
【0007】
【実施例1】以下、添付図面を参照して本発明に係る金
型の洗浄方法の実施例を説明する。本発明の金型の洗浄
方法は、金型製造工程の一部をなす工程であり、全工程
を示せば図1の通りである。以下、金型の洗浄方法につ
いてのみ説明することとする。
【0008】まず、本発明の実施例1を説明する。図2
は洗浄前の金型を示す図であり、図3は金型の洗浄方法
の第1の工程を説明する図であり、図4は同じく第2の
工程を説明する図である。
【0009】金型1は、ニッケル電鋳により形成された
ものであって、図2に示す如く、表面の凹凸部分にはゴ
ミ等の付着物2が付着している。金型1は、本発明によ
る洗浄に先だち前洗浄として、アルカリ脱脂洗浄され、
純水でリンスされている。
【0010】第1の工程では、図3に示す如く、亜鉛メ
ッキ層からなる金属層3を形成する。具体的には、Zn
Oを20g/l,NaOHを150g/l,および光沢
剤を適量加えた亜鉛メッキ浴(ジンケート浴)中で、金
型1表面に厚さ0.05mmの亜鉛の金属層3を形成し
た。
【0011】第2の工程では、図4に示す如く、酸性の
溶液4に金型1を浸漬して金属層3を除去する。この溶
液4としては、HCl含有量36%の濃塩酸を3倍の体
積に水で薄めた希塩酸溶液を用いた。
【0012】このように、金型1を希塩酸に浸すと、金
属層3の金属亜鉛が亜鉛イオンとなって溶解し、これと
同時に、希塩酸中の水素イオンが水素ガスの気泡5とな
って発生する。気泡5の発生は、溶液4中のイオンが金
属層3の表面で放電する化学反応で、原子レベルの作用
であるから、いかなる微細な凹部においても起こる現象
である。こうして微細な凹部の奥で気泡5が発生する
と、その圧力により金型1表面の付着物2は除去され
る。
【0013】なお、金型1の材質であるニッケルは希塩
酸には極めてゆっくりしか溶解しない。従って、金属層
3の溶解が完了すると水素ガスの発生は見られなくなる
ので、これにより金属層3の溶解完了と判断し、金型1
を取り出して、純水でリンスした後、エアーで純水を吹
き飛ばして洗浄を完了する。
【0014】
【実施例2】次に、本発明の実施例2を説明する。図面
は実施例1と共通であり、図面の説明において実施例1
と同一の要素には同一符号を付し重複する説明を省略す
る。この実施例の金型1は、SiC材にイオンミリング
加工を施して形成したもので、有機溶剤の超音波洗浄で
前洗浄を行った後、乾燥させてある。この実施例では、
第1の工程で真空蒸着によりアルミニウムの金属層3を
金型表面に形成し、第2の工程でアルカリ性のNaOH
水溶液4に金型1を浸漬してアルミニウム金属層3を除
去する。これにより金属アルミニウムがNaOH水溶液
中のOH- イオンの酸素と反応し、アルミン酸イオンと
なって溶解し、これと同時に、OH- イオンの水素がア
ルミニウム層の表面で水素ガスの気泡となって発生す
る。
【0015】ここで、金型1の材質のSiCはNaOH
水溶液4に不溶であるから、金属層3のアルミニウムの
みを溶解して除去することができる。アルミニウムが完
全に溶解したら、純水でリンスした後、アルコールに浸
漬し、さらにアセトンに浸漬し、乾燥して洗浄を完了す
る。
【0016】なお本実施例においては、金属層3の材質
としてアルミニウムの代わりにZn,Sn,Pb等の両
性金属を用いても同様の効果が得られる。また、金型1
の材質としてセラミック等の不導体又はステンレス等の
合金でも同様の効果が得られる。
【0017】
【実施例3】次に、本発明の実施例3を説明する。この
実施例の金型1は、実施例1と同様のニッケル電鋳によ
り形成したもので、有機溶剤の超音波洗浄で前洗浄を行
った後、アルカリ脱脂洗浄され、純水でリンスされてい
る。この実施例では、第1の工程でクロムメッキにより
クロムの金属層3を金型表面に形成する。具体的には、
無水クロム酸が250g/l,硫酸が2.0g/l含ま
れるクロムメッキ浴で、金型1表面に厚さ0.05mmの
クロムメッキの金属層3を形成した。また、第2の工程
ではNaOH水溶液4中で電解によりクロムの金属層3
を除去する。具体的には、図5に示すように、金型1を
陽極として陰極との間に4Vの電圧を印加して電解を行
う。このように電解を行うと、金属クロムが電子を放出
しクロムイオンとなって溶解し、これと同時に、NaO
H水溶液中のOH- イオンがクロム金属層3の表面で放
電し酸素ガスの気泡5が発生する。
【0018】ここで、金属層3が全て除去されると電解
電流値が変化するので、これにより電解を終了し、金型
1を取り出して、純水でリンスした後、エアーで純水を
吹き飛ばして洗浄を完了する。
【0019】なお本実施例においては、クロム層をメッ
キによらず、真空蒸着等のドライプロセスにより形成し
ても同様の効果が得られる。また、電解の終了はクロム
層の厚さと電解速度とから求めた電解時間で判断しても
よい。
【0020】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の金型の洗
浄方法によれば、金型表面を傷つけることなく、金型表
面の微細な凹部に入り込んだゴミ,塵,埃などの付着物
を完全に除去することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による金型の洗浄方法を含む金型の製造
工程全体を示す工程図である。
【図2】洗浄前の金型を説明するための図である。
【図3】本発明による金型の洗浄方法の第1の工程を説
明するための図である。
【図4】本発明による金型の洗浄方法の第2の工程を説
明するための図である。
【図5】本発明による金型の洗浄方法の第2の工程の別
の例を説明するための図である。
【符号の説明】
1 金型 2 付着物 3 金属層 4 溶液 5 気泡 6 電極

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 洗浄すべき金型の表面に該金型の材質と
    異なる材質の金属層を形成する第1の工程と、 前記金属層を溶解除去する第2の工程と、 を有することを特徴とする金型の洗浄方法。
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