JP3815207B2 - リーマ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一軸線の回りに回転可能な工具本体の軸線方向の先端部の周面に、ダイヤモンド、立方晶窒化硼素等の焼結体からなるチップ状の刃体を着脱可能に固定したリーマを対象として、特に、刃体の外周位置を容易、且つ正確に設定できるようにしたリーマに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、このような焼結体からなるチップ状の刃体を備えたリーマは耐摩耗性に優れていることから多用化されつつあり、そして、前記焼結体からなる前記チップ状の刃体は、その材料が高価であるため、前記刃体の先端刃部が摩耗したり、いわゆる刃こぼれと称する稜線欠けが発生したりすると、刃体を取り付けた刃体取付部材もろとも、他の刃体と交換して使用していた。また、刃体のバラツキのため、刃体の位置を工具本体の径方向にずらして刃体の外径を調整する必要があり、そのために、その刃体の位置を微調整する位置調節手段を備えたものとして、特開平7−156509号公報や、特開平10−244419号公報等が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記のように、刃体そのもの、もしくは刃体を取り付けた刃体取付部材もろとも、工具本体に対して着脱可能に固定したリーマにおいては、前記刃体もしくは刃体取付部材の形状、構造や、それらの前記工具本体に対する取付位置等が、予め精密に設計、設定されている。しかしながら、それら部品の製造や、その組み立等において、部品の製造誤差や、その組立誤差等が生じたり、長期に亘って何回か着脱や、交換等を行うことによって、前記刃体もしくは刃体取付部材や、前記工具本体の取付部、さらにはねじ等の固定手段等が摩耗したり変形する等して、前記刃体の外径に狂いが生じる問題点が指摘される。
【0004】
また、前記のように、刃体の位置を微調整する位置調節手段を備えたものは、前記刃体の取付位置を最終的に正確に設定できる反面、その位置調節手段の構成が複雑であり、部品点数が多く、その組立に手間がかかり、しかも、製作費用が嵩んで高価になる等の不具合が指摘される。
【0005】
然るに、本発明は、前記従来の問題点を解消するためになされたものであり、工具本体に対し刃体の外周位置を容易、かつ正確に、しかも、安価に設定することができるリーマを提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明のリーマは、一軸線の回りに回転可能な工具本体の軸線方向の先端部の周面に、ダイヤモンド、立方晶窒化硼素等の焼結体からなるチップ状の刃体を着脱可能に固定し、前記固定した刃体の外周面を前記工具本体の軸線を中心とする円弧に沿って研磨することにより、前記刃体の外周面が前記軸線から所定の距離となるように設定したことを特徴とする。
【0007】
このように構成されたリーマによれば、前記刃体が工具本体に対して固定されてから、その刃体の外周面を前記工具本体の軸線を中心とする円弧に沿って研磨することにより、前記刃体の外周面が前記軸線から所定の距離となるように設定される。従って、前記刃体を前記工具本体に固定するとき、その取付位置を正確に設定することは不要であり、しかも、長期の使用によって取付位置に狂いが生じても、その取付後に、刃体の外周面が前記工具本体の軸線を中心とする円弧に沿って研磨されるので、その刃体の外周面が前記軸線から所定の距離となるように確実、且つ正確に設定される。
【0008】
また、本発明のリーマは、更に、前記刃体を、工具本体の軸線方向の先端部の周面にその周方向に間隔を置いて複数個着脱可能に固定したことを特徴とする。従って、この構成によれば、前記各刃体の外周面の位置が個々に異なるように固定されたとしても、その取付後に、各刃体の外周面が前記工具本体の軸線を中心とする円弧に沿って研磨されるので、その各刃体の外周面が前記軸線から所定の距離に揃うように確実、且つ正確に設定される。
【0009】
また、本発明のリーマは、更に、前記刃体を刃体支持台に固定し、その刃体支持台を前記工具本体の軸線方向の先端部の周面に着脱可能に固定したことを特徴とする。従って、この構成によれば、刃体を直接工具本体に固定するよりも、固定する際の取り扱いが容易、且つ安全であり、しかも、前記刃体支持台と工具本体との間の取付誤差等に起因して前記刃体の外周面の位置が狂っても、その取付後に、刃体の外周面が前記工具本体の軸線を中心とする円弧に沿って研磨されるので、その刃体の外周面が前記軸線から所定の距離となるように確実、且つ正確に設定され、複数の刃体を備える場合も同様である。
【0010】
また、本発明のリーマは、更に、前記工具本体の軸線方向の先端部の周面に、前記軸線と略平行な方向に切欠され、且つ前記刃体支持台を嵌合支持する支持溝を設け、その支持溝に嵌合支持された前記刃体支持台を固定手段によって前記工具本体に固定したことを特徴とする。従って、この構成によれば、前記刃体支持台は、前記軸線と略平行な方向の支持溝に嵌合された状態で固定されるので、切削仕上げ加工に伴う応力に充分抗して安定的に固定され、また、前記刃体支持台と工具本体との間の取付誤差等に起因して前記刃体の外周面の位置が狂っても、その取付後に、刃体の外周面が前記工具本体の軸線を中心とする円弧に沿って研磨されるので、その刃体の外周面が前記軸線から所定の距離となるように確実、且つ正確に設定され、複数の刃体を備える場合も同様である。
【0011】
また、本発明のリーマは、更に、前記固定手段は、前記刃体支持台を前記工具本体の回転方向前方側から押圧して前記支持溝の内面に押し付ける押さえねじと、その押さえねじの押圧方向と交差する方向から前記刃体支持台に嵌合して前記工具本体に螺合される固定ねじとによって構成したことを特徴とする。従って、この構成によれば、前記支持溝に嵌合された刃体支持台は、前記工具本体の回転方向前方側から前記押さえねじで押えられ、且つ工具本体の内側に向かって前記固定ねじにより固定されるので、切削仕上げ加工に伴う応力に充分抗してより一層安定的に強固に固定され、また、前記刃体支持台と工具本体との間の取付誤差等に起因して前記刃体の外周面の位置が狂っても、その取付後に、刃体の外周面が前記工具本体の軸線を中心とする円弧に沿って研磨されるので、その刃体の外周面が前記軸線から所定の距離となるように確実、且つ正確に設定され、複数の刃体を備える場合も同様である。
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
また、本発明のリーマは、更に前記複数個の刃体支持台と前記支持溝との間に、前記刃体の前記軸線からの距離を調整するための平板部材からなるスペーサを介在させたことを特徴とする。従って、このように構成されたリーマによれば、前記刃体の研磨、あるいは再研磨を必要とするとき、その研磨によってその研磨分だけ刃体の外周面の径が小さくなるので、この研磨による減少分を考慮して、前記スペーサを前記複数個の刃体支持台と前記支持溝との間に介在させて刃体を固定し、この状態で、前記刃体の研磨、あるいは再研磨を行う。これによって、初期設定された刃体の外周面の径を長期に亘って一定に保つことができる。
従って、このように構成されたリーマによれば、前記平板部材たる極めて安価なスペーサを用いてスペースの確保を行うことができる。また、その平板部材は、厚さの異なるものが複数用意され、前記刃体の摩耗等に応じて研磨を必要とする際に、厚いものと交換して用いられる。従って、前記刃体の研磨を長期に亘って何回も繰り返すことにより、その刃体の外周面の径が次第に減少しても、その減少量に応じて、順次厚めのスペーサを用いることにより、初期設定された刃体の外周面の径を長期に亘って一定に保つことができる。
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を具体化した実施の形態を図1乃至図6を参照して説明する。本実施の形態は、工具本体の軸線方向の先端部の周面に180゜隔てて2個の刃体を備えた2枚刃リーマに本発明を具体化したものである。
【0020】
図1及び図2は、回転角度を90゜隔ててそれぞれ平面図によりリーマ1の全体を示している。そのリーマ1は、その基端部が図示しないチャックに着脱可能に取着されて被加工物の切削仕上げ加工に使用される。
【0021】
そのリーマ1の工具本体2の先端部側の周面には、図1乃至図3から明らかなように、その工具本体2の軸線Oを中心として180゜隔てて略平行に端面2Aから基端側に向けて切欠された切り欠き面3,3と、その各切り欠き面3,3に隣接し、それぞれ前記軸線Oと平行に前記端面2Aから基端側に向けて延設され、かつ前記切り欠き面3,3と直交する方向に凹設された支持溝4,4と、前記各支持溝4,4と前記各切り欠き面3,3との間においてそれぞれ前記軸線Oと平行に前記端面2Aから基端側に向けて延設され、かつそれぞれ前記各支持溝4,4よりも浅く凹設されたガイドパッド取付溝5,5とが設けられる。
【0022】
前記各支持溝4,4には、それぞれその溝方向に細長く形成された金属製の刃体支持台6,6が着脱可能に嵌合される。前記各刃体支持台6,6は、前記各切り欠き面3,3と略平行に工具本体2に設けられた3個のねじ孔2Bに螺合される3個の押さえねじ7により前記工具本体2の回転方向後方側に向かって前記支持溝4,4の内側面に押し付けられ、かつ前記押さえねじ7の押圧方向と直交する方向から前記刃体支持台6に嵌合して前記工具本体2に螺合される2個の固定ねじ8によって前記支持溝4,4内に強固に固定される。前記3個の押さえねじ7と2個の固定ねじ8とを弛緩することにより、前記各刃体支持台6,6を前記支持溝4,4から取り外すことができる。
【0023】
前記各刃体支持台6,6の開放端部側における前記工具本体2の回転方向前方側の側面部分には、それぞれブロック状の刃体取付部材9,9がロウ剤等の適宜の固定手段によって固定されている。また、前記各刃体取付部材9,9における前記工具本体2の回転方向前方側の側面部分には、それそれ被加工物の穴の内面の切削仕上げ加工を行うための刃体10,10がろう材や有機接着剤等により接着固定されている。その各刃体10,10は、ダイヤモンド、立方晶窒化硼素等の焼結体によって構成され、切削仕上げ加工を行う刃先部10A,10Aが前記工具本体2の端面2Aから約1mm程度突出していると共に、図3に示されるように前記軸線Oを通って両刃先部10A,10Aを結ぶ面Yよりも回転方向前方側に約0.4mm程度突出しており、その刃先部10A,10Aに対して前記工具本体2の回転方向後方側に約15゜程度傾斜した逃げ面10B、10Bが形成されている。
【0024】
前記軸線Oを通って前記面Yと直交する面Xを中心として前記工具本体2の周面には、それぞれ前記軸線Oの方向に長く延設された前記ガイドパット取付溝5,5が設けられる。その各ガイドパッド取付溝5,5には、細長いガイドパッド12,12が嵌合さて1個の固定ねじ13によって固定されている。その各ガイドパッド12,12は、前記刃体10,10と同様の焼結体によって構成され、前記工具本体2を回転させて前記各刃体10,10にて切削仕上げ加工する際に外周面が被加工物の加工内面に摺接して前記工具本体2の回転を円滑かつ安定化させる役目を果たす。
【0025】
なお、前記各支持溝4,4におけるその開放端部と反対側の内端部には、それぞれ調整ブロック14,14が取付ねじ15,15によって固定されている。その各調整ブロック14,14は、それぞれ前記各刃体支持台6,6の長手方向の一端面と前記各支持溝4,4の内端面とに当接して前記各刃体支持台6,6を前記軸線O方向に位置規制、特に、前記刃体10,10の刃先部10A,10Aの前記工具本体端面2Aからの突出位置を規制する。
【0026】
本実施の形態は以上に説明したように構成されている。
【0027】
従って、最初にリーマ1を構成する場合、先ず、工具本体2の先端部の各支持溝4,4の内端部に調整ブロック14,14を嵌合して取付ねじ15,15によって固定する。そして、刃体10,10を固定した各刃体支持台6,6を前記各支持溝4,4に嵌合して、2個の固定ねじ8を各刃体支持台6,6に嵌合して前記工具本体2に螺合すると共に、3個の押さえねじ7を工具本体2の各ねじ孔2Bに螺合して、各刃体支持台6,6を工具本体2に固定する。また、前記各ガイドパッド取付溝5,5に各ガイドパッド12,12を嵌合してそれぞれ固定ねじ13により工具本体2に固定する。
【0028】
この状態では、前記刃体10,10、各刃体支持台6,6及び前記各ガイドパッド12,12の部品精度のアンバランスや、前記工具本体2に対する組立誤差等に起因して、前記各刃体10,10の刃先部10A,10Aの外周面及び前記各ガイドパッド12,12の外周面がそれぞれ前記工具本体2の軸線Oから全て等しい位置に揃っていない場合がある。そのため、それらの外周面が全て前記軸線Oから同一位置に揃うように仕上げ加工を行う。即ち、例えば、工具本体2の軸線Oと平行な軸線の回りに回転可能な回転研磨体(図示せず)を用いて、その回転研磨体と前記工具本体2との間隔を調整設定した後、その両者を相対的に回転させて、前記各刃体10,10の刃先部10A,10Aの外周面及び前記各ガイドパッド12,12の外周面をごく僅か研磨してそれらの外周面が全て前記軸線Oから等しい距離になるように、しかも、被加工物の加工孔に応じた所定寸法となるように仕上げ加工される。なお、この仕上げ加工は、外の手段によって行ってもよい。例えば、前記工具本体2の軸線Oと同軸上にて相対的に回転可能であり、その相対回転によって前記刃先部10A,10Aの外周面及び前記各ガイドパッド12,12の外周面を研磨する研磨体(図示せず)を用いてもよい。
【0029】
以上のように仕上げ加工されたリーマ1を用いて被加工部材の穴の切削仕上げ加工が行われる。この切削仕上げ加工を長期に亘って繰り返し行うと、前記刃先部10A,10Aの外周面及び前記各ガイドパッド12,12の外周面が摩耗したり、場合によっては前記外周面を損傷する等して、所定寸法の穴の切削仕上げ加工を行うことができなくなる。この場合、再度、前記刃先部10A,10Aの外周面及び前記各ガイドパッド12,12の外周面を研磨して仕上げ加工を行うが、この研磨によって、前記刃先部10A,10Aの外周面及び前記各ガイドパッド12,12の外周面の外径が小さくなるので、その減少分をカバーすべく、スペーサが用いられる。
【0030】
即ち、本実施の形態によれば、図4及び図5に示されるように、前記刃体10,10用の刃体用スペーサ16及びガイドパット用スペーサ17が準備されている。その刃体用スペーサ16は、前記各刃体支持台6,6の平面形状と略同様の平面形状の平板状部材により形成されると共に、前記2個の固定ねじ8を嵌合する2個の嵌合孔が形成され、その厚さが例えば0.1mm単位で、0.1mmのもの、0.2mmのもの、0.3mmのものというように、厚さの異なるものが複数枚用意される。また、前記ガイドパット用スペーサ17は、前記ガイドパッド12,12の平面形状と略同様の平面形状の平板状部材により形成されると共に、前記固定ねじ13を嵌合させる嵌合孔が形成され、その厚さについては、前記刃体用スペーサ16と同様の厚さ単位で厚さの異なるものが複数枚用意されている。
【0031】
従って、前記刃先部10A,10Aの外周面及び前記各ガイドパッド12,12の外周面の再研磨を必要とするときは、先ず、前記各刃体支持台6,6及び前記ガイドパッド12,12を工具本体2から取り外した後、研磨回数に応じて選択された適当な厚さの刃体用スペーサ16及びガイドパット用スペーサ17を用意し、その刃体用スペーサ16は、前記各支持溝4,4に嵌合してその上に前記各刃体支持台6,6を重ねて前記固定ねじ8及び押さえねじ7により工具本体2に固定し、前記ガイドパット用スペーサ17は、前記ガイドパッド取付溝5,5に嵌合してその上に前記各ガイドパッド12,12を重ねて固定ねじ13により工具本体2に固定する(図6参照)。このようにスペーサを介在させてから、前記各刃先部10A,10Aの外周面及び前記各ガイドパッド12,12の外周面を研磨する。この結果、非常に長期間に亘って、当初の刃体10,10及びガイドパッド12,12を他のものと交換することなく使用することができる。
【0032】
なお、前記調整ブロック14,14に付いても、前記刃体10,10の刃先部10A,10Aの特に前記軸線O方向の摩耗に応じて、当初の突出量と同じになるように調整可能とするために、前記軸線O方向の長さの異なるものが複数個準備されている。この場合も、前記刃先部10A,10Aの摩耗度合に応じて適当な長さのものと交換取着される。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したことから明かなように、本発明のリーマによれば、特に、前記刃体が工具本体に対して固定されてから、その刃体の外周面を前記工具本体の軸線を中心とする円弧に沿って研磨することにより、前記刃体の外周面が前記軸線から所定の距離となるように設定したから、前記刃体を前記工具本体に固定するとき、その取付位置を正確に設定することは不要であり、しかも、長期の使用によって取付位置に狂いが生じても、その取付後に、刃体の外周面が工具本体の軸線を中心とする円弧に沿って研磨されるので、その刃体の外周面を前記軸線から所定の距離となるように確実、且つ正確に設定することができる。
【0034】
また、本発明のリーマによれば、更に、前記刃体を、工具本体の軸線方向の先端部の周面にその周方向に間隔を置いて複数個着脱可能に固定したものである。従って、この構成によれば、前記各刃体の外周面の位置が個々に異なるように固定されたとしても、その取付後に、各刃体の外周面が前記工具本体の軸線を中心とする円弧に沿って研磨されるので、その各刃体の外周面を前記軸線から所定の距離に揃うように確実、且つ正確に設定することができる。
【0035】
また、本発明のリーマによれば、更に、前記刃体を刃体支持台に固定し、その刃体支持台を前記工具本体の軸線方向の先端部の周面に着脱可能に固定したものである。従って、この構成によれば、刃体を直接工具本体に固定するよりも、固定する際の取り扱いが容易、かつ安全であり、しかも、前記刃体支持台と工具本体との間の取付誤差等に起因して前記刃体の外周面の位置が狂っても、その取付後に、刃体の外周面が前記工具本体の軸線を中心とする円弧に沿って研磨されるので、その刃体の外周面を前記軸線から所定の距離となるように確実、かつ正確に設定することができ、複数の刃体を備える場合も同様に設定することができる。
【0036】
また、本発明のリーマによれば、更に、前記工具本体の軸線方向の先端部の周面に、前記軸線と略平行な方向に切欠され、かつ前記刃体支持台を嵌合支持する支持溝を設け、その支持溝に嵌合支持された前記刃体支持台を固定手段によって前記工具本体に固定したものである。従って、この構成によれば、前記刃体支持台は、前記軸線と略平行な方向の支持溝に嵌合された状態で固定されるので、切削仕上げ加工に伴う応力に充分抗して安定的に固定され、また、前記刃体支持台と工具本体との間の取付誤差等に起因して前記刃体の外周面の位置が狂っても、その後に、刃体の外周面が前記工具本体の軸線を中心とする円弧に沿って研磨されるので、その刃体の外周面を前記軸線から所定の距離となるように確実、かつ正確に設定することがてきる。複数の刃体を備える場合も同様に設定することができる。
【0037】
また、本発明のリーマによれば、更に、前記固定手段が、前記刃体支持台を前記工具本体の回転方向前方側から押圧して前記支持溝の内面に押し付ける押さえねじと、その押さえねじの押圧方向と交差する方向から前記刃体支持台に嵌合して前記工具本体に螺合される固定ねじとによって構成したものである。従って、この構成によれば、前記支持溝に嵌合された刃体支持台は、前記工具本体の回転方向前方側から前記押さえねじで押えられ、かつ工具本体の内側に向かって前記固定ねじにより固定されるので、切削仕上げ加工に伴う応力に充分抗してより一層安定的に強固に固定され、また、前記刃体支持台と工具本体との間の取付誤差等に起因して前記刃体の外周面の位置が狂っても、その後に、刃体の外周面が前記工具本体の軸線を中心とする円弧に沿って研磨されるので、その刃体の外周面を前記軸線から所定の距離となるように確実、かつ正確に設定することができ、複数の刃体を備える場合も同様に設定することができる。
【0038】
【0039】
【0040】
また、本発明のリーマは、更に、前記複数個の刃体支持台と前記支持溝との間に、前記刃体の前記軸線からの距離を調整するための平板部材からなるスペーサを介在させたことを特徴とする。従って、このように構成されたリーマによれば、前記刃体の研磨、あるいは再研磨を必要とするとき、その研磨によってその研磨分だけ刃体の外周面の径が小さくなるので、この研磨による減少分を考慮して、前記スペーサを前記複数個の刃体支持台と前記支持溝との間に介在させて刃体を固定し、この状態で、前記刃体の研磨、あるいは再研磨を行うことにより、初期設定された刃体の外周面の径を長期に亘って一定に保つことができる。
従って、このように構成されたリーマによれば、前記平板部材たる極めて安価なスペーサ手段を用いてスペースの確保を行うことができる。
また、その平板部材は、厚さの異なるものが複数用意され、前記刃体の摩耗等に応じて研磨を必要とする際に、厚いものと交換して用いられる。従って、このように構成されたリーマによれば、前記刃体の研磨を長期に亘って何回も繰り返すことにより、その刃体の外周面の径が次第に減少しても、その減少量に応じて、順次厚めのスペーサを用いることにより、初期設定された刃体の外周面の径を長期に亘って一定に保つことができる。
【0041】
【0042】
【0043】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明を具体化した一実施形態のリーマの平面図である。
【図2】 図2は、図1の状態から90゜回転させた状態のリーマの平面図である。
【図3】 図3は、図1のZ−Z線における拡大断面図である。
【図4】 図4は、刃体用スペーサの平面図である。
【図5】 図5は、ガイドパッド用スペーサの平面図である。
【図6】 図6は、刃体用スペーサ及びガイドパッド用スペーサを介在させた状態のリーマの拡大要部断面図である。
【符号の説明】
1 リーマ
2 工具本体
4 支持溝
6 刃体支持台
7 押さえねじ
8 固定ねじ
10 刃体
O 軸線
Claims (1)
- 一軸線の回りに回転可能な工具本体の軸線方向の先端部の周面に、その軸線と略平行な方向に切欠され、且つその周方向に間隔をおいて複数個の支持溝を設け、
各支持溝にそれぞれ嵌合支持され、且つダイヤモンド、立方晶窒化硼素等の焼結体からなるチップ状の刃体がそれぞれ固定された複数個の刃体支持台を設け、
それら複数の刃体支持台を、前記工具本体の回転方向前方側から押圧して前記支持溝の内面に押し付ける押さえねじと、その押さえねじの押圧方向と交差する方向から前記刃体支持台に嵌合して前記工具本体に螺合される固定ねじとによって構成される固定手段により、前記工具本体に対し着脱可能に固定し、
且つそれら複数個の刃体支持台と前記支持溝との間に、前記刃体の前記軸線からの距離を調整するための平板部材からなるスペーサを介在させ、
前記固定した刃体の外周面を前記工具本体の軸線を中心とする円弧に沿って研磨することにより、前記刃体の外周面が前記軸線から所定の距離となるように設定したことを特徴とするリーマ。
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