JP3815074B2 - 固定子の絶縁用成形金型 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は電動機に係り、詳しくは固定子の絶縁用成形金型の構造に関する。
【０００２】
【従来の技術】
図５は、従来の絶縁用成形金型により一体成形される固定子鉄心を示す要部断面図、図６は、従来の絶縁用成形金型により一体成形される固定子鉄心を示す横断面図、図７は、従来の固定子の絶縁用成形金型の一例を示す要部縦断面図、図８は従来の固定子の絶縁用成形金型の一例を示す要部断面図である。
従来の電動機の固定子は、図５及び図６に示すように、固定子鉄心１の継鉄部から略Ｉ字型の歯部を等間隔に設けている。
そして、少なくとも回転子と相対向する前記歯部の先端を除き、絶縁部材４の樹脂によってインサート成形して前記固定子鉄心１を覆う。
ここで、外周部に外隔壁４ａと、内周部に内隔壁４ｂなどを一体に形成してなる固定子を成形する。
このために図７、図８に示すように、ゲート５’ａ、５’ｂを有する略円柱状の内周型５’、溝型６’、略円筒状の外周型８’などから構成される固定型と、同固定型に対応し同じくゲート５ａを有する略円柱状の内周型５、溝型６、略円筒状の外周型８などから構成される可動型とを上下に組み合わせてなる固定子の絶縁用成形金型が用いられている。
【０００３】
ここで、前記固定子鉄心１を前記金型にセットするとき、作業を容易にするために前記固定子鉄心１を前記金型の間にクリアランスを設けている。
しかしながら、この金型は、電動機の固定子鉄心１に、絶縁部材４を一体成形する際に、成型時の樹脂の圧力により前記固定子鉄心１は、外周側へ変形する。このため、前記固定子鉄心１の内周部と金型のクリアランスが増大し、前記略Ｉ字型の歯部の先端部を通って樹脂が内径側に回り込み、その結果内周側にバリが発生するおそれがある問題があった。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたもので、電動機の固定子鉄心に、絶縁部材を一体成形する際に、略Ｉ字型の歯部の先端部を通って樹脂が内径側に回り込むことを防止し、生産性を向上した固定子の絶縁用成形金型を提供することを目的とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、継鉄部から略Ｉ字型の歯部を等間隔に設けてなる固定子鉄心を、金型の固定型と可動型の内部にセットし、ゲートを通して樹脂を注入し、少なくとも回転子と相対向する前記歯部の先端を除き、樹脂によってインサート成形して前記固定子鉄心を覆い、外周部に外隔壁と、内周部に内隔壁を一体に形成してなる固定子を成形するためのゲートを有する略円柱状の内周型、溝型、略円筒状の外周型などから構成される固定型と、同固定型に対応し同じくゲートを有する略円柱状の内周型、溝型、略円筒状の外周型などから構成される可動型とを、上下に組み合わせてなる固定子の絶縁用成形金型において、前記固定型の外周型の下部に垂直に凹孔を設け、同凹孔に前記固定子鉄心の上端面を押さえ前記外隔壁に当接する積厚吸収可動ブロックを配設するとともに、前記可動型の外周型の上部に、前記固定子鉄心の外周側を開口した略円筒形状の凹部を設け、同凹部に前記固定子鉄心の外周面に当接する等角度に分割した扇形ブロックを配設し、且つ、同扇形ブロックの外周面に、下方に向かい中心側に傾斜させた傾斜面を形成するとともに、同傾斜面に対応する傾斜面を前記可動型の外周型の凹部に形成し、前記金型の型閉時には、前記積厚吸収可動ブロック及び扇形ブロックを固定し、前記金型の型開時には、前記積厚吸収可動ブロックを上方へ移動自在にし、前記扇形ブロックを前記傾斜面に沿って斜め外側上方に摺動自在にすることにより、同扇形ブロックと前記固定子鉄心の間に隙間を生じるようにしてなるようにする。
【０００６】
そして、前記積厚吸収可動ブロックを軸と平行方向に付勢するバネを、前記積厚吸収可動ブロックの上端に配設してなるようにする。
【０００７】
また、前記積厚吸収可動ブロックの横幅を、前記外隔壁の横幅よりも広くしてなるようにする。
【０００８】
さらに、前記固定型のみに前記積厚吸収可動ブロック及びばねを配設してなるようにする。
【０００９】
一方、前記積厚吸収可動ブロックの個数を、前記扇形ブロックの個数と等しく配設してなるようにする。
また、前記固定子鉄心の略Ｉ字型の歯部の個数と、前記扇形ブロックの個数を同一にしてなるようにする。
そして、前記固定子鉄心の略Ｉ字型の歯部の中心線と、前記扇形ブロックの中心線を一致させてなるようにする。
【００１０】
他方、前記扇形ブロックの互いに当接する側面間に、前記金型の型開時に前記扇形ブロックを外周側へ付勢するバネを配設してなるようにする。
あるいは、前記扇形ブロック底面と同底面に当接する金型の上面間に、前記金型の型開時に前記扇形ブロックを外周側へ付勢するバネを配設してなるようにする。
【００１１】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態を実施例に基づき添付図面を参照して詳細に説明する。
図１は、本発明による固定子の絶縁用成形金型の一実施例を示す要部断面図、図２（ａ）は、図１における金型閉時を示す要部縦断面図、（ｂ）は、金型開時を示し、図３は固定子の絶縁用成形金型の実施例を示す要部縦断面図、図５は、本発明の絶縁用成形金型により一体成形される固定子鉄心を示す要部断面図、図６は、本発明の絶縁用成形金型により一体成形される固定子鉄心を示す横断面図である。
なお、従来例と同じ部分の符号は同一とする。
そして、図３におけるＰＬは前記固定型と可動型を分離するパーティングラインを示す。
また、前記可動型の上部に固定子鉄心１が載置されている。
【００１２】
まず、本発明の電動機の絶縁用成形金型を用いる固定子について説明する。
この固定子は、図１、図５、図６に示すように、固定子鉄心１の継鉄部１ａから略Ｉ字型の歯部１ｂを等間隔に設ける。
同略Ｉ字型の歯部に、各々溝２が形成され、６スロットの固定子鉄心１となる。
【００１３】
そして、少なくとも回転子と相対向する前記歯部の先端を除き、絶縁部材４の樹脂によってインサート成形して前記固定子鉄心１を覆う。
また、外周部に外隔壁４ａと、内周部に内隔壁４ｂなどを一体に形成してなる固定子を成形する。
【００１４】
このために、図１、図２、図３に示すように、前記絶縁部材４を前記金型のキャビティに流し込むゲート５’ｂを有する略円柱状の内周型５’、溝型６’、略円筒状の外周型８’などから構成される固定型と、同固定型に対応しゲート５ａを有する略円柱状の内周型５、溝型６、略円筒状の外周型８などから構成される可動型とを上下に組み合わせてなる固定子の絶縁用成形金型を用いる。
【００１５】
また、前記固定型を構成する内周型５’にゲート５’ａ、前記可動型を構成する内周型５に前記略Ｉ字型の歯部１ｂに対応させてゲート５ａを形成する。
【００１６】
ここで、前記固定型の外周型８’の下部に垂直に凹孔８’ａを設ける。
そして、同凹孔８’ａに前記固定子鉄心１の上端面を押さえ前記外隔壁４ａに当接する積厚吸収可動ブロック９を配設する。
それとともに、前記可動型の外周型８の上部に、前記固定子鉄心１の外周側を開口した略円筒形状の凹部８ｂを設ける。
【００１７】
また、同凹部８ｂに前記固定子鉄心１の外周面に当接する等角度に分割した扇形ブロック１０を配設し、且つ、同扇形ブロック１０の外周面に、下方に向かい中心側に傾斜させた傾斜面１０ａを形成する。
それとともに、同傾斜面１０ａに対応する傾斜面８ａを前記可動型の外周型８の凹部８ｂに形成する。
そして、前記固定型のみに前記積厚吸収可動ブロック９を軸と平行方向に付勢するバネ９ａを、前記積厚吸収可動ブロック９の上端に配設している。
また、前記積厚吸収可動ブロック９の横幅を、前記外隔壁４ａの横幅よりも広くしている。
【００１８】
一方、前記積厚吸収可動ブロック９の個数を、前記扇形ブロック１０の個数と等しく配設している。
また、前記固定子鉄心１の略Ｉ字型の歯部１ｂの個数と、前記扇形ブロック１０の個数を同一にし、前記固定子鉄心１の略Ｉ字型の歯部１ｂの中心線と、前記扇形ブロック１０の中心線を一致させている。
他方、前記扇形ブロック１０の互いに当接する側面間に、前記金型の型開時に前記扇形ブロック１０を外周側へ付勢するバネ１０ｂを配設している。
【００１９】
次いで、本発明の作用について説明する。
上述の構成により、前記金型の型閉時には、前記積厚吸収可動ブロック９及び扇形ブロック１０を固定する。
そして、前記金型の型開時には、前記積厚吸収可動ブロック９を上方へ移動自在にし、前記扇形ブロック１０を前記傾斜面に沿って斜め外側上方に摺動自在にすることにより、同扇形ブロック１０と前記固定子鉄心１の間に隙間を生じるようにしている。
このため、前記固定子鉄心１の金型へのセットが容易となる。
【００２０】
そして、前記バリ発生防止ピン９と、軸と平行方向に付勢するばね９ａを前記バリ発生防止ピン９の上端に配設しているので、絶縁部材４を一体成形する際に、前記略Ｉ字型の歯部１ｂの先端部を通って樹脂が内径側に回り込むことを防止し、バリの発生を防止できる。
【００２１】
図４は本発明による固定子の絶縁用成形金型の他の実施例を示し、（ａ）は、金型閉時を示す要部縦断面図、（ｂ）は、金型開時を示す。
この実施例のように、前記扇形ブロック１０底面と同底面に当接する金型の上面間に、前記金型の型開時に前記扇形ブロック１０を外周側へ付勢するバネ１０ｃを配設してなるようしてもよい。
【００２２】
【発明の効果】
以上のように本発明においては、継鉄部から略Ｉ字型の歯部を等間隔に設けてなる固定子鉄心を、金型の固定型と可動型の内部にセットし、ゲートを通して樹脂を注入し、少なくとも回転子と相対向する前記歯部の先端を除き、樹脂によってインサート成形して前記固定子鉄心を覆い、外周部に外隔壁と、内周部に内隔壁を一体に形成してなる固定子を成形するためのゲートを有する略円柱状の内周型、溝型、略円筒状の外周型などから構成される固定型と、同固定型に対応し同じくゲートを有する略円柱状の内周型、溝型、略円筒状の外周型などから構成される可動型とを、上下に組み合わせてなる固定子の絶縁用成形金型において、前記固定型の外周型の下部に垂直に凹孔を設け、同凹孔に前記固定子鉄心の上端面を押さえ前記外隔壁に当接する積厚吸収可動ブロックを配設するとともに、前記可動型の外周型の上部に、前記固定子鉄心の外周側を開口した略円筒形状の凹部を設け、同凹部に前記固定子鉄心の外周面に当接する等角度に分割した扇形ブロックを配設し、且つ、同扇形ブロックの外周面に、下方に向かい中心側に傾斜させた傾斜面を形成するとともに、同傾斜面に対応する傾斜面を前記可動型の外周型の凹部に形成し、前記金型の型閉時には、前記積厚吸収可動ブロック及び扇形ブロックを固定し、前記金型の型開時には、前記積厚吸収可動ブロックを上方へ移動自在にし、前記扇形ブロックを前記傾斜面に沿って斜め外側上方に摺動自在にすることにより、同扇形ブロックと前記固定子鉄心の間に隙間を生じるようにしてなるようにした。
【００２３】
この結果、電動機の固定子鉄心に、絶縁部材を一体成形する際に、略Ｉ字型の歯部の先端部を通って樹脂が内径側に回り込むことを防止し、生産性を向上した固定子の絶縁用成形金型を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明による固定子の絶縁用成形金型の一実施例を示す要部断面図である。
【図２】（ａ）は、図１における金型閉時を示す要部縦断面図、（ｂ）は、金型開時を示す。
【図３】固定子の絶縁用成形金型の実施例を示す要部縦断面図である。
【図４】本発明による固定子の絶縁用成形金型の他の実施例を示し、（ａ）は、金型閉時を示す要部縦断面図、（ｂ）は、金型開時を示す。
【図５】従来及び本発明の絶縁用成形金型により一体成形される固定子鉄心を示す要部断面図である。
【図６】従来及び本発明の絶縁用成形金型により一体成形される固定子鉄心を示す横断面図である。
【図７】従来の固定子の絶縁用成形金型の一例を示す要部縦断面図である。
【図８】従来の固定子の絶縁用成形金型の一例を示す要部断面図である。
【符号の説明】
１ 固定子鉄心
１ａ 継鉄部
１ｂ Ｉ字型歯部
２ 溝
４ 絶縁部材
４ａ 外隔壁
４ｂ 内隔壁
５ 可動型の内周型
５ａ ゲート
５’固定型の内周型
５’ａ ゲート
６ 可動型の溝型
６’ 固定型の溝型
８ 可動型の外周型
８ａ 傾斜面
８ｂ 凹部
８’ 固定型の外周型
８’ａ 凹孔
９ 積厚吸収可動ブロック
９ａ バネ
１０ 扇形ブロック
１０ａ 傾斜面
１０ｂ バネ
１０ｃ バネ
ＰＬ パーティングライン
【発明の属する技術分野】
本発明は電動機に係り、詳しくは固定子の絶縁用成形金型の構造に関する。
【０００２】
【従来の技術】
図５は、従来の絶縁用成形金型により一体成形される固定子鉄心を示す要部断面図、図６は、従来の絶縁用成形金型により一体成形される固定子鉄心を示す横断面図、図７は、従来の固定子の絶縁用成形金型の一例を示す要部縦断面図、図８は従来の固定子の絶縁用成形金型の一例を示す要部断面図である。
従来の電動機の固定子は、図５及び図６に示すように、固定子鉄心１の継鉄部から略Ｉ字型の歯部を等間隔に設けている。
そして、少なくとも回転子と相対向する前記歯部の先端を除き、絶縁部材４の樹脂によってインサート成形して前記固定子鉄心１を覆う。
ここで、外周部に外隔壁４ａと、内周部に内隔壁４ｂなどを一体に形成してなる固定子を成形する。
このために図７、図８に示すように、ゲート５’ａ、５’ｂを有する略円柱状の内周型５’、溝型６’、略円筒状の外周型８’などから構成される固定型と、同固定型に対応し同じくゲート５ａを有する略円柱状の内周型５、溝型６、略円筒状の外周型８などから構成される可動型とを上下に組み合わせてなる固定子の絶縁用成形金型が用いられている。
【０００３】
ここで、前記固定子鉄心１を前記金型にセットするとき、作業を容易にするために前記固定子鉄心１を前記金型の間にクリアランスを設けている。
しかしながら、この金型は、電動機の固定子鉄心１に、絶縁部材４を一体成形する際に、成型時の樹脂の圧力により前記固定子鉄心１は、外周側へ変形する。このため、前記固定子鉄心１の内周部と金型のクリアランスが増大し、前記略Ｉ字型の歯部の先端部を通って樹脂が内径側に回り込み、その結果内周側にバリが発生するおそれがある問題があった。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたもので、電動機の固定子鉄心に、絶縁部材を一体成形する際に、略Ｉ字型の歯部の先端部を通って樹脂が内径側に回り込むことを防止し、生産性を向上した固定子の絶縁用成形金型を提供することを目的とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、継鉄部から略Ｉ字型の歯部を等間隔に設けてなる固定子鉄心を、金型の固定型と可動型の内部にセットし、ゲートを通して樹脂を注入し、少なくとも回転子と相対向する前記歯部の先端を除き、樹脂によってインサート成形して前記固定子鉄心を覆い、外周部に外隔壁と、内周部に内隔壁を一体に形成してなる固定子を成形するためのゲートを有する略円柱状の内周型、溝型、略円筒状の外周型などから構成される固定型と、同固定型に対応し同じくゲートを有する略円柱状の内周型、溝型、略円筒状の外周型などから構成される可動型とを、上下に組み合わせてなる固定子の絶縁用成形金型において、前記固定型の外周型の下部に垂直に凹孔を設け、同凹孔に前記固定子鉄心の上端面を押さえ前記外隔壁に当接する積厚吸収可動ブロックを配設するとともに、前記可動型の外周型の上部に、前記固定子鉄心の外周側を開口した略円筒形状の凹部を設け、同凹部に前記固定子鉄心の外周面に当接する等角度に分割した扇形ブロックを配設し、且つ、同扇形ブロックの外周面に、下方に向かい中心側に傾斜させた傾斜面を形成するとともに、同傾斜面に対応する傾斜面を前記可動型の外周型の凹部に形成し、前記金型の型閉時には、前記積厚吸収可動ブロック及び扇形ブロックを固定し、前記金型の型開時には、前記積厚吸収可動ブロックを上方へ移動自在にし、前記扇形ブロックを前記傾斜面に沿って斜め外側上方に摺動自在にすることにより、同扇形ブロックと前記固定子鉄心の間に隙間を生じるようにしてなるようにする。
【０００６】
そして、前記積厚吸収可動ブロックを軸と平行方向に付勢するバネを、前記積厚吸収可動ブロックの上端に配設してなるようにする。
【０００７】
また、前記積厚吸収可動ブロックの横幅を、前記外隔壁の横幅よりも広くしてなるようにする。
【０００８】
さらに、前記固定型のみに前記積厚吸収可動ブロック及びばねを配設してなるようにする。
【０００９】
一方、前記積厚吸収可動ブロックの個数を、前記扇形ブロックの個数と等しく配設してなるようにする。
また、前記固定子鉄心の略Ｉ字型の歯部の個数と、前記扇形ブロックの個数を同一にしてなるようにする。
そして、前記固定子鉄心の略Ｉ字型の歯部の中心線と、前記扇形ブロックの中心線を一致させてなるようにする。
【００１０】
他方、前記扇形ブロックの互いに当接する側面間に、前記金型の型開時に前記扇形ブロックを外周側へ付勢するバネを配設してなるようにする。
あるいは、前記扇形ブロック底面と同底面に当接する金型の上面間に、前記金型の型開時に前記扇形ブロックを外周側へ付勢するバネを配設してなるようにする。
【００１１】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態を実施例に基づき添付図面を参照して詳細に説明する。
図１は、本発明による固定子の絶縁用成形金型の一実施例を示す要部断面図、図２（ａ）は、図１における金型閉時を示す要部縦断面図、（ｂ）は、金型開時を示し、図３は固定子の絶縁用成形金型の実施例を示す要部縦断面図、図５は、本発明の絶縁用成形金型により一体成形される固定子鉄心を示す要部断面図、図６は、本発明の絶縁用成形金型により一体成形される固定子鉄心を示す横断面図である。
なお、従来例と同じ部分の符号は同一とする。
そして、図３におけるＰＬは前記固定型と可動型を分離するパーティングラインを示す。
また、前記可動型の上部に固定子鉄心１が載置されている。
【００１２】
まず、本発明の電動機の絶縁用成形金型を用いる固定子について説明する。
この固定子は、図１、図５、図６に示すように、固定子鉄心１の継鉄部１ａから略Ｉ字型の歯部１ｂを等間隔に設ける。
同略Ｉ字型の歯部に、各々溝２が形成され、６スロットの固定子鉄心１となる。
【００１３】
そして、少なくとも回転子と相対向する前記歯部の先端を除き、絶縁部材４の樹脂によってインサート成形して前記固定子鉄心１を覆う。
また、外周部に外隔壁４ａと、内周部に内隔壁４ｂなどを一体に形成してなる固定子を成形する。
【００１４】
このために、図１、図２、図３に示すように、前記絶縁部材４を前記金型のキャビティに流し込むゲート５’ｂを有する略円柱状の内周型５’、溝型６’、略円筒状の外周型８’などから構成される固定型と、同固定型に対応しゲート５ａを有する略円柱状の内周型５、溝型６、略円筒状の外周型８などから構成される可動型とを上下に組み合わせてなる固定子の絶縁用成形金型を用いる。
【００１５】
また、前記固定型を構成する内周型５’にゲート５’ａ、前記可動型を構成する内周型５に前記略Ｉ字型の歯部１ｂに対応させてゲート５ａを形成する。
【００１６】
ここで、前記固定型の外周型８’の下部に垂直に凹孔８’ａを設ける。
そして、同凹孔８’ａに前記固定子鉄心１の上端面を押さえ前記外隔壁４ａに当接する積厚吸収可動ブロック９を配設する。
それとともに、前記可動型の外周型８の上部に、前記固定子鉄心１の外周側を開口した略円筒形状の凹部８ｂを設ける。
【００１７】
また、同凹部８ｂに前記固定子鉄心１の外周面に当接する等角度に分割した扇形ブロック１０を配設し、且つ、同扇形ブロック１０の外周面に、下方に向かい中心側に傾斜させた傾斜面１０ａを形成する。
それとともに、同傾斜面１０ａに対応する傾斜面８ａを前記可動型の外周型８の凹部８ｂに形成する。
そして、前記固定型のみに前記積厚吸収可動ブロック９を軸と平行方向に付勢するバネ９ａを、前記積厚吸収可動ブロック９の上端に配設している。
また、前記積厚吸収可動ブロック９の横幅を、前記外隔壁４ａの横幅よりも広くしている。
【００１８】
一方、前記積厚吸収可動ブロック９の個数を、前記扇形ブロック１０の個数と等しく配設している。
また、前記固定子鉄心１の略Ｉ字型の歯部１ｂの個数と、前記扇形ブロック１０の個数を同一にし、前記固定子鉄心１の略Ｉ字型の歯部１ｂの中心線と、前記扇形ブロック１０の中心線を一致させている。
他方、前記扇形ブロック１０の互いに当接する側面間に、前記金型の型開時に前記扇形ブロック１０を外周側へ付勢するバネ１０ｂを配設している。
【００１９】
次いで、本発明の作用について説明する。
上述の構成により、前記金型の型閉時には、前記積厚吸収可動ブロック９及び扇形ブロック１０を固定する。
そして、前記金型の型開時には、前記積厚吸収可動ブロック９を上方へ移動自在にし、前記扇形ブロック１０を前記傾斜面に沿って斜め外側上方に摺動自在にすることにより、同扇形ブロック１０と前記固定子鉄心１の間に隙間を生じるようにしている。
このため、前記固定子鉄心１の金型へのセットが容易となる。
【００２０】
そして、前記バリ発生防止ピン９と、軸と平行方向に付勢するばね９ａを前記バリ発生防止ピン９の上端に配設しているので、絶縁部材４を一体成形する際に、前記略Ｉ字型の歯部１ｂの先端部を通って樹脂が内径側に回り込むことを防止し、バリの発生を防止できる。
【００２１】
図４は本発明による固定子の絶縁用成形金型の他の実施例を示し、（ａ）は、金型閉時を示す要部縦断面図、（ｂ）は、金型開時を示す。
この実施例のように、前記扇形ブロック１０底面と同底面に当接する金型の上面間に、前記金型の型開時に前記扇形ブロック１０を外周側へ付勢するバネ１０ｃを配設してなるようしてもよい。
【００２２】
【発明の効果】
以上のように本発明においては、継鉄部から略Ｉ字型の歯部を等間隔に設けてなる固定子鉄心を、金型の固定型と可動型の内部にセットし、ゲートを通して樹脂を注入し、少なくとも回転子と相対向する前記歯部の先端を除き、樹脂によってインサート成形して前記固定子鉄心を覆い、外周部に外隔壁と、内周部に内隔壁を一体に形成してなる固定子を成形するためのゲートを有する略円柱状の内周型、溝型、略円筒状の外周型などから構成される固定型と、同固定型に対応し同じくゲートを有する略円柱状の内周型、溝型、略円筒状の外周型などから構成される可動型とを、上下に組み合わせてなる固定子の絶縁用成形金型において、前記固定型の外周型の下部に垂直に凹孔を設け、同凹孔に前記固定子鉄心の上端面を押さえ前記外隔壁に当接する積厚吸収可動ブロックを配設するとともに、前記可動型の外周型の上部に、前記固定子鉄心の外周側を開口した略円筒形状の凹部を設け、同凹部に前記固定子鉄心の外周面に当接する等角度に分割した扇形ブロックを配設し、且つ、同扇形ブロックの外周面に、下方に向かい中心側に傾斜させた傾斜面を形成するとともに、同傾斜面に対応する傾斜面を前記可動型の外周型の凹部に形成し、前記金型の型閉時には、前記積厚吸収可動ブロック及び扇形ブロックを固定し、前記金型の型開時には、前記積厚吸収可動ブロックを上方へ移動自在にし、前記扇形ブロックを前記傾斜面に沿って斜め外側上方に摺動自在にすることにより、同扇形ブロックと前記固定子鉄心の間に隙間を生じるようにしてなるようにした。
【００２３】
この結果、電動機の固定子鉄心に、絶縁部材を一体成形する際に、略Ｉ字型の歯部の先端部を通って樹脂が内径側に回り込むことを防止し、生産性を向上した固定子の絶縁用成形金型を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明による固定子の絶縁用成形金型の一実施例を示す要部断面図である。
【図２】（ａ）は、図１における金型閉時を示す要部縦断面図、（ｂ）は、金型開時を示す。
【図３】固定子の絶縁用成形金型の実施例を示す要部縦断面図である。
【図４】本発明による固定子の絶縁用成形金型の他の実施例を示し、（ａ）は、金型閉時を示す要部縦断面図、（ｂ）は、金型開時を示す。
【図５】従来及び本発明の絶縁用成形金型により一体成形される固定子鉄心を示す要部断面図である。
【図６】従来及び本発明の絶縁用成形金型により一体成形される固定子鉄心を示す横断面図である。
【図７】従来の固定子の絶縁用成形金型の一例を示す要部縦断面図である。
【図８】従来の固定子の絶縁用成形金型の一例を示す要部断面図である。
【符号の説明】
１ 固定子鉄心
１ａ 継鉄部
１ｂ Ｉ字型歯部
２ 溝
４ 絶縁部材
４ａ 外隔壁
４ｂ 内隔壁
５ 可動型の内周型
５ａ ゲート
５’固定型の内周型
５’ａ ゲート
６ 可動型の溝型
６’ 固定型の溝型
８ 可動型の外周型
８ａ 傾斜面
８ｂ 凹部
８’ 固定型の外周型
８’ａ 凹孔
９ 積厚吸収可動ブロック
９ａ バネ
１０ 扇形ブロック
１０ａ 傾斜面
１０ｂ バネ
１０ｃ バネ
ＰＬ パーティングライン
Claims (9)
- 継鉄部から略Ｉ字型の歯部を等間隔に設けてなる固定子鉄心を、金型の固定型と可動型の内部にセットし、
ゲートを通して樹脂を注入し、少なくとも回転子と相対向する前記歯部の先端を除き、樹脂によってインサート成形して前記固定子鉄心を覆い、外周部に外隔壁と、内周部に内隔壁を一体に形成してなる固定子を成形するためのゲートを有する略円柱状の内周型、溝型、略円筒状の外周型などから構成される固定型と、同固定型に対応し同じくゲートを有する略円柱状の内周型、溝型、略円筒状の外周型などから構成される可動型とを、上下に組み合わせてなる固定子の絶縁用成形金型において、
前記固定型の外周型の下部に垂直に凹孔を設け、同凹孔に前記固定子鉄心の上端面を押さえ前記外隔壁に当接する積厚吸収可動ブロックを配設するとともに、
前記可動型の外周型の上部に、前記固定子鉄心の外周側を開口した略円筒形状の凹部を設け、同凹部に前記固定子鉄心の外周面に当接する等角度に分割した扇形ブロックを配設し、且つ、同扇形ブロックの外周面に、下方に向かい中心側に傾斜させた傾斜面を形成するとともに、同傾斜面に対応する傾斜面を前記可動型の外周型の凹部に形成し、
前記金型の型閉時には、前記積厚吸収可動ブロック及び扇形ブロックを固定し、前記金型の型開時には、前記積厚吸収可動ブロックを上方へ移動自在にし、前記扇形ブロックを前記傾斜面に沿って斜め外側上方に摺動自在にすることにより、同扇形ブロックと前記固定子鉄心の間に隙間を生じるようにしてなることを特徴とする固定子の絶縁用成形金型。 - 前記積厚吸収可動ブロックを軸と平行方向に付勢するバネを、前記積厚吸収可動ブロックの上端に配設してなることを特徴とする請求項１記載の固定子の絶縁用成形金型。
- 前記積厚吸収可動ブロックの横幅を、前記外隔壁の横幅よりも広くしてなることを特徴とする請求項２記載の固定子の絶縁用成形金型。
- 前記固定型のみに前記積厚吸収可動ブロック及びばねを配設してなることを特徴とする請求項１乃至請求項３記載の固定子の絶縁用成形金型。
- 前記積厚吸収可動ブロックの個数を、前記扇形ブロックの個数と等しく配設してなることを特徴とする請求項１乃至請求項４記載の固定子の絶縁用成形金型。
- 前記固定子鉄心の略Ｉ字型の歯部の個数と、前記扇形ブロックの個数を同一にしてなることを特徴とする請求項１乃至請求項５記載の固定子の絶縁用成形金型。
- 前記固定子鉄心の略Ｉ字型の歯部の中心線と、前記扇形ブロックの中心線を一致させてなることを特徴とする請求項１乃至請求項６記載の固定子の絶縁用成形金型。
- 前記扇形ブロックの互いに当接する側面間に、前記金型の型開時に前記扇形ブロックを外周側へ付勢するバネを配設してなることを特徴とする請求項１乃至請求項７記載の固定子の絶縁用成形金型。
- 前記扇形ブロック底面と同底面に当接する金型の上面間に、前記金型の型開時に前記扇形ブロックを外周側へ付勢するバネを配設してなることを特徴とする請求項１乃至請求項７記載の固定子の絶縁用成形金型。
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