JP3815005B2 - 燃料電池および燃料電池用セパレータ並びに該セパレータの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池および燃料電池用セパレータ並びに該セパレータの製造方法に関し、詳しくは、単セルを複数積層して構成する燃料電池、および、該燃料電池において隣接する単セル間に設けられ、電極との間で燃料ガス流路および酸化ガス流路を形成すると共に、燃料ガスと酸化ガスとを隔てる燃料電池用セパレータ、並びにその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の燃料電池としては、燃料電池の動作環境(燃料電池の動作温度や、燃料ガスおよび酸化ガス雰囲気)での安定性から、カーボンを材料として用いるセパレータを備えるものがよく知られている。カーボンを材料とする燃料電池用セパレータとしては、例えば、カーボン材料を混練して成形したものを焼成して炭化および黒鉛化するものが知られている(例えば、特開平4−214072号公報等)。このようにカーボン材料を成型したものを焼成して炭化および黒鉛化する場合には、カーボン材料にバインダとして加えるフェノール樹脂などが、焼成の工程で水を発生するため、発生した水がセパレータ内に気泡を生じさせ、焼成されたセパレータのガス不透過性が損なわれてしまうおそれがある。したがって、通常は、セパレータのガス不透過性を確保するために、焼成したセパレータにさらにフェノール樹脂などを含浸させて、生じた気泡を塞ぐ処理を行なっている。
【0003】
あるいは、セパレータを製造する他の方法として、黒鉛材料に対して所定量のフェノール樹脂をバインダとして混合したものを、樹脂が黒鉛化しない温度で加熱プレス成形する方法が提案されている(例えば、特開平60−246568号公報等)。このような構成とすれば、炭化や黒鉛化の工程が不要となるため製造工程を簡素化することができ、充分な導電性とガス不透過性を実現するセパレータを、容易に製造することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような構成のセパレータを備える燃料電池では、燃料電池の内部温度が非所望の高温にまで上昇してしまうような事態が発生すると、セパレータに含浸させた樹脂や、バインダとして用いたフェノール樹脂が劣化して、セパレータ全体の強度を充分に保つことができなくなるおそれがあった。通常は、燃料電池の運転状態は充分に監視されており、燃料電池の運転に関わる各部が充分に制御されているが、電気回路に異常が発生したりして制御の状態に不都合を生じると、上記したように燃料電池の内部温度が非所望の高温にまで上昇してしまう場合がある。燃料電池の内部温度が非所望の高温にまで上昇してしまう場合としては、例えば固体高分子型燃料電池においては、具体的には、アノード側に供給される水素を含有する燃料ガスと、カソード側に供給される酸素を含有する酸化ガスとが、クロスリークする場合や、燃料電池のアノード側に供給する燃料ガス中に混入させる空気量を誤った場合などを挙げることができる。
【0005】
ここで、燃料電池で燃料ガスと酸化ガスとの間にクロスリークが起こる原因としては、上記したように燃料電池の運転に関わる制御の状態に生じた不都合に起因して、燃料電池からの出力電圧が大きく低下する場合や、燃料電池を構成する電解質膜が劣化する場合が考えられる。すなわち、燃料電池において通常の電気化学反応が進行しているときには、固体高分子からなる電解質膜では、水和したプロトンがアノード側からカソード側に移動するが、燃料電池からの出力電圧が大きく低下すると(例えば、120mV以下になると)、電解質膜中を水素がカソード側に向かって移動して、水素と酸化ガスとのクロスリークが起こる場合がある。このようなクロスリークが起こると、電解質膜上に備えられた触媒上で水素の酸化反応が進行し、燃料電池内部で非所望の温度上昇が起こる。また、カソード側では、水素濃度が4%を越える場合には、燃焼反応が起こるおそれもある。また、電解質膜は通常は熱圧着によってセパレータと接着されるが、この接着部位が劣化して、燃料ガスと酸化ガスとがクロスリークするおそれもある。すなわち、燃料電池内部では、常にセパレータなどの積層方向に所定の圧力が加えられているが、このように加圧された状態で、電解質膜においてセパレータとの接着部位などが経時的に劣化すると、燃料ガスと酸化ガスとのクロスリークが引き起こされてしまうおそれがある。このような場合にも、触媒上で非所望の酸化反応が進行し、燃料電池の内部温度が上昇しすぎてしまう。
【0006】
さらに、上記したように、燃料電池の運転に関わる制御状態に生じた不都合に起因して、燃料電池のアノード側に供給する燃料ガス中に混入させる空気量を誤った場合にも、同様の異常発熱が起こる。すなわち、燃料電池のアノード側に供給する燃料ガスでは、触媒の一酸化炭素被毒を回避するために、意図的に微量の空気を混入させて燃料ガスを触媒上で酸化させ、触媒温度を上昇させる場合があるが、燃料ガスに混入させる空気量を誤ると、非所望の温度上昇を引き起こしてしまう。
【0007】
燃料電池において、燃料ガスと酸化ガスとのクロスリークなどに起因するこのような異常発熱が起こり、燃料電池の内部温度が上昇する場合には、セパレータを構成するフェノール樹脂は、内部温度が150℃以上になると急激に強度が低下し始め、250℃以上になると分解が始まる。また、燃料電池を構成する電解質膜の耐熱温度も300℃程度であり、上記異常発熱によって燃料電池の内部温度が上昇すると、燃料電池の構造全体を維持する上で支障を生じるようになる。
【0008】
さらに、燃料電池を電気自動車の駆動用電源として用いる際に、この電気自動車が事故を起こして燃料電池を構成する各部材が損傷を受ける場合には、燃料ガスおよび酸化ガスがクロスリークして燃焼反応を引き起こしてしまうおそれもある。このような不慮の事故の際にも、充分な安全性を確保して、災害が拡大してしまうのを防止する方策が望まれていた。
【0009】
本発明の燃料電池および燃料電池用セパレータ並びに該セパレータの製造方法は、こうした問題を解決し、燃料電池の内部温度が上昇しすぎてしまった場合にも、充分な安全性を確保することを目的としてなされ、次の構成を採った。
【0010】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
本発明の燃料電池は、水素を含有する燃料ガスおよび酸素を含有する酸化ガスの供給を受けて、電気化学反応によって起電力を得る燃料電池であって、
前記燃料電池の内部において、前記燃料ガスおよび/または前記酸化ガスの流路を形成する部材の少なくとも一部が、所定の温度に達すると熱分解して臭化水素および水を発生する反応性難燃剤を含有する
ことを要旨とする。
【0011】
以上のように構成された本発明の燃料電池は、燃料電池の内部において、水素を含有する燃料ガスおよび/または酸素を含有する酸化ガスの流路を形成する部材の少なくとも一部が、所定の温度に達すると熱分解して臭化水素および水を発生する反応性難燃剤を含有し、燃料ガスおよび酸化ガスの供給を受けて、電気化学反応によって起電力を得る。
【0012】
このような構成とすれば、燃料電池において、万一、燃料ガスと酸化ガスのクロスリークが起こり、燃料電池内の触媒表面で非所望の酸化反応が進行して、燃料電池の内部温度が上昇しすぎた場合にも、反応性難燃剤が熱分解して臭化水素および水を発生するため、燃料電池の内部温度がそれ以上に上昇しすぎるのを抑え、燃料電池内で燃焼反応が起こるのを防止することができる。
【0013】
本発明の燃料電池において、前記流路を形成する部材はセパレータを備え、該セパレータが前記反応性難燃剤を含有することとしてもよい。このような場合には、燃料電池において、万一、燃料ガスと酸化ガスのクロスリークが起こり、燃料電池内の触媒表面で非所望の酸化反応が進行して、燃料電池の内部温度が上昇しすぎた場合にも、反応性難燃剤が熱分解して臭化水素および水を発生するため、燃料電池の内部温度がそれ以上に上昇しすぎてセパレータの強度が熱によって低下するのを抑え、燃料電池内で燃焼反応が起こるのを防止することができる。
【0014】
ここで、前記セパレータは、前記反応性難燃剤を混在させたカーボン材料によって形成されたこととしてもよい。あるいは、前記セパレータは、導電性部材によって形成され、該導電性部材の表面のうち、前記燃料ガスおよび/または前記酸化ガスの流路を形成する領域の表面を前記反応性難燃剤で被覆してなることとしてもよい。
【0015】
また、本発明の燃料電池において、前記流路を形成する部材はガス拡散電極を備え、該ガス拡散電極が前記反応性難燃剤を含有することとしてもよい。このような場合には、反応性難燃剤が熱分解して臭化水素および水を発生するため、燃料電池の内部温度がそれ以上に上昇しすぎるのを抑え、燃料電池内で燃焼反応が起こるのを防止することができる。
【0016】
本発明のセパレータは、燃料電池用セパレータであって、所定の温度に達すると熱分解して臭化水素および水を発生する反応性難燃剤を含有することを要旨とする。このようなセパレータを用いて燃料電池を構成すれば、燃料電池において、万一、燃料ガスと酸化ガスのクロスリークが起こり、燃料電池内の触媒表面で非所望の酸化反応が進行して、燃料電池の内部温度が上昇しすぎた場合にも、反応性難燃剤が熱分解して臭化水素および水を発生するため、燃料電池の内部温度がそれ以上に上昇しすぎてセパレータの強度が熱によって低下してしまうことがなく、セパレータが燃焼してしまうのを防止することができる。
【0018】
このような本発明のセパレータは、前記反応性難燃剤を混在させたカーボン材料によって形成されたこととしてもよい。また、本発明のセパレータは、導電性部材によって形成され、該導電性部材の表面のうち、前記燃料電池に供給される燃料ガスおよび/または酸化ガスの流路を形成する領域の表面を前記反応性難燃剤で被覆してなることとしてもよい。
【0019】
本発明のガス拡散電極は、燃料電池用ガス拡散電極であって、所定の温度に達すると熱分解して臭化水素および水を発生する反応性難燃剤を含有することを要旨とする。このようなガス拡散電極を用いて燃料電池を構成すれば、燃料電池において、万一、燃料ガスと酸化ガスのクロスリークが起こり、燃料電池内の触媒表面で非所望の酸化反応が進行して、燃料電池の内部温度が上昇しすぎた場合にも、反応性難燃剤が熱分解して臭化水素および水を発生するため、燃料電池の内部温度がそれ以上に上昇しすぎるのを抑え、ガス拡散電極が燃焼してしまうのを防止することができる。
【0021】
本発明の流路形成部材は、水素を含有する燃料ガスおよび酸素を含有する酸化ガスの供給を受けて、電気化学反応によって起電力を得る燃料電池において、該燃料電池の内部で前記燃料ガスおよび/または前記酸化ガスの流路を形成する流路形成部材であって、所定の温度に達すると熱分解して臭化水素および水を発生する反応性難燃剤を含有することを要旨とする。このような流路形成部材を用いて燃料電池を構成すれば、燃料電池において、万一、燃料ガスと酸化ガスのクロスリークが起こり、燃料電池内の触媒表面で非所望の酸化反応が進行して、燃料電池の内部温度が上昇しすぎた場合にも、反応性難燃剤が熱分解して臭化水素および水を発生するため、燃料電池の内部温度がそれ以上に上昇しすぎるのを抑え、流路形成部材が燃焼してしまうのを防止することができる。
【0023】
本発明の第1のセパレータの製造方法は、燃料電池用セパレータの製造方法であって、
(a)カーボン粉末と、所定の温度に達すると熱分解して臭化水素および水を発生する反応性難燃剤を少なくとも含有する熱硬化性樹脂からなるバインダとを混合し、原材料を調製する工程と、
(b)前記工程(a)で調製した前記原燃料を、所定の形状を有する型を用いて、前記バインダが炭化することなく熱硬化する温度で加熱プレス成形する工程と
を備えることを要旨とする。
【0024】
このような本発明の第1のセパレータの製造方法によれば、予めカーボン粉末と、反応性難燃剤からなるバインダとを混合して原材料を調製するので、反応性難燃剤を均一に含有するセパレータを得ることができる。従って、セパレータ全体を難燃化することができる。
【0025】
本発明の第2のセパレータの製造方法は、燃料電池に供給される燃料ガスおよび/または酸化ガスの流路を形成するための凹凸形状を表面に有する燃料電池用セパレータの製造方法であって、
(c)導電性材料を用いて、前記凹凸形状を有する部材を成形する工程と、
(d)前記工程(c)で成型した前記導電性材料からなる部材が有する前記凹凸形状において、前記流路を形成する領域の表面を、所定の温度に達すると熱分解して臭化水素および水を発生する反応性難燃剤で被覆する工程と
を備えることを要旨とする。
【0026】
このような本発明の第2のセパレータの製造方法によれば、ガス流路を形成する領域の表面だけが反応性難燃剤を含有するセパレータを製造することができる。
【0027】
本発明の第1および第2のセパレータの製造方法によってセパレータを製造すれば、燃料電池の内部温度が所定の温度以上に上昇した場合には、反応性難燃剤が熱分解して臭化水素および水を発生し、燃料電池の内部温度がそれ以上に上昇しすぎるのを抑え、燃料電池内で燃焼反応が起こるのを防止することができる燃料電池用セパレータを得ることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以上説明した本発明の構成・作用を一層明らかにするために、以下本発明の実施の形態を実施例に基づき説明する。図1は、第1実施例である燃料電池10の構成単位である単セル28の構成を表わす断面模式図、図2は、燃料電池10の構成を表わす分解斜視図、図3は、単セル28を積層したスタック構造14の外観を表わす斜視図である。本実施例の燃料電池10は、難燃剤を含有するセパレータを備え、燃料電池内の温度が上昇しすぎることによって生じる不都合を抑えることを特徴としているが、まず最初に、図1ないし図3に基づいて、燃料電池10の構成について説明する。
【0029】
燃料電池10は、固体高分子型燃料電池である。固体高分子型燃料電池は、湿潤状態で良好な導電性を示す固体高分子から成る膜を電解質層として備えており、通常は単セルを複数積層したスタック構造を有している。このような燃料電池は、アノード側に水素を含有する燃料ガスの供給を受け、カソード側に酸素を含有する酸化ガスの供給を受けて、以下に示す電気化学反応を進行する。
【0030】
H2 → 2H++2e- …(1)
(1/2)O2+2H++2e- → H2O …(2)
H2+(1/2)O2 → H2O …(3)
【0031】
(1)式はアノードにおける反応、(2)式はカソードにおける反応を表わし、燃料電池全体では(3)式に示す反応が進行する。このように、燃料電池は、燃料電池に供給される燃料が有する化学エネルギを直接電気エネルギに変換するものであり、エネルギ効率が非常に高い装置として知られている。燃料電池10の構成単位である単セル28は、図1に示すように、電解質膜21と、アノード22およびカソード23と、セパレータ24,25とから構成されている。
【0032】
アノード22およびカソード23は、電解質膜21を両側から挟んでサンドイッチ構造を成すガス拡散電極である。セパレータ24,25は、このサンドイッチ構造をさらに両側から挟みつつ、アノード22およびカソード23との間に、燃料ガスおよび酸化ガスの流路を形成する。アノード22とセパレータ24との間には燃料ガス流路24Pが形成されており、カソード23とセパレータ25との間には酸化ガス流路25Pが形成されている。実際に燃料電池を組み立てるときには、上記単セル28を所定の枚数積層してスタック構造14を形成する。
【0033】
図1では、各セパレータ24,25の片面においてだけガス流路を成すリブが形成されているように表わされているが、実際の燃料電池10では、図2に示すように、両方の面にそれぞれリブ54およびリブ55を形成したセパレータ30を用いている。セパレータ30の片面に形成されたリブ54は隣接するアノード22との間で燃料ガス流路24Pを形成し、セパレータ30の他面に形成されたリブ55は隣接する単セルが備えるカソード23との間で酸化ガス流路25Pを形成する。このようにセパレータ30は、ガス拡散電極との間でガスの流路を形成すると共に、隣接する単セル間で燃料ガスと酸化ガスとの流れを分離する役割を果たしている。
【0034】
ここで、電解質膜21は、固体高分子材料、例えばフッ素系樹脂により形成されたプロトン伝導性のイオン交換膜であり、湿潤状態で良好な電気伝導性を示す。本実施例では、ナフィオン膜(デュポン社製)を使用した。電解質膜21の表面には、触媒としての白金または白金と他の金属からなる合金が塗布されている。触媒を塗布する方法としては、白金または白金と他の金属からなる合金を担持したカーボン粉を作製し、この触媒を担持したカーボン粉を適当な有機溶剤に分散させ、電解質溶液(例えば、Aldrich Chemical社、Nafion Solution)を適量添加してペースト化し、電解質膜21上にスクリーン印刷するという方法をとった。あるいは、上記触媒を担持したカーボン粉を含有するペーストを膜成形してシートを作製し、このシートを電解質膜21上にプレスする構成も好適である。
【0035】
アノード22およびカソード23は、共に炭素繊維からなる糸で織成したカーボンクロスにより形成されている。なお、本実施例では、アノード22およびカソード23をカーボンクロスにより形成したが、炭素繊維からなるカーボンペーパまたはカーボンフエルトにより形成する構成も好適である。
【0036】
セパレータ30は、難燃剤を混合した黒鉛粉末を加熱プレス成形した成形カーボンにより形成されている。このセパレータ30の製造方法については、後に詳しく説明する。セパレータ30は、既述したようにその両面にリブ54,55を形成しており、それぞれ、アノード22およびカソード23との間で燃料ガス流路24Pおよび酸化ガス流路25Pを形成する。本実施例の燃料電池10では、各セパレータの表面に形成されたリブ54,55は平行に形成された複数の溝状の構造とし、セパレータの両面で、それぞれ直交する方向にリブ54とリブ55とを形成した。
【0037】
また、セパレータ30の周辺部には、4つの穴構造が設けられている。燃料ガス流路34Pを形成するリブ54を連絡する燃料ガス孔50,51と、酸化ガス流路35Pを形成するリブ55連絡する酸化ガス孔52,53である。燃料電池10を組み立てたときには、各セパレータ30が備える燃料ガス孔50,51は、燃料電池10内部をその積層方向に貫通する燃料ガス供給マニホールド56および燃料ガス排出マニホールド57を形成する。また、各セパレータ30が備える酸化ガス孔52,53は、同じく燃料電池10内部をその積層方向に貫通する酸化ガス供給マニホールド58および酸化ガス排出マニホールド59を形成する。
【0038】
以上説明した各部材を備える燃料電池20を組み立てるときには、セパレータ30、アノード22、電解質膜21、カソード23、セパレータ30の順序で順次重ね合わせ、その両端にさらに集電板36,37、絶縁板38,39、エンドプレート40,41を配置して、図3に示すスタック構造14を完成する。集電板36,37にはそれぞれ出力端子36A,37Aが設けられており、燃料電池10で生じた起電力を出力可能となっている。
【0039】
スタック構造14を構成するときの各部材の積層順序は上述した通りであるが、電解質膜21の周辺部には、セパレータ30と接する領域において所定のシール部材が設けられる。このシール部材は、各単セル内部から燃料ガスおよび酸化ガスが漏れ出すのを防ぐと共に、スタック構造14内において燃料ガスと酸化ガスとが混合してしまうのを防止する役割を果たす。
【0040】
エンドプレート40は、図3に示すように2つの穴構造を備えている。一つは燃料ガス孔42、もう一つは酸化ガス孔44である。エンドプレート40と隣接する絶縁板38および集電板36は、エンドプレート40が備える2つの穴構造と対応する位置に同様の2つの穴構造を形成している。この燃料ガス孔42は、セパレータ30の備える燃料ガス孔50の中央部に開口している。なお、燃料電池10を動作させるときには、燃料ガス孔42と図示しない燃料供給装置とが接続され、水素リッチな燃料ガスが燃料電池10内部に供給される。同様に、酸化ガス孔44は前記セパレータ30の備える酸化ガス孔52の中央部に対応する位置に形成されている。燃料電池10を動作させるときには、この酸化ガス孔44と図示しない酸化ガス供給装置とが接続され、酸素を含有する酸化ガスが燃料電池20内部に供給される。ここで、燃料ガス供給装置と酸化ガス供給装置は、それぞれのガスに対して所定量の加湿および加圧を行なって燃料電池20に供給する装置である。
【0041】
また、エンドプレート41は、エンドプレート40とは異なる位置に2つの穴構造を備えている。絶縁板39、集電板37もまたエンドプレート41と同様の位置に、それぞれ2つの穴構造を形成している。エンドプレート41が備える穴構造の一つ燃料ガス孔43はセパレータ30の備える燃料ガス孔51の中央部に対応する位置に開口している。もう一つの穴構造である酸化ガス孔45はセパレータ30の備える酸化ガス孔53の中央部に対応する位置に開口している。燃料電池10を動作させるときには、燃料ガス孔43には図示しない燃料ガス排出装置が接続され、酸化ガス孔45には図示しない酸化ガス排出装置が接続される。
【0042】
以上説明した各部材からなるスタック構造14は、その積層方向に所定の押圧力がかかった状態で保持され、燃料電池10が完成する。スタック構造14を押圧する構成については、本発明の要部に直接対応するものではないため図示は省略した。スタック構造14を押圧しながら保持するには、スタック構造14をボルトとナットを用いて締め付ける構成としても良いし、あるいは所定の形状のスタック収納部材を用意して、このスタック収納部材の内部にスタック構造14を収納した上でスタック収納部材の両端部を折り曲げて、スタック構造14に押圧力を作用させる構成としても良い。
【0043】
次に、以上のような構成を備えた燃料電池10における燃料ガスおよび酸化ガスの流れについて説明する。燃料ガスは、上記した所定の燃料ガス供給装置から、エンドプレート40に形成された燃料ガス孔42を経て燃料電池20内部に導入される。燃料電池10内部で燃料ガスは、燃料ガス供給マニホールド56を介して各単セル28が備える燃料ガス流路24Pに供給され、各単セル28のアノード側で進行する電気化学反応に供される。燃料ガス流路24Pから排出された燃料ガスは、燃料ガス排出マニホールド57に集合してエンドプレート41の燃料ガス孔43に達し、この燃料ガス孔43から燃料電池10の外部へ排出されて、所定の燃料ガス排出装置に導かれる。
【0044】
同様に酸化ガスは、上記した所定の酸化ガス供給装置から、エンドプレート40に形成された酸化ガス孔44を経て燃料電池10内部に導入される。燃料電池10内部で酸化ガスは、酸化ガス供給マニホールド58を介して各単セル28が備える酸化ガス流路25Pに供給され、各単セル28のカソード側で進行する電気化学反応に供される。酸化ガス流路25Pから排出された酸化ガスは、酸化ガス排出マニホールド59に集合してエンドプレート41の酸化ガス孔45に達し、この酸化ガス孔45から上記所定の酸化ガス排出装置に排出される。
【0045】
次に、本発明のセパレータ30の製造方法について説明する。図4は、セパレータ30の製造工程を表わす説明図である。図4に示したセパレータ30の製造工程は、カーボン粉末にバインダを加えた原材料粉末を用いて加熱プレスによって成形するという従来知られる成形カーボンの製造工程と、類似する工程から成る同様の流れによって構成されているが、原燃料粉末に難燃材を加えることを特徴としている。以下、図4に基づいて、セパレータ30の製造方法を説明する。セパレータ30を製造するには、まず、原材料粉末の調製を行なう(ステップS100)。ここでは、原材料粉末として、カーボン粉末(天然黒鉛粉末)に対して、難燃剤であり熱硬化性樹脂であるブロム化エポキシ樹脂を、バインダとして12重量%添加した。次に、この原燃料粉末を均一に混練する(ステップS110)。ここでは、上記原材料粉末に対して溶媒としてメチルエチルケトン(MEK)を加えて、全体をスラリ化した。
【0046】
本実施例では、カーボン粉末に加えるブロム化エポキシ樹脂の量は、カーボン粉末量の12%としたが、異なる割合のブロム化エポキシ樹脂をカーボン粉末に加えることとしてもよい。加える樹脂量を減らすほどセパレータ全体の導電性は向上するが、加える樹脂量を増やすほどセパレータの難燃性は向上する。したがって、カーボン粉末に加える樹脂量は、結果的にセパレータが示すことになる導電性および難燃性などを考慮して適宜決定すればよく、8〜20%程度とすることが好ましい。
【0047】
熱硬化性樹脂は、所定の温度に加熱することによって熱硬化反応を起こす樹脂であり、カーボン粉末を主要な材料とするセパレータ30に対して所定の硬度を与えると共に、カーボン粉末を互いに結着させる役割を果たす。本実施例で用いたブロム化エポキシ樹脂は、難燃性を有する熱硬化性樹脂であるため、セパレータに難燃性を付与すると共に、バインダとして働くことができる。なお、バインダとしてカーボン粉末に加える熱硬化性樹脂のすべてをブロム化エポキシ樹脂とする必要はなく、バインダの一部を他の熱硬化性樹脂で置き換えてもよい。バインダとして用いることができる熱硬化性樹脂としては、加熱時に熱硬化反応を起こし、燃料電池10の運転温度および燃料電池10に供給するガスの各成分に対して安定であれば良い。セパレータにおいて充分な結着性および強度を実現するために、ブロム化エポキシ樹脂の他に、他種のエポキシ樹脂やフェノール樹脂、あるいは尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂等を所定量加えることとしてもよい。
【0048】
ステップS110において原材料粉末を均一なスラリにすると、次にこのスラリをスプレードライヤ装置に充填して、乾燥・造粒した(ステップS120)。ステップS120で得られる粒子は、カーボン粉末とブロム化エポキシ樹脂とが均一に混合された状態となっている。なお、本実施例では、スプレードライヤ装置を用いることによって、スラリの乾燥と造粒とを同時に行なったが、スラリを乾燥した後、これを粉砕してもよい。また、原材料粉末を均一に混合可能であれば、上記した湿式混練に代えて、樹脂が硬化しない程度の温度(室温から100℃程度)において原材料粉末を混合する乾式混練を行なってもよい。
【0049】
ここで、上記した原材料の調整時には各材料は粉末のものを用いたが、これらの各材料は、既述した湿式混練や乾式混練によって、許容できる程度に均一に混合可能な形状であればよい。充分な均一さに混合するためには、上記原材料は、1〜300μm程度の粒子からなることが好ましい。
【0050】
このようにして調製した原材料からなる粒子を、所定形状の金型に充填する(ステップS130)。この金型は、これを用いてプレス成形することによって、図2に示した形状のセパレータ30を形成可能となる凹凸形状を内面に有するものである。ここで、面圧0.7ton/cm2 、180℃にてプレスすることで、図2に示した所定の形状を有するセパレータ30が製造される(ステップS140)。なお、プレス時の面圧は、製造されるセパレータ30が充分な強度を有するならば、異なる値としてもよい。
【0051】
上記ステップS130のプレス成形時に、金型を180℃で加熱することによって、熱硬化性樹脂であるブロム化エポキシ樹脂が溶解すると共に熱硬化反応が起こり、プレス成形と同時にセパレータ30を完成させることができる。ここで、プレス成形時の加熱温度は、上記した樹脂の溶解および熱硬化反応がおこる条件であればよく、例えば、140〜220℃の温度範囲で1〜30分間という範囲の中で適宜決定することができる。あるいは、熱硬化性樹脂が溶解するものの熱硬化反応は起こさない温度範囲(80〜100℃)でプレス成形を行なった後に、成形されたセパレータを所定の加熱炉内で140〜220℃で30〜600分間加熱することによって熱硬化性樹脂の熱硬化を行ない、セパレータ30を完成させることとしても良い。この場合には、プレス成形時に熱硬化性樹脂を溶解させることによって、他の原材料粒子間に熱硬化性樹脂を行き渡らせて充分な結着性を得ることができる。また、プレス時には熱硬化反応を完了させる必要がないためプレス工程の時間を短縮することができ、また、熱硬化反応は後でまとめて行なうことができるため、多量のセパレータを製造する場合に有利となる。この熱硬化反応のために行なう加熱は、選択した熱硬化性樹脂が熱硬化可能であって、熱硬化性樹脂等の構成材料が劣化しない温度範囲および加熱時間であれば良い。
【0052】
上記したプレス成形を行なうときに、上記金型内の空気が原材料粉末中に取り込まれてプレスが行なわれると、成形されたセパレータ30内に空気が残留してセパレータ30内に気泡が形成されることがある。このようにセパレータ30内部を貫通する気泡が形成されると、燃料ガスと酸化ガスとを隔てるセパレータとしての役割が損なわれてしまうおそれがある。従って、プレス成形時には上記金型内を10torr以下に排気しておき、セパレータ30内に空気が残留するのを防ぐ構成とすることが望ましい。
【0053】
以上説明したように製造したセパレータ30を用い、燃料電池において燃料ガスと酸化ガスとがクロスリークした際に燃焼反応が起こるのを防止する効果を確認するために、単セル28の耐発火性を評価する実験を行なった。まず、このようなセパレータ30と、カーボンクロスからなるアノード22およびカソード23と、固体高分子からなる電解質膜21とを用いて、単セル28を組み立てた。このように構成した単セル28に対して、アノード側には燃料ガスとして水素ガスを、カソード側には酸化ガスとして空気を供給し、その際、燃料ガスと酸化ガスとの間のクロスリークを想定して、酸化ガスである空気に5%の水素を添加した。
【0054】
一方、このような耐発火性の評価を行なう際に、従来技術に従って製造したセパレータを用いて同様に組み立てた単セルに対して、同様のガスを供給する実験を、対照実験として行なった。既述したように、図4に示したセパレータ30の製造方法は、従来知られる成形カーボンの製造方法と共通する流れから成っており、この対照実験で用いたセパレータは、図4に示したセパレータ30の製造方法と同様の流れに従ってセパレータを製造する際に、ステップS100の原材料粉末の調製の工程で、カーボン粉末に対して、難燃材を加えずBA樹脂のみをバインダとして加えて製造した。
【0055】
上記した燃料ガスおよび酸化ガスを各単セルの両極に供給すると、触媒表面では酸化反応が進行して単セルの内部温度が上昇を始めるが、本実施例の単セル28では、内部温度が250℃程度に達すると、セパレータ30を製造する際にバインダとして用いたブロム化エポキシ樹脂が熱分解する。ブロム化エポキシ樹脂は、熱分解すると、臭化水素を発生すると共に水を発生する。発生した臭化水素は、熱と酸素からセパレータ30を遮断すると共に、発生した水は単セル28内部で生じる燃焼熱を低下させる。したがって、単セル28内では、ブロム化エポキシ樹脂が熱分解する温度以上に内部温度が上昇してしまうのが抑えられる。
【0056】
これに対して、対照実験で用いた単セルでは、単セルの内部の温度は上昇を続け、セパレータを製造する際にバインダとして用いた樹脂は熱分解してセパレータの強度が低下する。やがて単セルの内部温度は、固体高分子からなる電解質膜の耐熱温度を超え、単セル内部で発火してセパレータの構造が破損してしまう。
【0057】
このように、本実施例のセパレータ30を備える燃料電池10によれば、セパレータ30が難燃剤であるブロム化エポキシ樹脂を含有しているため、燃料電池内の温度が上昇しすぎることによって生じる不都合を抑えることができる。燃料電池の内部温度が上昇しすぎてしまう不測の異常時としては、既述したように、燃料電池からの出力電圧が大きく低下してしまったり、燃料電池を構成する電解質膜が劣化したりして、アノード側に供給される水素を含有する燃料ガスと、カソード側に供給される酸素を含有する酸化ガスとが、クロスリークしてしまう場合などを挙げることができる。このように、燃料ガスと酸化ガスとがクロスリークして、燃料電池10の内部で非所望の酸化反応が進行し、燃料電池10の内部温度が上昇を始めると、セパレータ30が含有するブロム化エポキシ樹脂は、250℃程度で分解を始める。ブロム化エポキシ樹脂は熱分解すると、臭化水素を発生すると共に、酸素と反応して大量の水を生じる。生じた臭化水素はセパレータ30を熱と酸素とから遮断し、発生した水は燃料電池10の内部温度を低下させる。したがって、ブロム化エポキシ樹脂が熱分解することによって、燃料電池10の内部温度がブロム化エポキシ樹脂の分解温度以上に上昇してしまうのを抑えることができる。このように燃料電池10の内部温度の上昇が抑えられることで、セパレータ30や電解質膜21などの燃料電池10を構成する部材の構造が、高熱によって損なわれてしまうのを抑えることができる。また、万一、燃料電池10の内部温度が250℃以上にまで温度が急上昇した場合にも、セパレータ30が含有するブロム化エポキシ樹脂は難燃剤であるため、直ちにセパレータ30の構造が損なわれてしまうことはなく、燃料電池10が燃焼反応を起こして被害が拡大してしまうのを防止することができる。
【0058】
上記実施例において、セパレータ30が含有する難燃剤は、ブロム化エポキシ樹脂としたが、このブロム化エポキシ樹脂としては、例えば、テトラブロムビスフェノールA(TBBA)を原料とするものを挙げることができる。すなわち、TBBAを原料として臭素の含有率が48〜50%の高ブロム化樹脂(HBR)、あるいは、TBBAとビスフェノールAジグリシジルエーテル(BA樹脂)とを共重合して製造される臭素含有率が20〜24%の低ブロム化樹脂などを挙げることができる。
【0059】
また、上記第1実施例では、セパレータ30の原材料として用いるカーボン粉末は天然黒鉛粉末を用いたが、他種のカーボン粉末を用いることとしてもよい。天然黒鉛粉末の他に、例えば、カーボンブラックや熱膨張黒鉛などを用いることができ、コストなどの条件を考慮して適宜選択すればよい。
【0060】
上記第1実施例では、カーボン粉末を加熱プレス成形してセパレータ30を製造する際に、難燃性樹脂をバインダとして用いることによって、燃料電池10において燃料ガスと酸化ガスとのクロスリークが起こったときにも、燃料電池10の内部温度が上昇しすぎたり燃焼反応が起きてしまうのを防止した。ここで、セパレータに難燃性を備えさせるには、上記したようにセパレータ全体に難燃性樹脂を混在させる構成とする他に、セパレータの一部、特に、セパレータの表面において燃料ガスおよび/または酸化ガスの流路を形成する面を、難燃性樹脂を含有する材料で被覆することとしてもよい。このような構成を第2実施例として以下に説明する。
【0061】
図5は、第2実施例の燃料電池を構成する単セル28Bの様子を表わす断面模式図である。この単セル28Bにおいて、第1実施例と共通する部材には同じ番号を付して詳しい説明は省略する。第2実施例の単セル28Bでは、電解質膜21をアノード22およびカソード23によって両側から挟持するサンドイッチ構造を、さらに外側からセパレータ24Bおよび25Bによって挟持している。第1実施例と同様に、第2実施例の単セル28Bにおいても、セパレータ24Bとアノード22との間には燃料ガス流路24Pが形成されており、セパレータ25Bとカソード23との間には酸化ガス流路25Pが形成されている。また、図5では、各セパレータ24B,25Bの片面においてだけガス流路を成すリブが形成されているように表わされているが、実際の燃料電池では、図2に示したセパレータ30と同様に、両面にリブを形成したセパレータを用いている(以下、これをセパレータ30Bとする)。セパレータ30Bの片面に形成されたリブ54は隣接するアノード22との間で燃料ガス流路24Pを形成し、セパレータ30Bの他面に形成されたリブ55は隣接する単セルが備えるカソード23との間で酸化ガス流路25Pを形成する。このようなセパレータ30Bにおいて、燃料ガス流路24Pおよび酸化ガス流路25Pを形成する領域の表面には、難燃性樹脂層60が形成されている。
【0062】
第2実施例のセパレータ30Bの製造方法を図6に示す。セパレータ30Bを製造するには、まず、図4に示したセパレータ30の製造方法におけるステップS100と同様に、原材料粉末の調製を行なう(ステップS200)。ここで、カーボン粉末に加えるバインダとしては、セパレータ30の場合とは異なり、ブロム化エポキシ樹脂の代わりに、難燃性を有しない熱硬化性樹脂(本実施例ではBA樹脂)を用いる。あるいは、BA樹脂以外であっても、ブロム化エポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂やフェノール樹脂など、難燃性を有しない他種の熱硬化性樹脂を用いることとしてもよい。
【0063】
ステップS200に続くステップS210からステップS240までの工程は、図4におけるステップS110からステップS140までの工程と同様の動作であるため、詳しい説明は省略する。ステップS240において加熱プレス成形を行なって、所定の形状を有するセパレータ部材を作製すると、本実施例では、さらに、このカーボン材料によって形成されたセパレータ部材表面の所定の領域(燃料電池を構成したときに、燃料ガス流路24Pおよび酸化ガス流路25Pを形成する領域を含む領域)を、難燃性樹脂でコーティングする工程を行なう(ステップS250)。
【0064】
難燃性樹脂を用いて上記セパレータ部材をコーティングしてセパレータ30Bを完成させる際には、まず、難燃性樹脂を含有するペーストを作製する。このペーストは、カーボンブラックなどの炭素材料に、ブロム化エポキシ樹脂などの難燃性樹脂を10〜50%(本実施例では20%)程度加えたものを、所定の溶媒(アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類など)中に分散させて得る。このペーストを、上記セパレータ部材表面の上記所定の領域に塗布する。あるいは、上記炭素材料と難燃性樹脂とを所定の溶剤中に分散させた液を、セパレータ部材上の上記所定の領域にスプレーすることとしてもよい。このような処理を施したセパレータ部材を乾燥させることによって、セパレータ部材表面の所定の領域を、難燃性樹脂でコーティングすることができる。ここで、セパレータ部材をコーティングする難燃性樹脂の層の厚みは、上記ペーストの濃度やスプレー量などによって調節することができる。本実施例では、難燃性樹脂の厚みは100μmとした。この厚みは、セパレータ部材が表面に有するリブ(燃料電池内でガス流路を形成する溝構造)の深さなどを考慮して決定すればよく、50〜300μm程度とすることが好適である。
【0065】
なお、セパレータ部材の表面を上記したように難燃性樹脂でコーティングすると、セパレータ部材表面でリブを形成する凹凸面のすべてが難燃性樹脂層で覆われた状態となっている。したがって、セパレータ30Bを完成させるには、セパレータ部材表面に形成された凹凸において、凸面上の難燃性樹脂層を削り取る必要がある。セパレータ部材の凸面は、完成したセパレータ30Bにおいて、ガス拡散電極との接触面に対応する。したがって、セパレータ部材の凸面上の難燃性樹脂層を取り除くことによって、燃料電池を構成したときにセパレータ30Bとガス拡散電極との間の接触面における導電性を確保することができる。このように、セパレータ部材の凸面上の難燃性樹脂層を取り除くことによって、セパレータ30Bを完成することができる。このようなセパレータ30Bを用いて燃料電池を構成すれば、セパレータ30B表面の凹面を覆う難燃性樹脂層だけが残っているため、図7に示すように、燃料ガス流路24Pおよび酸化ガス流路25Pを形成する表面が難燃性樹脂層60で覆われた状態とすることができる。
【0066】
以上説明したように製造したセパレータ30Bを用い、燃料電池において燃料ガスと酸化ガスとがクロスリークした際に燃焼反応が起こるのを防止する効果を確認するために、単セル28Bの耐発火性を評価する実験を行なった。第1実施例のセパレータ30の場合と同様に、まず、セパレータ30Bと、カーボンクロスからなるアノード22およびカソード23と、固体高分子からなる電解質膜21とを用いて、単セル28Bを組み立てた。このように構成した単セル28Bに対して、アノード側には燃料ガスとして水素ガスを、カソード側には酸化ガスとして空気を供給し、その際、燃料ガスと酸化ガスとの間のクロスリークを想定して、酸化ガスである空気に5%の水素を添加した。ここで、第1実施例の場合と同様に、従来技術に従って製造したセパレータを用いて同様に組み立てた単セルを用い、同様のガスを供給する実験を対照実験として行なった。
【0067】
上記した燃料ガスおよび酸化ガスを各単セルの両極に供給すると、触媒表面では酸化反応が進行して単セルの内部温度が上昇を始めるが、本実施例の単セル28Bでは、内部温度が250℃程度に達すると、セパレータ30Bにおいて、燃料ガス流路24Pおよび酸化ガス流路25Pを形成する領域の表面を被覆する難燃性樹脂層60に含有されたブロム化エポキシ樹脂が熱分解する。既述したように、ブロム化エポキシ樹脂は、熱分解すると、臭化水素を発生すると共に水を発生し、発生した臭化水素は、熱と酸素からセパレータ30Bを遮断すると共に、発生した水は単セル28B内部で生じる燃焼熱を低下させる。したがって、単セル28B内では、ブロム化エポキシ樹脂が熱分解する温度以上に内部温度が上昇してしまうのが抑えられる。これに対して、対照実験で用いた単セルでは、単セルの内部の温度は上昇を続け、セパレータを製造する際にバインダとして用いた樹脂は熱分解してセパレータの強度が低下する。やがて単セルの内部温度は、固体高分子からなる電解質膜の耐熱温度を超え、単セル内部で発火してセパレータの構造が破損してしまう。
【0068】
第2実施例のセパレータ30Bを備える燃料電池によれば、第1実施例と同様に、セパレータ30Bの表面において、燃料ガス流路24Pおよび酸化ガス流路25Pを形成する領域が、難燃剤であるブロム化エポキシ樹脂によって被覆されているため、燃料電池内の温度が上昇しすぎることによって生じる不都合を抑えることができる。燃料ガスと酸化ガスとがクロスリークして燃料電池の内部温度が上昇を始めると、セパレータ30Bの表面を被覆するブロム化エポキシ樹脂は、250℃程度で分解を始める。ブロム化エポキシ樹脂は熱分解すると、臭化水素を発生すると共に、酸素と反応して大量の水を生じる。生じた臭化水素はセパレータを熱と酸素とから遮断し、発生した水は燃料電池の内部温度を低下させる。したがって、ブロム化エポキシ樹脂が熱分解することによって、燃料電池の内部温度がブロム化エポキシ樹脂の分解温度以上に上昇してしまうのを抑えることができる。このように温度上昇が抑えられることで、セパレータ30Bや電解質膜21などの燃料電池を構成する部材の構造が高熱によって損なわれてしまうのを抑えることができる。また、万一、燃料電池の内部温度が250℃以上にまで温度が急上昇した場合にも、セパレータ30Bが含有するブロム化エポキシ樹脂は難燃剤であるため、燃料電池10Bが燃焼反応を起こして被害が拡大してしまうのを防止することができる。
【0069】
なお、上記した第2実施例では、セパレータ30Bはカーボン粉末を主原料とし、これにバインダを加えて加熱プレス成形することによって製造したが、金属材料(例えば金メッキなどの耐腐食処理を施したステンレス)でセパレータを形成することとしてもよい。このように、金属製のセパレータ表面において、燃料ガス流路および酸化ガス流路を形成する領域を難燃性エポキシ樹脂で被覆する場合にも、第2実施例と同様に、燃料電池の内部温度が上昇しすぎてしまうのを抑え、燃料電池で燃焼反応が起こるのを防止する効果を得ることができる。
【0070】
既述した第1および第2実施例では、全体あるいは一部の領域に難燃剤を含有するセパレータを用いることによって、燃料電池において燃料ガスと酸化ガスとのクロスリークが起こったときにも、燃料電池の内部温度が上昇しすぎたり燃焼反応が起きてしまうのを防止している。ここで、上記した効果を得るためには、燃料電池において燃料ガス流路および酸化ガス流路を形成するセパレータ以外の部材、例えばガス拡散電極に難燃剤を備えさせることとしてもよい。このような構成を第3実施例として以下に説明する。
【0071】
図7は、第3実施例の燃料電池を構成する単セル28Cの様子を表わす断面模式図である。この単セル28Cにおいて、第1実施例と共通する部材には同じ番号を付して詳しい説明は省略する。第3実施例の単セル28Cでは、電解質膜21を、難燃剤を含有するアノード22Cおよびカソード23Cによって両側から挟持しており、このサンドイッチ構造を、さらに外側からセパレータ24Cおよび25Cによって挟持している。第1実施例と同様に、第3実施例の単セル28Cにおいても、セパレータ24Cとアノード22Cとの間には燃料ガス流路24Pが形成されており、セパレータ25Cとカソード23Cとの間には酸化ガス流路25Pが形成されている。また、図7では、各セパレータ24C,25Cの片面においてだけガス流路を成すリブが形成されているように表わされているが、実際の燃料電池では、図2に示したセパレータ30と同様に、両面にリブを形成したセパレータを用いている(以下、これをセパレータ30Cとする)。セパレータ30Cの片面に形成されたリブ54は隣接するアノード22Cとの間で燃料ガス流路24Pを形成し、セパレータ30Cの他面に形成されたリブ55は隣接する単セルが備えるカソード23Cとの間で酸化ガス流路25Pを形成する。
【0072】
第3実施例のセパレータ30Cは、図6に示した第2実施例のセパレータ30Bの製造方法と同様の製造方法によって製造されるが、セパレータ30Bと異なり、ステップS240に対応する加熱プレス成形の工程でセパレータ30Cを完成し、ステップS250に対応するセパレータ表面の一部を難燃性樹脂で被覆する工程は行なわない。すなわち、第3実施例のセパレータ30Cは、従来知られる成形カーボンと同様に、カーボン粉末と、難燃性を有しない熱硬化性樹脂とからなる原材料を加熱プレス成形することによって製造され、第1および第2実施例のセパレータと異なり、難燃剤を備えていない。
【0073】
また、第3実施例のガス拡散電極(アノード22Cおよびカソード23C)は、第1および第2実施例のアノード22およびカソード23と同様に、カーボンクロスによって形成されているが、本実施例は、難燃剤を含むペーストをこのカーボンクロスに塗布したことを特徴としている。難燃剤を含むペーストは、カーボンブラックなどの炭素材料に、ブロム化エポキシ樹脂などの難燃性樹脂を10〜50%(本実施例では20%)程度加えたものを、所定の溶媒(アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類など)中に分散させて得る。このペーストには、ガス拡散電極において撥水性を実現するために、さらにポリテトラフルオロエチレン(PTFE、商品名テフロン)などを加えることとしてもよい。このようにして作製した難燃剤を含むペーストを、カーボンクロスの両面に塗布してアノード22Cおよびカソード23Cを完成する。
【0074】
以上説明したように製造したガス拡散電極を用い、燃料電池において燃料ガスと酸化ガスとがクロスリークした際に燃焼反応が起こるのを防止する効果を確認するために、単セル28Cの耐発火性を評価する実験を行なった。第1実施例および第2実施例と同様に、まず、セパレータ30Cと、カーボンクロスからなるアノード22Cおよびカソード23Cと、固体高分子からなる電解質膜21とを用いて、単セル28Cを組み立てた。このように構成した単セル28Cに対して、アノード側には燃料ガスとして水素ガスを、カソード側には酸化ガスとして空気を供給し、その際、燃料ガスと酸化ガスとの間のクロスリークを想定して、酸化ガスである空気に5%の水素を添加した。ここで、第1および第2実施例の場合と同様に、従来技術に従って製造したセパレータを用いて同様に組み立てた単セルを用い、同様のガスを供給する実験を対照実験として行なった。
【0075】
上記した燃料ガスおよび酸化ガスを各単セルの両極に供給すると、触媒表面では酸化反応が進行して単セルの内部温度が上昇を始めるが、本実施例の単セル28Cでは、内部温度が250℃程度に達すると、アノード22Cおよびカソード23Cにおいて、カーボンクロスに塗布されたペースト中に含まれるブロム化エポキシ樹脂が熱分解する。既述したように、ブロム化エポキシ樹脂は、熱分解すると、臭化水素を発生すると共に水を発生し、発生した臭化水素は、熱と酸素からセパレータ30Cを遮断すると共に、発生した水は単セル28C内部で生じる燃焼熱を低下させる。したがって、単セル28C内では、ブロム化エポキシ樹脂が熱分解する温度以上に内部温度が上昇してしまうのが抑えられる。これに対して、対照実験で用いた単セルでは、単セルの内部の温度は上昇を続け、セパレータを製造する際にバインダとして用いた樹脂は熱分解してセパレータの強度が低下する。やがて単セルの内部温度は、固体高分子からなる電解質膜の耐熱温度を超え、単セル内部で発火してセパレータの構造が破損してしまう。
【0076】
第3実施例のガス拡散電極を備える燃料電池によればアノード22Cおよびカソード23Cが、難燃剤であるブロム化エポキシ樹脂を含有するペーストを塗布されているため、燃料電池内の温度が上昇しすぎることによって生じる不都合を抑えることができる。燃料ガスと酸化ガスとがクロスリークして燃料電池の内部温度が上昇を始めると、ガス拡散電極が備えるブロム化エポキシ樹脂は、250℃程度で分解を始める。ブロム化エポキシ樹脂は熱分解すると、臭化水素を発生すると共に、酸素と反応して大量の水を生じる。生じた臭化水素はセパレータを熱と酸素とから遮断し、発生した水は燃料電池の内部温度を低下させる。したがって、ブロム化エポキシ樹脂が熱分解することによって、燃料電池の内部温度がブロム化エポキシ樹脂の分解温度以上に上昇してしまうのを抑えることができる。このように温度上昇が抑えられることで、セパレータ30Cや電解質膜21などの燃料電池を構成する部材の構造が高熱によって損なわれてしまうのを抑えることができる。なお、燃料電池の内部温度を非所望の高温にしてしまう酸化反応は、触媒上で進行する。本実施例では、ガス拡散電極が難燃剤であるブロム化エポキシ樹脂を備えており、セパレータがブロム化エポキシ樹脂を備える第1および第2実施例の構成よりも、より触媒に近い位置にブロム化エポキシ樹脂を配置している。したがって、本実施例の構成は、第1および第2実施例の構成に比べて、さらに、燃料電池の内部温度が上昇しすぎてしまうのを抑える効果が大きくなる。
【0077】
上述したように、第1ないし第3実施例では、難燃剤として反応性難燃剤であるブロム化エポキシ樹脂を用いたため、燃料電池内が所定温度以上に昇温したときには、このブロム化エポキシ樹脂が熱分解して臭化水素および水を生じ、燃料電池内の温度がそれ以上に上昇しすぎてしまうのを防ぐ構成となっている。ここで、上記した各構成において、ブロム化エポキシ樹脂のような反応性難燃剤の代わりに、非反応性難燃剤を用いても、燃料電池の内部温度が上昇しすぎて燃焼反応が起こってしまう不都合を抑えるという所定の効果を得ることができる。非反応性難燃剤は、難燃性は示すが、熱分解することによってガスなどは生じない物質であり、例えば、ブロム化グリシジルエーテル樹脂やブロム化ノボラック樹脂などのブロム化合物や、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウムなどを挙げることができる。上記した各構成において、ブロム化エポキシ樹脂の代わりにこのような非反応性難燃剤を用いると、通常の熱硬化性樹脂が熱分解してしまう温度にまで燃料電池の内部温度が昇温してしまった場合にも、セパレータなどの構成部材の強度が低下することがなく、燃焼反応を防止することができる。
【0078】
以上本発明の実施例について説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々なる様態で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】単セル28の構成を表わす断面模式図である。
【図2】燃料電池10の構成を表わす分解斜視図である。
【図3】図3は、単セル28を積層したスタック構造14の外観を表わす斜視図である。
【図4】セパレータ30の製造工程を表わす説明図である。
【図5】第2実施例の単セル28Bの構成を表わす断面模式図である。
【図6】セパレータ30Bの製造工程を表わす説明図である。
【図7】第3実施例の単セル28Cの構成を表わす断面模式図である。
【符号の説明】
10…燃料電池
14…スタック構造
20…燃料電池
21…電解質膜
22,22C…アノード
23,23C…カソード
24,25,24B,25B,24C,25C…セパレータ
24P…燃料ガス流路
25P…酸化ガス流路
28,28B,28C…単セル
30,30B,30C…セパレータ
34P…燃料ガス流路
35P…酸化ガス流路
36,37…集電板
36A,37A…出力端子
38,39…絶縁板
40,41…エンドプレート
42,43…燃料ガス孔
44,45…酸化ガス孔
50,51…燃料ガス孔
52,53…酸化ガス孔
54,55…リブ
56…燃料ガス供給マニホールド
57…燃料ガス排出マニホールド
58…酸化ガス供給マニホールド
59…酸化ガス排出マニホールド
60…難燃性樹脂層
Claims (12)
- 水素を含有する燃料ガスおよび酸素を含有する酸化ガスの供給を受けて、電気化学反応によって起電力を得る燃料電池であって、
前記燃料電池の内部において、前記燃料ガスおよび/または前記酸化ガスの流路を形成する部材の少なくとも一部が、所定の温度に達すると熱分解して臭化水素および水を発生する反応性難燃剤を含有する
燃料電池。 - 前記流路を形成する部材はセパレータを備え、該セパレータが前記反応性難燃剤を含有する
請求項1記載の燃料電池。 - 前記セパレータは、前記反応性難燃剤を混在させたカーボン材料によって形成された
請求項2記載の燃料電池。 - 前記セパレータは、導電性部材によって形成され、該導電性部材の表面のうち、前記燃料ガスおよび/または前記酸化ガスの流路を形成する領域の表面を前記反応性難燃剤で被覆してなる
請求項2記載の燃料電池。 - 前記流路を形成する部材はガス拡散電極を備え、該ガス拡散電極が前記反応性難燃剤を含有する
請求項1記載の燃料電池。 - 燃料電池用セパレータであって、
所定の温度に達すると熱分解して臭化水素および水を発生する反応性難燃剤を含有するセパレータ。 - 前記反応性難燃剤を混在させたカーボン材料によって形成された請求項6記載のセパレータ。
- 導電性部材によって形成され、該導電性部材の表面のうち、前記燃料電池に供給される燃料ガスおよび/または酸化ガスの流路を形成する領域の表面を前記反応性難燃剤で被覆してなる
請求項6記載のセパレータ。 - 燃料電池用ガス拡散電極であって、
所定の温度に達すると熱分解して臭化水素および水を発生する反応性難燃剤を含有するガス拡散電極。 - 水素を含有する燃料ガスおよび酸素を含有する酸化ガスの供給を受けて、電気化学反応によって起電力を得る燃料電池において、該燃料電池の内部で前記燃料ガスおよび/または前記酸化ガスの流路を形成する流路形成部材であって、
所定の温度に達すると熱分解して臭化水素および水を発生する反応性難燃剤を含有する流路形成部材。 - 燃料電池用セパレータの製造方法であって、
(a)カーボン粉末と、所定の温度に達すると熱分解して臭化水素および水を発生する反応性難燃剤を少なくとも含有する熱硬化性樹脂からなるバインダとを混合し、原材料を調製する工程と、
(b)前記工程(a)で調製した前記原燃料を、所定の形状を有する型を用いて、前記バインダが炭化することなく熱硬化する温度で加熱プレス成形する工程と
を備えることを特徴とするセパレータの製造方法。 - 燃料電池に供給される燃料ガスおよび/または酸化ガスの流路を形成するための凹凸形状を表面に有する燃料電池用セパレータの製造方法であって、
(c)導電性材料を用いて、前記凹凸形状を有する部材を成形する工程と、
(d)前記工程(c)で成型した前記導電性材料からなる部材が有する前記凹凸形状において、前記流路を形成する領域の表面を、所定の温度に達すると熱分解して臭化水素および水を発生する反応性難燃剤で被覆する工程と
を備えることを特徴とするセパレータの製造方法。
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