JP3814710B2 - 高強度冷間成形非調質緩衝・復元機構部材用鋼材の製造方法 - Google Patents

高強度冷間成形非調質緩衝・復元機構部材用鋼材の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、冷間加工性が良好な非調質の高強度鋼材の製造方法であって、自動車のスタビライザ等の緩衝・復元機構部材用として使用される鋼材の製造技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車の旋回時にロールを少なくし、乗り心地及び走行安定性を向上させる懸架機構上の重要保安部品にスタビライザがある。図3に、自動車用リンク式懸架装置の構造例の概略斜視図を示す。スタビライザは、同図に示すようなリンク式懸架装置1を備えた自動車に取り付けられる。スタビライザ2は棒材を曲げ加工した形状をなす鋼部材であり、上記自動車の乗り心地や走行安定性の向上を確保する機能を有するものである。従って、このスタビライザに対しては、十分な強度と耐久性とが要求される。
【0003】
従来、自動車用スタビライザは、その素材の鋼種として、S48C等の炭素鋼やSUP9等のばね鋼が用いられている。その製法としては、上記鋼種の棒鋼又は線材を用いて熱間成形し、熱処理を施して製造されている。図4に、スタビライザの従来の主要工程図を示す。同図のように、熱間圧延により製造された棒鋼又は線材を切断し、熱間で鍛造及び曲げ成形をし、得られた成形品に焼入れ焼戻しを施すことにより、所定の強度に調質するという工程がとられている。
【0004】
また、上記スタビライザの製造工程においては、その素材となる棒鋼や線材の鋼材特性として、製造過程における塑性加工が容易であることがあげられる。即ち、従来、スタビライザの通常の製造工程では、熱間圧延により製造された棒鋼又は線材を切断した後、熱間で鍛造及び曲げ成形をする。従って、熱間での塑性加工性に十分優れていることが要求される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来、自動車用スタビライザの素材鋼種として使用されているS48C等の炭素鋼では、熱間圧延後、調質をしても950MPa級の強度しか得られない。従って、強度が1150MPa以上のスタビライザを製造するためには、SUP9等のばね鋼の調質により供給されている。しかしながら、この場合には、熱間圧延後の鋼材に焼入れ焼戻しをしなければならないので、工程が煩雑であり、コストも上昇するという問題がある。
【0006】
従って、この発明の目的は、従来、スタビライザにはSUP9等のばね鋼を調質して、引張強さを1150MPa以上に調質して用いているが、製造工程の簡略化とコスト低減をしつつ、SUP9等のばね鋼の代替として安定的に使用可能な鋼材を、非調質で製造し、引張強さを1150MPa以上を確保することにあり、しかも、最終成形工程での割れや折損等の不具合を生ずることなく、曲げ加工が著しく容易な高強度で冷間成形用に適しているスタビライザ、及びこれに等に代表される緩衝・復元機構部材用の鋼材の製造方法を提供することにある。但し、この発明において、非調質とは、鋼材の焼入れ焼戻し処理による材質特性の調質を行なわないことを指し、例えば、歪み取り焼鈍のような低温度での加熱処理等も非調質に含まれるものとする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上述した観点から、1150MPa以上の高強度であって、冷間成形に適した非調質の緩衝・復元機構部材用鋼材を開発すべく鋭意研究を重ねた。その結果、熱間圧延ままの非調質状態で、所望の強度を安定して得るためには、種々ある析出硬化元素の中でも、炭窒化物を形成する元素の中でVが最も低温で鋼中に固溶することを知見した。そして、Vを主力元素とし、適量添加し、更にその他の析出硬化元素を適量添加すれば、低温での熱間圧延が可能となり、且つ、圧延後の冷却速度を適切な範囲に制御することにより、前述した目的を達成することができるとの見通しを得た。
【0008】
この発明は、上述した知見に基づきなされたものであって、この発明の要旨は次の通りである。
請求項1記載の高強度冷間成形非調質の緩衝・復元機構部材用鋼材の製造方法は、C:0.05〜0.30mass%、Si:0.10〜1.00mass%、Mn:1.00〜3.50mass%、Cr:1.00〜3.50mass%、Mo:0.10〜0.90mass%、sol.Al:0.020〜0.080mass%、V:0.100〜0.400mass%、及び、N:0.0050〜0.0150mass%を含有し、残部Fe及び不可避不純物からなる化学成分組成を有する鋼片を950〜1150℃の範囲内に加熱した後、仕上圧延を750〜950℃の範囲内で行ない、前記仕上圧延後の冷却速度を5〜50℃/secの範囲内に制御することに特徴を有するものである。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の成分組成に、更に、Ti:0.005〜0.020mass%、及び、Nb:0.005〜0.025mass%の内1種又は2種を含み、且つ、下記(1)式:
V+Ti+Nb:0.105〜0.405mass% --------------(1)
の関係を満たすことを付加したことに特徴を有するものである。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の成分組成に、更に、Ti:0.005〜0.020mass%、及び、B:0.0005〜0.0050mass%を含むことを付加したことに特徴を有するものである。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の成分組成に、更に、Ti:0.005〜0.020mass%、及び、Nb:0.005〜0.025mass%の内1種又は2種を含み、且つ、下記(1)式:
V+Ti+Nb:0.105〜0.405mass% --------------(1)
の関係を満たし、そして、B:0.0005〜0.0050mass%を含むことを付加したことに特徴を有するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
この発明は、上述した鋼材の化学成分組成、熱間圧延条件及び熱間圧延後の鋼材の冷却速度条件にしたがって、所要の鋼片を加熱し、熱間圧延し、そして冷却することにより、棒鋼又は線材を製造するものである。図1に、本発明の実施により得られた棒鋼又は線材を素材としてスタビライザを製造する主要工程図を示す。かかる工程を実施する設備としては、従来常用されている、鋼材の加熱設備、熱間圧延設備及び冷却設備、並びに通常の、冷間曲げ成形、歪み取り焼鈍及び仕上加工設備があればよい。
【0013】
次に、この発明において、鋼材の化学成分組成、棒鋼又は線材の熱間圧延条件及び熱間圧延後の鋼材の冷却速度を上述した通り限定した理由を説明する。
〔化学成分組成の限定理由〕
▲1▼C:0.05〜0.30mass%
Cは、鋼の強度を確保するのに有効な元素であり、このためには0.05mass%以上含有させることが必要である。しかしながら、その含有率が0.30mass%を超えると、冷間曲げ成形性等の加工性や、靱性が劣化する。従って、C含有率は0.05〜0.30mass%の範囲内に限定する。
【0014】
▲2▼Si:0.10〜1.00mass%
Siは、鋼の溶製時に脱酸剤として作用すると共に、基地の固溶強化に役立つ元素であり、このためには0.10mass%以上含有させることが必要である。しかしながら、その含有率が1.00mass%を超えると、冷間曲げ成形性等の加工性が劣化する。従って、Si含有率は0.10〜1.00mass%の範囲内に限定する。
【0015】
(3)Mn:1.00〜3.50mass%Mnは、鋼の溶製時に脱酸剤及び脱硫剤として作用し、Sによる材質劣化を阻止するのに有効でると共に、焼入れ性向上元素として働き、更に、基地組織を微細化し、靱性の向上に寄与する。このような効果を得るためにはMnは1.00mass%以上含有させることが必要である。しかしながら、このような効果はその含有率が3.50mass%を超えると飽和し、一方、鋼材におけるMnの偏析度を増加させて靱性が劣化する。従って、Mn含有率は1.00〜3.50mass%の範囲内に限定する。
【0016】
▲4▼Cr:1.00〜3.50mass%
Crは、Mnと同様に、焼入れ性向上元素として働くと共に、脱炭や黒鉛化を抑えるのに有効な元素である。これらの効果を得るためにはCrは1.00mass%以上含有させることが必要である。しかしながら、その含有率が3.50mass%を超えると、靱性が低下する。従って、Cr含有率は1.00〜3.50mass%の範囲内に限定する。
【0017】
▲5▼Mo:0.10〜0.90mass%
Moも、Mn及びCrと同様に、焼入れ性向上元素として働くと共に、基地の強靱化に効果がある。このような効果を得るためにはMoは0.10mass%以上含有させることが必要である。しかしながら、その含有率が0.90mass%を超えるとその効果は飽和する。従って、Mo含有率は0.10〜0.90mass%の範囲内に限定する。
【0018】
▲6▼sol.Al:0.020〜0.080mass%、V:0.100〜0.400mass%、且つ、N:0.0050〜0.0150mass%
sol.Al、V及びNは、本発明に主要な構成元素であり、それぞれ上記の範囲内の含有率を組み合わせて含有させることにより、Alの窒化物及びVの炭窒化物生成による熱間圧延後の結晶粒の微細化を適切に行なうことができ、非調質で引張強さを1150MPa 以上にすることが可能となる。
【0019】
▲7▼V:0.100〜0.400mass%
Vは、炭窒化物を形成し、圧延前の比較的低い加熱温度でこれが固溶し、熱間圧延中にこの炭窒化物が微細に析出し、再結晶を抑制して基地組織を微細化すると共に、析出硬化により強度を高める。こうして、非調質であっても1150MPa 以上の引張強さを得るのに有効な元素である。このためには、Vは0.100mass%以上含有させることが必要である。しかしながら、その含有率が0.400mass%を超えると、靱性を劣化させ、製鋼上の取扱いも困難になる。従って、V含有率は0.100〜0.400mass%の範囲内に限定する。
【0020】
(8)Ti:0.005〜0.020mass%、及び、Nb:0.005〜0.025mass%の内から1種又は2種、且つ、V+Ti+Nbの合計含有率:0.105〜0.405mass%Ti及びNbはずれも、炭窒化物を形成し、熱間圧延中にこれらの炭窒化物が微細に析出して再結晶を抑制し、基地組織を微細化すると共に、析出硬化により強度を高めるのに有効である。この効果は、TiとNbに共通しており、Ti:0.005〜0.020mass%、Nb:0.005〜0.025mass%において、Ti及びNbの内1種又は2種を含んでいる場合に発揮される。一方、Vにも上述したTi及びNbの作用・効果と共通する作用・効果がある。従って、V+Ti+Nbの合計含有率が適正値より多すぎると、靱性を劣化させる。かかる靱性劣化を引き起こさないために、V+Ti+Nbの合計含有率は、0.405mass%以下とすべきである。一方、基地組織の微細化と析出硬化とによる強度向上の効果を発揮さるために、V+Ti+Nbの合計含有率は0.105mass%以上とすべきである。従って、V+Ti+Nbの合計含有率は0.105〜0.405mass%の範囲内に限定する。
【0021】
▲9▼B:0.0005〜0.0050mass%
Bは、極めて微量の添加で焼入れ性を向上させる元素である。この効果を得るには0.0005mass%以上を含有することが必要である。しかしながら、その含有率が0.0050mass%を超えても、その効果は飽和する。従って、B含有率は0.0005〜0.0050mass%の範囲内に限定する。なお、上述したところから、Bを0.0005〜0.0050mass%、及びTiを0.005〜0.020mass%含有させることにより、それぞれの添加効果が発揮されて一層強靱化される。
【0022】
〔熱間圧延条件及び熱間圧延後の冷却速度の限定理由〕
上述した通り本発明においては、析出硬化元素としてsol.AlとNを所要量確保すると共に、特にVを主力元素として採用し、材質特性上の必要性に応じて更に、Ti及び/又はNbを添加したことを特徴としている。また、更に、焼入れ性を一層向上させるために、Bを適量添加したことを特徴としている。こうして、非調質で1150MPa 以上の引張強さが得られることを特徴としている。即ち、本発明のような非調質鋼において、V、Ti、Nb等の炭窒化物を析出させ、強度の上昇をはかるものである。そのためには、熱間圧延前の加熱により、これらの析出物を鋼に固溶させることが必要である。そのため、従来、1150℃以上に加熱し、熱間圧延されているが、圧延前の加熱温度が高く、圧延前の初期結晶粒の粗大化が避けられなかった。熱間圧延条件について、中間及び仕上圧延で低温圧延をしても、結晶粒の微細化には初期結晶粒の影響があり、圧延前の加熱温度をなるべく低温で行なう必要があった。
【0023】
これに対して、本発明者等は、析出硬化元素の中で、炭窒化物を形成する元素の中でVが最も低温で固溶することを見い出した。そこで、析出硬化元素としてVを含有させることにし、本発明におけるC及びVの含有率範囲内では、950℃以上に加熱すれば、Vの炭窒化物は十分に固溶することを確認した。更に、sol.Al、Nb及びNを適量添加することにより、NbC、AlNを加熱時に残存させて、初期結晶粒の粗大化防止に寄与させることができた。しかしながら、加熱温度が高過ぎると、圧延前の結晶粒が粗大化する。従って、加熱温度を950〜1150℃の範囲内に限定した。
【0024】
また、組織を微細化するため、熱間圧延における仕上温度を低温で行なうべく、仕上圧延温度範囲を750〜950℃の範囲内に限定した。更に、仕上圧延後の冷却条件が、組織の微細化の程度や炭窒化物の析出の程度を決定するものと考え、本発明者等は、非調質で1150MPa 以上の引張強さを得るには、熱間圧延後の冷却速度を、5〜50℃/secの範囲内に制御する必要があることを見い出した。
【0025】
上述した知見により、本発明者等は、熱間圧延条件及び熱間圧延後の冷却速度を限定した。
上記知見は、自動車のスタビライザの製造技術の研究より得られたものである。但し、かかる知見は、自動車のスタビライザ製造のみならず、その他このスタビライザと同じ鋼材特性を必要とするものに広く適用することができる。従って、上述した製造技術は、スタビライザをはじめとする種々の緩衝及び復元機構部材に、広く適用できる。
【0026】
【実施例】
次に、この発明を、実施例によって更に詳細に説明する。
表1に示す鋼No.1〜16の化学成分の鋼を溶製し、連続鋳造したブルームより鋼片圧延した160mm角ビレットを、表2及び3に示す熱間圧延条件で20mmφに棒鋼圧延した。鋼No.17のみは、従来鋼SUP9の化学成分であるため、常法にしたがった条件で熱間圧延をし、同じく20mmφの棒鋼に圧延した。試験材調製方法の詳細は次の通りである。
【0027】
【表1】
Figure 0003814710
【0028】
表1に示した化学成分の内、鋼No.1〜13は本発明範囲内の成分組成(「本発明成分」という)、鋼No.14〜17は本発明範囲外の成分組成で、この内鋼No.14〜16は比較のための成分組成(「比較成分」という)、鋼No.17はSUP9の成分組成(「従来成分」という)である。
【0029】
【表2】
Figure 0003814710
【0030】
【表3】
Figure 0003814710
【0031】
棒鋼圧延は、鋼No.1〜16の本発明成分及び比較成分のいずれのビレットについても、同じ鋼No.のものを本発明範囲内の熱間圧延条件(加熱温度、仕上温度、冷却速度)(「本発明熱延条件」という)、ないし本発明範囲外の熱間圧延条件(「比較熱延条件」という)で行なった。こうして、本発明成分のビレットを本発明熱延条件で圧延した棒鋼(実施例1〜16)、並びに、それ以外のもの、即ち、成分組成又は熱間圧延条件の内少なくとも一つが本発明範囲外で圧延した棒鋼(比較例1〜24)を製造した。
【0032】
次いで、上記実施例1〜16及び比較例1〜24のすべての棒鋼について、熱間圧延ままのもの(実施例1a〜16a及び比較例1a〜24a)、並びに、熱間圧延後に350℃で低温焼鈍をしたもの(実施例1b〜16b及び比較例1b〜24b)の試験材を調製した。
【0033】
なお、鋼No.17のSUP9のビレットは常法による熱間圧延で棒鋼を製造した後、焼入れ焼戻しをし(比較例25)、試験材を調製した。
また、すべての試験材について成分分析をし、表1に示した溶鋼の成分組成と、棒鋼試験材の成分組成との間には実質的な差はないことを確認した。
【0034】
こうして調製された試験材について、引張試験を行なった。その結果を、表4〜8に示す。これらの結果より、熱間圧延条件からみると、圧延時の加熱温度が高い場合、あるいは仕上温度が高い場合、また圧延後の冷却速度が小さい場合に、0.2%耐力、伸び及び絞りが小さいことが確認された。また、化学成分組成が本発明の範囲から外れている場合も、引張強さ、0.2%耐力、伸び及び絞りが小さいことがわかった。
【0035】
【表4】
Figure 0003814710
【0036】
【表5】
Figure 0003814710
【0037】
【表6】
Figure 0003814710
【0038】
【表7】
Figure 0003814710
【0039】
【表8】
Figure 0003814710
【0040】
これに対して、本発明範囲内の成分組成で且つ本発明範囲内の熱間圧延条件による実施例1a〜16a及び実施例1b〜16bでは、いずれにおいても、どの機械的性質も良好であり、焼入れ焼戻しを行なった現用鋼SUP9と同等の引張強さが得られると共に、伸び、絞りも高水準の値が得られることが確認された。なお、図2に、実施例1a〜16a、1b〜16b、及び比較例1a〜16a、1b〜16bの結果より、両者についての引張強さ及び絞りをプロットした。実施例において引張強さ及び絞り共に優れている。
【0041】
更に、本発明範囲内の20mmφ棒鋼である実施例1〜16、及び本発明範囲外の20mmφ棒鋼である比較例17、19及び22について、熱間圧延ままのものを、曲げ半径20mm及び40mmの2水準で、冷間での90°曲げを行なった後、350℃で低温焼鈍を行なった(実施例1c〜16c、及び比較例17c、19c及び22c)。そして曲げ部のビッカース硬さを測定するとともに、曲げ部表面を目視観察した。
表9に、これらのビッカース硬さを示す。
【0042】
【表9】
Figure 0003814710
【0043】
実施例1c〜16cではいずれも、曲げ半径によらず高水準のビッカース硬さが得られ、比較例17c、19c及び22cに比べ優れたものであった。また、実施例1c〜16cではいずれも、曲げ加工に際し、割れや折損等の発生は全くみられず、良好な塑性加工性を示した。
【0044】
次に、耐久性を確認するために、本発明範囲内の実施例1b〜16bについて、実用のスタビライザに仕上げ加工した後、±588MPaの応力で20万回の振幅を加えた疲労試験を行なった。その結果、いずれの実施例においても、亀裂や破損等の不具合は全く発生せず、耐疲労性が良好であることが確認された。
【0045】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明により製造された鋼材は、非調質で1150MPa以上の引張強さを得ると共に、冷間曲げ性が良好で塑性加工性に優れており、この鋼材を用いれば、疲労強度が良好な耐久性に優れたスタビライザ等、緩衝・復元機構部材が安価に製造される。本発明によればこのような、高強度冷間成形非調質の緩衝・復元機構部材用鋼材を提供することができ、工業上有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により得られた鋼材を素材として自動車用スタビライザを製造する主要工程図である。
【図2】実施例及び比較例についての引張強さと絞りとの関係を示し、その水準を比較するグラフである。
【図3】自動車用リンク式懸架装置の構造例の斜視図を示す。
【図4】自動車用スタビライザの従来の主要工程図を示す。
【符号の説明】
1 リンク式懸架装置
2 スタビライザ

Claims (4)

  1. C :0.05〜0.30mass%、
    Si:0.10〜1.00mass%、
    Mn:1.00〜3.50mass%、
    Cr:1.00〜3.50mass%、
    Mo:0.10〜0.90mass%、
    sol.Al:0.020〜0.080mass%、
    V :0.100〜0.400mass%、及び、
    N :0.0050〜0.0150mass%
    を含有し、残部Fe及び不可避不純物からなる化学成分組成を有する鋼片を950〜1150℃の範囲内に加熱した後、仕上圧延を750〜950℃の範囲内で行ない、前記仕上圧延後の冷却速度を5〜50℃/secの範囲内に制御することを特徴とする、高強度冷間成形非調質の緩衝・復元機構部材用鋼材の製造方法
  2. 請求項1記載の緩衝・復元機構部材用鋼材に、更に、その化学成分として、
    Ti:0.005〜0.020mass%、及び、
    Nb:0.005〜0.025mass%
    の内1種又は2種を含み、且つ、下記(1)式:
    V+Ti+Nb:0.105〜0.405mass% --------------(1)
    の関係を満たすことを付加したことを特徴とする、高強度冷間成形非調質の緩衝・復元機構部材用鋼材の製造方法
  3. 請求項1記載の緩衝・復元機構部材用鋼材に、更に、その化学成分として、
    Ti:0.005〜0.020mass%、及び、
    B :0.0005〜0.0050mass%
    を含むことを付加したことを特徴とする、高強度冷間成形非調質の緩衝・復元機構部材用鋼材の製造方法
  4. 請求項1記載の緩衝・復元機構部材用鋼材に、更に、その化学成分として、
    Ti:0.005〜0.020mass%、及び、
    Nb:0.005〜0.025mass%
    の内1種又は2種を含み、且つ、下記(1)式:
    V+Ti+Nb:0.105〜0.405mass% --------------(1)
    の関係を満たし、そして、
    B :0.0005〜0.0050mass%
    を含むことを付加したことを特徴とする、高強度冷間成形非調質の緩衝・復元機構部材用鋼材の製造方法
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