JP3814335B2 - 薄型スイッチおよびスイッチ付表示パネル - Google Patents

薄型スイッチおよびスイッチ付表示パネル Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えばFA(ファクトリーオートメーション)機器、自動販売機、自動券売機、情報機器、家庭電気製品、医療用の操作機器等に用いられる薄型スイッチおよびそれを用いたスイッチ付表示パネルに関する。
【0002】
【先行技術】
薄型スイッチの典型的なものにタッチパネルがある。タッチパネルは、要約すれば、1以上のスイッチ部を有していてそれを押し込みストロークがほぼ0で、即ち触れるか軽く押す程度で操作可能なパネル状のスイッチと言うことができる。
【0003】
情報表示機能を有する表示パネル上にこのようなタッチパネルを重ねた構造のスイッチ付表示パネルが従来から提案されているが(例えば実開昭61−723号公報参照)、タッチパネルは極めて薄型化が可能であるけれどもスイッチ部の押し込みストロークがほぼ0であるためスイッチ部を操作したというストローク感(これは操作感とも呼ばれる)を得ることができないという課題を有している。また、表示パネル上にスイッチ機構を設けてストローク感を出してはいるが、表示パネルの表示内容をイメージガイドで浮き上がらせなければならない構造のスイッチ付表示パネルも従来から提案されているが(例えば特開平6−44857号公報参照)、これは、イメージガイドが高価でしかも画質が粗くかつ表示内容を斜め方向から見にくい等の課題を有している。そこでこれらの課題を解決した薄型スイッチおよびそれを用いたスイッチ付表示パネルが同一出願人によって先に提案されている。
【0004】
その一例を図12を参照して説明すると、このスイッチ付表示パネルは、情報表示機能を有する表示パネル2上に、薄型スイッチ26を重ねた構造をしている。
【0005】
表示パネル2は、典型的には液晶ディスプレイであり、それには通常は、後述するタッチパネル4のスイッチ部4aの下部付近に、当該スイッチ部4aの操作によって選択される内容、例えばFAにおける制御内容、自動券売機における行先等を表示する表示領域2aが形成されている。
【0006】
薄型スイッチ26は、透明薄板間に外部から軽く(即ちストロークがほぼ0で)押されることによってオンする1以上のスイッチ部4aを設けて成る抵抗膜式のタッチパネル4と、このタッチパネル4のスイッチ部4a上に設けられた1以上の操作機構部20とを備えている。
【0007】
各操作機構部20は、タッチパネル4のスイッチ部4aを押してオンさせる上下に可動で透明の押ボタン21と、この押ボタン21の周辺部付近に設けられていて押ボタン21の矢印Aで示すような上下の直線的な動きをガイドするガイド部材22と、押ボタン21の周辺部付近に設けられていて押ボタン21に復帰力を与える復帰手段23とをそれぞれ備えている。
【0008】
復帰手段23は、この例では、ガイド部材22の上部に押ボタン21を取り囲むように設けられた磁性板25と、押ボタン21の周縁部であってこの磁性板25の下側に位置する部分に設けられていて当該磁性板25を吸引する可動側磁石24とを備えている。
【0009】
このスイッチ付表示パネルにおいては、常時は可動側磁石24が磁性板25を強く吸引しており、押ボタン21を押し下げる場合、初めはある程度強く押し下げないと押ボタン21は下がらないが、押ボタン21が少しでも下がると、可動側磁石24が磁性板25を吸引する力は急に弱くなるので、押し下げは急に軽くなる。これは、スナップアクションまたはクリック感とも呼ばれており、これがあるとスイッチの操作感は一層良好になる。押すのを止めれば、可動側磁石24が磁性板25を吸引する力によって押ボタン21は自動復帰する。
【0010】
このようにこのスイッチ付表示パネルは、押ボタン21を押し込むストロークを確保することができるので、従来の人が直接タッチパネルを押す構造のスイッチ付表示パネルと違って、明確なストローク感を得ることができる。かつ上述したようにクリック感をも得ることができる。
【0011】
しかも、スイッチにタッチパネル4を用いており、押ボタン21と表示パネル2との間に機械的なスイッチ機構を設ける必要がないので、押ボタン21と表示パネル2との間を、ストローク感を得るのに必要な距離(例えば0.数mm〜2mm程度)だけ残して近づけることができる。従って、押ボタン21の奥のすぐ近くに表示パネル2の表示内容が表示されることになるので、従来のイメージガイドで表示を浮き上がらせる構造のスイッチ付表示パネルと違って、イメージガイドが不要になる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上記薄型スイッチ26は、押ボタン21の押圧操作を止めると押ボタン21が自動復帰するため、当該薄型スイッチ26自身には、スイッチ状態の自己保持機能がない。従って、押ボタン21の押圧操作を止めると、タッチパネル4のスイッチ部4aからの信号出力は無くなる。また、押ボタン21が自動復帰するため、押ボタン21の状態だけでは、スイッチ状態(例えばオン状態かオフ状態か)を確認することはできない。従って、上記薄型スイッチ26を、例えば電源スイッチ等に使用されるタンブラスイッチ(操作ボタンを起伏させることにより開閉されるスイッチ)のように使用することはできない。
【0013】
タッチパネルの極めて薄型化が可能であるという特長を生かしつつ、タンブラスイッチ的な使用が可能な、即ち、スイッチ状態の自己保持機能を有しており、かつ押ボタンの状態によってスイッチ状態の確認が可能な薄型スイッチおよびそれを用いたスイッチ付表示パネルに対する要望があり、この発明はそれに応えるものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
この発明の薄型スイッチは、1以上のスイッチ部を有していてそれを押し込みストロークがほぼ0で操作可能なタッチパネルと、このタッチパネル上に配置されていてそのスイッチ部を操作する1以上の操作機構部とを備えており、かつ各操作機構部が、当該押ボタンを二つの領域に分ける線上の下面側に支点用突起を有していてそれが前記タッチパネルに当接していて当該支点用突起を支点にして二方向に揺動可能な押ボタンと、この押ボタンの上面側であってその二つの領域の外側端部付近にそれぞれ設けられた可動側磁性体と、この可動側磁性体に対向する上方に配置された固定側磁性体とを備えていて、この可動側磁性体と固定側磁性体の少なくとも一方が、相手側の磁性体を吸引する永久磁石であり、常時は、前記可動側磁性体の内の一方と固定側磁性体とが互いにほぼ平行になる状態で吸着しており、かつ前記タッチパネルには、各押ボタンの二つの領域の少なくとも一方の下方に位置する部分に、当該押ボタンを押したときに当該領域の下面部によって操作されるスイッチ部が設けられていることを特徴とする。
【0015】
また、この発明のスイッチ付表示パネルは、情報表示機能を有する表示パネルと、この表示パネル上に重ねられていて、1以上のスイッチ部を有していてそれを押し込みストロークがほぼ0で操作可能な透明または半透明のタッチパネルと、このタッチパネル上に配置されていてそのスイッチ部を操作する1以上の操作機構部とを備えており、かつ各操作機構部が、当該押ボタンを二つの領域に分ける線上の下面側に支点用突起を有していてそれが前記タッチパネルに当接していて当該支点用突起を支点にして二方向に揺動可能な透明または半透明の押ボタンと、この押ボタンの上面側であってその二つの領域の外側端部付近にそれぞれ設けられた可動側磁性体と、この可動側磁性体に対向する上方に配置された固定側磁性体とを備えていて、この可動側磁性体と固定側磁性体の少なくとも一方が、相手側の磁性体を吸引する永久磁石であり、常時は、前記可動側磁性体の内の一方と固定側磁性体とが互いにほぼ平行になる状態で吸着しており、かつ前記タッチパネルには、各押ボタンの二つの領域の少なくとも一方の下方に位置する部分に、当該押ボタンを押したときに当該領域の下面部によって操作されるスイッチ部が設けられていることを特徴とする。
【0016】
上記薄型スイッチによれば、その押ボタンの上がっている方の領域を押すと、そちら側の可動側磁性体と固定側磁性体間の吸着が急に(即ちクリック感を伴って)外れて押ボタンはその支点用突起を支点にして一定のストロークで回動し、それによってタッチパネルのスイッチ部を操作(例えばオン)することができる。それと同時に、押されたのと反対側の領域が上がってそちら側の可動側磁性体と固定側磁性体とが強く吸着するので、押ボタンの押し下げを止めてもその状態が保持される。このようにこの薄型スイッチは、スイッチ状態の自己保持機能を有している。
【0017】
しかも押ボタンは、常にそのいずれか一方の領域が下がり他方の領域が上がっていて、その状態を目視や指で触れること等によって確認することができる。従って、この押ボタンの状態によってスイッチ状態の確認が可能である。
【0018】
上記スイッチ付表示パネルは、実質的には、タッチパネルを用いた上記のような薄型スイッチを表示パネル上に重ねた構造をしており、押ボタンと表示パネルとの間に機械的なスイッチ機構を設ける必要がないので、押ボタンと表示パネルとの間を非常に接近させることができ、それによって押ボタンの奥のすぐ近くに表示パネルの表示内容が表示されることになるので、イメージガイドが不要になる。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1は、タッチパネルが抵抗膜式である薄型スイッチ50を用いたスイッチ付表示パネルの実施例を部分的に示す断面図である。図2は、図1中の押ボタンの平面図である。
【0020】
この実施例のスイッチ付表示パネルは、情報表示機能を有する表示パネル2上に、薄型スイッチ50を重ねた構造をしている。
【0021】
薄型スイッチ50は、表示パネル2上に重ねられた抵抗膜式のタッチパネル4と、このタッチパネル4上に配置されていてそのスイッチ部4aを操作する1以上の操作機構部30とを備えている。この操作機構部30の数は1以上で任意である。
【0022】
表示パネル2は、要は情報表示機能を有しておれば良く、表示する情報が固定情報であるか可変情報であるか、自発光であるか否か、バックライト等を有しているか否か、等は問わない。例えば、この表示パネル2は、典型的には液晶ディスプレイであるが、その他、EL(エレクトロルミネッセント)ディスプレイ、プラズマディスプレイ、薄型CRT、LEDアレイ、情報を表示する記銘板や液晶シャッターとそれを照らす発光体や反射板とを組み合わせたもの、更には情報を記載した単なる紙や板等でも良い。
【0023】
表示パネル2には、この実施例では、薄型スイッチ50を構成する各押ボタン32の下部付近に、当該押ボタン32の操作によって選択される内容を表示する表示領域2aがそれぞれ形成されている。従って、所望の押ボタン32の選択・操作が容易になる。その場合、一つの押ボタン32に対して一つの表示領域2aを設けても良いし、押ボタン32の後述する二つの領域32aおよび32bの下部に表示領域2aをそれぞれ設けても良い。
【0024】
タッチパネル4は、外部から軽く(即ちストロークがほぼ0で)押されることによってオンする1以上のスイッチ部4aを有しており、しかもこの例では全体が透明である。より具体例を示せば、例えば図5に示す例のように、タッチパネル4は、上面に透明電極8が形成された透明薄板6上に、複数の開口部12を有する透明薄板10を重ね、更にその上に、下面に透明電極18が形成された透明薄板16を重ねて成る。透明電極8および18は、互いに直交する複数のストライプ状の電極の場合もあるし、一方の電極、例えば透明電極18が複数の電極であり、他方の電極、例えば透明電極8が共通電極の場合もある。両透明薄板6および16は、薄板だから可撓性がある。但し、下の透明薄板6は可撓性がなくても良い。
【0025】
各開口部12の部分にスイッチ部4aが形成されており、例えば透明薄板16側から所望の開口部12の部分を軽く押すと、押された部分の透明薄板16および透明電極18が撓んで、その透明電極18は開口部12を通して下の透明電極8と接触して電気的にオンする。但し、各スイッチ部4aの大きさ、形状、位置、数等は任意であり、また、小さなスイッチ部4aを複数個まとめて(即ち電気的に並列接続して)一つのスイッチ部として使用する場合もある。
【0026】
各操作機構部30は、この実施例では透明の押ボタン32を備えている。この押ボタン32の平面形状は任意であるが、この実施例では、一例として四角形をしており、それに対応して表示パネル2の表示領域2aも例えば同様の四角形をしている。
【0027】
この押ボタン32は、当該押ボタン32を二つの領域32aおよび32bに分ける(例えば等分する)線33上の下面側に支点用突起34を有している。この支点用突起34は、例えば図1および図2に示すように、上記線33に沿う三角峰状のものでも良いし、その峰に丸みを持たせたものでも良い。また、峰状とせずに、例えば図3に示すように、上記線33上に、かつ好ましくは押ボタン32の両端部付近に位置するように、複数の支点用突起34を設けても良い。この支点用突起34は前記タッチパネル4に常に当接しており、押ボタン32は、この支点用突起34を支点にして、図1中に矢印Bで示すように、左右の二方向に揺動(即ち所定角度範囲内で回動)可能である。
【0028】
タッチパネル4には、この実施例では、この押ボタン32の二つの領域32aおよび32bの下方に位置する部分に、当該押ボタン32を押したときにその領域32a、32bの下面部によってそれぞれ操作(典型的にはオン)される前述したスイッチ部4aがそれぞれ設けられている。両領域32a、32bの下面部には、この実施例のように、その下のスイッチ部4aを操作する操作用突起36をそれぞれ設けておくのが好ましく、そのようにすれば対応するスイッチ部4aを少ない力でより確実に操作することができる。操作用突起36の形状は、この例のような半球状に限られるものではなく、円柱状、角柱状等でも良く任意である。その大きさも任意である。
【0029】
但し、スイッチ部4aは、一方側にのみ設けても良く、その場合は当該薄型スイッチ50はいわゆる単極単投型となる。その場合、スイッチ部4aを設けていない側に操作用突起36を設けるか否かは任意である。スイッチ部4aを両側に設けている場合は、当該薄型スイッチ50はいわゆる反転した2極単投型となる。
【0030】
押ボタン32の支点用突起34の下部にはスイッチ部4aは設けていない。もっとも、そこにスイッチ部があっても、それを使わなければ良い。
【0031】
上記押ボタン32の上面側であってその二つの領域32a、32bの外側端部付近に、即ちこの実施例では支点用突起34を挟んで相対向する二辺付近に、可動側磁性体40がそれぞれ設けられている。更にこの各可動側磁性体40に対向する上方に、固定側磁性体42が配置されており、この固定側磁性体42は支柱44によって支持されている。なお、この明細書において、磁性体とは、より厳密に言えば強磁性体のことである。即ち、可動側磁性体40および固定側磁性体42は、例えば、Fe、Co、Niもしくはそれらの合金のようなフェロ磁性体、または各種のフェライトのようなフェリ磁性体である。
【0032】
この可動側磁性体40と固定側磁性体42の少なくとも一方は、相手側の磁性体を吸引する永久磁石である。例えばこの実施例では、固定側磁性体42が鉄板のような磁性板であり、可動側磁性体40がこの固定側磁性体42を吸引する永久磁石であるが、その逆でも良いし、両方が互いに逆極性の永久磁石であっても良い。永久磁石の着磁の仕方は、要は相手側の磁性体を吸引することができれば良く、特定のものに限定されない。典型的には、厚み方向の一方がN極、他方がS極であるが(厚み方向着磁)、相手側に向く面内にN極とS極とを設けても良い(面内着磁)。
【0033】
可動側磁性体40は、図2および図3に示す例のように、押ボタン32の相対向する二辺の中央部付近の一部分にそれぞれ設けても良いし、当該二辺の全体にそれぞれ設けても良いし、あるいは当該二辺の両端部付近にそれぞれ設けても良い。いずれにするかは、当該可動側磁性体40と固定側磁性体42との間で必要とする吸着力等に応じて決めれば良い。但し、いずれの場合も、可動側磁性体40の上方には相手側の固定側磁性体42が設けられている。
【0034】
常時は、左右の可動側磁性体40の内の一方とその上の固定側磁性体42とが、互いにほぼ平行になる状態で吸着している。これを実現するために、両可動側磁性体40、40は、互いに平行ではなく、互いの端部を結ぶ線から角度αずつハ字状に傾けている。この角度αは、反対側を押し下げたときに上がっている方の可動側磁性体40と固定側磁性体42とが互いにほぼ平行になる角度である。
【0035】
押ボタン32には、例えば図4に示す例のように、その周縁部につば38を設けておいても良く、そのようにすれば、このつば38によって、押ボタン32とその周囲を取り囲む固定側磁性体42との間の隙間から水滴や塵埃が中に入るのを防ぐことができる。その場合、このつば38は、平面にするのではなく、前述した角度αで山形にするのが好ましく、そのようにすれば、このつば38の上方を固定側磁性体42で覆っていても、当該押ボタン32の一方領域を押し下げたときに上がっている方側のつば38は固定側磁性体42と平行になる状態までしか上がらないから、このつば38がその上の固定側磁性体42に当たって押ボタン32の操作が不完全になることはない。
【0036】
このようなつば38を設ける場合は、支点用突起34は、このつば38の下面部だけに設けても良く、そのようにすれば、支点用突起34が下の表示パネル2の表示領域2aを横切るのを防止することができる。その場合の支点用突起34は、図4に示す例のように、つば38に沿う山形のものでも良いし、図3に示したような部分的なものでも良い。
【0037】
図1の実施例の動作を説明すると、常時は、一方の可動側磁性体40とその上の固定側磁性体42とが互いにほぼ平行状態で強く吸着しているので、その力によって押ボタン32の一方の領域(図示例では左側の領域32a)は持ち上げられており、その反対側の領域の下面側の操作用突起36でタッチパネル4のスイッチ部4aが操作(典型的にはオン)されている。その場合、下がっている側の可動側磁性体40とその上の固定側磁性体42との間には比較的大きな隙間が生じているので、両者間の吸引力は弱い。これに対して、上がっている側の可動側磁性体40はその上の固定側磁性体42と互いにほぼ平行状態で吸着しているので両者間の吸着力は、下がっている側に比べて遙に大きい。しかもほぼ平行状態で吸着しているので、この吸着力によって押ボタン32に回転モーメントを全く与えない。従って、この上がっている側の吸着力によって、押ボタン32は一定の状態に保持されている。
【0038】
この押ボタン32の上がっている方の領域を、可動側磁性体40と固定側磁性体42間の吸着力に抗して押すと、この可動側磁性体40と固定側磁性体42間の吸着が外れて、押ボタン32はその支点用突起34を支点にして矢印B方向に一定のストロークで回動し、それによってその下面側の操作用突起36でタッチパネル4のスイッチ部4aを操作(典型的にはオン)することができる。このとき、操作者は、押ボタン32を押し込んだというストローク感を得ることができる。
【0039】
しかも上記の場合、可動側磁性体40と固定側磁性体42とが互いに強く吸着しているので、初めは押ボタン32をある程度強く押さないと押ボタン32は回動しないが、押ボタン32が少しでも回動すると、可動側磁性体40と固定側磁性体42間の距離が大きくなって両者間の吸着力は急に弱くなるので、押し下げは急に軽くなる。これはスナップアクションあるいはクリック感と呼ばれており、これがあるとスイッチを操作したという感触を操作者により確実に伝えることができるので、スイッチの操作感が一層良好になる。
【0040】
更に上記回動と同時に、押されたのと反対側の領域が上がってそちら側の可動側磁性体40と固定側磁性体42とが互いにほぼ平行状態で強く吸着するので、この吸着力によって、前述したように、押ボタン32の押圧操作を止めても、押ボタン32の反転状態およびスイッチ部4aの操作状態が保持される。このようにこの薄型スイッチ50は、スイッチ状態の自己保持機能を有している。
【0041】
しかも押ボタン32は、常にそのいずれか一方の領域が下がり他方の領域が上がっていて、その状態を目視や指で触れること等によって確認することができる。従って、この押ボタン32の状態によってスイッチ状態の確認が可能である。
【0042】
このようにこの薄型スイッチ50は、スイッチ状態の自己保持機能を有しており、かつその押ボタン32の状態によってスイッチ状態の確認が可能である。従って、例えばこの薄型スイッチ50を、電源スイッチ等に使用されるタンブラスイッチのように使用することができる。
【0043】
しかも、タッチパネル4を用いているにも拘わらず、前述したようにストローク感に加えてクリック感をも得ることができるので、スイッチの操作感が非常に良い。
【0044】
また、上記スイッチ付表示パネルは、タッチパネル4を用いた上記のような薄型スイッチ50を表示パネル2上に重ねたものであり、押ボタン32と表示パネル2との間に機械的なスイッチ機構を設ける必要がないので、押ボタン32と表示パネル2との間を非常に接近させることができる。例えば、操作用突起36を設ける場合でその高さを0.5mm程度としても、タッチパネル4の厚さは1mm程度と極めて小さいから、押ボタン32の下面と表示パネル2の上面との間の距離は、押し下げている領域側は、1.5mm程度というように非常に小さくなる。従って、押ボタン32の奥のすぐ近くに表示パネル2の表示内容が表示されることになるので、従来例の場合と違ってイメージガイドが不要になる。その結果、表示パネル2の表示内容を、粗くすることなく、表示パネル2自身の良好な画質で見ることができる。しかも、視野角を制限するイメージガイドを用いていないので、表示パネル2の表示内容を斜め方向からも良く見ることができる。また、高価なイメージガイドが不要になり、かつ複雑なスイッチ機構も不要で構造が簡単であるため、スイッチ付表示パネルのコストダウンを図ることができる。
【0045】
なお、タッチパネル4および押ボタン32は、この実施例の場合は表示パネル2と組み合わせるために前述したように透明のものとしたが、表示パネル2の表示内容等によっては、必ずしも透明である必要はなく、半透明であっても良く、要は下の表示パネル2からの光が透過できれば良い。表示パネル2と組み合わせる他の実施例においても同様である。
【0046】
また、上記薄型スイッチ50は、表示パネル2上に重ねずに使用することもでき、例えば薄型スイッチ50を表示パネル2とは別個に単独で、あるいは他の機器等と組み合わせて使用することもでき、その場合は、下の表示パネル2からの光を透過させる必要はないので、タッチパネル4および押ボタン32は透明または半透明である必要はなく、不透明でも良い。その場合、押ボタン32の識別等のために、押ボタン32の表面に文字や記号等を記入、刻印、貼付する等しても良い。他の実施例においても同様である。
【0047】
ところで、タッチパネルは、上記のような抵抗膜式のタッチパネル4の他に、発光素子から出た光が受光素子に入るのを断続または減衰させる光電式のタッチパネル、または、超音波発振素子から出た超音波が受振素子に入るのを断続または減衰させる超音波式のタッチパネルでも良い。そこで次に、光電式のタッチパネルまたは超音波式のタッチパネルを用いた実施例を説明する。但し、先の実施例と同様の部分は重複説明を省略し、先の実施例との相違点を主体に説明する。
【0048】
図6は、タッチパネルが光電式である薄型スイッチ50を用いたスイッチ付表示パネルの実施例を部分的に示す断面図である。図7は、図6中の押ボタン部分の平面図である。図8は、図6のスイッチ付表示パネルを検出回路と共に示す平面図である。
【0049】
この図6の実施例における薄型スイッチ50は、図1の実施例とほぼ同様の操作機構部30と、光電式のタッチパネル114とを備えている。従って操作機構部30については、ここでは重複説明を省略する。操作機構部30を縦横に並設する数は、m×n(m、nは1以上の整数)で任意である。
【0050】
タッチパネル114は、図8も参照して、光86を出力する複数の発光素子84および当該光86を受けてそれを電気信号に変換する複数の受光素子90を基板82の周縁部上に縦横に相対向させて配置し、基板82の表面と押ボタン32との間の空間に、押ボタン32の数に応じたマトリックス状の光路88を形成した構成をしている。二つの光路88の交点付近が、それぞれスイッチ部114aとなっている。
【0051】
各支柱44の根本部および支点用突起34の先端部には、光86を通す穴または切欠き46および35をそれぞれ設けている。もっとも、その部分を透明な樹脂等で形成しても良い。また、穴または切欠き35を設ける代わりに支点用突起34を分割しても良い。
【0052】
縦方向(図7における上下方向)の光路88は、押ボタン32の一方の領域(この例では領域32a)の下方に位置させている。他方の領域の下方にも縦方向の光路を設けてそこにもスイッチ部114aを形成しても良いのは、先の抵抗膜式のタッチパネル4の場合と同様である。この光路88を通る光86を、押ボタン32の下面部で直接遮断または減衰させても良いし、この実施例のように当該下面部に例えば不透明スポンジのような遮光部材から成る操作用突起36を設けておいてそれで遮断または減衰させても良い。この操作用突起36の形状は、この例のような円柱状に限られるものではなく、角柱状、横長の角柱状、平板状等でも良く任意である。その大きさも任意である。
【0053】
基板82は、例えば透明または半透明のガラス基板である。但し、表示パネル2を構成する基板等にこの基板82の代用をさせることによって、基板82を省略することも可能である。
【0054】
各発光素子84は、例えばLED、半導体レーザ等である。各受光素子90は、例えばホトダイオード、ホトトランジスタ等である。
【0055】
各発光素子84から出力する光86は、赤外光が人目に付かないので好ましいが、もちろん可視光でも良い。また、各発光素子84を発光させる方式は、常時発光させておく方式でも良いし、マイコン等を利用して順番に発光させる方式(これは順次発光方式またはスキャニング方式とも呼ばれる)でも良い。このマイコン等は、例えば、次に説明する検出回路92を構成するものと兼用しても良い。
【0056】
縦横の各受光素子90には、この例では図8に示すように、各受光素子90からの信号に応答して、遮断または光量の低下した光路88の交点の位置(座標)を検出する、即ち操作の行われたスイッチ部114aを特定する、検出回路92が接続されている。但し、このような検出回路92は、このタッチパネル114に付属させずに、それが接続される機器内に設けられた回路やマイコン等を利用しても良い。
【0057】
この実施例の動作を説明すると、各押ボタン32がタンブラスイッチ的な動作をするのは前述のとおりであり、その動作に応じて、この実施例では操作用突起36によって、タッチパネル114の対応する光路88が遮光または光量減衰させられて、対応するスイッチ部114aが操作される。
【0058】
図9は、タッチパネルが超音波式である薄型スイッチ50を用いたスイッチ付表示パネルの実施例を部分的に示す断面図である。図10は、図9中の押ボタン部分の平面図である。図11は、図9のスイッチ付表示パネルを検出回路と共に示す平面図である。
【0059】
この図9の実施例における薄型スイッチ50は、図1の実施例と同様の操作機構部30と、超音波式のタッチパネル124とを備えている。従って操作機構部30については、ここでは重複説明を省略する。操作機構部30を縦横に並設する数は、m×n(m、nは1以上の整数)で任意である。
【0060】
このタッチパネル124は、例えば米国特許第5,177,327号に記載されているタッチパネルと同様の技術思想に基づくものである。
【0061】
即ちこのタッチパネル124は、図11も参照して、超音波100を出力する複数の発振素子96および当該超音波100を受けてそれを電気信号に変換する複数の受振素子106を基板94の周縁部の表面に縦横に相対向させて配置し、基板94の表面に、押ボタン32の数に応じたマトリックス状の超音波経路102を形成した構成をしている。二つの超音波経路102の交点付近が、それぞれスイッチ部124aとなっている。この場合、超音波100は指向性が極めて高いから、一つの超音波経路102を伝播する超音波100が隣の超音波経路102に入って干渉する恐れは通常はない。
【0062】
縦方向(図10における上下方向)の超音波経路102は、押ボタン32の一方の領域(この例では領域32a)の下方に位置させている。他方の領域の下方にも縦方向の超音波経路を設けてそこにもスイッチ部124aを形成しても良いのは、先の抵抗膜式のタッチパネル4の場合と同様である。この超音波経路102を伝わる超音波100を、押ボタン32の下面部で直接減衰させても良いし、この実施例のように当該下面部に吸音部材から成る操作用突起36を設けておいてそれで減衰させても良い。この操作用突起36の形状は、この例のような円柱状に限られるものではなく、角柱状、横長の角柱状、平板状等でも良く任意である。その大きさも任意である。
【0063】
操作用突起36を設けない場合は、例えば押ボタン32を、あるいはその下面部のみを、弾性を有する樹脂等で形成しておけば、超音波100を一層良く吸収して減衰させることができる。操作用突起36を構成する吸音部材は、適当に柔らかくて超音波100を良く吸収するものが好ましく、具体例としてはシリコーンゴム、ウレタンゴム等のゴムである。
【0064】
なお、支柱44は、通常は硬い樹脂等から成り、超音波100を殆ど吸収しないので、それが超音波経路102上に存在していても不都合はない。仮に不都合があれば、超音波経路102上に位置する支柱44の根本部に切欠きを設ける等すれば良い。押ボタン32およびその支点用突起34も通常は硬い樹脂等から成るから、当該支点用突起34が超音波経路102上に存在していても不都合はない。仮に不都合があれば、超音波経路102上に位置する部分に切欠きを設けたり、支点用突起34を分割する等すれば良い。
【0065】
基板94は、例えば透明または半透明のガラス基板である。
【0066】
超音波100は、この例では弾性表面波であり、発振素子96からの超音波100は導波路98を経由して基板94の表面に導かれ、かつ基板94の表面の超音波100は導波路104を経由して受振素子106に導かれる。各発振素子96および各受振素子106は、例えば圧電振動子である。
【0067】
縦横の各受振素子106には、この例では図11に示すように、各受振素子106からの信号に応答して、超音波100が減衰した超音波経路102の交点の位置(座標)を検出する、即ち操作の行われたスイッチ部124aを特定する、検出回路108が接続されている。但し、このような検出回路108は、このタッチパネル124に付属させずに、それが接続される機器内に設けられた回路やマイコン等を利用しても良い。
【0068】
この実施例の動作を説明すると、各押ボタン32がタンブラスイッチ的な動作をするのは前述のとおりであり、その動作に応じて、この実施例では操作用突起36によって、タッチパネル124の対応する超音波経路102を伝わる超音波100が減衰させられて、対応するスイッチ部124aが操作される。
【0069】
なお、超音波100として、上記のような弾性表面波の代わりに、基板94の内部を伝播するねじれ波を利用しても良い。その場合、基板94の相対向する端面に発振素子96および受振素子106を取り付ける。この方式は内面導波形とも呼ばれている。
【0070】
【発明の効果】
この発明は、上記のとおり構成されているので、次のような効果を奏する。
【0071】
請求項1記載の薄型スイッチによれば、押ボタンの一方の領域を押すことによってタッチパネルのスイッチ部を操作することができると同時に、反対側が上がってそちら側の可動側磁性体と固定側磁性体とが互いにほぼ平行状態で強く吸着するので、押ボタンの押圧操作を止めても押ボタンの反転状態およびスイッチ部の操作状態を保持することができ、スイッチ状態の自己保持機能を有している。しかも押ボタンは、常にそのいずれか一方の領域が下がり他方の領域が上がっていて、その状態を目視や指で触れること等によって確認することができるので、この押ボタンの状態によってスイッチ状態の確認が可能である。このようにこの薄型スイッチは、スイッチ状態の自己保持機能を有しており、かつその押ボタンの状態によってスイッチ状態の確認が可能である。従ってタンブラスイッチ的な使用が可能である。
【0072】
しかも、押ボタンを押し込むストロークを確保することができると共に、押し込み時に可動側磁性体と固定側磁性体との吸着が外れるときにクリック感が得られるので、タッチパネルの極めて薄型化が可能であるという特長を生かしつつ、ストローク感およびクリック感を得ることができ、スイッチの操作感が非常に良い。
【0073】
請求項2記載のスイッチ付表示パネルは、タッチパネルを用いた請求項1記載のような薄型スイッチを表示パネル上に重ねた構造をしており、押ボタンと表示パネルとの間に機械的なスイッチ機構を設ける必要がないので、押ボタンと表示パネルとの間を非常に接近させることができ、それによって押ボタンの奥のすぐ近くに表示パネルの表示内容が表示されることになるので、イメージガイドが不要になる。その結果、表示パネルの表示内容を良好な画質で見ることができる。しかも、視野角を制限するイメージガイドを用いていないので、表示パネルの表示内容を斜め方向からも良く見ることができる。また、高価なイメージガイドが不要になり、かつ複雑なスイッチ機構も不要で構造が簡単になるため、スイッチ付表示パネルのコストダウンを図ることができる。
【0074】
更に、上記のような薄型スイッチを用いているので、請求項1の場合と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】タッチパネルが抵抗膜式である薄型スイッチを用いたスイッチ付表示パネルの実施例を部分的に示す断面図である。
【図2】図1中の押ボタンの平面図である。
【図3】押ボタンの支点用突起の配置の他の例を示す平面図である。
【図4】つば付の押ボタンの例を示すものであり、(A)はその側面図、(B)はその平面図である。
【図5】抵抗膜式のタッチパネルの一例を分解して示す断面図である。
【図6】タッチパネルが光電式である薄型スイッチを用いたスイッチ付表示パネルの実施例を部分的に示す断面図である。
【図7】図6中の押ボタン部分の平面図である。
【図8】図6のスイッチ付表示パネルを検出回路と共に示す平面図である。
【図9】タッチパネルが超音波式である薄型スイッチを用いたスイッチ付表示パネルの実施例を部分的に示す断面図である。
【図10】図9中の押ボタン部分の平面図である。
【図11】図9のスイッチ付表示パネルを検出回路と共に示す平面図である。
【図12】薄型スイッチを用いたスイッチ付表示パネルの先行例を部分的に示す断面図である。
【符号の説明】
2 表示パネル
4 抵抗膜式のタッチパネル
30 操作機構部
32 押ボタン
34 支点用突起
36 操作用突起
40 可動側磁性体
42 固定側磁性体
50 薄型スイッチ
114 光電式のタッチパネル
114a スイッチ部
124 超音波式のタッチパネル
124a スイッチ部

Claims (2)

  1. 1以上のスイッチ部を有していてそれを押し込みストロークがほぼ0で操作可能なタッチパネルと、このタッチパネル上に配置されていてそのスイッチ部を操作する1以上の操作機構部とを備えており、かつ各操作機構部が、当該押ボタンを二つの領域に分ける線上の下面側に支点用突起を有していてそれが前記タッチパネルに当接していて当該支点用突起を支点にして二方向に揺動可能な押ボタンと、この押ボタンの上面側であってその二つの領域の外側端部付近にそれぞれ設けられた可動側磁性体と、この可動側磁性体に対向する上方に配置された固定側磁性体とを備えていて、この可動側磁性体と固定側磁性体の少なくとも一方が、相手側の磁性体を吸引する永久磁石であり、常時は、前記可動側磁性体の内の一方と固定側磁性体とが互いにほぼ平行になる状態で吸着しており、かつ前記タッチパネルには、各押ボタンの二つの領域の少なくとも一方の下方に位置する部分に、当該押ボタンを押したときに当該領域の下面部によって操作されるスイッチ部が設けられていることを特徴とする薄型スイッチ。
  2. 情報表示機能を有する表示パネルと、この表示パネル上に重ねられていて、1以上のスイッチ部を有していてそれを押し込みストロークがほぼ0で操作可能な透明または半透明のタッチパネルと、このタッチパネル上に配置されていてそのスイッチ部を操作する1以上の操作機構部とを備えており、かつ各操作機構部が、当該押ボタンを二つの領域に分ける線上の下面側に支点用突起を有していてそれが前記タッチパネルに当接していて当該支点用突起を支点にして二方向に揺動可能な透明または半透明の押ボタンと、この押ボタンの上面側であってその二つの領域の外側端部付近にそれぞれ設けられた可動側磁性体と、この可動側磁性体に対向する上方に配置された固定側磁性体とを備えていて、この可動側磁性体と固定側磁性体の少なくとも一方が、相手側の磁性体を吸引する永久磁石であり、常時は、前記可動側磁性体の内の一方と固定側磁性体とが互いにほぼ平行になる状態で吸着しており、かつ前記タッチパネルには、各押ボタンの二つの領域の少なくとも一方の下方に位置する部分に、当該押ボタンを押したときに当該領域の下面部によって操作されるスイッチ部が設けられていることを特徴とするスイッチ付表示パネル。
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