JP3814125B2 - 2−アリール−8−オキソジヒドロプリン誘導体からなる医薬 - Google Patents
2−アリール−8−オキソジヒドロプリン誘導体からなる医薬 Download PDFInfo
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、末梢型ベンゾジアゼピン受容体に選択的に作用する新規な2−アリール−8−オキソジヒドロプリン誘導体、更に詳しくはプリン環の7位または9位に酢酸アミド部分を有する2−アリール−8−オキソジヒドロプリン誘導体からなる医薬に関する。
【0002】
【従来の技術】
ヒトを含む哺乳類の組織には、3つのベンゾジアゼピン(以下、「BZ」と略記することもある)認識部位があり、それぞれ「中枢型(ω1,ω2)」および「末梢型(ω3)」ベンゾジアゼピン受容体と称されている(以下、それぞれ「BZω1受容体」、「BZω2受容体」および「BZω3受容体」と称することもある)。このうち、中枢型BZ受容体は中枢神経のγ−アミノ酪酸(以下、「GABA」と称することもある)A−BZ受容体−Cl−イオンチャンネル複合体上に存在するBZ系化合物の結合部位であるのに対し、末梢型BZ受容体は、中枢、末梢の組織や器官に広く分布している(脳、腎臓、肝臓、心臓等)。特に、副腎や睾丸等の内分泌系臓器や肥満細胞、リンパ球、マクロファージ、血小板等の生体炎症免疫機構に深く関わる細胞には末梢型BZ受容体が高密度に存在することから、最近、その生理的役割への関心が高まっている。一方、脳の末梢型BZ受容体はグリア細胞のミトコンドリア膜に多く存在し、コレステロールのミトコンドリア膜内への取り込みに関与し、プレグネノロンを経てニューロステロイドと称されるプロゲステロンやアロプレグナノロン等への生合成経路に影響を与えると考えられている。従って、末梢型BZ受容体を刺激すると、脳内でのニューロステロイドの生成が促進され、これらのステロイドがGABAA−BZ受容体−Cl−イオンチャンネル複合体上に存在するニューロステロイド認識部位(ベンゾジアゼピン受容体とは異なる部位)に結合してClイオンチャネル開口過程に影響を与えると考えられている[Romeo, E.ら, J. Pharmacol. Exp. Ther., 262, 971-978 (1992)参照]。
【0003】
非BZ骨格を有し、末梢型BZ受容体に対して選択的に親和性を示す化合物は、特開昭58−201756号公報(=EP−A−94271)で報告されて以来、特許出願等において相当数報告されているが、医薬品として実用化されている化合物はない。
【0004】
非BZ骨格を有し、末梢型BZ受容体に対して選択的親和性を示す化合物としては、例えば次のものが知られている。
【0005】
特開昭62−5946号公報[USP−4788199、EP−A−205375(パテントファミリー)]には、下記式で表されるアミド類が末梢型BZ受容体類と結合し、抗不安剤、鎮痙剤および抗狭心症剤、並びに免疫欠損症状の治療薬として有用であると記載されている。
【0006】
【化10】
【0007】
特開平2−32058号公報(=EP−A−346208、USP−5026711)には、下記式で表される4−アミノ−3−カルボキシキノリン類がインビトロおよびインビボで末梢型BZ受容体に対し親和性を有し、ヒトの心臓血管疾患の防止および治療、または抗アレルギー薬として、および感染症状の予防もしくは治療、または不安症状の治療に使用できると記載されている。
【0008】
【化11】
【0009】
WO96−32383号公報には、下記式で表される酢酸アミド誘導体がBZω3受容体に選択的に作用すると共に抗不安作用や抗リウマチ作用を有し、不安関連疾患や免疫疾患の治療に使用できると記載されている。
【0010】
【化12】
【0011】
[式中、Xは−O−または−NR4−を意味し、
R1は水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基またはシクロアルキル(低級)アルキル基を意味し、
R2は低級アルキル基、シクロアルキル基、非置換もしくは置換フェニル基、非置換もしくは置換フェニル(低級)アルキル基等を意味し、
R3は水素原子、低級アルキル基またはヒドロキシ(低級)アルキル基を意味し、R4は水素原子、低級アルキル基等を意味し、
R5は水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、ヒドロキシ(低級)アルキル基、非置換もしくは置換ベンジルオキシ(低級)アルキル基、アシルオキシ(低級)アルキル基、低級アルコキシ(低級)アルキル基、アミノ基、モノもしくはジ低級アルキルアミノ基、アシルアミノ基、アミノ(低級)アルキル基、ニトロ基、カルバモイル基、モノもしくはジ低級アルキルカルバモイル基、カルボキシル基、保護されたカルボキシル基、カルボキシ(低級)アルキル基または保護されたカルボキシ(低級)アルキル基を意味し、
R6は水素原子、低級アルキル基、トリフルオロメチル基または非置換もしくは置換フェニル基を意味するか、或いはR5およびR6は一緒になって−(CH2)n−(ここにおいて、nは3、4、5または6を意味する)を形成し、
R7は水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシ基、アミノ基、モノもしくはジ低級アルキルアミノ基、シアノ基またはニトロ基を意味し、
R8は水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基または低級アルコキシ基を意味する]
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、BZω3受容体に選択的かつ強力に作用する化合物からなる医薬を得るべく鋭意研究を重ねた結果、後記式(I)で表される2−アリール−8−オキソジヒドロプリン誘導体からなる医薬がこの目的に合致することを見いだし、本発明を完成した。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、下記式(I)で表される2−アリール−8−オキソジヒドロプリン誘導体およびその製薬学的に許容される酸付加塩(以下、「本発明に係わる化合物」と称することもある)からなる医薬が提供される。
【0014】
【化13】
【0015】
[式中、Wは水素原子、低級アルキル基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、アミノ基、モノもしくはジ(低級)アルキルアミノ基または非置換もしくは置換フェニル基を意味し、
【0016】
Xは水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル(低級)アルキル基、非置換もしくは置換フェニル(低級)アルキル基、低級アルケニル基、カルバモイル基、ジ(低級)アルキルカルバモイル基または下記式[Q]で表される基を意味し、
【0017】
【化14】
−CH(R3)CON(R1)(R2) [Q]
【0018】
(式中、R1は低級アルキル基、低級アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルキル(低級)アルキル基またはヒドロキシ(低級)アルキル基を意味し、R2は低級アルキル基、シクロアルキル基、非置換もしくは置換フェニル基、非置換もしくは置換フェニル(低級)アルキル基または非置換もしくは置換ヘテロアリール基を意味するか、或いはR1およびR2は隣接する窒素原子と一緒になって1個または2個の低級アルキル基でそれぞれ置換されてもよいピペリジン環、ピロリジン環、モルホリン環またはピペラジン環を形成していてもよく、R3は水素原子、低級アルキル基またはヒドロキシ(低級)アルキル基を意味する)
【0019】
Yは水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキル(低級)アルキル基、低級アルケニル基、非置換もしくは置換フェニル(低級)アルキル基または下記式[Q]で表される基を意味し、
【0020】
【化15】
−CH(R3)CON(R1)(R2) [Q]
【0021】
(式中、R1、R2およびR3は前掲と同じものを意味する)
【0022】
Aは非置換もしくは置換フェニル基または非置換もしくは置換ヘテロアリール基を意味する。但し、上記式(I)においてXおよびYのいずれか一方は上記式[Q]で表される基であり、他方はそれぞれ式[Q]以外の前掲XおよびYと同じ基である]
【0023】
式(I)で表される化合物の製薬学的に許容される酸付加塩とは、酸付加塩を形成し得るに十分な塩基度を有する場合の式(I)の化合物の製薬学的に許容される酸付加塩を意味し、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩およびマレイン酸塩、フマル酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩等の有機酸塩が挙げられる。
【0024】
式(I)で表される化合物およびその酸付加塩は、水和物および/または溶媒和物の形で存在することもあるので、これらの水和物および溶媒和物も本発明に係わる化合物に包含される。
【0025】
式(I)の化合物は、場合により1個以上の不斉炭素原子を有し、また幾何異性を生ずることがある。従って、式(I)の化合物は、場合により2種以上の立体異性体の形で存在し得る。これらの立体異性体、その混合物およびラセミ体は式(I)の化合物に包含される。
【0026】
本発明に係わる化合物である2−アリール−8−オキソジヒドロプリン誘導体は、下記式に示すようにプリン環の位置番号が付与され、本明細書においてはこの位置番号に従って命名する。
【0027】
【化16】
【0028】
(式中、A、W、X、およびYは前掲と同じものを意味する)
【0029】
本明細書における用語を以下に説明する。
【0030】
低級アルキル基および低級アルキル部分は、特に断らない限り炭素数1〜6のものを意味し、直鎖状または分枝鎖状のいずれでもよい。「低級アルキル基」の具体例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシルが挙げられるが、低級アルキル基としては炭素数1〜4のものが好ましい。「低級アルコキシ基」とは炭素数1〜6のアルコキシ基を意味し、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシが挙げられる。「低級アルケニル基」とは、1−2位間以外に二重結合を1個有する炭素数3〜6のものを意味し、例えば、アリル、2−ブテニルが挙げられる。「シクロアルキル基」とは炭素数3〜8のものを意味し、具体例としてはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルが挙げられる。「シクロアルキル(低級)アルキル基」とは、上記「シクロアルキル基」が置換している炭素数1〜4のアルキル基を意味し、例えば、シクロプロピルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチルが挙げられる。「ヒドロキシ(低級)アルキル基」とは、ヒドロキシ基で置換された低級アルキル基を意味し、例えば、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピルが挙げられる。「ハロゲン原子」とは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を意味する。「モノもしくはジ(低級)アルキルアミノ基」とは、炭素数1〜4のアルキル基が1個または2個置換しているアミノ基を意味し、例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、エチルメチルアミノが挙げられる。
【0031】
「非置換もしくは置換フェニル基」とは、ハロゲン原子、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、アミノ、モノもしくはジ(低級)アルキルアミノ、シアノおよびニトロから選ばれる1個または2個で置換されていてもよいフェニル基を意味し、例えば、フェニル;2−、3−または4−クロロフェニル;2−、3−または4−ブロモフェニル;2−、3−または4−フルオロフェニル;2,4−ジクロロフェニル;2,4−ジブロモフェニル;2,4−ジフルオロフェニル;2−、3−または4−メチルフェニル;2−、3−または4−メトキシフェニル;2−、3−または4−トリフルオロメチルフェニル;2−、3−または4−ヒドロキシフェニル;2−、3−または4−アミノフェニル;2−、3−または4−メチルアミノフェニル;2−、3−または4−ジメチルアミノフェニル;2−、3−または4−シアノフェニル;2−、3−または4−ニトロフェニルが挙げられる。
【0032】
「非置換もしくは置換フェニル基(低級)アルキル基」とは、ハロゲン原子、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、アミノ、モノもしくはジ(低級)アルキルアミノ、シアノおよびニトロから選ばれる1個または2個で置換されていてもよいフェニル基で置換されている炭素数1〜4のアルキル基を意味し、例えば、ベンジル;2−、3−または4−クロロベンジル;2−、3−または4−ブロモベンジル;2−、3−または4−フルオロベンジル;2,4−ジクロロベンジル;2,4−ジブロモベンジル;2,4−ジフルオロベンジル;2−、3−または4−メチルベンジル;2−、3−または4−メトキシベンジル;2−、3−または4−トリフルオロメチルベンジル;2−、3−または4−ヒドロキシベンジル;2−、3−または4−アミノベンジル;2−、3−または4−メチルアミノベンジル;2−、3−または4−ジメチルアミノベンジル;2−、3−または4−シアノベンジル;2−、3−または4−ニトロベンジル;フェネチル;2−(4−クロロフェニル)エチルが挙げられる。
【0033】
後記式[B]:
【0034】
【化17】
【0035】
で表される基の具体例としては、上記「非置換もしくは置換フェニル基」および上記の「非置換もしくは置換フェニル基」で置換されている炭素数1および2のアルキル基をそのまま挙げることができるが、好適な具体例としては、フェニル;4−または3−クロロフェニル;4−または3−ブロモフェニル;4−または3−フルオロフェニル;4−メトキシフェニル;4−トリフルオロメチルフェニル;4−ヒドロキシフェニル;ベンジル;2−、3−または4−クロロベンジル;4−ブロモベンジル;3−または4−フルオロベンジル;4−メチルベンジル;4−メトキシベンジル;4−トリフルオロメチルベンジル;4−ヒドロキシベンジル;フェネチル;2−(4−クロロフェニル)エチルが挙げられる。
【0036】
「非置換もしくは置換ヘテロアリール基」とは、C1〜C3アルキルまたはトリフルオロメチルで置換されていてもよい、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を少なくとも1個含む5員環ないし6員環の単環性ヘテロアリール基または5員環ないし6員環の二環性ヘテロアリール基を意味し、例えば2−、3−または4−ピリジル;5−メチル−2−ピリジル;2−または3−チエニル;2−または3−フリル;2−、4−または5−ピリミジニル;2−または3−ピラジニル;1−ピラゾリル;2−イミダゾリル;2−チアゾリル;3−イソキサゾリル;5−メチル−3−イソキサゾリル;キノリル;イソキノリルが挙げられる。
式(I)の化合物のうちで好適なものは、式(I)において、Aが下記式[A']
【0037】
【化18】
【0038】
(式中、R4は水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシ基、アミノ基、モノもしくはジ(低級)アルキルアミノ基、シアノ基またはニトロ基を意味し、R5は水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基またはヒドロキシ基を意味する)
で表される基、ピリジル基、チエニル基またはフリル基であり、W、XおよびYが前掲と同じものである化合物およびその製薬学的に許容される酸付加塩が挙げられる。
【0039】
式(I)の化合物のうちで更に好適なものは、式(I)において
(a) Xが下記式[Qx]で表される基
【0040】
【化19】
−CH(R31)CON(R11)(R21) [Qx]
【0041】
[式中、R11は低級アルキル基を意味し、R21は低級アルキル基または下記式[B]
【0042】
【化20】
【0043】
(式中、R6は水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシ基、アミノ基、モノもしくはジ(低級)アルキルアミノ基、シアノ基またはニトロ基を意味し、R7は水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基またはヒドロキシ基を意味し、mは0、1または2を意味する)
【0044】
で表される基を意味するか、或いはR11およびR21は隣接する窒素原子と一緒になって1個または2個の低級アルキル基でそれぞれ置換されてもよいピペリジン環、ピロリジン環、モルホリン環またはピペラジン環を形成していてもよく、R31は水素原子、低級アルキル基またはヒドロキシ(低級)アルキル基を意味する]であり、
【0045】
Yが水素原子または低級アルキル基であるか、或いは
(b) Xが水素原子、低級アルキル基またはカルバモイル基であり、Yが下記式[Qy]で表される基
【0046】
【化21】
−CH(R31)CON(R11)(R21) [Qy]
【0047】
(式中、R11、R21およびR31は前掲と同じものを意味する)
であり、Aは前記式[A']で示される基、ピリジル基、チエニル基またはフリル基であり、Wは前掲と同じものである化合物およびその製薬学的に許容される酸付加塩が挙げられる。
【0048】
一層好適な化合物は、式(I)において、
(a) Xが前記式[Qx]で示される基(式中、R11がメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基またはブチル基であり、R21がエチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、フェニル基、ハロゲン、メトキシ、トリフルオロメチルもしくはヒドロキシで置換されたフェニル基、ベンジル基またはハロゲン、メトキシ、トリフルオロメチルもしくはヒドロキシで置換されたベンジル基であり、R31は前掲と同じである)であり、Yが水素原子、メチル基またはエチル基であるか、或いは
【0049】
(b) Xが水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基またはブチル基であり、Yが前記式[Qy]で示される基(式中、R11がメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基またはブチル基であり、R21がエチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、フェニル基、ハロゲン、メトキシ、トリフルオロメチルもしくはヒドロキシで置換されたフェニル基、ベンジル基またはハロゲン、メトキシ、トリフルオロメチルもしくはヒドロキシで置換されたベンジル基であり、R31は前掲と同じである)であり、Aは前記式[A']で示される基、ピリジル基、チエニル基またはフリル基であり、Wは前掲と同じものである化合物およびその製薬学的に許容される酸付加塩が挙げられる。
【0050】
特に好適な化合物としては、下記式(Ia)または(Ib)で表される2−アリール−8−オキソジヒドロプリン誘導体およびその製薬学的に許容される酸付加塩が挙げられる。
【0051】
【化22】
【0052】
(式中、R12およびR22は同一または異なって、エチル基、プロピル基またはブチル基を意味するか、或いはR12はメチル基、エチル基またはプロピル基を、R22はフェニル基、ハロゲノフェニル基、メトキシフェニル基、ベンジル基、ハロゲノベンジル基またはメトキシベンジル基を意味し、R32は水素原子、メチル基またはエチル基を意味し、Y1は水素原子、メチル基またはエチル基を意味し、R41は水素原子、ハロゲン原子、メチル基、メトキシ基、ニトロ基またはトリフルオロメチル基を意味する)、
【0053】
【化23】
【0054】
(式中、X1は水素原子、メチル基、エチル基またはプロピル基を意味し、R12およびR22は同一または異なって、エチル基、プロピル基またはブチル基を意味するか、或いはR12はメチル基、エチル基またはプロピル基を、R22はフェニル基、ハロゲノフェニル基、メトキシフェニル基、ベンジル基、ハロゲノベンジル基またはメトキシベンジル基を意味し、R32は水素原子、メチル基またはエチル基を意味し、R41は水素原子、ハロゲン原子、メチル基、メトキシ基、ニトロ基またはトリフルオロメチル基を意味する)
【0055】
上記式(Ia)および(Ib)において、R32がそれぞれ水素原子である化合物がより好ましい。
【0056】
特に好適な化合物の具体例としては、例えば次の化合物およびその製薬学的に許容される酸付加塩が挙げられる。
【0057】
N−エチル−8,9−ジヒドロ−9−メチル−8−オキソ−2−フェニル−N−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミド、
【0058】
8,9−ジヒドロ−9−メチル−N−メチル−8−オキソ−2−フェニル−N−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミド、
【0059】
8,9−ジヒドロ−2−(4−フルオロフェニル)−9−メチル−N−メチル−8−オキソ−N−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミド、
【0060】
N−エチル−8,9−ジヒドロ−2−(4−フルオロフェニル)−9−メチル−8−オキソ−N−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミド、
【0061】
7,8−ジヒドロ−7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−N,N−ジプロピル−9H−プリン−9−アセトアミド、
【0062】
7−エチル−7,8−ジヒドロ−8−オキソ−2−フェニル−N,N−ジプロピル−9H−プリン−9−アセトアミド、
【0063】
N−ベンジル−N−エチル−7,8−ジヒドロ−7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−9H−プリン−9−アセトアミド、
【0064】
N−ベンジル−7,8−ジヒドロ−N−メチル−7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−9H−プリン−9−アセトアミド、
【0065】
N−ベンジル−N−エチル−7,8−ジヒドロ−7−メチル−8−オキソ−2−(4−クロロフェニル)−9H−プリン−9−アセトアミド、
【0066】
N−ベンジル−7,8−ジヒドロ−N−メチル−7−メチル−8−オキソ−2−(4−クロロフェニル)−9H−プリン−9−アセトアミド、および
【0067】
N−(4−クロロベンジル)−N−エチル−7,8−ジヒドロ−7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−9H−プリン−9−アセトアミド。
【0068】
式(I)の化合物に含まれる化合物の具体例として、後記製造例の化合物に加えて下記化24で表される表1と表2の化合物および下記化25で表される表3と表4の化合物およびその製薬学的に許容される酸付加塩が挙げられる。
【0069】
なお、本明細書の表1および表2並びに後記参考例および製造例の表中において記載の簡略化のために、次のような略号を用いることもある。
【0070】
Me:メチル基
Et:エチル基
Pr:n−プロピル基
Bu:n−ブチル基
Pent:n−ペンチル基
Bzl:ベンジル基
Ph:フェニル基
Py:ピリジル基
Fur:フリル基
Thi:チエニル基
【0071】
従って、例えばPh-4-Clは4−クロロフェニル基、Ph-4-Fは4−フルオロフェニル基、2-Thiは2−チエニル基を表す。
【0072】
【化24】
【0073】
【表1】
【0074】
下記表2は表1の続き
【0075】
【表2】
【0076】
【化25】
【0077】
【表3】
【0078】
下記表4は表3の続き
【0079】
【表4】
【0080】
式(I)の化合物は、例えば以下の方法により製造することができる。
【0081】
製法 ( a )−−
式(I)において、Yが水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキル(低級)アルキル基、低級アルケニル基または非置換もしくは置換フェニル(低級)アルキル基である化合物は、下記式(II)
【0082】
【化26】
【0083】
(式中、Y2は水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキル(低級)アルキル基、低級アルケニル基または非置換もしくは置換フェニル(低級)アルキル基を意味し、AおよびWは前掲と同じものを意味する)
で表される化合物と下記式(III)
【0084】
【化27】
Z−CH(R3)−CON(R1)(R2) (III)
【0085】
(式中、Zは脱離原子または脱離基を意味し、R1、R2およびR3は前掲と同じものを意味する)
で表される化合物とを反応させることにより製造することができる。
【0086】
式(III)においてZで表される脱離原子または脱離基とは、反応条件下に式(II)の化合物のNH部分の水素原子と共にHZの形で脱離し得る原子または基を意味し、例えば、塩素、臭素、ヨウ素のようなハロゲン原子、メタンスルホニルオキシのような低級アルキルスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシのようなトリハロゲノメタンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ、p−トルエンスルホニルオキシのようなアリールスルホニルオキシ基が挙げられる。
【0087】
式(II)で表される化合物と式(III)で表される化合物との反応は、塩基の存在下、無溶媒下または適当な溶媒中で常圧または加圧下に行うことができる。使用する溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、ジメトキシエタン、1,2−ジクロロエタン、アセトン、メチルエチルケトン、ジオキサン、ジグライム、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドが挙げられる。塩基としては水素化ナトリウム、トリエチルアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムが挙げられる。反応温度は通常約−10℃〜約150℃で、好ましくは約10℃〜約70℃である。
【0088】
上記式(III)においてR1および/またはR3がヒドロキシ(低級)アルキル基である場合には、該ヒドロキシ(低級)アルキル基は加水素分解により脱離し得る保護基で保護されていることが望ましく、その保護基としては、例えば、ベンジルオキシ、4−クロロベンジルオキシ、3−ブロモベンジルオキシ、4−フルオロベンジルオキシ、4−メチルベンジルオキシ、4−メトキシベンジルオキシが挙げられる。これらの保護基は常法の加水素分解により容易にヒドロキシ基に変換することができる。また、後記製法(b)〜(e)においてもR1および/またはR3がヒドロキシ(低級)アルキル基である場合には同様に保護したのち、脱保護することにより、所望の化合物に導くことが望ましい。
【0089】
式(III)の化合物は、自体公知の方法、例えば、特開昭62−64号公報記載の方法またはこれらに準じた方法により製造することができる。
【0090】
原料化合物(II)は、例えば、下記化28および化29に示すルートAまたはルートBで示される方法により製造することができる。
【0091】
【化28】
【0092】
(式中、Rは低級アルキル基を意味し、Z1はハロゲン原子またはp−トルエンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基またはトリフルオロメタンスルホニルオキシ基等のアリールスルホニルオキシ基またはアルカンスルホニルオキシ基を意味し、A、WおよびY2は前掲と同じものを意味する)
【0093】
【化29】
【0094】
(式中、A、W、Y2およびZ1は前掲と同じものを意味する)
【0095】
工程1:ハロゲン化またはスルホニル化
ハロゲン化は、例えば、式(A)または(F)の化合物とハロゲン化剤(例えば、オキシ塩化リン、三臭化リン)とを反応させることにより行われる。スルホニル化は、例えば、式(A)または(F)の化合物とスルホニル化剤(例えば、メタンスルホニルクロリド、p−トルエンスルホニルクロリド、トリフルオロメタンスルホニルクロリド)とを反応させることにより行われる。
【0096】
工程2:アミノ化
式(B)または(G)の化合物と式(C)の化合物との反応は、常圧または加圧下に、溶媒の不存在下または適当な溶媒中で行われる。
【0097】
溶媒の具体例としては、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類、ジオキサン、ジグライムのようなエーテル類、エタノール、イソプロパノール、ブタノールのようなアルコール類、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドが挙げられる。本反応は塩基の存在下に行うのが好ましく、塩基の具体例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムのような炭酸アルカリ、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムのような炭酸水素アルカリ、トリエチルアミンのような第三アミンが挙げられるが、式(C)化合物の過剰量で兼ねることもできる。反応温度は、原料化合物の種類、反応条件等により異なるが、通常約0℃〜約200℃で、好ましくは約20℃〜約100℃である。
【0098】
ルートAの工程3:加水分解
本加水分解は常法に従って行うことができ、例えば、適当な溶媒中で酸性または塩基性条件下に水と接触することにより行われる。溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールのようなアルコール類、ジオキサン、水またはこれらの混液が用いられる。酸の具体例としては、塩酸、硫酸のような鉱酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸のような有機酸が挙げられる。塩基の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのような水酸化アルカリ、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムのような炭酸アルカリが挙げられる。反応温度は通常約20℃〜100℃である。
【0099】
ルートBの工程3:還元
本還元は常法に従って行うことができ、例えば、適当な溶媒中でパラジウム炭素、ラネーニッケル、酸化白金等の触媒の存在下、水素と反応させることにより行われる。また、本還元反応は金属(例えば、スズ、亜鉛、鉄)または金属塩(例えば、塩化第一スズ)と酸(例えば、塩酸、酢酸)との組み合わせ或いは鉄または塩化第一スズ単独で行うこともできる。溶媒としては、例えば、エタノール、メタノールのようなアルコール類、水、酢酸、ジオキサン、テトラヒドロフランが用いられる。反応温度は通常約0℃〜約80℃であり、常圧または加圧下に行われる。
【0100】
工程4:環化
本反応は後記製法(b)または(c)で説明する方法と同じ方法により行うことができる。
【0101】
出発物質(A)および(F)の化合物は市販されているか、或いは自体公知の方法、例えば、J. Am. Chem. Soc.,74, 842 (1952);Chem. Ber., 95, 937 (1962);J. Org. Chem.,29, 2887 (1964); J. Med. Chem., 35, 4751 (1992); J. Org. Chem., 58, 4490 (1993); Synthesis, 86 (1985) 並びに後記参考例1、11および15に記載の方法またはこれらに準じた方法により製造することができる。
【0102】
製法 ( b )−−
式(I)において、Xが水素原子であり、Yが式[Q]で表される基である化合物は、下記式(IV)
【0103】
【化30】
【0104】
(式中、Y3は前記式[Q]で表される基を意味し、AおよびWは前掲と同じものを意味する)
で表される化合物にアジド化合物を反応させることにより製造することができる。
【0105】
本反応で使用されるアジド化合物としては、例えば、ジフェニルリン酸アジド、ナトリウムアジドが挙げられる。
【0106】
本反応は、塩基の存在下、無溶媒下または適当な溶媒中で常圧または加圧下に行うことができる。使用する溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、ジメトキシエタン、1,2−ジクロロエタン、アセトン、メチルエチルケトン、ジオキサン、ジグライム、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドが挙げられる。塩基としてはトリエチルアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムが挙げられる。反応温度は通常約10℃〜約150℃で、好ましくは約30℃〜約120℃である。
【0107】
原料化合物(IV)は、ルートAにおける式(C)の化合物がY3−NH2であるものと式(B)の化合物を用い、前記ルートAに示した工程2および工程3の方法により製造することができる。さらに、原料化合物(IV)は前記ルートAの式(B)の化合物とアミノ酸類とを用い、ルートAの工程2の方法で置換アミノ基をピリミジン環の4位に導入した後、後記製法(e)に記載の方法でアミド化、さらに必要に応じてアルキル化を行うことによっても製造することができ、具体的に後記参考例63に示す。
【0108】
製法 ( c )−−
式(I)において、Xが水素原子であり、Yが式[Q]で表される基である化合物は、下記式(V)
【0109】
【化31】
【0110】
(式中、A、WおよびY3は前掲と同じものを意味する)
で表される化合物を尿素、カルボニルジイミダゾールまたは炭酸ジエチルと反応させるにより製造することができる。
【0111】
本反応は、無溶媒下または適当な溶媒中で行うことができる。使用する溶媒としては、テトラヒドロフラン、トルエン、ジメチルスルホキシド、エチレングリコールが挙げられる。反応温度は通常約20℃〜約250℃で、好ましくは約60℃〜約220℃である。
【0112】
原料化合物(V)は、ルートBにおける(C)の化合物がY3−NH2であるものと式(G)の化合物とを用い、前記ルートBに示した工程2および工程3の方法で製造することができる。
【0113】
製法 ( d )−−
式(I)において、Xが水素原子および式[Q]で表される基以外の基であり、Yが式[Q]で表される基である化合物は、前記製法(b)で得られる下記式(VI)
【0114】
【化32】
【0115】
(式中、A、WおよびY3は前掲と同じものを意味する)
の化合物に、下記式(VII)
【0116】
【化33】
Z−X2 (VII)
【0117】
(式中、X2は水素原子および前記式[Q]で表される基以外の前記Xと同じ基であり、Zは前掲と同じものを意味する)
で表される化合物を反応させることにより製造することができる。
【0118】
本反応には製法(a)に記載した方法をそのまま使用することができる。
【0119】
原料化合物(VII)は市販されているか、自体公知の方法で製造することができる。
【0120】
製法 ( e )−−
式(I)において、Xが式[Q]で表される基である化合物は、下記式(VIII)
【0121】
【化34】
【0122】
(式中、A、R3、WおよびY2は前掲と同じものを意味する)
で表される化合物またはその反応性誘導体と下記式(IX)
【0123】
【化35】
HN(R13)(R23) (IX)
【0124】
(式中、R13およびR23は水素原子またはそれぞれ前記R1およびR2で定義したものと同じものを意味する)
で表される化合物を反応させ、R13およびR23の一方が水素原子である場合には、さらに下記式(X)または(XI)
【0125】
【化36】
R24−Z (X)
R14−Z (XI)
【0126】
(式中、R24は低級アルキル基、シクロアルキル基または非置換もしくは置換フェニル(低級)アルキル基を意味し、R14は低級アルキル基、低級アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルキル(低級)アルキル基またはヒドロキシ(低級)アルキル基を意味し、Zは前掲と同じものを意味する。但し、R13が水素原子の場合には上記式(X)の化合物を反応させ、R23が水素原子の場合には上記式(XI)の化合物を反応させるものとする)
で表される化合物とを反応させることにより製造することができる。
【0127】
式(VIII)の化合物の反応性誘導体としては、例えば、低級アルキルエステル(特にメチルエステル)、活性エステル、酸無水物、酸ハライド(特に酸クロリド)を挙げることができる。活性エステルの具体例としてはp−ニトロフェニルエステル、2,4,5−トリクロロフェニルエステル、N−ヒドロキシコハク酸イミドエステルが挙げられる。酸無水物としては、対称酸無水物または混合酸無水物が用いられ、混合酸無水物の具体例としてはクロル炭酸エチル、クロル炭酸イソブチルのようなクロル炭酸アルキルエステルとの混合酸無水物、クロル炭酸ベンジルのようなクロル炭酸アラルキルエステルとの混合酸無水物、クロル炭酸フェニルのようなクロル炭酸アリールエステルとの混合酸無水物、イソ吉草酸、ピバリン酸のようなアルカン酸との混合酸無水物が挙げられる。
【0128】
式(VIII)の化合物自体を用いる場合には、N,N'−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、N,N'−カルボニルジイミダゾール、N,N'−カルボニルジコハク酸イミド、1−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン、ジフェニルホスホリルアジド、プロパンホスホン酸無水物、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム・ヘキサフルオロホスフェートのような縮合剤の存在下に反応させることができる。
【0129】
式(VIII)の化合物またはその反応性誘導体と式(IX)の化合物との反応は、溶媒中または無溶媒下に行われる。使用する溶媒は、原料化合物の種類等に従って適宜選択されるべきであるが、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類、塩化メチレン、クロロホルムのようなハロゲン化炭化水素類、エタノール、イソプロパノールのようなアルコール類、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、水等が挙げられ、これらの溶媒はそれぞれ単独で、或いは2種以上混合して用いられる。本反応は必要に応じて塩基の存在下に行われ、塩基の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのような水酸化アルカリ、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムのような炭酸アルカリ、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムのような炭酸水素アルカリ、或いはトリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリンのような有機塩基が挙げられるが、式(IX)の化合物の過剰量で兼ねることもできる。反応温度は用いる原料化合物の種類等により異なるが、通常約−30℃〜約200℃、好ましくは約−10℃〜約150℃である。
【0130】
式(VIII)の化合物と式(IX)の化合物との反応で得られる生成物と、式(X)または式(XI)の化合物との反応は、前記製法(a)で述べた方法で行うことができる。
【0131】
式(VIII)の化合物は、下記式(II)
【0132】
【化37】
【0133】
(式中、A、WおよびY2は前掲と同じものを意味する)
で表される化合物に下記式(XII)
【0134】
【化38】
Z1−CH(R3)−COOR (XII)
【0135】
(式中、R、R3およびZ1は前掲と同じものを意味する)
で表される化合物を反応させた後、生成物を常法に従って加水分解することにより製造することができる。
【0136】
本反応には前記製法(a)に記載した方法をそのまま使用することができる。
【0137】
式(X)および式(XI)の化合物は市販されているか、或いは自体公知の方法により製造することができる。
【0138】
式(I)の化合物は以下に示す方法によっても製造することができる。
【0139】
Wが低級アルコキシ基である式(I)の化合物は、式(I)の化合物においてWがハロゲン原子である化合物に金属低級アルキレートを反応させることにより製造することができ、具体的に製造例46に示す。
【0140】
Wがモノもしくはジ(低級)アルキルアミノ基である式(I)の化合物は、式(I)の化合物においてWがハロゲン原子である化合物にモノもしくはジ(低級)アルキルアミンを反応させることにより製造することができ、具体的に製造例47に示す。
【0141】
式(I)においてフェニル基がヒドロキシ基で置換されている化合物は、式(I)においてフェニル基がメトキシ基で置換されている化合物を三臭化ホウ素または臭化水素で処理することにより製造することができ、具体的に製造例174に示す。
【0142】
前記各製法により得られる生成物は、クロマトグラフィー、再結晶、再沈殿等の常法により単離・精製することができる。酸付加塩を形成するに十分は塩基度を有する場合の式(I)の化合物は、常法に従って各種の酸と処理することにより酸付加塩に導くことができる。また、式(I)の化合物の各種立体異性体は、クロマトグラフィー等の常法に従って分離・精製することができる。
【0143】
【実施例】
以下に本発明に係わる代表的な化合物の試験結果を示し、本発明に係わる化合物の薬理作用の特徴について説明するが、本発明はこれらの試験例に限定されるものではない。
【0144】
試験例1:中枢型(ω1,ω2)および末梢型(ω3)ベンゾジアゼピン受容体結合試験−−
BZω1およびω2受容体結合試験および受容体膜標品の調製は、Stephens, D. N. らの方法[J. Pharmacol. Exp. Ther.,253, 334-343 (1990)参照]に準拠し、BZω3 受容体結合試験および受容体膜標品の調製は、Schoemaker, H の方法[J. Pharmacol. Exp. Ther., 225, 61-69 (1983)参照]に準拠して行った。ω1、ω2およびω3受容体膜標品は7〜8週令のウィスター系雄性ラットの小脳(ω1)、脊髄(ω2)または腎臓(ω3)からそれぞれ以下の操作により調製した。小脳または脊髄に20倍容の氷冷した緩衝液(50mMトリス−クエン酸緩衝液、pH7.1)を加えホモジナイズした後、40,000gで15分間遠心した。得られた沈渣を同様の操作により4回洗浄後、−60℃で24時間凍結保存した。凍結沈渣を融解後、緩衝液で洗浄・遠心して得られた沈渣を結合試験用緩衝液I(120mM塩化ナトリウム、5mM塩化カリウム、2mM塩化カルシウム、1mM塩化マグネシウムを含む50mMトリス−塩酸緩衝液、pH7.4)に懸濁(1g組織湿重量/40ml)したものをBZω1またはω2受容体膜標品として結合試験に用いた。一方、腎臓に20倍容の氷冷した結合試験用緩衝液II(100mM塩化ナトリウムを含む50mMリン酸ナトリウム−リン酸カリウム緩衝液、pH7.4)を加えホモジナイズした後、4重に重ねたガーゼで濾過した濾液を40,000gで20分間遠心した。得られた沈渣を緩衝液IIに懸濁(1g組織湿重量/100ml)したものをBZω3受容体膜標品として結合試験に用いた。
【0145】
標識リガンドおよび非標識リガンドとしては、BZω1およびω2受容体結合試験には[3H]フルマゼニル(Ro15-1788)[最終濃度(ω1:0.3nM)(ω2:1nM)]とフルニトラゼパム(最終濃度10μM)を、BZω3受容体結合試験には[3H]4'−クロロジアゼパム:7−クロロ−1,3−ジヒドロ−1−メチル−5−(4−クロロフェニル)−2H−1,4−ジアゼピン−2−オン(Ro5-4864)(最終濃度0.5nM)とジアゼパム(最終濃度100μM)をそれぞれ用いた。インキュベーション条件は、BZω1およびω2受容体結合試験では37℃で30分間、BZω3受容体結合試験では0℃で150分間行った。なお、BZω1およびω2受容体結合試験はビキュクリン(bicuculline:最終濃度100μM)存在下に行った。
【0146】
受容体結合試験は以下の操作手順で行った。各試験管に濃度既知の試験化合物、トリチウム標識リガンド、受容体膜標品および結合試験用緩衝液IまたはIIを加えて総量1mlの反応液とし、受容体膜標品の添加により反応を開始した。インキュベーション後、受容体に結合した標識リガンドをセルハーベスター(ブランデル社製、米国)を用い、ワットマンGF/Bグラスファイバーフィルター上に吸引濾過することで反応を停止した。直ちに、氷冷した緩衝液[ω1およびω2では50mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.7);ω3では緩衝液II]5mlで3回洗浄した。放射活性はフィルターをバイアルに移し、液体シンチレーションカクテル(ACS-II、アマシャム社製、米国)10mlを加え、一定時間安置した後、シンチレーションカウンターで測定した。特異的結合量は同時に測定した非標識リガンド存在下における非特異的結合量を総結合量から差し引くことにより求めた。なお、試験化合物が標識リガンドの特異的結合量を50%抑制する濃度(IC50値)はプロビット法で求めた。結果を表5に示す。なお、表5に示した試験化合物については、ベンゾジアゼピンω1およびω2受容体に対するIC50値がすべて1000nM以上であった。
【0147】
【表5】
【0148】
*製造例1の化合物を意味する(以下、それぞれ製造例番号に対応する化合物を意味する)。
【0149】
表5に示した式(I)の化合物はBZω3受容体に強力に結合する。これに対し、これらの化合物のBZω1およびBZω2受容体のIC50値が1000nM以上であることから、式(I)の化合物がBZω3受容体に選択的で強力に結合することは明らかである。
【0150】
試験例2:明・暗箱試験(抗不安作用)−−
Crawley, JとGoodwin, F. K.らの明・暗箱試験法[Pharmacol. Biochem. Behav.,13, 167-170 (1980)参照]に準拠し、試験化合物の抗不安作用の有無を検討した。
【0151】
この明・暗箱試験は、マウスやラット等のげっ歯類が暗い場所を好む習性を利用し、不快環境である明るい場所での相対的滞留時間の増加を指標として薬物の抗不安作用を評価する有効でかつ簡便な行動薬理学的試験方法である。この方法では、コレシストキニン−B型の拮抗薬やベンゾジアゼピン系の薬物の多くが陽性効果を示す。
【0152】
明・暗箱試験は、白熱電球により照度1700ルックスに照らされた透明アクリル板製の明箱(20×17×15cm)と黒色アクリル板製の暗箱(15×17×15cm)が連結し、その境にマウスが自由に移動できる関門(4.4×5.0cm)を設けた装置(35×17×15cm)を用いて行った。
【0153】
試験には体重25〜30gのStd-ddY系雄性マウスを1群10匹用いた。試験化合物の経口投与30分後にマウスを明箱の中央に置き、5分間の試験時間のうち明箱に留まっていた時間を測定し、全試験時間に対する明箱滞在時間の割合(明箱滞在率、%)を算出した。
【0154】
試験化合物の抗不安作用効力は、明箱滞在率を統計的に有意(ダネット法、5%危険率)に増加させる最小有効量(MED)で表した。結果を表6に示す。
【0155】
【表6】
【0156】
*製造例1の化合物を意味する(以下、それぞれ製造例番号に対応する化合物を意味する)。
【0157】
表6に示した式(I)の化合物は、1mg/kg以下の投与量で抗不安作用を示し、特に製造例1、2、5、106、107、136、137、146および147の化合物は0.001〜0.003mg/kgの低用量で抗不安作用を示した。
【0158】
試験例3:イソニアジド誘発間代性けいれんに対する作用試験(抗けいれん作用)−−
イソニアジドはGABA生合成酵素であるグルタミン酸脱炭酸酵素を阻害するので、イソニアジドを投与すると脳内GABA量の減少に基づく間代性けいれんが誘発される。Auta, J.らの方法[J. Pharmacol. Exp. Ther.,265, 649-656 (1993)参照]に準拠し、試験化合物のイソニアジド誘発間代性けいれんに対する拮抗作用を試験した。この試験では、GABAA受容体機能の間接的或いは直接的亢進作用を有する多くの薬物、例えば、ジアゼパムに代表されるBZ受容体作用薬、アロプレグナノロンやアロテトラヒドロデオキシコルチコステロン(THDOC)等のニューロステロイド或いはニューロステロイド生成の促進作用を持つBZω3受容体作用薬が陽性効果を示すことが知られている。
【0159】
試験には体重22〜24gのStd-ddY系雄性マウスを1群6匹用いた。試験化合物の経口投与30分後にイソニアジド(200mg/kg)を皮下投与した。その直後にマウスをプラスチック製ケージに入れ、間代性けいれん発作の発現潜時を90分間観察した。溶媒対照群の発現潜時は約40分であった。
【0160】
試験化合物の拮抗作用効力は、溶媒対照群に比較して発現潜時率を正味25%増加延長させる用量(ED25値)として表した。ED25値はプロビット法により算出した。結果を表7に示す。
【0161】
【表7】
【0162】
*製造例106の化合物を意味する(以下、それぞれ製造例番号に対応する化合物を意味する)。
【0163】
試験例4:強制水泳モデルにおける不動時間に対する作用試験(抗うつ作用)−−
抗うつ薬の評価モデルとして、動物の強制水泳における絶望状態モデルは多くの抗うつ薬が絶望状態の指標である不動時間を短縮する効果を示すことから繁用されている。Porsolt R.D. らの方法[Eur. J. Pharmacol., 47, 379-391 (1978)参照]に準拠し、強制水泳モデルの絶望状態に対する試験化合物の作用を試験した。
【0164】
試験には馴らし試行にて選択した体重95〜120gのStd-Wistar系雄性ラットを一群6匹用いた。動物の選択基準は23〜25℃の水槽内{透明アクリル製シリンダー(内径:24.5cm、高さ:33cm、水深:15cm)}に1日1回、10分間入れる馴らし試行を4回行い、試験前日の4回目の試行時において入水後6分間の不動時間が180秒を越えるものを用いた。群分けは無作為抽出にて行った。
【0165】
試験化合物(製造例146の化合物)の経口投与60分後にラットを水槽内に入れて6分間の試験中に認められる不動時間を測定した。被験化合物群の不動時間短縮作用は溶媒対照群とのパラメトリックDunnett法による多重比較検定を行い判定した。
【0166】
また、試験化合物(製造例146の化合物)10mg/kgの経口投与30分後にBZω3受容体拮抗薬PK-11195[1−(2−クロロフェニル)−N−メチル−N−(1−メチルプロピル)−3−イソキノリンカルボキサミド] 3mg/kgを腹腔内投与し、その30分後にラットを水槽内に入れて6分間の試験中に認められる不動時間を測定し、試験化合物の不動時間短縮作用に対するPK-11195の拮抗試験を行った。 PK-11195による拮抗作用は試験化合物単独群と試験化合物とPK-11195併用群とのパラメトリックStudent's t2群比較検定を行い判定した。
【0167】
製造例146の化合物は、3mg/kgの投与量で22.1%、10mg/kgの投与量で28.4%のいずれも有意(p<0.01)な不動時間の短縮作用が認められた。また、製造例146の化合物の不動時間短縮作用はω3受容体拮抗薬PK-11195により完全に拮抗された。
【0168】
試験例5:急性毒性−−
各群10匹のStd-ddY系雄性マウス(体重25〜30g)を使用し、製造例1の化合物について実験を行った。0.5%とラガント溶液に懸濁した試験化合物2000mg/kgを経口投与し、投与後7日間にわたり死亡の有無を観察した結果、製造例1の化合物については死亡例はなかった。
【0169】
上記の薬理試験結果から明らかなように、式(I)の化合物は、in vitro試験でBZω3受容体に対して選択的でかつ顕著な親和性を示すと共に、動物試験において抗不安作用や抗てんかん作用等の優れた薬理作用を示すので、不安関連疾患(神経症、心身症、不安障害、およびその他)、うつ病、てんかんなどの中枢性疾患、多発性硬化症などの免疫性神経疾患、狭心症、高血圧症などの循環器系疾患の治療薬および予防薬として有用である。
【0170】
BZω3受容体に対して選択的でかつ顕著な親和性を示すと共に、強い抗不安作用を示す化合物としては、例えば、以下の化合物およびその製薬学的に許容される酸付加塩が挙げられる。
【0171】
(1) N−エチル−8,9−ジヒドロ−9−メチル−8−オキソ−2−フェニル−N−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミド(製造例1の化合物)
【0172】
(2) 8,9−ジヒドロ−9−メチル−N−メチル−8−オキソ−2−フェニル−N−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミド(製造例2の化合物)
【0173】
(3) 8,9−ジヒドロ−2−(4−フルオロフェニル)−9−メチル−N−メチル−8−オキソ−N−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミド(製造例5の化合物)
【0174】
(4) N−エチル−8,9−ジヒドロ−2−(4−フルオロフェニル)−9−メチル−8−オキソ−N−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミド(製造例12の化合物)
(5) 7,8−ジヒドロ−7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−N,N−ジプロピル−9H−プリン−9−アセトアミド(製造例106の化合物)
【0175】
(6) 7−エチル−7,8−ジヒドロ−8−オキソ−2−フェニル−N,N−ジプロピル−9H−プリン−9−アセトアミド(製造例107の化合物)
【0176】
(7) N−ベンジル−N−エチル−7,8−ジヒドロ−7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−9H−プリン−9−アセトアミド(製造例146の化合物)
【0177】
(8) N−ベンジル−7,8−ジヒドロ−N−メチル−7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−9H−プリン−9−アセトアミド(製造例136の化合物)
【0178】
(9) N−ベンジル−N−エチル−7,8−ジヒドロ−7−メチル−8−オキソ−2−(4−クロロフェニル)−9H−プリン−9−アセトアミド(製造例147の化合物)
【0179】
(10) N−ベンジル−7,8−ジヒドロ−N−メチル−7−メチル−8−オキソ−2−(4−クロロフェニル)−9H−プリン−9−アセトアミド(製造例137の化合物)
【0180】
N−(4−クロロベンジル)−N−エチル−7,8−ジヒドロ−7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−9H−プリン−9−アセトアミド(製造例203の化合物)
【0181】
式(I)の化合物の投与経路としては、経口投与、非経口投与あるいは直腸内投与のいずれでもよい。投与量は、化合物の種類、投与方法、患者の症状・年齢等により異なるが、通常0.01〜50mg/kg/日、好ましくは0.03〜5mg/kg/日である。
【0182】
式(I)の化合物は通常、製剤用担体と混合して調製した製剤の形で投与される。製剤用担体としては、製剤分野において常用され、かつ式(I)の化合物と反応しない物質が用いられる。具体的には、例えば、乳糖、イノシトール、ブドウ糖、マンニトール、デキストラン、シクロデキストリン、ソルビトール、デンプン、部分アルファー化デンプン、白糖、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルデンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、イオン交換樹脂、メチルセルロース、ゼラチン、アラビアゴム、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、タルク、カルボキシビニルポリマー、酸化チタン、ソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、グリセリン、脂肪酸グリセリンエステル、精製ラノリン、グリセロゼラチン、ポリソルベート、マクロゴール、植物油、ロウ、プロピレングリコール、水、エタノール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(HCO)、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、塩酸、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、クエン酸、グルタミン酸、ベンジルアルコール、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル等が挙げられる。
【0183】
剤型としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、懸濁剤、坐剤、注射剤等が挙げられる。これらの製剤は常法に従って調製される。なお、液体製剤にあっては、用時、水または他の適当な媒体に溶解または懸濁する形であってもよい。また錠剤、顆粒剤は周知の方法でコーティングしてもよい。注射剤の場合には、式(I)の化合物を水に溶解させて調製されるが、必要に応じて等張化剤や溶解補助剤を用いて溶解させてもよく、またpH調節剤、緩衝剤や保存剤を添加してもよい。
【0184】
これらの製剤は、式(I)の化合物を0.01%以上、好ましくは0.1〜70%の割合で含有することができる。これらの製剤はまた、治療上有効な他の成分を含有していてもよい。
【0185】
【製造例】
以下に製造例を挙げて本発明に係わる化合物ついてさらに具体的に説明する。化合物の同定は元素分析値、マススペクトル、IRスペクトル、NMRスペクトル等により行った。
【0186】
また、以下の参考例1〜112および製造例1〜232の製造例を示す表中において、記載の簡略化のために次の略号を使用することもある。
【0187】
[再結晶溶媒]
A:エタノール
AN:アセトニトリル
CF:クロロホルム
E:ジエチルエーテル
M:メタノール
IP:イソプロパノール
IPE:ジイソプロピルエーテル
DMF:ジメチルホルムアミド
【0188】
参考例 1−−
3,4−ジヒドロ−4−オキソ−2−フェニルピリミジン−5−カルボン酸エチルの製造
【0189】
ナトリウムメトキシド16.5gおよび無水エタノール200mlの混合物に、0〜5℃でベンズアミジン塩酸塩16gを加えた。0℃で30分間撹拌した後、エトキシメチレンマロン酸ジエチル20gの無水エタノール50ml溶液を同温で滴下した。滴下終了後、室温で30分間撹拌した後、6時間加熱還流した。反応混合物を減圧で濃縮後、残留物を水に溶かし、0〜5℃で撹拌しながら濃塩酸をpH4になるまで滴下した。析出物を濾取し、水洗、ジエチルエーテルで洗浄した後、エタノールで洗浄して目的物17.5gを得た。
【0190】
参考例 2〜10−−
対応する原料化合物を用い、参考例1と同様に反応・処理し、化39の表8で表される化合物を得た。
【0191】
【化39】
【0192】
【表8】
【0193】
参考例 11−−
3,4−ジヒドロ−4−オキソ−2,6−ジフェニルピリミジン−5−カルボン酸エチルの製造
【0194】
(1)20%ナトリウムエトキシド−エタノール溶液44.9g、エタノール200mlの混合物に室温でベンズアミジン塩酸塩10.3gを加えた。同温で2時間撹拌した後、ベンザルマロン酸エチル14.9gを加え、3時間加熱還流した。反応混合物を減圧で濃縮した後、残留物に氷水を加え、濃塩酸をpH4になるまで滴下した。析出物を濾取・水洗し、粗3,4,5,6−テトラヒドロ−4−オキソ−2,6−ジフェニルピリミジン−5−カルボン酸エチル15.8gを得た。
【0195】
(2)上記生成物15.5g、2,3−ジクロロ−2,3−ジシアノ−p−ベンゾキノン13.6gおよびエタノール300mlの混合物を室温で4時間撹袢した。反応混合物を減圧で濃縮し、水およびクロロホルムを加えてクロロホルム層を分取し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、クロロホルムで溶出・精製し、残留物にジイソプロピルエーテルを加えて析出物を濾取し目的物10.7gを得た。
【0196】
参考例 12〜14−−
対応する原料化合物を用い、参考例11と同様に反応・処理し、化40の表9で表される化合物を得た。
【0197】
【化40】
【0198】
【表9】
【0199】
参考例 15−−
5−ニトロ−2−フェニル−4(3H)−ピリミジノンの製造
【0200】
ナトリウムメトキシド8gおよび無水エタノール100mlの混合物に0℃でベンズアミジン塩酸塩11.7gを加えた。0℃で30分間撹拌した後、ニトロ酢酸エチル10gおよびN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール10.7gの混合物を3時間加熱還流し、減圧で濃縮することによって得られる粗2−(N,N−ジメチルアミノメチレン)ニトロ酢酸エチル14gの無水エタノール50ml溶液を同温で滴下した。滴下終了後、室温で30分間撹拌した後、12時間加熱還流した。反応混合物を減圧で濃縮後、残留物に150mlの水を加え、0℃で撹拌しながら濃塩酸をpH4になるまで滴下した。析出物を濾取し、水洗した後、エタノールから再結晶し目的物7gを得た。
融点 264〜266℃
【0201】
参考例 16〜18−−
対応する原料化合物を用い、参考例15と同様に反応・処理し、化41の表10で表される化合物を得た。
【0202】
【化41】
【0203】
【表10】
【0204】
参考例 19−−
4−クロロ−2−フェニルピリミジン−5−カルボン酸エチルの製造
【0205】
3,4−ジヒドロ−4−オキソ−2−フェニルピリミジン−5−カルボン酸エチル12gおよびオキシ塩化リン22.6gの混合物を90℃で4時間撹拌した。反応混合物を氷水中に加え、1N水酸化ナトリウム水溶液で中和した後、析出物を濾取し、水洗して目的物11gを得た。
【0206】
参考例 20〜28−−
対応する原料化合物を用い、参考例19と同様に反応・処理し、化42の表11で表される化合物を得た。
【0207】
【化42】
【0208】
【表11】
【0209】
参考例 29−−
4−クロロ−5−ニトロ−2−フェニルピリミジンの製造
【0210】
5−ニトロ−2−フェニル−4(3H)−ピリミジノン6gおよびオキシ塩化リン8.5gの混合物を90℃で4時間撹拌した。冷却後、反応混合物を減圧で濃縮し、残留物をクロロホルムに溶解した後、氷水を加えて撹拌した。1N水酸化ナトリウム水溶液で中和した後、クロロホルム層を分取し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧で濃縮した。残留物をエタノールから再結晶して目的物5.6gを得た。 融点 160〜161℃
【0211】
参考例 30〜32−−
対応する原料化合物を用い、参考例29と同様に反応・処理し、化43の表12で表される化合物を得た。
【0212】
【化43】
【0213】
【表12】
【0214】
参考例 33−−
4,6−ジクロロ−5−ニトロ−2−フェニルピリミジンの製造
【0215】
(1)20%ナトリウムエトキシド−エタノール溶液150g、ベンズアミジン塩酸塩34.5g、マロン酸ジエチル32gおよびエタノール500mlを用い、参考例11(1)と同様に反応・処理し、粗4,6−ジヒドロキシ−2−フェニルピリミジン31.5gを得た。
【0216】
(2)90%硝酸150mlに上記生成物30gを0〜5℃で少しずつ加え、室温で30分間撹袢した。反応混合物を氷水中に加え、析出物を濾取・水洗し、粗
4,6−ジヒドロキシ−5−ニトロ−2−フェニルピリミジン32gを得た。
【0217】
(3)上記生成物8gおよびジメチルアニリン4gの混合物に室温でオキシ塩化リンを滴下した。滴下終了後、3時間加熱還流した。反応混合物を氷水中に加え、析出物を濾取・水洗し、目的物8.7gを得た。
【0218】
参考例 34−−
4−メチルアミノ−2−フェニルピリミジン−5−カルボン酸の製造
【0219】
(1)4−クロロ−2−フェニルピリミジン−5−カルボン酸エチル10g、メチルアミン塩酸塩2.8g、トリエチルアミン8.5gおよびイソプロパノール100mlの混合物を6時間加熱還流した。反応混合物を減圧で濃縮し、残留物にクロロホルムおよび水を加え、クロロホルム層を分取し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、クロロホルムで溶出・精製し、エタノールから再結晶して4−メチルアミノ−2−フェニルピリミジン−5−カルボン酸エチル8gを得た。
【0220】
(2)上記生成物8g、1N水酸化ナトリウム水溶液150mlおよびエタノール50mlの混合物を2時間加熱還流した。反応混合物を減圧で濃縮後、氷水に溶かし、濃塩酸をpH1になるまで加えた。析出した結晶を濾取し、水洗した後、エタノールで洗浄して目的物7.3gを得た。
【0221】
参考例 35〜50−−
対応する原料化合物を用い、参考例34と同様に反応・処理し、化44の表13で表される化合物を得た。
【0222】
【化44】
【0223】
【表13】
【0224】
参考例 51−−
2−フェニル−4−プロピルアミノピリミジン−5−カルボン酸の製造
【0225】
(1)3,4−ジヒドロ−4−オキソ−2−フェニルピリミジン−5−カルボン酸エチル9.8g、トリエチルアミン10.1gおよびジメチルホルムアミド20mlの混合物に室温でp−トルエンスルホニルクロリド8.4gのジメチルホルムアミド20ml溶液を滴下し、同温で10分間撹袢した。反応混合物にプロピルアミン2.8gのジメチルホルムアミド20ml溶液を滴下し、室温で1時間撹袢した。反応混合物にクロロホルムおよび水を加え、クロロホルム層を分取し無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧で濃縮し、粗2−フェニル−4−プロピルアミノピリミジン−5−カルボン酸エチル11gを得た。
【0226】
(2)上記生成物11g、1N水酸化ナトリウム水溶液100mlおよびエタノール100mlの混合物を2時間加熱還流した。反応混合物を減圧で濃縮し、氷水に溶かし、濃塩酸をpH1になるまで加え、析出した結晶を濾取し、水洗した後、エタノールで洗浄して目的物9.6gを得た。
【0227】
参考例 52〜62−−
対応する原料化合物を用い、参考例51と同様に反応・処理し、化45の表14で表される化合物を得た。
【0228】
【化45】
【0229】
【表14】
【0230】
参考例 63−−
4−(N−ベンジル−N−メチルカルバモイルメチルアミノ)−2−フェニルピリミジン−5−カルボン酸の製造
【0231】
(1)4−クロロ−2−フェニルピリミジン−5−カルボン酸エチル21g、グリシン6.6g、トリエチルアミン17.8gおよびエタノール200mlの混合物を4時間加熱還流した。反応混合物を減圧で濃縮した後、残留物を水に溶かし、0〜5℃で撹拌しながら濃塩酸をpH4になるまで滴下した。析出物を濾取し、水洗して粗N−(5−エトキシカルボニル−2−フェニル−4−ピリミジニル)グリシン24gを得た。
【0232】
(2)上記生成物6g、N−メチルベンジルアミン3.6g、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム・ヘキサフルオロホスフェート(以下、「BOP試薬」と称する)13.3g、トリエチルアミン3.0gおよびジメチルホルムアミド100mlの混合物を室温で1時間攪拌した。反応混合物を減圧で濃縮し、残留物に水およびクロロホルムを加え、クロロホルム層を分取し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、クロロホルムで溶出・精製し、粗4−(N−ベンジル−N−メチルカルバモイルメチルアミノ)−2−フェニルピリミジン−5−カルボン酸エチル7.8gを得た。
【0233】
(3)上記生成物7.8g、1N水酸化ナトリウム水溶液100mlおよびエタノール100mlの混合物を2時間加熱還流した。反応混合物を減圧で濃縮し、氷水にとかし、濃塩酸をpH1になるまで加え、析出した結晶を濾取し、水洗した後、エタノールで洗浄して目的物7.0gを得た。
【0234】
参考例 64〜80−−
対応する原料化合物を用い、参考例63と同様に反応・処理し、化46の表15で表される化合物を得た。
【0235】
【化46】
【0236】
【表15】
【0237】
参考例 81−−
4−エチルアミノ−5−ニトロ−2−フェニルピリミジンの製造
【0238】
4−クロロ−5−ニトロ−2−フェニルピリミジン3g、エチルアミン塩酸塩1.6g、トリエチルアミン3.9gおよびイソプロパノール60mlの混合物を3時間加熱還流した。反応混合物を減圧で濃縮し、残留物にクロロホルムおよび水を加え、クロロホルム層を分取し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、クロロホルムで溶出・精製し、イソプロパノールから再結晶して目的物2.9gを得た。
融点 136〜137℃
【0239】
参考例 82−−
4−メチルアミノ−5−ニトロ−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)ピリミジンの製造
【0240】
対応する原料化合物を用い、参考例81と同様に反応・処理し、イソプロパノールから再結晶して目的物を得た。
融点 170〜172℃
【0241】
参考例 83〜92−−
対応する原料化合物を用い、参考例81と同様に反応・処理し、化47の表16で表される化合物を得た。
【0242】
【化47】
【0243】
【表16】
【0244】
参考例 93−−
6−クロロ−4−メチルアミノ−5−ニトロ−2−フェニルピリミジンの製造対応する原料化合物を用い、参考例81と同様に反応・処理し、目的物を得た。
【0245】
製造例 1−−
N−エチル−8,9−ジヒドロ−9−メチル−8−オキソ−2−フェニル−N−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミドの製造
【0246】
約60%水素化ナトリウム(油性)1.4gおよびジメチルホルムアミド70mlの混合物に7,9−ジヒドロ−9−メチル−2−フェニル−8H−プリン−8−オン7.0gを0〜5℃で少しづつ加え、0℃で1時間撹拌した後、同温で2−ブロモ−N−エチル−N−フェニルアセトアミド8.3gを滴下した。滴下終了後、室温で3時間撹拌した。反応混合物に水およびクロロホルムを加えてクロロホルム層を分取し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、クロロホルムで溶出・精製し、エタノールから再結晶して目的物10.3gを得た。
融点 240〜242℃
【0247】
製造例 2〜44−−
対応する原料化合物を用い、製造例1と同様に反応・処理し、化48で表される表17と表18の化合物および化49で表される表19の化合物を得た。
【0248】
【化48】
【0249】
【表17】
【0250】
下記表18は表17の続き
【0251】
【表18】
【0252】
【化49】
【0253】
【表19】
【0254】
製造例 45−−
6−クロロ−N−エチル−8,9−ジヒドロ−9−メチル−8−オキソ−2−フェニル−N−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミドの製造
【0255】
6−クロロ−7,9−ジヒドロ−9−メチル−2−フェニル−8H−プリン−8−オン1.6g、炭酸カリウム1.0gおよびジメチルホルムアミド15mlの混合物に2−クロロ−N−エチル−N−フェニルアセトアミド1.4gを室温で加え、同温で2時間攪拌した。反応混合物に水を加え、析出物を濾取し水洗した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、クロロホルムで溶出・精製し、エタノールから再結晶して目的物1.8gを得た。 融点 212〜213℃
【0256】
製造例 46−−
N−エチル−8,9−ジヒドロ−6−メトキシ−9−メチル−8−オキソ−2−フェニル−N−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミドの製造
【0257】
製造例45で得られた6−クロロ−N−エチル−8,9−ジヒドロ−9−メチル−8−オキソ−2−フェニル−N−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミド0.6g、28%ナトリウムメトキシド−メタノール溶液0.3g、メタノール20mlおよび1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン5mlの混合物を4時間加熱還流した。反応混合物を減圧で濃縮し、残留物に水およびクロロホルムを加え、クロロホルム層を分取し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、クロロホルムで溶出・精製し、エタノールから再結晶して目的物0.3gを得た。 融点 173〜175℃
【0258】
製造例 47−−
N−エチル−8,9−ジヒドロ−9−メチル−6−ジメチルアミノ−8−オキソ−2−フェニル−N−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミドの製造
【0259】
製造例45で得られた6−クロロ−N−エチル−8,9−ジヒドロ−9−メチル−8−オキソ−2−フェニル−N−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミド0.6g、ジメチルアミン塩酸塩0.2g、トリエチルアミン0.4gおよびジメチルホルムアミド20mlの混合物を100℃で4時間攪拌した。反応混合物を減圧で濃縮し、残留物に水およびクロロホルムを加え、クロロホルム層を分取し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、クロロホルムで溶出・精製し、ジイソプロピルエーテルから再結晶して目的物0.34gを得た。 融点 179〜181℃
【0260】
製造例 48−−
N−ベンジル−8,9−ジヒドロ−9−メチル−N−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミドの製造
【0261】
(1)7,9−ジヒドロ−9−メチル−2−フェニル−8H−プリン−8−オン22.6g、クロル酢酸エチル13.5g、炭酸カリウム15.2gおよびジメチルホルムアミド250mlの混合物を室温で1時間攪拌した。反応混合物に水およびクロロホルムを加え、クロロホルム層を分取し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧で濃縮して粗エチル8,9−ジヒドロ−9−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7H−プリン−7−酢酸26gを得た。
【0262】
(2)上記生成物26g、1N水酸化ナトリウム水溶液500mlおよびエタノール500mlの混合物を1時間加熱還流した。反応混合物を減圧で濃縮した後、残留物に水を加え、濃塩酸をpH1になるまで滴下した。析出物を濾取し水洗した後、エタノ−ルで洗浄して粗8,9−ジヒドロ−9−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7H−プリン−7−酢酸22gを得た。
【0263】
(3)上記生成物1.1g、メチルベンジルアミン0.7g、BOP試薬2.6g、トリエチルアミン0.6gおよびジメチルホルムアミド30mlの混合物を室温で1時間攪拌した。反応混合物を減圧で濃縮し、残留物に水およびクロロホルムを加え、クロロホルム層を分取し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、クロロホルムで溶出・精製し、エタノールおよびジイソプロピルエーテルから再結晶して目的物1.1gを得た。 融点 160〜161℃
【0264】
製造例 49〜65−−
対応する原料化合物を用い、製造例48と同様に反応・処理し、化50で表される表20の化合物を得た。
【0265】
【化50】
【0266】
【表20】
【0267】
製造例 66−−
8,9−ジヒドロ−9−メチル−7−(2,6−ジメチルモルホリン−4−イ
ルカルボニルメチル)−8−オキソ−2−フェニル−7H−プリンの製造
【0268】
2,6−ジメチルモルホリンを用い、製造例48の(3)と同様に反応・処理し、アセトニトリルおよびジイソプロピルエーテルから再結晶して目的物を得た。融点 160〜161℃
【0269】
製造例 67−−
N−エチル−N−フェニル−2−(8,9−ジヒドロ−9−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7H−プリン−7−イル)プロパンアミドの製造
【0270】
製造例48の(1)におけるクロル酢酸エチルの代わりに2−クロルプロピオン酸エチルを用い、さらに製造例48の(3)においてはメチルベンジルアミンの代わりにN−エチルアニリンを用い、製造例48と同様に反応・処理し、エタノールから再結晶して目的物を得た。 融点 150〜151℃
【0271】
製造例 68−−
8,9−ジヒドロ−N−(2−ヒドロキシエチル)−9−メチル−8−オキソ−2−フェニル−N−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミドの製造
【0272】
(1)製造例48の(2)で得られた8,9−ジヒドロ−9−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7H−プリン−7−酢酸3g、アニリン1.3g、BOP試薬5.1g、トリエチルアミン1.2gおよびジメチルホルムアミド20mlの混合物を室温で2時間攪拌した。反応混合物に水を加え、析出物を濾取・水洗し、粗8,9−ジヒドロ−9−メチル−8−オキソ−2−フェニル−N−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミド3.5gを得た。
【0273】
(2)約60%水素化ナトリウム(油性)0.3gおよびジメチルホルムアミド30mlの混合物に上記生成物2.5gを0〜5℃で少しづつ加え、0℃で1時間撹拌した後、同温で2−ブロモエチルアセテート2.2gを滴下した。滴下終了後、室温で3時間撹拌した。反応混合物に水およびクロロホルムを加えてクロロホルム層を分取し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、クロロホルムで溶出・精製し、イソプロパノールから再結晶してN−(2−アセトキシエチル)−8,9−ジヒドロ−9−メチル−8−オキソ−2−フェニル−N−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミド0.9gを得た。 融点 158〜160℃
【0274】
(3)上記生成物0.9g、炭酸カリウム0.3gおよびメタノール15mlの混合物を室温で3時間攪拌した。反応混合物に水を加え、析出物を濾取・水洗し、メタノールおよびアセトニトリルから再結晶して目的物0.05gを得た。
融点 231〜233℃
【0275】
製造例 69−−
N−(4−フルオロベンジル)−8,9−ジヒドロ−9−メチル−N−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミドの製造
【0276】
(1)製造例48の(2)で得られた8,9−ジヒドロ−9−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7H−プリン−7−酢酸9.1g、メチルアミン塩酸塩3.2g、BOP試薬21.2g、トリエチルアミン9.7gおよびジメチルホルムアミド100mlの混合物を室温で2時間攪拌した。反応混合物に水を加え、析出物を濾取・水洗し、粗8,9−ジヒドロ−9−メチル−N−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミド8.1gを得た。
【0277】
(2)約60%水素化ナトリウム(油性)0.2gおよびジメチルホルムアミド30mlの混合物に上記生成物1.2gを0〜5℃で少しづつ加え、0℃で1時間撹拌した後、同温で4−フルオロベンジルブロミド1.0gを滴下した。滴下終了後、室温で3時間撹拌した。反応混合物に水およびクロロホルムを加えてクロロホルム層を分取し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、クロロホルムで溶出・精製し、エタノールから再結晶して目的物0.6gを得た。 融点 197〜199℃
【0278】
製造例 70〜78−−
対応する原料化合物を用い、製造例69と同様に反応・処理し、化51で表される表21の化合物を得た。
【0279】
【化51】
【0280】
【表21】
* 上記表中、Bzl-3-Fは3−フルオロベンジル基を意味する。
【0281】
製造例 79−−
7,8−ジヒドロ−8−オキソ−2−フェニル−N,N−ジプロピル−9H−プリン−9−アセトアミドの製造
【0282】
2−フェニル−4−(N,N−ジプロピルカルバモイルメチルアミノ)ピリミジン−5−カルボン酸10gおよびジメチルホルムアミド70mlの混合物に室温でトリエチルアミン2.8gを加え、10分間撹拌した後、同温でジフェニルリン酸アジド7.7gを加えた。反応混合物を100℃で2時間撹拌した後、減圧で濃縮した。残留物を氷水中に注ぎ、析出物を濾取し、水洗後、エタノールから再結晶して目的物7gを得た。 融点 190〜191℃
【0283】
製造例 80〜96−−
対応する原料化合物を用い、製造例79と同様に反応・処理し、化52で表される表22の化合物を得た。
【0284】
【化52】
【0285】
【表22】
【0286】
製造例 97−−
2−(4−クロロフェニル)−7,8−ジヒドロ−8−オキソ−N,N−ジプロピル−9H−プリン−9−アセトアミドの製造
【0287】
2−[2−(4−クロロフェニル)−5−ニトロ−4−ピリミジニルアミノ]−N,N−ジプロピルアセトアミド9g、酸化白金(IV)1gおよびエタノール150mlの混合物を水素雰囲気下で4時間撹拌した後、反応混合物を濾過した。濾液を減圧で濃縮し、得られた残渣に尿素2.1gを加え200℃で2時間撹拌した。冷却後、反応混合物に水を加え析出物を濾取し、水洗後、エタノールから再結晶して目的物7gを得た。 融点 177〜178℃
【0288】
製造例 98〜105−−
対応する原料化合物を用い、製造例97と同様に反応・処理し、化53で表される表23の化合物を得た。
【0289】
【化53】
【0290】
【表23】
【0291】
製造例 106−−
7,8−ジヒドロ−7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−N,N−ジプロピル−9H−プリン−9−アセトアミドの製造
【0292】
約60%水素化ナトリウム(油性)0.8gおよびジメチルホルムアミド50mlの混合物に製造例79で得られた7,8−ジヒドロ−8−オキソ−2−フェニル−N,N−ジプロピル−9H−プリン−9−アセトアミド6gを0〜5℃で少しづつ加え0℃で1時間撹拌した後、同温でヨウ化メチル2.9gを滴下した。滴下終了後、室温で2時間撹拌した。反応混合物に水およびクロロホルムを加えてクロロホルム層を分取し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、クロロホルムで溶出・精製し、エタノールから再結晶して目的物6gを得た。 融点 156〜157℃
【0293】
製造例 107〜172−−
対応する原料化合物を用い、製造例106と同様に反応・処理し、化54で表される表24〜表26の化合物を得た。
【0294】
【化54】
【0295】
【表24】
*:1/4水和物として得られた。
【0296】
下記表25は表24の続き
【0297】
【表25】
【0298】
下記表26は表25の続き
【0299】
【表26】
*:1/4水和物として得られた。
【0300】
製造例 173−−
8,9−ジヒドロ−N−(4−メトキシフェニル)−9−メチル−N−エチル−8−オキソ−2−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミドの製造
【0301】
対応する原料化合物を用い、製造例48と同様に反応・処理し、エタノールから再結晶して目的物を得た。 融点 208〜209℃
【0302】
製造例 174−−
8,9−ジヒドロ−N−(4−ヒドロキシフェニル)−9−メチル−N−エチル−8−オキソ−2−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミドの製造
製造例173で得られた8,9−ジヒドロ−N−(4−メトキシフェニル)−9−メチル−N−エチル−8−オキソ−2−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミド0.83gおよびジクロロメタン10mlの混合物に0℃で1M三臭化ホウ素−ジクロロメタン溶液4mlを加え、室温で5日間攪拌した。反応混合物に水を加え、析出物を濾取、水洗した後、エタノールおよびジイソプロピルエーテルから再結晶して目的物0.38gを得た。 融点 254〜256℃
【0303】
製造例 175−−
N−ベンジル−N−エチル−7,8−ジヒドロ−9−メチル−8−オキソ−2−フェニル−9H−プリン−9−アセトアミド塩酸塩の製造
【0304】
製造例146で得られたN−ベンジル−N−エチル−7,8−ジヒドロ−9−メチル−8−オキソ−2−フェニル−9H−プリン−9−アセトアミド0.8gおよびエタノール15mlの混合物に80℃で30%塩酸エタノール15mlを加え、30分間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却後、析出物を濾取し、エタノールで洗浄して目的物0.85gを得た。 融点 169〜172℃
【0305】
製造例 176−−
N−エチル−8,9−ジヒドロ−9−メチル−8−オキソ−2−フェニル−N−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミド塩酸塩の製造
【0306】
製造例1で得られたN−エチル−8,9−ジヒドロ−9−メチル−8−オキソ−2−フェニル−N−フェニル−7H−プリン−7−アセタミドを用い、製造例175と同様に反応・処理し、目的物を得た。 融点 248〜249℃
【0307】
製造例 177〜186−−
対応する原料化合物を用い、製造例79と同様に反応・処理し、化55で表される表27の化合物を得た。
【0308】
【化55】
【0309】
【表27】
【0310】
製造例 187〜206−−
対応する原料化合物を用い、製造例106と同様に反応・処理し、化56で表される表28の化合物を得た。
【0311】
【化56】
【0312】
【表28】
【0313】
製造例 207−−
N−エチル−8,9−ジヒドロ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−9−メチル−8−オキソ−N−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミドの製造
製造例13で得られたN−エチル−8,9−ジヒドロ−2−(4−メトキシフェニル)−9−メチル−8−オキソ−N−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミドを用い、製造例173と同様に反応・処理し、エタノールから再結晶して目的物を得た。 融点 280〜282℃
【0314】
製造例 208−−
N−イソプロピル−8,9−ジヒドロ−9−メチル−8−オキソ−2−フェニル−N−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミドの製造
対応する原料化合物を用い、製造例68の(1)及び(2)と同様に反応・処理し、アセトニトリルから再結晶して目的物を得た。 融点 262〜263℃
【0315】
製造例 209〜210−−
対応する原料化合物を用い、製造例1と同様に反応・処理し、以下の化合物を得た。
【0316】
(製造例209)−−
N−シクロプロピル−8,9−ジヒドロ−9−メチル−8−オキソ−2−フェニル−N−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミド 融点 260〜262℃(アセトニトリルから再結晶)
【0317】
(製造例210)−−
N−(2,2,2−トリフルオロエチル)−8,9−ジヒドロ−9−メチル−8−オキソ−2−フェニル−N−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミド 融点 245〜247℃(アセトニトリルから再結晶)
【0318】
製造例211〜216−−
対応する原料化合物を用い、製造例79と同様に反応・処理し、化57で表される表29の化合物を得た。
【0319】
【化57】
【0320】
【表29】
【0321】
製造例 217〜232−−
対応する原料化合物を用い、製造例106と同様に反応・処理し、化58で表される表30の化合物を得た。
【0322】
【化58】
【0323】
【表30】
【0324】
以下に、式(II)で表される中間体の参考例を示す。
【0325】
参考例 94−−
7,9−ジヒドロ−9−メチル−2−フェニル−8H−プリン−8−オンの製造
【0326】
4−メチルアミノ−2−フェニルピリミジン−5−カルボン酸7gおよびジメチルホルムアミド50mlの混合物に室温でトリエチルアミン3.1gを加え、10分間撹拌した後、同温でジフェニルリン酸アジド8.4gを加えた。反応混合物を120℃で4時間撹拌した後、減圧で濃縮した。残留物を氷水中に注ぎ、析出物を濾取し、水洗、エタノールで洗浄後、クロロホルムから再結晶して目的物5gを得た。 融点 286〜289℃
【0327】
参考例 95〜107−−
対応する原料化合物を用い、参考例94と同様に反応・処理し、化59で表される表31の化合物を得た。
【0328】
【化59】
【0329】
【表31】
【0330】
参考例 108−−
7,9−ジヒドロ−9−ベンジル−2−フェニル−8H−プリン−8−オンの製造
【0331】
対応する原料化合物を用い、参考例94と同様に反応・処理して目的物を得た。 融点 286〜287℃(クロロホルムから再結晶)
【0332】
参考例 109−−
7,9−ジヒドロ−2−フェニル−9−プロピル−8H−プリン−8−オンの製造
【0333】
対応する原料化合物を用い、製造例94と同様に反応・処理して目的物を得た。 融点 263〜264℃(エタノールから再結晶)
【0334】
参考例 110−−
9−エチル−7,9−ジヒドロ−2−フェニル−8H−プリン−8−オンの製造
【0335】
4−エチルアミノ−5−ニトロ−2−フェニルピリミジン2.7g、パラジウム炭素0.3gおよびエタノール50mlの混合物を水素雰囲気下、室温で5時間撹拌した後、反応混合物を濾過した。濾液を減圧で濃縮し、得られた残渣に尿素1.4gを加え200℃で2時間撹拌した。冷却後、反応混合物に水を加え、得られた析出物を濾取し、水洗後、エタノールで洗浄して目的物2.4gを得た。
融点 268〜270℃(クロロホルムから再結晶)
【0336】
参考例 111−−
7,9−ジヒドロ−9−メチル−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)−8H−プリン−8−オンの製造
対応する原料化合物を用い、参考例110と同様に反応・処理し、イソプロパノールから再結晶して目的物を得た。 融点 248〜250℃
【0337】
参考例 112−−
6−クロロ−7,9−ジヒドロ−9−メチル−2−フェニル−8H−プリン−8−オンの製造
【0338】
対応する原料化合物を用い、参考例110と同様に反応・処理し、目的物を固形物として得た。
【0339】
製剤例 1: 錠剤の製造−−
・N−ベンジル−N−エチル−7,8−ジヒドロ−7−メチル−8−オキソ−2
−フェニル−9H−プリン−9−アセトアミド ・・・・・・・ 1 g
・乳糖 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 84 g
・トウモロコシデンプン ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30 g
・結晶セルロース ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25 g
・ヒドロキシプロピルセルロース ・・・・・・・・・・・・・ 3 g
【0340】
上記成分を常法により混和造粒後、軽質無水ケイ酸(0.7g)およびステアリン酸マグネシウム(1.3g)を加えた後、1錠あたり145mgで打錠し、1000錠を製する。
【0341】
製剤例 2: カプセル剤の製造−−
・N−エチル−8,9−ジヒドロ−9−メチル−8−オキソ−2−フェニル−
N−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミド ・・・・・ 2 g
・乳糖 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 165 g
・トウモロコシデンプン ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25 g
・ヒドロキシプロピルセルロース ・・・・・・・・・・・・・ 3.5 g
・軽質無水ケイ酸 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1.8 g
・ステアリン酸マグネシウム・・・・・・・・・・・・・・・・ 2.7 g
【0342】
常法により、上記成分を混合造粒し、顆粒200mgをカプセルに充填し、1000カプセルを製する。
【0343】
製剤例 3: 散剤の製造−−
・N−ベンジル−N−エチル−7,8−ジヒドロ−7−メチル−8−オキソ−2
−フェニル−9H−プリン−9−アセトアミド ・・・・・・・・ 10 g
・乳糖 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 960 g
・ヒドロキシプロピルセルロース ・・・・・・・・・・・・・・ 25 g
・軽質無水ケイ酸 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 g
【0344】
常法により、上記成分を混合した後、散剤に製する。
【0345】
【発明の効果】
以上で説明したように、式(I)で表される化合物およびその製薬学的に許容される酸付加塩は、末梢型BZω3受容体に対して選択的でかつ顕著な親和性を示すと共に、動物試験でも抗不安作用等の優れた薬理作用を有するので、不安関連疾患(神経症、心身症、不安障害、およびその他)、うつ病、てんかんなどの中枢性疾患、狭心症、高血圧症などの循環器系疾患の治療薬および予防薬として有用である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、末梢型ベンゾジアゼピン受容体に選択的に作用する新規な2−アリール−8−オキソジヒドロプリン誘導体、更に詳しくはプリン環の7位または9位に酢酸アミド部分を有する2−アリール−8−オキソジヒドロプリン誘導体からなる医薬に関する。
【0002】
【従来の技術】
ヒトを含む哺乳類の組織には、3つのベンゾジアゼピン(以下、「BZ」と略記することもある)認識部位があり、それぞれ「中枢型(ω1,ω2)」および「末梢型(ω3)」ベンゾジアゼピン受容体と称されている(以下、それぞれ「BZω1受容体」、「BZω2受容体」および「BZω3受容体」と称することもある)。このうち、中枢型BZ受容体は中枢神経のγ−アミノ酪酸(以下、「GABA」と称することもある)A−BZ受容体−Cl−イオンチャンネル複合体上に存在するBZ系化合物の結合部位であるのに対し、末梢型BZ受容体は、中枢、末梢の組織や器官に広く分布している(脳、腎臓、肝臓、心臓等)。特に、副腎や睾丸等の内分泌系臓器や肥満細胞、リンパ球、マクロファージ、血小板等の生体炎症免疫機構に深く関わる細胞には末梢型BZ受容体が高密度に存在することから、最近、その生理的役割への関心が高まっている。一方、脳の末梢型BZ受容体はグリア細胞のミトコンドリア膜に多く存在し、コレステロールのミトコンドリア膜内への取り込みに関与し、プレグネノロンを経てニューロステロイドと称されるプロゲステロンやアロプレグナノロン等への生合成経路に影響を与えると考えられている。従って、末梢型BZ受容体を刺激すると、脳内でのニューロステロイドの生成が促進され、これらのステロイドがGABAA−BZ受容体−Cl−イオンチャンネル複合体上に存在するニューロステロイド認識部位(ベンゾジアゼピン受容体とは異なる部位)に結合してClイオンチャネル開口過程に影響を与えると考えられている[Romeo, E.ら, J. Pharmacol. Exp. Ther., 262, 971-978 (1992)参照]。
【0003】
非BZ骨格を有し、末梢型BZ受容体に対して選択的に親和性を示す化合物は、特開昭58−201756号公報(=EP−A−94271)で報告されて以来、特許出願等において相当数報告されているが、医薬品として実用化されている化合物はない。
【0004】
非BZ骨格を有し、末梢型BZ受容体に対して選択的親和性を示す化合物としては、例えば次のものが知られている。
【0005】
特開昭62−5946号公報[USP−4788199、EP−A−205375(パテントファミリー)]には、下記式で表されるアミド類が末梢型BZ受容体類と結合し、抗不安剤、鎮痙剤および抗狭心症剤、並びに免疫欠損症状の治療薬として有用であると記載されている。
【0006】
【化10】
【0007】
特開平2−32058号公報(=EP−A−346208、USP−5026711)には、下記式で表される4−アミノ−3−カルボキシキノリン類がインビトロおよびインビボで末梢型BZ受容体に対し親和性を有し、ヒトの心臓血管疾患の防止および治療、または抗アレルギー薬として、および感染症状の予防もしくは治療、または不安症状の治療に使用できると記載されている。
【0008】
【化11】
【0009】
WO96−32383号公報には、下記式で表される酢酸アミド誘導体がBZω3受容体に選択的に作用すると共に抗不安作用や抗リウマチ作用を有し、不安関連疾患や免疫疾患の治療に使用できると記載されている。
【0010】
【化12】
【0011】
[式中、Xは−O−または−NR4−を意味し、
R1は水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基またはシクロアルキル(低級)アルキル基を意味し、
R2は低級アルキル基、シクロアルキル基、非置換もしくは置換フェニル基、非置換もしくは置換フェニル(低級)アルキル基等を意味し、
R3は水素原子、低級アルキル基またはヒドロキシ(低級)アルキル基を意味し、R4は水素原子、低級アルキル基等を意味し、
R5は水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、ヒドロキシ(低級)アルキル基、非置換もしくは置換ベンジルオキシ(低級)アルキル基、アシルオキシ(低級)アルキル基、低級アルコキシ(低級)アルキル基、アミノ基、モノもしくはジ低級アルキルアミノ基、アシルアミノ基、アミノ(低級)アルキル基、ニトロ基、カルバモイル基、モノもしくはジ低級アルキルカルバモイル基、カルボキシル基、保護されたカルボキシル基、カルボキシ(低級)アルキル基または保護されたカルボキシ(低級)アルキル基を意味し、
R6は水素原子、低級アルキル基、トリフルオロメチル基または非置換もしくは置換フェニル基を意味するか、或いはR5およびR6は一緒になって−(CH2)n−(ここにおいて、nは3、4、5または6を意味する)を形成し、
R7は水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシ基、アミノ基、モノもしくはジ低級アルキルアミノ基、シアノ基またはニトロ基を意味し、
R8は水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基または低級アルコキシ基を意味する]
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、BZω3受容体に選択的かつ強力に作用する化合物からなる医薬を得るべく鋭意研究を重ねた結果、後記式(I)で表される2−アリール−8−オキソジヒドロプリン誘導体からなる医薬がこの目的に合致することを見いだし、本発明を完成した。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、下記式(I)で表される2−アリール−8−オキソジヒドロプリン誘導体およびその製薬学的に許容される酸付加塩(以下、「本発明に係わる化合物」と称することもある)からなる医薬が提供される。
【0014】
【化13】
【0015】
[式中、Wは水素原子、低級アルキル基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、アミノ基、モノもしくはジ(低級)アルキルアミノ基または非置換もしくは置換フェニル基を意味し、
【0016】
Xは水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル(低級)アルキル基、非置換もしくは置換フェニル(低級)アルキル基、低級アルケニル基、カルバモイル基、ジ(低級)アルキルカルバモイル基または下記式[Q]で表される基を意味し、
【0017】
【化14】
−CH(R3)CON(R1)(R2) [Q]
【0018】
(式中、R1は低級アルキル基、低級アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルキル(低級)アルキル基またはヒドロキシ(低級)アルキル基を意味し、R2は低級アルキル基、シクロアルキル基、非置換もしくは置換フェニル基、非置換もしくは置換フェニル(低級)アルキル基または非置換もしくは置換ヘテロアリール基を意味するか、或いはR1およびR2は隣接する窒素原子と一緒になって1個または2個の低級アルキル基でそれぞれ置換されてもよいピペリジン環、ピロリジン環、モルホリン環またはピペラジン環を形成していてもよく、R3は水素原子、低級アルキル基またはヒドロキシ(低級)アルキル基を意味する)
【0019】
Yは水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキル(低級)アルキル基、低級アルケニル基、非置換もしくは置換フェニル(低級)アルキル基または下記式[Q]で表される基を意味し、
【0020】
【化15】
−CH(R3)CON(R1)(R2) [Q]
【0021】
(式中、R1、R2およびR3は前掲と同じものを意味する)
【0022】
Aは非置換もしくは置換フェニル基または非置換もしくは置換ヘテロアリール基を意味する。但し、上記式(I)においてXおよびYのいずれか一方は上記式[Q]で表される基であり、他方はそれぞれ式[Q]以外の前掲XおよびYと同じ基である]
【0023】
式(I)で表される化合物の製薬学的に許容される酸付加塩とは、酸付加塩を形成し得るに十分な塩基度を有する場合の式(I)の化合物の製薬学的に許容される酸付加塩を意味し、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩およびマレイン酸塩、フマル酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩等の有機酸塩が挙げられる。
【0024】
式(I)で表される化合物およびその酸付加塩は、水和物および/または溶媒和物の形で存在することもあるので、これらの水和物および溶媒和物も本発明に係わる化合物に包含される。
【0025】
式(I)の化合物は、場合により1個以上の不斉炭素原子を有し、また幾何異性を生ずることがある。従って、式(I)の化合物は、場合により2種以上の立体異性体の形で存在し得る。これらの立体異性体、その混合物およびラセミ体は式(I)の化合物に包含される。
【0026】
本発明に係わる化合物である2−アリール−8−オキソジヒドロプリン誘導体は、下記式に示すようにプリン環の位置番号が付与され、本明細書においてはこの位置番号に従って命名する。
【0027】
【化16】
【0028】
(式中、A、W、X、およびYは前掲と同じものを意味する)
【0029】
本明細書における用語を以下に説明する。
【0030】
低級アルキル基および低級アルキル部分は、特に断らない限り炭素数1〜6のものを意味し、直鎖状または分枝鎖状のいずれでもよい。「低級アルキル基」の具体例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシルが挙げられるが、低級アルキル基としては炭素数1〜4のものが好ましい。「低級アルコキシ基」とは炭素数1〜6のアルコキシ基を意味し、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシが挙げられる。「低級アルケニル基」とは、1−2位間以外に二重結合を1個有する炭素数3〜6のものを意味し、例えば、アリル、2−ブテニルが挙げられる。「シクロアルキル基」とは炭素数3〜8のものを意味し、具体例としてはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルが挙げられる。「シクロアルキル(低級)アルキル基」とは、上記「シクロアルキル基」が置換している炭素数1〜4のアルキル基を意味し、例えば、シクロプロピルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチルが挙げられる。「ヒドロキシ(低級)アルキル基」とは、ヒドロキシ基で置換された低級アルキル基を意味し、例えば、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピルが挙げられる。「ハロゲン原子」とは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を意味する。「モノもしくはジ(低級)アルキルアミノ基」とは、炭素数1〜4のアルキル基が1個または2個置換しているアミノ基を意味し、例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、エチルメチルアミノが挙げられる。
【0031】
「非置換もしくは置換フェニル基」とは、ハロゲン原子、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、アミノ、モノもしくはジ(低級)アルキルアミノ、シアノおよびニトロから選ばれる1個または2個で置換されていてもよいフェニル基を意味し、例えば、フェニル;2−、3−または4−クロロフェニル;2−、3−または4−ブロモフェニル;2−、3−または4−フルオロフェニル;2,4−ジクロロフェニル;2,4−ジブロモフェニル;2,4−ジフルオロフェニル;2−、3−または4−メチルフェニル;2−、3−または4−メトキシフェニル;2−、3−または4−トリフルオロメチルフェニル;2−、3−または4−ヒドロキシフェニル;2−、3−または4−アミノフェニル;2−、3−または4−メチルアミノフェニル;2−、3−または4−ジメチルアミノフェニル;2−、3−または4−シアノフェニル;2−、3−または4−ニトロフェニルが挙げられる。
【0032】
「非置換もしくは置換フェニル基(低級)アルキル基」とは、ハロゲン原子、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、アミノ、モノもしくはジ(低級)アルキルアミノ、シアノおよびニトロから選ばれる1個または2個で置換されていてもよいフェニル基で置換されている炭素数1〜4のアルキル基を意味し、例えば、ベンジル;2−、3−または4−クロロベンジル;2−、3−または4−ブロモベンジル;2−、3−または4−フルオロベンジル;2,4−ジクロロベンジル;2,4−ジブロモベンジル;2,4−ジフルオロベンジル;2−、3−または4−メチルベンジル;2−、3−または4−メトキシベンジル;2−、3−または4−トリフルオロメチルベンジル;2−、3−または4−ヒドロキシベンジル;2−、3−または4−アミノベンジル;2−、3−または4−メチルアミノベンジル;2−、3−または4−ジメチルアミノベンジル;2−、3−または4−シアノベンジル;2−、3−または4−ニトロベンジル;フェネチル;2−(4−クロロフェニル)エチルが挙げられる。
【0033】
後記式[B]:
【0034】
【化17】
【0035】
で表される基の具体例としては、上記「非置換もしくは置換フェニル基」および上記の「非置換もしくは置換フェニル基」で置換されている炭素数1および2のアルキル基をそのまま挙げることができるが、好適な具体例としては、フェニル;4−または3−クロロフェニル;4−または3−ブロモフェニル;4−または3−フルオロフェニル;4−メトキシフェニル;4−トリフルオロメチルフェニル;4−ヒドロキシフェニル;ベンジル;2−、3−または4−クロロベンジル;4−ブロモベンジル;3−または4−フルオロベンジル;4−メチルベンジル;4−メトキシベンジル;4−トリフルオロメチルベンジル;4−ヒドロキシベンジル;フェネチル;2−(4−クロロフェニル)エチルが挙げられる。
【0036】
「非置換もしくは置換ヘテロアリール基」とは、C1〜C3アルキルまたはトリフルオロメチルで置換されていてもよい、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を少なくとも1個含む5員環ないし6員環の単環性ヘテロアリール基または5員環ないし6員環の二環性ヘテロアリール基を意味し、例えば2−、3−または4−ピリジル;5−メチル−2−ピリジル;2−または3−チエニル;2−または3−フリル;2−、4−または5−ピリミジニル;2−または3−ピラジニル;1−ピラゾリル;2−イミダゾリル;2−チアゾリル;3−イソキサゾリル;5−メチル−3−イソキサゾリル;キノリル;イソキノリルが挙げられる。
式(I)の化合物のうちで好適なものは、式(I)において、Aが下記式[A']
【0037】
【化18】
【0038】
(式中、R4は水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシ基、アミノ基、モノもしくはジ(低級)アルキルアミノ基、シアノ基またはニトロ基を意味し、R5は水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基またはヒドロキシ基を意味する)
で表される基、ピリジル基、チエニル基またはフリル基であり、W、XおよびYが前掲と同じものである化合物およびその製薬学的に許容される酸付加塩が挙げられる。
【0039】
式(I)の化合物のうちで更に好適なものは、式(I)において
(a) Xが下記式[Qx]で表される基
【0040】
【化19】
−CH(R31)CON(R11)(R21) [Qx]
【0041】
[式中、R11は低級アルキル基を意味し、R21は低級アルキル基または下記式[B]
【0042】
【化20】
【0043】
(式中、R6は水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシ基、アミノ基、モノもしくはジ(低級)アルキルアミノ基、シアノ基またはニトロ基を意味し、R7は水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基またはヒドロキシ基を意味し、mは0、1または2を意味する)
【0044】
で表される基を意味するか、或いはR11およびR21は隣接する窒素原子と一緒になって1個または2個の低級アルキル基でそれぞれ置換されてもよいピペリジン環、ピロリジン環、モルホリン環またはピペラジン環を形成していてもよく、R31は水素原子、低級アルキル基またはヒドロキシ(低級)アルキル基を意味する]であり、
【0045】
Yが水素原子または低級アルキル基であるか、或いは
(b) Xが水素原子、低級アルキル基またはカルバモイル基であり、Yが下記式[Qy]で表される基
【0046】
【化21】
−CH(R31)CON(R11)(R21) [Qy]
【0047】
(式中、R11、R21およびR31は前掲と同じものを意味する)
であり、Aは前記式[A']で示される基、ピリジル基、チエニル基またはフリル基であり、Wは前掲と同じものである化合物およびその製薬学的に許容される酸付加塩が挙げられる。
【0048】
一層好適な化合物は、式(I)において、
(a) Xが前記式[Qx]で示される基(式中、R11がメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基またはブチル基であり、R21がエチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、フェニル基、ハロゲン、メトキシ、トリフルオロメチルもしくはヒドロキシで置換されたフェニル基、ベンジル基またはハロゲン、メトキシ、トリフルオロメチルもしくはヒドロキシで置換されたベンジル基であり、R31は前掲と同じである)であり、Yが水素原子、メチル基またはエチル基であるか、或いは
【0049】
(b) Xが水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基またはブチル基であり、Yが前記式[Qy]で示される基(式中、R11がメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基またはブチル基であり、R21がエチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、フェニル基、ハロゲン、メトキシ、トリフルオロメチルもしくはヒドロキシで置換されたフェニル基、ベンジル基またはハロゲン、メトキシ、トリフルオロメチルもしくはヒドロキシで置換されたベンジル基であり、R31は前掲と同じである)であり、Aは前記式[A']で示される基、ピリジル基、チエニル基またはフリル基であり、Wは前掲と同じものである化合物およびその製薬学的に許容される酸付加塩が挙げられる。
【0050】
特に好適な化合物としては、下記式(Ia)または(Ib)で表される2−アリール−8−オキソジヒドロプリン誘導体およびその製薬学的に許容される酸付加塩が挙げられる。
【0051】
【化22】
【0052】
(式中、R12およびR22は同一または異なって、エチル基、プロピル基またはブチル基を意味するか、或いはR12はメチル基、エチル基またはプロピル基を、R22はフェニル基、ハロゲノフェニル基、メトキシフェニル基、ベンジル基、ハロゲノベンジル基またはメトキシベンジル基を意味し、R32は水素原子、メチル基またはエチル基を意味し、Y1は水素原子、メチル基またはエチル基を意味し、R41は水素原子、ハロゲン原子、メチル基、メトキシ基、ニトロ基またはトリフルオロメチル基を意味する)、
【0053】
【化23】
【0054】
(式中、X1は水素原子、メチル基、エチル基またはプロピル基を意味し、R12およびR22は同一または異なって、エチル基、プロピル基またはブチル基を意味するか、或いはR12はメチル基、エチル基またはプロピル基を、R22はフェニル基、ハロゲノフェニル基、メトキシフェニル基、ベンジル基、ハロゲノベンジル基またはメトキシベンジル基を意味し、R32は水素原子、メチル基またはエチル基を意味し、R41は水素原子、ハロゲン原子、メチル基、メトキシ基、ニトロ基またはトリフルオロメチル基を意味する)
【0055】
上記式(Ia)および(Ib)において、R32がそれぞれ水素原子である化合物がより好ましい。
【0056】
特に好適な化合物の具体例としては、例えば次の化合物およびその製薬学的に許容される酸付加塩が挙げられる。
【0057】
N−エチル−8,9−ジヒドロ−9−メチル−8−オキソ−2−フェニル−N−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミド、
【0058】
8,9−ジヒドロ−9−メチル−N−メチル−8−オキソ−2−フェニル−N−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミド、
【0059】
8,9−ジヒドロ−2−(4−フルオロフェニル)−9−メチル−N−メチル−8−オキソ−N−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミド、
【0060】
N−エチル−8,9−ジヒドロ−2−(4−フルオロフェニル)−9−メチル−8−オキソ−N−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミド、
【0061】
7,8−ジヒドロ−7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−N,N−ジプロピル−9H−プリン−9−アセトアミド、
【0062】
7−エチル−7,8−ジヒドロ−8−オキソ−2−フェニル−N,N−ジプロピル−9H−プリン−9−アセトアミド、
【0063】
N−ベンジル−N−エチル−7,8−ジヒドロ−7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−9H−プリン−9−アセトアミド、
【0064】
N−ベンジル−7,8−ジヒドロ−N−メチル−7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−9H−プリン−9−アセトアミド、
【0065】
N−ベンジル−N−エチル−7,8−ジヒドロ−7−メチル−8−オキソ−2−(4−クロロフェニル)−9H−プリン−9−アセトアミド、
【0066】
N−ベンジル−7,8−ジヒドロ−N−メチル−7−メチル−8−オキソ−2−(4−クロロフェニル)−9H−プリン−9−アセトアミド、および
【0067】
N−(4−クロロベンジル)−N−エチル−7,8−ジヒドロ−7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−9H−プリン−9−アセトアミド。
【0068】
式(I)の化合物に含まれる化合物の具体例として、後記製造例の化合物に加えて下記化24で表される表1と表2の化合物および下記化25で表される表3と表4の化合物およびその製薬学的に許容される酸付加塩が挙げられる。
【0069】
なお、本明細書の表1および表2並びに後記参考例および製造例の表中において記載の簡略化のために、次のような略号を用いることもある。
【0070】
Me:メチル基
Et:エチル基
Pr:n−プロピル基
Bu:n−ブチル基
Pent:n−ペンチル基
Bzl:ベンジル基
Ph:フェニル基
Py:ピリジル基
Fur:フリル基
Thi:チエニル基
【0071】
従って、例えばPh-4-Clは4−クロロフェニル基、Ph-4-Fは4−フルオロフェニル基、2-Thiは2−チエニル基を表す。
【0072】
【化24】
【0073】
【表1】
【0074】
下記表2は表1の続き
【0075】
【表2】
【0076】
【化25】
【0077】
【表3】
【0078】
下記表4は表3の続き
【0079】
【表4】
【0080】
式(I)の化合物は、例えば以下の方法により製造することができる。
【0081】
製法 ( a )−−
式(I)において、Yが水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキル(低級)アルキル基、低級アルケニル基または非置換もしくは置換フェニル(低級)アルキル基である化合物は、下記式(II)
【0082】
【化26】
【0083】
(式中、Y2は水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキル(低級)アルキル基、低級アルケニル基または非置換もしくは置換フェニル(低級)アルキル基を意味し、AおよびWは前掲と同じものを意味する)
で表される化合物と下記式(III)
【0084】
【化27】
Z−CH(R3)−CON(R1)(R2) (III)
【0085】
(式中、Zは脱離原子または脱離基を意味し、R1、R2およびR3は前掲と同じものを意味する)
で表される化合物とを反応させることにより製造することができる。
【0086】
式(III)においてZで表される脱離原子または脱離基とは、反応条件下に式(II)の化合物のNH部分の水素原子と共にHZの形で脱離し得る原子または基を意味し、例えば、塩素、臭素、ヨウ素のようなハロゲン原子、メタンスルホニルオキシのような低級アルキルスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシのようなトリハロゲノメタンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ、p−トルエンスルホニルオキシのようなアリールスルホニルオキシ基が挙げられる。
【0087】
式(II)で表される化合物と式(III)で表される化合物との反応は、塩基の存在下、無溶媒下または適当な溶媒中で常圧または加圧下に行うことができる。使用する溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、ジメトキシエタン、1,2−ジクロロエタン、アセトン、メチルエチルケトン、ジオキサン、ジグライム、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドが挙げられる。塩基としては水素化ナトリウム、トリエチルアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムが挙げられる。反応温度は通常約−10℃〜約150℃で、好ましくは約10℃〜約70℃である。
【0088】
上記式(III)においてR1および/またはR3がヒドロキシ(低級)アルキル基である場合には、該ヒドロキシ(低級)アルキル基は加水素分解により脱離し得る保護基で保護されていることが望ましく、その保護基としては、例えば、ベンジルオキシ、4−クロロベンジルオキシ、3−ブロモベンジルオキシ、4−フルオロベンジルオキシ、4−メチルベンジルオキシ、4−メトキシベンジルオキシが挙げられる。これらの保護基は常法の加水素分解により容易にヒドロキシ基に変換することができる。また、後記製法(b)〜(e)においてもR1および/またはR3がヒドロキシ(低級)アルキル基である場合には同様に保護したのち、脱保護することにより、所望の化合物に導くことが望ましい。
【0089】
式(III)の化合物は、自体公知の方法、例えば、特開昭62−64号公報記載の方法またはこれらに準じた方法により製造することができる。
【0090】
原料化合物(II)は、例えば、下記化28および化29に示すルートAまたはルートBで示される方法により製造することができる。
【0091】
【化28】
【0092】
(式中、Rは低級アルキル基を意味し、Z1はハロゲン原子またはp−トルエンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基またはトリフルオロメタンスルホニルオキシ基等のアリールスルホニルオキシ基またはアルカンスルホニルオキシ基を意味し、A、WおよびY2は前掲と同じものを意味する)
【0093】
【化29】
【0094】
(式中、A、W、Y2およびZ1は前掲と同じものを意味する)
【0095】
工程1:ハロゲン化またはスルホニル化
ハロゲン化は、例えば、式(A)または(F)の化合物とハロゲン化剤(例えば、オキシ塩化リン、三臭化リン)とを反応させることにより行われる。スルホニル化は、例えば、式(A)または(F)の化合物とスルホニル化剤(例えば、メタンスルホニルクロリド、p−トルエンスルホニルクロリド、トリフルオロメタンスルホニルクロリド)とを反応させることにより行われる。
【0096】
工程2:アミノ化
式(B)または(G)の化合物と式(C)の化合物との反応は、常圧または加圧下に、溶媒の不存在下または適当な溶媒中で行われる。
【0097】
溶媒の具体例としては、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類、ジオキサン、ジグライムのようなエーテル類、エタノール、イソプロパノール、ブタノールのようなアルコール類、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドが挙げられる。本反応は塩基の存在下に行うのが好ましく、塩基の具体例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムのような炭酸アルカリ、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムのような炭酸水素アルカリ、トリエチルアミンのような第三アミンが挙げられるが、式(C)化合物の過剰量で兼ねることもできる。反応温度は、原料化合物の種類、反応条件等により異なるが、通常約0℃〜約200℃で、好ましくは約20℃〜約100℃である。
【0098】
ルートAの工程3:加水分解
本加水分解は常法に従って行うことができ、例えば、適当な溶媒中で酸性または塩基性条件下に水と接触することにより行われる。溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールのようなアルコール類、ジオキサン、水またはこれらの混液が用いられる。酸の具体例としては、塩酸、硫酸のような鉱酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸のような有機酸が挙げられる。塩基の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのような水酸化アルカリ、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムのような炭酸アルカリが挙げられる。反応温度は通常約20℃〜100℃である。
【0099】
ルートBの工程3:還元
本還元は常法に従って行うことができ、例えば、適当な溶媒中でパラジウム炭素、ラネーニッケル、酸化白金等の触媒の存在下、水素と反応させることにより行われる。また、本還元反応は金属(例えば、スズ、亜鉛、鉄)または金属塩(例えば、塩化第一スズ)と酸(例えば、塩酸、酢酸)との組み合わせ或いは鉄または塩化第一スズ単独で行うこともできる。溶媒としては、例えば、エタノール、メタノールのようなアルコール類、水、酢酸、ジオキサン、テトラヒドロフランが用いられる。反応温度は通常約0℃〜約80℃であり、常圧または加圧下に行われる。
【0100】
工程4:環化
本反応は後記製法(b)または(c)で説明する方法と同じ方法により行うことができる。
【0101】
出発物質(A)および(F)の化合物は市販されているか、或いは自体公知の方法、例えば、J. Am. Chem. Soc.,74, 842 (1952);Chem. Ber., 95, 937 (1962);J. Org. Chem.,29, 2887 (1964); J. Med. Chem., 35, 4751 (1992); J. Org. Chem., 58, 4490 (1993); Synthesis, 86 (1985) 並びに後記参考例1、11および15に記載の方法またはこれらに準じた方法により製造することができる。
【0102】
製法 ( b )−−
式(I)において、Xが水素原子であり、Yが式[Q]で表される基である化合物は、下記式(IV)
【0103】
【化30】
【0104】
(式中、Y3は前記式[Q]で表される基を意味し、AおよびWは前掲と同じものを意味する)
で表される化合物にアジド化合物を反応させることにより製造することができる。
【0105】
本反応で使用されるアジド化合物としては、例えば、ジフェニルリン酸アジド、ナトリウムアジドが挙げられる。
【0106】
本反応は、塩基の存在下、無溶媒下または適当な溶媒中で常圧または加圧下に行うことができる。使用する溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、ジメトキシエタン、1,2−ジクロロエタン、アセトン、メチルエチルケトン、ジオキサン、ジグライム、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドが挙げられる。塩基としてはトリエチルアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムが挙げられる。反応温度は通常約10℃〜約150℃で、好ましくは約30℃〜約120℃である。
【0107】
原料化合物(IV)は、ルートAにおける式(C)の化合物がY3−NH2であるものと式(B)の化合物を用い、前記ルートAに示した工程2および工程3の方法により製造することができる。さらに、原料化合物(IV)は前記ルートAの式(B)の化合物とアミノ酸類とを用い、ルートAの工程2の方法で置換アミノ基をピリミジン環の4位に導入した後、後記製法(e)に記載の方法でアミド化、さらに必要に応じてアルキル化を行うことによっても製造することができ、具体的に後記参考例63に示す。
【0108】
製法 ( c )−−
式(I)において、Xが水素原子であり、Yが式[Q]で表される基である化合物は、下記式(V)
【0109】
【化31】
【0110】
(式中、A、WおよびY3は前掲と同じものを意味する)
で表される化合物を尿素、カルボニルジイミダゾールまたは炭酸ジエチルと反応させるにより製造することができる。
【0111】
本反応は、無溶媒下または適当な溶媒中で行うことができる。使用する溶媒としては、テトラヒドロフラン、トルエン、ジメチルスルホキシド、エチレングリコールが挙げられる。反応温度は通常約20℃〜約250℃で、好ましくは約60℃〜約220℃である。
【0112】
原料化合物(V)は、ルートBにおける(C)の化合物がY3−NH2であるものと式(G)の化合物とを用い、前記ルートBに示した工程2および工程3の方法で製造することができる。
【0113】
製法 ( d )−−
式(I)において、Xが水素原子および式[Q]で表される基以外の基であり、Yが式[Q]で表される基である化合物は、前記製法(b)で得られる下記式(VI)
【0114】
【化32】
【0115】
(式中、A、WおよびY3は前掲と同じものを意味する)
の化合物に、下記式(VII)
【0116】
【化33】
Z−X2 (VII)
【0117】
(式中、X2は水素原子および前記式[Q]で表される基以外の前記Xと同じ基であり、Zは前掲と同じものを意味する)
で表される化合物を反応させることにより製造することができる。
【0118】
本反応には製法(a)に記載した方法をそのまま使用することができる。
【0119】
原料化合物(VII)は市販されているか、自体公知の方法で製造することができる。
【0120】
製法 ( e )−−
式(I)において、Xが式[Q]で表される基である化合物は、下記式(VIII)
【0121】
【化34】
【0122】
(式中、A、R3、WおよびY2は前掲と同じものを意味する)
で表される化合物またはその反応性誘導体と下記式(IX)
【0123】
【化35】
HN(R13)(R23) (IX)
【0124】
(式中、R13およびR23は水素原子またはそれぞれ前記R1およびR2で定義したものと同じものを意味する)
で表される化合物を反応させ、R13およびR23の一方が水素原子である場合には、さらに下記式(X)または(XI)
【0125】
【化36】
R24−Z (X)
R14−Z (XI)
【0126】
(式中、R24は低級アルキル基、シクロアルキル基または非置換もしくは置換フェニル(低級)アルキル基を意味し、R14は低級アルキル基、低級アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルキル(低級)アルキル基またはヒドロキシ(低級)アルキル基を意味し、Zは前掲と同じものを意味する。但し、R13が水素原子の場合には上記式(X)の化合物を反応させ、R23が水素原子の場合には上記式(XI)の化合物を反応させるものとする)
で表される化合物とを反応させることにより製造することができる。
【0127】
式(VIII)の化合物の反応性誘導体としては、例えば、低級アルキルエステル(特にメチルエステル)、活性エステル、酸無水物、酸ハライド(特に酸クロリド)を挙げることができる。活性エステルの具体例としてはp−ニトロフェニルエステル、2,4,5−トリクロロフェニルエステル、N−ヒドロキシコハク酸イミドエステルが挙げられる。酸無水物としては、対称酸無水物または混合酸無水物が用いられ、混合酸無水物の具体例としてはクロル炭酸エチル、クロル炭酸イソブチルのようなクロル炭酸アルキルエステルとの混合酸無水物、クロル炭酸ベンジルのようなクロル炭酸アラルキルエステルとの混合酸無水物、クロル炭酸フェニルのようなクロル炭酸アリールエステルとの混合酸無水物、イソ吉草酸、ピバリン酸のようなアルカン酸との混合酸無水物が挙げられる。
【0128】
式(VIII)の化合物自体を用いる場合には、N,N'−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、N,N'−カルボニルジイミダゾール、N,N'−カルボニルジコハク酸イミド、1−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン、ジフェニルホスホリルアジド、プロパンホスホン酸無水物、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム・ヘキサフルオロホスフェートのような縮合剤の存在下に反応させることができる。
【0129】
式(VIII)の化合物またはその反応性誘導体と式(IX)の化合物との反応は、溶媒中または無溶媒下に行われる。使用する溶媒は、原料化合物の種類等に従って適宜選択されるべきであるが、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンのようなエーテル類、塩化メチレン、クロロホルムのようなハロゲン化炭化水素類、エタノール、イソプロパノールのようなアルコール類、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、水等が挙げられ、これらの溶媒はそれぞれ単独で、或いは2種以上混合して用いられる。本反応は必要に応じて塩基の存在下に行われ、塩基の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのような水酸化アルカリ、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムのような炭酸アルカリ、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムのような炭酸水素アルカリ、或いはトリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリンのような有機塩基が挙げられるが、式(IX)の化合物の過剰量で兼ねることもできる。反応温度は用いる原料化合物の種類等により異なるが、通常約−30℃〜約200℃、好ましくは約−10℃〜約150℃である。
【0130】
式(VIII)の化合物と式(IX)の化合物との反応で得られる生成物と、式(X)または式(XI)の化合物との反応は、前記製法(a)で述べた方法で行うことができる。
【0131】
式(VIII)の化合物は、下記式(II)
【0132】
【化37】
【0133】
(式中、A、WおよびY2は前掲と同じものを意味する)
で表される化合物に下記式(XII)
【0134】
【化38】
Z1−CH(R3)−COOR (XII)
【0135】
(式中、R、R3およびZ1は前掲と同じものを意味する)
で表される化合物を反応させた後、生成物を常法に従って加水分解することにより製造することができる。
【0136】
本反応には前記製法(a)に記載した方法をそのまま使用することができる。
【0137】
式(X)および式(XI)の化合物は市販されているか、或いは自体公知の方法により製造することができる。
【0138】
式(I)の化合物は以下に示す方法によっても製造することができる。
【0139】
Wが低級アルコキシ基である式(I)の化合物は、式(I)の化合物においてWがハロゲン原子である化合物に金属低級アルキレートを反応させることにより製造することができ、具体的に製造例46に示す。
【0140】
Wがモノもしくはジ(低級)アルキルアミノ基である式(I)の化合物は、式(I)の化合物においてWがハロゲン原子である化合物にモノもしくはジ(低級)アルキルアミンを反応させることにより製造することができ、具体的に製造例47に示す。
【0141】
式(I)においてフェニル基がヒドロキシ基で置換されている化合物は、式(I)においてフェニル基がメトキシ基で置換されている化合物を三臭化ホウ素または臭化水素で処理することにより製造することができ、具体的に製造例174に示す。
【0142】
前記各製法により得られる生成物は、クロマトグラフィー、再結晶、再沈殿等の常法により単離・精製することができる。酸付加塩を形成するに十分は塩基度を有する場合の式(I)の化合物は、常法に従って各種の酸と処理することにより酸付加塩に導くことができる。また、式(I)の化合物の各種立体異性体は、クロマトグラフィー等の常法に従って分離・精製することができる。
【0143】
【実施例】
以下に本発明に係わる代表的な化合物の試験結果を示し、本発明に係わる化合物の薬理作用の特徴について説明するが、本発明はこれらの試験例に限定されるものではない。
【0144】
試験例1:中枢型(ω1,ω2)および末梢型(ω3)ベンゾジアゼピン受容体結合試験−−
BZω1およびω2受容体結合試験および受容体膜標品の調製は、Stephens, D. N. らの方法[J. Pharmacol. Exp. Ther.,253, 334-343 (1990)参照]に準拠し、BZω3 受容体結合試験および受容体膜標品の調製は、Schoemaker, H の方法[J. Pharmacol. Exp. Ther., 225, 61-69 (1983)参照]に準拠して行った。ω1、ω2およびω3受容体膜標品は7〜8週令のウィスター系雄性ラットの小脳(ω1)、脊髄(ω2)または腎臓(ω3)からそれぞれ以下の操作により調製した。小脳または脊髄に20倍容の氷冷した緩衝液(50mMトリス−クエン酸緩衝液、pH7.1)を加えホモジナイズした後、40,000gで15分間遠心した。得られた沈渣を同様の操作により4回洗浄後、−60℃で24時間凍結保存した。凍結沈渣を融解後、緩衝液で洗浄・遠心して得られた沈渣を結合試験用緩衝液I(120mM塩化ナトリウム、5mM塩化カリウム、2mM塩化カルシウム、1mM塩化マグネシウムを含む50mMトリス−塩酸緩衝液、pH7.4)に懸濁(1g組織湿重量/40ml)したものをBZω1またはω2受容体膜標品として結合試験に用いた。一方、腎臓に20倍容の氷冷した結合試験用緩衝液II(100mM塩化ナトリウムを含む50mMリン酸ナトリウム−リン酸カリウム緩衝液、pH7.4)を加えホモジナイズした後、4重に重ねたガーゼで濾過した濾液を40,000gで20分間遠心した。得られた沈渣を緩衝液IIに懸濁(1g組織湿重量/100ml)したものをBZω3受容体膜標品として結合試験に用いた。
【0145】
標識リガンドおよび非標識リガンドとしては、BZω1およびω2受容体結合試験には[3H]フルマゼニル(Ro15-1788)[最終濃度(ω1:0.3nM)(ω2:1nM)]とフルニトラゼパム(最終濃度10μM)を、BZω3受容体結合試験には[3H]4'−クロロジアゼパム:7−クロロ−1,3−ジヒドロ−1−メチル−5−(4−クロロフェニル)−2H−1,4−ジアゼピン−2−オン(Ro5-4864)(最終濃度0.5nM)とジアゼパム(最終濃度100μM)をそれぞれ用いた。インキュベーション条件は、BZω1およびω2受容体結合試験では37℃で30分間、BZω3受容体結合試験では0℃で150分間行った。なお、BZω1およびω2受容体結合試験はビキュクリン(bicuculline:最終濃度100μM)存在下に行った。
【0146】
受容体結合試験は以下の操作手順で行った。各試験管に濃度既知の試験化合物、トリチウム標識リガンド、受容体膜標品および結合試験用緩衝液IまたはIIを加えて総量1mlの反応液とし、受容体膜標品の添加により反応を開始した。インキュベーション後、受容体に結合した標識リガンドをセルハーベスター(ブランデル社製、米国)を用い、ワットマンGF/Bグラスファイバーフィルター上に吸引濾過することで反応を停止した。直ちに、氷冷した緩衝液[ω1およびω2では50mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.7);ω3では緩衝液II]5mlで3回洗浄した。放射活性はフィルターをバイアルに移し、液体シンチレーションカクテル(ACS-II、アマシャム社製、米国)10mlを加え、一定時間安置した後、シンチレーションカウンターで測定した。特異的結合量は同時に測定した非標識リガンド存在下における非特異的結合量を総結合量から差し引くことにより求めた。なお、試験化合物が標識リガンドの特異的結合量を50%抑制する濃度(IC50値)はプロビット法で求めた。結果を表5に示す。なお、表5に示した試験化合物については、ベンゾジアゼピンω1およびω2受容体に対するIC50値がすべて1000nM以上であった。
【0147】
【表5】
【0148】
*製造例1の化合物を意味する(以下、それぞれ製造例番号に対応する化合物を意味する)。
【0149】
表5に示した式(I)の化合物はBZω3受容体に強力に結合する。これに対し、これらの化合物のBZω1およびBZω2受容体のIC50値が1000nM以上であることから、式(I)の化合物がBZω3受容体に選択的で強力に結合することは明らかである。
【0150】
試験例2:明・暗箱試験(抗不安作用)−−
Crawley, JとGoodwin, F. K.らの明・暗箱試験法[Pharmacol. Biochem. Behav.,13, 167-170 (1980)参照]に準拠し、試験化合物の抗不安作用の有無を検討した。
【0151】
この明・暗箱試験は、マウスやラット等のげっ歯類が暗い場所を好む習性を利用し、不快環境である明るい場所での相対的滞留時間の増加を指標として薬物の抗不安作用を評価する有効でかつ簡便な行動薬理学的試験方法である。この方法では、コレシストキニン−B型の拮抗薬やベンゾジアゼピン系の薬物の多くが陽性効果を示す。
【0152】
明・暗箱試験は、白熱電球により照度1700ルックスに照らされた透明アクリル板製の明箱(20×17×15cm)と黒色アクリル板製の暗箱(15×17×15cm)が連結し、その境にマウスが自由に移動できる関門(4.4×5.0cm)を設けた装置(35×17×15cm)を用いて行った。
【0153】
試験には体重25〜30gのStd-ddY系雄性マウスを1群10匹用いた。試験化合物の経口投与30分後にマウスを明箱の中央に置き、5分間の試験時間のうち明箱に留まっていた時間を測定し、全試験時間に対する明箱滞在時間の割合(明箱滞在率、%)を算出した。
【0154】
試験化合物の抗不安作用効力は、明箱滞在率を統計的に有意(ダネット法、5%危険率)に増加させる最小有効量(MED)で表した。結果を表6に示す。
【0155】
【表6】
【0156】
*製造例1の化合物を意味する(以下、それぞれ製造例番号に対応する化合物を意味する)。
【0157】
表6に示した式(I)の化合物は、1mg/kg以下の投与量で抗不安作用を示し、特に製造例1、2、5、106、107、136、137、146および147の化合物は0.001〜0.003mg/kgの低用量で抗不安作用を示した。
【0158】
試験例3:イソニアジド誘発間代性けいれんに対する作用試験(抗けいれん作用)−−
イソニアジドはGABA生合成酵素であるグルタミン酸脱炭酸酵素を阻害するので、イソニアジドを投与すると脳内GABA量の減少に基づく間代性けいれんが誘発される。Auta, J.らの方法[J. Pharmacol. Exp. Ther.,265, 649-656 (1993)参照]に準拠し、試験化合物のイソニアジド誘発間代性けいれんに対する拮抗作用を試験した。この試験では、GABAA受容体機能の間接的或いは直接的亢進作用を有する多くの薬物、例えば、ジアゼパムに代表されるBZ受容体作用薬、アロプレグナノロンやアロテトラヒドロデオキシコルチコステロン(THDOC)等のニューロステロイド或いはニューロステロイド生成の促進作用を持つBZω3受容体作用薬が陽性効果を示すことが知られている。
【0159】
試験には体重22〜24gのStd-ddY系雄性マウスを1群6匹用いた。試験化合物の経口投与30分後にイソニアジド(200mg/kg)を皮下投与した。その直後にマウスをプラスチック製ケージに入れ、間代性けいれん発作の発現潜時を90分間観察した。溶媒対照群の発現潜時は約40分であった。
【0160】
試験化合物の拮抗作用効力は、溶媒対照群に比較して発現潜時率を正味25%増加延長させる用量(ED25値)として表した。ED25値はプロビット法により算出した。結果を表7に示す。
【0161】
【表7】
【0162】
*製造例106の化合物を意味する(以下、それぞれ製造例番号に対応する化合物を意味する)。
【0163】
試験例4:強制水泳モデルにおける不動時間に対する作用試験(抗うつ作用)−−
抗うつ薬の評価モデルとして、動物の強制水泳における絶望状態モデルは多くの抗うつ薬が絶望状態の指標である不動時間を短縮する効果を示すことから繁用されている。Porsolt R.D. らの方法[Eur. J. Pharmacol., 47, 379-391 (1978)参照]に準拠し、強制水泳モデルの絶望状態に対する試験化合物の作用を試験した。
【0164】
試験には馴らし試行にて選択した体重95〜120gのStd-Wistar系雄性ラットを一群6匹用いた。動物の選択基準は23〜25℃の水槽内{透明アクリル製シリンダー(内径:24.5cm、高さ:33cm、水深:15cm)}に1日1回、10分間入れる馴らし試行を4回行い、試験前日の4回目の試行時において入水後6分間の不動時間が180秒を越えるものを用いた。群分けは無作為抽出にて行った。
【0165】
試験化合物(製造例146の化合物)の経口投与60分後にラットを水槽内に入れて6分間の試験中に認められる不動時間を測定した。被験化合物群の不動時間短縮作用は溶媒対照群とのパラメトリックDunnett法による多重比較検定を行い判定した。
【0166】
また、試験化合物(製造例146の化合物)10mg/kgの経口投与30分後にBZω3受容体拮抗薬PK-11195[1−(2−クロロフェニル)−N−メチル−N−(1−メチルプロピル)−3−イソキノリンカルボキサミド] 3mg/kgを腹腔内投与し、その30分後にラットを水槽内に入れて6分間の試験中に認められる不動時間を測定し、試験化合物の不動時間短縮作用に対するPK-11195の拮抗試験を行った。 PK-11195による拮抗作用は試験化合物単独群と試験化合物とPK-11195併用群とのパラメトリックStudent's t2群比較検定を行い判定した。
【0167】
製造例146の化合物は、3mg/kgの投与量で22.1%、10mg/kgの投与量で28.4%のいずれも有意(p<0.01)な不動時間の短縮作用が認められた。また、製造例146の化合物の不動時間短縮作用はω3受容体拮抗薬PK-11195により完全に拮抗された。
【0168】
試験例5:急性毒性−−
各群10匹のStd-ddY系雄性マウス(体重25〜30g)を使用し、製造例1の化合物について実験を行った。0.5%とラガント溶液に懸濁した試験化合物2000mg/kgを経口投与し、投与後7日間にわたり死亡の有無を観察した結果、製造例1の化合物については死亡例はなかった。
【0169】
上記の薬理試験結果から明らかなように、式(I)の化合物は、in vitro試験でBZω3受容体に対して選択的でかつ顕著な親和性を示すと共に、動物試験において抗不安作用や抗てんかん作用等の優れた薬理作用を示すので、不安関連疾患(神経症、心身症、不安障害、およびその他)、うつ病、てんかんなどの中枢性疾患、多発性硬化症などの免疫性神経疾患、狭心症、高血圧症などの循環器系疾患の治療薬および予防薬として有用である。
【0170】
BZω3受容体に対して選択的でかつ顕著な親和性を示すと共に、強い抗不安作用を示す化合物としては、例えば、以下の化合物およびその製薬学的に許容される酸付加塩が挙げられる。
【0171】
(1) N−エチル−8,9−ジヒドロ−9−メチル−8−オキソ−2−フェニル−N−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミド(製造例1の化合物)
【0172】
(2) 8,9−ジヒドロ−9−メチル−N−メチル−8−オキソ−2−フェニル−N−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミド(製造例2の化合物)
【0173】
(3) 8,9−ジヒドロ−2−(4−フルオロフェニル)−9−メチル−N−メチル−8−オキソ−N−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミド(製造例5の化合物)
【0174】
(4) N−エチル−8,9−ジヒドロ−2−(4−フルオロフェニル)−9−メチル−8−オキソ−N−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミド(製造例12の化合物)
(5) 7,8−ジヒドロ−7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−N,N−ジプロピル−9H−プリン−9−アセトアミド(製造例106の化合物)
【0175】
(6) 7−エチル−7,8−ジヒドロ−8−オキソ−2−フェニル−N,N−ジプロピル−9H−プリン−9−アセトアミド(製造例107の化合物)
【0176】
(7) N−ベンジル−N−エチル−7,8−ジヒドロ−7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−9H−プリン−9−アセトアミド(製造例146の化合物)
【0177】
(8) N−ベンジル−7,8−ジヒドロ−N−メチル−7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−9H−プリン−9−アセトアミド(製造例136の化合物)
【0178】
(9) N−ベンジル−N−エチル−7,8−ジヒドロ−7−メチル−8−オキソ−2−(4−クロロフェニル)−9H−プリン−9−アセトアミド(製造例147の化合物)
【0179】
(10) N−ベンジル−7,8−ジヒドロ−N−メチル−7−メチル−8−オキソ−2−(4−クロロフェニル)−9H−プリン−9−アセトアミド(製造例137の化合物)
【0180】
N−(4−クロロベンジル)−N−エチル−7,8−ジヒドロ−7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−9H−プリン−9−アセトアミド(製造例203の化合物)
【0181】
式(I)の化合物の投与経路としては、経口投与、非経口投与あるいは直腸内投与のいずれでもよい。投与量は、化合物の種類、投与方法、患者の症状・年齢等により異なるが、通常0.01〜50mg/kg/日、好ましくは0.03〜5mg/kg/日である。
【0182】
式(I)の化合物は通常、製剤用担体と混合して調製した製剤の形で投与される。製剤用担体としては、製剤分野において常用され、かつ式(I)の化合物と反応しない物質が用いられる。具体的には、例えば、乳糖、イノシトール、ブドウ糖、マンニトール、デキストラン、シクロデキストリン、ソルビトール、デンプン、部分アルファー化デンプン、白糖、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルデンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、イオン交換樹脂、メチルセルロース、ゼラチン、アラビアゴム、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、タルク、カルボキシビニルポリマー、酸化チタン、ソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、グリセリン、脂肪酸グリセリンエステル、精製ラノリン、グリセロゼラチン、ポリソルベート、マクロゴール、植物油、ロウ、プロピレングリコール、水、エタノール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(HCO)、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、塩酸、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、クエン酸、グルタミン酸、ベンジルアルコール、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル等が挙げられる。
【0183】
剤型としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、懸濁剤、坐剤、注射剤等が挙げられる。これらの製剤は常法に従って調製される。なお、液体製剤にあっては、用時、水または他の適当な媒体に溶解または懸濁する形であってもよい。また錠剤、顆粒剤は周知の方法でコーティングしてもよい。注射剤の場合には、式(I)の化合物を水に溶解させて調製されるが、必要に応じて等張化剤や溶解補助剤を用いて溶解させてもよく、またpH調節剤、緩衝剤や保存剤を添加してもよい。
【0184】
これらの製剤は、式(I)の化合物を0.01%以上、好ましくは0.1〜70%の割合で含有することができる。これらの製剤はまた、治療上有効な他の成分を含有していてもよい。
【0185】
【製造例】
以下に製造例を挙げて本発明に係わる化合物ついてさらに具体的に説明する。化合物の同定は元素分析値、マススペクトル、IRスペクトル、NMRスペクトル等により行った。
【0186】
また、以下の参考例1〜112および製造例1〜232の製造例を示す表中において、記載の簡略化のために次の略号を使用することもある。
【0187】
[再結晶溶媒]
A:エタノール
AN:アセトニトリル
CF:クロロホルム
E:ジエチルエーテル
M:メタノール
IP:イソプロパノール
IPE:ジイソプロピルエーテル
DMF:ジメチルホルムアミド
【0188】
参考例 1−−
3,4−ジヒドロ−4−オキソ−2−フェニルピリミジン−5−カルボン酸エチルの製造
【0189】
ナトリウムメトキシド16.5gおよび無水エタノール200mlの混合物に、0〜5℃でベンズアミジン塩酸塩16gを加えた。0℃で30分間撹拌した後、エトキシメチレンマロン酸ジエチル20gの無水エタノール50ml溶液を同温で滴下した。滴下終了後、室温で30分間撹拌した後、6時間加熱還流した。反応混合物を減圧で濃縮後、残留物を水に溶かし、0〜5℃で撹拌しながら濃塩酸をpH4になるまで滴下した。析出物を濾取し、水洗、ジエチルエーテルで洗浄した後、エタノールで洗浄して目的物17.5gを得た。
【0190】
参考例 2〜10−−
対応する原料化合物を用い、参考例1と同様に反応・処理し、化39の表8で表される化合物を得た。
【0191】
【化39】
【0192】
【表8】
【0193】
参考例 11−−
3,4−ジヒドロ−4−オキソ−2,6−ジフェニルピリミジン−5−カルボン酸エチルの製造
【0194】
(1)20%ナトリウムエトキシド−エタノール溶液44.9g、エタノール200mlの混合物に室温でベンズアミジン塩酸塩10.3gを加えた。同温で2時間撹拌した後、ベンザルマロン酸エチル14.9gを加え、3時間加熱還流した。反応混合物を減圧で濃縮した後、残留物に氷水を加え、濃塩酸をpH4になるまで滴下した。析出物を濾取・水洗し、粗3,4,5,6−テトラヒドロ−4−オキソ−2,6−ジフェニルピリミジン−5−カルボン酸エチル15.8gを得た。
【0195】
(2)上記生成物15.5g、2,3−ジクロロ−2,3−ジシアノ−p−ベンゾキノン13.6gおよびエタノール300mlの混合物を室温で4時間撹袢した。反応混合物を減圧で濃縮し、水およびクロロホルムを加えてクロロホルム層を分取し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、クロロホルムで溶出・精製し、残留物にジイソプロピルエーテルを加えて析出物を濾取し目的物10.7gを得た。
【0196】
参考例 12〜14−−
対応する原料化合物を用い、参考例11と同様に反応・処理し、化40の表9で表される化合物を得た。
【0197】
【化40】
【0198】
【表9】
【0199】
参考例 15−−
5−ニトロ−2−フェニル−4(3H)−ピリミジノンの製造
【0200】
ナトリウムメトキシド8gおよび無水エタノール100mlの混合物に0℃でベンズアミジン塩酸塩11.7gを加えた。0℃で30分間撹拌した後、ニトロ酢酸エチル10gおよびN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール10.7gの混合物を3時間加熱還流し、減圧で濃縮することによって得られる粗2−(N,N−ジメチルアミノメチレン)ニトロ酢酸エチル14gの無水エタノール50ml溶液を同温で滴下した。滴下終了後、室温で30分間撹拌した後、12時間加熱還流した。反応混合物を減圧で濃縮後、残留物に150mlの水を加え、0℃で撹拌しながら濃塩酸をpH4になるまで滴下した。析出物を濾取し、水洗した後、エタノールから再結晶し目的物7gを得た。
融点 264〜266℃
【0201】
参考例 16〜18−−
対応する原料化合物を用い、参考例15と同様に反応・処理し、化41の表10で表される化合物を得た。
【0202】
【化41】
【0203】
【表10】
【0204】
参考例 19−−
4−クロロ−2−フェニルピリミジン−5−カルボン酸エチルの製造
【0205】
3,4−ジヒドロ−4−オキソ−2−フェニルピリミジン−5−カルボン酸エチル12gおよびオキシ塩化リン22.6gの混合物を90℃で4時間撹拌した。反応混合物を氷水中に加え、1N水酸化ナトリウム水溶液で中和した後、析出物を濾取し、水洗して目的物11gを得た。
【0206】
参考例 20〜28−−
対応する原料化合物を用い、参考例19と同様に反応・処理し、化42の表11で表される化合物を得た。
【0207】
【化42】
【0208】
【表11】
【0209】
参考例 29−−
4−クロロ−5−ニトロ−2−フェニルピリミジンの製造
【0210】
5−ニトロ−2−フェニル−4(3H)−ピリミジノン6gおよびオキシ塩化リン8.5gの混合物を90℃で4時間撹拌した。冷却後、反応混合物を減圧で濃縮し、残留物をクロロホルムに溶解した後、氷水を加えて撹拌した。1N水酸化ナトリウム水溶液で中和した後、クロロホルム層を分取し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧で濃縮した。残留物をエタノールから再結晶して目的物5.6gを得た。 融点 160〜161℃
【0211】
参考例 30〜32−−
対応する原料化合物を用い、参考例29と同様に反応・処理し、化43の表12で表される化合物を得た。
【0212】
【化43】
【0213】
【表12】
【0214】
参考例 33−−
4,6−ジクロロ−5−ニトロ−2−フェニルピリミジンの製造
【0215】
(1)20%ナトリウムエトキシド−エタノール溶液150g、ベンズアミジン塩酸塩34.5g、マロン酸ジエチル32gおよびエタノール500mlを用い、参考例11(1)と同様に反応・処理し、粗4,6−ジヒドロキシ−2−フェニルピリミジン31.5gを得た。
【0216】
(2)90%硝酸150mlに上記生成物30gを0〜5℃で少しずつ加え、室温で30分間撹袢した。反応混合物を氷水中に加え、析出物を濾取・水洗し、粗
4,6−ジヒドロキシ−5−ニトロ−2−フェニルピリミジン32gを得た。
【0217】
(3)上記生成物8gおよびジメチルアニリン4gの混合物に室温でオキシ塩化リンを滴下した。滴下終了後、3時間加熱還流した。反応混合物を氷水中に加え、析出物を濾取・水洗し、目的物8.7gを得た。
【0218】
参考例 34−−
4−メチルアミノ−2−フェニルピリミジン−5−カルボン酸の製造
【0219】
(1)4−クロロ−2−フェニルピリミジン−5−カルボン酸エチル10g、メチルアミン塩酸塩2.8g、トリエチルアミン8.5gおよびイソプロパノール100mlの混合物を6時間加熱還流した。反応混合物を減圧で濃縮し、残留物にクロロホルムおよび水を加え、クロロホルム層を分取し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、クロロホルムで溶出・精製し、エタノールから再結晶して4−メチルアミノ−2−フェニルピリミジン−5−カルボン酸エチル8gを得た。
【0220】
(2)上記生成物8g、1N水酸化ナトリウム水溶液150mlおよびエタノール50mlの混合物を2時間加熱還流した。反応混合物を減圧で濃縮後、氷水に溶かし、濃塩酸をpH1になるまで加えた。析出した結晶を濾取し、水洗した後、エタノールで洗浄して目的物7.3gを得た。
【0221】
参考例 35〜50−−
対応する原料化合物を用い、参考例34と同様に反応・処理し、化44の表13で表される化合物を得た。
【0222】
【化44】
【0223】
【表13】
【0224】
参考例 51−−
2−フェニル−4−プロピルアミノピリミジン−5−カルボン酸の製造
【0225】
(1)3,4−ジヒドロ−4−オキソ−2−フェニルピリミジン−5−カルボン酸エチル9.8g、トリエチルアミン10.1gおよびジメチルホルムアミド20mlの混合物に室温でp−トルエンスルホニルクロリド8.4gのジメチルホルムアミド20ml溶液を滴下し、同温で10分間撹袢した。反応混合物にプロピルアミン2.8gのジメチルホルムアミド20ml溶液を滴下し、室温で1時間撹袢した。反応混合物にクロロホルムおよび水を加え、クロロホルム層を分取し無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧で濃縮し、粗2−フェニル−4−プロピルアミノピリミジン−5−カルボン酸エチル11gを得た。
【0226】
(2)上記生成物11g、1N水酸化ナトリウム水溶液100mlおよびエタノール100mlの混合物を2時間加熱還流した。反応混合物を減圧で濃縮し、氷水に溶かし、濃塩酸をpH1になるまで加え、析出した結晶を濾取し、水洗した後、エタノールで洗浄して目的物9.6gを得た。
【0227】
参考例 52〜62−−
対応する原料化合物を用い、参考例51と同様に反応・処理し、化45の表14で表される化合物を得た。
【0228】
【化45】
【0229】
【表14】
【0230】
参考例 63−−
4−(N−ベンジル−N−メチルカルバモイルメチルアミノ)−2−フェニルピリミジン−5−カルボン酸の製造
【0231】
(1)4−クロロ−2−フェニルピリミジン−5−カルボン酸エチル21g、グリシン6.6g、トリエチルアミン17.8gおよびエタノール200mlの混合物を4時間加熱還流した。反応混合物を減圧で濃縮した後、残留物を水に溶かし、0〜5℃で撹拌しながら濃塩酸をpH4になるまで滴下した。析出物を濾取し、水洗して粗N−(5−エトキシカルボニル−2−フェニル−4−ピリミジニル)グリシン24gを得た。
【0232】
(2)上記生成物6g、N−メチルベンジルアミン3.6g、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム・ヘキサフルオロホスフェート(以下、「BOP試薬」と称する)13.3g、トリエチルアミン3.0gおよびジメチルホルムアミド100mlの混合物を室温で1時間攪拌した。反応混合物を減圧で濃縮し、残留物に水およびクロロホルムを加え、クロロホルム層を分取し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、クロロホルムで溶出・精製し、粗4−(N−ベンジル−N−メチルカルバモイルメチルアミノ)−2−フェニルピリミジン−5−カルボン酸エチル7.8gを得た。
【0233】
(3)上記生成物7.8g、1N水酸化ナトリウム水溶液100mlおよびエタノール100mlの混合物を2時間加熱還流した。反応混合物を減圧で濃縮し、氷水にとかし、濃塩酸をpH1になるまで加え、析出した結晶を濾取し、水洗した後、エタノールで洗浄して目的物7.0gを得た。
【0234】
参考例 64〜80−−
対応する原料化合物を用い、参考例63と同様に反応・処理し、化46の表15で表される化合物を得た。
【0235】
【化46】
【0236】
【表15】
【0237】
参考例 81−−
4−エチルアミノ−5−ニトロ−2−フェニルピリミジンの製造
【0238】
4−クロロ−5−ニトロ−2−フェニルピリミジン3g、エチルアミン塩酸塩1.6g、トリエチルアミン3.9gおよびイソプロパノール60mlの混合物を3時間加熱還流した。反応混合物を減圧で濃縮し、残留物にクロロホルムおよび水を加え、クロロホルム層を分取し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、クロロホルムで溶出・精製し、イソプロパノールから再結晶して目的物2.9gを得た。
融点 136〜137℃
【0239】
参考例 82−−
4−メチルアミノ−5−ニトロ−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)ピリミジンの製造
【0240】
対応する原料化合物を用い、参考例81と同様に反応・処理し、イソプロパノールから再結晶して目的物を得た。
融点 170〜172℃
【0241】
参考例 83〜92−−
対応する原料化合物を用い、参考例81と同様に反応・処理し、化47の表16で表される化合物を得た。
【0242】
【化47】
【0243】
【表16】
【0244】
参考例 93−−
6−クロロ−4−メチルアミノ−5−ニトロ−2−フェニルピリミジンの製造対応する原料化合物を用い、参考例81と同様に反応・処理し、目的物を得た。
【0245】
製造例 1−−
N−エチル−8,9−ジヒドロ−9−メチル−8−オキソ−2−フェニル−N−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミドの製造
【0246】
約60%水素化ナトリウム(油性)1.4gおよびジメチルホルムアミド70mlの混合物に7,9−ジヒドロ−9−メチル−2−フェニル−8H−プリン−8−オン7.0gを0〜5℃で少しづつ加え、0℃で1時間撹拌した後、同温で2−ブロモ−N−エチル−N−フェニルアセトアミド8.3gを滴下した。滴下終了後、室温で3時間撹拌した。反応混合物に水およびクロロホルムを加えてクロロホルム層を分取し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、クロロホルムで溶出・精製し、エタノールから再結晶して目的物10.3gを得た。
融点 240〜242℃
【0247】
製造例 2〜44−−
対応する原料化合物を用い、製造例1と同様に反応・処理し、化48で表される表17と表18の化合物および化49で表される表19の化合物を得た。
【0248】
【化48】
【0249】
【表17】
【0250】
下記表18は表17の続き
【0251】
【表18】
【0252】
【化49】
【0253】
【表19】
【0254】
製造例 45−−
6−クロロ−N−エチル−8,9−ジヒドロ−9−メチル−8−オキソ−2−フェニル−N−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミドの製造
【0255】
6−クロロ−7,9−ジヒドロ−9−メチル−2−フェニル−8H−プリン−8−オン1.6g、炭酸カリウム1.0gおよびジメチルホルムアミド15mlの混合物に2−クロロ−N−エチル−N−フェニルアセトアミド1.4gを室温で加え、同温で2時間攪拌した。反応混合物に水を加え、析出物を濾取し水洗した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、クロロホルムで溶出・精製し、エタノールから再結晶して目的物1.8gを得た。 融点 212〜213℃
【0256】
製造例 46−−
N−エチル−8,9−ジヒドロ−6−メトキシ−9−メチル−8−オキソ−2−フェニル−N−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミドの製造
【0257】
製造例45で得られた6−クロロ−N−エチル−8,9−ジヒドロ−9−メチル−8−オキソ−2−フェニル−N−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミド0.6g、28%ナトリウムメトキシド−メタノール溶液0.3g、メタノール20mlおよび1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン5mlの混合物を4時間加熱還流した。反応混合物を減圧で濃縮し、残留物に水およびクロロホルムを加え、クロロホルム層を分取し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、クロロホルムで溶出・精製し、エタノールから再結晶して目的物0.3gを得た。 融点 173〜175℃
【0258】
製造例 47−−
N−エチル−8,9−ジヒドロ−9−メチル−6−ジメチルアミノ−8−オキソ−2−フェニル−N−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミドの製造
【0259】
製造例45で得られた6−クロロ−N−エチル−8,9−ジヒドロ−9−メチル−8−オキソ−2−フェニル−N−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミド0.6g、ジメチルアミン塩酸塩0.2g、トリエチルアミン0.4gおよびジメチルホルムアミド20mlの混合物を100℃で4時間攪拌した。反応混合物を減圧で濃縮し、残留物に水およびクロロホルムを加え、クロロホルム層を分取し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、クロロホルムで溶出・精製し、ジイソプロピルエーテルから再結晶して目的物0.34gを得た。 融点 179〜181℃
【0260】
製造例 48−−
N−ベンジル−8,9−ジヒドロ−9−メチル−N−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミドの製造
【0261】
(1)7,9−ジヒドロ−9−メチル−2−フェニル−8H−プリン−8−オン22.6g、クロル酢酸エチル13.5g、炭酸カリウム15.2gおよびジメチルホルムアミド250mlの混合物を室温で1時間攪拌した。反応混合物に水およびクロロホルムを加え、クロロホルム層を分取し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧で濃縮して粗エチル8,9−ジヒドロ−9−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7H−プリン−7−酢酸26gを得た。
【0262】
(2)上記生成物26g、1N水酸化ナトリウム水溶液500mlおよびエタノール500mlの混合物を1時間加熱還流した。反応混合物を減圧で濃縮した後、残留物に水を加え、濃塩酸をpH1になるまで滴下した。析出物を濾取し水洗した後、エタノ−ルで洗浄して粗8,9−ジヒドロ−9−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7H−プリン−7−酢酸22gを得た。
【0263】
(3)上記生成物1.1g、メチルベンジルアミン0.7g、BOP試薬2.6g、トリエチルアミン0.6gおよびジメチルホルムアミド30mlの混合物を室温で1時間攪拌した。反応混合物を減圧で濃縮し、残留物に水およびクロロホルムを加え、クロロホルム層を分取し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、クロロホルムで溶出・精製し、エタノールおよびジイソプロピルエーテルから再結晶して目的物1.1gを得た。 融点 160〜161℃
【0264】
製造例 49〜65−−
対応する原料化合物を用い、製造例48と同様に反応・処理し、化50で表される表20の化合物を得た。
【0265】
【化50】
【0266】
【表20】
【0267】
製造例 66−−
8,9−ジヒドロ−9−メチル−7−(2,6−ジメチルモルホリン−4−イ
ルカルボニルメチル)−8−オキソ−2−フェニル−7H−プリンの製造
【0268】
2,6−ジメチルモルホリンを用い、製造例48の(3)と同様に反応・処理し、アセトニトリルおよびジイソプロピルエーテルから再結晶して目的物を得た。融点 160〜161℃
【0269】
製造例 67−−
N−エチル−N−フェニル−2−(8,9−ジヒドロ−9−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7H−プリン−7−イル)プロパンアミドの製造
【0270】
製造例48の(1)におけるクロル酢酸エチルの代わりに2−クロルプロピオン酸エチルを用い、さらに製造例48の(3)においてはメチルベンジルアミンの代わりにN−エチルアニリンを用い、製造例48と同様に反応・処理し、エタノールから再結晶して目的物を得た。 融点 150〜151℃
【0271】
製造例 68−−
8,9−ジヒドロ−N−(2−ヒドロキシエチル)−9−メチル−8−オキソ−2−フェニル−N−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミドの製造
【0272】
(1)製造例48の(2)で得られた8,9−ジヒドロ−9−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7H−プリン−7−酢酸3g、アニリン1.3g、BOP試薬5.1g、トリエチルアミン1.2gおよびジメチルホルムアミド20mlの混合物を室温で2時間攪拌した。反応混合物に水を加え、析出物を濾取・水洗し、粗8,9−ジヒドロ−9−メチル−8−オキソ−2−フェニル−N−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミド3.5gを得た。
【0273】
(2)約60%水素化ナトリウム(油性)0.3gおよびジメチルホルムアミド30mlの混合物に上記生成物2.5gを0〜5℃で少しづつ加え、0℃で1時間撹拌した後、同温で2−ブロモエチルアセテート2.2gを滴下した。滴下終了後、室温で3時間撹拌した。反応混合物に水およびクロロホルムを加えてクロロホルム層を分取し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、クロロホルムで溶出・精製し、イソプロパノールから再結晶してN−(2−アセトキシエチル)−8,9−ジヒドロ−9−メチル−8−オキソ−2−フェニル−N−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミド0.9gを得た。 融点 158〜160℃
【0274】
(3)上記生成物0.9g、炭酸カリウム0.3gおよびメタノール15mlの混合物を室温で3時間攪拌した。反応混合物に水を加え、析出物を濾取・水洗し、メタノールおよびアセトニトリルから再結晶して目的物0.05gを得た。
融点 231〜233℃
【0275】
製造例 69−−
N−(4−フルオロベンジル)−8,9−ジヒドロ−9−メチル−N−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミドの製造
【0276】
(1)製造例48の(2)で得られた8,9−ジヒドロ−9−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7H−プリン−7−酢酸9.1g、メチルアミン塩酸塩3.2g、BOP試薬21.2g、トリエチルアミン9.7gおよびジメチルホルムアミド100mlの混合物を室温で2時間攪拌した。反応混合物に水を加え、析出物を濾取・水洗し、粗8,9−ジヒドロ−9−メチル−N−メチル−8−オキソ−2−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミド8.1gを得た。
【0277】
(2)約60%水素化ナトリウム(油性)0.2gおよびジメチルホルムアミド30mlの混合物に上記生成物1.2gを0〜5℃で少しづつ加え、0℃で1時間撹拌した後、同温で4−フルオロベンジルブロミド1.0gを滴下した。滴下終了後、室温で3時間撹拌した。反応混合物に水およびクロロホルムを加えてクロロホルム層を分取し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、クロロホルムで溶出・精製し、エタノールから再結晶して目的物0.6gを得た。 融点 197〜199℃
【0278】
製造例 70〜78−−
対応する原料化合物を用い、製造例69と同様に反応・処理し、化51で表される表21の化合物を得た。
【0279】
【化51】
【0280】
【表21】
* 上記表中、Bzl-3-Fは3−フルオロベンジル基を意味する。
【0281】
製造例 79−−
7,8−ジヒドロ−8−オキソ−2−フェニル−N,N−ジプロピル−9H−プリン−9−アセトアミドの製造
【0282】
2−フェニル−4−(N,N−ジプロピルカルバモイルメチルアミノ)ピリミジン−5−カルボン酸10gおよびジメチルホルムアミド70mlの混合物に室温でトリエチルアミン2.8gを加え、10分間撹拌した後、同温でジフェニルリン酸アジド7.7gを加えた。反応混合物を100℃で2時間撹拌した後、減圧で濃縮した。残留物を氷水中に注ぎ、析出物を濾取し、水洗後、エタノールから再結晶して目的物7gを得た。 融点 190〜191℃
【0283】
製造例 80〜96−−
対応する原料化合物を用い、製造例79と同様に反応・処理し、化52で表される表22の化合物を得た。
【0284】
【化52】
【0285】
【表22】
【0286】
製造例 97−−
2−(4−クロロフェニル)−7,8−ジヒドロ−8−オキソ−N,N−ジプロピル−9H−プリン−9−アセトアミドの製造
【0287】
2−[2−(4−クロロフェニル)−5−ニトロ−4−ピリミジニルアミノ]−N,N−ジプロピルアセトアミド9g、酸化白金(IV)1gおよびエタノール150mlの混合物を水素雰囲気下で4時間撹拌した後、反応混合物を濾過した。濾液を減圧で濃縮し、得られた残渣に尿素2.1gを加え200℃で2時間撹拌した。冷却後、反応混合物に水を加え析出物を濾取し、水洗後、エタノールから再結晶して目的物7gを得た。 融点 177〜178℃
【0288】
製造例 98〜105−−
対応する原料化合物を用い、製造例97と同様に反応・処理し、化53で表される表23の化合物を得た。
【0289】
【化53】
【0290】
【表23】
【0291】
製造例 106−−
7,8−ジヒドロ−7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−N,N−ジプロピル−9H−プリン−9−アセトアミドの製造
【0292】
約60%水素化ナトリウム(油性)0.8gおよびジメチルホルムアミド50mlの混合物に製造例79で得られた7,8−ジヒドロ−8−オキソ−2−フェニル−N,N−ジプロピル−9H−プリン−9−アセトアミド6gを0〜5℃で少しづつ加え0℃で1時間撹拌した後、同温でヨウ化メチル2.9gを滴下した。滴下終了後、室温で2時間撹拌した。反応混合物に水およびクロロホルムを加えてクロロホルム層を分取し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、クロロホルムで溶出・精製し、エタノールから再結晶して目的物6gを得た。 融点 156〜157℃
【0293】
製造例 107〜172−−
対応する原料化合物を用い、製造例106と同様に反応・処理し、化54で表される表24〜表26の化合物を得た。
【0294】
【化54】
【0295】
【表24】
*:1/4水和物として得られた。
【0296】
下記表25は表24の続き
【0297】
【表25】
【0298】
下記表26は表25の続き
【0299】
【表26】
*:1/4水和物として得られた。
【0300】
製造例 173−−
8,9−ジヒドロ−N−(4−メトキシフェニル)−9−メチル−N−エチル−8−オキソ−2−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミドの製造
【0301】
対応する原料化合物を用い、製造例48と同様に反応・処理し、エタノールから再結晶して目的物を得た。 融点 208〜209℃
【0302】
製造例 174−−
8,9−ジヒドロ−N−(4−ヒドロキシフェニル)−9−メチル−N−エチル−8−オキソ−2−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミドの製造
製造例173で得られた8,9−ジヒドロ−N−(4−メトキシフェニル)−9−メチル−N−エチル−8−オキソ−2−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミド0.83gおよびジクロロメタン10mlの混合物に0℃で1M三臭化ホウ素−ジクロロメタン溶液4mlを加え、室温で5日間攪拌した。反応混合物に水を加え、析出物を濾取、水洗した後、エタノールおよびジイソプロピルエーテルから再結晶して目的物0.38gを得た。 融点 254〜256℃
【0303】
製造例 175−−
N−ベンジル−N−エチル−7,8−ジヒドロ−9−メチル−8−オキソ−2−フェニル−9H−プリン−9−アセトアミド塩酸塩の製造
【0304】
製造例146で得られたN−ベンジル−N−エチル−7,8−ジヒドロ−9−メチル−8−オキソ−2−フェニル−9H−プリン−9−アセトアミド0.8gおよびエタノール15mlの混合物に80℃で30%塩酸エタノール15mlを加え、30分間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却後、析出物を濾取し、エタノールで洗浄して目的物0.85gを得た。 融点 169〜172℃
【0305】
製造例 176−−
N−エチル−8,9−ジヒドロ−9−メチル−8−オキソ−2−フェニル−N−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミド塩酸塩の製造
【0306】
製造例1で得られたN−エチル−8,9−ジヒドロ−9−メチル−8−オキソ−2−フェニル−N−フェニル−7H−プリン−7−アセタミドを用い、製造例175と同様に反応・処理し、目的物を得た。 融点 248〜249℃
【0307】
製造例 177〜186−−
対応する原料化合物を用い、製造例79と同様に反応・処理し、化55で表される表27の化合物を得た。
【0308】
【化55】
【0309】
【表27】
【0310】
製造例 187〜206−−
対応する原料化合物を用い、製造例106と同様に反応・処理し、化56で表される表28の化合物を得た。
【0311】
【化56】
【0312】
【表28】
【0313】
製造例 207−−
N−エチル−8,9−ジヒドロ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−9−メチル−8−オキソ−N−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミドの製造
製造例13で得られたN−エチル−8,9−ジヒドロ−2−(4−メトキシフェニル)−9−メチル−8−オキソ−N−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミドを用い、製造例173と同様に反応・処理し、エタノールから再結晶して目的物を得た。 融点 280〜282℃
【0314】
製造例 208−−
N−イソプロピル−8,9−ジヒドロ−9−メチル−8−オキソ−2−フェニル−N−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミドの製造
対応する原料化合物を用い、製造例68の(1)及び(2)と同様に反応・処理し、アセトニトリルから再結晶して目的物を得た。 融点 262〜263℃
【0315】
製造例 209〜210−−
対応する原料化合物を用い、製造例1と同様に反応・処理し、以下の化合物を得た。
【0316】
(製造例209)−−
N−シクロプロピル−8,9−ジヒドロ−9−メチル−8−オキソ−2−フェニル−N−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミド 融点 260〜262℃(アセトニトリルから再結晶)
【0317】
(製造例210)−−
N−(2,2,2−トリフルオロエチル)−8,9−ジヒドロ−9−メチル−8−オキソ−2−フェニル−N−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミド 融点 245〜247℃(アセトニトリルから再結晶)
【0318】
製造例211〜216−−
対応する原料化合物を用い、製造例79と同様に反応・処理し、化57で表される表29の化合物を得た。
【0319】
【化57】
【0320】
【表29】
【0321】
製造例 217〜232−−
対応する原料化合物を用い、製造例106と同様に反応・処理し、化58で表される表30の化合物を得た。
【0322】
【化58】
【0323】
【表30】
【0324】
以下に、式(II)で表される中間体の参考例を示す。
【0325】
参考例 94−−
7,9−ジヒドロ−9−メチル−2−フェニル−8H−プリン−8−オンの製造
【0326】
4−メチルアミノ−2−フェニルピリミジン−5−カルボン酸7gおよびジメチルホルムアミド50mlの混合物に室温でトリエチルアミン3.1gを加え、10分間撹拌した後、同温でジフェニルリン酸アジド8.4gを加えた。反応混合物を120℃で4時間撹拌した後、減圧で濃縮した。残留物を氷水中に注ぎ、析出物を濾取し、水洗、エタノールで洗浄後、クロロホルムから再結晶して目的物5gを得た。 融点 286〜289℃
【0327】
参考例 95〜107−−
対応する原料化合物を用い、参考例94と同様に反応・処理し、化59で表される表31の化合物を得た。
【0328】
【化59】
【0329】
【表31】
【0330】
参考例 108−−
7,9−ジヒドロ−9−ベンジル−2−フェニル−8H−プリン−8−オンの製造
【0331】
対応する原料化合物を用い、参考例94と同様に反応・処理して目的物を得た。 融点 286〜287℃(クロロホルムから再結晶)
【0332】
参考例 109−−
7,9−ジヒドロ−2−フェニル−9−プロピル−8H−プリン−8−オンの製造
【0333】
対応する原料化合物を用い、製造例94と同様に反応・処理して目的物を得た。 融点 263〜264℃(エタノールから再結晶)
【0334】
参考例 110−−
9−エチル−7,9−ジヒドロ−2−フェニル−8H−プリン−8−オンの製造
【0335】
4−エチルアミノ−5−ニトロ−2−フェニルピリミジン2.7g、パラジウム炭素0.3gおよびエタノール50mlの混合物を水素雰囲気下、室温で5時間撹拌した後、反応混合物を濾過した。濾液を減圧で濃縮し、得られた残渣に尿素1.4gを加え200℃で2時間撹拌した。冷却後、反応混合物に水を加え、得られた析出物を濾取し、水洗後、エタノールで洗浄して目的物2.4gを得た。
融点 268〜270℃(クロロホルムから再結晶)
【0336】
参考例 111−−
7,9−ジヒドロ−9−メチル−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)−8H−プリン−8−オンの製造
対応する原料化合物を用い、参考例110と同様に反応・処理し、イソプロパノールから再結晶して目的物を得た。 融点 248〜250℃
【0337】
参考例 112−−
6−クロロ−7,9−ジヒドロ−9−メチル−2−フェニル−8H−プリン−8−オンの製造
【0338】
対応する原料化合物を用い、参考例110と同様に反応・処理し、目的物を固形物として得た。
【0339】
製剤例 1: 錠剤の製造−−
・N−ベンジル−N−エチル−7,8−ジヒドロ−7−メチル−8−オキソ−2
−フェニル−9H−プリン−9−アセトアミド ・・・・・・・ 1 g
・乳糖 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 84 g
・トウモロコシデンプン ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30 g
・結晶セルロース ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25 g
・ヒドロキシプロピルセルロース ・・・・・・・・・・・・・ 3 g
【0340】
上記成分を常法により混和造粒後、軽質無水ケイ酸(0.7g)およびステアリン酸マグネシウム(1.3g)を加えた後、1錠あたり145mgで打錠し、1000錠を製する。
【0341】
製剤例 2: カプセル剤の製造−−
・N−エチル−8,9−ジヒドロ−9−メチル−8−オキソ−2−フェニル−
N−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミド ・・・・・ 2 g
・乳糖 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 165 g
・トウモロコシデンプン ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25 g
・ヒドロキシプロピルセルロース ・・・・・・・・・・・・・ 3.5 g
・軽質無水ケイ酸 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1.8 g
・ステアリン酸マグネシウム・・・・・・・・・・・・・・・・ 2.7 g
【0342】
常法により、上記成分を混合造粒し、顆粒200mgをカプセルに充填し、1000カプセルを製する。
【0343】
製剤例 3: 散剤の製造−−
・N−ベンジル−N−エチル−7,8−ジヒドロ−7−メチル−8−オキソ−2
−フェニル−9H−プリン−9−アセトアミド ・・・・・・・・ 10 g
・乳糖 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 960 g
・ヒドロキシプロピルセルロース ・・・・・・・・・・・・・・ 25 g
・軽質無水ケイ酸 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 g
【0344】
常法により、上記成分を混合した後、散剤に製する。
【0345】
【発明の効果】
以上で説明したように、式(I)で表される化合物およびその製薬学的に許容される酸付加塩は、末梢型BZω3受容体に対して選択的でかつ顕著な親和性を示すと共に、動物試験でも抗不安作用等の優れた薬理作用を有するので、不安関連疾患(神経症、心身症、不安障害、およびその他)、うつ病、てんかんなどの中枢性疾患、狭心症、高血圧症などの循環器系疾患の治療薬および予防薬として有用である。
Claims (12)
- 下記式(I)で表される2−アリール−8−オキソジヒドロプリン誘導体またはその製薬学的に許容される酸付加塩からなる医薬。
Xは水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル(低級)アルキル基、非置換もしくは置換フェニル(低級)アルキル基、低級アルケニル基、カルバモイル基、ジ(低級)アルキルカルバモイル基または下記式[Q]で表される基を意味し、
Yは水素原子、低級アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキル(低級)アルキル基、低級アルケニル基、非置換もしくは置換フェニル(低級)アルキル基または下記式[Q]で表される基を意味し、
Aは非置換もしくは置換フェニル基または非置換もしくは置換ヘテロアリール基を意味する。但し、上記式(I)においてXおよびYのいずれか一方は上記式[Q]で表される基であり、他方はそれぞれ式[Q]以外の前掲XおよびYと同じ基である] - (a) Xが下記式[Qx]で表される基
[B]
Yが水素原子または低級アルキル基であるか、或いは
(b) Xが水素原子、低級アルキル基またはカルバモイル基であり、Yが下記式[Qy]で表される基
【化7】
−CH(R31)CON(R11)(R21) [Qy]
(式中、R11、R21およびR31は前掲と同じものを意味する)
である請求項2記載の化合物からなる医薬。 - (a) Xが式[Qx]で表される基(式中、R11がメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基またはブチル基であり、R21がエチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、フェニル基、ハロゲン、メトキシ、トリフルオロメチルもしくはヒドロキシで置換されたフェニル基、ベンジル基またはハロゲン、メトキシ、トリフルオロメチルもしくはヒドロキシで置換されたベンジル基であり、R31は請求項3に定義したものと同じ)であり、Yが水素原子、メチル基またはエチル基であるか、或いは
(b) Xが水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基またはブチル基であり、Yは式[Qy]で表される基(式中、R11がメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基またはブチル基であり、R21がエチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、フェニル基、ハロゲン、メトキシ、トリフルオロメチルもしくはヒドロキシで置換されたフェニル基、ベンジル基またはハロゲン、メトキシ、トリフルオロメチルもしくはヒドロキシで置換されたベンジル基であり、R31は請求項3に定義したものと同じ)である請求項3記載の化合物からなる医薬。 - 下記式(Ib)で表される2−アリール−8−オキソジヒドロプリン誘導体またはその製薬学的に許容される酸付加塩からなる医薬。
- 8,9−ジヒドロ−9−メチル−N−メチル−8−オキソ−2−フェニル−N−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミド、
8,9−ジヒドロ−2−(4−フルオロフェニル)−9−メチル−N−メチル−8−オキソ−N−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミド、
N−エチル−8,9−ジヒドロ−2−(4−フルオロフェニル)−9−メチル−8−オキソ−N−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミド、
7,8−ジヒドロ−7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−N,N−ジプロピル−9H−プリン−9−アセトアミド、
7−エチル−7,8−ジヒドロ−8−オキソ−2−フェニル−N,N−ジプロピル−9H−プリン−9−アセトアミド、
N−ベンジル−7,8−ジヒドロ−N−メチル−7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−9H−プリン−9−アセトアミド、
N−ベンジル−N−エチル−7,8−ジヒドロ−7−メチル−8−オキソ−2−(4−クロロフェニル)−9H−プリン−9−アセトアミド、
N−ベンジル−7,8−ジヒドロ−N−メチル−7−メチル−8−オキソ−2−(4−クロロフェニル)−9H−プリン−9−アセトアミド、および
N−(4−クロロベンジル)−N−エチル−7,8−ジヒドロ−7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−9H−プリン−9−アセトアミドから選ばれるいずれかの化合物、またはその製薬学的に許容される酸付加塩からなる医薬。 - N−エチル−8,9−ジヒドロ−9−メチル−8−オキソ−2−フェニル−N−フェニル−7H−プリン−7−アセトアミド、またはその製薬学的に許容される酸付加塩からなる医薬。
- N−ベンジル−N−エチル−7,8−ジヒドロ−7−メチル−8−オキソ−2−フェニル−9H−プリン−9−アセトアミド、またはその製薬学的に許容される酸付加塩からなる医薬。
- 不安関連疾患の治療薬または予防薬である請求項1〜9のいずれか一項に記載の医薬。
- 抗不安薬である請求項1〜9のいずれか一項に記載の医薬。
- 抗うつ薬である請求項1〜9のいずれか一項に記載の医薬。
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