JP3813910B2 - アロマテラピー効果を有する繊維製品 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アロマテラピー効果を有する繊維製品に関する。
【０００２】
【従来の技術】
合成香料又は天然香料を有機マイクロカプセル又は無機質マイクロカプセルに封入し、繊維製品にバインダーと共に付与し、繊維製品に種々の香りを付与することは知られている。
【０００３】
例えば、匂物質を含有するマイクロカプセルと糊剤を繊維製品に付与する方法は、特開昭４９−１９１９７号公報に開示されている。また、特開平１−２８００８０号公報及び特開平２−６６７１号公報には、耐久性香気処理方法として、繊維製品にホルマリン系樹脂を壁剤として匂物質を内包するマイクロカプセルを繊維表面に固着せしめる方法が開示されている。
【０００４】
これらの方法はいずれも、繊維製品の使用時に、マイクロカプセルが破壊されて、香りを発するものであるが、単に、封入された香料が、直接香りを発するだけであり、それ以上の効果は望めなかった。
【０００５】
一方、ラズベリーケトンが脂肪分解促進剤として機能することは知られており、特開２０００−１６９３２５号公報に、それを使用した痩身用皮膚化粧料が開示されている。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、その使用により、アロマテラピー効果とダイエット効果を期待できる新規な繊維製品を提供することを課題とする。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
本発明は、香料を付着させた繊維製品において、香料と共にラズベリーケトン又はラズベリーケトングルコシドの少なくとも一種を使用すること、及びラズベリーケトン又はラズベリーケトングルコシドの付着量が、０．００５〜５重量％であることを特徴とすることにより、上記課題を解決した。なお、本発明において、ラズベリーケトン又はラズベリーケトングルコシドは香料と共に、マイクロカプセル化又はベシクル構造体に内包された形態で、バインダーにより繊維製品に付着される。
【０００８】
香料としては、アロマテラピー効果を発するもの、例えばシス−３−ヘキサン−１−アル、イラリア、γ−ウンデカラクトン、酢酸、酢酸エチル、アミルプロピオネート、フェニルエチルアルコール、ゲラニオール、バニリン等を使用するのが、好ましい。
なお、香料の使用量は、その種類及び目的により異なるが、ラズベリーケトン又はラズベリーケトングルコシドの１〜５０倍程度使用するのがよい。
【０００９】
ラズベリーケトン又はラズベリーケトングルコシドは、香りの良いものではないが、いやし効果のある香料を併用することにより、アロマテラピー効果（精神の覚醒、沈静効果等）を得ることができ、更にラズベリーケトン又はラズベリーケトングルコシドの脂肪分解促進効果を安定して得ることも可能となる。
【００１０】
なお、ラズベリーケトン又はラズベリーケトングルコシドは香料と共に、下記のような形態で繊維に付着させることができる。
１）有機マイクロカプセルに内包させてバイダーとともに繊維に塗布
２）無機マイクロカプセルに内包させてバイダーとともに繊維に塗布
３）カチオン性のベシクル構造体の油層部に封入し、バインダーとともに繊維に塗布
【００１１】
本発明に従って加工した糸や布帛等からなる製品を着用すると、アロマテラピー効果と共に、脂肪細胞における脂肪分解酵素と脂肪との親和性を高めることにより、脂肪分解を促進し、ダイエット効果が得られる。
【００１２】
ラズベリーケトン又はラズベリーケトングルコシドは下記式で示されるものであり、一種だけでなく、二種以上が併用されてもよい。
【００１３】
【化１】

【００１４】
本発明で使用する繊維製品は、糸、織物、編物、不織布等のいずれであってもよく、繊維の種類も特に限定されないが、セルロース系繊維製品であるのが好ましい。
【００１５】
ラズベリーケトン又はラズベリーケトングルコシドと香料を含む処理液による繊維製品の加工条件は特に限定されないが、代表的な方法を掲げると次の通りである。
（１）パッド法： 処理液を繊維製品にパッディング後、２〜４kg/cm²で絞り、１２０〜１３０℃×２〜３分の乾燥。
（２）浸漬法 ： ４０℃、ｐＨ４〜５の処理液に繊維製品を約３０分浸漬、脱液後、１２０〜１３０℃×２〜３分の乾燥。
（３）スプレー法：処理液を繊維製品にスプレー塗布後、１２０〜１３０℃×２〜３分の乾燥。
【００１６】
なお、ラズベリーケトン又はラズベリーケトングルコシドと香料の有機マイクロカプセル化は、例えば、ＩＮ ＳＩＴＥ重合法や界面重合法などの公知の方法によって製造することができる（工業技術ライブラリー２５、近藤朝士著、日刊工業新聞社発行、昭和４５年、特公昭３７−７７２４号公報等参照）。ホルマリン系樹脂を壁膜とするものは、例えば、ラズベリーケトン又はラズベリーケトングルコシドを含む溶剤溶液を配合した芯成分物質と尿素またはメラミンとを水中に乳化させ（乳化剤はポリスチレンスルホン酸ソーダ、ポリアクリル酸ソーダ、アクリル酸共重合物、マレイン酸共重合物、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、アクリル酸共重合物やマレイン酸共重合物）必要によりｐＨ調整を行う。水温は４０℃程度で、ホルマリン水溶液を加えた後、攪拌下７０℃に昇温して重縮合反応させる。次いで、生成したマイクロカプセルを濾過・乾燥すると、本発明のラズベリーケトン又はラズベリーケトングルコシド含有のマイクロカプセルが得られる。なお、大きさは主として攪拌の強弱と乳化剤の濃度により、壁膜の含有量は主として油滴中の尿素またはメラミンの濃度により、また、壁膜の多孔性は主としてホルマリンの濃度によりコントロールできる（緻密にするためには高濃度のホルマリンを使う）。また、ラズベリーケトン又はラズベリーケトングルコシドを希釈するために、例えばベンジルベンゾエート、デシルアルコール、ラウリルアルコール、グリセリンなどのアルコール類、ステアリン酸ラウリル、パルミチン酸グリセライドなどのエステル類、ハッカ油、つばき油、大豆油、ゴマ油、なたね油、やし油、チョウジ油、テレピン油、牛脂、ユーカリ油などの天然油を芯成分物質として共存させることもできる（この場合、マイクロカプセルの壁膜と相溶性がないものを選択する）。
【００１７】
次に、無機マイクロカプセル化は、特開昭６１−２２７９１３号公報に記載されるような、多孔質シリカ微小球体にラズベリーケトン又はラズベリーケトングルコシドを香料と共に吸着させて使用する。
【００１８】
ベシクル構造体は、特定の濃度において、分子重合体を形成する界面活性剤を利用するもので、界面活性剤分子集合体すなわちベジクル袋状２分子膜は、内部に水相と油相を有する。その油相に、ラズベリーケトン又はラズベリーケトングルコシドをベンジルベンゾエート等の溶剤に溶解し、ベシクル構造体の油相部へ保持させる。
【００１９】
また、無機質担持体である二酸化ケイ素の微粒子をシリル化すると油性物質を吸着するので、ラズベリーケトン又はラズベリーケトングルコシドをベンジルベンゾエート等の溶剤に溶解し、上記シリル化二酸化ケイ素に吸着させて使用してもよい。
【００２０】
なお、本発明において、ラズベリーケトン又はラズベリーケトングルコシドを含む処理液に使用するバインダーは、シリコン系、ウレタン系、酢酸ビニル系、アクリル系、塩化ビニル系、フェノール系などの樹脂、加工澱粉などの糊剤など繊維処理剤として公知のものであれば特に限定されないが、ゴム状皮膜を形成するシリコン系やウレタン系などの樹脂が耐久性および圧力緩衝性の点で好ましい。特にシリコン系樹脂バインダーはコーティング効果に優れ、マイクロカプセル等と繊維製品（布帛等）の間に接着剤として機能するものであり、中でも水への分散性に優れ、水で容易に希釈可能なシリコン系水性エマルジョン型、例えばオルガノポリシロキサンを主成分として乳化剤で乳化したものが好ましい。これは水の除去により硬化し、シリコンゴムの特徴を有するゴム状皮膜を形成し、耐久性のある接着効果を奏するものである。これらのうち更に１３０℃以下で乾燥および処理できるものが好ましい。また樹脂バインダーは溶液タイプでもエマルジョンタイプでもよいが、取扱い易さと価格の点で水性エマルジョンタイプが好ましい。
中でも、シリコン系樹脂、ウレタン系樹脂又は酢酸ビニル系樹脂の水性エマルジョンが、水の除去により硬化してゴム状皮膜を形成し、耐久性のある接着効果を奏するので、本発明では、これらを使用するのが好ましい。
また、シリコン系樹脂やウレタン系樹脂の使用は、例えば特開平１−２８００８０号公報、特開平２−６６７１号公報に記載されているような方法で実施するのがよい。
【００２１】
バインダーはマイクロカプセルの０．１〜５倍好ましくは０．２〜２倍（重量比）与えられ、十分な接着効果を発揮する。０．１倍より少なくするとバインダー作用が極端に劣り、一方これを５倍より多く与えてもマイクロカプセルの付着率はほとんど変わらず、逆に繊維や布地の柔軟な風合いにおいて問題が引き起こされ好ましくない。
【００２２】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施例を示すが、これにより本発明の技術的範囲が限定されるものではない。
実施例１〜４
毛焼・糊抜・精錬・晒・シルケット加工した綿１００％の平織物（経：４０Ｓ、１２０本／インチ、 緯：４０Ｓ、８０本／インチ）に、ラズベリーケトン１０％、香料４０％、ベンジルベンゾエート５０％からなる溶液を含む平均粒子径７μｍのマイクロカプセル（ホルマリン系樹脂を壁剤とする）を表１に示すバインダー溶液に分散させた処理液をパディング法で適用し、２〜４kg/cm²で絞り、１２０〜１３０℃×２〜３分の乾燥をした。
得られた製品の、洗濯試験１０回後（Ｗ＝１０）と洗濯試験３０回後（Ｗ＝３０）の香りの耐久性及びマイクロカプセルの付着状態を表１に示す。
【００２３】
【表１】

【００２４】
【発明の効果】
本発明に従って加工した糸や布帛等からなる製品は、洗濯試験３０回後であっても、耐久性よく香りを保持し、アロマテラピー効果に優れるものであり、また、その製品を下着等に利用した場合には、脂肪分解が促進され、痩身効果が期待できるものとなる。

Claims (3)

1. 下記式（１）又は（２）で表されるラズベリーケトン又はラズベリーケトングルコシドの少なくとも一種が香料と共に、マイクロカプセル化又はベシクル構造体に内包された形態で、バインダーにより繊維製品に付着されていること、及び繊維製品への上記ラズベリーケトン又はラズベリーケトングルコシドの付着量が、０．００５〜５重量％であることを特徴とするアロマテラピー効果を有する繊維製品。
   

   
2. 上記バインダーがシリコン系又はウレタン系樹脂バインダーであることを特徴とする請求項１の繊維製品。
3. 繊維製品がセルロース系繊維製品であることを特徴とする請求項１又は２の繊維製品。