JP3813728B2 - エアーマッサージ機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧縮空気が給排気される施療袋の膨張・収縮に従い押圧マッサージ子を移動させ、このマッサージ子で使用者の被施療部を指圧的にマッサージするエアーマッサージ機に関する。
【0002】
【従来の技術】
エアーマッサージにおけるマッサージ形態は、大別して、圧縮空気の給排気に伴い膨張・収縮する袋体により直接使用者の被施療部を圧迫・弛緩してマッサージするものと、前記袋体の膨張・収縮に追従して移動する押圧マッサージ子を設けて、このマッサージ子で前記被施療部を押圧してマッサージするものとがある。後者のものは、固定のベースの前面に枢軸を介して作動体を回動可能に取付け、この作動体の前面に押圧マッサージ子を突設し、かつ、ベースと作動体との間に施療袋を配置して形成されている。
【0003】
したがって、施療袋をそれに供給される圧縮空気で膨張させることにより、作動体を回動させると同時に押圧マッサージ子を使用者の被施療部に指圧的に押付けることができ、次に、前記施療袋を収縮させることに伴い押圧マッサージ子による前記押付けを緩めることができる。すなわち、こうした動作の繰り返しにより被施療部を圧迫・弛緩させてマッサージできるものであり、その際において押圧マッサージ子の押圧面積に応じた指圧効果を得ることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の押圧式マッサージ手段は、既述のようにベースに作動体が直接枢着された構成であるために、施療袋の膨張に伴う押圧マッサージ子の挙動は一定であり、したがって、このマッサージ子の被施療部への当り方は常に同じである。
【0005】
しかし、被施療部の状態は使用者各人によって多少とも異なるだけではなく、同一使用者の同じ位置の被施療部であってもその情況は体調等に応じて異なるものであるから、常に同じような指圧的マッサージしかできない従来の構造では、満足のいくマッサージ感を得ることが難しいという問題がある。
【0006】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、指圧的マッサージの態様を使用者の好みに応じて変えることができるエアーマッサージ機を得ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、エアー給排気装置の動作により圧縮空気が給排気される施療袋の膨張・収縮に伴い動かされる押圧マッサージ子を介して使用者の被施療部をマッサージする押圧式マッサージ手段を、マッサージ機本体に組込んだエアーマッサージ機を前提とする。
【0008】
そして、前記課題を解決するために、請求項1の発明は、前記押圧式マッサージ手段が、ベースと、このベースの前側に前記ベースから離間してシーソー運動可能に配置された姿勢変更板と、この姿勢変更板の回転中心線を跨ぐ大きさを有して、その一端部が前記姿勢変更板の長手方向中央部前面に回動可能に取付けられた一対の作動板と、前記姿勢変更板の回転中心線の両側に位置して一対の前記作動板の前面に夫々設けられた前記押圧マッサージ子と、一対の前記作動板と前記姿勢変更板との間に配置されて圧縮空気の給排気により同期して膨張・収縮して一対の前記作動板を回動させる前記施療袋と、前記回転中心線の両側に別れて前記ベースと前記姿勢変更板との間に配置されて圧縮空気の給排気により膨張・収縮する一対の姿勢制御袋と、を具備してなることを特徴とするものである。
【0009】
この請求項1の発明において、一対の施療袋に圧縮空気を給排気してこれらの袋を同期して膨張・収縮させると、それに伴い、一対の作動板が回動されると同時に押圧マッサージ子が使用者の被施療部に接離するように動かされて、前記被施療部を指圧的にマッサージできる。一方、一対の姿勢制御袋はそれへの圧縮空気の給排気により姿勢変更板の姿勢を制御する。つまり、一方の姿勢制御袋を膨張させ、他方の姿勢制御袋を収縮させた場合には、膨張した一方の姿勢制御袋側に位置された姿勢変更板の一方の片側部分がベースから大きく離れるとともに、収縮した他方の姿勢制御袋側に位置された他方の片側部分がベースに近づけられるように姿勢変更板が回動するので、姿勢変更板は傾斜した姿勢を採る。こうした傾斜姿勢は一対の姿勢制御袋の膨張・収縮を選択することで2つの形態を得ることができる。また、一対の姿勢制御袋の双方を膨張させた場合には、姿勢変更板を傾斜させることなく、その裏側から支持して中立姿勢を採ることができる。そして、姿勢変更板の前側に配置された前記施療袋及び押圧マッサージ子は姿勢変更板とともに動かされ、かつ、押圧マッサージ子が姿勢変更板の回転中心線の両側に位置して一対の前記作動板の前面に夫々設けられているので、姿勢変更板の前記姿勢制御によって押圧マッサージ子の被施療部に対する当り具合を変えることができる。
【0012】
同様に、請求項1の発明を実施するにあたり、請求項1の発明に従属する請求項3の発明のように、2個の第1押圧マッサージ子を前記回転中心線の片側に位置された前記姿勢変更板の第1部位に対応して設けるとともに、2個の第2押圧マッサージ子を前記回転中心線の他方の片側に位置された前記姿勢変更板の第2部位に対応して設け、前記第1押圧マッサージ子の配設ピッチと前記第2押圧マッサージ子の配設ピッチとを異ならせるとよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図5を参照して本発明の第1の実施の形態を説明する。
【0014】
第1の実施の形態に係る椅子式エアーマッサージ機は、その全体を示す図1の斜視図のように、マッサージ機本体としての椅子本体1と、脚載置台2と、図5に示されるエアー給排気装置3と、同図5に示される入力手段4とを具備している。
【0015】
椅子本体1は、座部5と、この座部5の後側に取付けられた背凭れ6と、座部5の左右両側に設けられた肘掛け部7とを有している。一対のU字溝状の脚載置溝2aを有して椅子本体1に座った使用者の脹脛部等を下方から支持する脚載置台2は、座部5の前側に起倒可能に取付けられている。脚載置台2は、その起倒により、座部5の前方に略水平な姿勢で連続する第1位置と、図1に示されるように座部5から下方に折れ曲がるような姿勢で連なる第2位置とにわたって移動される。なお、この脚載置台2は本発明において省略することもできる。
【0016】
椅子本体1に座った使用者の背中が寄り掛かる背凭れ6は、座部5と同様に後述の押圧マッサージ子等の動きを妨げないように自在に変形できる布製カバー6aで覆われている。この背凭れ6は、座部5に対する角度が固定であっても或いはリクライニングできるように回動可能に取付けられていてもよい。
【0017】
図1に示されるように椅子本体1の座部5及び背凭れ6には、この椅子本体11に座った使用者をエアーマッサージするために、圧縮空気の給排気にしたがい膨張・収縮する各種施療袋が組込まれている。すなわち、座部5に座った使用者の尻部をエアーマッサージするための尻部用施療袋8と、使用者の腿部をエアーマッサージするための腿部用施療袋9とが、座部5の幅方向に延びて夫々組込まれている。背凭れ6には、寄り掛かった使用者の腰部をエアーマッサージするための一対の腰部用施療袋10と、使用者の背筋部をエアーマッサージするための背筋部用施療袋11とが夫々組込まれている。
【0018】
背凭れ6には、腰部用施療袋10及び背筋部用施療袋11より上方に位置して押圧式マッサージ手段としての首肩部マッサージ機構12が組込まれている。この機構12は背凭れ6への組込み等に便利なようにユニット化されており、以下、その構成について図2〜図4を参照して説明する。この首肩部マッサージ機構12は、ベース21と、姿勢変更板22と、一対の作動板23と、1以上例えば2組の押圧マッサージ子24、25と、例えば上下一対の姿勢制御袋26、27と、作動板23と同数の施療袋つまり一対の首肩部用施療袋28とを備えている。
【0019】
背凭れ6に連結されるベース21は、鉄板等からなり、図2に示されるように前面(正面)から見た形状が略長方形であって、その長手方向両端部には夫々軸受フランジ21a(図3参照)が前方へ突出するように折り曲げられている。硬質合成樹脂や金属等の平板からなる姿勢変更板22は、その長手方向両端面に夫々枢軸22aを有し、これら枢軸22aは姿勢変更板22の幅方向中央位置から突設されている。そして、これら枢軸22aを軸受フランジ21aに開けた軸受孔に個別に挿通することによって、姿勢変更板22はベース21の前側にこのベース21から離間し枢軸22aを支点としてシーソー運動可能に取付けられている。図4(C)中Lはベース21の前側に平行に配置された姿勢変更板22とベース21との離間距離を示している。
【0020】
図2及び図3中29は、両枢軸22aに個別に巻装されて一端部を軸受フランジ21aの孔に通して引掛けるとともに、他端部を姿勢変更板22に引っ掛けて設けられたねじりコイルばねである。これら一対のねじりコイルばね29の巻き方向は互いに逆になっていて、それらのばね力をバランスさせることにより、図4(C)に示すように姿勢変更板22はベース21と平行に配置される姿勢を保持できるようになっている。また、姿勢変更板22が回動力を受けて回動された時には一方のねじりコイルばね29はばね力を蓄えるが、他方のねじりコイルばね29は緩むものであって、前記回動力の消失に伴い蓄えられたばね力で図4(C)に示す姿勢に姿勢変更板22を戻すようになっている。なお、これらのねじりコイルばね29は省略してもよい。
【0021】
後述のエアー給排気装置3による圧縮空気の給排気に伴い互いに独立して膨張・収縮される前記一対の姿勢制御袋26、27は、ベース21と姿勢変更板22との間に配置されている。つまり、図2中1点鎖線で示す姿勢変更板22の回転中心線(言い換えれば、一対の枢軸21a間を結んだ直線)Aを境に一方の片側、つまり、第1の実施の形態では回転中心線Aより上側に位置される姿勢変更板22の上側部位(第1部位)22bの裏側に上部姿勢制御袋26が設けられているとともに、前記回転中心線Aを境に他方の片側、つまり、第1の実施の形態では回転中心線Aより下側に位置される姿勢変更板22の下側部位(第2部位)22cの裏側に下部姿勢制御袋27が設けられている。これら上下の姿勢制御袋26、27は、互いの間に設けられる非膨張シート部を介して一体につながっているとともに、前記シート部を介して姿勢変更板22の裏面に取付けられている。そして、非膨張状態において両姿勢制御袋26、27は図4(C)に示されるように姿勢変更板22の裏面に沿った収縮形状を保持できるようになっている。
【0022】
姿勢変更板22の長手方向中央部前面には、図2及び図3等に示されるように押え板30がねじ止めされている。押え板30の両端部には姿勢変更板22の幅方向に延びる半円筒形状の軸押え縁部30aが夫々折り曲げられている。前記一対の作動板23は、その一端に有した軸部23aを姿勢変更板22と軸押え縁部30aとの間に通して、姿勢変更板22の前側に位置して軸押え縁部30aを中心として回動可能に取付けられている。なお、図2中23bは軸押え縁部30aを逃げて作動板23の回動を許すための逃げ孔を示している。
【0023】
これら作動板23は前記回転中心線Aを跨いで前記上下両部位22b、22cにわたる大きさを有している。両作動板23の上部前面、つまり、回転中心線Aの上側前面には前記第1押圧マッサージ子24が個別に突設され、同様に、両作動板23の下部前面、つまり、回転中心線Aの下側前面には前記第2押圧マッサージ子25が個別に突設されている。各押圧マッサージ子24、25は、夫々ゴム製であって、略半球形状に形成されている。姿勢変更板22の上側部位22bに対応して両作動板23の上部に夫々突設された第1押圧マッサージ子24は首部施療用であり、又、姿勢変更板22の下側部位22cに対応して両作動板23の下部に夫々突設された第2押圧マッサージ子25は肩部施療用である。そして、一対の第1押圧マッサージ子24間の配設ピッチ(間隔)Bは施療対象である首部に合わせて狭く、一対の第2押圧マッサージ子25間の配設ピッチ(間隔)Cは施療対象である肩部に合わせて広く設定されている。
【0024】
後述のエアー給排気装置3による圧縮空気の給排気に伴い同期して膨張・収縮される前記一対の首肩部用施療袋28は、姿勢変更板22と一対の作動板23との間に夫々配置されている。
【0025】
座部15の下側などに配置される前記エアー給排気装置3は、図5に示されるように制御手段31と、エアー供給手段32と、エアー分配器33とを有している。エアー供給手段32は、エアーコンプレッサー等からなり、圧縮空気を生成する。この供給手段32で生成された圧縮空気がエアーホース34を介して供給されるエアー分配器33は、前記各施療袋8〜11、26〜28等に供給される圧縮空気を分配するロータリー式の給排気弁等からなる。エアー分配器33が有する第1分配口aには前記背筋部用施療袋11がエアーホース35を介して接続され、エアー分配器33の第2分配口bにはエアーホース36が接続されているとともに、このホース36の二股に分岐された分岐ホース部36aには夫々前記一対の腰部用施療袋10が個別に接続されている。同様に、エアー分配器33の第3分配口cにはエアーホース37を介して前記尻部用施療袋8が接続されているとともに、エアー分配器33の第4分配口dにはエアーホース38を介して腿用施療袋9が接続されている。同様に、エアー分配器33の第5分配口eにはエアーホース39が接続され、このホース39の二股に分岐された分岐ホース部39aには夫々前記一対の首肩部用施療袋28が個別に接続されている。同様に、エアー分配器33の第6分配口fにはエアーホース40を介して前記下部姿勢制御袋27が接続されているとともに、エアー分配器33の第7分配口gにはエアーホース41を介して前記上部姿勢制御袋26が接続されている。
【0026】
マイクロコンピュータ等からなる制御手段31は、各種のマッサージモードを有しており、その中から例えばリモートコントローラからなる前記入力手段4での入力操作により指定されたマッサージモードに応じて、エアー供給手段32及びエアー分配器33等の動作を制御するものである。この制御により指定されたモードに定められた順序及び時間に従って前記各施療袋8〜11、26〜28に圧縮空気が給排気されて、指定されたマッサージモードが実行されるようになっている。
【0027】
指定される各種のマッサージモードとしては、各施療袋8〜11、26〜28を所定時間の間所定の順序にしたがって繰り返し膨張・収縮させて使用者の全身をマッサージする全身マッサージモード、背凭れ6の各施療袋10、11及び首肩部マッサージ機構12の各袋26〜28を所定時間の間所定の順序にしたがって繰り返し膨張・収縮させて使用者の上半身をマッサージする上半身マッサージモード、一対の腰部用施療袋10を所定時間の間同時に繰り返し膨張・収縮させて使用者の腰部をポイント的にマッサージする腰部マッサージモード、背筋用施療袋11を所定時間の間繰り返し膨張・収縮させて使用者の背筋部をポイント的にマッサージする背筋部マッサージモード等があり、その他に、首肩部マッサージ機構12の各袋26〜28を所定時間の間所定の順序にしたがって繰り返し膨張・収縮させて使用者の首肩部をマッサージする第1〜第3の首肩部マッサージモードがある。
【0028】
第1首肩部マッサージモードは、図4(A)の状態に示されるように姿勢変更板22が前側に倒れるように傾斜する前傾姿勢を保持しつつ、一対の首肩用施療袋28の膨張・収縮を所定時間繰り返して、主として一対の第1押圧マッサージ子24で使用者の首部をポイント的にマッサージするモードである。第2首肩部マッサージモードは、図4(B)の状態に示されるように姿勢変更板22が後側に倒れるように傾斜する後傾姿勢を保持しつつ、一対の首肩用施療袋28の膨張・収縮を所定時間繰り返して、主として一対の第2押圧マッサージ子25で使用者の肩部をポイント的にマッサージするモードである。第3首肩部マッサージモードは、図4(C)の状態に示されるように姿勢変更板22が傾斜することなく前記ベース21と平行な姿勢を保持しつつ、一対の首肩用施療袋28の膨張・収縮を所定時間繰り返して、一対の第1押圧マッサージ子24で使用者の首部を指圧的にマッサージすると同時に、一対の第2押圧マッサージ子25で使用者の肩部を指圧的にマッサージするモードである。
【0029】
更に、指定されるマッサージモードには前記各ポイントマッサージモードと第1〜第3の首肩部マッサージモードとの組合わせも含まれている。これらのモード指定は、前記入力手段4での入力操作によって指定できる。又、図1中42は電源コードを示している。
【0030】
前記構成の椅子式エアーマッサージ機を用いてエアーマッサージをするには、まず、電源コード42を図示しない電源コンセントに接続した状態で、椅子本体1に腰掛けてから、入力手段4を操作して、所望のマッサージモードを指定するとともに、入力手段4が有する始動スイッチをオンすればよい。そうすると、指定されたマッサージモードが制御手段31により実行されるから、各袋8〜11、26〜28の内の少なくとも一つが膨張・収縮して、使用者の背中等への圧迫・弛緩を伴うエアーマッサージが行われる。
【0031】
このエアーマッサージの際に、入力手段4において前記第1首肩部マッサージモードが指定された場合には、制御手段31は、まず、上部姿勢制御袋26のみに圧縮空気を供給して、この供給状態を第1首肩部マッサージモードが終了するまで維持する。又、制御手段31は、上部姿勢制御袋26への圧縮空気の供給後に、一対の首肩用施療袋28に圧縮空気を給排気して、これらの施療袋28を同時に膨張・収縮させるとともに、こうした膨張・収縮を所定回数行なわせる。
【0032】
この第1首肩部マッサージモードでは、上部姿勢制御袋26の膨張力によって図4(A)に示されるように姿勢変更板22は前傾姿勢を保持するため、複数の第1押圧マッサージ子24は使用者の首部側に押出され、複数の第2押圧マッサージ子25は使用者の肩部から逃げるように配置される。したがって、首肩用施療袋28の膨張・収縮に伴い一対の作動板23が互いに近づく方向に回動した後互いに離れる方向に回動されるから、首肩用施療袋28の膨張時に首部の両側から一対の第1押圧マッサージ子24を比較的強く押付けて首部を指圧的に圧迫できるとともに、この後、前記圧迫を解除して首部を弛緩させることができる。同時に一対の第2押圧マッサージ子25が比較的軽く両肩部を指圧的に圧迫し、その次に、この圧迫を解除して肩部を弛緩させることができる。そして、こうした首肩部へのエアーマッサージにおいて、既述のように姿勢変更板22が前傾姿勢を保持しているので、第1、第2の押圧マッサージ子24、25は夫々首肩部に対して斜め上側から下向きに押付けられる。このように斜め上側からのエアーマッサージにおいては背中の動きが拘束されて首肩部が逃げにくいので、いわゆる揉み下げるようなマッサージ感触を使用者に与えながら強めのエアーマッサージをすることができる。
【0033】
又、入力手段4において前記第2首肩部マッサージモードが指定された場合には、制御手段31は、まず、下部姿勢制御袋27のみに圧縮空気を供給して、この供給状態を第2首肩部マッサージモードが終了するまで維持する。又、制御手段31は、下部姿勢制御袋27への圧縮空気の供給後に、一対の首肩用施療袋28に圧縮空気を給排気して、これらの施療袋28を同時に膨張・収縮させるとともに、こうした膨張・収縮を所定回数行なわせる。
【0034】
この第2首肩部マッサージモードでは、下部姿勢制御袋27の膨張力によって図4(B)に示されるように姿勢変更板22は後傾姿勢を保持するため、複数の第1押圧マッサージ子24は使用者の首部側から逃げるように配置され、複数の第2押圧マッサージ子25は使用者の肩部に向けて押出される。したがって、首肩用施療袋28の膨張・収縮に伴い一対の作動板23が互いに近づく方向に回動した後互いに離れる方向に回動されるから、首肩用施療袋28の膨張時に首部の両側から一対の第1押圧マッサージ子24を比較的軽く押付けて首部を指圧的に圧迫できるとともに、この後、前記圧迫を解除して首部を弛緩させることができる。同時に一対の第2押圧マッサージ子25が比較的強く両肩部を指圧的に圧迫し、その次に、この圧迫を解除して肩部を弛緩させることができる。そして、こうした首肩部へのエアーマッサージにおいて、既述のように姿勢変更板22が後傾姿勢を保持しているので、第1、第2の押圧マッサージ子24、25は夫々首肩部に対して斜め下側から上向きに押付けられる。このように斜め下側からのエアーマッサージにおいては背中の動きが拘束されずに首肩部が上側に逃げ易いので、いわゆる揉み上げるようなマッサージ感触を使用者に与えながら弱めのエアーマッサージをすることができる。
【0035】
又、入力手段4において前記第3首肩部マッサージモードが指定された場合には、制御手段31は、まず、上下両姿勢制御袋26、27に同時に圧縮空気を供給して、この供給状態を第3首肩部マッサージモードが終了するまで維持する。又、制御手段31は、両姿勢制御袋26、27への圧縮空気の供給後に、一対の首肩用施療袋28に圧縮空気を給排気して、これらの施療袋28を同時に膨張・収縮させるとともに、こうした膨張・収縮を所定回数行なわせる。
【0036】
この第3首肩部マッサージモードでは、両姿勢制御袋26、27の膨張力によって図4(C)に示されるように姿勢変更板22は傾斜することなくベース21と平行な中立姿勢を保持する。したがって、首肩用施療袋28の膨張・収縮に伴い一対の作動板23が互いに近づく方向に回動した後互いに離れる方向に回動されるから、首肩用施療袋28の膨張時に首部の両側から一対の第1押圧マッサージ子24を押付けて首部を指圧的に圧迫できるとともに、この後、前記圧迫を解除して首部を弛緩させることができる。同時に一対の第2押圧マッサージ子25が両肩部を指圧的に圧迫し、その次に、この圧迫を解除して肩部を弛緩させることができる。そして、こうした首肩部への指圧的マッサージにおいて、既述のように姿勢変更板22が中立姿勢を保持しているので、前記揉み下げや揉み上げのようなマッサージ感触を使用者に与えることなくエアーマッサージをすることができる。
【0037】
前記のように姿勢変更板22を図4(A)〜(C)のいずれかに示す姿勢に制御することで、押圧マッサージ子24、25の使用者に対する当り方を変えることができる。したがって、第1〜第3の首肩部マッサージモードのいずれかを入力手段4で指定することで使用者の好みに応じることができるとともに、その選択によって多様な形態で使用者の首肩部をマッサージできる。
【0038】
又、前記第1の実施の形態では、第1、第2の押圧マッサージ子24、25が前記回転中心線Aの両側に別れて配置されているので、前記のような姿勢変更板22の姿勢制御によって、いずれか一方の押圧マッサージ子で使用者を強めに押圧できるとともに、他方の押圧マッサージ子で弱めに押圧してマッサージできる。そのため、第1、第2の押圧マッサージ子24、25の内のいずれか一方のみを押圧マッサージ子として設けて実施する場合に比較して、マッサージ形態をより多様にできる。
【0039】
この場合において、第1、第2の押圧マッサージ子24、25を夫々複数個づつ設けたので、首部を両側から指圧的にマッサージできるとともに、両肩部を同時に指圧的にマッサージすることができる等、一度に多くの被施療部を指圧的にマッサージできる点で優れている。
【0040】
そして、前記1の実施の形態のように第1押圧マッサージ子24を2個とするとともにその配設ピッチBを、2個の第2押圧マッサージ子25の配設ピッチCより狭くしたことにより、2個の第1押圧マッサージ子24で首部を両側から挟むように指圧的にマッサージできるとともに、2個の第2押圧マッサージ子25で両肩部を同時に指圧的にマッサージでき、したがって、首肩部を同時に指圧的にマッサージするのに適している。
【0041】
なお、本発明は前記第1の実施の形態には制約されない。
【0042】
例えば、首肩部マッサージモードとして、図4(A)の状態から図4(C)の状態を経て図4(B)の状態に至り、次いで、この逆の順序で図4(A)の状態に戻る一連の姿勢変更を1回以上繰り返し行なう第4の首肩部マッサージモードを採用してもよい。
【0044】
又、本発明は、施療対象が首肩部のみに限られるものではなく、人体のいかなる部位が施療対象であってもよく、それに適する向きに押圧式マッサージ手段を配置する等して実施できる。
【0045】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0046】
請求項1、2に記載の発明によれば、使用者の被施療部を指圧的にマッサージする押圧マッサージ子を伴ってシーソー運動可能な姿勢変更板の姿勢を一対の姿勢制御袋の膨張・収縮により変更可能であるので、姿勢変更板の姿勢を制御することによって押圧マッサージ子の被施療部に対する当り具合を変えて、指圧的マッサージの態様を使用者の好みに応じて変えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る椅子式エアーマッサージ機全体の構成を示す斜視図。
【図2】図1に示された椅子式エアーマッサージ機が有する背凭れの一部を切欠いて首肩部マッサージ機構の構成を示す正面図。
【図3】図2に示された首肩部マッサージ機構の構成を示す斜視図。
【図4】(A)は図2に示された首肩部マッサージ機構をその姿勢変更板が前傾姿勢となった状態で示す断面図。
(B)は図2に示された首肩部マッサージ機構をその姿勢変更板が後傾姿勢となった状態で示す断面図。
(C)は図2に示された首肩部マッサージ機構をその姿勢変更板が中立姿勢となった状態で示す断面図。
【図5】図1に示された椅子式エアーマッサージ機の制御系統を示すブロック図。
【符号の説明】
1…椅子本体(マッサージ機本体)、3…エアー給排気装置、12…首肩部マッサージ機構(押圧式マッサージ手段)、21…ベース、22…姿勢変更板、22b…姿勢変更板の上側部位(第1部位)、22c…姿勢変更板の下側部位(第2部位)、23…作動板、23a…作動板の軸部、24…第1押圧マッサージ子、25…第2押圧マッサージ子、26…上部姿勢制御袋、27…下部姿勢制御袋、28…首肩部用施療袋、30…押え板、30a…押え板の軸押え縁部、A…回転中心線、B…第1押圧マッサージ子の配設ピッチ、C…第2押圧マッサージ子の配設ピッチ。

Claims (2)

  1. エアー給排気装置の動作により圧縮空気が給排気される施療袋の膨張・収縮に伴い動かされる押圧マッサージ子を介して使用者の被施療部をマッサージする押圧式マッサージ手段を、マッサージ機本体に組込んだエアーマッサージ機において、
    前記押圧式マッサージ手段が、
    ベースと、
    このベースの前側に前記ベースから離間してシーソー運動可能に配置された姿勢変更板と、
    この姿勢変更板の回転中心線を跨ぐ大きさを有して、その一端部が前記姿勢変更板の長手方向中央部前面に回動可能に取付けられた一対の作動板と、
    前記姿勢変更板の回転中心線の両側に位置して一対の前記作動板の前面に夫々設けられた前記押圧マッサージ子と、
    一対の前記作動板と前記姿勢変更板との間に配置されて圧縮空気の給排気により同期して膨張・収縮して一対の前記作動板を回動させる前記施療袋と、
    前記回転中心線の両側に別れて前記ベースと前記姿勢変更板との間に配置されて圧縮空気の給排気により膨張・収縮する一対の姿勢制御袋と、
    を具備してなることを特徴とするエアーマッサージ機。
  2. 2個の第1押圧マッサージ子を前記回転中心線の片側に位置された前記姿勢変更板の第1部位に対応して設けるとともに、2個の第2押圧マッサージ子を前記回転中心線の他方の片側に位置された前記姿勢変更板の第2部位に対応して設け、前記第1押圧マッサージ子の配設ピッチと前記第2押圧マッサージ子の配設ピッチとを異ならせたことを特徴とする請求項1に記載のエアーマッサージ機。
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