JP3813277B2 - 密閉化処理方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、溶剤を用いての、部品の機械加工油、鑞付けのフラックス、熱処理時の処理油、衣類のクリーニング等の洗浄処理や、溶剤にコーテイング剤を溶解して行うコーテイング処理や、溶剤を用いて廃プラスチックの溶解処理等の際に生じる溶剤損失を少なくする技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、精密部品を洗浄操作する際には溶剤としては主に、塩素化フッ素化炭化水素や、塩素化炭化水素が用いられてきたが、地球のオゾン層破壊、その他自然環境破壊、労働環境問題からその使用制限が計られると共に、損失の減少、即ち密閉化が求められている。又、他の溶剤への転換として、炭化水素等の可燃溶剤も用いられているが、防爆や空気置換用の窒素ガス等のイナートガス使用量減少の為にも密閉化が求められている。
【0003】
一方、従来、溶剤を用いた処理方法としては被処理物の出し入れの為、開放状態の開口部を持った開放的処理装置が一般的である。被処理物を処理装置に出し入れするに際し、溶剤ガスの拡散等による漏れや被処理物との同伴による溶剤の損失を避けることは困難であるとされてきた。又処理設備内に空気や空気中の水分が入り込む事で、溶剤が溶解した排水が発生したり、設備内で水の凍結や、設備腐食、溶剤の劣化等を起こす等、開放的設備に起因する問題が発生している為、水分除去装置や、多量の窒素導入が避けられない。
【0004】
装置を密閉化する方策としては、処理装置全体を覆い、拡散してくる溶剤ガスを集め、回収装置にて回収する方法が提案されている。しかしながら、溶剤のほとんどを回収するためには多量の空気を同伴する事となり、回収溶剤濃度が希薄で、たかだか0.1パーセント程度にしかならない。このため、液化して再び液溶剤として用いるためには、複雑な操作と高い費用を必要とするのが普通である。
【0005】
又、回収ガスの取扱い量も多く、大きな回収設備を要し、設備コストも高く、必要床面積も大きい。又回収される溶剤の回収率や品質にも問題がある。又、処理槽に被処理物を設置後密閉化し処理操作を行った後、処理槽内溶剤ガスを減圧装置にて回収装置に送って溶剤を回収後、処理槽の被処理物挿入用口を開け被処理物を取り出す方法が提案されている。しかしながら、この場合も溶剤回収装置がなければ大量の溶剤損失を生ずる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
溶剤回収装置が無くとも自然環境、労働環境が守れ、また、可燃溶剤を用いる際にも空気置換用のイナートガス使用量が僅少で、防爆上安全な密閉化処理方法を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は前述の問題点を解決する為になされたものであり、処理槽、処理支援設備、減圧装置及びガスホルダーを主要構成設備とし、それぞれが密閉状態を形成しながら連結された処理装置を用いて、処理槽を他の設備から絶縁後、処理槽の被処理物挿入用口を開け被処理物を処理槽内に設置し、処理槽の被処理物挿入用口を閉め密閉化後、処理槽内ガスを減圧装置にて系外へ排除し、被処理物の処理に必要な液溶剤やガス溶剤等を処理支援設備から処理槽に給排出し、被処理物の処理操作を行い、次いで処理槽を他の設備から絶縁後、処理槽内ガスを減圧装置にて処理支援設備系内に回収し、処理槽内に系外ガスを導入した後被処理物挿入用口を開け、被処理物を取り出す密閉化処理方法であって、ガスホルダーを処理槽及び処理支援設備に連結して、処理支援設備及び/または、処理槽のガス容積変化に応じて、ガスホルダーの容積を変化させる密閉化処理方法を提供するものである。
【0008】
以下に、本発明を具体的な実施態様に従って説明する。これはあくまでも実施態様例であり他の具体的方法も採用可能である。説明は機能に関して説明するものであり、その都度のラインの開閉に付いては説明を省略する場合もある。
【0009】
図1は密閉系内の主要構成設備とその主要関連を示す。
処理槽2は被処理物を出し入れし、密閉するための被処理物挿入用口を持っている。処理槽に被処理物の出し入れの為に被処理物挿入用口を開けている間、及び処理槽が減圧装置にて減圧操作を行っている間以外は処理槽2、処理支援設備1、及び系内ガス容量変化吸収用のガスホルダー4はライン13ー2によって連結され、各設備は均圧化されている。
【0010】
基本的にはバルブ15ー9は閉じられており系内ガスが排出される箇所はない。ガスホルダーは処理支援設備系内に連絡し、ガス量変化を系内圧力に大きな変化無しに吸収出来る機能を持つような、例えば、浮上式ガスホルダーや伸縮可能なバッグである。
【0011】
ガスホルダー内圧力は周知の方法により任意に設計出来、系内ガスの系外漏れ出しを嫌う場合はマイナス圧力に、空気の系内漏れ込みを嫌う場合はプラス圧力に設計する。以上により処理設備には系外からの空気の流入や系内ガスの流出がないようになされる。
【0012】
処理支援設備1は、処理槽に処理液を送り出したり、循環したり、液を抜き取ったり、貯蔵したり、或いは、蒸気処理用の溶剤蒸気を発生したり、送り込んだり、凝縮した溶剤液を回収したり等、被処理物の処理に必要な手段を処理槽に提供できるように設けられた設備集団である。次にそれぞれの工程順に説明する。
【0013】
第1の工程はバルブ15ー1、15ー2、15ー3、15ー4、15ー6を閉め、処理槽2を他の設備から絶縁後、被処理物挿入用口を開け、被処理物を処理槽2内に設置し、被処理物挿入用口を閉め密閉化する。
第2の工程はバルブ15ー8は閉の状態でバルブ15ー1、減圧装置5、バルブ15ー7を経て処理槽内のガスを系外に排出する。但し真空度が充分でない場合には真空度に応じた空気が残留する事になり、結果として処理設備系内に空気が流入する事になる。
【0014】
その量は非常に少なく通常は問題とならないが、可燃性溶剤を用いる場合には処理設備系内への蓄積となる事からパージを行う事が望ましい。パージの方法としては、最初の処理槽内ガスを減圧排出後、イナートガスをバルブ15ー6から減圧を維持できる流入速度で導入する方法が使用イナートガス量当たりの置換率を高く出来ることから望ましい。終了後バルブ15ー6、1を閉め、減圧装置を止める。
【0015】
第3の工程は処理槽2へ処理設備系ガス、具体的にはガスホルダー4に保留してあったガスを、バルブ15ー2を開け処理槽2に戻し、処理槽内圧力を系内圧力と均圧にする。勿論、他のルート、例えばライン13ー2から処理支援設備1を経てバルブ15ー3からでも本発明の実施の上で差し支えない。処理槽2へガスホルダー4のガスを戻す本工程は、例えば、次の操作が処理液を処理槽2へ導入する操作であるような場合には本工程を省略し、処理槽内の減圧を利用して処理液槽から処理液を吸入する事が設備上便利である。この場合、処理液槽には均圧ラインを通じてガスホルダーのガスが導入される。
【0016】
第4の工程は処理工程であり、バルブ15ー2は開けた状態にて処理槽2と処理支援設備1との連絡バルブ15ー3、15ー4、ライン13ー3、13ー4を経て被処理物処理に必要な液やガス溶剤等を送り込んだり排出したりして、被処理物を処理する工程である。例えば、処理支援設備1からライン13ー3、バルブ15ー3にて被処理物が処理用溶剤液にて浸漬するまで前記液を処理槽2に送り込み、処理槽2の例えば超音波発生器にて処理する。
【0017】
次に処理槽内の処理液をバルブ15ー4、ライン13ー4を経て処理支援設備1に抜き出す。次いで蒸気処理用の溶剤蒸気をライン13ー3、バルブ15ー3を経て処理槽2に送り込み、蒸気処理を行い、処理槽内の凝縮溶剤液及び非凝縮ガスは15ー4を経て処理支援設備1に戻す。
【0018】
その他必要な処理操作、例えば熱風を循環して被洗浄物を乾燥したり、或いは温度を上げたり、等をバルブ15ー3、15ー4及びライン13ー3、13ー4を通じて行う。処理操作の間、処理槽内や処理液槽、溶剤蒸気発生器等、系内設備の温度変化とそれに伴う溶剤の分圧変化が起こり、系内に保有するガス量に変化が生じる。この間に発生する系全体の保有ガス量の増減は、均圧管13ー2によってガスホルダー4の容量変化にて吸収しその都度、系外に排出したり系外から空気を取り入れたりしなくてよい。
【0019】
第5の工程は、処理完了後、処理槽内ガスをガスホルダー4に預けると共に、ガス排出後の処理槽内ガス濃度を低下させる工程である。ガス濃度を低下させることは、被処理物取り出しの際に同伴する溶剤ガスによる環境汚染、溶剤損失を防止するためと、可燃性溶剤を用いる場合に、引火点より低い溶剤濃度にしておくため、さらには、第2工程での排出溶剤量を低減させるためのものである。バルブ15ー2、15ー3、15ー4、15ー6、15ー7を閉めた状態として処理槽2を他の設備から絶縁後、処理槽内ガスをバルブ15ー1、減圧装置5、バルブ15ー8を経てガスホルダー4に保留する。
【0020】
この際、減圧装置5からのガスをコンデンサー6にて冷却し、非凝縮ガスをガスホルダー4に保留する事が望ましい。図示されてはいないが例えば、減圧装置5から処理支援設備1を経てガスホルダー4に通ずるようなルートを設ける事も出来る。凝縮液化した液はライン13ー5にて処理支援設備1に戻す。
【0021】
第6の工程は処理槽2にバルブ15ー6を通じてガスを導入し、大気圧とする。第7の工程は被処理物挿入用口を開け被処理物を取りだす。
以上で全工程を完了する。系全体は密閉化されており、又、操作の開始時点と終了時点に於いて、即ち、被処理物の設置と取り出しの時点に於いて系内保有ガス量の変化は無く、更に、この操作期間に温度等による系全体の保有ガス量の増減は、ガスホルダーによって吸収し、その都度、系外に出したり系外から空気を取り入れたりしないことで本発明の密閉処理システムが形成される。系内外の間に於いてガスの流通がない事から、装置系内に空気同伴の水分や勿論酸素の流入も無い。
【0022】
以上説明したシステムに於いて、被処理物を取り出す第7工程に於ける処理槽内の溶剤濃度、さらには第2工程での処理槽からの系外排出ガス中の溶剤濃度は、第5の工程後の処理槽内のガス濃度と、処理槽内の達成減圧度による。達成減圧度が高いほど溶剤濃度は低くなり望ましい。例えば、第5工程に入る前の処理槽内の濃度が100%であり、減圧到達度が30トールであった場合は、第6工程終了後の処理槽内の濃度は約4%となる。
【0023】
又、同様28%であれば約1.1%となる。第5工程後の処理槽内の溶剤ガス濃度を下げる方法として減圧操作に入る前に、例えば、バルブ15ー1、減圧装置5、バルブ15ー8、コンデンサー6、ガスホルダー4、ライン13ー2、処理槽2の循環を行う方法が有効である。勿論、上記ガス循環に於いて図示されていないがガスホルダー4をバイパスするラインを設け、コンデンサー6からライン13ー2に循環する事も差し支えない。
【0024】
第5工程後の処理槽内の溶剤ガス濃度を下げる他の方法として、処理槽内ガスを減圧装置にて排出後、減圧を維持した状態にてガスホルダー4のガスを例えばライン13ー2、バルブ15ー2から導入し、置換する方法も有効である。
【0025】
この場合、第4工程の終了時濃度が100%であっても、28%であってもその濃度に関係なく、処理槽内の液溶剤が蒸発後、処理槽内の濃度はコンデンサー出口のガス温度の平衡濃度まで低下させる事が出来る。例えば、溶剤がトリクロールエチレンであり、コンデンサーの温度を摂氏3度とした場合、その濃度は約3.2%となり、第6工程での減圧度が同様30トールとした場合第2工程での排出ガス濃度は約0.13%となる。更に、減圧到達度が1トールまでになれば、その濃度は40ppmとすることができる。
【0026】
以上の操作に於いて、第2の工程でのパージガス溶剤濃度が不足の場合は、第5補工程として、系外からのイナートガスでパージする。ここで供給するイナートガスの供給量はそのまま処理設備系からの系外排出ガスとなる。このことからパージ用イナートガスの使用量は、できるだけ少ない量で処理槽内の溶剤濃度を低下させる事が望ましい。
【0027】
その方法として第5工程が終了し、処理槽内が減圧状態となった後、処理槽2に処理槽内の圧力が、減圧装置の能力から許容できる、出来るだけ高い減圧状態を維持しながら、処理槽2へイナートガスを供給し処理槽内の濃度を下げることで僅少なイナートガス量で効果適にパージすることができる。
【0028】
特開昭59ー132919では、処理槽内溶剤濃度を下げる方法として、減圧装置にて処理槽内ガスを吸引排除した後、空気を導入して常圧に戻す操作を繰り返す事によって、満足する濃度まで下げる事が提案されている。しかしながら同提案では、供給イナートガス量に対する濃度低減率は、例えば、減圧達成度が30トールの場合、一回の繰り返しによる終了後の濃度は初期濃度に対して約4%にしか下がらない。この場合イナートガスの供給量は処理槽容積の0.96倍である。
【0029】
本発明の方法で上記方法と同様条件、即ち、到達真空度30トール、使用イナートガス量が処理槽2の容積の0.96倍量を用いてパージした場合と比較すると、処理槽内の圧力を30トールに維持しながら処理槽容積の0.96倍の常圧イナートガスを処理槽2に導入した場合、イナートガスは処理槽内にて約25倍に膨張し、その結果、処理槽容積の約24倍のガス量で無限希釈される事になり、終了後の濃度は、初期濃度に対し、1.4×10ー9%となる。以上から本発明の効果は絶大であると言える。
【0030】
以上処理操作の間に、系内への空気の漏れ込みがあった場合はガスホルダー4の保有ガス量の増加となり、バルブ15ー9より系外放出をせざるを得なくなる事から、装置の密閉化には特に留意を要する。この場合、系外に排出される溶剤量が許容できる範囲である場合はそのまま排出するが、許容できない場合は、圧縮冷却するとか、吸着剤を用いて吸着再生回収する等の一般的方法により回収するが、本発明を用いると通常処理必要量は僅少であり、非常に有利である。
【0031】
次に本発明において複数個の処理槽(2個の処理槽2、2’)を持つ処理装置の場合について説明する。図2において、片方の処理槽2の処理工程が前記第3の工程であるガスホルダーガスを処理槽に戻すタイミングにあり、他方の処理槽2’が前記第5工程である処理槽内のガスを排出するタイミングにある場合、図1で説明のようにガスホルダー4を経ることなしに片方の処理槽2から他方の処理槽2’に直接に、減圧装置を用いガスを移動させれば、ガスホルダー4が不要となるか、小さくする事が可能である。
【0032】
今、片方の処理槽2の処理工程が前記第3の工程であるガスホルダーから処理槽にガスを戻すタイミングにあり、他方の処理槽2’が前記第5工程である処理槽内のガスを排出するタイミングにあるように操作手順が設定されている場合に於いて、片方の処理槽2’からバルブ15ー1’、減圧装置5、バルブ15ー8、コンデンサー6、ライン13ー6、バルブ15ー5を通じてガスを移動させる事によって両処理槽の処理工程を実施することができる。又、この逆に処理槽2から処理槽2’へガスを移動させる事もできる。
【0033】
その他、処理槽、ガスホルダー、処理支援設備の機能や使用方法、系内圧の調節、処理槽内のガスの濃度低下手段、余剰ガスの処理等は図1の説明と同じである。
【0034】
図3は処理槽2、破線で囲んだ処理支援設備1、ガスホルダー4にて構成された洗浄装置のフローチャートを示す図である。
溶剤容器7、溶剤蒸気発生器9、コンデンサー6、ガスホルダー4は通常バルブ15ー2、10、均圧ライン13ー2によってガスホルダー圧に均圧されている。溶剤蒸気発生器9の内部温度は、溶剤蒸気分圧が大気圧以下でありほぼ大気圧になるようヒーター9ー1で加熱調節され、又、溶剤7ー1の温度は溶剤蒸気発生器9の温度よりも低い温度になるよう温度調節器7ー2で調節しておく。
【0035】
処理槽液排出用バルブ15ー4の位置は、溶剤容器7の溶剤液面レベルよりも高い位置となるように設置することが便利であり本例ではそのように設定しているが、処理槽2の液を処理液槽に排出する際に、図に示されていないが移送装置を用いて移送する事で代える事が出来る。バルブ15ー1、15ー2、15ー3ー1、15ー3ー2、15ー4、15ー6を閉としておく。このような状態にて被処理物挿入用口2ー1を開き、処理槽2に被処理物11を設置し、次いで被処理物挿入用口2ー1を閉めて密閉状態とする。
【0036】
次いで処理槽内空気をバルブ15ー1、減圧装置5、15ー7を経て系外に排出する。次にバルブ15ー1、15ー7を閉め、減圧装置を止め、バルブ15ー2を開けてガスホルダー4から均圧ライン13ー2、逆止弁15ー12、バルブ15ー2を経て処理槽内に系内ガスを導入し系内圧と均圧にする。ここでは、処理槽内圧力をガスホルダー圧に均圧する例を挙げたが、例えば、次の工程が、処理槽に処理液を導入するような場合のように減圧のままで次の工程に移る方が便利な場合には均圧しないで次の工程に移る。
【0037】
処理槽を均圧にした場合には、次いでポンプ8によりバルブ15ー3、15ー2、を経て溶剤を処理槽2に導入し液溶剤による処理、及び被処理物の冷却操作を同時に行う。処理槽内のガスはノズル15ー2、ライン13ー2を経て溶剤容器7のガス相部に押し出される。処理槽を減圧のままで本工程に移った場合には、ポンプ8を用いないで、バルブ15ー3ー2を開ける事によって処理液槽7の処理液7ー1を処理槽2に吸い上げる事が出来る。この場合、処理槽2にはガスホルダーのガスがライン13ー2、逆止弁15ー12、を通って導入される。処理液での処理効果を高めるために必要に応じて回転翼や振動子や振動板を用いて撹拌を行う。
【0038】
液による処理が完了後、バルブ15ー3ー2、を閉め、ポンプを用いた場合にはポンプ8を止め、バルブ15ー4を開け溶剤容器7に流下回収する。処理槽にはライン13ー2を経て溶剤容器からガスが流入し均圧状態が維持される。
【0039】
液排出後、バルブ15ー10を閉め、15ー3ー1を開け、送風器10によってガスホルダー4のガスを溶剤蒸気発生器9の液中にキャリアガスとして送入し、溶剤蒸気発生器温度相当の溶剤蒸気濃度まで溶剤が蒸発し吹き込みキャリアガスと同伴してバルブ15ー3ー1を経て処理槽に導入する。
【0040】
処理槽2では溶剤蒸気よりも低い温度の被処理物の表面に溶剤を凝縮させ、その凝縮溶剤液によって非処理物表面に付着している溶解物や、溶剤に対して不溶性の微小粒子を含んだ溶剤を洗い流し、バルブ15ー4を経て溶剤容器7に回収する。溶剤蒸気発生器9にて蒸発した溶剤に相当する溶剤は、溶剤容器7から自動的に補給されるように設計する。被処理物の温度が上昇し、表面に凝縮が起こらなくなる頃に、送風器10を止め、バルブ15ー3ー1を閉め、バルブ15ー10を開け、蒸気処理工程を終了する。
【0041】
次いでバルブ15ー2、15ー4を閉め処理槽2を他の設備から絶縁し、減圧装置5を用いて処理槽内溶剤ガスをバルブ15ー1、15ー8を経てコンデンサー6に導き、凝縮液化した溶剤は溶剤容器7に、非凝縮ガスはガスホルダー4に保留する。
【0042】
次いでバルブ15ー1を閉め、減圧装置を止め、15ー6を開け、処理槽内を大気圧とした後に処理槽被処理物挿入用口2ー1を開け処理の完了した被処理物を取り出し終了する。
その他、処理槽、ガスホルダー、処理支援設備の機能や使用方法、系内圧の調節、処理槽内のガスの濃度低下手段、余剰ガスの処理等は図1の説明と同じである。
【0043】
図4は、廃プラスチック屑を溶剤により溶解し、溶解した液から溶剤を蒸発回収すると共に、プラスチックを再生する操作において、多様な形状の上に嵩高い廃プラスチック屑を溶解する工程で溶剤の損失を僅少にする目的から本発明を用いた実施例である。
【0044】
図4に従って以下に説明する。本例での廃プラスチックは発泡スチロールであり、処理液はジクロロメチレンである。廃プラスチック屑容器12は、廃プラスチックを粉砕したものの貯槽である。処理槽2は廃プラスチックの粉砕品を廃プラスチック屑容器12から受け入れる為のスクリュウコンベアー13ー7及び受け入れ後処理槽を密閉するためのボールバルブ15ー4にて連結されている。
【0045】
バルブ15ー1、15ー2、15ー3、15ー4、を閉め、廃プラスチック容器12のプラスチック粉砕品をスクリュウコンベアー13ー7、ボールバルブ15ー3にて処理槽に圧縮装入する。
【0046】
次いでバルブ15ー6、15ー13を閉め、処理槽内空気をバルブ15ー1、減圧装置5、バルブ15ー7にて系外に排出する。
【0047】
次いでバルブ15ー1を閉め、バルブ15ー3を開け、処理液槽から処理液を吸引する。処理槽にはガスホルダーからガスが供給され、系内の均圧が維持される。処理液を吸引後バルブ15ー3を閉める。
【0048】
プラスチック屑が溶解した後バルブ15ー2、15ー4を開け、同液を処理液槽7に戻す。処理液槽内液のプラスチック濃度は約30重量%になるよう同液をプラスチック回収器14に移し、処理剤をガス化してプラスチックの再生品を得ると共にガス化した処理剤をライン13ー8を経てコンデンサー6にて液化し処理液槽7に戻す。
【0049】
次いで、バルブ15ー2、15ー4、15ー7を閉め、バルブ15ー1、15ー8を開け、減圧装置を起動し、処理槽内処理剤をコンデンサー6、ガスホルダー4に流す。コンデンサー6では摂氏約3度迄冷却され、処理ガスの一部は凝縮液化され、ライン13ー5を通して処理液槽7に回収される。凝縮しなかったガスはガスホルダー4に戻される。
【0050】
処理槽の処理剤が排出された後バルブ15ー6を開け、空気を導入後大気圧とし、一回の操作を終了する。
【0051】
【発明の効果】
本発明の処理方法を用いると、溶剤損失が僅少となり、自然環境、労働環境の改善に寄与し、また、溶剤処理装置内に被処理物に同伴して、空気やそれに伴う水分が入らないために、溶剤が溶解した排水が発生したり、設備内での水の凍結や、設備腐食、溶剤の劣化等を起すことがない。また、可燃溶剤を用いる際にも空気置換用のイナートガス使用量が僅少で防爆上安全な密閉化処理設備となる。また、系外排ガスを無くするか、少なく出来る等の利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施態様を説明する説明図。
【図2】 本発明の別の実施態様を説明する説明図。
【図3】 本発明の又別の実施態様を説明する説明図。
【図4】 本発明の又別の実施態様を説明する説明図。
【 符号の説明】
符号は全図に共通した番号である
1 は処理支援設備。
2、2’ は処理槽。
2ー1 は処理槽の被処理物装入用口
4 はガスホルダー。
5 は減圧装置。
6 はコンデンサー。
7 は処理液槽。
7ー1 は処理液槽の溶剤
7ー2 は処理液槽の温度調節器
8 は処理液ポンプ。
9 は溶剤蒸気発生器。
9ー1 は溶剤蒸気発生器の加熱器
10 は送風器。
11 は被処理物。
12 は廃プラスチック屑容器
13ー1〜13ー8は主要構成設備間の関連を示すライン。
14 はプラスチック回収器
15ー1〜15ー13はバルブ、逆止弁。
Claims (7)
- 処理槽、処理支援設備、減圧装置及びガスホルダーを主要構成設備とし、それぞれが密閉状態を形成しながら連結された処理装置を用いて、処理槽を他の設備から絶縁後、処理槽の被処理物挿入用口を開け被処理物を処理槽内に設置し、処理槽の被処理物挿入用口を閉め密閉化後、処理槽内ガスを減圧装置にて系外へ排除し、被処理物の処理に必要な液溶剤やガス溶剤等を処理支援設備から処理槽に給排出し、被処理物の処理操作を行い、次いで処理槽を他の設備から絶縁後、処理槽内ガスを減圧装置にて処理支援設備系内に回収し、処理槽内に系外ガスを導入した後被処理物挿入用口を開け、被処理物を取り出す密閉化処理方法であって、ガスホルダーを処理槽及び処理支援設備に連結して、処理支援設備及び/または、処理槽のガス容積変化に応じて、ガスホルダーの容積を変化させる密閉化処理方法。
- 処理槽が2個であり、一つの処理槽が、被処理物取り出し前の処理槽内ガスを排出し回収する工程にあり、他の処理槽が、被処理物を設置し、ガス排出後、処理槽内部に系内ガスを受け入れる工程にあるように調節し、両方の処理槽を減圧装置を介して連結して前記一つの処理槽内ガスを他の処理槽に移動させる請求項1記載の密閉化処理方法。
- ガスホルダーが、これに導入保留するガスを、予めコンデンサーにて冷却処理した後、ガスホルダーに保留する請求項1記載の密閉化処理方法。
- 被処理物を処理槽から取り出す際に於いて、処理槽内ガスを減圧装置にて移送操作を行う前に、処理槽内ガスを、コンデンサーの間でガス循環を行い、処理槽内溶剤ガス濃度を下げる請求項1記載の密閉化処理方法。
- 被処理物を処理槽から取り出す際に於いて、処理槽内ガスを減圧装置にて吸引して取り出した後に、処理槽内ガスの圧力を減圧に維持した状態にてガスホルダーガスを供給し、処理槽内溶剤ガス濃度を下げる請求項1記載の密閉化処理方法。
- 被処理物を処理槽から取り出す際に於いて、処理槽内ガスを減圧装置にて吸引して取り出した後、処理槽内の圧力を減圧に維持した状態にてイナートガスを供給し、処理槽内溶剤ガス濃度を下げる請求項1記載の密閉化処理方法。
- 処理槽内に被処理物を設置後、処理槽内ガスを減圧装置にて系外に排出した後に、処理槽内ガスの圧力を減圧に維持した状態にてイナートガスを供給し、処理槽内に残存する空気や水分をパージする請求項1記載の密閉化処理方法。
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JP33159496A Expired - Lifetime JP3813277B2 (ja) | 1996-02-05 | 1996-11-27 | 密閉化処理方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP3813277B2 (ja) |
-
1996
- 1996-11-27 JP JP33159496A patent/JP3813277B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
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JPH10118587A (ja) | 1998-05-12 |
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