JP3848420B2 - 密閉化処理装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、溶剤を用いて精密加工部品の加工油や加工屑等を処理する洗浄操作や、溶剤にコーテイング剤を溶解して行うコーテイング操作等の際に発生する溶剤損失を少なくする溶剤密閉化処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来溶剤としては主に、塩素化フッ素化炭化水素や、塩素化炭化水素が用いられてきたが、地球のオゾン層破壊、その他自然環境破壊、労働環境問題からその使用制限が計られており、損失の減少、即ち密閉化が求められている。
又、他の溶剤への転換として、炭化水素等の可燃溶剤も用いられているが、防爆や空気置換用の窒素ガス等のイナートガス使用量減少の為にも密閉化が求められている。
【0003】
一方、従来、溶剤を用いた処理装置としては被処理物の出し入れの為、開放状態の開口部を持った開放的処理装置が一般的である。被処理物を処理装置に出し入れするに際し、溶剤ガスの拡散等による漏れや被処理物との同伴による溶剤の損失を避けることは困難である。又処理設備内に空気や空気中の水分が入り込む事で、溶剤が溶解した排水が発生したり、設備内で水の凍結や、設備腐食、溶剤の劣化等を起こす等、開放的設備に起因する問題が発生している為、水分除去装置や、多量の窒素導入を必要としている。
【0004】
装置を密閉化する方策としては、処理装置全体を覆い、拡散してくる溶剤ガスを集め、回収装置にて回収する方法が提案されている。しかしながら、溶剤のほとんどを回収するためには多量の空気を同伴する事となり、回収溶剤濃度が希薄で、たかだか0.1パーセント程度にしかならない。このため、液化して再び液溶剤として用いるようにするためには、複雑な操作と高い費用を必要とするのが普通である。又、回収ガスの取扱い量も多く、大きな回収設備を要し、設備コストも高く、必要床面積も大きい。又回収される溶剤の回収率や品質にも問題がある。
【0005】
一方、処理器に被処理物を設置後密閉化し処理操作を行った後、処理器内溶剤ガスを真空ポンプにて減圧吸引し、回収装置に送って溶剤を回収後、処理器の蓋を開け被処理物を取り出す方法が提案されている。しかしながら、この場合も溶剤回収装置が無ければ大量の溶剤損失を生ずる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は溶剤回収装置が無くとも自然環境、労働環境が守れ、また、可燃溶剤を用いる際にも空気置換用のイナートガス使用量が僅少で、防爆上安全な密閉化処理装置を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
被処理物出入器、処理設備、真空ポンプ、ガスホルダーを主要構成設備とし、それぞれが密閉状態を形成しながら連結され、又、被処理物出入器と処理設備とは被処理物が通過できる開口部とその開口部を気密的に遮断できるシャッターとによって接続された処理設備において、前記シャッターを閉じた状態にて被処理物出入器の蓋を開け、被処理物を設置し、被処理物出入器の蓋を閉め密閉化後、被処理物出入器内のガスを真空ポンプにて系外へ排除し、次いでガスホルダー内に保留していたガスを被処理物出入器に導入し、被処理物出入器内と処理設備内とを均圧にし、次に被処理物出入器と処理設備との間の前記シャッターを開け、被処理物出入器から処理設備に被処理物を移動し、処理設備にて処理操作を行い、該処理設備に於いて処理完了後、被処理物を被処理物出入器に移動し、次いで前記シャッターを閉め、被処理物出入器と処理設備とを絶縁後、被処理物出入器内のガスを真空ポンプにてガスホルダー内に移動して保留し、次いで被処理物出入器内にガスを導入した後蓋を開け被処理物を取り出す事を特徴とする密閉化処理装置を基本とするものである。
【0008】
【作用と実施例】
以下に、本発明を図面に従って具体的に説明する。これはあくまでも実施態様例であり他の具体的方法も採用可能である。説明は機能に関して説明するものであり、その都度のラインの開閉に付いては説明を省略する場合もある。
【0009】
図1は密閉系内の主要構成設備とその主要関連を示す。
被処理物出入器3は、被処理物出し入れ口と、その出し入れ口を気密化できる蓋を持っている。更に、被処理物出入器3と処理設備1との間には被処理物が通過できる開口部とその開口部を気密的に遮断できるシャッター12とによって接続されている。シャッター12を開けた状態にても外部に対しては気密性が保持され、かつ、被処理物出入器3と処理設備1との間に、被処理物を移動させる機能を持ち、移動後、シャッター12を閉止することによって被処理物出入器3と処理設備1との間の気密が保持されるようになされている。
【0010】
被処理物出入器3から処理設備1および、処理設備1から被処理物出入器3への被処理物の移動手段は通常の機械的搬送手段が用いられ、特に指定はない。ガスホルダー4は処理設備系内に連絡し、圧力に大きな変化なしに、ガスホルダー4自身のガス保有量が変化できるものであって、例えば、浮遊式や蛇腹式のガスホルダーが望ましい。ガスホルダー4内の圧力は任意に設計出来、系内ガスの系外漏れ出しを重視する場合はプラス圧力に、空気の系内漏れ込みを重視する場合はマイナス圧力を設定する。
【0011】
被処理物出入器3に被処理物の出し入れの為に蓋を開けている間、及び被処理物出入器3が真空ポンプ5にて減圧操作を行っている間以外の被処理物出入器3、ガスホルダー4、処理設備1はライン13ー2によって連結され、各設備は均圧化されている。基本的にはバルブ15ー9は閉じられており、処理設備内での温度や圧力変化によるガス保有量変化はライン13ー2にてガスホルダー4の容量変化で吸収し、系外からの空気の流入や系内ガスの流出がないようになされる。
【0012】
処理設備1は、被処理物出入器3からの被処理物を処理液、処理蒸気、乾燥用熱風、等で処理を行う設備で全体が気密化されており、気密化された処理設備内におい被処理物の処理に必要な処理機能を備えた設備であり、例えば、従来の多槽式の洗浄設備であって全体が気密化された設備や、気密化されたドライクリーニング機械等のようなものが挙げられる。
第1の工程はバルブ15ー1、15ー2、15ー6、及びシャッター12を閉め、被処理物出入器3を他の設備から絶縁後、蓋を開け、被処理物を被処理物出入器3内に設置し、蓋を閉め密閉化する。
【0013】
第2の工程はバルブ15ー8を閉の状態でバルブ15ー1、真空ポンプ5、バルブ15ー7を経て被処理物出入器3内のガスを系外に排出する。但し真空度が充分でない場合には真空度に応じた空気が残留する事になり、結果として処理設備1内に空気が流入する事になる。その量は通常は非常に少なく問題とならないが、可燃性溶剤を用いる場合には処理設備1内への蓄積となる事からパージを行う事が望ましい。
【0014】
パージの方法としては、例えば最初に被処理物出入器3内のガスを減圧排出後、イナートガスをバルブ15ー6から減圧を維持できる流入速度で導入する方法が使用イナートガス量当たりの置換率を高く出来ることから望ましい。終了後バルブ15ー1、15ー6、15ー7を閉め、真空ポンプ5を止める。
【0015】
第3の工程は被処理物出入器3へ処理設備1内のガス、具体的にはガスホルダー4に保留してあったガスを、バルブ15ー2を開け被処理物出入器3に戻し、被処理物出入器3内の圧力を処理設備1内の圧力と均圧にする。勿論、他のルート、例えばライン13ー2から処理設備1を経てシャッター12からでも本発明の実施の上で差し支えない。
【0016】
第4の工程は被処理物を被処理物出入器3から処理設備1に移し、被処理物を処理する工程であり、シャッター12を開け被処理物出入器3内の処理物を処理設備1内に移動させ、処理設備1内にて被処理物を処理する。移動の方法は周知の方法で特に指定はない。処理設備1内はガスホルダー4と連絡されており、ガスホルダー4と同圧のほぼ大気圧に維持されている。処理設備1は例えば、通常の密閉化された3槽式洗浄装置、ドライクリーニング装置、浸漬型のコーテイング装置等である。
【0017】
処理操作の間、被処理物出入器3内や液溶剤槽、蒸気発生器等、系内設備の温度変化とそれに伴う溶剤の分圧変化が起こり、系内に保有するガス量に変化が生じる。この間に発生する系全体の保有ガス量の増減は、均圧管13ー2によってガスホルダー4の容量変化にて吸収しその都度、系外に排出したり系外から空気を取り入れたりしないで済む。
【0018】
第5の工程は、処理完了後、被処理物出入器3内のガスを処理設備1、具体的にはガスホルダー4に預けると共に、ガス排出後の被処理物出入器3内のガス濃度を低下させる工程である。ガス濃度を低下させることは、取り出しの際に同伴する溶剤ガスによる環境汚染、溶剤損失を防止するためと、可燃性溶剤を用いている場合には、引火点以下の溶剤濃度にしておくため、さらには、第2工程での排出溶剤量を低減させるためのものである。
【0019】
バルブ15ー1、15ー2、15ー6、シャッター12を閉めた状態にして被処理物出入器3を他の設備から絶縁後、被処理物出入器3内のガスをバルブ15ー1、真空ポンプ5、バルブ15ー8を経て望ましくはコンデンサー6を経て凝縮液化した液はライン13ー5にて処理設備1に戻し、非凝縮ガスはガスホルダー4に保留する。
【0020】
図示されてはいないが他の目的、例えば、真空ポンプ5から処理設備1を経てガスホルダー4に通ずるようなルートを設けることも本発明実施の上に差し支えない。
【0021】
第6の工程は被処理物出入器3にバルブ15ー6を通じてガスを導入し、大気圧とする。
第7の工程は蓋を開け被処理物を取り出す。
以上で全工程を完了する。本発明による装置は系全体は密閉化されており、以上の操作の開始時点と終了時点に於いて、即ち、被処理物の設置、取り出しの時点に於いて系内保有ガス量の変化は無いことから系外との間に於いて流通が起こらない。更にこの期間に起こる系内での温度変化等による保有ガス量の増減はガスホルダー4によって吸収し、その都度系外に出したり系外から空気を取り入れたりしない事は先に述べた通りである。従って装置系内には空気同伴の水分や勿論酸素の流入も実質的に無い。
【0022】
本発明による装置は、被処理物を取り出す第7工程に於ける被処理物出入器溶剤濃度、さらには第2工程での被処理物出入器からの系外排出ガス中溶剤濃度は、第5の工程後の被処理物出入器内ガス濃度と、被処理物出入器内の達成減圧度による。達成減圧度が高いほど溶剤濃度は低くなり望ましい。例えば、第5工程にはいる前の被処理物出入器濃度が100%であり、減圧到達度が30トールであった場合は、第6工程終了後の被処理物出入器濃度は約4%となる。
【0023】
又、同様28%であれば約1.1%となる。第5工程後の被処理物出入器内の溶剤ガス濃度を下げる方法として減圧操作に入る前に、例えば、バルブ15ー1、真空ポンプ5、バルブ15ー8、コンデンサー6、ガスホルダー4、ライン13ー2、被処理物出入器2の循環を行う方法が有効である。勿論、上記ガス循環は図示されていないがガスホルダー4をバイパスするラインを設け、コンデンサー6から直接ライン13ー2に循環する事は本発明の実施の上で差し支えない。
【0024】
第5工程後の被処理物出入器内の溶剤ガス濃度を下げる他の方法として、例えば被処理物出入器内ガスを真空ポンプにて排出後、減圧を維持した状態にてガスホルダー4のガスをライン13ー2、バルブ15ー2から導入し、置換する方法は有効である。この場合、第4工程の終了時濃度が100%であっても、28%であってもその濃度に関係なく、被処理物出入器内の液溶剤が蒸発後、被処理物出入器内の濃度はコンデンサー6の出口ガス温度の平衡濃度まで低下させる事が出来る。
【0025】
例えば、溶剤がトリクロールエチレンであり、コンデンサー6の温度を摂氏3度とした場合、その濃度は約3.2%となり、第6工程での減圧度が同様30トールとした場合第2工程での排出ガス濃度は約0.13%となる。更に、減圧到達度が1トールまでになれば、その濃度は40ppmとすることができる。
【0026】
以上の操作に於いて、第2の工程でのパージガス溶剤濃度に不満足の場合は、第5の補助工程として、系外からのイナートガスでパージする。ここで供給するイナートガスの供給量はそのまま処理設備系からの系外排出ガスとなる。このことからパージ用イナートガスの使用量は、できるだけ少ない量で被処理物出入器内溶剤濃度を低下させる事が望ましい。
【0027】
その方法として例えば第五工程が終了し、被処理物出入器内が減圧状態となった後、被処理物出入器に被処理物出入器内の圧力が、真空ポンプの能力から許容できる、可能な限り高い減圧状態を維持しながら、被処理物出入器へイナートガスを供給し被処理物出入器内の濃度を下げることで僅少なイナートガス量で効果的にパージすることができる。
【0028】
特開昭59ー132919では、被処理物の取り出し前に、真空ポンプにて被処理物出入器内のガスを吸引排除した後、空気を導入して常圧に戻す操作を繰り返す事によって、満足する濃度まで下げる事を提案している。しかしながら同提案では、供給イナートガス量に対する濃度低減率は、例えば、減圧達成度が30トールの場合、1回の繰り返しによる終了後の濃度は初期濃度に対して約4%にしか下がらない。
【0029】
この場合イナートガスの供給量は被処理物出入器容積の0.96倍である。本発明の方法で上記方法と同様条件、即ち、到達真空度30トール、使用イナートガス量が被処理物出入器の容積の0.96倍量を用いてパージした場合と比較する。、即ち、処理器内の圧力を30トールに維持しながら被処理物出入器容積の0.96倍の常圧イナートガスを被処理物出入器に導入した場合、イナートガスは被処理物出入器内にて約25倍に膨張し、その結果、被処理物出入器容積の約24倍のガス量で無限希釈される事になり、終了後の濃度は、初期濃度に対し、1.4×10ー9%となる。以上から本発明の効果は絶大であると言える。
【0030】
以上処理操作の間において、系内への空気の漏れ込みが有った場合はガスホルダーの保有ガス量の増加となり、バルブ15ー9より系外放出をせざるを得なくなる事から、装置の密閉化には特に留意を要する。この場合、系外に排出される溶剤量が許容できる範囲である場合はそのまま排出するが、許容できない場合は、圧縮冷却するとか、吸着剤を用いて吸着再生回収する等の一般的方法により回収するが通常処理必要量は僅少であり本発明を用いた場合非常に有利である。
【0031】
次に本発明を別の実施態様に付いて説明する。
図2は主要設備と、その関連を示す。説明は機能に関して説明するものであり、その都度のラインやバルブの開閉に付いては説明を省略する場合がある。図において被処理物出入器3は、被処理物出し入れ口と、その出し入れ口を気密化できる蓋3ー1、及び、処理設備1に被処理物11を移動させるための開口部と処理設備1との接続部を気密的に遮断するシャッター12ー1を持っている。
【0032】
処理設備1は、全体が気密化されており、気密化された処理設備内において被処理物の処理に必要な処理機能を備えた設備であり、例えば、従来の多槽式の処理設備であって全体が気密化された設備や、気密化されたドライクリーニング機械、浸漬型コーテイング装置等のようなものが挙げられる。
【0033】
ガスホルダー4は処理設備1と連絡し、ガスホルダー自身のガス保有量が変化し得るものであって、ガス保有量の変化によって保有ガスの圧力があまり変化しない、例えば、浮遊式や蛇腹式のガスホルダーが望ましい。
【0034】
被処理物出入器3と処理設備1とは被処理物11が通過できる開口部とその開口部を気密的に遮断できるシャッター12ー1、12ー2とによって接続されている。シャッター12ー1、12ー2を開けた状態にても外部に対しては気密性が保持され、かつ、被処理物出入器3と処理設備1との間に、被処理物11を移動させる機能を持ち、移動後、シャッター12ー1、12ー2を閉止することによって被処理物出入器3と処理設備1との間の気密が保持されるようになされている。
【0035】
被処理物出入器3から処理設備1、および、処理設備1から被処理物出入器3への被処理物11の移動手段は通常の機械的搬送手段が用いられ、特に指定はない。
処理設備内のガス保有量は、処理操作の過程で各所の温度変化等によって変化するが、連結されたガスホルダー4のガス保有量の変化によって吸収され、外部へのガスの排出や空気の流入がないようになされている。
【0036】
被処理物出入器3が真空処理操作をされている間、及び、被処理物出入器3に被処理物11出し入れ用の蓋を開けている間以外は、被処理物出入器3、処理設備1、及びガスホルダー4は均圧管によって連絡されており、ほぼガスホルダー4内の圧力になっている。
【0037】
シャッター12ー1、バルブ15ー1、15ー2、15ー6、は閉の状態にて被処理物出入器3の蓋3ー1を開け被処理物11を設置する。次いで蓋3ー1を閉じ密閉化後、バルブ15ー1、真空ポンプ5、バルブ15ー7を経て被処理物出入器3内の空気を系外に排出するように操作する。空気排気が実質的に終了後、バルブ15ー1、15ー7を閉め真空ポンプ5を止める。
【0038】
次いでガスホルダー4から逆止弁15ー10、バルブ15ー2を経て処理設備内のガス、具体的にはガスホルダー4のガスを被処理物出入器3に導入し、処理設備1と均圧となるように操作する。次いでシャッター12ー1が開けられ、被処理物11が被処理物移動装置にて処理設備1に、本例の場合は処理設備1の第一槽の1ー1内11ー1に移される。
【0039】
本例の処理設備1は、仕切板によって四つの槽に分割された、通常の四槽式処理設備である。溶剤にはトリクロールエチレンが用いられた。第一槽1ー1は温液溶剤による処理槽であり液溶剤が底部に保有され所定の温度、例えば摂氏50度に温度調節器1ー1ー1によって調節されている。第二槽1ー2は冷液溶剤による処理槽であり、底部に液溶剤が保有され温度調節器1ー2ー1によって例えば摂氏30度に調節されている。
【0040】
第三槽1ー3は溶剤蒸気による処理槽であり、底部に液溶剤が保有され、例えば摂氏80度に保持され、空間部はほぼ同温度の溶剤蒸気によって満たされており、比較的温度の低い被処理物表面に高純度の溶剤液を凝縮させ処理する槽である。
【0041】
第四槽1ー4は乾燥用の槽であり、冷却用のコイル1ー5が設置されており、空間部は低い濃度の溶剤蒸気によって満たされており、比較的温度の高い被処理物付着の液溶剤を蒸発乾燥させる槽である。
【0042】
それぞれの槽の上部及び第四槽1ー4には冷却用のコイルが設置され、各槽から蒸発してきた溶剤ガスは冷却液化され集められ、図示されていないが第二槽1ー2に流入するようになされ、また、第二槽1ー2の液レベルが一定以上になるとオーバーフローし、第一槽1ー1に、更に、第三槽1ー3の液面が一定になるように第一槽1ー1から補充される。第四槽1ー4の液は図では省略されているが被処理物汚染物質が蓄積してくるために連続的に叉は間欠的に取り出し精製し、精製液が第二槽1ー2に戻される。
【0043】
被処理物11は処理設備1内を11ー1、11ー2、11ー3、11ー4と移動し処理操作が完了後、被処理物出入器3内へ移動される。被処理物出入器3に移動完了後、シャッター12ー1、バルブ15ー2が閉められる。次いで、被処理物出入器3内のガスはバルブ15ー1、真空ポンプ5、バルブ15ー8、次いで望ましくはコンデンサー6を経て非凝縮ガスはガスホルダー4へ回収される。コンデンサー6にて凝縮液化した液溶剤は、処理槽第二槽1ー2に回収される。
【0044】
実質的に被処理物出入器3内のガスが排出されたならば、バルブ15ー1、15ー8を閉め、真空ポンプ5を止め、バルブ15ー7から空気を入れ大気圧とした後、被処理物出入器の蓋を開け洗浄完了被処理物11を取り出す。この間の処理設備1内のガス量変化はガスホルダー4にて吸収される。即ち、ガス量が増加した場合は逆止弁15ー11、コンデンサー6を経てガスホルダー4に貯蔵し、逆に減少した場合は、逆止弁15ー10を経てガスホルダー4から処理設備1に戻される。
【0045】
以上で一個の被処理物の処理過程を説明したが、実際には被処理物は連続的に送り込まれ処理し、連続的に取り出し出来るように、真空ポンプ等の共用設備が使用上支障がないよう時間調整される。
被処理物出入器は被処理物を処理設備に入れる場合と出す場合に必要であるが、処理のタイミングや処理設備の構造によって、それぞれ専用に設置してもよい。以下に入り口側被処理物出入器3、出口側被処理物出入器3’を備えた場合(破線で囲ったA部分が追加された処理設備)に付いて説明する。
【0046】
シャッター12ー1、バルブ15ー1、15ー2、15ー6は閉の状態にて入り口側被処理物出入器3の蓋3ー1を開け被処理物11を設置する。次いで蓋3ー1を閉じ密閉化後、バルブ15ー1、真空ポンプ5、バルブ15ー7を経て入り口側被処理物出入器内空気を系外に排出するように操作する。空気排気が実質的に終了後、バルブ15ー1、15ー7を閉め真空ポンプ5を止め、ガスホルダー4から逆止弁15ー10、バルブ15ー2を経てガスホルダー4のガスを入り口側被処理物出入器3に導入し、処理設備と均圧化となるように操作する。
【0047】
次いでシャッター12ー1が開けられ、被処理物11が被処理物移動装置にて処理設備1内11ー1に移される。処理設備1に被処理物11が移動後、シャッター12ー1、バルブ15ー2は閉められる。シャッター閉止後、入り口側被処理物出入器3内のガスはバルブ15ー2、真空ポンプ5、バルブ15ー8、次いで望ましくはコンデンサー6、を経てガスホルダー4へ回収された後、バルブ15ー1を閉め、15ー6より空気を導入し、大気圧とし次の被処理物受け入れに備える。
【0048】
出口側被処理物出入器3’は、被処理物11の受け入れに備えて、予め、同蓋3’ー1、バルブ15ー1、15ー2’、15ー6’、シャッター12ー2を閉止後、内部のガスをバルブ15ー1、真空ポンプ5、バルブ15ー7、を経て排出した後、バルブ15ー1、7を閉め、真空ポンプを停止後、ガスホルダーから逆止弁15ー10、バルブ15ー2’を経てガスホルダー4のガスを導入させ、処理設備と均圧にし、シャッター12ー2を開けておく。
【0049】
処理設備内にて処理操作が完了後、被処理物は出口側被処理物出入器内へ移動される。移動完了後、シャッター12ー2、バルブ15ー2’が閉められる。次いで、被処理物出入器3内のガスはバルブ15ー1、真空ポンプ5、バルブ15ー8、次いで望ましくはコンデンサー6を経て非凝縮ガスはガスホルダー4へ、凝縮液は1ー2へ回収される。
【0050】
実質的に出口側被処理物出入器内のガスが排出されたならば、バルブ15ー1、15ー8を閉め、真空ポンプ5を停止後バルブ15ー6’から空気を入れ大気圧とした後、出口側被処理物出入器の蓋を開け被処理物を取り出す。この間、バルブ15ー9は基本的には閉じられており、処理設備内のガス量変化はガスホルダー4にて吸収される。即ち、ガス量が増加した場合は逆止弁15ー11、コンデンサー6を経てガスホルダー4に貯蔵し、逆に減少した場合は、逆止弁15ー10を経てガスホルダー4のガスが戻される。
【0051】
本発明によると、入り口側被洗浄物出入器3内の空気排出後、ガスホルダーからガスを戻すタイミングと、出口側被洗浄物出入器3’の被洗浄物取り出し前のガス排出タイミングを合わせることによって、ガスホルダーを経ることなしにそれぞれを満足するように操作することが可能である。
【0052】
例えば、入り口側の被処理物出入器の空気排出後、ガスホルダーからのガス導入時期と、出口側被処理物出入器のガス排出時期とを合わせるように操作時間を設定し、出口側被処理物出入器からバルブ15ー1、真空ポンプ5、バルブ15ー8、コンデンサー6、逆止弁15ー10、バルブ15ー2を経て入り口側被処理物出入器にガスを送り込む。同様、出口側被処理物出入器のガス排出後、ガスホルダーからガスを戻すタイミングと入り口側被処理物出入器の被処理物取り出し前のガス排出タイミングとを合わせることによって、ガスホルダーを経ることなしにガスを移動する事が出来る。即ち、入り口側被処理物出入器からバルブ15ー1、真空ポンプ5、バルブ15ー8、コンデンサー6、逆止弁15ー10、バルブ15ー2’を経て出口側被処理物出入器にガスを送り込み、同様機能を果たさせることが可能である。
この場合ガスホルダーの必要設備容量を少なくでき有効である。
【0053】
【発明の効果】
本発明による装置は溶剤損失が僅少となり、自然環境、労働環境の改善に寄与し、また、溶剤処理装置内に被処理物に同伴して、空気やそれに伴う水分が入らないために、溶剤が溶解した排水が発生したり、設備内での水の凍結や、設備腐食、溶剤の劣化等を起すことがない。また、可燃溶剤を用いる際にも空気置換用のイナートガス使用量が僅少で防爆上安全な密閉化処理設備となる。また、系外排出ガスを無くするか、少なくでき、更に、必要な場合でも高いガス濃度とする事が出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の基本的実施態様を説明する説明図。
【図2】 本発明のよりの実施態様を説明する説明図。
【 符号の説明】
符号は全図に共通した番号である
1 は処理設備。
1ー1 は処理設備の第一槽。
1ー1ー1は第一槽の温度調節器。
1ー2 は処理設備の第二槽。
1ー2ー1は第二槽の温度調節器。
1ー3 は処理設備の第三槽。
1ー3ー1は第三槽の温度調節器。
1ー4 は処理設備の第四槽
1ー5 は冷却コイル。
3、3’ は被処理物出入器。
4 はガスホルダー。
5 は真空ポンプ。
6 はコンデンサー。
11 は被処理物。
11ー1〜11ー4は被処理物の位置。
12ー1、ー2はシャッター。
13ー1〜13ー6は主要構成設備間の関連を示すライン。
15ー1〜15ー12はバルブ、逆止弁番号。
破線で囲った(A)は出口側専用の”出口側被処理物出入器”を持つ場合の追加部分。
Claims (8)
- 被処理物出入器、処理設備、真空ポンプ、ガスホルダーを主要構成設備とし、それぞれが密閉状態を形成しながら連結され、又、被処理物出入器と処理設備とは被処理物が通過できる開口部とその開口部を気密的に遮断できるシャッターとによって接続された処理設備において、前記シャッターを閉じた状態にて被処理物出入器の蓋を開け、被処理物を設置し、被処理物出入器の蓋を閉め密閉化後、被処理物出入器内のガスを真空ポンプにて系外へ排除し、次いでガスホルダー内に保留していたガスを被処理物出入器に導入し、被処理物出入器内と処理設備内とを均圧にし、次に被処理物出入器と処理設備との間の前記シャッターを開け、被処理物出入器から処理設備に被処理物を移動し、処理設備にて処理操作を行い、該処理設備に於いて処理完了後、被処理物を被処理物出入器に移動し、次いで前記シャッターを閉め、被処理物出入器と処理設備とを絶縁後、被処理物出入器内のガスを真空ポンプにてガスホルダー内に移動して保留し、次いで被処理物出入器内にガスを導入した後蓋を開け被処理物を取り出す事を特徴とする密閉化処理装置。
- ガスホルダーが浮遊式または蛇腹式のガスホルダーである請求項1記載の密閉化処理設備。
- 処理設備及び/叉は、被処理物出入器内のガス量変化を、処理設備及び/叉は被処理物出入器と密閉状態にて連結されたガスホルダーの容量変化にて吸収する請求項1記載の密閉化処理設備。
- 処理設備内に連結設置されたコンデンサーにて予め冷却処理した後のガスを、ガスホルダーに保留する請求項1に記載の密閉化処理装置。
- 被処理物を被処理物出入器から取り出す際に、被処理物出入器内のガスを減圧装置にて吸引操作を行う前に、被処理物出入器内のガスを、コンデンサーの間でガス循環を行い、被処理物出入器内の溶剤ガス濃度を下げる請求項1記載の密閉化処理装置。
- 被処理物を被処理物出入器から取り出す際に於いて、被処理物出入器内のガスを減圧装置にて吸引取り出した後に、被処理物出入器内ガスの圧力を減圧に維持した状態にてガスホルダー内のガスを供給し、被処理物出入器内の溶剤ガス濃度を下げる請求項1記載の密閉化処理装置。
- 被処理物を被処理物出入器から取り出す際に於いて、被処理物出入器内のガスを減圧装置にて吸引取り出した後、被処理物出入器内の圧力を減圧に維持した状態にてイナートガスを供給し、被処理物出入器内の溶剤ガス濃度を下げる請求範囲項1記載の密閉化処理装置。
- 被処理物出入器内に被処理物を設置後、被処理物出入器内のガスを減圧装置にて系外に排出した後に、被処理物出入器内ガスの圧力を減圧に維持した状態にてイナートガスを供給し、被処理物出入器内に残存する空気や水分をパージする請求項1記載の密閉化処理装置。
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