JP3813168B2 - B型肝炎ウイルス突然変異体、試薬及び検出方法 - Google Patents

B型肝炎ウイルス突然変異体、試薬及び検出方法 Download PDF

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Description

発明の背景
本発明は、広義にはB型肝炎ウイルス(HBV)の突然変異体に係わるが、特にHBVの新規の突然変異体、それらの臨床用途における有用性、HBV感染及び免疫性の検出における試薬としての使用、並びにワクチンにおける使用に係わる。
HBVは、無症状の軽度感染から慢性活性及び劇症肝炎まで、種々の症状を惹起することが知られている。肝炎B型ゲノムは、7つのウイルスタンパク質をコードする約3200塩基対からなる環状の部分的に二本鎖のDNAである。P.Tiollaisら,Nature 317:489−495(1985)。ポリメラーゼ遺伝子は,ウイルスエンベロープ遺伝子PreS1、PreS2及びSとは完全に重なり合っており、X及びコア遺伝子とは一部重なり合っている。肝炎B型ビリオンのエンベロープは3つのタンパク質とそれらのグリコシル化誘導体とからなる。スモール(S)、ミドル(M)及びラージ(L)B型肝炎表面(HBs)タンパク質と称されるこれらのタンパク質はS遺伝子配列を含む。W.H.Gerlichら,Viral Hepatitis and Liver Diseases,F.B.Hollingerら,Williams−Wilkens編,Baltimore,MD,pp121−134(1991)。MHBsはPreS2配列(55アミノ酸)を含み、Lタンパク質はPreS1配列(サブタイプに従って108または119アミノ酸)とPreS2配列とを含む。全B型肝炎表面抗原のうち完全ビリオンまたはDane粒子として存在するのは極めて僅かである。他の2つの形態、即ち22nmの球状粒子と、直径22nmの可変長のフィラメントはキャプシドまたはDNAを欠いてはいるものの、HBVビリオンよりかなり過剰に産生される。
コア遺伝子は、ヌクレオキャプシドタンパク質(183または185アミノ酸)、B型肝炎コア抗原(HBcAg)をコードする。コア遺伝子の直ぐ上流には、コア遺伝子と同調して29アミノ酸をコードする87ヌクレオチドからなるプレコア領域がある。プレコア領域の最初の19個のアミノ酸は、HBeAgと称されるプレコア遺伝子産物が膜を貫通し、最終的に分泌されるためのシグナルとして作用する。HBeの機能は不明であるが、免疫寛容を誘発することによりウイルスが免疫サーベイランスから免れるのを助成し得る。
ゲノムのコンパクトネス及び広範な機能の重複によりDNA配列逸脱は著しく制限され、ゲノムは効率的に複製及び遺伝し得るよう維持されていると推定される。しかしながら、B型肝炎ウイルスはこれまでに理解されているよりも高い突然変異性を示す。ヒト免疫不全ウイルス(HIV)と同様に、HBVは複製サイクルの必須ステップとして逆転写酵素(RT)を使用する。RTはプルーフリーディング能が低く、ヌクレオチドを誤って取込む率が高い。計算してみると、このエラー傾向のある複製により、コピーされたヌクレオチド1000〜100,000個に1つの割合で置換、欠失または挿入が起こることが判る。W.Carmanら,Lancet 341:349−353(1993)。ウイルスの変異性(variability)はHBsAgの古典的なサブタイプ研究によって最初に発現された。A.M.Courouceから,Bibliotheca Heamatologica 42:1(1976)。
突然変異はゲノム上にランダムに位置するとは考えられない。最近の報告には、免疫系から逃れることにおいて野生型(WT)よりも選択的有利性を突然変異体に与えると推定される他の突然変異が、プレコア、コア及びエンベロープタンパク質遺伝子、PreS及びSに出現することが示された。
HBV感染におけるウイルスクリアランス及び肝細胞損傷が、肝細胞表面で発現される1種以上のHBVにコードされる抗原に応答する細胞毒性Tリンパ球(CTL)によって仲介されることが立証されている。M.Petersら,Hepatology 13:977−994(1991)。急性B型肝炎においては、エンベロープ抗原にではなくHBcAg及びHBeAg抗原に対する強力なT細胞応答が見い出された。ウイルス複製の持続性はHBcAgに対するT細胞応答失効と相関した。ウイルス抗原に対するT細胞応答は慢性HBVにおいては阻害され得るが、CTL応答は慢性キャリアにおいて持続し得る。
また、症候性及び無症候性両方のB型肝炎キャリヤにおいて体液性応答が持続するという証拠がある。ほとんど全てのHBVキャリヤにおいて高レベルの高HBcが認められる。ランダムなHBsAg陽性試料の20%でHBeAg及び抗HBeが検出可能であり、10〜20%で低レベルではあるが抗HBsが検出可能である。極めて高感度の検出方法を使用した最近の報告には、肝疾患を有するHBV患者のほとんど全て、及び肝疾患のない慢性B型肝炎患者の50%が、HBeAg、抗HBsAg及びPreS Agに特異的な体液性免疫応答を示し得ると記されている。しかしながら抗HBs応答のほとんどは、HBsAgと抗HBsの特異性が微妙に異なるために起こり、恐らく中和性ではない。これらのデータは、HBV変種の出現に対して選択的な圧力を与え得る慢性HBVキャリヤにおいて、プレコア、コア及びエンベロープ遺伝子産物の免疫サーベイランスが持続するという理論を裏付けるものである。
PreS1及びPreS2を包含するHBVエンベロープ領域とSの120〜160アミノ酸の領域とはウイルス粒子の表面に露出しており、従って免疫サーベイランスのターゲットとなると推定される。W.H.Gerlichら,前出。これまでに記載されている数種のS突然変異体は、SHBsに共通な、即ちグループ特異的な抗原決定基である“a”エピトープの抗原性に著しい影響を及ぼしている。W.Carmanら,Gastroenterology 102:711−719(1992)。“a”抗原決定基は複雑であり、高次構造(conformational)であり、高度に保存されたシステイン残基のなかのジスルフィド結合に依存している。“a”免疫反応性は環状合成ペプチドによって部分的に模倣することができる。“a”エピトープは従来からポリクローナル抗血清に対する反応性によって定義されているが、モノクローナル抗体を使用すると、“a”領域は少なくとも5つの非重複エピトープからなることが判った。D.Petersonら,J.Immunol.132:920−927(1984)。イタリア及び日本のワクチン受容者並びにモノクローナル抗a抗体療法中の肝移植患者において、免疫回避をもたらす“a”決定基の遺伝子変異が記載されている。例えばW.F.Carmanら,Lancet 336:325−329(1990);H.Okamotoら,Pediatric Research 32:264−268(1992);G.McMahonら,Hepatology 15:757−766(1992);H.Fujiiら,Biochem.Biophys.Res.Comm.184:1152−1157(1992);及び、T.J.Harrisonら,J.of Hepatology 13:5105−5107(1991)。これまでに記載されている最も一般的な突然変異体は、グリシンがアルギニンで置換された(G−R 145)単一ヌクレオチド置換である。この突然変異により、“a”エピトープの全部ではないが一部が破壊される。モノクローナル抗体による抗HBsの検出には問題はない。
“a”領域における他の突然変異には、サブタイプまたはタイプ特異的抗原決定基y/d及びw/rの損失をもたらすものがある。幾つかの最近の論文には、慢性感染個体にPreS1/PreS2における総欠失及び点突然変異が出現しており、これはかかるエンベロープ遺伝子産物の産生が免疫選択下にあることを示すものであるという記述がある。env、CまたはP遺伝子中の欠失の故に複製できないHBV突然変異体がHBVキャリア由来の血漿中で報告されている。全てが、複製コンピテントの形態のHBVと共存している。Okamotoら(前出)は、血漿または無症候キャリアから誘導されたPreS/S、C及びP遺伝子中に総欠失がある突然変異ゲノムは、ヘパトーム細胞を用いた一時的発現系において相補され得ることを示した。相補性は、突然変異ゲノムを有するウイルス粒子を培地中に分泌する能力として測定された。興味深いことに、全ての突然変異体が無傷のキャプシド封入(encapsidation)シグナルを有した。先行のWTウイルス、他の突然変異体及び場合によっては宿主染色体中に組込まれたHBV DNA配列との相補がこのin vitro系において示されている。欠陥干渉粒子として作用するHBV突然変異体はWTウイルス複製を減衰させ、それが感染持続性を維持する助成となり得ることが示されている。
従って、B型肝炎表面抗原の突然変異体の検出は重要である。突然変異体は、ワクチン投与または感染などが要因となってやがて発生し得る。突然変異B型肝炎ウイルスの同定及び検出は、ワクチン開発及び検査試料中のかかる突然変異体の存在を判定する検出系に通じ得る。従って、かかる突然変異株を同定するだけでなく、検査試料中の突然変異体の存在を判定し得る検出系を提供する必要がある。更に、かかる突然変異株に対するワクチンを開発する必要もある。
発明の要約
本発明は、HBsAgゲノムの366位に6つのヌクレオチドが挿入されたことに対応し、HBsAg配列の122位に2つのアミノ酸が挿入されている修飾“a”抗原決定基を有する突然変異B型肝炎ウイルスを記載する。122位に挿入された2つのアミノ酸はN及びTであり、ヌクレオチド配列の366位に見られる対応ヌクレオチド配列は−A−A−C−A−C−A−である。
本発明は、HBsAgゲノムの366位に少なくとも6つのヌクレオチドが挿入されている修飾“a”抗原決定基を含む突然変異HBVの精製ポリヌクレオチド、HBsAg配列の122位に少なくとも2つのアミノ酸が挿入されている修飾“a”抗原決定基を含む突然変異HBVの組換えポリヌクレオチド、前記挿入を具現化する宿主細胞及び組換えベクターを提供する。122位に挿入された2つのアミノ酸はN及びTであり、ヌクレオチド配列の366位に見られる対応ヌクレオチド配列は−A−A−C−A−C−A−である。突然変異HBVの組換えポリヌクレオチドは突然変異HBVゲノムから誘導された配列を含む。また、突然変異HBVの組換えポリヌクレオチドは突然変異HBVのエピトープも含む。本発明は更に、所望の宿主と適合性のある制御配列に操作可能に結合された、突然変異HBVのゲノムから誘導されたDNAの読取り枠を含む組換え発現系、前記組換え発現系を用いて形質転換された細胞、及び前記細胞によって産生されるポリペプチドを提供する。本発明は更に、突然変異HBVポリペプチドの調製物を包含し得る精製突然変異HBVも提供する。全ての実施態様は、アミノ酸122に少なくとも2つのアミノ酸が挿入されるかまたは366位に6つのヌクレオチドが挿入された“a”抗原決定基の修飾を具現化するものである。
更に本発明は、突然変異HBVゲノムから誘導された配列を含む組換えポリペプチド、及び突然変異HBVエピトープを含む組換えポリペプチドを提供する。更には、突然変異HBVの少なくとも1つのエピトープに対する抗体も提供される。抗体はポリクローナルまたはモノクローナルである。本発明は更に、突然変異HBVのポリペプチドを含む融合ポリペプチドも提供する。
本発明は更に、真核または原核宿主中で産生されたときに粒子を形成し得るアミノ酸配列を有する非突然変異HBVポリペプチドと突然変異HBVエピトープとを含む突然変異HBV感染に対して免疫原性である粒子、突然変異HBVに対するポリヌクレオチドプローブ、及び、突然変異HBV抗原または突然変異HBV抗体を検出する種々の方法を実施するための種々の試験キットを提供する。
更に本発明は、突然変異HBVのエピトープを含むポリペプチドを製造する方法であって、HBVのエピトープを含むポリペプチドをコードする配列を含む発現ベクターを用いて形質転換された宿主細胞を、前記ポリペプチドが発現し得る条件及び時間でインキュベートすることからなる方法を提供する。
更に、突然変異HBVを含む疑いのある検査試料中の突然変異HBV核酸を検出する方法であって、検査試料を突然変異HBVポリヌクレオチド用プローブと、該プローブと検査試料中の突然変異HBVの核酸とで複合体を形成し得る条件及び時間で接触させ、該プローブを含む複合体を検出することからなる方法も提供される。また、突然変異HBVを含む疑いのある検査試料中の突然変異HBV抗原を検出する方法は、検査試料を、検出すべき突然変異HBV抗原に対する抗体と、抗体/抗原複合体を形成するのに十分な時間及び条件下で接触させ、該抗体を含む複合体を検出することからなる。更にまた、突然変異HBV抗体を含む疑いのある検査試料中の該抗体を検出する方法は、検査試料を、突然変異HBVエピトープを含むプローブポリペプチドと、抗原/抗体複合体を形成するのに十分な時間及び条件下で接触させ、該プローブポリペプチドを含む複合体を検出することからなる。
医薬上容認可能な賦形剤中に、薬理上有効量の、突然変異HBVのエピトープを含む免疫原性突然変異HBVポリペプチドを含む突然変異HBV感染治療用ワクチンも提供される。突然変異HBV感染治療用ワクチンはまた、医薬上容認可能な賦形剤中に薬理上有効量の不活化または弱毒化突然変異HBVを含んでもよい。
更に本発明は、突然変異HBVに感染した組織培養増殖細胞、及び、免疫応答を生起するのに十分な量の突然変異HBVエピトープを含む単離免疫原性ポリペプチドを個体に投与することからなる、突然変異HBVに対する抗体を産生させる方法も提供する。
発明の詳細
本発明は、HBVエンベロープ領域の122位に2つのアミノ酸(N−T)が挿入されている、新たに確認されたHBVの突然変異体の特性分析法を提供する。本発明は、検査試料中の突然変異HBVの存在を検出する方法、及びかかる方法に有用な試薬を提供する。全ての態様が、HBsAgゲノムの366位に6つのヌクレオチドが挿入されたことに対応し、HBsAg配列の122位に2つのアミノ酸が挿入されている“a”抗原決定基の修飾に係わる。
突然変異HBVから誘導された核酸配列またはその一部は、検査試料中の突然変異HBVの存在を判定するためのプローブとして有用である。かかる配列により、かかる突然変異HBVのゲノム内にコードされている突然変異HBV抗原のポリペプチド配列を得ることもできるし、診断試験の標準または試薬として及び/またはワクチンの成分として有用なポリペプチドを製造することもできる。かかるポリペプチド配列内に含まれるエピトープに対するモノクローナル抗体及びポリクローナル抗体もまた、診断試験及び治療薬に、抗ウイルス性物質のスクリーニングに、及びかかる核酸配列が誘導される突然変異HBVの単離に有用である。
本発明の1つの態様によれば、突然変異HBVの精製ポリヌクレオチド、突然変異HBVの組換えポリヌクレオチド、突然変異HBVのゲノムから誘導された配列を含む組換えポリヌクレオチド、突然変異HBVのエピトープをコードする組換えポリペプチド、上記組換えポリペプチドのいずれかを含む組換えベクター、及び、かかるベクターのいずれかを用いて形質転換された宿主細胞が提供される。全ての態様は、HBsAgゲノムの366位に6つのヌクレオチドが挿入されたことに対応し、HBsAg配列の122位に2つのアミノ酸が挿入されている“a”抗原決定基の修飾に係わる。
本発明の別の態様においては、突然変異HBVの精製抗原、該精製突然変異HBV由来のポリペプチドの調製物、突然変異HBVの精製ポリペプチド、突然変異HBV中に含まれるエピトープを用いて免疫学的に同定可能なエピトープを含む精製ポリペプチドが提供される。
本発明の更に別の態様においては、所望の宿主と適合性である制御配列に操作可能に連結されている、精製HBVゲノムから誘導されたDNAの読取り枠(ORF)を含む組換え発現系、該組換え発現系を用いて形質転換された細胞、及び、該形質転換細胞によって産生されたポリペプチドが提供される。
本発明の別の態様は、突然変異HBVの組換えポリペプチド、突然変異HBVのゲノムから誘導された配列を含む組換えポリペプチド、突然変異HBVのエピトープを含む組換えポリペプチド、及び突然変異HBVのポリペプチドを含む融合ポリペプチドを含む。
本発明は更に、突然変異HBVの少なくとも1つのエピトープに特異的に結合するモノクローナル抗体を製造する方法:少なくとも1つの突然変異HBVエピトープに特異的に結合するポリクローナル抗体の精製調製物;並びに、診断、予防及び治療用途を含む、かかる抗体を使用する方法を提供する。
本発明の更に別の態様においては、真核性宿主中で産生されたときに粒子を形成し得るアミノ酸配列を有する非突然変異HBVポリペプチドと突然変異HBVエピトープとを含む、突然変異HBV感染に対して免疫原性である粒子が提供される。
更に、突然変異HBVに対するポリヌクレオチドプローブも提供される。
本発明は、適当な容器に入った、突然変異HBVから誘導されたポリヌクレオチドの存在及び/または量を検出するために使用し得る試薬であって、122位にある少なくとも2つのアミノ酸の挿入物をコードする約8個またはそれ以上のヌクレオチドからなる突然変異HBV由来のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドプローブを含む試薬;適当な容器に入った、突然変異HBV抗原の存在及び/または量を検出するための試薬であって、検出すべき突然変異HBV抗原に対する抗体を含む試薬;及び、適当な容器に入った、突然変異HBV抗原に対する抗体の存在及び/または量を検出するための試薬であって、突然変異HBV抗原中に存在する突然変異HBVエピトープを含むポリペプチドを含む試薬を含むキットを提供する。種々のアッセイ形式に対する他のキットも本明細書に記載の本発明によって提供される。
本発明の他の態様には、固相に付着された突然変異HBVのエピトープを含むポリペプチドと、固相に付着された突然変異HBVのエピトープに対する抗体とが挙げられる。更に、突然変異HBVのエピトープを含むポリペプチドを製造する方法であって、突然変異HBVのエピトープを含むポリペプチドをコードする配列を含む発現ベクターを用いて形質転換された宿主細胞を、該ポリペプチドが発現し得る条件下でインキュベートすることからなる方法と、該方法によって製造された突然変異HBVエピトープを含むポリペプチドも本発明に含まれる。
本発明は更に、本発明の組換えまたは合成ポリペプチド及び本発明の抗体を、いずれもシグナル生成化合物を使用し得る種々の形式で使用し得るアッセイを提供する。検出手段を与えるためのシグナル生成化合物を使用しないアッセイも提供される。記載の全てのアッセイは、通常は抗原または抗体のいずれかまたは両方を検出するものであり、検査試料を少なくとも1種の本発明の試薬と接触させて少なくとも1種の抗原/抗体複合体を形成させ、該複合体の存在を検出することを含む。かかるアッセイについては詳述する。
突然変異HBVエピトープを含む免疫原性ペプチド、または突然変異HBVの失活化調製物、または突然変異HBVの弱毒化調製物を含む突然変異HBV感染治療用ワクチンも本発明に含まれる。更に本発明には、突然変異HBVに対する抗体を産生させる方法であって、個体に、接種個体において免疫応答を生起するのに十分な量の突然変異HBVエピトープを含む単離免疫原性ポリペプチドを投与することからなる方法も含まれる。
更に、突然変異HBVに感染した組織培養増殖細胞も本発明によって提供される。
定義
注:全ての定義は、HBsAgゲノムの366位に6つのヌクレオチドが挿入されたことに対応し、HBsAg配列の122位に2つのアミノ酸が挿入されている“a”抗原決定基の修飾に関する。「突然変異HBV」なる用語は、この“a”抗原決定基の修飾を有するウイルス単離体を意味する。
特定の配列、例えば突然変異HBVゲノム「から誘導された」ポリペプチドとは、その特定のヌクレオチド配列の一領域に対応する、即ち相同または相補的な、おおよそ少なくとも約6個のヌクレオチド、好ましくは少なくとも約8個のヌクレオチド、より好ましくは少なくとも約10〜12個のヌクレオチド、更に好ましくは少なくとも約15〜20個のヌクレオチドの配列からなるポリヌクレオチド配列を指す。ポリヌクレオチドを誘導する領域の配列は、突然変異HBVゲノムに固有の配列に相同または相補的であるのが好ましい。配列が突然変異HBVゲノムに固有の配列に相補的または相同であるか否かは、当業者には公知の方法で判断し得る。特定の配列の固有性を決定する方法として、例えばデータバンクにある配列との比較を行い得る。
誘導ポリペプチドは必ずしも突然変異HBVのヌクレオチド配列から物理的に誘導される必要はなく、限定的ではないが、ポリヌクレオチドを誘導する領域の塩基配列により与えられる情報に基づいた化学的合成、複製、または逆転写もしくは転写を含む任意の方法で生成し得る。更に、特定の配列の領域に対応する領域の組合せを、当分野において公知の方法で所期の用途に応じて変更し得る。
特定の核酸配列または突然変異HBVゲノムから誘導されるポリペプチドまたはアミノ酸配列とは、配列内にコードされているポリペプチドと同一のアミノ酸配列を有するポリペプチド、または、少なくとも2〜5個のアミノ酸、より好ましくは少なくとも8〜10個のアミノ酸、更に好ましくは15〜20個のアミノ酸からなり、配列内にコードされているポリペプチドを用いて免疫学的に同定し得る前記ポリペプチドの一部を指す。
本明細書において使用される「組換えタンパク質」(「組換えポリペプチド」)とは少なくとも、起源または操作によって、天然もしくはライブラリーの形態で関連するポリヌクレオチドの全部または一部と関連せず、及び/またはそれが天然で結合しているもの以外のポリヌクレオチドに結合している、ゲノム、半合成または合成のポリペプチドを意味する。組換えまたは誘導ポリペプチドは、必ずしも突然変異HBVの特定の核酸配列または突然変異HBVゲノムから翻訳される必要はなく、化学的合成もしくは組換え発現系の発現、または突然変異HBVからの単離を含む任意の方法で生成することもできる。
本明細書において使用される「ポリヌクレオチド」なる用語は、リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドいずれかの任意の長さの重合形態のヌクレオチドを意味する。この用語は分子の一次構造のみを指す。従って該用語には、二本鎖及び一本鎖DNA並びに二本鎖及び一本鎖RNAが含まれる。更に、メチル化及び/またはキャプ付加による修飾形態のポリヌクレオチド、並びに未修飾形態のポリヌクレオチドも含まれる。
「精製ウイルスポリヌクレオチド」とは、ウイルスポリヌクレオチドが天然で関連するポリペプチドを実質的に含まない、即ちその約50%未満、好ましくは約70%未満、より好ましくは約90%未満を含まない突然変異HBVゲノムまたはそのフラグメントを指す。ウイルスポリヌクレオチドを精製する方法は当分野において公知であり、例えば、カオトロピック(chaotropic)剤を用いて粒子を破壊し、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、密度沈降によってポリヌクレオチド及びポリペプチドを分離することが挙げられる。「精製ウイルスポリペプチド」とは、ウイルスポリペプチドが天然で関連する細胞成分を実質的に含まない、即ちその約50%未満、好ましくは約70%未満、より好ましくは約90%未満を含まない突然変異HBVのポリペプチドまたはそのフラグメントを意味する。精製方法は当業者には公知である。
本明細書において使用される「ポリペプチド」とはアミノ酸の分子鎖を指し、特定の長さ産物を指すものではない。従って、ペプチド、オリゴペプチド及びタンパク質がポリペプチドの定義に含まれる。しかしながらこの用語には、ポリペプチドの発現後の修飾、例えばグリコシル化、アセチル化、リン酸化などは含まれないものとする。
「組換え宿主細胞」、「宿主細胞」、「細胞」、「細胞系」、「細胞培養物」、及び単細胞物質(unicellular entity)として培養された微生物または高等真核細胞系を示す他の同様の用語は、組換えベクターまたは他の移入DNAのレシピエントとして使用され得る、または使用された細胞を指し、トランスフェクトされた元の細胞の本来の子孫をも含む。
本明細書において使用される「レプリコン」とは、細胞内でポリヌクレオチド複製の自立単位として挙動する、プラスミド、染色体またはウイルスといった任意の遺伝子エレメントを意味する。即ちレプリコンはそれ自体の制御下で複製し得る。
「ベクター」は、別のポリヌクレオチドセグメントが複製及び/または発現を実施するように付加されたレプリコンである。
「制御配列」なる用語は、それらが結合しているコーディング配列の発現を行うのに必要なポリヌクレオチド配列を指す。制御配列の特性は宿主生物に応じて異なる。原核細胞においては制御配列は一般にプロモーター、リボソーム結合部位及びターミネーターを含み、真核細胞においては制御配列は一般にプロモーター、ターミネーター、及び場合によってはエンハンサーを含む。従って「制御配列」なる用語は、少なくともその存在が発現に必要な全ての成分を含んでいるものとし、更には、存在すれば有利な追加成分、例えば先導配列を含んでもよい。
「操作可能に結合された」とは、上記成分が、予定通りに機能し得る関係にある状況を指す。従って例えば、コーディング配列に「操作可能に結合された」制御配列は、制御配列に適合する条件下でコーディング配列の発現が行われるように連結されている。
「読取り枠」または「ORF」なる用語は、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの領域を指す。この領域はコーディング配列の一部または全コーディング配列を表わし得る。
「コーディング配列」は、適当な調節配列の制御下に置かれたときにmRNAに転写される、及び/またはポリペプチドに翻訳されるポリヌクレオチド配列である。コーディング配列の境界は、5’末端にある翻訳開始コドンと3’末端にある翻訳終結コドンとによって決定される。コーディング配列は、限定的ではないが、mRNA及び組換えポリペプチド配列を含み得る。
「〜を用いて/として免疫学的に同定可能な」なる用語は、特定のポリペプチド、通常は突然変異HBVタンパク質中に存在し、これらの固有であるエピトープ及びポリペプチドが存在することを指す。免疫学的な一致(identity)は、抗体結合及び/または結合の競合によって判定し得る。かかる方法は当業者には公知であるし、本明細書にも記載される。エピトープの固有性は、公知のデータバンク、例えばGenebankにおいて該エピトープをコードするポリヌクレオチド配列をコンピューター検索するか、または他の既知のタンパク質とアミノ酸配列を比較することにより判定し得る。
本明細書において使用される「エピトープ」とはポリペプチドの抗原決定基を意味する。エピトープは、3個のアミノ酸をそのエピトープに固有の空間的配置で含み得ると考えられる。エピトープは通常は少なくとも5個のこのようなアミノ酸からなり、より一般的には少なくとも8〜10個のアミノ酸からなる。空間的配置を調査する方法は当分野において公知であり、例えばX線結晶分析及び2次元核磁気共鳴が挙げられる。
ポリペプチドのなかに含まれる特定のエピトープを抗体が認識したことから抗体に結合するとき、該ポリペプチドは抗体に対して「免疫学的に反応性である」。免疫学的反応性は、抗体結合、特に抗体結合速度、及び/または、該抗体に対するエピトープを含む既知のポリペプチドを競合物質として使用する結合の競合によって判定し得る。ポリペプチドが抗体に対して免疫学的に反応性であるかどうかを決定する方法は当分野において公知である。
本明細書において使用される「突然変異HBVエピトープを含む免疫原性ポリペプチド」なる用語は、突然変異HBV天然ポリペプチドまたはそのフラグメント、並びに、他の手段、例えば化学的合成または組換え微生物中でのポリペプチドの発現によって製造されたポリペプチドを意味する。
「形質転換」なる用語は、挿入方法に関係なく、外来ポリヌクレオチドを宿主細胞中に挿入することを指す。例えば、直接取込み、形質導入またはf−交配(f-mating)が含まれる。外来ポリヌクレオチドは、非組込みベクター、例えばプラスミドとして維持することもできるし、或いは、宿主ゲノム中に組込むこともできる。
「治療」とは予防及び/または加療を指す。
本明細書において使用される「個体」なる用語は、動物、特に哺乳動物種のものを指し、限定的ではないが、家畜、競技用動物、霊長目及びヒトを含むが、特に該用語はチンパンジー及びヒトを指す。
本明細書において使用される「正鎖」なる用語は、ポリペプチドをコードする配列を含む核酸を示す。「負鎖」なる用語は、「正」鎖の配列と相補的な配列を含む核酸を示す。
ウイルスの「陽性鎖ゲノム」は、ゲノムが一本鎖であり、ウイルスポリペプチドをコードすることを示す。
「抗体含有個体成分」(または「検査試料」)なる用語は、問題の抗体のソースとなる個体の成分を指す。かかる成分は当分野において公知である。検査試料には本発明の方法によって試験し得る生物試料が含まれるが、ヒト及び動物の体液、例えば全血、血清、血漿、脳脊髄液、尿、リンパ液、並びに、呼吸管、胃腸管及び尿生殖管の種々の外分泌物、涙、唾液、乳、白血球、ミエローマなど、並びにに、生物学的液体、例えば細胞培養液上清、固定組織試料、固定細胞試料が挙げられる。
「精製突然変異HBV」とは、ウイルスが通常関連する細胞構成物質、及び感染組織中に存在し得る他のタイプのウイルスから単離された突然変異HBVの調製物を指す。ウイルスを単離する方法は当業者には公知であり、例えば遠心及びアフィニティークロマトグラフィーが挙げられる。精製HBVを調製する方法は本明細書に記載する。
一般用途
本発明の特定の組換えタンパク質、合成ペポチド、または精製ウイルスポリペプチドを製造したならば、その組換えまたは合成ペプチドを使用し、突然変異HBVに対する抗原または抗体の存在を検出する本明細書に記載のごとき固有のアッセイを開発することができる。またかかる組成物を使用し、所望する突然変異HBVの免疫学的エピトープに特異的に結合する特定の組換えタンパク質または合成ペプチドを用い、モノクローナル及び/またはポリクローナル抗体を開発することができる。少なくとも1種の本発明のポリヌクレオチドを使用し、当分野において公知の方法に従ってワクチンを開発することも考えられる。
アッセイに使用される試薬は、アッセイに使用されるモノクローナル抗体、またはモノクローナル抗体のカクテル、または(組換えもしくは合成)ポリペプチドといった試薬を個々に含む1つ以上の容器、例えばバイアルやボトルを包含する試験キットの形態で提供され得ると考えられる。
「固相」(「固体支持体」)は当業者には公知であり、反応トレーのウェルの壁、試験管、ポリスチレンビーズ、磁性ビーズ、ニトロセルロースストリップ、膜、微粒子(例えばラテックス粒子)などが挙げられる。「固相」は限定的なものではなく、当業者によって選択され得る。即ち、ラテックス粒子、微粒子、磁性または非磁性ビーズ、膜、プラスチックチューブ、マイクロタイターウェルの壁、ガラスまたはシリコンチップ、ヒツジ赤血球は全てが適当な例である。ペプチドを固相上に固定する適当な方法としては、イオン性、疎水性、共有結合性の相互作用などが挙げられる。本明細書において使用される「固相」とは、不溶性であるかまたは後続反応によって不溶性にし得る任意の材料を指す。固相は、捕獲剤を引き付けて固定する固有の能力において選択され得る。或いは固相は、捕獲剤を引き付けて固定する能力を有する補助的レセプターを保持し得る。補助的レセプターは、捕獲剤自体または捕獲剤に結合している帯電物質とは反対の電荷を有する帯電物質を含み得る。或いはまたレセプター分子は、固相上に固定(付着)されており、特異的結合反応によって捕獲剤を固定する能力を有する任意の特異的結合メンバーとすることもできる。アッセイ実施前またはアッセイ実施中に、レセプター分子によって捕獲剤を固相材料に間接的に結合することができる。固相は、プラスチック、誘導体化プラスチック、磁性または非磁性金属、ガラスまたはシリコン表面を備えた試験管、マイクロタイターウェル、シート、ビーズ、微粒子、チップ、並びに当業者には公知の他の構成とし得る。
固相が、検出抗体がアクセスし得るに十分な多孔性及び抗原を結合するのに適当な表面親和性を有する任意の適当な多孔質材料からなり得、本発明の範囲内である。一般には微孔質構造が好ましいが、水和状態でゲル構造を有する材料も使用し得る。かかる有用な固体支持体としては、天然ポリマー炭水化物及びそれらの合成変性、架橋または置換誘導体、例えば寒天、アガロース、架橋アルギン酸、置換架橋グアゴム、特に硝酸及びカルボン酸とのセルロースエステル、混合セルロースエステル、セルロースエーテル;窒素を含む天然ポリマー、例えば架橋または変性ゼラチンを含むタンパク質及び誘導体;天然炭化水素ポリマー、例えばラテックス及びゴム;適当な多孔質構造を有するよう製造され得る合成ポリマー、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニルを含むビニルポリマー及びその部分加水分解誘導体、ポリアクリルアミド、ポリメタクリレート、上記ポリ縮合物のコポリマー及びターポリマー、例えばポリエステル、ポリアミド、及び他のポリマー、例えばポリウレタンまたはポリエポキシド;多孔質無機材料、例えばアルカリ土類金属及びマグネシウムの硫酸塩または炭酸塩(例えば硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム)、アルカリ及びアルカリ土類金属、アルミニウム並びにマグネシウムのケイ酸塩;並びに、アルミニウムまたはケイ素の酸化物または水和物、例えばクレー、アルミナ、タルク、カオリン、ゼオライト、シリカゲルまたはガラス(これらの材料は上記ポリマー材料と一緒に充填剤として使用し得る);並びに、これらの混合物またはコポリマー、例えば既存の天然ポリマー上に合成ポリマーの重合を開始することにより得られるグラフトコポリマーが挙げられる。これらの材料は全てが、フィルム、シート、またはプレートといった適当な形状で使用することもできるし、紙、ガラス、プラスチックフィルム、またはファイバーといった適当な不活性担体に被覆、接着または積層することもできる。
ニトロセルロースの多孔質構造は、モノクローナル抗体を含む広範囲の試薬に対して優れた吸収性及び吸着性を示す。ナイロンも同様の特性を有しており、やはり適当である。このような多孔質固体支持体は厚さが約0.01〜0.5mm、好ましくは約0.1mmのシートの形態である。孔径は広範囲で変えることができるが、約0.025〜15μ、特に約0.15〜15μであるのが好ましい。かかる支持体の表面は、抗原または抗体と支持体とを共有結合させる化学処理によって活性化し得る。一般には、あまり理解されていない疎水性の力によって多孔質材料上に吸着することにより、抗原または抗体は不可逆的に結合される。適当な固体支持体は米国特許出願第227,272号明細書にも記載されており、該明細書は参照により本明細書に包含されるものとする。
「指示薬」は、突然変異HBVの特異的結合メンバーに結合(付着)した、外部手段によって検出し得る測定可能シグナルを生成し得る「シグナル生成化合物」(標識)を含む。本明細書において使用される「特異的結合メンバー」とは特異的結合対、即ち一方の分子が化学的または物理的手段を介して第2の分子に特異的に結合する2つの異なる分子のメンバーを意味する。突然変異HBVに対する特異的結合対の抗体メンバーであるほか、指示薬は、ハプテン−抗ハプテン系、例えばビオチンまたは抗ビオチン、アビジンまたはビオチン、炭水化物またはレクチン、相補的ヌクレオチド配列、エフェクター分子またはレセプター分子、酵素補因子及び酵素、酵素阻害物質または酵素などを含む任意の特異的結合対のメンバーとし得る。免疫反応性特異的結合メンバーは、サンドイッチアッセイにおいては突然変異HBVに、競合アッセイにおいては捕獲剤に、また間接アッセイにおいては任意の特異的結合メンバーに結合し得る、抗体、抗原、または抗体/抗原複合体であり得る。
考えられる種々の「シグナル生成化合物」(標識)としては、色原体、酵素のごとき触媒、フルオレセイン及びローダミンのごとき発光化合物、化学発光化合物、放射性元素、直接可視標識が挙げられる。酵素の例としてはアルカリ性ホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼなどが挙げられる。特定の標識の選択は限定的ではなく、標識はそれ自体でまたは1種以上の他の物質と一緒になってシグナルを生成することができる。
種々の他の固相を使用する他の実施態様も考えられ、それらも本発明の範囲内である。例えば、それぞれ参照により本明細書に包含されるものとする欧州特許出願公開第0326100号明細書に対応する同時係属米国特許出願第150,278号明細書及び米国特許出願第375,029号明細書(欧州特許出願公開第0406483号明細書)に記載の、負電荷を有するポリマーを用いて固定可能な反応複合体を固定するイオン捕獲法を本発明に従って使用し、高速液相(fast solution-phase)免疫化学反応を行うことができる。固定可能な免疫複合体は、負電荷を有するポリアニオン/免疫複合体と予め処理して正電荷をもたせた多孔質マトリックスとのイオン相互反応によって反応混合物の残りの部分から分離し、参照により本明細書に包含されるものとするEPO特許出願公開第0,273,115号明細書に対応する同時係属米国特許出願第921,979号明細書に記載のごとき化学発光シグナル測定に記載のものを含む、文献明記の種々のシグナル生成系を使用して検出し得る。
また本発明方法は、固相が微粒子からなる自動化及び半自動化系を含む、微粒子技術を使用する系での使用にも適合し得る。このような系として、参照により本明細書に包含されるものとするEPO特許出願公開第0 425 633号明細書及び欧州特許第0 424 634号明細書にそれぞれ対応する係属米国特許出願第425,651号明細書及び同第425,643号明細書に記載のものが挙げられる。
イムノアッセイ用の走査型プローブ顕微鏡(SPM)を使用すると、本発明のモノクローナル抗体を容易に適合し得る。走査型プローブ顕微鏡、特に原子力(atomic force)顕微鏡においては、捕獲相、例えば少なくとも1種の本発明のモノクローナル抗体を固相に付着させ、走査型プローブ顕微鏡を使用し、固相の表面に存在し得る抗原/抗体複合体を検出する。走査型トンネル顕微鏡を使用すると、抗原/抗体複合体を検出するために多くのイムノアッセイ系で通常使用せねばならない標識が必要でなくなる。このような系は、参照により本明細書に包含されるものとする係属米国特許出願第662,147号明細書に記載されている。
特異的結合反応をモニターする際、SPMは多くの態様で使用し得る。1つの実施態様においては、特異的結合パートナーの1つのメンバー(本発明のモノクローナル抗体である被分析物質特異的物質)を走査に適した表面に付着させる。被分析物質特異的物質の付着は、当業者には公知の方法に従って、プラスチックまたは金属表面の固相からなる試験片に吸着させることにより行い得る。或いは、誘導体化プラスチック、金属、シリコン、またはガラスの固相からなる試験片に特異的結合パートナー(被分析物質特異的物質)を共有結合させることもできる。共有結合方法は当業者には公知であり、特異的結合パートナーを試験片に不可逆的に結合する種々の手段を含む。試験片がシリコンまたはガラスである場合、特異的結合パートナーを付着させる前に表面を活性化する必要がある。トリエトキシアミノプロピルシラン(Sigma Chemical Co.,St.Louis,MOから入手可能)、トリエトキシビニルシラン(Aldrich Chemical Co.,Milwaukee,WI)及び(3−メルカプト−プロピル)−トリメトキシシラン(Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO)といった活性化シラン化合物を使用し、それぞれアミノ、ビニル及びチオールといった反応性の基を導入することができる。このような活性化表面を使用して結合パートナーを(アミノまたはチオールの場合には)直接に結合することもできるし、活性化表面を更にグルタルアルデヒド、ビス(スクシンイミジル)スベレート、SPPD9(スクシンイミジル3−[2−ピリジルジチオ]プロピオネート)、SMCC(スクシンイミジル−4−[N−マレイミドメチル]シクロヘキサン−1−カルボキシレート)、SIAB(スクシンイミジル[4−ヨードアセチル]アミノベンゾエート)及びSMPB(スクシンイミジル4−[1−マレイミドフェニル]ブチレート)といったリンカーと反応させ、結合パートナーを表面から離すこともできる。ビニル基は、酸化して共有結合手段を与えることもできるし、特異的結合パートナーに対して複数の付着点を与え得るポリアクリル酸のごとき種々のポリマーを重合するためのアンカーとして使用することもできる。アミノ表面を種々の分子量の酸化デキストランと反応させ、種々のサイズ及び結合能の親水性リンカーを与えることもできる。酸化可能なデキストランの例として、Dextran T−40(分子量40,000ダルトン)、Dextran T−110(分子量110,000ダルトン)、Dextran T−500(分子量500,000ダルトン)、Dextran T−2M(分子量2,000,000ダルトン)(これら全てはPharmaciaから入手可能)、またはFicoll(分子量70,000ダルトン)(Sigma Chemical Co.,St Louis,MOから入手可能)が挙げられる。また、1988年1月29日出願係属米国特許出願第150,278号明細書及び1989年7月7日出願同第375,029号明細書に記載の方法及び化学物質を使用し、高分子電解質相互作用を使用して特定的結合パートナーを試験片の表面に固定することもできる。好ましい付着方法は共有結合によるものである。特異的結合メンバーを付着させたあと、非特異的結合を最少限に抑えるために表面を更に、血清、タンパク質、または他のブロッキング剤で処理してもよい。該表面がアッセイに適しているか検証するため、それを製造場所または使用時点で走査してもよい。走査方法は、試験片の特異的結合性を変化させないものとする。
「サンドイッチ」イムノアッセイ及び競合プローブアッセイを含む種々の他のアッセイ形式を使用し得る。例えば、本発明のモノクローナル抗体を種々のアッセイ系に使用して、検査試料中の突然変異HBVタンパク質の存在を、もしあるとするならば判定することができる。与えられるかかるモノクローナル抗体のフラグメントを使用してもよい。例えば高速アッセイ形式においては、固相に被覆したポリクローナルもしくはモノクローナル抗突然変異HBV抗体またはそのフラグメントまたはこれらの抗体の組合せを、突然変異HBVタンパク質を含み得る検査試料と接触させ、混合物を形成する。この混合物を、抗原/抗体複合体を形成するのに十分な時間及び条件下でインキュベートする。シグナル生成化合物を付着させた、突然変異HBV領域に特異的に結合するモノクローナルもしくはポリクローナル抗体またはそのフラグメントまたはこれらの抗体の組合せを含む指示薬を、抗原/抗体複合体と接触させて第2の混合物を形成する。この第2の混合物を、抗体/抗原/抗体複合体を形成するのに十分な時間及び条件下でインキュベートする。検査試料中に存在しており固相上に捕獲された突然変異HBV抗原の存在は、もしあるとすれば、シグナル生成化合物によって生成される測定可能なシグナルを検出することにより判定される。検査試料中に存在する突然変異HBV抗原の量は生成されたシグナルに比例する。
或いは、固体支持体に結合させたポリクローナルもしくはモノクローナル抗突然変異HBV抗体またはそのフラグメントまたはこれらの抗体の組合せと、検査試料と、シグナル生成化合物を付着させた、突然変異HBV抗原に特異的に結合するモノクローナルもしくはポリクローナル抗体またはそのフラグメントまたはこれらの抗体の組合せを含む指示薬とを接触させて混合物を形成する。この混合物を、抗体/抗原/抗体複合体を形成するのに十分な時間及び条件下でインキュベートする。検査試料中に存在しており固相上に捕獲された突然変異HBVタンパク質の存在は、もしあるとすれば、シグナル生成化合物によって生成される測定可能なシグナルを検出することにより判定される。検査試料中に存在する突然変異HBVタンパク質の量は生成されたシグナルに比例する。
更に別のアッセイ形式においては、1種または2種以上組合せた本発明のモノクローナル抗体を、突然変異HBVタンパク質に対する抗体を検出するための競合プローブとして使用し得る。例えば突然変異HBVタンパク質を、単独でまたは他の突然変異HBVタンパク質もしくは非突然変異タンパク質と一緒に、固相に被覆する。次いで、突然変異及び/または非突然変異HBV抗原に対する抗体を含む疑いのある検査試料を、シグナル生成化合物と少なくとも1種の本発明モノクローナル抗体とを含む指示薬と一緒に、検査試料及び指示薬と固相、または指示薬と固相とで、抗原/抗体複合体を形成するのに十分な時間及び条件下でインキュベートする。モノクローナル抗体の固相への結合の低下を定量的に測定する。HBV陰性が確認されている検査試料から生成されるシグナルと比較してシグナル低下が測定され得るならば、検査試料中に抗HBV抗体が存在することが判る。
更に別の検出方法においては、本発明のモノクローナル抗体の各々を、免疫組織化学分析による固定組織片及び固定細胞における突然変異HBV抗原の検出に使用し得る。
更に、モノクローナル抗体をCNBr活性化セファロースと類似のマトリックスに結合し、細胞培養物または血液及び肝といった生物組織由来の特定の突然変異HBVタンパク質のアフィニティー精製に使用することもできる。
本発明のモノクローナル抗体は、治療用のキメラ抗体の生成や、他の類似の用途に使用することもできる。
モノクローナル抗体またはそのフラグメントは、突然変異HBV抗原を検出すべく個々に提供され得る。本発明のモノクローナル抗体(及びそのフラグメント)を組合せて、少なくとも1種の本発明の抗突然変異HBV抗体と、他の(突然変異または非突然変異)HBV領域に対する抗体との混合物または「カクテル」中の、各々が異なる結合特異性を有する成分として使用することもできる。即ちこのカクテルは、突然変異HBVタンパク質に対する本発明のモノクローナル抗体と、HBVゲノムの他の抗原決定基に対する他のモノクローナル抗体とを含み得る。
かかるアッセイ形式に使用し得るポリクローナル抗体またはそのフラグメントは、アッセイに使用される突然変異HBVの特定の領域または他の突然変異HBVタンパク質に特異的に結合すべきである。使用されるポリクローナル抗体は哺乳動物由来のものであるのが好ましく、ヒト、ヤギ、ウサギまたはヒツジの抗HCVポリクローナル抗体を使用し得る。最も好ましくは、ポリクローナル抗体はウサギポリクローナル抗突然変異HBV抗体である。アッセイに使用されるポリクローナル抗体は単独でもポリクローナル抗体のカクテルとしても使用し得る。アッセイ形式に使用されるカクテルは異なるHBV特異性を有するモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体からなるので、それらは、HBV感染の診断、評価及び予後に、並びにHBVタンパク質の分化及び特異性の研究に有用となろう。
別のアッセイ形式においては、突然変異HBVに対する抗体及び/または抗原の存在を以下のように同時アッセイにおいて検出し得る。検査試料を、固相に付着された第1被分析物質に特異的な第1結合メンバーを含む第1被分析物質用捕獲剤と、第2固相に付着された第2被分析物質に対する第1結合メンバーを含む第2被分析物質用捕獲剤とに同時に接触させ、それによって混合物を形成する。この混合物を、捕獲剤/第1被分析物質複合体及び捕獲剤/第2被分析物質複合体を形成するのに十分な時間及び条件下でインキュベートする。このように形成された複合体を、シグナル生成化合物で標識された第1被分析物質に特異的な結合対のメンバーを含む指示薬と、シグナル生成化合物で標識された第2被分析物質に特異的な結合対のメンバーを含む指示薬とに接触させ、第2混合物を形成する。この第2混合物を、捕獲剤/第1被分析物質/指示薬複合体及び捕獲剤/第2被分析物質/指示薬複合体を形成するのに十分な時間及び条件下でインキュベートする。1種以上の被分析物質の存在は、検査試料中の1種以上の被分析物質の存在の指標として、いずれか一方または両方の固相上に形成された複合体に関連して生成されたシグナルを検出することにより判定し得る。このアッセイ形式においては、ヒト発現系から誘導されたタンパク質を、本明細書に記載のごとき哺乳動物発現系から誘導されたタンパク質から生成されるモノクローナル抗体と同様に使用し得る。かかるアッセイ系は、参照により本明細書に包含されるものとする欧州特許出願公開第0473065号明細書に対応する係属米国特許出願第07/574,821号明細書、発明の名称“Simultaneous Assay for Detecting One Or More Analytes”に詳述されている。
更に別のアッセイ形式においては、組換えタンパク質を使用して検査試料中の抗突然変異HBVの存在を検出し得る。例えば、検査試料を、少なくとも1種の組換えタンパク質を付着させた固相と一緒にインキュベートする。これらを、抗原/抗体複合体を形成するのに十分な時間及び条件下で反応させる。インキュベーション後、抗原/抗体複合体を検出する。選択したアッセイ系に従い、指示薬を使用して検出を容易にし得る。別のアッセイ形式においては、検査試料を、本明細書に記載のごとく製造された組換えタンパク質を付着させた固相と接触させると共に、好ましくは指示薬で標識された、該タンパク質に特異的なモノクローナルまたはポリクローナル抗体と接触させる。抗体/抗原複合体を形成するのに十分な時間及び条件下でインキュベートした後、固相を遊離相から分離し、HBV抗体の存在の指標としての標識を固相または遊離相において検出する。本発明のタンパク質を使用する他のアッセイ形式も考えられる。それらには、検査試料を、哺乳動物発現系中で産生させた少なくとも1種の組換えタンパク質を付着させた固相と接触させ、固相及び検査試料を、抗原/抗体複合体を形成するのに十分な時間及び条件下でインキュベートし、次いで固相を標識組換え抗原と接触させることを含む。このようなアッセイその他が、参照により本明細書に包含されるものとする係属米国特許出願第07/787,710号明細書に記載されている。
本発明を固相を使用する場合について記載したが、本発明のタンパク質は非固相アッセイ系においても使用し得る。このようなアッセイ系は当業者には公知であり、本発明の範囲に含まれるものとする。
材料及び方法
一般方法
特に記載のない限り、本発明の実施には、分子生物学、微生物学、組換えDNA及び免疫学の分野における慣用的な公知の技術及び方法を使用することができる。かかる技術は文献に詳述されている。例えば,T.Maniatisら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第2版,Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989);D.N.Glover編,DNA Cloning,Volumes I and II(1985);M.J.Gait編,Oligonucleotide Synthesis,(1984);B.D.Hamesら編,Nucleic Acid Hybridization,(1984);B.D.Hamesら編,Transcription and Translation,(1984);R.I.Freshney編,Animal Cell Culture,(1986);Immobilized Cells and Enzymes,IRL Press(1986);B.Perbal,A Practical Guide to Molecular Cloning,(1984);シリーズ,Methods in Enzymology,Academic Press,Inc.,Orlando,Florida;J.H.Millerら編,Gene Transfer Vectors For Mammalian Cells,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,N.Y.(1987);Wuら編,Methods in Enzymology,Vol.154及び155;Mayerら編,Immunological Methods In Cell and Molecular Bilogy,Academic Press,London(1987);Scopes,Protein Purification:Principles and Practice,第2版,Springer−Verlag,N.Y.;及び、D.Weirら編,Handbook Of Experimental Immunology,Volumes I−IV(1986)参照。
本発明の試薬及び方法は、突然変異HBV感染個体の血漿、血清または肝ホモジネート中に存在する核酸配列から誘導されたゲノムライブラリーから単離された極めて相同性のあるヌクレオチド配列群を与えることにより実現可能となる。突然変異HBV感染ヒト由来の血清、血漿または肝ホモジネートは、このポリペプチドに結合する抗体を含むが、非感染ヒト由来の血清、血漿または肝ホモジネートはこのポリペプチドに対する抗体を含まない。つまり、未感染個体由来の血清はこのポリペプチドに対する抗体を含まず、該抗体は、急性HBV感染後の個体で誘導される。
核酸配列を入手し得ることにより、突然変異HBV感染が原因の肝炎を診断したり、血液ドナー、献血血液、血液製剤及び個体を感染についてスクリーニングすることにおいて有用なDNAプローブ及びポリペプチドを構築し得る。例えば、該配列から、例えばウイルスを保有する疑いのある被検者の血清中のウイルスゲノムの存在を検出するためのハイブリダイゼーションプローブとして有用であったり、また献血血液中のウイルスの存在をスクリーニングするのに有用な、約8〜10ヌクレオチドまたはそれ以上のDNAオリゴマーを合成し得る。当該核酸配列群により、突然変異HBVに感染した際に生成される抗体の存在に対する診断試薬として有用な、突然変異HBV特異的ポリペプチドを設計及び製造し得る。該核酸配列から誘導される精製ポリペプチドに対する抗体を使用し、感染個体及び血液中のウイルス性抗原を検出することもできる。かかる核酸配列により、突然変異HBVに対するワクチンとして、及び抗体を製造するために使用し得るポリペプチドを設計及び製造することが可能となり、次いでそれを、疾患の予防及び/または突然変異HBV感染個体の治療に使用し得る。
上記配列及びかかる配列から誘導されるポリペプチド、並びにかかるポリペプチドに対する抗体も、突然変異HBV原因物質の単離及び同定に有用である。例えば、かかる核酸配列から誘導されるポリペプチド中に含まれる突然変異HBVエピトープに対する抗体をアフィニティークロマトグラフィーに基づく方法で使用し、ウイルスを単離することができる。或いは、該抗体を使用し、他の方法で単離したウイルス粒子を同定することもできる。単離したウイルス粒子中のウイルス性抗原及びゲノム材料を更に特性分析することもできる。
更に突然変異HBVゲノムの配列を決定すること、突然変異HBV抗原を特性分析すること、及びゲノムを特性分析することにより得られる情報により、突然変異HBVに誘発される肝炎の診断、予防及び治療に、及び感染血液及び血液関連製剤のスクリーニングに使用し得る別のプローブ及びポリペプチド並びに抗体を設計及び合成することができる。
かかる核酸配列が誘導されるゲノムから誘導される抗原、抗体及びポリヌクレオチドを含む、突然変異HBVに対するプローブを入手し得ることから、突然変異HBVの生物学的特性を明らかにすることに特に使用される組織培養系の開発が可能となる。一旦これが既知となれば、突然変異HBVの複製またはその感染を優先的に阻害する抗ウイルス性化合物をベースにして新規の治療方法を開発し得ると考えられる。
HBVの原因物質を同定及び単離するのに使用される方法においては、感染個体、好ましくはチンパンジーまたはヒト由来の感染血清、血漿または肝ホモジネート中に存在する核酸からゲノムライブラリーを作製する。ライブラリーは、核酸配列内にコードされているポリペプチドを発現し得るベクター内に作製される。原因物質(突然変異HBV)のポリペプチドの免疫学的に反応性のフラグメントを発現した、該ベクターを含む宿主細胞のクローンを、ライブラリーの発現産物を、既に該推定物質に感染している別の個体に由来する抗体含有個体成分を用いて免疫学的スクリーニングすることにより選択する。免疫学的スクリーニングのステップには、クローン化核酸配列を含むベクターの発現産物を、第2感染個体の抗体含有個体成分と相互作用させ、発現産物と第2感染個体の抗体とによる抗原−抗体複合体の形成を検出することを含む。発現産物を、該推定物質に感染している他の個体の抗体含有体成分と相互作用させ、感染個体由来の抗体を含む抗原−抗体複合体の形成を検出し、感染個体及び該物質に感染している疑いのある個体由来の抗体とは免疫学的に反応するが、対照個体とは反応しないポリペプチドをコードする核酸配列含有ベクターを単離する。核酸配列ライブラリーの構築及び免疫学的スクリーニングに使用される感染個体は同じ種である必要はない。この方法で単離される核酸配列及びそれらの発現産物並びに該発現産物に対する抗体は、該原因物質の特性分析及び/または捕獲に有用である。この方法は、参照により本明細書に包含されるものとする欧州特許出願公開第0 318 216号明細書に教示されている。
核酸配列の作成
急性又は慢性突然変異HBV感染を有する下記パラメーター内で基準に合致する個体からの個々の血清、血漿又は肝臓ホモジネート又はそのプールを使用してウイルス粒子を単離する。これらの粒子から単離した核酸をウイルスゲノムに対するゲノムライブラリーの構築で鋳型として使用する。突然変異HBV粒子を単離し、当業者に公知のλ−gt11又は類似のシステムでゲノムライブラリーを構築するために使用する手順を以下に説明する。λ−gt11はβ−ガラクトシダーゼとの融合ポリペプチドとして挿入cDNAを特異的に発現させ、規定抗原に対する特異抗血清で多数の組換えファージをスクリーニングするために開発されたベクターである。cDNAを含むcDNAプールから生成されるλ−gt11 cDNAライブラリーを、突然変異HBVに起因する肝炎の既往個体からの血清と特異的に結合することが可能なコード化エピトープについてスクリーニングする。V.Hunyhら,D.Glover編,DNA Cloning Techniques;A Practical Approach,IRL Press,Oxford,England,pp.49−78(1985)を参照されたい。約106〜107個のファージをスクリーニングして陽性ファージを同定、精製後、突然変異HBV物質に先に感染した各個体からの血清と結合する特異性を試験する。下記基準に合致する患者に由来し且つこれらの基準に合致しない患者には存在しない血清又は血漿と選択的に結合するファージがその後の試験に好適である。
オーバーラップする核酸配列を単離する方法を使用することにより、付加的な上流及び下流突然変異HBV配列を含むクローンが得られる。これらのクローンの単離を以下で説明する。
単離クローン内でコードされる突然変異HBV核酸配列のヌクレオチド配列を分析し、複合配列が1つの長い連続ORFを含むか否かを決定する。突然変異HBV配列ライブラリーから回収される配列(及びその相補体)は本明細書に記載されており、これらの配列又はその任意部分は、合成法を使用して調製してもよいし、本明細書に記載すると同様の方法を使用して合成法を部分配列の回収と組み合わせることにより調製してもよい。この記載は、完全突然変異HBVゲノムに対応するゲノム配列を単離することが可能な方法に関する。しかしながら、これらの配列を単離するための他の方法も当業者に自明であり、本発明の範囲内であるとみなされる。
突然変異HBV核酸配列ライブラリーからの複製株はブタペスト条約に基づき12301 Parklawn Drive,Rockville,Maryland 20852に所在のAmerican Type Culture Collectionに寄託し、寄託日から30年間、最新の試料分譲請求から5年間、又は米国特許の存続期間のうちのいずれか最長の期間保管される。上記寄託株及び本明細書に記載する他の全寄託材料は便宜の目的で呈示するに過ぎず、本明細書中の教示に鑑みて本発明を実施するために必要ではない。
ウイルスポリペプチド及びフラグメントの調製
核酸配列を入手できることにより、いずれかの鎖でコードされるポリペプチドの抗原活性領域をコードする発現ベクターを構築することができる。これらの抗原活性領域は、エンベロープ(コート)抗原から誘導される。所望のポリペプチドをコードするフラグメントは慣用制限消化又は合成法によりゲノムクローンから得られ、例えばβ−ガラクトシダーゼ(β−gal)、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)又はCMP−KDOシンテターゼ(CKS)等の融合配列の部分を含み得るベクターに連結される。SODの融合配列を含むポリペプチドの製造に有用な方法及びベクターは1986年10月1日付け公開EPO第0196056号に記載されており、CKSの融合配列を含むポリペプチドの製造に有用な方法及びベクターは1989年9月13日付け公開EPO第0331961号に記載されている。これらは参考として本明細書に組み入れる。いずれかの方向の鎖においてオープンリーディングフレームを含む核酸配列の任意の所望部分は成熟又は融合タンパク質等の組換えタンパクとして得られ、あるいは突然変異HBVゲノムでコードされるポリペプチドを化学的合成により提供することもできる。
融合又は成熟形態のいずれかに関係なく、また分泌を可能にするシグナル配列を含むか否かに関係なく、所望のポリペプチドをコードする核酸配列を任意の適当な宿主に適切な発現ベクターに連結することができる。当該技術分野では真核及び原核両者の宿主系を使用して組換えタンパク質を形成することができ、本明細書にはこれらの宿主のいくつかを挙げる。次に溶解細胞又は培地からポリペプチドを単離し、所期用途に必要な程度まで精製する。精製は当業者に公知の方法により実施することができ、特に塩析、イオン交換樹脂クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、遠心分離等を使用することができる。このようなポリペプチドは診断薬として又は受動的免疫療法に使用することができる。更に、これらのポリペプチドに対する抗体は、突然変異HBV粒子を単離及び同定するために有用である。突然変異HBV抗原は突然変異HBVビリオンからも単離することができる。これらビリオンは組織培養物又は感染個体中の突然変異HBV感染細胞中で増殖させることができる。
抗原性ポリペプチドの調製及び固相との結合
ポリペプチドの抗原性領域又はフラグメントは比較的小さく、通常約8〜10アミノ酸長又はそれ以下である。2〜5アミノ酸程度のフラグメントでも抗原性領域を特徴付けることができる。これらのセグメントは突然変異HBV抗原の複数の領域に対応し得る。突然変異HBVゲノム配列を基本として使用することにより、突然変異HBVポリペプチドの短いセグメントをコードする核酸配列を融合タンパク質又は単離ポリペプチドとして組換えにより発現させることができる。これらの短いアミノ酸配列は、化学的合成によっても得られる。化学的に合成された小さいポリペプチドは、得られた合成ポリペプチドが適正なエピトープを提供するように適正に配置されており且つ抗原性となるには小さ過ぎる場合に適切なキャリヤー分子に結合され得る。結合方法は当業者に公知であり、非限定的な例としては、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルチオ)プロピオネート(SPDP)及びスクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)を使用する。システイン残基を加えることにより、スルフヒドリル基をもたないポリペプチドを修飾することができる。これらの物質は、該物質と一方のタンパク質上のペプチドシステイン残基の間にジスルフィド結合を生成し、他方のタンパク質中のリシン上のε−アミノ又は他の遊離アミノ基を介してアミド結合を生成する。このような種々のジスルフィド/アミド形成物質は公知である。他の2官能カップリング剤はジスルフィド結合でなくチオエステルを形成する。これらのチオエーテル形成剤の多くは市販されており、当業者に公知である。そのカルボキシ基は、スクシンイミド又は1−ヒドロキシ−2−ニトロ−4−スルホン酸ナトリウム塩と結合させることにより活性化することができる。宿主に有害な抗体の産生をそれ自体誘導しないものであれば、任意のキャリヤーを使用することができる。適切なキャリヤーとしては、特にタンパク質、多糖類(例えばラテックス官能化セファロース、アガロース、セルロース、セルロースビーズ)、ポリマーアミノ酸(例えばポリグルタミン酸、ポリリシン、アミノ酸コポリマー)及び不活性ウイルス粒子を挙げることができる。タンパク質基質の例としては、血清アルブミン、アオガイヘモシアニン、イムノグロブリン分子、チログロブリン、オボアルブミン、破傷風毒素及び当業者に公知の他のタンパク質を挙げることができる。
HBVエピトープを含むハイブリッド粒子免疫原の調製
突然変異HBVエピトープの免疫原性は、粒子形成タンパク質と融合又は結合(例えばHBV表面抗原に会合)した哺乳動物又は酵母系で調製することにより強化することもできる。粒子形成タンパク質をコードする配列に突然変異HBVエピトープを直接結合した構築物は、突然変異HBVエピトープに対して免疫原性のハイブリッドを生成する。更に、調製される全ベクターは変動免疫原性度を有する突然変異HBVに対して特異的なエピトープを含む。突然変異HBV配列を含む粒子形成タンパク質から構築される粒子は突然変異HBVに対して免疫原性である。
B型肝炎表面抗原はS.cerevisiae及び哺乳動物細胞中で形成されて粒子に結合することが確認され、これらの粒子の形成はモノマーサブユニットの免疫原性を強化することが報告されている。P.Valenzuelaら,Nature 298:334(1982);P.Valenzuelaら,I.Millmanら編,Hepatitis B,Plenum Press,pp.225−236(1984)。構築物はHBsAgの免疫優性エピトープを含み得る。このような構築物は酵母で発現可能であることが報告されており、酵母発現のための異種ウイルス配列を含むハイブリッドが開示されている。例えばEPO第174,444号及びEPO第174,261号を参照されたい。これらの構築物はチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞等の哺乳動物細胞で発現され得ることも報告されている。Michelleら,International Symposium on Viral Hepatitis,1984を参照されたい。HBVにおいては粒子形成タンパク質をコードする配列の部分を、HBVエピトープをコードするコドンで置換することができる。この置換では、酵母又は哺乳動物中で免疫原性粒子を形成するための単位の凝集を媒介するために不要な領域を削除し、こうしてHBVエピトープとの競合から付加的なHBV抗原部位を排除することができる。
ワクチン製造
ワクチンは、突然変異HBV核酸配列又は該核酸配列に対応する突然変異HBVゲノムに由来する1種以上の免疫原性ポリペプチドから製造することができる。ワクチンは突然変異HBVのエピトープを含む組換えポリペプチドを含み得る。これらのポリペプチドは細菌、酵母又は哺乳動物細胞中で発現させてもよいし、あるいはウイルス調製物から単離してもよい。種々の構造タンパク質が防御抗突然変異HBV抗体を誘導する突然変異HBVのエピトープを含み得ることも予想される。従って、突然変異HBVの少なくとも1個のエピトープを含むポリペプチドを突然変異HBVワクチン中で単独又は組み合わせて使用することができる。更に、非構造タンパク質及び構造タンパク質は、中和抗体を産生しないとしても、ウイルス病原性に対する防御を提供し得ると予想される。
上記に鑑み、突然変異HBVに対する多価抗体は、122位に2個のアミノ酸(N−T)が挿入されたタンパク質を含み得る。これらのワクチンは例えば組換え突然変異HBVポリペプチド及び/又はビリオンから単離されたポリペプチドから構成され得る。更に、ワクチンに不活化突然変異HBVを使用することも可能であり得る。このような不活化はウイルス溶解物を調製してもよいし、肝炎様ウイルスの不活化を生じることが当業者に知られている他の手段、例えば有機溶媒もしくは界面活性剤による処理、又はホルマリン処理により実施してもよい。本発明では弱毒突然変異HBV株調製物も開示する。突然変異HBVにおけるタンパク質には他の公知ウイルスと交差反応できるものもあり、従って、突然変異HBVと他のウイルスとの間に共有エピトープが存在し、これらの病原物質により生じる疾患の1種以上に対する防御抗体をもたらすと予想される。この確信に基づいて多重目的ワクチンを設計できることが予想される。
少なくとも1種の免疫原性ペプチドを活性成分として含むワクチンの調製は当業者に公知である。典型的には、このようなワクチンは溶液又は懸濁液としての注射剤として調製される。注射前に液体に溶解又は懸濁するのに適切な固体形態も製造可能である。調製物を乳化してもよいし、タンパク質をリポソームに封入してもよい。活性免疫原性成分は多くの場合には活性成分と適合可能な医薬的に許容可能な賦形剤と混合する。適切な賦形剤の非限定的な例としては、水、食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノール等が挙げられ、種々の量のこれらの賦形剤を組み合わせて使用してもよい。ワクチンは更に、湿潤剤、乳化剤、pH緩衝剤及び/又はワクチンの効力を強化するアジュバント等の少量の補助物質も含有し得る。例えば、このようなアジュバントとしては、2%スクアレン/Tween−80(登録商標)エマルジョン中の水酸化アルミニウム、N−アセチル−ムラミル−L−トレオニル−D−イソグルタミン(thr−DMP)、N−アセチル−ノルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(CGP 11687、別称nor−MDP)、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’,2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)エチルアミン(CGP 19835A、別称MTP−PE)及びRIBI(MPL+TDM+CWS)が挙げられる。アジュバントの効力は、同様に種々のアジュバントから構成されるワクチン中のポリペプチドを投与する結果としてHBV抗原配列を含む免疫原性ポリペプチドに対する抗体の量を測定することにより決定することができる。
ワクチンは通常、静脈内又は筋肉内注射により投与される。他の投与方法に適切な別の製剤には座薬があり、場合によっては経口製剤でもよい。座薬の場合、慣用バインダー及びキャリヤーの非限定的な例としてはポリアルキレングリコール又はトリグリセリドが挙げられる。このような座薬は約0.5%〜約10%、好ましくは約1%〜約2%の活性成分を含有する混合物から形成することができる。経口製剤は例えば医薬グレードのマンニトール、ラクトース、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、ナトリウムサッカリン、セルロース、炭酸マグネシウム等のような一般に使用される賦形剤を含有する。これらの組成物は溶液、懸濁液、タブレット、ピル、カプセル、徐放製剤又は散剤の形態をとることができ、約10%〜約95%、好ましくは約25%〜約70%の活性成分を含有し得る。
ワクチン中で使用するタンパク質は中性又は塩形態としてワクチンに配合され得る。医薬的に許容可能な塩としては、(ペプチドの遊離アミノ基と共に形成され且つ)無機酸(例えば塩酸もしくはリン酸)又は有機酸(例えば酢酸、蓚酸、酒石酸、マレイン酸)と共に形成される酸付加塩や、当業者に公知の他の塩を使用することができる。遊離カルボキシル基と共に形成される塩は無機塩基(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、水酸化鉄(III)等)及び有機塩基(例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、2−エチルアミノエタノール、ヒスチジンプロカイン)及び当業者に公知の他の塩基から誘導され得る。
ワクチンは剤形に適合可能な方法で且つ予防及び/又は治療上有効な量を投与される。投与量は一般に1回に抗原約5μg〜約250μgであり、被投与患者、患者の免疫系の抗体合成能力及び所望の防御度に依存する。投与するために必要な活性成分の厳密な量は処方医の判断にも依存し、患者毎に異なる。ワクチンは単一投与スケジュールで投与してもよいし、多重投与スケジュールで投与してもよい。多重投与では、1〜10回に分けて一次ワクチン接種過程を実施した後、免疫応答を維持及び/又は強化するために必要な期間後、例えば1〜4カ月後に二次投与を実施し、個体が必要とする場合には更に数カ月後にも投与する。投与計画は少なくとも一部には個体の必要により決定され、処方医の判断による。免疫原性突然変異HBV抗原を含有するワクチンは他の免疫調節剤、例えば免疫グロブリンと併用投与し得ることが予想される。
突然変異HBVエピトープに対する抗体の製造
本明細書中に記載するように調製した免疫原性ペプチドを使用してポリクローナル又はモノクローナル抗体を製造する。ポリクローナル抗体を製造する際には、選択した哺乳動物(例えばマウス、ウサギ、ヤギ、ウマ等)を少なくとも1種の突然変異HBVエピトープを有する免疫原性ポリペプチドで免疫感作する。免疫感作した動物からの血清を適当なインキュベーション時間後に収集し、公知手順に従って処理する。突然変異HBVエピトープに対するポリクローナル抗体を含有する血清が他の抗原に対する抗体を含有する場合には、例えばイムノアフィニティークロマトグラフィーによりポリクローナル抗体を精製することができる。ポリクローナル抗体を製造及び処理するための方法は当業者に公知であり、特にMayerとWalker編,Immunochemical Methods In Cell and Molecular Biology,Academic Press,London(1987)に記載されている。ポリクローナル抗体を単離することもできる。ポリクローナル抗体は先にHBVに感染した哺乳動物からも得られる。アフィニティークロマトグラフィーを使用して突然変異HBVに感染した個体の血清から突然変異HBVエピトープに対する抗体を精製するための方法の1例をここに記載する。
突然変異HBVエピトープに対するモノクローナル抗体も当業者により製造することができる。このような抗体を製造するための一般方法は周知であり、例えばKohlerとMilstein,Nature 256:494(1975)に記載されており、J.G.R.Hurrel編,Monoclonal Hybridoma Antibodies:Techniques and Applications,CRC Press Inc.,Boco Raton,FL(1982)に考察されており、L.T.Mimmsら,Virology 176:604−619(1990)により教示されている。不滅抗体産生細胞系は細胞融合により作成することができ、オンコジーンDNAによるBリンパ球の直接形質転換又はエプスタイン−バールウイルスによるトランスフェクション等の他の方法により作成することもできる。同様にM.Schreierら,Hybridoma Techniques,Scopes(1980)Protein Purification,Principles and Practice,第2版,Springer−Verlag,New York(1984);Hammerlingら,Monoclonal Antibodies and T−Cell Hybridomas(1981);Kennetら,Monoclonal Antibodies(1980)を参照されたい。HCVに対するモノクローナル抗体の使用及び技術の例は米国特許出願第748,292号、748,563号、610,175号、648,473号、648,477号及び648,475号に開示されている。
こうして開発された突然変異HBVエピトープに対するモノクローナル及びポリクローナル抗体は診断及び予後用途に有用であり、更に中和抗体は受動的免疫療法で有用である。モノクローナル抗体は特に抗イディオタイプ抗体を製造するために使用することができる。これらの抗イディオタイプ抗体は防御が所望される感染物質の抗原の「内部像」を有するイムノグロブリンである。例えば、A.Nisonoffら,Clin.Immunol.Immunopath.21:397−406(1981)及びDreesmanら,J.Infect.Dis.151:761(1985)を参照されたい。このようなイディオタイプ抗体を誘導するための方法は当業者に公知であり、例えばGrychら,Nature 316:74(1985);MacNamaraら,Science 226:1325(1984);及びUytdehaagら,J.Immunol.134:1225(1985)に例示されている。これらの抗イディオタイプ抗体はHBV感染の治療及びHBV抗原の免疫原性領域の解明にも有用であり得る。
診断オリゴヌクレオチドプローブ及びキット
単離した突然変異HBV核酸配列の所定部分を基材として用いて、突然変異HBVゲノムとハイブリダイズし、ウイルス剤の同定、ウイルスゲノムの更なる特性分析、及び罹患した個体でのウイルス検出に有用である約8ヌクレオチド以上のオリゴマーを切り出し又は合成により産生することができる。突然変異HBVポリヌクレオチド用の天然又は誘導プローブは、ハイブリダイゼーションによる単一ウイルス配列の検出を可能とする長さである。6〜8ヌクレオチドが処理可能な長さであり得るが、10〜12ヌクレオチドの配列が好ましく、約20ヌクレオチドの配列が最も好ましいものであり得る。これらの配列が異質性に欠けた領域から誘導されることが好ましい。これらのプローブは、自動化オリゴヌクレオチド合成方法を含む常用の標準的な方法を用いて製造することができる。突然変異HBVゲノムの任意の単一部分の相補体は満足すべきものであろう。完全相補性は、断片長さが増せば不要であり得るが、プローブとして使用するには望ましい。
診断試薬として使用するときには、血液又は血清のような分析すべき生物試験試料を処理してもよく、例えば試料内に含まれる核酸を抽出する。試料から得られた核酸をゲル電気泳動又は他のサイズ分離技術に付してもよいし、核酸試料をサイズ分離せずにドットブロットしてもよい。次いで、プローブを標識する。ラベルをプローブに付着させるための適切なラベル及び方法は当業界では公知であり、ニックトランスレーション又はキナージング(kinasing)により取り込まれる放射性ラベル、ビオチン、蛍光及び化学発光プローブが含まれるが、これらに限定はされない。これらのラベルの例は多数本明細書に開示されている。次いで、試料から抽出した核酸を、適切な厳密度のハイブリダイゼーション条件下にて標識プローブで処理する。
プローブを突然変異HBVゲノムに対して完全に相補的にすることができる。従って、通常は偽陽性を回避するために厳密度の高い条件(high stringency conditions)が望ましい。しかしながら、厳密度の高い条件は、プローブが異質性に欠けた突然変異HBVゲノムの領域に相補的である場合にのみ使用すべきである。ハイブリダイゼーションの厳密度は、洗浄手順中の幾つかの要素(例えば温度、イオン強度、時間及びホルムアミド濃度)により決定される。例えばT.Maniatis(上掲)を参照されたい。ハイブリダイゼーションは幾つかの様々な技術(例えばリガーゼ連鎖反応(LCR)、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR))により実施することができる。これらの技術は本明細書に記載する。
突然変異HBVゲノム配列は、例えば約102〜103個の配列/mlの比較的低レベルで、感染した個体の血清中に存在し得ると考えられる。このレベルでは、ハイブリダイゼーションアッセイで、リガーゼ連鎖反応又はポリメラーゼ連鎖反応のような増幅技術を使用する必要があり得る。このような技術は当業界では公知である。例えば、“バイオブリッジ”系は末端デオキシヌクレオチドトランスフェラーゼを用いて、非改変3’−ポリ−dT−テールを核酸プローブに付加する(Enzo Biochem.Corp.)ポリ−dT−テールを有するプローブを標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズし、次いでビオチン改変ポリ−Aにハイブリダイズする。更には、被分析物質を、酵素標識オリゴヌクレオチドと相補的な一本鎖DNAプローブにアニーリングし、得られたテール付き二本鎖を酵素標識オリゴヌクレオチドにハイブリダイズするDNAハイブリダイゼーションアッセイがヨーロッパ特許第124221号に記載されている。ヨーロッパ特許第204510号は、被分析物質DNAを、テール(例えばポリ−dT−テール)を有するプローブ、及びプローブのテールにハイブリダイズする配列(例えばポリ−A配列)を有し、複数の標識鎖と結合し得るアンプリファイア鎖と接触させるDNAハイブリダイゼーションアッセイを記載している。この技術はまず、血清中の標的HBV配列を約106個の配列/mlに増幅することからなり得る。これは、Saiki等、Nature 324:163(1986)に記載の方法に従って実施され得る。次いで、増幅した配列を、当業界では公知のようなハイブリダイゼーションアッセイを用いて検出することができる。標識され得るプローブ核酸配列を含む診断キットにプローブをパッケージすることができる。あるいは、プローブを標識せずに、標識用成分をキットに含ませてもよい。キットは更に、特定のハイブリダイゼーションプロトコルに必要な又は望ましい他の適切にパッケージされた試薬や材料、例えばアッセイ実施のための標準物や指示書を含み得る。
イムノアッセイ及び診断キット
突然変異HBV抗体及びその複合体を含む血清と免疫反応するポリペプチド、及びこれらのポリペプチド中の突然変異HBV特異エピトープに対する抗体は共に、生物試験試料中での突然変異HBV抗体の存在又はウイルス及び/もしくはウイルス抗原の存在を検出するイムノアッセイで有用である。これらのイムノアッセイの設計は変形を受けることが多く、これらの変形は当業界では公知である。これらの変形は本明細書に記載する。イムノアッセイは、1個のウイルス抗原(例えば突然変異HBV核酸配列を含むクローン、又はこれらのクローン中の突然変異HBV核酸配列に由来する複合核酸配列、又はこれらのクローン中の核酸配列のソースである突然変異HBVゲノムから誘導されるポリペプチド)を使用し得る。あるいは、このイムノアッセイは、これらのソースから誘導されるウイルス抗原を組み合わせて使用してもよい。イムノアッセイは例えば、同一ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体、又は異なるウイルス抗原に対するポリクローナル抗体を使用し得る。アッセイには、競合アッセイ、直接反応アッセイ又はサンドイッチ型アッセイに基づくものが含まれるが、これらに限定はされない。アッセイは固相を使用してもよいし、免疫沈殿又は固相を使用しない他の任意の方法で実施してもよい。ラベルをシグナル生成化合物として使用するアッセイや、これらのラベルの例は本明細書に記載する。シグナルは更に、係属中の米国特許出願第608,849号、第070,647号、第418,984号、及び第687,785号に記載のビオチン及びアビジン、酵素ラベル又はビオチン抗ビオチン系を使用して増幅してもよい。突然変異HBVの免疫優性領域に由来するエピトープを含む組換えポリペプチドは、感染個体の生物試験試料でウイルス抗体を検出するのに有用であり得る。抗体は、急性感染と非急性感染とを識別するのに有用であり得るとも考えられる。適切な材料(例えば突然変異HBVエピトープ又は突然変異HBVエピトープに対する抗体を含む本発明のポリペプチド)を、アッセイの実施に必要な他の試薬や材料、及び適切なアッセイ指示書と一緒に適切な容器にパッケージングすることにより、適切な試薬を含んだ免疫診断に適したキットを製造する。
プローブを用いたHBVゲノム、ビリオン及びウイルス抗原の異なる特性分析
突然変異HBV核酸配列を使用して、突然変異HBVゲノムの配列、並びに突然変異HBVの同定及び単離について更なる情報を得ることができる。この情報により、付加的なポリヌクレオチドプローブ、HBVゲノムに由来するポリペプチド、及び突然変異HBVエピトープに対する抗体を得ることができる。これらは、突然変異HBV肝炎の診断及び/又は治療に有益である。
核酸配列情報は、突然変異HBVゲノムのエンベロープ領域に由来する付加的な核酸配列の単離用のプローブの設計に有用である。例えば、8個以上、好ましくは20個以上のヌクレオチドの配列を含み、突然変異HBV核酸配列の5’末端又は3’末端に近い領域に由来する標識プローブを使用して、重複核酸配列を突然変異HBVゲノムライブラリーから単離してもよい。次いで、突然変異HBV核酸配列と重複するが、該突然変異HBV核酸配列のソースではないゲノムの領域に由来する配列を更に含んでいる前記配列を使用して、必ずしもクローン中の核酸配列とは重複しない他の重複断片を同定するためのプローブを合成してもよい。突然変異HBVゲノムがセグメント化されず、セグメントに共通配列がなければ、ウイルスゲノムに由来する重複核酸配列の単離技術を使用して、全ウイルスゲノムの配列を決定することが可能である。考えられないことであるが、もしゲノムが、共通配列の欠けたセグメント化ゲノムであれば、クローンの単離及び配列決定について記載した技術を用いて、λ−gt11突然変異HBVゲノムライブラリーをスクリーニングし、突然変異HBVゲノム単離物の配列を決定し、単離した突然変異HBV核酸配列により重複断片を単離して、ゲノム配列を血清学的に調べることができる。あるいは、精製した突然変異HBV粒子から単離したウイルスゲノムから、ゲノムセグメントの特性分析を行うことができる。突然変異HBV粒子を精製し、精製手順中に該粒子を検出する方法は本明細書に記載する。ウイルス粒子からポリヌクレオチドゲノムを単離する手順は当業界ではよく知られている。次いで、単離したゲノムセグメントをクローニングして配列決定することができる。従って、突然変異HBVゲノムをその種類とは関係なくクローニングして配列決定することが可能である。
突然変異HBVゲノムライブラリーの構築方法は当業界では公知であり、このために有用なベクターも当業界では公知である。これらのベクターには、λ−gt11、λ−gt10等が含まれる。単離したポリヌクレオチドを適切な制限酵素で消化して、突然変異HBVゲノムライブラリー由来のプローブにより検出される突然変異HBV由来の核酸配列をクローンから単離し、配列決定してもよい。
これらの重複突然変異HBV核酸配列に由来する配列情報は、ウイルスゲノム内の相同性エリア及び異質性エリアを決定するのに有用である。これは、種々のゲノム株及び/又は欠陥粒子集団の存在を示し得る。これは、本明細書に記載の技術を使用して、突然変異HBVの単離中に、生物試料中の突然変異HBV又は突然変異HBV抗原又は突然変異HBV核酸を検出するためのハイブリダイゼーションプローブの設計にとっても有用である。重複核酸配列を使用して、突然変異HBVゲノム由来のポリペプチドに対する発現ベクターを産生してもよい。突然変異HBVに対して単一であると考えられるエピトープを含む抗原は核酸配列ファミリー内にコードされる。即ち、これらの抗原に対する抗体は、HAV、HCV及びHEVに感染した個体には存在せず、Genebankのゲノム配列を用いれば、これらの核酸配列と前記ソースのポリヌクレオチド配列との間に最小の相同性が存在することを示すと考えられる。従って、突然変異HBV核酸配列でコードされた抗原に対する抗体を使用して、感染個体から単離した突然変異HBV粒子を同定してもよい。更には、これらは突然変異HBV物質の単離にも有用である。
突然変異HBV粒子は、例えばサイズ識別をベースとする技術(例えば沈降もしくは排除法)、又は密度をベースとする技術(例えば密度勾配超遠心分離、もしくはポリエチレングリコール(PEG)のような物質による沈殿、もしくはアニオンもしくはカチオン交換材料や、疎水性相互反応により結合する材料、及び親和性カラムのような様々な材料でのクロマトグラフィー)を含む当業界で公知の任意の方法により、感染個体の血清又は細胞培養物から単離することができる。単離手順中に、突然変異HBV核酸配列に由来するプローブを用いて抽出ゲノムのハイブリダイゼーション分析を行って、又は突然変異HBV核酸配列ファミリー内にコードされた突然変異HBV抗原に対する抗体をプローブとして使用するイムノアッセイにより、突然変異HBVの存在を検出することができる。抗体はポリクローナルであっても、モノクローナルであってもよく、抗体をイムノアッセイで使用する前に精製することが所望され得る。固相に固定化した突然変異HBV抗原に対する前記抗体は、イムノアフィニティークロマトグラフィーによる突然変異HBVの単離に有用である。イムノアフィニティークロマトグラフィー法は当業界では公知であり、免疫選択活性を保持するように抗体を固相に固定化する方法を含んでいる。これらの方法には、吸着及び共有結合が含まれる。抗体の抗原結合部位が接近可能なままであるように、二官能価カップリング剤にスペーサー基を含ませてもよい。
精製手順中に、HBVゲノム配列ファミリー、及び重複突然変異HBV核酸配列に由来するポリヌクレオチドをプローブとして使用して、突然変異HBVの存在を核酸ハイブリダイゼーションにより検出及び/又は検証してもよい。ウイルス粒子の破壊を引き起こす条件下で、例えばキレート化剤の存在下で洗剤を使用して画分を処理し、ウイルス核酸の存在をハイブリダイゼーション技術により調べる。個体(好ましくはチンパンジー)に単離したウイルス粒子を感染させ、次いで本明細書に記載の突然変異HBV肝炎の症状が感染によるものかどうかを調べることにより、単離した粒子が突然変異HBV感染誘発物質である別の確証が得られ得る。
保存された配列を含むポリペプチドの決定は、突然変異HBVゲノムと結合して、単離させ得るプローブを選択するのに有用であり得る。更には、保存された配列を、突然変異HBV核酸配列に由来する配列と一緒に使用して、ゲノム配列を増幅する系で使用するプライマーを設計してもよい。更には、突然変異HBVの構造を調べて、その成分を単離してもよい。例えば電子鏡検法により形態及び寸法を調べることができる。抗原が主要ウイルス成分中に存在するのか、少量ウイルス成分中に存在するのかを確かめ、単離した核酸配列内にコードされた特異抗原に対する抗体をプローブとして使用して、特異ウイルスポリペプチド抗原[例えばエンベロープ(コート)抗原又は内部抗原(例えば核酸結合タンパク質もしくはコア抗原)]や、ポリヌクレオチドポリメラーゼを同定して位置を調べることもできる。この情報は、診断及び治療用途に有用であり得る。例えば、ワクチン調製物中に外部抗原を含めることが好ましく、又は恐らく多価ワクチンは、構造タンパク質をコードするゲノムに由来するポリペプチド、及びゲノムの他の部分に由来するポリペプチド(例えば非構造ポリペプチド)からなり得る。
突然変異HBV複製用の細胞培養系及び動物モデル系
一般に、突然変異HBVの培養に適した細胞又は細胞系は、サル腎臓細胞(例えばMK2及びVERO)、ブタ腎臓細胞系(例えばPS)、ハムスター乳児腎臓細胞系(例えばBHK)、マウスマクロファージ細胞系(例えばP388D1、MK1及びMm1)、ヒトマクロファージ細胞系(例えばU−937)、ヒト末梢血白血球、ヒト付着単核細胞、肝細胞系(例えばHUH7及びHepG2)、胚もしくは胚細胞(例えばニワトリ胚線維芽細胞)、又は無脊椎動物、好ましくは昆虫に由来する細胞系(例えばdrosophia細胞系)、更に好ましくは節足動物に由来する細胞系(例えば蚊細胞系もしくはマダニ細胞系)を含み得る。一次肝細胞を培養し、次いでこれに突然変異HBVを感染させることも可能である。あるいは、肝細胞培養物を、感染個体(ヒト又はチンパンジー)の肝臓から誘導することができる。後者の場合は、in vivo感染させてin vitro継代させた(being passaged in vitro)細胞系の例である。更には、種々の不滅化方法を使用して、肝細胞培養物に由来する細胞系を得ることができる。例えば、(肝細胞集団の増菌前後の)一次肝臓培養物を種々の細胞と融合して、安定性を維持することができる。更には、培養物に形質転換ウイルスを感染させるか、形質転換遺伝子をトランスフェクトして、永続的な又は半永続的な細胞系を生成してもよい。更には、肝臓培養物中の細胞を融合して、PehG2のような確定した細胞系にしてもよい。細胞融合方法は当業者にはよく知られており、とりわけPEG、センダイウイルス及びエプスタイン−バールウイルスのような融合剤の使用を含んでいる。
細胞系の突然変異HBV感染は、細胞内へのウイルス侵入を可能とする条件下で、細胞をウイルス調製物と共にインキュベートするような技術により達成され得ると考えられる。細胞に、単離したウイルスポリヌクレオチドをトランスフェクトさせてウイルス調製物を得ることも可能であり得る。組織培養細胞をトランスフェクトする方法は当業界では公知であり、エレクトロポレーション及びDEAE−デキストラン又はリン酸カルシウムによる沈殿を使用する技術が含まれるが、これに限定はされない。クローニングした突然変異HBVゲノムDNAによるトラスフェクションでウイルスが複製され、in vitro増殖する。培養した細胞の他に、ウイルス複製に動物モデル系を使用してもよい。
突然変異HBV抗ウイルス剤のスクリーニング
突然変異HBV用の細胞培養系及び動物モデル系が利用できることから、突然変異HBV複製を阻害する抗ウイルス剤、特に好ましくはウイルス複製を阻害しつつ細胞増殖を可能とする物質のスクリーニングも可能となる。これらのスクリーニング方法は当業界では公知である。一般に、ウイルス複製を支える細胞培養系で抗ウイルス剤がウイルス複製の阻止に及ぼす作用、次いで感染性又はウイルス病原性の阻害、また低レベルの毒性について、抗ウイルス剤を様々な濃度で動物モデル系にて試験する。本明細書に記載する突然変異HBV抗原及び突然変異HBVポリヌクレオチドの検出のための方法及び組成物は、抗ウイルス剤のスクリーニングに有用である。何故ならば、これらは、抗ウイルス剤のウイルス複製への作用の検出については、細胞プラークアッセイ又はID50アッセイよりも恐らく高感度の代替手段となるからである。例えば、本明細書に記載する突然変異HBVポリヌクレオチドプローブを使用して、細胞培養物中に産生されるウイルス核酸の量を定量してもよい。これは、感染細胞核酸を標識した突然変異HBVポリヌクレオチドプローブでハイブリダイズ又は競合ハイブリダイズすることにより実施され得る。更には、抗突然変異HBV抗体を使用して、本明細書に記載するイムノアッセイにより、細胞培養物中の突然変異HBV抗原を同定、定量してもよい。更には、競合アッセイにより感染細胞培養物中の突然変異HBV抗原を定量することが所望され得るので、本明細書に記載する突然変異HBV核酸配列内にコードされるポリペプチドはこれらのアッセイで有用である。一般に、突然変異HBVゲノムDNAに由来する組換え突然変異HBVポリペプチドを標識し、細胞培養系で産生された抗原による、前記標識ポリペプチドと突然変異HBVポリペプチドとの結合の阻害を監視する。これらの方法は、突然変異HBVが細胞死を起こさずに細胞系で複製し得る場合に特に有用である。
突然変異HBV弱毒化株の調製
本明細書に記載する組織培養系及び/又は動物モデル系を用いて、突然変異HBV弱毒化株を単離することが可能であり得る。これらの弱毒化株は、ワクチンとして又はウイルス抗原の単離に有用である。弱毒化株は、細胞培養物及び/又は動物モデルに何度も継代させた後に単離することができる。感染した細胞又は個体での弱毒化株の検出は、当業界で公知の以下の方法に従って達成可能であり、検出には、突然変異HBVにコードされた1種以上のエピトープに対する抗体のプローブとしての使用、又は長さが少なくとも約8ヌクレオチドの突然変異HBV配列を含むポリヌクレオチドのプローブとしての使用が含まれ得る。これに加え又はこれに代わって、本明細書に記載する突然変異HBVのゲノム情報を使用し、また組換え技術を使用して弱毒化株を構築してもよい。通常、ウイルス複製ではなく、病原性に関連するポリペプチドをコードするゲノムの領域を欠失させる。ゲノムを構築すれば、突然変異HBVに対する中和抗体を産生するエピトープを発現させることができる。次いで、変性ゲノムを使用して、突然変異HBV複製を可能とする細胞を形質転換して、細胞をウイルス複製を可能とする条件下で増殖させることができる。弱毒化突然変異HBV株はワクチン用としてだけでなく、ウイルス抗原の商業的産生のソースとしても有用である。何故ならば、これらのウイルスの処理は、ウイルス産生及び/又はウイルス製品の製造に係わる従業員に対してそれほど厳密な保護措置を必要としないからである。
宿主及び発現制御配列
ゲノムをウイルスから抽出し、ゲノムライブラリーを作成、プロービングし、クローンの配列を決定し、発現ベクターを構築し、細胞を形質転換し、免疫アッセイを実施し、培養物中で細胞を増殖させるために使用する一般的な技術は当業界では公知であり、本発明に包含する。
指定の宿主と適合する適切な制御配列を使用するときには、原核宿主細胞及び真核宿主細胞の両方を、所望のコード化配列の発現のために使用することができる。原核宿主としては、E.coliが最も頻繁に使用される。原核生物の発現制御配列には、場合によってオペレーター部分を含むプロモーターや、リボソーム結合部位が含まれる。原核宿主と適合するトランスファーベクターは通常、アンピシリン耐性及びテトラサイクリン耐性を付与するオペロンを含むプラスミドpBR322や、更に抗生物質耐性マーカーを付与する配列を含む種々のpUCベクターから誘導される。これらのマーカーを使用して、選択により良好な形質転換細胞を得ることができる。通常使用される原核制御配列には、β−ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)、ラクトースプロモーター系(Chang等,Nature 198:1056[1977])、(Goeddel等,Nucleic Acid Res 8:4057[1980]により報告されている)トリプトファンプロモーター系、λ誘導P1プロモーター及びN遺伝子リボソーム結合部位(Shimatake等,Nature 292:128[1981])、並びにtrp及びlacUV5プロモーターの配列に由来するハイブリッドTacプロモーター(De Boer等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 292:128[1983])が含まれる。前述の系は、特にE.coliに適合し得るが、所望とあれば、Bacillus株又はPseudomonas株のような他の原核宿主を対応する制御配列と共に使用してもよい。
真核宿主は、培養系の酵母及び哺乳動物細胞を含んでいる。Saccharomyces cerevisiae及びSaccharomyces carlsbergensisが最も一般的に使用されている酵母宿主であり、好都合な真菌宿主である。酵母適合性ベクターは、栄養要求突然変異株を原栄養性とするか又は野生型株に重金属耐性を付与して良好な形質転換細胞の選択を可能とするマーカーを保有する。酵母適合性ベクターは、2ミクロンの複製源(Broach等,Meth.Enz.101;307[1983])、CEN3とARS1の組み合わせ、又は複製を行うための他の手段(例えば宿主細胞ゲノム内への適切な断片の取り込みをもたらす配列)を使用し得る。酵母ベクターの制御配列は当業界では公知であり、3−ホスホフィセレートキナーゼ(phosphophycerate kinase)用プロモーターを含む解糖酵素合成用プロモーターを含んでいる。例えば、Hess等,J.Adv.Enzyme Reg.7:149(1968)、Holland等,Biochemistry 17:4900(1978)及びHitzeman J.Biol.Chem.255:2073(1980)を参照されたい。Holland,J.Biol.Chem.256:1385(1981)に報告されているエノラーゼ遺伝子に由来するようなターミネーターも含まれ得る。特に有用な制御系は、グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ(GAPDH)プロモーター又はアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)調節可能プロモーター、更にGAPDHから誘導されるターミネーター、また分泌が望ましければ、酵母αファクターに由来するリーダー配列を含む系であると考えられる。更には、操作可能に連結した転写調節領域及び転写開始領域は、野生型生物で先天的に関連しないようなものであり得る。
発現用宿主として利用可能な哺乳動物細胞系は当業界では公知であり、American Type Culture Collectionから入手可能な多数の不滅化細胞系が含まれる。これらには、HeLa細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ハムスター乳児腎臓(BHK)細胞等が含まれる。哺乳動物細胞に適したプロモーターも当業界では公知であり、Simianウイルス40(SV40)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)、アデノウイルス(ADV)、ウシ乳頭腫ウイルス(BPV)、サイトメガロウイルス(CMV)に由来するようなウイルスプロモーターが含まれる。哺乳動物細胞は更に、ターミネーター配列及びポリA付加配列を必要とし得る。発現を増加させるエンハンサー配列を含めてもよいし、遺伝子の増幅を誘発する配列も所望され得る。これらの配列は当業界では公知である。哺乳動物細胞の複製に適したベクターは、ウイルスレプリコン、又は非A型、非B型、非C型、非E型エピトープをコードする適切な配列の宿主ゲノム内への取り込みを確実にする配列を含み得る。HCVの哺乳動物発現系の一例は、1992年1月31日出願の米国特許出願第07/830,024号に記載されている。
形質転換
形質転換は、ポリヌクレオチドを宿主細胞内に導入するための公知の方法によって可能であり、ポリヌクレオチドをウイルス内にパッケージングし、宿主細胞にウイルスをトランスデュースし、ポリヌクレオチドを直接取り込むことからなる。選択する形質転換手順は、形質転換すべき宿主に依存する。直接の取り込みによる細菌は形質転換は一般に、塩化カルシウム又は塩化ルビジウムによる処理を使用する。Cohen,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 69:2110(1972)。Graham等,Virology 52:526(1978)のリン酸カルシウム沈殿法又はその変形を用いて、直接の取り込みによる酵母形質転換を実施してもよい。
ベクター構築
ベクター構築は当業界で公知の方法を使用する。一般には、市販酵素の製造業者により一般に規定されている条件下にて、適切な制限酵素で処理して、部位特異的DNA開裂を実施する。通常、約20μlの緩衝溶液中の1単位の酵素を用いて37℃で1〜2時間インキュベートすることにより、約1マイクログラム(μg)のプラスミド又はDNA配列を開裂する。制限酵素と共にインキュベートした後に、フェノール/クロロホルム抽出によりタンパク質を除去し、エタノールと共に沈殿させてDNAを回収する。開裂断片は、当業者に公知の方法により、ポリアクリルアミド又はアガロースゲル電気泳動法を用いて分離してもよい。混合物中に存在する適切なデオキシヌクレオチドトリホスフェート(dNTP)の存在下で,E.coli DNAポリメラーゼ1(クレノウ)を用いて付着端開裂断片をブラント末端にしてもよい。S1ヌクレアーゼによる処理を使用して、一本鎖DNA部分を加水分解してもよい。
T4 DNAリガーゼ及びATPを用い、標準的な緩衝液及び温度条件下で結合する。付着端結合は、ブラント末端結合ほどATPやリガーゼを必要としない。ベクター断片を結合混合物の一部として使用するときは、ベクター断片をしばしば細菌アルカリ性ホスファターゼ(BAP)又は仔ウシ腸アルカリ性ホスファターゼで処理して、5’−ホスフェートを除去し、ベクターの再結合を妨げる。あるいは、所望しない断片の制限酵素消化を使用して、結合を妨げることができる。結合混合物を、E.coliや、抗生物質耐性を含む方法により選択された良好な形質転換細胞のような適切なクローニング宿主内に形質転換し、次いで正しい構築についてスクリーニングする。
望ましいDNA配列の構築
Warner,DNA 3:401(1984)が記載するような自動化オリゴヌクレオチド合成機を用いて、合成オリゴヌクレオチドを産生してもよい。所望とあれば、標準的な反応条件を用いて、32P−ATPの存在下にてポリヌクレオチドキナーゼで処理して、合成鎖を32Pで標識することができる。DNA配列(例えばゲノム又はcDNAライブラリーから単離したDNA配列)を、公知の方法[例えばZoller,Nucleic Acid Res.10:6487(1982)に記載の特定部位の突然変異誘発]により改変してもよい。簡潔に言えば、改変すべきDNAを一本鎖配列としてファージ内にパッケージングし、改変すべきDNA部分に相補的であり、自身の配列に所望の改変を含む合成オリゴヌクレオチドをプライマーとして用いてDNAポリメラーゼで二本鎖DNAに変換する。ファージの各鎖の複製を含む形質転換細菌の培養物を寒天平板培養して、プラークを得る。理論的には新しいプラークの50%が、突然変異配列を有するファージを含み、残りの50%は元の配列を有する。非改変配列ではなく、正しい鎖とのハイブリダイゼーションに適した温度及び条件下で、プラーク複製物を標識した合成プローブにハイブリダイズする。ハイブリダイゼーションにより同定された配列を回収して、クローニングする。
プローブとのハイブリダイゼーション
Grunstein及びHogness,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 73:3961(1975)に記載の手順を用いて、HBVゲノム又はDNAライブラリーをプロービングしてもよい。簡潔に言えば、プロービングすべきDNAをニトロセルロースフィルター上に固定化し、変性し、0〜50%ホルムアミド、0.75M NaCl、75mMクエン酸ナトリウム、それぞれ0.02%(w/v)のウシ血清アルブミン(BSA)、ポリビニルピロリドン及びFicoll、50mMリン酸ナトリウム(pH6.5)、0.1%SDS並びに100μg/mlキャリヤー変性DNAを含む緩衝液でプレハイブリダイズする。緩衝液中のホルムアミドのパーセンテージ、及びプレハイブリダイゼーションやその後のハイブリダイゼーション工程の時間/温度条件は、必要とされる厳密度に依存する。厳密度条件が低くてもよいオリゴマープローブは一般に、ホルムアイドを低率に、温度をより低く、ハイブリダイゼーション時間をより長くして使用する。ゲノム配列から誘導されるような30又は40個以上のヌクレオチドを含むプローブは一般に、例えば約40〜42℃のより高温と、例えば50%と高率のホルムアミドを使用する。プレハイブリダイゼーションの後に、32P標識オリゴヌクレオチドプローブを緩衝液に添加し、ハイブリダイゼーション条件下でフィルターをこの混合物中でインキュベートする。洗浄後、被処理フィルターをオートラジオグラフィーにかけて、ハイブリダイズしたプローブの位置を示す。元の寒天プレート上の対応位置にあるDNAを所望のDNAのソースとして使用する。
構築の検証及び配列決定
標準的なベクター構築では、結合混合物をE.coli株HB101又は他の適切な宿主内に形質転換し、良好な形質転換細胞を抗生物質耐性又は他のマーカーにより選択する。次いで、通常はClewell等,J.Bacteriol.110:667(1972)に記載のようなクロラムフェニコール増幅の後に、Clewell等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 62:1159(1969)の方法で、形質転換細胞由来のプラスミドを産生する。DNAを単離し、通常は制限酵素分析及び/又は配列決定により分析する。Messing等,Nucleic Acid Res.9:309(1981)にも記載されているSanger等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 74:5463(1977)のよく知られたジデオキシ法により、又はMaxam等,Methods in Enzymology 65:499(1980)に記載の方法により、配列決定してもよい。GCに富む領域で時々観察されるバンド圧縮の問題は、Barr等,Biotechniques 4:428(1986)に記載の方法により、T−デアゾグアノシンを用いて克服される。
エンザイムリンクドイムノソーベントアッセイ
エンザイムリンクドイムノソーベントアッセイ(ELISA)を使用して、抗原濃度又は抗体濃度を測定することができる。この方法は、酵素ラベルと抗原又は抗体との結合に依存し、結合酵素活性(生成シグナル)を定量ラベル(測定可能な生成シグナル)として使用している。酵素をラベルとして使用する方法、及びこのような酵素ラベルの例は本明細書に記載する。
突然変異HBV核酸配列の作成
突然変異HBV物質のソースは、本明細書に記載する臨床学的実験基準に合致する突然変異HBVウイルスに感染したヒト又はチンパンジーからの個々の血漿、血清もしくは肝臓ホモジネート又はそのプールである。あるいは、以下に記載する基準に合致する突然変異HBV肝炎に羅患した他の個体の血液をチンパンジーに実験的に感染させることができる。高レベルのアラニントランスフェラーゼ活性を含む個々の血漿、血清又は肝臓ホモジネート試料を多数合わせてプールを構成することができる。この活性は、突然変異HBV感染による肝炎性損傷によるものである。
例えば、高力価であることが好ましいが、必ずしもそうでなくてもよい血漿、血清又は肝臓ホモジネートに由来する核酸ライブラリーを以下の方法で作成する。まず血漿、血清又は肝臓ホモジネートからウイルス粒子を単離する。次いで、アリコートを緩衝溶液(例えば50mMトリス−HCl(pH8.0)、1mM EDTA、100mM NaClを含む緩衝溶液)中に希釈する。例えば15,000×g、20℃で20分間の遠心分離により破片を除去する。次いで、当業者により慣用的に決定され得る適切な条件下で遠心分離を行って、得られた上清中のウイルス粒子をペレット化する。ウイルスゲノムを放出するために、ペレットをSDS懸濁液[例えば1%SDS、120mM EDTA、10mMトリス−HCl(pH7.5)を含み、更に2mg/mlのプロテイナーゼKを含んでいる懸濁液]のアリコート中に懸濁させ、次いで適切な条件下で、例えば45℃で90分間インキュベートして粒子を破壊する。例えば0.8μg MS2バクテリオファージRNAをキャリヤーとして添加し、この混合物をフェノール:クロロホルム[0.5Mトリス−HCl(pH7.5)、0.1%(v/v)β−メルカプトエタノール、0.1%(w/v)ヒドロキシキノロンで飽和させたフェノール]の1:1混合物で4回抽出し、次いでクロロホルムで2回抽出して核酸を単離する。水性相を例えば1−ブタノールで濃縮した後に、2.5容量の無水エタノールと共に−20℃で一晩沈殿させる。例えばBeckman SW41ローターにて、40,000rpm、4℃で90分間遠心分離にかけて核酸を回収し、これを水に溶解し、0.05%(v/v)ジエチルピロカーボネートで処理して、オートクレーブ処理する。
前記手順により得られた核酸を、例えば17.5mM CH3HgOHで変性し、次いでこの変性核酸を鋳型として用いてcDNAを合成し、例えばHuynh(1985、上掲)に記載の方法を用いてファージλ−gt11のEcoRI部位内にクローニングする。但し、逆転写酵素により第1核酸鎖の合成中にランダムプライマーをオリゴ(dT)12−18に代える(Taylor等,[1976]参照)。
このようにして作成されたλ−gt11ゲノムライブラリーを、突然変異B型肝炎ウイルスに起因する肝炎の既往個体(以下で説明する基準に合致する)からの血清、血漿又は肝臓ホモジネートと特異結合し得るエピトープについてスクリーニングする。Huyng等(上掲)の方法を用いて、約104〜107個のファージを血清、血漿又は肝臓ホモジネートと共にスクリーニングする。125I又は他の適切なリポーター分子(例えばHRPO、アルカリ性ホスファターゼ等)で放射性標識したヒツジ抗ヒトIg抗血清で結合ヒト抗体を検出することができる。陽性ファージを同定して、精製する。次いで、同一方法を用い、先に突然変異HBV物質に感染した所定人数の各ヒトの血清との結合の特異性について、前記ファージを試験する。理想的には、ファージは、試験する血清、血漿又は肝臓ホモジネートの全て又は大半と反応するポリペプチドをコードし、突然変異HBV物質やA型、非突然変異B型、C型、及びE型肝炎について本明細書に記載した基準により“陰性”であることが確定した個体からの血清、血漿又は肝臓ホモジネートとは反応しない。これらの手順に従って、非A型、非突然変異B型、非C型、非E型であると同定された患者からの血清、血漿又は肝臓ホモジネートにより免疫学的に特異認識されるポリペプチドをコードするクローンを単離することができる。
以下で本発明を実施例により説明する。
実施例
実施例1.血清試料の同定
最初の実験室測定
HBsAgに対する抗体を調べるために市販のイムノアッセイ(AUSZYME(R)及びAUSRIA(R)II,Abbott Laboratories,Abbott Park,IL)を使用した。製造業者の指示に従って、患者の血清試験試料を、HBsAgに対する抗体についてのAUSZYME(R)アッセイで3度試験した。AUSZYME(R)キットは、HBsAgに対するモノクローナル抗体がコーティングされた固相(ビーズ)を含んでいる。この試験キットを用いてHBsAgに対する抗体について患者試験試料を3度試験すると、それぞれ陰性を示した。B型肝炎表面抗原に対するポリクローナル抗体を含むAUSRIA(R)II試験キットを用いて、患者試験試料を再試験した。AUSRIA(R)II試験の結果は、患者がHBsAgに対する抗体に対し陽性であることを示していた。
別の実験室試験
HBsAgに対する抗体についてのAUSZYME(R)モノクローナル抗体試験では陰性を示し、HBsAgに対する抗体についてのAUSRIA(R)IIポリクローナル抗体試験では陽性を示した患者の血清試験試料を1:20に希釈した。AUSRIA(R)II試薬とAUSZYME(R)モノクローナル試薬とを交差交換(Cross-exchange)し、(即ちAUSRIA(R)IIビーズとAUSZYME(R)モノクローナル抗体ラベルを、またAUSRIA(R)IIポリクローナル抗体ラベルとAUSZYME(R)ビーズとを合わせた)。評価のための好ましい試験条件は、第1のインキュベーションでは試験試料を室温で一晩、第2のインキュベーションでは室温で4時間インキュベートすることであった。試験試料を更に系列希釈し、希釈液を試験し、陽性対照の類似希釈液(5倍)と比較した。これらの試験のデータを以下の表1に示す。
Figure 0003813168
以前のデータは、試験試料がAUSZYME(R)モノクローナルではなく、AUSRIA(R)IIに反応性であることを示していた。表1のデータは、試験試料の試験で試薬を交差交換すると、試験試料は2通りの組み合わせに対して弱い反応性を示すが、AUSRIA(R)IIビース/AUSZYME(R)−HRP抗体よりもAUSZYME(R)ビース/125I−抗体との反応性の方が幾分高いことを示している。各試験系の抗体間の相違を更に検査すると、AUSZYME(R)の主反応体がHRP−抗体のような抗−a抗体であることが判明した。AUSRIA(R)IIでは、ビーズを、強い抗−aを示すが、抗−d及び抗−yの可能性も有するポリクローナル抗体抗−HBでコーティングする。更には、AUSRIA(R)IIの125I−抗体は、抗−aを主とするポリクローナルであるが、ビーズ及びプローブ抗体は共に広範囲のスペクトルを有すると考えられる。抗−aに対し集中的な特異性を示すモノクローナル抗体は試験試料とは反応しなかった。試験試料はポリクローナル抗血清とは反応したが、ポリクローナル抗体の抗−a検出が優勢すぎるため、ポリクローナル抗体の反応性は変化すると考えられた。AUSRIA(R)II抗体の希釈曲線(図示せず)により、ポリクローナル試薬の広いスペクトル範囲が試験試料中に存在する抗−HBを検出するのに適しているが、これが実際には変化することが判明した。
実施例2.配列決定
試料は突然変異HBVの形態であると考えられるので、配列を決定して、可変部がHBV表面抗原のヌクレオチド及びアミノ酸配列中に存在するかどうかを調べた。T.Maniatis等,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第2版,Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,Book 2:Chapter 13,13.1−13.77(1989)に記載のSangerジデオキシ配列決定反応を実施した。配列決定の結果は、HBsAgのアミノ酸配列の122位に2個のアミノ酸が挿入されたことを示している。突然変異HBVのヌクレオチド及びアミノ酸配列を配列番号1及び配列番号2に示す。この方法を繰り返し実施すると、アミノ酸が僅かに変化することが判明した。これを配列番号3及び配列番号4に示す。各アミノ酸配列に共通なことは、HBsAgの122位に2個のアミノ酸(N−T)が挿入されていることである。従って、HBsAg配列中には、122位への2個のアミノ酸(N−T)の挿入という改変が存在し、この改変はHBsAgゲノムの366位の6個のヌクレオチド挿入に対応する。
従って、本発明は、試験試料中での突然変異HBsAgの存在を調べるための試薬及び方法を提供する。主に抗−a抗体を使用するモノクローナル抗体試験によるアッセイでは、この特定の突然変異体は検出されないことは明白である。更には、指摘データに基づき、既存ワクチンがHBVのこの突然変異株に対して防御的でないと断定される。従って、このような突然変異HBVの試薬は、試験試料中のHBVの検出に、更にはワクチン産生に有用である。本明細書に記載する突然変異HBVに特異的なポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、又はこれらのポリペプチド及びポリヌクレオチドから産生される抗体を、既存のアッセイ試薬と合わせ、HBsAgに対する抗体の検出のための現行アッセイ手順に組み入れることが考えられ、これは本発明の範囲内である。あるいは、本明細書に記載する突然変異HBVに特異的なポリヌクレオチドもしくはポリペプチド、又はこれらのポリペプチド及びポリヌクレオチドから産生される抗体を別個に使用して、“a”決定基がHBsAg配列の122位に挿入された2個のアミノ酸を有するHBV突然変異株を検出することができる。
本明細書を考察すれば、本発明の他の使用又は変形が当業者には自明であろう。従って、本発明は、以下の請求の範囲によってのみ限定されるものとする。
配列表
配列番号1:
配列の長さ:684塩基対
配列の型:核酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:DNA(ゲノム)
配列の特徴:
特徴を表す記号:CDS
存在位置:1..684
配列:
Figure 0003813168
Figure 0003813168
配列番号2:
配列の長さ:228アミノ酸
配列の型:アミノ酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:タンパク質
配列:
Figure 0003813168
配列番号3:
配列の長さ:228アミノ酸
配列の型:アミノ酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:タンパク質
配列
Figure 0003813168
Figure 0003813168
配列番号4:
配列の長さ:228アミノ酸
配列の型:アミノ酸
鎖の数:一本鎖
トポロジー:直鎖状
配列の種類:タンパク質
配列:
Figure 0003813168

Claims (28)

  1. HBsAg配列の366位に6つのヌクレオチドが挿入されている修飾“a”抗原決定基を含み、前記6つのヌクレオチドが−A−A−C−A−C−A−である精製突然変異HBVポリヌクレオチド。
  2. HBsAg配列の122位に2つのアミノ酸が挿入されている修飾“a”抗原決定基を含み、前記122位に挿入されたアミノ酸がNおよびTである組換え突然変異HBVポリペプチド。
  3. 前記ポリヌクレオチドが組換えベクター内に含まれており、前記ベクターを用いて形質転換された宿主細胞にベクターが含まれている請求項1に記載のポリヌクレオチド。
  4. 突然変異HBV配列から誘導されたDNAの読取り枠を含む組換え発現系であって、前記配列が、HBsAg配列の366位に−A−A−C−A−C−A−である6つのヌクレオチドが挿入されている修飾“a”抗原決定基を含み、前記読取り枠が、所望の宿主と適合性のある制御配列に操作可能に結合されている組換え発現系。
  5. HBsAg配列の366位に6つのヌクレオチドが挿入されており、前記6つのヌクレオチドが−A−A−C−A−C−A−である修飾“a”抗原決定基を含む突然変異HBV配列から誘導された配列を含む組換えポリペプチド。
  6. 突然変異HBVエピトープに対する抗体であって、前記エピトープがHBsAg配列の122位に2つのアミノ酸が挿入されている修飾“a”抗原決定基を含み、前記抗体が、ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体からなる群から選択され、前記122位に挿入されている2つのアミノ酸がN及びTである抗体。
  7. 突然変異HBVのポリペプチドを含む融合ポリペプチドであって、前記融合ポリペプチドがHBsAg配列の122位に2つのアミノ酸が挿入されている修飾“a”抗原決定基を更に含み、前記122位に挿入されている2つのアミノ酸がN及びTである融合ポリペプチド。
  8. 真核性または原核性宿主内で産生されたときに粒子を形成し得るアミノ酸配列を有する非HBVポリペプチドと突然変異HBVエピトープとを含む、突然変異HBV感染に対して免疫原性である粒子であって、前記突然変異HBVの前記エピトープが更に、HBsAg配列の122位に2つのアミノ酸が挿入されている修飾“a”抗原決定基を含み、前記122位に挿入されている2つのアミノ酸がN及びTである粒子。
  9. HBsAg配列の366位に6つのヌクレオチドが挿入されている修飾“a”抗原決定基を含む、突然変異HBVに対するポリヌクレオチドプローブであって、前記6つのヌクレオチドが−A−A−C−A−C−A−であるポリヌクレオチドプローブ。
  10. HBV抗原中に存在するHBVエピトープを有するポリペプチドを含む容器を含む、検査試料中の突然変異HBV抗原または抗体の存在を判定するためのキットであって、前記エピトープが、HBsAg配列の122位にN及びTである2つのアミノ酸が挿入されている修飾“a”抗原決定基を含むキット。
  11. 検出すべき突然変異HBV抗原に対する抗体を含む容器を含む、検査試料中の突然変異HBV抗原または抗体の存在を判定するためのキットであって、前記抗原が、HBsAg配列の122位にN及びTである2つのアミノ酸が挿入されている修飾“a”抗原決定基を含むキット。
  12. 突然変異HBV由来のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドプローブを含む容器を含む、突然変異HBVポリヌクレオチドを含む疑いのある検査試料中の該ポリヌクレオチドの存在を判定するためのキットであって、前記ヌクレオチド配列に、HBsAg配列の366位に−A−A−C−A−C−A−である6つのヌクレオチドが挿入されているキット。
  13. HBVを含む疑いのある検査試料中の突然変異HBV核酸を検出する方法であって、
    a.検査試料を、HBsAg配列の366位に6つのヌクレオチドが挿入されている突然変異HBV由来のヌクレオチド配列を含むHBVポリヌクレオチド用のプローブと、該プローブと検査試料中の突然変異HBV核酸とで複合体を形成し得る条件下及び時間で反応させ;および
    b.前記プローブを含む複合体を検出する
    ことを含み、前記6つのヌクレオチドが−A−A−C−A−C−A−である方法。
  14. HBVを含む疑いのある検査試料中の突然変異HBV抗原を検出する方法であって、
    a.検査試料を、HBsAg配列の122位にN及びTである2つのアミノ酸が挿入されている修飾“a”抗原決定基を含む検出すべき突然変異HBV抗原に対する抗体と、抗体/抗原複合体を形成し得るに十分な時間及び条件下で接触させ;および
    b.前記抗体を含む複合体を検出する
    ことを含む方法。
  15. HBV抗体を含む疑いのある検査試料中のHBV抗体を検出する方法であって、
    a.検査試料を、プローブポリペプチドが突然変異HBVエピトープを含み、前記突然変異HBV抗原がHBsAg配列の122位に2つのアミノ酸が挿入されている修飾“a”抗原決定基を含むことを特徴とするプローブポリペプチドと、抗原/抗体複合体を形成し得るに十分な時間及び条件下で接触させ;および
    b.前記プローブポリペプチドを含む複合体を検出する
    ことを含み、前記2つのアミノ酸がN及びTである方法。
  16. 突然変異HBVに感染させた組織培養増殖細胞であって、前記突然変異HBVが、HBsAg配列の122位にN及びTである2つのアミノ酸が挿入されている修飾“a”抗原決定基を含む組織培養増殖細胞。
  17. 突然変異HBVに対する抗体を産生する方法であって、免疫応答を生起するのに十分な量の突然変異HBVエピトープを含む単離免疫原性ポリペプチドを非ヒト動物に投与することを含み、前記突然変異エピトープが、HBsAg配列の122位にN及びTである2つのアミノ酸が挿入されている修飾“a”抗原決定基を含む方法。
  18. HBsAG配列の122位と123位との間にNとTが挿入された変異“a”抗原決定基を含む、組換え突然変異肝炎Bウイルス表面抗原(HBsAG)配列からなる精製ポリペプチド。
  19. 組換え遺伝子の発現により生成される、請求項18に記載のポリペプチド。
  20. 化学合成法により生成される、請求項18に記載のポリペプチド。
  21. 検査試料中の抗HBV抗体を検出する方法であって、
    a.該抗体を含む疑いのある検査試料を、請求項18に記載のポリペプチドと抗体/抗原複合体を形成し得るに十分な時間及び条件下で接触させること;および
    b.該ポリペプチドを含む抗体/抗原複合体を検出すること
    を含む方法。
  22. 容器と請求項18に記載のポリペプチドとを含む、突然変異肝炎Bウイルス抗原または抗体を検出するためのキット。
  23. ポリペプチドが固相に結合している、請求項22に記載のキット。
  24. 適当な固相に結合していてもよい請求項18に記載のポリペプチド、および薬学的に許容可能な添加物を含む、免疫学的な組成物。
  25. 請求項24に記載の組成物を非ヒト宿主に投与することを含む、変異肝炎Bウイルスに対する抗体を産生する方法。
  26. 宿主細胞において生成されたときに粒子を形成することのできるアミノ酸配列を有するポリペプチド、および、122位と123位との間へNとTが挿入された修飾“a”抗原決定基を含む変異HBVエピトープを含む、単離あるいは生成された免疫学的粒子。
  27. 粒子を形成することのできるアミノ酸配列が、肝炎Bウイルス表面抗原のアミノ酸配列である、請求項26に記載の免疫学的粒子。
  28. 請求項26に記載の粒子および薬学的に許容可能な添加物を含む免疫学的組成物。
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