JP3812864B2 - 射出成形用金型構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アンダーカット部を有する合成樹脂製製品を射出成形する際に使用される射出成形用金型構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
先ず最初に、図3及び図4に示されているパレットのフォーク差し込み口付近を射出成形する例を用いて、従来の射出成形用金型構造について概説する。
【0003】
1は、パレットの上部デッキを構成するリブp1のためのスリットが下面に形成された第1上部金型であり、2は、該第1上部金型1に並設された、同じく上部デッキを形成するための第2上部金型であり、3は、後述する第1スライドコアと第2スライドコアと協同して、水平部p2と該水平部p2の両端から下方に傾斜する傾斜面p3、p4と水平部p2の下面に垂設されたリブp5とからなるフォーク差し込み口の底部及び上部デッキの下方リブp6を成形するためのスリットが上面に形成された下部金型である。
【0004】
4は、上面が第1上部金型1の下面と接触し、また、側面が下部金型4の垂直面3aと接触し、更に、下面の一部が下部金型3と接触する第1スライドコア4であり、第1スライドコア4には水平透孔4aが穿設されている。5は、フォーク差し込み口の底部を構成する傾斜面p3を成形するためのアンダーカット部5aを有するとともに、上部傾斜面5bが第1スライドコア4の下部傾斜面4bと接触する第2スライドコアであり、第1スライドコア4の下部傾斜面4bと第2スライドコア5の上部傾斜面5bの何方か一方に蟻を形成し、他方に溝を形成することにより蟻溝結合dを構成している。
【0005】
6は、基台7に形成された凹部7aに挿着された、上部に凹部6aを有する上下方向に移動可能な移動ブロックであり、移動ブロック6は、基台7に形成された凹部7aに装着されたスプリング7bにより、上方に付勢されている。また、移動ブロック6の凹部6aには、係合ブロック8が挿着されている。そして、係合ブロック8と第2スライドコア5とは、第1スライドコア4に穿設された水平透孔4aに挿通された、枢支点9aにおいて屈曲自在なリンク9により連結されている。係合ブロック8に形成された孔8aに、リンク9の一端が挿着されており、係合ブロック8にボルトbを挿通し、ボルトbを、リンク9の端部に穿設されたネジ孔に螺合することにより、リンク9の一端を係合ブロック8に取着するように構成されている。10は、第1スライドコア4に形成された縦孔4cに嵌着された受動ブロックであり、11は、基台7に取着されたカム部材である。
【0006】
パレットの上部デッキを構成するリブp1、フォーク差し込み口の底部を構成する水平部p2、傾斜面p3、p4、リブp5及び下方リブp6等のための空間を残して、第1上部金型1、第2上部金型2、下部金型3、第1スライドコア4及び第2スライドコア5が、図3及び図4(a)に示されているように配置されている。この状態で、射出成形により、上記空間に溶融樹脂が充填される。
【0007】
その後、第1スライドコア4を、図示されていない駆動装置により、図4(b)に示されているように、第1スライドコア4を右方向に移動させると、第1スライドコア4に蟻溝結合dされている第2スライドコア5は、上方に移動し、第2スライドコア5のアンダーカット部5aは、フォーク差し込み口の底部を構成する傾斜面p3から抜かれることになる。
【0008】
更に、第1スライドコア4を右方向に移動させると、図4(c)に示されているように、第1スライドコア4に形成された縦孔4cに嵌着された受動ブロック10の上部角部に形成された傾斜面10aが、基台7に取着されたカム部材11の下部角部に形成された傾斜面11aに当接して、下方に移動する。同時に、基台7に形成された凹部7aに挿着された移動ブロック6は、上部角部に形成された傾斜面6bが、第1スライドコア4の下部角部に形成された傾斜面4dに当接することにより、凹部7aに装着されたスプリング7bに抗して、基台7に形成された凹部7aに完全に押し込まれ、従って、移動ブロック6の凹部6aに挿着されていた係合ブロック8は、移動ブロック6の凹部6aから抜け出ることになる。そして、移動ブロック6の凹部6aから抜け出た係合ブロック8は、第1スライドコア4の下部角部4eと、基台7に取着されたカム部材11の傾斜面11aに当接して下方に移動した受動ブロック10とで挟持される。
【0009】
その後、更に、第1スライドコア4を右方向に移動させると、図4(d)に示されているように、第1スライドコア4の下部角部4eと受動ブロック10とにより挟持されている係合ブロック8も右方向に移動し、従って、リンク9を介して係合ブロック8に連結されている第2スライドコア5も、右方向に移動し、上部デッキを構成するリブp1とフォーク差し込み口の底部との間から引き抜かれることになる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の射出成形用金型構造においては、移動ブロック6や受動ブロック10やカム部材11等を配設しなければならず、射出成形用金型構造が複雑なものとなり、従って、射出成形用金型構造の製造コストが上昇し、ひいては、このような射出成形用金型構造を用いて製造されるパレット等の合成樹脂製製品のコストが上昇するという問題があった。
【0011】
また、スペース的に、係合ブロック8を大きく形成することができず、また、リンク9を太くできないために、リンク9と係合ブロック8とを連結しているボルトbを太くすることができず、しばしば、ボルトbが破損するという問題があった。
【0012】
本発明の目的は、上述した従来の射出成形用金型構造が有する課題を解決することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述した目的を達成するために、上部金型と、下部金型と、上面が、前記上部金型の下面と接触するとともに、側面が、前記下部金型の垂直面と接触し、且つ、下面の一部が、前記下部金型と接触する第1スライドコアと、上部傾斜面が、前記第1スライドコアに形成された下部傾斜面と接触し、且つ、アンダーカット部を有する第2スライドコアとを有し、前記第1スライドコアの前記第2スライドコア側の側面には、前記第2スライドコア側に開口を有する所定の深さを有する孔が穿設されており、また、前記第2スライドコアには、前記第1スライドコアに穿設された孔の軸線と一致する軸線を有する貫通孔が穿設されており、且つ、前記第1スライドコアに穿設された孔の軸線と該軸線と一致する前記第2スライドコアに穿設された貫通孔の軸線は、互いに接触している前記第1スライドコアの下部傾斜面と第2スライドコアの上部傾斜面との接触面と平行になるように構成されており、更に、前記第2スライドコアの貫通孔の前記第1スライドコアの側面側には、前記第2スライドコアの貫通孔の径を狭める鍔が形成されており、更にまた、前記第1スライドコアに穿設された孔と前記第2スライドコアに穿設された貫通孔には、その一端が、前記第1スライドコアに穿設された孔の底部に取着されているとともに、先端部に、前記第2スライドコアの貫通孔の内径とほぼ同じ径を有する円盤部が形成されている案内軸が挿通されており、なお更に、前記案内軸の外周には、一方の端部が、前記第2スライドコアの鍔に当接し、もう一方の端部が、前記第1スライドコアに穿設された孔の底部に当接し、前記第2スライドコアを、前記下部金型方向に付勢するコイルスプリングが配設されており、前記第1スライドコアの水平移動に連動して、前記コイルスプリングの付勢力により、前記下部金型の垂直面との接触及び前記第1スライドコアの下部傾斜面との接触を維持しながら、前記第2スライドコアを上方に移動させて、前記第2スライドコアのアンダーカット部を射出成形された製品から引き抜き、次いで、前記第1スライドコアの更なる水平移動により、前記案内軸の円盤部が、前記第2スライドコアの鍔に当接し、前記第2スライドコアを、前記第1スライドコアの水平移動方向に移動させるように構成したしたものである。
【0014】
【実施例】
図1を用いて、本発明の射出成形用金型構造について説明するが、上述した従来の射出成形用金型構造と同じ構成を有する第1上部金型1、第2上部金型2及び下部金型3については、同じ符号を用いるととに、その詳細な説明は省略する。また、第1スライドコア4の下部傾斜面4bと第2スライドコア5の上部傾斜面5bとが接触する構成を含め、後述する以外の全体形状は、上述した従来の射出成形用金型構造と同じであるので、同じ符号を用いるととに、その詳細な説明は省略する。
【0015】
本発明においては、第1スライドコア4の第2スライドコア5側の側面4fには.第2スライドコア5側に開口を有する所定の深さを有する孔4gが穿設されており、また、第2スライドコア5には、貫通孔5cが穿設されている。そして、第1スライドコア4に穿設された孔4gの軸線と第2スライドコア5に穿設された貫通孔5cの軸線とは一致しており、且つ、該一致している軸線は、互いに接触している第1スライドコア4の下部傾斜面4bと第2スライドコア5の上部傾斜面5bとの接触面と平行になるように構成されている。また、第2スライドコア5の貫通孔5cの第1スライドコア4の側面4f側には、貫通孔5cの径を狭める鍔5dが形成されている。
【0016】
12は、第1スライドコア4に穿設された孔4g及び第2スライドコア5に穿設された貫通孔5cに挿通されるとともに、一端が、第1スライドコア4に穿設された孔4gの底部4hに螺合された案内軸であり、案内軸12の外周には、コイルスプリング13が配設されている。第2スライドコア5に穿設された貫通孔5cに挿通された案内軸12の先端部には、第2スライドコア5に穿設された孔5cの内径とほぼ同じ外径を有する円盤部12aが形成されている。また、コイルスプリング13の一方の端部は、第2スライドコア5の鍔5dに当接し、コイルスプリング13のもう一方の端部は、第1スライドコア4に穿設された孔4gの底部4hに当接している。
【0017】
そして、パレットの上部デッキを構成するリブp1、フォーク差し込み口の底部を構成する水平部p2、傾斜面p3、p4、リブp5及び下方リブp6等のための空間を残して、第1上部金型1、第2上部金型2、下部金型3、第1スライドコア4及び第2スライドコア5が、図1及び図2(a)に示されているように配置されている状態では、コイルスプリング13は圧縮されており、第2スライドコア5を、下部金型3の垂直面3a方向に付勢している。
【0018】
射出成形後、第1スライドコア4を、図示されていない駆動装置により、図2(b)に示されているように、第1スライドコア4を右方向に水平移動させるが、第2スライドコア5は、しばらくの間、圧縮状態のコイルスプリング13の下部金型3方向への付勢力により、下部金型3の垂直面3aに接触しているとともに、第1スライドコア4の右方向への移動に伴い、第1スライドコア4の下部傾斜面4bとの接触を保ちながら上方に移動し、従って、第2スライドコア5のアンダーカット部5aが、フォーク差し込み口の底部を構成する傾斜面p3から抜かれることになる。
【0019】
次いで、更に、第1スライドコア4を右方向に水平移動させると、コイルスプリング13は伸びるが、図2(c)に示されているように、案内軸12の円盤部12aが、第2スライドコア5の鍔5dに当接し、従って、この状態で、第1スライドコア4の右方向への移動に伴い、第2スライドコア5も案内軸12を介して右方向に、第1スライドコア4と連動して水平移動し、最終的には、図2(d)に示されているように、上部デッキを構成するリブp1とフォーク差し込み口の底部との間から引き抜かれることになる。
【0020】
本発明は、第1スライドコア4に穿設された孔4gの底部4hに取着された案内軸12及び案内軸12の外周に配設されたコイルスプリング13により、射出成形工程時に、アンダーカット部5aを有する第2スライドコア5を下部金型3方向に付勢するとともに、射出成形工程後には、第1スライドコア4の水平移動に連動して、コイルスプリング13の付勢力により、下部金型3の垂直面3aとの接触及び第1スライドコア4の下部傾斜面4bとの接触を維持しながら、第2スライドコア5を上方に移動させて第2スライドコア5のアンダーカット部5aを射出成形された製品から引き抜き、次いで、更なる第1スライドコア4の水平移動に連動して、案内軸12を介して、第2スライドコア5を第1スライドコア4の水平移動方向に移動させるように構成したので、射出成形用金型構造を簡素化することができる。従って、射出成形用金型構造を用いて製造されるパレット等の合成樹脂製製品のコストを低減することができる。
【0021】
なお、上述した実施例においては、第1上部金型1及び第2上部金型2が分割されているが、第1上部金型1と第2上部金型2を一体に形成することもできるし、金型の割り構造は、上述した実施例に何ら限定されるものではない。
【0022】
【発明の効果】
本発明は、以上説明した構成を有しているので、以下に記載する効果を奏するものである。
【0023】
射出成形用金型構造を簡素化することができ、ひいては、射出成形用金型構造を用いて製造されるパレット等の合成樹脂製製品のコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の射出成形用金型構造の一部垂直断面図である。
【図2】図2は本発明の射出成形用金型構造を使用した射出成形工程を説明するための図1と同様の本発明の射出成形用金型構造の一部垂直断面図である。
【図3】図3は従来の射出成形用金型構造の一部垂直断面図である。
【図4】図4は従来の射出成形用金型構造を使用した射出成形工程を説明するための図1と同様の射出成形用金型構造の一部垂直断面図である。
【符号の説明】
1・・・・・・・・第1上部金型
2・・・・・・・・第2上部金型
3・・・・・・・・下部金型
4・・・・・・・・第1スライドコア
5・・・・・・・・第2スライドコア
5a・・・・・・・アンダーカット部
12・・・・・・・案内軸
13・・・・・・・コイルスプリング

Claims (1)

  1. 上部金型と、下部金型と、上面が、前記上部金型の下面と接触するとともに、側面が、前記下部金型の垂直面と接触し、且つ、下面の一部が、前記下部金型と接触する第1スライドコアと、上部傾斜面が、前記第1スライドコアに形成された下部傾斜面と接触し、且つ、アンダーカット部を有する第2スライドコアとを有し、前記第1スライドコアの前記第2スライドコア側の側面には、前記第2スライドコア側に開口を有する所定の深さを有する孔が穿設されており、また、前記第2スライドコアには、前記第1スライドコアに穿設された孔の軸線と一致する軸線を有する貫通孔が穿設されており、且つ、前記第1スライドコアに穿設された孔の軸線と該軸線と一致する前記第2スライドコアに穿設された貫通孔の軸線は、互いに接触している前記第1スライドコアの下部傾斜面と第2スライドコアの上部傾斜面との接触面と平行になるように構成されており、更に、前記第2スライドコアの貫通孔の前記第1スライドコアの側面側には、前記第2スライドコアの貫通孔の径を狭める鍔が形成されており、更にまた、前記第1スライドコアに穿設された孔と前記第2スライドコアに穿設された貫通孔には、その一端が、前記第1スライドコアに穿設された孔の底部に取着されているとともに、先端部に、前記第2スライドコアの貫通孔の内径とほぼ同じ径を有する円盤部が形成されている案内軸が挿通されており、なお更に、前記案内軸の外周には、一方の端部が、前記第2スライドコアの鍔に当接し、もう一方の端部が、前記第1スライドコアに穿設された孔の底部に当接し、前記第2スライドコアを、前記下部金型方向に付勢するコイルスプリングが配設されており、前記第1スライドコアの水平移動に連動して、前記コイルスプリングの付勢力により、前記下部金型の垂直面との接触及び前記第1スライドコアの下部傾斜面との接触を維持しながら、前記第2スライドコアを上方に移動させて、前記第2スライドコアのアンダーカット部を射出成形された製品から引き抜き、次いで、前記第1スライドコアの更なる水平移動により、前記案内軸の円盤部が、前記第2スライドコアの鍔に当接し、前記第2スライドコアを、前記第1スライドコアの水平移動方向に移動させるように構成したことを特徴とする射出成形用金型構造。
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