JP3812682B2 - 異方導電性樹脂フィルム状成形物の製造法 - Google Patents

異方導電性樹脂フィルム状成形物の製造法 Download PDF

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【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、樹脂フィルム状成形物の表裏に露出した導電性粒子を介して、厚み方向にのみ導電性を有する異方導電性の樹脂フィルム状成形物の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子部品の小形薄形化に伴い、これらに用いる回路は高密度化、高精細化している。これら微細回路の接続は従来の半田、ゴムコネクタ等では対応が困難であることから、最近では異方導電性の接着材や膜状物からなる接続部材が多用されるようになってきた。この方法は、相対峙する回路間に導電性材料を所定量含有した絶縁性樹脂よりなる電気的な接続部材層を設け、加圧又は加熱加圧手段を講じることによって、上下回路間の電気的接続と同時に隣接回路間には絶縁性を付与するものである。また、前記の絶縁性樹脂を接着材として、相対峙する回路間の電気的な接続と同時に回路間の接着固定をするものも用いられている。
【0003】
このような、厚み方向にのみ導電性を有する異方導電性の樹脂フィルム状成形物に関する先行技術文献としては、例えば、特開昭51-21192号公報に開示されているように、導電性粒子を非導電性ベースにより互いに接触しない状態に保持した混合体を導電性粒子の大きさにほぼ等しい厚さのシート状に成形し、導電性粒子を介してシート状の厚み方向にのみ導電性を有する構造としたものや、特公昭59-31190号公報に開示されているように、導電性粒子を20から0.05容量%含有した柔軟な絶縁性結合剤との均質混合物からなるシート状のワンピース電気コネクタがある。
【0004】
これらの樹脂フィルム状成形物の成形方法は、樹脂に導電性粒子を均一分散したものをロール等で圧延して所望の厚さの成形物を得たり、液状の樹脂中に、導電性粒子を均一分散したものをバーコーター等により一定厚さで流延した後、乾燥又は硬化し、所望の厚さの成形物を得るものである。この厚み方向にのみ導電性を有する異方導電性の樹脂フィルム状成形物を回路間に挟持し、加圧による接触状態で回路間の接続を得るときには、接続抵抗を小さくするために個々の導電性粒子をフィルムの両面に露出させることが有効である。フィルムの両面に導電性粒子を露出させる方法としては、特開昭61-23507号公報や特開昭61−188818号公報に開示されているようにフィルムをロール等で圧延する方法や、特開昭61−200616号公報に開示されているように圧延及びスパッタエッチングを併用する方法がある。
【0005】
また、特開平5-74512号公報に開示されているように透孔を設けたフィルムに導電性粒子を入れた後にフィルムと導電性粒子とを固定する方法、特開平2-239578号公報に開示されているように導電性粒子を2枚の平板で挾んだ状態で液状の樹脂を平板間に充填してフィルム化する方法、特開平2−117980号公報や特開平5-67480号公報に開示されているように導電性粒子をフィルム状の樹脂に埋め込む方法もある。他に、両面のフィルム形成樹脂の表層を溶剤で溶解又は分解除去するか、前記のスパッタエッチング、プラズマエッチング、エキシマレーザー等を用いて物理的に分解除去する方法が知られている。この厚み方向にのみ導電性を有する異方導電性の樹脂フィルム状成形物において、フィルムの単位面積当りの導電点を多くし、高分解能化を図るには、フィルム中の導電性粒子の配合量を増加する必要がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術の圧延による製造法では、高精細電極に対応するため導電性粒子の粒径を小さくし、例えば数十μm以下にフィルム厚さを薄く均一に製造することが困難であり、導電性粒子の粒径にばらつきがあるとフィルム厚みにもばらつきが生じてしまうという問題点があった。また、上記の圧延法よりも、現在一般的に採用されている液状の樹脂及び導電性粒子の均一混合物を流延してフィルム化する方法では、高精細電極に対応するために導電性粒子の配合量を増加しようとすると、導電性粒子を分散した液状樹脂の粘度が上昇して流動性が損なわれるために、バーコーター等により一定厚さで流延することが困難になり、導電性粒子の配合量を少なくせざるを得ない。
【0007】
また、流延する厚さを大きくし、導電性粒子の沈降により樹脂フィルム状成形物の下層の粒子充填層を高める方法があるが、導電性粒子が多層構造となることが避けられず、厚み方向の電気的導通に寄与しない粒子が多くなる。また、この方法では後に除去しなければならない樹脂層が厚く、フィルム表面に均一に粒子を露出させることが困難になる。透孔を設けたフィルムに導電性粒子を入れた後にフィルム及び導電性粒子を接着固定する方法においては、フィルムに微小な孔を多数設けることは生産性やコストの面で実施することが困難である。導電性粒子を2枚の平板で挾んだ状態で液状の樹脂を平板間に充填してフィルム化する方法では、微小な平板間に液状樹脂を充填するには樹脂の粘度が極めて小さくなければならず、導電性粒子の粒径にばらつきがあると導電性粒子が流出する問題点がある。
【0008】
導電性粒子をフィルム状の樹脂に埋め込む方法では、樹脂の粘度が液状程度に十分に低くなければ導電性粒子表面に樹脂が十分に濡れることが出来ず、導電性粒子とフィルム状樹脂との接着性が劣り、導電性粒子が脱落し易くなる。液状のフィルム状樹脂を用いたとき、支持体上に保持した導電性粒子を液状の樹脂面に転写する工程で支持体上に樹脂が付着することが避けられず、フィルム化が困難になる。また、導電性粒子の充填量を多くした場合に、導電性粒子間の空隙に過不足なく樹脂を充填することが困難になり、導電性粒子の充填量と導電性粒子を充填する前のフィルム状樹脂の厚さとの関係を厳密に規定しなければならない。フィルム状樹脂の厚みが厚いと前述の支持体への樹脂の付着は避けられず、薄いとフィルムとしての強度が得られなかったり、粒子が脱落したりする。本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、微細な電極でも電気的な接続が得られる異方導電性樹脂フィルム状成形物の新規な製造法を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、導電性粒子をフィルム状成形物の面方向に均一に分散させ、表裏に露出した導電性粒子を介してフィルム状成形物の厚み方向にのみ導電性を有する異方導電性の樹脂フィルム状成形物を製造する方法において、粘着材面上に導電性粒子層を設けた後、導電性粒子層を粘着材面に押圧し、導電性粒子の粒径の1/2以下の深さまで導電性粒子層を粘着材層に埋め込み導電性粒子を粘着材面に粘着固定し、該粘着材と非相溶なフィルム形成樹脂を導電性粒子間に充填し、該フィルム形成樹脂を乾燥又は硬化後フィルム形成樹脂から粘着材を剥離する異方導電性樹脂フィルム状成形物の製造法であって、前記粘着材の剥離前又は剥離後に導電性粒子上のフィルム形成樹脂を除去する異方導電性樹脂フィルム状成形物の製造法に関する。即ち、導電性粒子を粘着材面に散布することにより、粘着材面に導電性粒子を面方向に配列した状態で固定した後、フィルム形成樹脂を塗布して導電性粒子間に充填する工程を有する。この後、フィルム形成樹脂を乾燥又は硬化し、粒子上のフィルム形成樹脂を除去することにより、フィルムの厚さ方向にのみ導電性を有する樹脂フィルム状成形物とする。
【0010】
本発明では、粘着材面上に透孔を有するフィルム又は網(以下、本治具をマスクと呼ぶ)を載置し、導電性粒子を散布すること(請求項2)により、透孔内の粘着材面にのみ導電性粒子を付着させることが出来て、フィルムの面方向の絶縁性を制御出来る。例えば、透孔を、導電性粒子が2個以上粘着材面に付着しない大きさにすれば、個々の粒子間で絶縁性が保持される異方導電性樹脂フィルム状成形物が得られる。また、導電性粒子を粘着材面に散布した後、ゴムロール等を用いて導電性粒子を粘着材面に押圧し(請求項3)、導電性粒子の面方向の配列密度を向上することや、フィルムの厚さ方向の導電性を向上することが可能である。この押圧時の加圧力を調節して導電性粒子を粘着材層に埋め込ませることにより、樹脂フィルム形成物表面から導電性粒子が突出した構造にすることが出来、電気的な接続性を向上出来る。
【0011】
導電性粒子を粘着材面に固定する方法として、導電性粒子をロール状等の帯電体上に静電気により保持した後、この帯電体を粘着材面に押圧し、導電性粒子を粘着材面に転写すること(請求項)により、粘着材層に付着しない余剰粒子の少ない一定量の導電性粒子を連続的に配列することが可能となる。このとき、帯電体上にマスクを載置し、導電性粒子を散布すること(請求項)により、透孔内の帯電体面にのみ導電性粒子を付着させることが出来、フィルムの面方向の絶縁性を制御出来る。また、導電性粒子及び粘着材面を異なる電荷に帯電し、導電性粒子を粘着材面に吸着した後固定する方法(請求項)でも、余剰粒子の少ない一定量の導電性粒子を連続的に配列することが可能となる。この場合も、粘着材体上にマスクを載置し、導電性粒子を散布することにより、透孔内の粘着材面にのみ導電性粒子を付着させることが出来、フィルムの面方向の絶縁性を制御出来る。
【0012】
上記の導電性粒子を静電気力により粘着材面に固定する方法では、導電性粒子に代えて繊維状の導電体とすること(請求項)により、フィルム面に垂直に繊維の長軸が配列した異方導電性樹脂フィルム状成形物が出来、導電体が高密度に充填して導電性を向上することが可能である。また、加熱又は加圧により除去し得る熱可塑性樹脂等の電気絶縁層であらかじめ表面を被覆した導電性粒子又は繊維状導電体を用いること(請求項)によって、これらがフィルムの面方向に細密に充填した状態であっても、面方向の絶縁性を保つことが可能になる。
【0013】
この電気絶縁層であらかじめ表面を被覆した導電性粒子又は繊維状導電体を用いた異方導電性樹脂フィルム状成形物において、フィルムの表面及び裏面の一部を溶剤によるエッチングや研磨等の物理的方法を用いて除去し、フィルムの厚さを導電性粒子の粒径又は繊維状導電体の繊維長以下にすると共に、フィルムの表面及び裏面に露出した導電性粒子又は繊維状導電体の電気絶縁層を取り除き、フィルムの表裏面に電極を接触すること(請求項)で、電極間に導電し得る異方導電性樹脂フィルム状成形物とすることが可能である。フィルム形成樹脂を加熱加圧で溶融又は軟化する熱可塑性樹脂、未硬化の熱硬化性樹脂又は紫外線、電子線等の光エネルギーにより硬化する樹脂を用いること(請求項10)により、フィルム表面に突出した粒子で電気的接続を得た後、加圧により電極間の導電性粒子を変形したり、電極内に導電性粒子を埋め込んだ状態でフィルム形成樹脂を接着剤として電極間の接続及び固定を行うことが可能である。
【0014】
本発明で用いられる導電性粒子の種類は特に限定されるものではなく、金属粒子やガラス、セラミック、プラスチック等の粒子の表面に金属のめっき層を形成した粒子を単独又は複合して用いることが出来る。各々個々の導電性粒子が小粒径の導電性粒子の凝集体からなるものも用いることも出来る。また、粒径は接続する回路の細かさにより選択されるが、各粒子の粒径は出来るだけ均一である必要がある。形状は微細電極の接続のために粒子の大きさを均一にする上では真球状が好ましいが、フィルムへの接着性からは表面に凹凸がある方が好ましい。一般的に非常に微細な電極を接続するときには、真球状のプラスチック粒子表面に金属めっき層を形成した粒子を用い、耐熱性等で金属粒子を用いるときは、より真球状に近いガスアトマイズ法や回転電極アトマイズ法で作製した粒子を用いる方が好ましい。但し、水アトマイズ法で作製された金属粉のように不定形の粒子でも、分級により粒径を揃えることで導電性粒子として用いることが出来る。
【0015】
また、本発明で用いる繊維状導電体は長軸を持った形状を有しており、製法に左右されない。即ち、繊維状導電体は導電性粒子のうちの長軸を持つものということができる。繊維状導電体の種類も特に限定されるものではないが、一般に市販されている金属の短繊維やガラス繊維表面に金属めっきをしたもの、又は炭素繊維等を用いることが出来る。繊維の径や長さは接続する電極の細かさにより選択されるが、繊維の長さは揃っている方が導電性が良く、繊維の径は小さく均一である方がより微細な電極に用いることが出来る。また、導電性粒子の固定位置を制御するマスクを用いない場合において、面方向の絶縁性を確保するためには導電性粒子や繊維状導電体の粘着材面への散布量を適切にしなければならない。導電性粒子や繊維状導電体同士は互いに接する部分が増えると共に、面方向の絶縁性が損なわれる。よって、高密度の導電点を得るには個々の導電性粒子や繊維状導電体の表面に電気絶縁層(絶縁層)を設けることで達成出来る。
【0016】
絶縁層はフィルム形成樹脂に相溶しない樹脂を含み、単一層構造や多層構造とすることが出来る。ここで、相溶しないとは、相互の樹脂が親和性を有さず均一化した混和物を形成しないことで、一般に用いられる相溶性の目安としてはSP値があり(溶解性パラメータ:日本接着協会編 接着ハンドブック第2版第46頁に記載あり)、SP値が離れているほど相溶せず、概ね1.0以上の差の樹脂は相互に親和し難い。また、相互の樹脂の熱溶融温度又は熱軟化温度の離れた樹脂であることも、相互の樹脂が均一化した混和物を形成しない一つの条件であり、概ね10℃以上の差の樹脂は相互に均一化した混和物を形成し難い。これらの目安は各材料で微妙に異なるので個々の検討が必要である。大事なことは、塗工によりフィルムを作成するときには、一般にフィルム形成樹脂を適当な溶剤で溶解、希釈し、適当な粘度の溶液を流延して作成するので、絶縁層は、このフィルム作成時に使用する溶剤やフィルム形成樹脂中の液状成分に溶解せず、即ちフィルム形成樹脂溶液に溶解しない樹脂を用いることである。
【0017】
互いに相溶しない樹脂であれば、適当な溶剤を選択することにより、フィルム形成樹脂溶液に溶解しない絶縁層を設けることが可能となる。具体的には熱可塑性ポリウレタン、可溶性ナイロン、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエチレン、ポリエステル等が用いられ、これらの中からフィルム形成樹脂溶液に溶解せず、絶縁層の形成が容易な樹脂を選択して用いる。これらの目安は各材料で微妙に異なるので個々の検討が必要である。この絶縁層の厚みは、樹脂のフィルム形成樹脂溶液に対する耐溶解性と微小な導電性粒子に対する被覆が充分であるかによって最適値が異なるが、0.01〜10μmが適当である。絶縁層を形成する方法は、樹脂を溶剤に溶解し、溶液状態で導電性粒子表面に塗布した後乾燥する湿式法や、絶縁層を形成する樹脂の粉体と導電性粒子とを高速で衝突させたり、混合してすり合わせたり、融解して付着させる等の乾式法により形成することが出来る。
【0018】
湿式法は樹脂が適当な溶剤に溶解しなければならないが、絶縁層を所望の厚さに形成することが容易であり、特に、1μm以下の薄い絶縁層を容易に形成できる利点がある。乾式法は溶剤に溶解し難い樹脂でも絶縁層を形成できる利点があり、1μm以上の厚い絶縁層の形成に適している。これらの絶縁層内に微小な導電性粒子を分散した凝集体とする方法は、例えば湿式法では絶縁層を形成する樹脂溶液中に微小な導電性粒子を分散した状態で導電性粒子表面に塗布したり、乾式法では絶縁層を形成する樹脂の粉体、微小な導電性粒子及び導電性粒子を高速で衝突させたり、混合してすり合わせたり、融解して付着させたりして、絶縁層中に微小な導電性粒子を埋め込む方法等がある。また、あらかじめ湿式法で絶縁層を形成した絶縁被覆導電性粒子と微小な導電性粒子とを乾式法で処理し、絶縁層中に微小な導電性粒子を埋め込む方法も採れる。
【0019】
粘着材はその粘着性により粒子を散布した後の取扱時やフィルム形成樹脂を塗工する際に、導電性粒子が移動しないように保持していればよく、手触り時の粘着感を必要とするものではない。一般的に、導電性粒子表面と粘着材との接触面積が大きければ導電性粒子の保持力が大きくなるので、導電性粒子の散布時に導電性粒子表面の凹凸を埋められるような柔らかい物質であれば粘着材として用いることが可能である。即ち、導電性粒子を散布した後の取扱時やフィルム形成樹脂を塗工する際に、導電性粒子と粘着材との付着力により導電性粒子が移動しないように保持する物質を、本発明における粘着材とすることが出来る。
【0020】
具体的にはSBR、ポリイソブチレン、ポリブテン、天然ゴム、ネオプレン、ブチルゴム等のゴム類やアクリル樹脂、シリコーン樹脂、弗素樹脂等からなるガラス転移温度が室温以下の樹脂を粘着材として用いることが出来る。また、これらの樹脂や粘着性の無い樹脂にテルペン樹脂やインデン樹脂のような粘着付与材を混合して、粘着性を持たせたものも用いることが出来る。また、これらの樹脂は、フィルム形成樹脂との相溶性を小さくするため、架橋による網目構造を持たせてもよい。上記に示した粘着材は基材となるフィルムや板、ロール等の上に塗工して複合構造として用いることで、取扱いが容易となる。一般的にPET、ポリエチレン、ポリプロピレン等のフィルムを基材として使用できる。
【0021】
フィルム形成樹脂は、導電性粒子のバインダーとして作用し、フィルム状に成形可能なものである。また、フィルム形成樹脂の塗工時に導電性粒子を粘着固定している粘着材を溶解して導電性粒子が移動してしまうを防ぐために、フィルム形成樹脂は粘着材と非相溶なものを選択する。具体的には、溶剤に可溶な各種合成樹脂やエラストマーのほか、ポリエチレン、酢酸ビニル、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂や高耐熱性を有するポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリイミド等の樹脂やエポキシ樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂、アクリロイル基を有するウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等の光硬化性樹脂を用いることが出来る。互いに非相溶なフィルム形成樹脂と粘着材との組み合わせとしては、ポリイソブチレンのようなSP値の小さな粘着材及びポリイミドの硬化前物質であるポリアミック酸のようなSP値の大きな樹脂をフィルム形成樹脂として用いることが出来る。
【0022】
また、シリコーン樹脂や弗素樹脂はこれら以外の多くの樹脂と非相溶であるので、これらの樹脂を粘着材として選択すると、フィルム形成樹脂として多くの樹脂を選択出来る。また、本発明の異方導電性樹脂フィルム状成形物を電極間の電気的接続及び電極間の接着の両方の目的に用いる場合にも、上記の各フィルム形成樹脂を用い、電極間を圧接させながら加熱したり光照射することで、電極間にフィルム形成樹脂を流動した後硬化させることで達成出来る。このとき、これらのフィルム形成樹脂の中でも特に熱硬化性樹脂は回路接続時の熱圧により網状構造を形成して硬化するので耐熱性に優れており、高い接続信頼性が得られることから、フィルム形成樹脂の一部として使用されることが望ましい。樹脂フィルム状成形物の厚みは特に限定するものではないが、前記の通り、厚くなると使用する導電性粒子の粒径が大きくなり、分解能が低下するため微細な回路の接続には不向きである。また、薄くなると取扱いが容易でなく、しわの発生等により製造が困難になってくることから、0.005〜1mmが適当である。
【0023】
マスクは、シルク、ナイロン、ステンレス等の繊維を織った網状のもの、ステンレスやニッケルの薄板をエッチング等で所望の位置や大きさに透孔を開けた通常メタルマスクと呼ばれるものなどが用いられる。これらのマスクは、粘着材や帯電体の上に置いて用いられるが、静電気力により導電性粒子を散布する場合には、マスクの帯電性をマスク素材を選択したりアースをとることにより制御し、マスクの透孔の部分にだけ導電性粒子が配置されるようにすることが望ましい。しかし、マスクの帯電電位がマスク面内で不均一であったりして、マスク上に導電性粒子が付着した場合でもマスクと導電性粒子との静電気による付着性を調節し、マスク上の導電性粒子を樹脂製のブレード等により排除することが出来る。例えば、ナイロン等の非導電性の網でも、篩等に使用される網は一般に帯電防止処理が施されており、マスク上に粒子が付着してしまうのを防止するのに有用である。マスクの透孔の大きさは、導電性粒子が通過し得る大きさのものは勿論、導電性粒子が通過しない大きさのものも使用出来る。
【0024】
必要なことは、マスクの透孔の位置に導電性粒子が配置され、このときに粘着材又は帯電体に導電性粒子の一部が接触し、粘着力又は静電気力により固定されることである。例えば、粘着材面にマスクを載置し、導電性粒子を散布してマスクの透孔部に導電性粒子を固定した後、マスクを取り外さずにフィルム形成樹脂を塗布し、異方導電性樹脂フィルム状成形物を得ることが出来る。得られた異方導電性樹脂フィルム状成形物のフィルム形成樹脂面からマスクを剥離することでマスクは繰返し使用出来る。このとき、導電性粒子がマスクの透孔を通過する工程を経ないので、マスクの透孔よりも導電性粒子の粒径が大きくてもよい。また帯電体上にマスクを載置し、静電気力により導電性粒子をマスクの透孔の位置に配置した後に、粘着材面に押圧して転写する場合においても、導電性粒子を配置した後にマスクを取り外す必要はないので、マスクの透孔よりも導電性粒子の粒径が大きくてもよい。
【0025】
静電気により帯電させる方法は、コロナ帯電装置を用いる方法が一般的で、本発明の目的もこの装置により達成される。この装置は非接触式で物体を帯電させることが出来、帯電量もモニタリングしながら所望の一定値に制御出来る。ほかに、導電性のローラーやブラシに電圧をかけて物体に接触させる接触帯電法等により帯電させることが可能である。帯電は導電性粒子が散布される帯電体、粘着材、マスク等のうち必要な部材になされればよく、導電性粒子との電位差が導電性粒子を移動、吸着するに足る値であれば良い。
【0026】
このとき、逆に導電性粒子を帯電させる方法も考えられるが、導電性粒子間の静電気力による反発で導電性粒子の飛散が発生したり、個々の導電性粒子で帯電量のばらつきが大きくなり、付着量が面内でばらつく等の問題があり注意を要する。帯電量は通常数百ボルト以上で本発明の目的は達成出来る。帯電体は帯電装置により導電性粒子と異なる電荷に帯電される物質であればよく、一般的にはポリエチレン、ナイロン、ポリエステル等の電気絶縁性の樹脂が広く使用出来る。また、たとえ導電性の金属等でも直接電圧を印加したり、絶縁体で電荷が洩れるのを防いだりすることで、帯電体として使用することが出来る。
【0027】
本発明の異方導電性樹脂フィルム状成形物を、例えば回路の接続材料に使用する場合には、接続しようとする回路間に本発明の成形物を挿入し、加圧することにより目的を達することが出来る。また、永続的な接続材料として用いるには、加圧治具で電極間を加圧した状態で固定するか、加圧状態で液状の接着剤を充填して接着するか、加圧状態で加熱又は光照射でフィルム形成樹脂を硬化し、フィルム形成樹脂を接着剤として用いる等の方法が可能である。また、本発明の樹脂フィルム状成形物は、上記した回路の接続材料だけでなく、スイッチ部材、多層回路部材等への応用が可能である。
【0028】
図1は本発明の異方導電性樹脂フィルム状成形物の製作順序を示したものである。始めに図1(a)に示すように、樹脂フィルム等からなる支持体である基材フィルム3の上に、溶液塗工等のコーティングにより粘着材2の層を設け、次に図1(b)に示すように、この粘着材層上に導電性粒子1を散布し、導電性粒子1を粘着材2の粘着力により保持する。その後図1(c)に示すように、この導電性粒子間にフィルム形成樹脂溶液14を塗工により充填する。このとき、導電性粒子1は粘着材2の上に固定されているので、フィルム形成樹脂溶液14の中で移動することがなく、塗工時の粒子の凝集が起こらず、均一に面上に配列した状態を保持する。次に、図1(d)に示すように、フィルム形成樹脂10を乾燥又は硬化した後、導電性粒子1の上を覆ったフィルム形成樹脂10の溶解又は物理的除去を行い、図1(e)に示すようにフィルム3の表面に導電性粒子1を露出させる。この後、フィルム形成樹脂10を粘着材2との界面から剥離し、図1(f)に示すように異方導電性樹脂フィルム状成形物を得るものである。
【0029】
フィルム形成樹脂10と粘着材2とは互いに相溶しないので、界面から容易に剥離できる。また、導電性粒子は粘着材層と接しているので、フィルム形成樹脂10の剥離面に導電性粒子1を露出した状態にすることが出来、導電性粒子1を露出させるためのフィルム形成樹脂10の部分的除去はフィルム3の片面(図1(d)のフィルム形成樹脂塗工面)についてのみ行えばよい。このとき、導電性粒子1は基材フィルム3及び粘着材2により支持されているので、フィルム形成樹脂10の部分的除去工程におけるフィルム形成樹脂層の損傷、伸び、導電性粒子の脱落等を防ぐことが出来る。また、たとえ粘着材2と基材フィルム3との密着性が小さく、フィルム形成樹脂10に密着した構造で基材フィルムとの界面で剥離しても、フィルム形成樹脂と粘着材とは非相溶なので、適当な溶剤を選択することにより、粘着材のみを溶解除去することが出来、所望の異方導電性樹脂フィルム状成形物を得ることが出来る。
【0030】
図2(a)は、本発明の異方導電性樹脂フィルム状成形物を回路11の間に挿入して加圧し、電気的接続をした状態を示す。図2(b)は、従来の製造法で得られた異方導電性樹脂フィルム状成形物を回路11の間に挿入して加圧し、電気的接続をした状態を示す。従来法では、フィルム10の厚さ方向の導電に寄与する導電性粒子1の密度が小さく、回路が微細になると接続が得られない状態になる。また、フィルム10の表面の凹凸が大きくなり、回路11上の電極12との接触が得られ難くなる。本発明の製法では上記の問題点が改良され、微細な回路の電気的接続が得られる。
【0031】
図3(a)は、上記の本発明の異方導電性樹脂フィルム状成形物の製造工程のうち、本発明の請求項1にかかる部分であり、導電性粒子1を粘着材2の層に散布した図であり、導電性粒子1は粘着材2の粘着力により固定されている。図3(b)は、本発明の異方導電性樹脂フィルム状成形物の製造工程のうち、本発明の請求項2にかかる部分であり、導電性粒子1は粘着材層上に置かれたマスク4の透孔5の内部で粘着材2と接し固定されている図である。導電性粒子1はブラシ等でマスク4の上を転動し、マスク4の透孔5に入れることが出来る。よって、導電性粒子がフィルム面の所望の配列で存在する異方導電性樹脂フィルム状成形物が得られる。
【0032】
図3の(c)及び(d)は、本発明の請求項3にかかる部分であり、粘着材の面上に導電性粒子の粒径以上の厚さに導電性粒子の層を設けた後、その導電性粒子層を粘着材面に押圧する工程を示したものである。図3(c)は粘着材2の面上に導電性粒子1の粒径以上の厚さに導電性粒子層を設けたときの図であり、図3(d)は導電性粒子層を粘着材面にゴムロール6で押圧する工程を示したものである。この工程により、導電性粒子と粘着材層との接触面積を大きくし、導電性粒子の固定を均一で確実なものにすると共に、導電性粒子間に挟持され、粘着材層に接していない導電性粒子を押圧し、粘着材層に強制的に接触せることで、異方導電性樹脂フィルム状成形物中の導電性粒子の密度を大きくすることが出来る。また、粘着材層に接していない導電性粒子を少なくすることが出来るので、導電に寄与しない余剰の導電性粒子を除去し易くなる。
【0033】
図3(e)は、本発明の請求項にかかる部分であり、粘着材2の面上に導電性粒子1の層を設けた後、導電性粒子層を粘着材面に押圧し、導電性粒子1の粒径の1/2以下の深さまで導電性粒子層を粘着材層に埋め込ませる工程を示したものである。導電性粒子層を粘着材層に埋め込ませることで、作製した異方導電性樹脂フィルム状成形物の粘着材と接していた面において、導電性粒子がフィルム面から突出した構造とすることが出来、図2(a)における電極12と導電性粒子1との電気的接続を確実なものとすることが出来る。また、押圧する圧力を変化させることで、導電性粒子の埋め込み量を自由に設定出来るので、導電性粒子の突出量を最適に設定することが容易に出来る。
【0034】
図3の(f)及び(g)は、本発明の請求項にかかる部分であり、導電性粒子を帯電体上に静電気力により保持し、この帯電体を粘着材面に押圧し、導電性粒子を粘着材面に転写する工程を示したものである。図3(f)は導電性粒子1を帯電体7の上に静電気力により保持したときの図であり、図3(g)はこの帯電体7を粘着材2の面に押圧し、導電性粒子1を粘着材2の面に転写する工程を示したものである。導電性粒子と異なる電荷に帯電させた帯電体を導電性粒子に近接させると、静電気力により帯電体上に導電性粒子が保持される。このとき帯電体上の導電性粒子は各々同一の電荷に帯電するので、導電性粒子は互いに反発しあい、凝集のない単一層状態で帯電体上に配列する。よって、この帯電体上の導電性粒子を粘着材表面に転写することにより、凝集のない単一層状態の導電性粒子の配列を粘着材面に形成することが出来、導電性粒子がフィルム面に均一に分散した異方導電性樹脂フィルム状成形物が得られる。
【0035】
図3の(h)及び(i)は、本発明の請求項にかかる部分であり、帯電体上にマスクを設け、マスクの透孔の部分の帯電体上に導電性粒子を静電気力により保持し、この帯電体を粘着材面に押圧し、導電性粒子を粘着材面に転写する工程を示したものである。図3(h)は帯電体7の上にマスク4を設け、マスク4の透孔部分の帯電体上に導電性粒子を静電気力により保持したときの図であり、図3(i)はこの帯電体7を粘着材2の面に押圧し、導電性粒子1を粘着材面に転写する工程を示したものである。マスクは帯電体を粘着材面に押圧する工程の前に取り外す構造としてもよいし、図3(i)に示したようにマスクを付けたまま粘着材面に押圧してもよい。
【0036】
導電性粒子と異なる電荷に帯電させた帯電体を導電性粒子に近接させると、静電気力により帯電体上に導電性粒子が保持される。このとき、マスク上の導電性粒子は表面に露出したマスクの透孔部分の帯電体上に静電気力により引かれ、マスクの透孔部分に導電性粒子が吸着した配列を形成する。マスクの帯電量を小さくすることで、マスク上に付着する粒子量を少なくすることが可能である。またマスクと帯電体との帯電量の差を大きくすることにより、導電性粒子の吸着力に差を設け、空気の吹き付けによりマスク上に吸着した導電性粒子のみを除去することが可能である。よって、この帯電体上の導電性粒子を粘着材表面に転写することにより、導電性粒子がフィルム面に所望の配列で存在する異方導電性樹脂フィルム状成形物が得られる。
【0037】
図4(a)は、本発明の請求項にかかる部分であり、導電性粒子1と粘着材2とを異なる電荷に帯電させ、静電気力により粘着材2の面に導電性粒子1を散布して導電性粒子層を設ける工程を示したものである。この工程は図3(f)の帯電体7を帯電した粘着材層とすることで同様の効果が達成出来、導電性粒子を転写する工程無しに導電性粒子がフィルム面に均一に分散した異方導電性樹脂フィルム状成形物が得られる。また、図4(b)に示すように、図3(h)に示した帯電体7を帯電した粘着材層とすることで同様の効果が達成出来、導電性粒子を転写する工程無しに導電性粒子がフィルム面に均一に分散した異方導電性樹脂フィルム状成形物が得られる。
【0038】
導電性粒子と異なる電荷に帯電させた粘着材層を導電性粒子に近接させると、静電気力により粘着材上に導電性粒子が保持される。このときマスク上の導電性粒子は表面に露出したマスク上の透孔部分の粘着材上に静電気力により引かれ、マスクの透孔部分にのみ導電性粒子が粘着した配列を形成する。マスクの帯電量を小さくすることでマスク上に付着する粒子量を少なくすることが可能であり、マスクと導電性粒子とは粘着していないので、空気の吹き付けやブラシを用いて容易に除去出来る。よって、導電性粒子がフィルム面に所望の配列で存在する異方導電性樹脂フィルム状成形物が得られる。
【0039】
図4(c)は、本発明の請求項にかかる部分であり、導電性粒子に代えて繊維状導電体を用い、繊維状導電体8と粘着材2とを異なる電荷に帯電させ、静電気力により粘着材2の面に繊維状導電体8を散布し、導電性粒子層を設ける工程を示したものである。繊維状導電体は、静電気力により帯電体上に散布したときに繊維状導電体同士の静電気力による反発で帯電体面に対し長軸が垂直になった状態で直立する。この繊維状導電体を散布した帯電体を粘着材面に押圧するか、又は帯電体を粘着材2の面とすることにより、粘着材面に繊維状導電体が直立した状態で固定することが出来る。よって、この方法により、フィルムの厚さ方向に繊維状導電体が直立した状態の異方導電性樹脂フィルム状成形物が得られる。このとき、繊維状導電体の径を小さくすることで、導電体の面内の配列密度を高くすることが出来、繊維状導電体の長軸の長さを長くすることでフィルム厚さを厚くし、フィルム強度を向上することが出来る。
【0040】
図4の(d)、(e)及び(f)は、本発明の請求項にかかる部分であり、導電性粒子又は繊維状導電体が、加熱又は加圧により除去し得る電気絶縁層であらかじめ表面を被覆した導電性粒子、繊維状導電体又はこれらの凝集体としたときの工程を示したものである。図4(d)は電気絶縁層(絶縁層)9を形成した導電性粒子1を粘着材2の面に散布した図であり、図4(e)は得られた試料を回路11の間に挿入したときの図である。図4(f)は加熱加圧により絶縁層9を流動させ、回路11間の電気的接続がなされている状態を示した図である。絶縁層はフィルム形成樹脂溶液に溶解しないので、絶縁層を保持した状態でフィルム形成樹脂溶液内に存在し、且つ粒子が粘着材により固定されているので、粒子同士がフィルム形成樹脂溶液内で凝集することもなく、フィルム面内に均一に分散した状態になる。よって、導電性粒子同士が接触する密な充填をしても、粒子間の絶縁層により面方向の絶縁性が保持される。相対峙する電極間の電気的接続は加圧又は加熱加圧下で行い、粒子表面の絶縁層を流動除去して得られる。
【0041】
図4の(g)及び(h)は、本発明の請求項にかかる部分であり、導電性粒子又は繊維状導電体があらかじめ電気絶縁層で表面を被覆した導電性粒子、繊維状導電体又はこれらの凝集体であり、樹脂フィルム状成形物の表面及び裏面を取り除いて、その厚さを導電性粒子の粒径又は繊維状導電体の繊維長以下にすると共に、樹脂フィルム状成形物の表面及び裏面に露出した導電性粒子又は繊維状導電体の絶縁層を取り除いたときの工程を示したものである。図4(g)は、絶縁層9で表面を被覆した導電性粒子1を用いて得られたフィルム状成形物で、このフィルム表面に露出した絶縁層9を取り除いた状態が図4(h)である。絶縁層はフィルム形成樹脂溶液に溶解しないので、絶縁層を保持した状態でフィルム形成樹脂溶液内に存在し、且つ粒子が粘着材により固定されているので、粒子同士がフィルム形成樹脂溶液内で凝集することもなく、フィルム面内に均一に分散した状態になる。
【0042】
よって、導電性粒子同士が接触する密な充填をしても、粒子間の絶縁被覆層により面方向の絶縁性が保持される。絶縁層はフィルム形成樹脂と相溶しない樹脂を選択しているので、適当な溶剤を選択することでフィルム表面に露出した絶縁層だけを溶解除去することが可能である。また、溶解性が高い溶剤やプラズマ処理等の物理的方法で導電性粒子表面のフィルム形成樹脂及び絶縁層を同時に除去することも可能である。この方法によれば、電気的接続時に絶縁層を除去することが困難な場合であっても、絶縁層で被覆した導電性粒子を用いて導電点密度の高い異方導電性樹脂フィルム状成形物が使用出来る。
【0043】
図4(i)は、本発明の請求項10にかかる部分であり、加熱加圧又は光照射により接着性を有するフィルム形成樹脂13を用いた異方導電性樹脂フィルム状成形物の断面構造を示した。フィルム形成樹脂に加熱加圧又は光照射によって溶融、硬化する熱可塑性樹脂、未硬化の熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等を用いることで、電極間の接着及び電気的接続を同時に達成することが可能である。具体的には、本発明の異方導電性樹脂フィルム状成形物を電極間に挿入、加圧により挟持した状態で、導電性粒子は電極間に挟持され、電気的接続が得られる。このときの加圧により導電性粒子が変形するか又は電極内に導電性粒子が埋め込まれ、電極とフィルム形成樹脂とが接触した状態にする。加圧しながら加熱又は光照射によりフィルム形成樹脂を硬化して電極間を接着した状態に保持する。加圧による電気的な接続工程と加熱又は光照射による電極間の接着工程は同時に行ってもよく、この工程間に接続する電子部品の電気的機能検査等を行う工程を設けることが出来る。
【0044】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれにより限定されない。先ず、この実施例及び比較例で使用する材料及び条件を以下に示す。粘着材は厚さ10μmのポリイソブチレン粘着材(ビスタネックス、トーネックス(株))又は厚さ10μmのシリコーン系粘着材(軽剥離タイプ、東芝シリコーン(株))を厚さ50μmのPET製基材フィルム上に塗工して用いる。導電性粒子は平均粒径40μmのガスアトマイズ法で作製されたニッケル(Ni)粒子、平均繊維長40μmで繊維径約20μmのニッケル繊維状導電体、又は平均粒径40μmのポリスチレン球状粒子の表面に0.2μmの金の層を設けたプラスチック導電性粒子を用いた。
【0045】
Ni粒子の表面に絶縁層を設けた絶縁被覆導電性粒子は、絶縁被覆材としてCM4000(メタノール可溶性ナイロン、東レ(株))を使用し、メタノールを溶剤としてコートマイザ(フロイント産業(株))により湿式で厚さ約0.5μmの絶縁層を着けた。フィルム形成樹脂はポリアミック酸のDMF溶液を塗工後、乾燥、イミド化して得られたポリイミド樹脂、又はエピコート1001/エピコート828/ニポール1032(ニトリルゴム、日本ゼオン(株))/ヒタノール2400(アルキルフェノール、日立化成工業(株))/キュアゾール2PZ(2−フェニルイミダゾール、四国化成工業(株))=50/20/20/10/2の配合比のフィルム形成樹脂トルエン溶液を塗工後、乾燥して得られた熱硬化性エポキシ樹脂の何れかを用いた。
【0046】
製作工程は各実施例に具体的に示すが、粘着材及びフィルム形成樹脂の塗工はアプリケーター式塗工機を使用した。ポリアミック酸乾燥条件は130℃で10分、脱水イミド化条件は400℃10分とし、ポリアミック酸塗布面側の導電性粒子の表面を露出させるためのポリイミドの分解除去は水酸化ナトリウム水溶液への浸漬により行った。また、熱硬化性エポキシ樹脂の塗工後の乾燥条件は80℃10分とし、フィルム形成樹脂塗布面側の導電性粒子表面を露出させる方法はトルエンを含浸した不織布で拭き、溶解除去することにより行った。得られた異方導電性樹脂フィルム状成形物の評価は、ライン幅50μm、ピッチ100μm、厚さ35μmの銅回路を有する全回路幅50mmのフレキシブル回路板(FPC)を使用し、この回路板同士の回路を対向して位置合わせを行った後、この回路間に得られた異方導電性樹脂フィルム状成形物を挿入し、10kg/cm2の加圧により回路を圧接した状態で接続抵抗及び絶縁抵抗を測定した。
【0047】
但し、加熱加圧により除去される絶縁被覆導電性粒子を用いた実施例9では、試料を回路間に挿入し加圧加熱状態(10kg/cm2、150℃)で30秒間保持して絶縁被覆層を除去した後、加圧したまま室温に冷却して測定した。また電気的な接続と同時に回路間の接着による機械的接続を得る目的の実施例11では、試料を評価用回路間に挿入し、加圧状態(10kg/cm2)で行ったときと、加圧加熱状態(10kg/cm2、170℃)で30秒間保持して回路間を試料により接着後、常圧で室温に冷却したときの二度測定した。測定条件は、一対のFPC間の接続抵抗を測定電流1mAで測定し、隣接した接続回路間の絶縁抵抗を測定電圧100Vで測定した。この結果は、すべての実施例及び比較例について表1に示した。
【0048】
実施例1
目開き50μmの篩を通して粉体を散布する乾式の粒子散布装置を用い、Ni粒子をPETフィルム上のポリイソブチレン塗布面に散布した。この粒子散布面にポリアミック酸溶液を塗工し、乾燥後ポリイソブチレンとの界面から剥離し、熱処理によりイミド化した。このフィルムはポリイミド部分で約25μmの厚さがあったが、ポリアミック酸溶液塗布面側は粒子表面にポリイミドの薄膜が覆っていたので、水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、表層のポリイミドを部分的に分解除去し、粒子表面を露出させた。得られた試料の電気特性の評価は、評価用回路間に挿入し、加圧状態(10kg/cm2)で行った。
【0049】
実施例2
PETフィルム上のポリイソブチレン塗布面にマスク(目開き50μmの非帯電処理をしたナイロンメッシュ)を密着させ、目開き50μmの篩を通して粉体を散布する乾式の粒子散布装置を用いて、Ni粒子をマスク面に散布した。散布後、除電ブラシを用いてマスク上の粒子を転動させ、マスクの透孔内に多くの粒子が入るようにした。次に、粘着材に保持されていない粒子を圧縮エアーの吹き付けにより除去した後、粘着材面からマスクを剥離した。この粒子散布面にポリアミック酸溶液を塗工し、乾燥後ポリイソブチレンとの界面から剥離し、熱処理によりイミド化した。このフィルムはポリイミド部分で約25μmの厚さがあったが、ポリアミック酸溶液塗布面側は粒子表面にポリイミドの薄膜が覆っていたので、水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、表層のポリイミドを部分的に分解除去し、粒子表面を露出させた。得られた試料の電気特性の評価は、評価用回路間に挿入し、加圧状態(10kg/cm2)で行った。
【0050】
実施例3
目開き50μmの篩を通して粉体を散布する乾式の粒子散布装置を用い、Ni粒子をPETフィルム上のポリイソブチレン塗布面に散布した。このとき、散布されたNi粒子同士が3個から10個程度凝集して局所的に層状をなした部分が各所に存在していた。この粒子散布面上に25μmのカバー用PETフィルムを被せて、ゴムロール間に挿入し、1kg/cm2の圧力で押圧した。この後、カバー用PETフィルムを剥離し、Ni粒子の散布状態を観察したが、Ni粒子は粘着材面に押圧されて殆ど1層になっていた。このNi粒子散布面にポリアミック酸のDMF溶液を塗工し、乾燥後ポリイソブチレンとの界面から剥離し、熱処理によりイミド化した。このフィルムはポリイミド部分で約25μmの厚さがあったが、ポリアミック酸溶液塗布面側はNi粒子表面にポリイミドの薄膜が覆っていたので、水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、表層のポリイミドを部分的に分解除去し、粒子表面を露出させた。得られた試料の電気特性の評価は、評価用回路間に挿入し、加圧状態(10kg/cm2)で行った。
【0051】
実施例4
目開き50μmの篩を通して粉体を散布する乾式の粒子散布装置を用い、Ni粒子をPETフィルム上のポリイソブチレン塗布面に散布した。このNi粒子散布面の上に25μmのカバー用PETフィルムを被せてゴムロール間に挿入し、5kg/cm2の圧力で押圧した。この後、カバー用PETフィルムを剥離し、Ni粒子の散布状態を観察したが、Ni粒子は殆ど1層で粘着材内に平均で約5μm埋め込まれていた。この粒子散布面にポリアミック酸のDMF溶液を塗工し、乾燥後ポリイソブチレン面から剥離し、熱処理によりイミド化した。このフィルムはポリイミド部分で約25μmの厚さがあったが、ポリアミック酸溶液塗布面側は粒子表面にポリイミドの薄膜が覆っていたので、水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、表層のポリイミドを部分的に分解除去し、粒子表面を露出させた。得られた試料の電気特性の評価は、評価用回路間に挿入し、加圧状態(10kg/cm2)で行った。
【0052】
実施例5
目開き50μmの篩を通して粉体を散布する乾式の粒子散布装置を用い、Ni粒子をアルミニウム箔上に散布した。このNi粒子散布面の上方に、コロナ帯電装置を用いて+3kVに帯電させたアクリル板を約1cmの距離を置いてNi粒子散布面に対向するように設置した。このとき、アルミニウム箔上のNi粒子は静電気力によりアクリル板面に吸着した。また、アクリル板面に吸着したNi粒子はそれぞれ同電位に帯電するので、導電性粒子間に静電気による反発力が生じ、粒子間の凝集がなく、1層の粒子層を形成していた。この粒子面をポリイソブチレンの粘着材面に押圧してNi粒子を粘着材面に転写した。この粒子転写面にポリアミック酸の溶液を塗工し、乾燥後ポリイソブチレン面から剥離し、熱処理によりイミド化した。このフィルムはポリイミド部分で約25μmの厚さがあったが、ポリアミック酸溶液塗布面側は粒子表面にポリイミドの薄膜が覆っていたので、水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、表層のポリイミドを部分的に分解除去して、粒子表面を露出させた。得られた試料の電気特性の評価は、評価用回路間に挿入し、加圧状態(10kg/cm2)で行った。
【0053】
実施例6
目開き50μmの篩を通して粉体を散布する乾式の粒子散布装置を用い、Ni粒子をアルミニウム箔上に散布した。次に、アクリル板とマスク(目開き50μmのステンレス製メッシュ)とを張り合わせた板のマスク面側をコロナ帯電装置を用いて+3kVに帯電させ、Ni粒子散布面の上方に、マスク面が約1cmの距離を置いてNi粒子散布面に対向するように設置した。このとき、アルミニウム箔上のNi粒子は静電気力によりマスクの透孔部に吸着した。また、マスク面に吸着したNi粒子はそれぞれ同電位に帯電するので、Ni粒子間に静電気による反発力が生じ、粒子間の凝集がなく、1層の粒子層を形成していた。この粒子面をポリイソブチレンの粘着材面に押圧してNi粒子を粘着材面に転写した。この粒子転写面にポリアミック酸のDMF溶液を塗工し、乾燥後ポリイソブチレン面から剥離し、熱処理によりイミド化した。このフィルムは、ポリイミド部分で約25μmの厚さがあったが、ポリアミック酸溶液塗布面側は粒子表面にポリイミドの薄膜が覆っていたので、水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、表層のポリイミドを部分的に分解除去し、粒子表面を露出させた。得られた試料の電気特性の評価は、評価用回路間に挿入し、加圧状態(10kg/cm2)で行った。
【0054】
実施例7
Ni粒子を目開き50μmの篩を通して粉体を散布する乾式の粒子散布装置を用いて、アルミニウム箔上に散布した。次に、PETフィルム上のポリイソブチレン塗布面に密着させたマスク(ナイロン製、目開き50μm)のマスク面側をコロナ帯電装置を用いて+3kVに帯電させ、Ni粒子散布面の上方に、マスク面が約1cmの距離を置いてNi粒子散布面に対向するように設置した。このときアルミニウム箔上のNi粒子は静電気力によりマスクの孔内に入り、粘着材に粘着固定した。また、粘着材面に固定したNi粒子はそれぞれ同電位に帯電するので、Ni粒子間に静電気による反発力が生じ、粒子間の凝集がなく、1層の粒子層を形成していた。次に粘着材面からマスクを剥離した。この粒子散布面にポリアミック酸溶液を塗工し、乾燥後ポリイソブチレン面から剥離し、熱処理によりイミド化した。このフィルムはポリイミド部分で約25μmの厚さがあったが、ポリアミック酸溶液塗布面側は粒子表面にポリイミドの薄膜が覆っていたので、水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、表層のポリイミドを部分的に分解除去し、粒子表面を露出させた。得られた試料の電気特性の評価は評価用回路間に挿入し、加圧状態(10kg/cm2)で行った。
【0055】
実施例8
目開き50μmの篩を通して粉体を散布する乾式の粒子散布装置を用いて、繊維状導電体をアルミニウム箔上に散布した。次に、PETフィルム上のポリイソブチレン塗布面に密着させたマスク(目開き50μmのナイロン製メッシュ)のマスク面側をコロナ帯電装置を用いて+3kVに帯電させ、繊維状導電体の上方に、マスク面が約1cmの距離を置いて繊維状導電体散布面に対向するように設置した。このとき、アルミニウム箔上の繊維状導電体は静電気力によりマスクの孔内に入り、粘着材に粘着固定した。このとき、繊維状導電体は粘着材面にほぼ直立し、粘着材中に数μm埋まった状態で固定されていた。また、粘着材面に固定した繊維状導電体はそれぞれ同電位に帯電するので、繊維状導電体間に静電気による反発力が生じ、繊維状導電体間の凝集がなく1層の粒子層を形成していた。次に、粘着材面からマスクを剥離した。この粒子散布面にポリアミック酸溶液を塗工し、乾燥後ポリイソブチレン面から剥離し、熱処理によりイミド化した。このフィルムはポリイミド部分で約25μmの厚さがあったが、ポリアミック酸溶液塗布面側は粒子表面にポリイミドの薄膜が覆っていたので、水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、表層のポリイミドを部分的に分解除去し、粒子表面を露出させた。得られた試料の電気特性の評価は、評価用回路間に挿入し、加圧状態(10kg/cm2)で行った。
【0056】
実施例9
目開き50μmの篩を通して粉体を散布する乾式の粒子散布装置を用いて、絶縁被覆導電性粒子をPETフィルム上のポリイソブチレン塗布面に散布した。この粒子散布面にポリアミック酸溶液を塗工し、乾燥後ポリイソブチレン面から剥離し、熱処理によりイミド化した。このフィルムはポリイミド部分で約25μmの厚さがあったが、ポリアミック酸溶液塗布面側は粒子表面にポリイミドの薄膜が覆っていたので、水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、表層のポリイミドを部分的に分解除去し、粒子表面を露出させた。得られた試料の電気特性の評価は評価用回路間に挿入し、加圧加熱状態(10kg/cm2、150℃)で30秒間保持した後、加圧したまま室温に冷却して行った。評価後回路面を観察したが、絶縁被覆層の付着は認められなかった。
【0057】
実施例10
目開き50μmの篩を通して粉体を散布する乾式の粒子散布装置を用いて、絶縁被覆導電性粒子をPETフィルム上のポリイソブチレン塗布面に散布した。この粒子散布面にポリアミック酸溶液を塗工し、乾燥後ポリイソブチレン面から剥離し、熱処理によりイミド化した。このフィルムはポリイミド部分で約25μmの厚さがあったが、ポリアミック酸溶液塗布面側は粒子表面にポリイミドの薄膜が覆っていたので、水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、表層のポリイミドを部分的に分解除去し、粒子表面を露出させた。次に、この試料をメタノール中に浸漬し、表面に露出した粒子上の絶縁被覆層を溶解除去した。得られた試料の電気特性の評価は評価用回路間に挿入し、加圧状態(10kg/cm2)で行った。
【0058】
実施例11
目開き50μmの篩を通して粉体を散布する乾式の粒子散布装置を用いて、プラスチック導電性粒子をPETフィルム上のシリコーン系粘着材塗布面に散布した。この粒子散布面に熱硬化性エポキシ樹脂を塗工し、乾燥した。このフィルムはプラスチック導電性粒子のないフィルム形成樹脂部分で約25μmの厚さがあったが、フィルム形成樹脂塗布面側は粒子表面にフィルム形成樹脂の薄膜が覆っていたので、トルエンを含浸した不織布で数回拭き取った。このとき、フィルム面に対してプラスチック導電性粒子が突出した構造になっているので、粒子上のフィルム形成樹脂の薄膜が容易に除去された。次に、フィルム形成樹脂を粘着材面から剥離し評価用試料とした。電気特性の評価は評価用回路間に挿入して加圧状態(10kg/cm2)で行ったとき、及び加圧加熱状態(10kg/cm2、170℃)で30秒間保持して回路間を試料により接着後、常圧で室温に冷却したときの二度行った。接着後は導電性粒子が約15μmの厚さまで圧縮変形し、フィルム形成樹脂は回路間に充填し、架橋により硬化しており、回路間は強固に接着されていた。
【0059】
比較例
図5(a)に示すように、ポリアミック酸のDMF溶液14中にNiの導電性粒子1を配合量30体積%分散し、アプリケータ塗工装置を用いてPETの基材フィルム3上に流延した。図5(b)に示すように、流延後直ちに導電性粒子1の沈降が起こった。これを乾燥後にPETフィルム3の面から剥離し、熱処理によりイミド化した。図5(c)に示すように、このフィルム10は導電性粒子1の凝集体が多く存在して表面の凹凸が大きかったが、平均的なフィルム厚さは約70μmであった。このフィルム10の両面には粒子表面が露出していなかったので、このフィルムを水酸化ナトリウム水溶液に浸漬してポリイミド表面を部分的に分解除去し、導電性粒子の粒径以下までポリイミド部分の厚さを減少させ、粒子表面を露出させた。
【0060】
このとき、導電性粒子の沈降によりフィルム10中の導電性粒子1はPETフィルム3面側に多く偏在していたので、図5の(d)及び(e)に示すように、片面にポリイソブチレン粘着材15を塗布したPETフィルム16をラミネートして水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、浸漬時間で各面のポリイミド分解量を調節した。また、塗工厚みを薄くして、除去するポリイミド量を減少させることも試みたが、塗工時にアプリケータとPETフィルムとの間に粒子が凝集して多数の筋が発生し、フィルムが出来なかった。図5(f)に示す得られた試料の電気特性の評価は、図2(b)に示すように評価用回路間に挿入し、加圧状態(10kg/cm2)で行った。
【0061】
【表1】
Figure 0003812682
注)Aは接続抵抗不良(10Ω以上)の発生率(%)
Bは絶縁抵抗不良(106Ω以下)の発生率(%)
実施例の11aは加圧時、11bは加圧加熱後を示す。
【0062】
【発明の効果】
本発明によれば、異方導電性樹脂フィルム状成形物内の導電性粒子の充填量を多くできるので、成形物の単位面積当りの導電点を多くすることが出来、従来に比べて分解性能に優れた異方導電性樹脂フィルム状成形物が得られ、高精細な電極間の電気的接続が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の異方導電性樹脂フィルム状成形物の製造法における製作順を説明する断面図である。
【図2】 異方導電性樹脂フィルム状成形物により回路を接続したときの断面図であり、(a)は本発明で得られた成形物を用いた場合、(b)は従来の製造法で得られた成形物を用いた場合である。
【図3】 本発明の異方導電性樹脂フィルム状成形物の製造法における各種の製作例を説明する断面図である。
【図4】 本発明の異方導電性樹脂フィルム状成形物の製造法における各種の製作例を説明する断面図である。
【図5】 従来の異方導電性樹脂フィルム状成形物の製作順を説明する断面図である。
【符号の説明】
1…導電性粒子、2…粘着材、3…基材フィルム、4…マスク、5…透孔、6…ゴムロール、7…帯電体、8…繊維状導電体、9…電気絶縁層、10…フィルム形成樹脂、11…回路、12…電極、13…フィルム形成樹脂、14…フィルム形成樹脂溶液、15…ポリイソブチレン粘着材、16…PETフィルム

Claims (10)

  1. 導電性粒子をフィルム状成形物の面方向に均一に分散させ、表裏に露出した導電性粒子を介してフィルム状成形物の厚み方向にのみ導電性を有する異方導電性の樹脂フィルム状成形物を製造する方法において、粘着材面上に導電性粒子層を設けた後、導電性粒子層を粘着材面に押圧し、導電性粒子の粒径の1/2以下の深さまで導電性粒子層を粘着材層に埋め込み導電性粒子を粘着材面に粘着固定し、該粘着材と非相溶なフィルム形成樹脂を導電性粒子間に充填し、該フィルム形成樹脂を乾燥又は硬化後フィルム形成樹脂から粘着材を剥離する異方導電性樹脂フィルム状成形物の製造法であって、前記粘着材の剥離前又は剥離後に導電性粒子上のフィルム形成樹脂を除去することを特徴とする異方導電性樹脂フィルム状成形物の製造法。
  2. 粘着材面上に透孔を有するフィルム又は網を設け、導電性粒子をフィルム又は網の透孔内の粘着材面に粘着固定する請求項1記載の異方導電性樹脂フィルム状成形物の製造法。
  3. 粘着材面上に導電性粒子の粒径以上の厚さに導電性粒子層を設けた後、該導電性粒子層を粘着材面に押圧する請求項1記載の異方導電性樹脂フィルム状成形物の製造法。
  4. 導電性粒子を帯電体上に静電気力により保持し、この帯電体を粘着材面に押圧し、導電性粒子を粘着材面に転写し導電性粒子を粘着材面に粘着固定する請求項1記載の異方導電性樹脂フィルム状成形物の製造法。
  5. 帯電体上に透孔を有するフィルム又は網を設け、導電性粒子をフィルム又は網の透孔内の帯電体上に静電気力により保持する請求項4記載の異方導電性樹脂フィルム状成形物の製造法。
  6. 導電性粒子及び粘着材を異なる電荷に帯電させ、静電気力により粘着材面に導電性粒子を散布し、導電性粒子層を設ける請求項1乃至3の何れかに記載の異方導電性樹脂フィルム状成形物の製造法。
  7. 導電性粒子に代えて繊維状の導電体を用いる請求項4、5又は6記載の異方導電性樹脂フィルム状成形物の製造法。
  8. 導電性粒子又は繊維状導電体を、加熱又は加圧により除去し得る電気絶縁層であらかじめ表面を被覆した請求項1乃至7の何れかに記載の異方導電性樹脂フィルム状成形物の製造法。
  9. 導電性粒子又は繊維状導電体があらかじめ電気絶縁層で表面を被覆したものであり、樹脂フィルム状成形物の表面及び裏面の一部を取り除いて、その厚さを導電性粒子の粒径以下又は繊維状導電体の繊維長以下にすると共に、樹脂フィルム状成形物の表面及び裏面に露出した電気絶縁層を取り除く請求項1乃至8の何れかに記載の異方導電性樹脂フィルム状成形物の製造法。
  10. 加熱加圧又は光照射により接着性を有するフィルム形成樹脂を用いた請求項1乃至9の何れかに記載の異方導電性樹脂フィルム状成形物の製造法。
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