JP3812347B2 - タイヤ空気圧警報装置の故障診断装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、タイヤ空気圧警報装置の故障診断装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来、タイヤ空気圧警報装置としては、例えば、特許第2639856号公報(特表平8−505939号公報)に記載のものが知られている。
【0003】
この従来の公報には、各輪に取り付けられたタイヤ圧検出用送信機が一定の周期で圧力値、センサ値等の情報を変調し、電磁波を用いて送信し、車室内に設置された受信機がこれを受け、復調しデータ内の圧力値を判断して圧力低下時にタイヤ空気圧警報指令を出す装置において、タイヤ圧検出用送信機は、電池寿命を確保するために送信機内に設置された遠心力スイッチの開閉をトリガにして、停止を含む車速が低い領域では長い送信間隔とし、それより車速が高い領域では、短い送信間隔とするというように送信周期を2段階に変える技術が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のタイヤ空気圧警報装置にあっては、タイヤ圧検出用送信機が故障であると診断する構成を有しないものであるため、タイヤ圧検出用送信機が故障であると、タイヤ空気圧が低下した場合のみならず、タイヤがパンクしたような場合でもタイヤ空気圧警報装置が正常に作動しないという問題がある。
【0005】
そこで、予め一定の故障診断時間を設定しておき、タイヤ圧検出用送信機からデータを受信しないままで設定した故障診断時間を経過したときにタイヤ圧検出用送信機が故障であると診断する送信機故障診断装置を設置することが考えられる。
【0006】
しかし、車速が低速域では長い送信間隔とし、車速が高速域では短い送信間隔とするというように送信周期を2段階に変えているため、例えば、低速での走行中において、故障診断時間を経過しても受信機側で送信機からのデータ送信を確認できない場合、送信周期が長いために確認できないのか、タイヤ圧検出用送信機が故障であるため確認できないのかを区別することができない。
【0007】
本発明は、上記問題点に着目してなされたもので、その目的とするところは、送信機の故障診断を行う受信機側で車速情報に基づいて故障診断時間を設定することにより、送信周期が車速により可変であるタイヤ圧検出用送信機の故障の有無を確実に診断することができるタイヤ空気圧警報装置の故障診断装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明では、
各輪に取り付けられたタイヤ圧検出用送信機が一定の周期で圧力値,センサ値等の情報を変調し、電磁波を用いて送信し、車室内に設置された受信機がこれを受け、復調しデータ内の圧力値を判断して圧力低下時にタイヤ空気圧警報指令を出す装置であって、
前記タイヤ圧検出用送信機は、停止を含む車速が低い領域では送信間隔を長くし、それより車速が高い領域では、送信間隔を短くするというように送信周期を変えているタイヤ空気圧警報装置において、
車速を検出する車速検出手段と、
前記車速検出手段からの車速検出値により前記タイヤ圧検出用送信機のデータ送信周期を予測し、この予測に基づき送信機が故障であるとの診断しきい値である故障診断時間を設定する故障診断時間設定手段と、
タイヤ圧検出用送信機からデータを受信しないままで設定した故障診断時間を経過したときにタイヤ圧検出用送信機が故障であると診断する送信機故障診断手段と、を備え、
前記故障診断時間設定手段は、送信機が故障であると診断する故障診断時間を、車速の上昇に従って長い時間に設定する手段であることを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明では、請求項1に記載のタイヤ空気圧警報装置の故障診断装置において、
前記タイヤ圧検出用送信機は、電池寿命を確保するために送信機内に設置された遠心力スイッチの開閉をトリガにして、停止を含む車速が低い領域では長い送信間隔、それより車速が高い領域では、短い送信間隔というように送信周期を2段階に変えている送信機であり、
前記故障診断時間設定手段は、車速検出値が短い送信周期となる設定車速以上の領域での故障診断時間を設定する手段であり、
前記送信機故障診断手段は、前記車速検出値が設定車速未満の領域であるとき、送信機故障診断を行わず、短い送信周期となる設定車速以上の領域での走行中であり、かつ、タイヤ圧検出用送信機からデータを受信しないままで設定した故障診断時間を経過したときにタイヤ圧検出用送信機が故障であると診断する手段であることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明では、請求項2に記載のタイヤ空気圧警報装置の故障診断装置において、
前記故障診断時間設定手段は、車速検出値が設定車速以上の領域で送信機が故障であると診断する故障診断時間を、車速の上昇に従って長い時間に設定する手段であることを特徴とする。
【0011】
請求項4記載の発明では、請求項1ないし請求項3に記載のタイヤ空気圧警報装置の故障診断装置において、
前記送信機故障診断手段は、タイヤ圧検出用送信機が故障であると診断した場合、車室内に設置された警報器を作動させる手段であることを特徴とする。
【0012】
【発明の作用および効果】
請求項1記載の発明にあっては、タイヤ空気圧警報装置において、各輪に取り付けられたタイヤ圧検出用送信機が一定の周期で圧力値,センサ値等の情報を変調し、電磁波を用いて送信し、車室内に設置された受信機がこれを受け、復調しデータ内の圧力値を判断して圧力低下時にはタイヤ空気圧警報指令が出される。ここで、タイヤ圧検出用送信機は、停止を含む車速が低い領域では送信間隔を長くし、それより車速が高い領域では、送信間隔を短くするというように送信周期を変えている。
【0013】
そして、車速検出手段において、車速が検出され、故障診断時間設定手段において、車速検出手段からの車速検出値によりタイヤ圧検出用送信機のデータ送信周期を予測し、この予測に基づき送信機が故障であるとの診断しきい値である故障診断時間が設定され、送信機故障診断手段において、タイヤ圧検出用送信機からデータを受信しないままで設定した故障診断時間を経過したときにタイヤ圧検出用送信機が故障であると診断される。
【0014】
すなわち、車速に応じてデータ送信周期が変えられるタイヤ圧検出用送信機の故障を診断するにあたって、一定の故障診断時間とすると、故障診断時間を経過しても受信機側で送信機からのデータ送信を確認できない場合、送信周期が長いために確認できないのか、タイヤ圧検出用送信機が故障であるため確認できないのかを区別できない。これに対し、車速検出値を用いた故障診断時間の設定とすることで、故障診断時間が、データ送信周期の予測に基づいて故障かどうかの区別ができる最適値に設定される。
そして、故障診断時間設定手段において、送信機が故障であると診断する故障診断時間が、車速の上昇に従って長い時間に設定される。
すなわち、電波送受信式のタイヤ空気圧警報装置においては、車速上昇に伴って受信確率が低下するという特有の現象がみられる。
【0015】
よって、送信機の故障診断を行う受信機側で車速情報に基づいて故障診断時間を設定することにより、送信周期が車速により可変であるタイヤ圧検出用送信機の故障の有無を確実に診断することができる。
加えて、故障診断時間を車速の上昇に従って長い時間に設定することにより、車速上昇に伴う受信確率の低下により故障診断の信頼性が低下するのを防止することができる。
【0016】
請求項2記載の発明にあっては、タイヤ圧検出用送信機において、電池寿命を確保するために送信機内に設置された遠心力スイッチの開閉をトリガにして、停止を含む車速が低い領域では長い送信間隔、それより車速が高い領域では、短い送信間隔というように送信周期が2段階に変えられる。
これに対し、故障診断時間設定手段において、車速検出値が短い送信周期となる設定車速以上の領域での故障診断時間が設定され、送信機故障診断手段において、車速検出値が設定車速未満の領域であるとき、送信機故障診断が行われず、短い送信周期となる設定車速以上の領域での走行中であり、かつ、タイヤ圧検出用送信機からデータを受信しないままで設定した故障診断時間を経過したときにタイヤ圧検出用送信機が故障であると診断される。
【0017】
すなわち、タイヤ圧検出用送信機では、停止を含む車速が低い領域(遠心力スイッチの開の領域)では長い送信間隔(例えば、1時間)、それより車速が高い領域(遠心力スイッチの閉の領域)では、短い送信間隔(例えば、1分)というように送信周期が2段階に変えられる。長い送信間隔の場合には、何らかの原因により1回データ受信を逃すと、受信機では送信間隔の2倍の時間(例えば、2時間)を待ってもデータを受信しないことになり、それ以上の故障診断時間に設定したのでは、必要に応じた故障診断が行えなくなる。
【0018】
よって、短い送信間隔の車速域でのみ故障診断時間を設定することにより、送信周期が車速により2段階に変えられるタイヤ圧検出用送信機の故障の有無を確実に診断することができる。
【0019】
請求項3記載の発明にあっては、故障診断時間設定手段において、車速検出値が設定車速以上の領域で送信機が故障であると診断する故障診断時間が、車速の上昇に従って長い時間に設定される。
【0020】
すなわち、電波送受信式のタイヤ空気圧警報装置においては、車速上昇に伴って受信確率が低下するという特有の現象がみられる。
【0021】
よって、故障診断時間を車速の上昇に従って長い時間に設定することにより、車速上昇に伴う受信確率の低下により故障診断の信頼性が低下するのを防止することができる。
【0022】
請求項4記載の発明にあっては、送信機故障診断手段において、タイヤ圧検出用送信機が故障であると診断した場合、車室内に設置された警報器を作動させる指令が出される。
【0023】
よって、タイヤ圧検出用送信機が故障であることが警報機作動により運転者に知らされ、送信機を修理したり、新品に交換することで、直ちにタイヤ空気圧警報装置を正常な状態に戻すことができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明におけるタイヤ空気圧警報装置の故障診断装置を実現する実施の形態を、請求項1〜請求項4に対応する第1実施例に基づいて説明する。
【0025】
(第1実施例)
まず、構成を説明する。
図1は第1実施例のタイヤ空気圧警報装置の故障診断装置を示す全体システムであり、図中1はタイヤ空気圧警報コントローラ、2はタイヤ圧検出用送信機、3は車速センサ(車速検出手段)、4はワーニングランプ(警報器)、5は5V電源回路、6は受信回路(受信機)、7は車速入力回路、8はEEPROM、9はマイクロコンピュータ、10はワーニングランプ出力回路、11は圧力センサ、12は遠心力スイッチ、13はASIC、14は発信子、15は送信アンテナ、16は受信アンテナである。
【0026】
前記タイヤ空気圧警報コントローラ1は、5V電源回路5と、タイヤ圧検出用送信機2からの送信データを受信する受信回路6、車速センサ3からの車速信号を入力する車速入力回路7と、ID登録等を行うEEPROM8(電気的に記憶情報を消去可能な読み出し専用メモリ)と、受信回路6からの受信データや車速入力回路7からの車速情報等を入力するマイクロコンピュータ9と、マイクロコンピュータ9から警報指令を受けるワーニングランプ出力回路10とを有する。
【0027】
前記マイクロコンピュータ9には、受信回路6からの受信データに基づいてタイヤ空気圧の警報制御処理を実行するタイヤ空気圧警報制御部と、受信回路6からの受信データや車速入力回路7からの車速情報に基づいて送信機故障診断処理を実行する送信機故障診断部(送信機故障診断手段)とが制御プログラムとして有する。
【0028】
前記タイヤ空気圧警報制御部は、タイヤ圧検出用送信機2からの送信データを、車室内に設置された受信アンテナ16及び受信回路6により受信し、受信データ内の圧力値を判断して圧力低下時にタイヤ空気圧警報指令をワーニングランプ出力回路10に対して出す。
【0029】
前記送信機故障診断部は、設定車速(例えば、40km/h)以上での走行中において、タイヤ圧検出用送信機2から送信データを受信したかどうかを受信回路6からの受信データによりチェックし、受信しないままで車速入力回路7からの車速Vに基づいて設定した故障診断時間tを経過したときにタイヤ圧検出用送信機2が故障であると診断し、ワーニングランプ出力回路10に対して送信機故障警報指令を出す。
【0030】
前記タイヤ圧検出用送信機2は、各輪にそれぞれ取り付けられ、タイヤの空気圧を検出する圧力センサ11と、作用する遠心力が小さい領域では開となり遠心力が大きい領域では閉となる遠心力スイッチ12と、特定用途向け集積回路であるASIC13と、発信子14と、送信アンテナ15とを有し、電池寿命を確保するために設置された遠心力スイッチ12の開閉をトリガにして、停止を含む車速が低い領域では長い送信間隔(1時間)、それより車速が高い領域では、短い送信間隔(1分)というように送信周期を2段階に変え、圧力センサ11からの圧力値の情報を変調し、電磁波を用いて送信する。
【0031】
次に、作用を説明する。
【0032】
[送信機故障診断処理]
図2はマイクロコンピュータ9の送信機故障診断部で実行される送信機故障診断処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。
【0033】
ステップ20では、イグニッションスイッチがONかどうかが判断され、イグニッションスイッチがONになるとステップ21以降の送信機故障診断処理が実行される。
【0034】
ステップ21では、車速入力回路7からの車速Vが設定車速(例えば、40km/h以上)かどうかが判断され、NOの場合は、ステップ22へ進み、YESの場合はステップ23へ進む。
【0035】
ステップ22では、ステップ21でV<40km/hであると判断されたとき、データ待ちタイマTを非作動とし、再びステップ21へ戻る。
【0036】
ステップ23では、ステップ21でV≧40km/hであると判断されたとき、データ待ちタイマTを作動とし、ステップ24へ進む。
【0037】
ステップ24では、タイマ作動後、1分以内にデータ受信したかどうかが判断され、YESの場合(データ受信した場合)、ステップ25へ進み、NOの場合(データを受信しない場合)、ステップ26へ進む。
【0038】
ステップ25では、ステップ24でデータを受信していることで送信機2は正常であると判断され、データ待ちタイマTはクリアされ、ステップ21へ戻る。
【0039】
ステップ26では、ステップ24でデータを受信していないことで、データ待ちタイマTが故障診断時間t未満かどうかが判断され、YESの場合は、ステップ23へ戻り、NOの場合は、故障と診断してステップ27へ進む。
ここで、故障診断時間tは、図3に示すように、車速上昇による受信確率低下を補うために、t=0.05V+2.5(但し、40km/h以上)という車速Vに対して右上がりの一次関数により設定される(故障診断時間設定手段)。
【0040】
ステップ27では、ステップ26でT≧tと判断されたとき、ワーニングランプ出力回路10に対して送信機故障警報指令が出力される。
【0041】
[タイヤ空気圧警報制御作用]
タイヤ圧検出用送信機2において、圧力センサ11による圧力値を含むデータを変調し、電磁波を用いて後述する定められた周期により送信する。この送信されたデータは、車室内に設置された受信アンテナ16及び受信回路6により受信される。
【0042】
そして、マイクロコンピュータ9のタイヤ空気圧警報制御部において、受信回路6からの受信データ内の圧力値を読み込み、圧力値が設定された圧力しきい値以下かどうかを判断し、圧力値が圧力しきい値以下である圧力低下判断時に、タイヤ空気圧警報指令をワーニングランプ出力回路10に対して出力する。
【0043】
そして、ワーニングランプ出力回路10では、警報指令に基づいてワーニングランプ4を点灯する信号が出され、運転者はワーニングランプ4の点灯によりタイヤ空気圧の低下を知ることができる。
【0044】
ここで、タイヤ圧検出用送信機2からのデータ送信周期は、電池寿命を確保するために送信機2内に設置された遠心力スイッチ12の開閉をトリガにして、停止を含む車速が低い領域(遠心力スイッチ12が開の領域)では長い送信間隔(例えば、1時間)、それより車速が高い領域(遠心力スイッチ12が閉の領域)では、短い送信間隔(例えば、1分)というように2段階に変えられる。
【0045】
[送信機故障診断作用]
まず、40km/h未満での停止時や低速走行時には、図2のフローチャートにおいて、ステップ20→ステップ21→ステップ22へと進む流れとなり、車速Vが40km/h以上とならない限り、ステップ21→ステップ22の流れが繰り返される。
【0046】
すなわち、40km/h未満での低速走行時には、タイヤ圧検出用送信機2の故障診断が行われない。
【0047】
すなわち、タイヤ圧検出用送信機2では、停止を含む車速が低い領域(例えば、40km/h未満)では長い送信間隔(例えば、1時間)の送信周期であり、何らかの原因により1回データ受信を逃すと、受信機では送信間隔の2倍の時間(例えば、2時間)を待ってもデータを受信しないことになり、それ以上の故障診断時間に設定したのでは、必要性に応じた故障診断が行えなくなる。
【0048】
一方、40km/h以上の走行時で、かつ、タイヤ圧検出用送信機2が正常にデータを送信しているときには、図2のフローチャートにおいて、ステップ20→ステップ21→ステップ23→ステップ24へと進む流れとなり、ステップ24においては、送信周期である1分毎にデータを受信できることで、ステップ25へ進み、データ待ちタイマTがクリアされ、ステップ21→ステップ23→ステップ24→ステップ25の流れが繰り返される。
【0049】
すなわち、40km/h以上の走行時にはタイヤ圧検出用送信機2の故障診断は行われるが、タイヤ圧検出用送信機2が正常にデータを送信していることで、データを受信した時点で、データ待ちタイマTがクリアされることで、仮に、何らかの原因によりステップ24で1分以内にデータ受信ができなくて、ステップ26へ進んでも、T<tと判断され、送信機故障警報が出されることはない。
【0050】
一方、40km/h以上の走行時で、かつ、タイヤ圧検出用送信機2が故障によりデータを送信していないときには、図2のフローチャートにおいて、ステップ20→ステップ21→ステップ23→ステップ24へと進む流れとなり、ステップ24においては、データを受信できないことで、ステップ26へ進み、ステップ26において、データ待ちタイマTが故障診断時間t未満かどうかが判断され、YESの場合は、ステップ23へ戻り、データ待ちタイマTを増し、ステップ24→ステップ26へ進み、ステップ26で再びデータ待ちタイマTが故障診断時間t未満かどうかが判断されるというように、ステップ26でNOと判断されるまでステップ23→ステップ24→ステップ26の流れが繰り返される。
【0051】
そして、ステップ26において、NOと判断、つまり、データ待ちタイマTが故障診断時間t以上となったらタイヤ圧検出用送信機2が故障と診断してステップ27へ進み、ワーニングランプ出力回路10に対して送信機故障警報指令が出力される。つまり、40km/h以上の走行時で、かつ、タイヤ圧検出用送信機2が故障によりデータを送信していないときには、データ待ちタイマTが故障診断時間t以上となった時点でタイヤ圧検出用送信機2が故障と診断し、送信機故障警報が出される。
【0052】
すなわち、タイヤ圧検出用送信機2では、例えば、40km/h以上の車速域では、短い送信間隔(例えば、1分)の送信周期であり、この場合、何らかの原因により1回データ受信を逃しても受信機では送信間隔の2倍の時間(例えば、2分)を待てば次のデータを受信できることで、故障診断時間tは、例えば、50km/hで5分というように、送信周期に合わせて短い時間に設定することができ、これにより、送信周期が車速により2段階に変えられるタイヤ圧検出用送信機2の故障の有無を確実に診断することができる。
【0053】
さらに、故障診断時間tは、例えば、50km/hで5分で100km/hでは7.5分というように、車速Vの上昇に従って長い時間に設定することにより、車速上昇に伴う受信確率の低下により故障診断の信頼性が低下するのを防止することができる。
【0054】
加えて、タイヤ圧検出用送信機2が故障であると診断した場合、車室内に設置されたワーニングランプ4を点灯させるようにしたため、タイヤ圧検出用送信機2が故障であることをワーニングランプ4の点灯により運転者に知らせることができる。
【0055】
次に、効果を説明する。
【0056】
(1) 車速Vによりタイヤ圧検出用送信機2のデータ送信周期を予測し、この予測に基づきタイヤ圧検出用送信機2が故障であるとの診断しきい値である故障診断時間tを設定、つまり、タイヤ圧検出用送信機2の故障診断を行う受信機側で車速情報に基づいて故障診断時間tを設定するようにしたため、送信周期が車速により可変であるタイヤ圧検出用送信機2の故障の有無を確実に診断することができる。
【0057】
すなわち、車速に応じてデータ送信周期が変えられるタイヤ圧検出用送信機2の故障を診断するにあたって、一定の故障診断時間とすると、故障診断時間を経過しても受信機側で送信機2からのデータ送信を確認できない場合、送信周期が長いために確認できないのか、タイヤ圧検出用送信機が故障であるため確認できないのかを区別できない。これに対し、車速Vを用いた故障診断時間tの設定とすることで、故障診断時間tが、データ送信周期の予測に基づいて故障かどうかの区別ができる最適値に設定される。
【0058】
(2) タイヤ圧検出用送信機2は、電池寿命を確保するために送信機2内に設置された遠心力スイッチ12の開閉をトリガにして、停止を含む車速が低い領域では長い送信間隔、それより車速が高い領域では、短い送信間隔というように送信周期が2段階に変えられるのに対し、車速Vが短い送信周期となる設定車速(例えば、40km/h)以上の領域での故障診断時間tが設定され、車速Vが設定車速未満の領域であるとき、送信機故障診断を行わず、短い送信周期となる設定車速以上の領域での走行中であり、かつ、タイヤ圧検出用送信機2からデータを受信しないままで設定した故障診断時間tを経過したときにタイヤ圧検出用送信機2が故障であると診断するようにしたため、送信周期が車速により2段階に変えられるタイヤ圧検出用送信機2の故障の有無を確実に診断することができる。
【0059】
すなわち、タイヤ圧検出用送信機2では、停止を含む車速が低い領域(遠心力スイッチ12の開の領域)では長い送信間隔(例えば、1時間)、それより車速が高い領域(遠心力スイッチ12の閉の領域)では、短い送信間隔(例えば、1分)というように送信周期が2段階に変えられる。長い送信間隔の場合には、何らかの原因により1回データ受信を逃すと、受信機では送信間隔の2倍の時間(例えば、2時間)を待ってもデータを受信しないことになり、それ以上の故障診断時間に設定したのでは、必要性に応じた故障診断を行えなくなる。
【0060】
(3) 車速Vが設定車速以上の領域でタイヤ圧検出用送信機2が故障であると診断する故障診断時間tが、車速Vの上昇に従って長い時間に設定するようにしたため、車速上昇に伴う受信確率の低下により故障診断の信頼性が低下するのを防止することができる。
【0061】
(4) タイヤ圧検出用送信機2が故障であると診断した場合、車室内に設置されたワーニングランプ4を点灯させるため、タイヤ圧検出用送信機2が故障であることがワーニングランプ4の点灯により運転者に知らされる。
【0062】
この結果、タイヤ圧検出用送信機2を修理したり、タイヤ圧検出用送信機2を新品に交換することで、直ちにタイヤ空気圧警報装置を正常な状態に戻すことができる。
【0063】
(他の実施例)
以上、本発明のタイヤ空気圧警報装置の故障診断装置を第1実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に記載された本発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0064】
例えば、第1実施例では、送信周期が車速により2段階に変えられるタイヤ圧検出用送信機2の例を示したが、送信周期が車速により3段階以上の複数段階や無段階に変えられるタイヤ圧検出用送信機に対しても適用することができる。この場合、故障診断時間tは車速により予測した複数段階や無段階の送信周期に応じて設定されることになる。
【0065】
第1実施例では、40km/h以下の車速域では、送信機の故障診断を行わない例を示したが、低車速域でもタイヤ圧検出用送信機からの送信周期が分単位程度に設定されたものであれば、停止を含む低車速域でも送信機の故障診断を行うようにしても良い。
【0066】
第1実施例では、警報器としてワーニングランプの例を示したが、音で故障を警報するワーニングブザーやワーニングランプとワーニングブザーとを併用したものを警報器として用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例のタイヤ空気圧警報装置の故障診断装置を示す全体システム図である。
【図2】第1実施例のマイクロコンピュータの送信機故障診断部で実行される送信機故障診断処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】第1実施例のマイクロコンピュータの送信機故障診断部で設定される故障診断時間特性を示す図である。
【符号の説明】
1 タイヤ空気圧警報コントローラ
2 タイヤ圧検出用送信機
3 車速センサ(車速検出手段)
4 ワーニングランプ(警報器)
5 5V電源回路
6 受信回路(受信機)
7 車速入力回路
8 EEPROM
9 マイクロコンピュータ
10 ワーニングランプ出力回路
11 圧力センサ
12 遠心力スイッチ
13 ASIC
14 発信子
15 送信アンテナ
16 受信アンテナ
Claims (4)
- 各輪に取り付けられたタイヤ圧検出用送信機が一定の周期で圧力値,センサ値等の情報を変調し、電磁波を用いて送信し、車室内に設置された受信機がこれを受け、復調しデータ内の圧力値を判断して圧力低下時にタイヤ空気圧警報指令を出す装置であって、
前記タイヤ圧検出用送信機は、停止を含む車速が低い領域では送信間隔を長くし、それより車速が高い領域では、送信間隔を短くするというように送信周期を変えているタイヤ空気圧警報装置において、
車速を検出する車速検出手段と、
前記車速検出手段からの車速検出値により前記タイヤ圧検出用送信機のデータ送信周期を予測し、この予測に基づき送信機が故障であるとの診断しきい値である故障診断時間を設定する故障診断時間設定手段と、
タイヤ圧検出用送信機からデータを受信しないままで設定した故障診断時間を経過したときにタイヤ圧検出用送信機が故障であると診断する送信機故障診断手段と、を備え、
前記故障診断時間設定手段は、送信機が故障であると診断する故障診断時間を、車速の上昇に従って長い時間に設定する手段であることを特徴とするタイヤ空気圧警報装置の故障診断装置。 - 請求項1に記載のタイヤ空気圧警報装置の故障診断装置において、
前記タイヤ圧検出用送信機は、電池寿命を確保するために送信機内に設置された遠心力スイッチの開閉をトリガにして、停止を含む車速が低い領域では長い送信間隔、それより車速が高い領域では、短い送信間隔というように送信周期を2段階に変えている送信機であり、
前記故障診断時間設定手段は、車速検出値が短い送信周期となる設定車速以上の領域での故障診断時間を設定する手段であり、
前記送信機故障診断手段は、前記車速検出値が設定車速未満の領域であるとき、送信機故障診断を行わず、短い送信周期となる設定車速以上の領域での走行中であり、かつ、タイヤ圧検出用送信機からデータを受信しないままで設定した故障診断時間を経過したときにタイヤ圧検出用送信機が故障であると診断する手段であることを特徴とするタイヤ空気圧警報装置の故障診断装置。 - 請求項2に記載のタイヤ空気圧警報装置の故障診断装置において、
前記故障診断時間設定手段は、車速検出値が設定車速以上の領域で送信機が故障であると診断する故障診断時間を、車速の上昇に従って長い時間に設定する手段であることを特徴とするタイヤ空気圧警報装置の故障診断装置。 - 請求項1ないし請求項3に記載のタイヤ空気圧警報装置の故障診断装置において、
前記送信機故障診断手段は、タイヤ圧検出用送信機が故障であると診断した場合、車室内に設置された警報器を作動させる手段であることを特徴とするタイヤ空気圧警報装置の故障診断装置。
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