JP3812247B2 - 可変容量型圧縮機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転軸と一体的に回転するように、かつ前記回転軸に対して傾角可変に制御圧室に収容された斜板、及び前記斜板の傾角に応じた往復動作を行なうピストンを備え、前記制御圧室内の圧力を制御して前記斜板の傾角を制御する可変容量型圧縮機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
圧縮機内部の潤滑必要部位の潤滑は圧縮機の耐久性向上の上で重要である。そのため、特開平4−325781号公報、実開平5−14570号公報、特開平6−288348号公報に開示されるような可変容量型圧縮機ではクランク室(本願でいう制御圧室)内に潤滑油を貯留できるような構成が採られている。
【0003】
特開平4−325781号公報の装置では、クランク室内の温度を温度センサで検出し、検出温度が所定値を越えた場合にはクランク室と吸入室とを繋ぐ連通路を開くようにしてある。この連通路を開けばクランク室内の圧力が低下し、斜板傾角が増大し、吐出容量が増える。吐出容量の増大は、圧縮機内へ戻る潤滑油量の増加をもたらす。即ち、圧縮機内部の潤滑油不足の解消が図られる。
【0004】
実開平5−14570号公報の装置では、クランク室と吐出室とを繋ぐ連通通路上に弁装置が介在されている。バイメタルを用いた弁装置は、クランク室内の温度が低いときには前記連通通路を閉じ、クランク室内の温度が高いときには前記連通通路を開く。前記連通通路が開くと吐出室内の吐出冷媒がクランク室へ流入し、吐出冷媒に含まれる潤滑油がクランク室へ供給される。
【0005】
特開平6−288348号公報の装置では、クランク室の下部の油貯留室と吸入室とを繋ぐ抽気通路上に感温式制御弁が介在されている。バイメタルを用いた感温式制御弁は、吸入室内の温度が低いときには前記抽気通路を閉じ、吸入室内の温度が高いときには前記抽気通路を開く。前記抽気通路が閉じると油貯留室の油が吸入室へ流出せず、圧縮機の温度が低いときの圧縮機内における油確保が図られる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
クランク室から吸入室への冷媒の流出が少なくなる低容量状態では潤滑油がクランク室に過剰に溜まり易い。斜板傾角が最小のときに外部冷媒回路における冷媒循環を停止させる可変容量型圧縮機(いわゆるクラッチレス圧縮機)においては、クランク室における潤滑油の過剰な貯留が特に生じやすい。潤滑油がクランク室に過剰に溜まると、回転している斜板がクランク室内の貯留油を攪拌し、この攪拌の際の攪拌抵抗によって圧縮機が高温になる。このような高温状態は、クランク室から回転軸の周面に沿った冷媒漏れを防止するためのゴム製のリップシールの劣化を早める。リップシールの早期の劣化は圧縮機の信頼性の低下をもたらす。
【0007】
本発明は、可変容量型圧縮機における制御圧室内における潤滑油の過剰な貯留を防止して圧縮機の信頼性を向上することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そのために本発明は、回転軸と一体的に回転するように、かつ前記回転軸に対して傾角可変に制御圧室に収容された斜板、及び前記回転軸の周りに配列されると共に、前記斜板の傾角に応じた往復動作を行なう複数のピストンを備え、吐出圧領域から圧力供給通路を介して前記制御圧室へガスを供給すると共に、前記制御圧室から放圧通路を介して吸入圧領域へガスを放出して前記制御圧室内の圧力を制御し、前記制御圧室内の降圧によって前記斜板の傾角を増大し、前記制御圧室内の昇圧によって前記斜板の傾角を減少する可変容量型圧縮機を対象とし、請求項1の発明では、前記圧力供給通路上又は前記放圧通路上に介在され、前記圧力供給通路又は前記放圧通路を閉じる閉状態と前記通路を開く開状態とに切り換えられる通路開閉手段と、前記通路開閉手段を前記閉状態と前記開状態とに切り換える動作を前記制御圧室内の温度に感応して機械的に行なう感温手段とを備えた容量制御構造を構成し、前記感温手段は、前記制御圧室内が高温状態のときには前記制御圧室内の圧力を降圧するように前記通路開閉手段を作動するようにし、前記感温手段はバイメタルとした。
【0009】
制御圧室内の温度が高温状態になると、感温手段が制御圧室内の圧力を降圧するように前記通路開閉手段を作動する。制御圧室内の降圧は斜板傾角の増大をもたらし、吐出容量が増大する。吐出容量の増大は制御圧室内の潤滑油の流出を促し、制御圧室内の貯留油の攪拌による圧縮機の高温化が抑制される。
【0010】
請求項2の発明では、請求項1において、前記通路開閉手段は、前記圧力供給通路上に介在されており、前記感温手段は、前記制御圧室内が高温状態のときには前記通路開閉手段を閉状態にするようにした。
【0011】
制御圧室内の温度が高温状態になると、感温手段は通路開閉手段を閉状態にする。通路開閉手段が閉状態になると、吐出圧領域から圧力供給通路を介した制御圧室への冷媒供給が停止し、制御圧室内が降圧する。
【0012】
請求項3の発明では、請求項1において、前記通路開閉手段は、前記放圧通路上に介在されており、前記感温手段は、前記制御圧室内が高温状態のときには前記通路開閉手段を開状態にするようにした。
【0013】
制御圧室内の温度が高温状態になると、感温手段は通路開閉手段を開状態にする。通路開閉手段が開状態になると、制御圧室から放圧通路を介した吸入圧領域への冷媒流出があり、制御圧室内が降圧する。
【0014】
請求項4の発明では、請求項2において、前記通路開閉手段は、前記圧力供給通路上に設けられた弁孔と、前記弁孔を開閉する弁体と、前記弁孔を開く方向へ前記弁体を付勢する付勢手段とを備えており、前記感温手段は、昇温に伴って前記弁孔を閉じる方向へ前記弁体を駆動するようにした。
【0015】
制御圧室内の温度が高温状態になると、感温手段は弁孔を閉じる方向へ弁体を駆動して通路開閉手段を閉状態にする。弁孔が弁体によって閉じられると、吐出室から圧力供給通路を介した制御圧室への冷媒流入が停止し、制御圧室内が降圧する。
【0016】
請求項5の発明では、請求項3において、前記通路開閉手段は、前記放圧通路上に設けられた弁孔と、前記弁孔を開閉する弁体と、前記弁孔を開く方向へ前記弁体を付勢する付勢手段とを備えており、前記感温手段は、降温に伴って前記弁孔を閉じる方向へ前記弁体を駆動するようにした。
【0017】
制御圧室内の温度が高温状態になると、感温手段は弁孔を開く方向へ弁体を駆動して通路開閉手段を開状態にする。弁孔が開かれると、制御圧室から弁孔を介した吸入圧領域への冷媒流出があり、制御圧室内が降圧する。
【0019】
請求項6の発明では、請求項1乃至請求項5のいずれか1項において、圧縮機は、前記回転軸の回転中かつ斜板傾角最小の状態において外部冷媒回路における冷媒循環を停止させるものとした。
【0020】
外部冷媒回路における冷媒循環が停止した状態においても斜板が回転している可変容量型圧縮機は、本発明の適用対象として最適である。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した第1の実施の形態を図1〜図5に基づいて説明する。
【0022】
図1に示すように、シリンダブロック11の前端にはフロントハウジング12が接合されている。シリンダブロック11の後端にはリヤハウジング13がバルブプレート14、弁形成プレート15,16及びリテーナ形成プレート17を介して接合固定されている。制御圧室121を形成するフロントハウジング12とシリンダブロック11とには回転軸18が支持されている。制御圧室121から外部へ突出する回転軸18は、プーリ(図示略)及びベルト(図示略)を介して外部駆動源、例えば車両エンジン(図示略)から駆動力を得る。
【0023】
回転軸18には回転支持体19が止着されていると共に、斜板20が回転軸18の軸方向へスライド可能かつ傾動可能に支持されている。図2に示すように、斜板20には連結片21,22が止着されており、各連結片21,22にはガイドピン23,24が止着されている。回転支持体19には一対のガイド孔191,192が形成されている。ガイドピン23,24の頭部はガイド孔191,192にスライド可能に嵌入されている。斜板20は、ガイド孔191,192と一対のガイドピン23,24との連係により回転軸18の軸方向へ傾動可能かつ回転軸18と一体的に回転可能である。斜板20の傾動は、ガイド孔191,192とガイドピン23,24とのスライドガイド関係、及び回転軸18のスライド支持作用により案内される。
【0024】
斜板20の半径中心部が回転支持体19側へ移動すると、斜板20の傾角が増大する。斜板20の最大傾角は回転支持体19と斜板20との当接によって規制される。図1に実線で示す斜板20の位置は、斜板傾角が最大となる位置である。斜板20の半径中心部がシリンダブロック11側へ移動すると、斜板20の傾角が減少する。斜板20の最小傾角は斜板20と回転軸18上のサークリップ25との当接によって規制される。図1に鎖線で示す斜板20の位置は、斜板傾角が最小となる位置である。
【0025】
シリンダブロック11に貫設された複数のシリンダボア111内にはピストン26が収容されている。斜板20の回転運動はシュー27を介してピストン26の前後往復運動に変換され、ピストン26がシリンダボア111内を前後動する。
【0026】
図1及び図3に示すように、リヤハウジング13内には吸入室131及び吐出室132が区画形成されている。リテーナ形成プレート17、バルブプレート14及び弁形成プレート16には吸入ポート141が形成されており、弁形成プレート15及びバルブプレート14には吐出ポート142が形成されている。弁形成プレート15上には吸入弁151が形成されており、弁形成プレート16上には吐出弁161が形成されている。吸入圧領域となる吸入室131内の冷媒ガスはピストン26の復動動作により吸入ポート141から吸入弁151を押し退けてシリンダボア111内へ流入する。シリンダボア111内へ流入した冷媒ガスはピストン26の往動動作により吐出ポート142から吐出弁161を押し退けて吐出圧領域となる吐出室132へ吐出される。吐出弁161はリテーナ形成プレート17上のリテーナ171に当接して開度規制される。
【0027】
回転支持体19とフロントハウジング12との間にはスラストベアリング28が介在されている。スラストベアリング28は、シリンダボア111からピストン26、シュー27、斜板20、連結片21,22及びガイドピン23,24を介して回転支持体19に作用する吐出反力を受け止める。
【0028】
回転軸18とフロントハウジング12との間に介在されたゴム製のリップシール29は、制御圧室121からの回転軸18の周面に沿った冷媒漏れを防止する。
【0029】
吸入室131へ冷媒ガスを導入する吸入通路31と、吐出室132から冷媒ガスを排出する吐出通路32とは外部冷媒回路33で接続されている。外部冷媒回路33上には凝縮器34、膨張弁35及び蒸発器36が介在されている。
【0030】
吐出通路32上には吐出開閉弁37が介在されている。吐出開閉弁37は、吐出通路32内にスライド可能に収容された筒状の弁体371と、吐出通路32の壁面に取り付けられたサークリップ372と、サークリップ372と弁体371との間に介在された圧縮ばね373とからなる。弁体371は弁孔321を開閉し、圧縮ばね373は弁孔321を閉じる方向へ弁体371を付勢する。弁孔321とサークリップ372との間の吐出通路32の側部には迂回路322が接続形成されている。迂回路322は吐出通路32の一部である。筒状の弁体371の周面には通口374が貫設されている。弁体371が図1及び図4の開位置にあるときには、吐出室132内の冷媒ガスが弁孔321、迂回路322、通口374及び弁体371の筒内を経由して外部冷媒回路33へ流出する。弁体371が図5の閉位置にあるときには弁孔321が遮断され、吐出室132内の冷媒ガスが外部冷媒回路33へ流出することはない。
【0031】
図1及び図4に示すように、吐出室132と制御圧室121とは圧力供給通路38で接続されている。又、制御圧室121と吸入室131とは放圧通路30で接続されている。圧力供給通路38は、吐出室132内の冷媒を制御圧室121へ送る。制御圧室121内の冷媒は放圧通路30を介して吸入室131へ流出する。
【0032】
圧力供給通路38上には電磁式容量制御弁39、通路開閉手段44及び感温手段45が介在されている。電磁式容量制御弁39、通路開閉手段44及び感温手段45はこの順に、吐出室132から圧力供給通路38を経由して制御圧室121へ至る方向に配設されている。通路開閉手段44及び感温手段45は、圧力供給通路38の出口付近に配設されている。
【0033】
通路開閉手段44は、弁孔381を開閉するボール弁441と、弁孔381を開く方向へボール弁441を付勢する圧縮ばね442とからなる。感温手段45は、サークリップ451とバイメタル452とからなる。弁体となるボール弁441は、付勢手段となる圧縮ばね442のばね力によって常にバイメタル452に押接されている。バイメタル452は、圧縮ばね442のばね力によって常にサークリップ451に押接されている。サークリップ451は、圧力供給通路38内でのバイメタル452の配置位置を規制する。温度上昇に伴うバイメタル452の撓み変形方向は、圧縮ばね442のばね力に対抗する方向である。バイメタル452が撓み変形していないときには、ボール弁441は圧縮ばね442のばね力によって弁孔381を開放する位置に配置される。図4は、弁孔381を開いた状態にある通路開閉手段44の開状態を示し、図5は弁孔381を閉じた状態にある通路開閉手段44の閉状態を示す。感温手段45は、通路開閉手段44を閉状態と開状態とに切り換える動作を制御圧室121内の温度に感応して機械的に行なう。
【0034】
容量制御弁39内の感圧手段40を構成するベローズ401には吸入室131内の冷媒ガス圧が感圧室402を介して作用している。吸入室131内の冷媒ガス圧は熱負荷を反映している。ベローズ401には弁体41が接続されており、弁体41は弁孔42を開閉する。ベローズ401内の大気圧及び感圧手段40を構成する感圧ばね403のばね力は、弁孔42を開く方向へ弁体41に作用する。容量制御弁39のソレノイド43の電磁駆動力は、弁孔42を閉じる方向へ弁体41を付勢する。容量制御弁39は、ソレノイド43に供給される電流値に応じた吸入圧をもたらす制御を行なう。ソレノイド43はコントローラ(図示略)の励消磁制御を受け、前記コントローラは車両の室内の温度を検出する室温検出器(図示略)によって得られる検出室温及び室温設定器(図示略)によって設定された目標室温に基づいて容量制御弁39の励消磁を制御する。
【0035】
通路開閉手段44が開状態にあるとき、かつ容量制御弁39の弁孔42が開いているときには、吐出室132内の冷媒は、弁孔42及び圧力供給通路38を経由して制御圧室121へ送られる。ソレノイド43に対する供給電流値が高められると弁開度が減少し、吐出室132から制御圧室121への冷媒供給量が減る。制御圧室121内の冷媒は放圧通路30を介して吸入室131へ流出しているため、制御圧室121内の圧力が下がる。従って、斜板20の傾角が増大して吐出容量が増える。吐出容量の増大は吸入圧の低下をもたらす。供給電流値が下げられると弁開度が増大し、吐出室132から制御圧室121への冷媒供給量が増える。従って、制御圧室121内の圧力が上がり、斜板20の傾角が減少して吐出容量が減る。吐出容量の減少は吸入圧の増加をもたらす。
【0036】
ソレノイド43に対する電流供給値が零になると弁開度が最大となり、図5に示すように斜板20の傾角が最小となる。斜板傾角が最小状態における吐出圧は低く、このときの吐出通路32における吐出開閉弁37の上流側の圧力が吐出開閉弁37の下流側の圧力と圧縮ばね373のばね力との和を下回るように圧縮ばね373のばね力が設定してある。従って、斜板20の傾角が最小になったときには弁体371が弁孔321を閉じ、外部冷媒回路33における冷媒循環が停止する。この冷媒循環停止状態は熱負荷低減作用の停止状態である。
【0037】
斜板20の最小傾角は0°よりも僅かに大きくしてある。斜板20の最小傾角は0°ではないため、斜板傾角が最小の状態においてもシリンダボア111から吐出室132への吐出は行われている。シリンダボア111から吐出室132へ吐出された冷媒ガスは圧力供給通路38を通って制御圧室121へ流入する。制御圧室121内の冷媒ガスは放圧通路30を通って吸入室131へ流出し、吸入室131内の冷媒ガスはシリンダボア111内へ吸入されて吐出室132へ吐出される。即ち、斜板傾角が最小状態では、吐出圧領域である吐出室132、圧力供給通路38、制御圧室121、放圧通路30、吸入圧領域である吸入室131、シリンダボア111を経由する循環通路が圧縮機内にできている。そして、吐出室132、制御圧室121及び吸入室131の間では圧力差が生じている。従って、冷媒ガスが前記循環通路を循環し、冷媒ガスと共に流動する潤滑油が圧縮機内を潤滑する。
【0038】
第1の実施の形態では以下の効果が得られる。
(1-1)潤滑油が過剰に制御圧室121内に溜まったとすると、回転する斜板20が制御圧室121内の貯留油を攪拌し、貯留油が高温になる。制御圧室121内の潤滑油が冷媒と共に放圧通路30から吸入室22へ流出してゆけば圧縮機の高温化は生じない。しかし、吐出容量が小さいために制御圧室121から吸入室22への冷媒の流出が少ない状態では潤滑油が制御圧室121内に滞留し易い。潤滑油が制御圧室121内に多量に溜まった状態で斜板20の攪拌作用を受けると、制御圧室121内が高温になり、圧縮機が高温化する。
【0039】
制御圧室121内の温度が高温状態になると、感温手段45は圧力供給通路38を閉じるように通路開閉手段44を作動する。即ち、バイメタル452が撓み変形して弁孔381を閉じる位置にボール弁441を移動し、圧力供給通路38が閉じられる。圧力供給通路38が閉じられると、制御圧室121内が降圧する。制御圧室121内の降圧は斜板傾角の増大をもたらし、吐出容量が増大する。吐出容量の増大は制御圧室121内の潤滑油の流出を促す。従って、制御圧室121内における潤滑油の過剰な貯留状態が解消され、制御圧室121内の貯留油の攪拌による圧縮機の高温化が抑制される。
【0040】
(1-2)通路開閉手段44は、制御圧室121内の温度に感応したバイメタル452の撓み変形という機械的な動作によって閉状態と開状態とに切り換えられる。バイメタル452を用いた感温手段45の構成は、簡素であってコスト的にも有利である。バイメタル452は、閉状態と開状態とに通路開閉手段44を切り換える感温手段として最適である。
【0041】
(1-3)電磁式容量制御弁39、通路開閉手段44及び感温手段45はこの順に、吐出室132から圧力供給通路38を経由して制御圧室121へ至る方向に配設されている。このような順序の配置構成は、感温手段45を制御圧室121へ最も近づけ易くし、制御圧室121内の温度状態が感温手段45の動作に的確に反映する。即ち、感温手段45における感温精度が最も高くなる。
【0042】
(1-4)本実施の形態における可変容量型圧縮機は、斜板20の最小傾角状態では吐出開閉弁37を閉状態にして外部冷媒回路33における冷媒循環を停止させる。この状態では圧縮機内の冷媒が外部冷媒回路33へ流出しない。従って、圧縮機内の潤滑油も外部冷媒回路33へ流出しない。外部駆動源の作動中は外部冷媒回路33における冷媒循環が停止した状態においても斜板20は回転している。潤滑油が制御圧室121に過剰に貯留されているとすると、常時回転している斜板20の貯留油に対する攪拌による圧縮機の高温化が著しい。従って、斜板20の最小傾角状態において外部冷媒回路33における冷媒循環を停止させる可変容量型圧縮機は、本発明の適用対象として最適である。
【0043】
次に、図6及び図7の第2の実施の形態を説明する。圧縮機の内部構成は第1の実施の形態と同じであり、第1の実施の形態と同じ構成部には同じ符号が付してある。
【0044】
この実施の形態では一対の放圧通路30A,30Bが設けられている。放圧通路30B上には通路開閉手段46及び感温手段47が介在されている。感温手段47及び通路開閉手段46はこの順に、制御圧室121から放圧通路30Bを経由して吸入室131へ至る方向に配設されている。通路開閉手段46及び感温手段47は、放圧通路30Bの入口付近に配設されている。
【0045】
通路開閉手段46は、弁孔301を開閉するボール弁461と、弁孔301を開く方向へボール弁461を付勢する圧縮ばね462とからなる。感温手段47は、サークリップ471とバイメタル472とからなる。弁体となるボール弁461は、付勢手段となる圧縮ばね462のばね力によって常にバイメタル472に押接されている。バイメタル472は、圧縮ばね462のばね力によって常にサークリップ471に押接されている。サークリップ471は、放圧通路30B内でのバイメタル472の配置位置を規制する。温度上昇に伴うバイメタル472の撓み変形方向は、圧縮ばね462のばね力の付勢方向と同じである。バイメタル472が撓み変形していないときには、ボール弁461は弁孔301を閉じる位置に配置される。図6は、弁孔301を閉じた状態にある通路開閉手段46の閉状態を示し、図7は弁孔301を開いた状態にある通路開閉手段46の開状態を示す。感温手段47は、通路開閉手段46を閉状態と開状態とに切り換える動作を制御圧室121内の温度に感応して機械的に行なう。
【0046】
制御圧室121内の温度が高温状態になると、感温手段47は放圧通路30Bを開くように通路開閉手段46を作動する。即ち、バイメタル472が撓み変形すると、ボール弁461は圧縮ばね462のばね力によって弁孔301を開く位置に移動され、放圧通路30Bが開かれる。放圧通路30Bが開かれると、制御圧室121内が降圧する。制御圧室121内の降圧は斜板傾角の増大をもたらし、吐出容量が増大する。吐出容量の増大は制御圧室121内の潤滑油の流出を促す。従って、制御圧室121内における潤滑油の過剰な貯留状態が解消され、制御圧室121内の貯留油の攪拌による圧縮機の高温化が抑制される。
【0047】
次に、図8(a),(b)の第3の実施の形態を説明する。圧縮機の内部構成は第1の実施の形態と同じであり、第1の実施の形態と同じ構成部には同じ符号が付してある。
【0048】
この実施の形態では、感温手段45Aが一対のバイメタル452,453及び変位伝達板454を用いて構成されている。バイメタル452,453の撓み変形方向は互いに逆方向である。図8(a)は、弁孔381を開いた状態にある通路開閉手段44の開状態を示し、図8(b)は弁孔381を閉じた状態にある通路開閉手段44の閉状態を示す。
【0049】
この実施の形態では、第1の実施の形態と同じ効果が得られる。又、一対のバイメタル452,453を用いた構成は、ボール弁441の変位量を大きくする。即ち、制御圧室121内の温度変化に対するボール弁441の変位割合が大きくなる。このような変位割合の増大は、制御圧室121内の温度が所定温度に達したときに通路開閉手段44を閉状態にするための通路開閉手段44及び感温手段45Aの設計を容易にする。
【0050】
本発明では以下のような実施の形態も可能である。
(1)第3の実施の形態において、3つ以上のバイメタルを用いること。
(2)バイメタル452,472自体にボール弁441,461の機能を持たせること。
(3)第1の実施の形態における通路開閉手段44及び感温手段45を圧力供給通路38上に介在すると共に、第2の実施の形態における通路開閉手段46及び感温手段47を放圧通路30B上に介在すること。
(4)放圧通路上に電磁式容量制御弁を介在し、この容量制御弁によって制御圧室121から吸入室131への冷媒抜き出しを制御するようにした可変容量型圧縮機に本発明を適用すること。
(5)第2の実施の形態において、通路開閉手段46及び感温手段47を放圧通路30B上に介在し、電磁式容量制御弁を放圧通路30A上に介在すること。
【0051】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明では、制御圧室内が高温状態のときには制御圧室内の圧力を降圧して吐出容量を増大するようにしたので、可変容量型圧縮機における制御圧室内における潤滑油の過剰な貯留を防止して圧縮機の信頼性を向上し得るという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態を示し、要部拡大側断面図を組み込んだ圧縮機全体の側断面図。
【図2】図1のA−A線断面図。
【図3】図1のB−B線断面図。
【図4】斜板傾角が最大状態にあり、要部拡大側断面図を組み込んだ部分側断面図。
【図5】斜板傾角が最小状態にあり、要部拡大側断面図を組み込んだ部分側断面図。
【図6】第2の実施の形態を示し、要部拡大側断面図を組み込んだ部分側断面図。
【図7】要部拡大側断面図を組み込んだ部分側断面図。
【図8】(a),(b)は第3の実施の形態を示す要部側断面図。
【符号の説明】
121…制御圧室。131…吸入圧領域となる吸入室。132…吐出圧領域となる吐出室。18…回転軸。20…斜板。26…ピストン。30B…放圧通路。301…弁孔。38…圧力供給通路。381…弁孔。44,46…通路開閉手段。441,461…弁体となるボール弁。442,462…付勢手段となる圧縮ばね。45,45A,47…感温手段。452,453,472…バイメタル。
Claims (6)
- 回転軸と一体的に回転するように、かつ前記回転軸に対して傾角可変に制御圧室に収容された斜板、及び前記回転軸の周りに配列されると共に、前記斜板の傾角に応じた往復動作を行なう複数のピストンを備え、吐出圧領域から圧力供給通路を介して前記制御圧室へガスを供給すると共に、前記制御圧室から放圧通路を介して吸入圧領域へガスを放出して前記制御圧室内の圧力を制御し、前記制御圧室内の降圧によって前記斜板の傾角を増大し、前記制御圧室内の昇圧によって前記斜板の傾角を減少する可変容量型圧縮機において、
前記圧力供給通路上又は前記放圧通路上に介在され、前記圧力供給通路又は前記放圧通路を閉じる閉状態と前記通路を開く開状態とに切り換えられる通路開閉手段と、
前記通路開閉手段を前記閉状態と前記開状態とに切り換える動作を前記制御圧室内の温度に感応して機械的に行なう感温手段とを備え、
前記感温手段は、前記制御圧室内が高温状態のときには前記制御圧室内の圧力を降圧するように前記通路開閉手段を作動するようにし、前記感温手段はバイメタルである可変容量型圧縮機。 - 前記通路開閉手段は、前記圧力供給通路上に介在されており、前記感温手段は、前記制御圧室内が高温状態のときには前記通路開閉手段を閉状態にする請求項1に記載の可変容量型圧縮機。
- 前記通路開閉手段は、前記放圧通路上に介在されており、前記感温手段は、前記制御圧室内が高温状態のときには前記通路開閉手段を開状態にする請求項1に記載の可変容量型圧縮機。
- 前記通路開閉手段は、前記圧力供給通路上に設けられた弁孔と、前記弁孔を開閉する弁体と、前記弁孔を開く方向へ前記弁体を付勢する付勢手段とを備えており、前記感温手段は、昇温に伴って前記弁孔を閉じる方向へ前記弁体を駆動する請求項2に記載の可変容量型圧縮機。
- 前記通路開閉手段は、前記放圧通路上に設けられた弁孔と、前記弁孔を開閉する弁体と、前記弁孔を開く方向へ前記弁体を付勢する付勢手段とを備えており、前記感温手段は、降温に伴って前記弁孔を閉じる方向へ前記弁体を駆動する請求項3に記載の可変容量型圧縮機。
- 圧縮機は、前記回転軸の回転中かつ斜板傾角最小の状態において外部冷媒回路における冷媒循環を停止させる請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の可変容量型圧縮機。
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