JP3811938B2 - 高速穴あけ加工ですぐれた耐折損性および耐摩耗性を発揮する微粒組織加圧焼結体製ミニチュアドリル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、高強度を有し、特に高速穴あけ加工で、すぐれた耐折損性および耐摩耗性を発揮する微粒組織加圧焼結体製ミニチュアドリル(以下、微粒組織ミニチュアドリルと云う)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、一般に、微粒組織ミニチュアドリルとして、例えば図1(a)に概略拡大正面図で示される通り先端面を切刃面とし、かつ0.1〜1.6mmの外径を有する溝形成部と、シャンク部とからなり、さらに前記溝形成部が図1(b)に長さ方向中央部における中心線に対して直角な方向の断面(直角断面)図で示される形状を有すると共に、Crによる粒成長抑制効果で望ましくは0.8μm以下の平均粒径の微粒組織とした分散相が走査型電子顕微鏡による組織観察に基づく平均値で80〜95面積%を占め、残りが結合相と不可避不純物からなる微粒組織の超硬合金で構成された加圧焼結体(ホットプレス焼結体または熱間静水圧プレス焼結体を云う)からなり、さらに前記加圧焼結体を構成する分散相が、透過型電子顕微鏡による組織観察で、実質的に炭化タングステン(以下、WCで示す)の単一相からなり、同じく上記の結合相が、同じく透過型電子顕微鏡およびエネルギー分散型X線分析装置による測定で、WC粒の成長を抑制する目的でCrを結合相に占める平均値で、1〜8質量%含有したCo基合金単一相(焼結時にCrの他に微量のWとC成分が固溶する)からなる微粒組織ミニチュアドリルが知られている。
【0003】
また、上記の微粒組織ミニチュアドリルが、原料粉末として、いずれも0.1〜3μmの範囲内の所定の平均粒径を有するWC粉末、Cr3C2粉末、およびCo粉末を用い、これら原料粉末を所定の配合組成に配合し、湿式混合し、乾燥した後、押出しプレスにて所定の直径の長尺状成形体とし、この長尺状成形体を、1.3〜13.3Paの真空雰囲気中、1350〜1480℃の範囲内の所定の温度に昇温し、この昇温温度に1〜2時間保持後、雰囲気を、例えばArを導入して4.9〜14.7MPaの加圧雰囲気とし、前記昇温温度および加圧雰囲気の条件下に15〜60分間保持した後、少なくとも1200℃までを50〜100℃/minの冷却速度で冷却することにより、所定の直径を有する超硬合金で構成された長尺状の加圧焼結体を形成し、この加圧焼結体から図1に示される形状に研削加工することにより製造されることも知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一方、近年の穴あけ加工の省力化および省エネ化、さらに低コスト化に対する要求は強く、これに伴い、ボール盤などの高性能化と相俟って、穴あけ加工は高速で行われる傾向にある。例えば半導体装置のプリント基板などの多層積層板では、これを複数枚積み重ねた状態(加工抵抗の大きい状態)で、高速で穴あけ加工が行われることになる。しかし、上記の従来微粒組織ミニチュアドリルにおいては、これが十分な強度(靭性)および耐熱塑性変形性を具備するものでなく、一方ミニチュアドリルの場合、その穴あけ加工形態から、穴あけ加工速度が速く、かつ穴あけ加工抵抗が大きくなればなるほど、その外径が0.2〜2mmと細径であることと相俟って、「ねじれ」や「たわみ」が大きくなるばかりでなく、高い発熱を伴なうものとなり、したがってこれを前記のようなきわめて苛酷な穴あけ加工条件で用いると、ミニチュアドリル自体に発生する大きな「ねじれ」や「たわみ」によって強度(靭性)不足から折損が発生し易く、かつ高い発熱によってミニチュアドリル先端面(切刃面)の切刃に塑性変形が発生し、これが偏摩耗の原因となって摩耗を促進することから、比較的短時間で使用寿命に至るのが現状である。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、上述のような観点から、特に高速で、かつ大きい加工抵抗を伴なう穴あけ加工でミニチュアドリル自体に発生する大きな「ねじれ」や「たわみ」に十分に耐えることのできる高強度並びにミニチュアドリル先端面(切刃面)の切刃がすぐれた耐熱塑性変形性を有する微粒組織ミニチュアドリルを開発すべく研究を行った結果、
(a)まず、1次原料粉末として、いずれも望ましくは1μm以下の平均粒径を有する金属タングステン(以下、Wで示す)粉末、酸化コバルト(以下、Co2O5で示す)粉末、酸化クロム(以下、Cr2O3で示す)粉末、および黒鉛(以下、Cで示す)粉末を用意し、これら原料粉末を所定の割合に配合し、十分に混合した後、カーボンボートに充填し、これを水素含有雰囲気中、1300〜1500℃の温度に加熱保持の条件で共還元処理(前記原料粉末のC粉末による還元炭化処理)を施すと、WCに所定割合のCoとCrが固溶含有してなるWとCoとCrの複合炭化物固溶体[以下、(W,Co,Cr)Cで示す]粉末を製造することができること。
【0006】
(b)上記の従来微粒組織ミニチュアドリルの製造に際して原料粉末として用いていたWC粉末に代って、上記(a)で製造した(W,Co,Cr)C粉末を、これに固溶含有するCoとCrの含有量を、Co:0.1〜3質量%およびCr:0.1〜2質量%となるように調整すると共に、その平均粒径を1μm以下とした状態で原料粉末として用い、さらに原料粉末としてVC粉末を、Vが加圧焼結体全体に占める割合で、0.1〜1質量%含有するようになる割合で用い、これ以外の条件は、上記の従来微粒組織ミニチュアドリルを構成する加圧焼結体の製造条件と同一の条件で加圧焼結体を製造すると、
▲1▼分散相が走査型電子顕微鏡による組織観察に基づく平均値(任意複数個所、望ましくは任意5ヶ所以上の測定結果の平均値、以下に示す平均値も同じ)で80〜95面積%を占め、残りが結合相と不可避不純物からなる微粒組織を有し、▲2▼さらに上記分散相が、以下いずれも透過型電子顕微鏡およびエネルギー分散型X線分析装置による測定で、実質的に分散相に占める平均値で、Co:0.1〜3質量%、Cr:0.1〜2質量%を含有する(W,Co,Cr)C単一相からなり、
▲3▼同じく上記の結合相が、Crを結合相に占める平均値で、1〜8質量%含有するCo基合金単一相(上記の従来微粒組織ミニチュアドリルと同様に焼結時にCrの他に微量のWとVとC成分が固溶する)からなり、
▲4▼かつVを加圧焼結体全体に占める割合で、0.1〜1質量%含有すると共に、前記Vが上記分散相と上記結合相の界面部に凝集した組織を有する加圧焼結体が得られること。
【0007】
(c)上記(b)の加圧焼結体においては、特にこれの分散相を構成する(W,Co,Cr)C単一相が、Crの作用で上記の従来微粒組織ミニチュアドリルを構成する超硬合金の分散相であるWC相と同等の硬さを保持したままで、かつCoの作用で前記WC相に比して一段と強靭性に富んだものとなると共に、これの結合相を構成するCo基合金単一相が、Crの作用ですぐれた耐熱性を有し、高い発熱に対してすぐれた耐熱塑性変形性を発揮し、しかも上記分散相と上記結合相の界面部に凝集したVが、前記分散相および結合相のそれぞれの構成成分が焼結時に相互に拡散移動するのを抑制する、すなわち焼結前後の前記分散相の構成成分含有量に実質的変化が起らないように作用する(この結果結合相の構成成分含有量も安定する)ことから、あらかじめ原料粉末のCoおよびCrの含有量を調製して定めた特性がそのまま焼結後も保持されると共に、WC粒の成長が著しく抑制されるようになって、平均粒径で0.8μm以下の微粒組織をもつようになり、したがってこの結果の加圧焼結体で構成されたミニチュアドリルは、特に高強度が要求される高速穴あけ加工で折損の発生なく、しかも高い加工抵抗を伴なう高速穴あけ加工でもすぐれた耐摩耗性を長期に亘って発揮すること。
以上(a)〜(c)に示される研究結果を得たのである。
【0008】
この発明は、上記の研究結果に基づいてなされたものであって、
シャンク部と、先端面を切刃面とし、かつ0.1〜1.6mmの外径を有する溝形成部とからなるミニチュアドリルを、微粒組織の分散相が走査型電子顕微鏡による組織観察に基づく平均値で80〜95面積%を占め、残りが結合相と不可避不純物からなる微粒組織を有する加圧焼結体で構成し、
さらに上記加圧焼結体を構成する分散相が、以下、いずれも透過型電子顕微鏡およびエネルギー分散型X線分析装置による測定で、実質的にWCにCoとCrが固溶含有し、かつその含有割合が分散相に占める平均値で、Co:0.1〜3質量%、Cr:0.1〜2質量%である(W,Co,Cr)C単一相からなり、同じく上記の結合相が、Crを結合相に占める平均値で、1〜8質量%含有するCo基合金単一相(微量のW,V,およびCを固溶含有する)からなり、
かつ上記加圧焼結体は、Vを加圧焼結体全体に占める割合で、0.1〜1質量%含有すると共に、前記Vが上記分散相と上記結合相の界面部に凝集した組織を有する、
高速穴あけ加工ですぐれた耐折損性および耐摩耗性を発揮する微粒組織ミニチュアドリルに特徴を有するものである。
【0009】
以下に、この発明の微粒組織ミニチュアドリルにおいて、これを構成する加圧焼結体の成分組成を上記の通りに限定した理由を説明する。
(1) 加圧焼結体の分散相の割合
その割合が平均値で80面積%未満では、相対的に軟質の結合相の割合が多くなり過ぎて、先端面切刃面の摩耗進行が速まるようになり、一方その割合が同95面積%を越えると、靭性不足をきたし、先端面切刃面に欠けやチッピング(微小欠け)が発生し易くなるばかりでなく、ミニチュアドリル自体にも折損が発生するようになることから、その割合を平均値で80〜95面積%、望ましくは84〜91面積%と定めた。
【0010】
(2) 分散相におけるCoおよびCr成分の含有割合
分散相に固溶含有するCo成分には、分散相の強度(靭性)を向上させる作用があるが、その含有割合が平均値で0.1質量%未満では前記作用に所望の効果が得られず、一方その含有割合が同3質量%を越えると、分散相の硬さが急激に低下するようになって、摩耗進行を早める原因となることから、その含有割合を平均値で0.1〜3質量%、望ましくは0.5〜2質量%と定めた。
また、同じく分散相に固溶含有するCr成分には、Co含有による硬さ低下を補って、分散相の硬さを上記の従来微粒組織ミニチュアドリルを構成する超硬合金の分散相であるWC相と同等の硬さに保持する作用をもつが、その含有割合が平均値で0.1質量%未満では前記作用に所望の効果が得られず、一方その含有割合が同2質量%を越えると、分散相中に微細な炭化クロムとして析出し、これが分散相自体の強度低下の原因となることから、その含有割合を平均値で0.1〜2質量%、望ましくは0.5〜1質量%と定めた。
【0011】
(3) 結合相におけるCr成分の含有割合
結合相に固溶含有するCr成分には、上記の通り結合相の耐熱性を著しく向上させる作用があり、この結果ミニチュアドリルの耐熱塑性変形性が向上して、偏摩耗の発生が抑制されるようになるが、その含有割合が平均値で1質量%未満では前記作用に所望の効果が得られず、一方その含有割合が同8質量%を越えると、結合相中に微細な炭化クロムなどとして析出し、結合相のもつ靭性が損なわれるようになることから、その含有割合を平均値で1〜8質量%、望ましくは2〜6質量%と定めた。
【0012】
(4) 分散相と結合相の界面部に凝集するV成分の含有割合
V成分には、分散相と結合相の界面部に凝集して、焼結時に分散相および結合相のそれぞれの構成成分が相互に拡散移動するのを抑制し、もって前記分散相および結合相に特性変化が起らないようにすると共に、前記分散相の粒成長も抑制して、その粒径を平均粒径で0.8μm以下に保持する作用があるが、その含有割合がで0.1質量%未満では前記作用に所望の効果が得られず、一方その含有割合が1質量%を越えると、微細な炭化バナジウムなどとして析出し、ミニチュアドリルの強度を低下させる原因となることから、その含有割合をで0.1〜1質量%、望ましくは0.2〜0.5質量%と定めた。
【0013】
【発明の実施の態様】
つぎに、この発明の微粒組織ミニチュアドリルを実施例により具体的に説明する。
原料粉末として、平均粒径:0.5μmを有するW粉末、同0.6μmのCo2O5粉末、同0.6μmのCr2O3粉末、および同0.4μmのC粉末を用意し、まずこれら原料粉末のうちのCo2O5粉末、Cr2O3粉末、およびC粉末を所定の割合に配合し、湿式ボールミルでアセトンを加えて3時間混合し、減圧乾燥した後、よくほぐした状態でこれに所定割合のW粉末を配合して、さらに1時間乾式混合し、カーボンボートに充てんした後、水素雰囲気中、1300〜1500℃の範囲内の所定の温度に20分保持の条件で還元炭化処理を施し、還元炭化処理後粒度調整を行うことにより、それぞれ表1に示されるCoおよびCr含有量にして、平均粒径を有する本発明微粒組織ミニチュアドリルを構成する加圧焼結体の分散相形成用(W,Co,Cr)C粉末(以下、本発明分散相用原料粉末と云う)A〜Lをそれぞれ製造した。
【0014】
ついで、上記の本発明分散相用原料粉末A〜Lのそれぞれに、平均粒径:1.2μmのCo粉末および同1.8μmのVC粉末、さらに必要に応じて同2.3μmのCr3C2粉末を表2に示される割合に配合し、ボールミルで72時間湿式混合し、減圧乾燥し、さらにワックスと溶剤を加えて1時間混和した後、押出しプレスにて直径:4.4mmの長尺状成形体とし、これらの長尺状成形体を、1.3Pa(1×10-2Torr)の真空雰囲気中、7℃/分の昇温速度で1380〜1480℃の範囲内の所定の温度に昇温し、この温度に1時間保持して焼結した後、前記昇温温度に保持したまま、Arを導入して雰囲気を圧力:6MPaの加圧雰囲気として1時間保持し、その後60℃/分の冷却速度で急冷するHIP処理を施すことにより、いずれも直径が3.5mmの長尺状の加圧焼結体とし、さらにこれらの加圧焼結体から研削加工にて溝形成部の外径がそれぞれ表2に示される寸法(この場合いずれもシャンク部の外径は3.2mm、全長は38mm)を有し、かついずれも図1に示される形状をもった本発明微粒組織ミニチュアドリル(以下、本発明ミニチュアドリルと云う)1〜12それぞれを製造した。
【0015】
また、比較の目的で、原料粉末として、上記のCo粉末およびCr3C2粉末、さらに平均粒径:0.8μmのWC粉末を用い、これら原料粉末を表3に示される配合組成に配合する以外は、上記の本発明ミニチュアドリル1〜12の製造条件と同一の条件で、混合混和し、長尺状成形体を成形し、真空燒結し、さらにHIP処理を施して加圧焼結体とし、これに研削加工を施して同じく表3に示される溝形成部外径に仕上げることにより従来微粒組織ミニチュアドリル(以下、従来ミニチュアドリルと云う)1〜8それぞれを製造した。
【0016】
この結果得られた本発明ミニチュアドリル1〜12よび従来ミニチュアドリル1〜8について、これの任意断面を走査型電子顕微鏡、並びに透過型電子顕微鏡およびエネルギー分散型X線分析装置を用いて組織観察し、分散相の平均粒径を測定すると共に、分散相の全体割合、Co含有量、およびCr含有量、さらに結合相のCr含有量をそれぞれ任意5ヶ所について測定し、その測定結果をそれぞれ表2、3に平均値で示した。また、前記分散相と結合相の界面部に凝集して存在するV成分の含有量についても測定し、その測定結果を表2に示した。
なお、表2、3の分散相および結合相のCo平均含有量およびCr平均含有量はそれぞれ分散相および結合相に占める割合を示すものである。
【0017】
つぎに、上記の各種のミニチュアドリルについて、ガラス層とエポキシ樹脂層の交互6層積層板からなる厚さ:1.6mmのプリント基板を4枚重ねたものに表4に示される条件および試験本数:20本にて高速穴あけ加工試験を行い、ミニチュアドリルの溝形成部外径寸法に5%の摩耗が生じるまでの穴あけ加工数を測定すると共に、使用寿命原因を観察した。これらの測定結果を表4にそれぞれ平均値で示した。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】
【表3】
【0021】
【表4】
【0022】
【発明の効果】
表2〜4に示される結果から、本発明ミニチュアドリル1〜12は、いずれもこれを構成する加圧焼結体の分散相が従来ミニチュアドリルを構成する超硬合金の分散相であるWC相と同等の硬さを保持したままで、これより一段と強靭性に富んだ(W,Co,Cr)C単一相からなり、また同結合相が耐熱塑性変形性のすぐれたCo基合金単一相からなり、しかも前記分散相と結合相の界面部に凝集して存在するV成分が、前記分散相および結合相のそれぞれの構成成分が焼結時に相互に拡散移動するのを抑制するように作用し、前記分散相および結合相のもつ特性がそのまま焼結後も保持されると共に、分散相の成長が著しく抑制されるようになって、平均粒径で0.8μm以下の微粒組織が確保されることから、ことによって高強度およびすぐれた耐熱塑性変形性を具備するようになるので、高い加工抵抗を伴なう高速穴あけ加工でも、折損の発生がなく、すぐれた耐摩耗性を長期に亘って発揮するのに対して、加圧焼結体の分散相がWC単一相からなる従来ミニチュアドリル1〜8においては、いずれも強度不足が原因で、大きな「ねじれ」や「たわみ」が生じ、かつ高い加工抵抗も加わる高速穴あけ加工では折損が発生し易く、比較的短時間で使用寿命に至ることが明らかである。
上述のように、この発明の微粒組織ミニチュアドリルは、自体の「たわみ」や「ねじれ」が大きい高速穴あけ加工は勿論のこと、高い加工抵抗を伴なう高速穴あけ加工でもすぐれた性能を長期に亘って発揮するものであるから、穴あけ加工の省力化および省エネ化、さらに低コスト化に十分満足に対応することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は微粒組織ミニチュアドリルを例示する概略拡大正面図、(b)は溝形成部の長さ方向中央部における中心線に対して直角な方向の断面(直角断面)図である。
Claims (1)
- (a)シャンク部と、先端面を切刃面とし、かつ0.1〜1.6mmの外径を有する溝形成部とからなるミニチュアドリルを、微粒組織の分散相が走査型電子顕微鏡による組織観察に基づく平均値で80〜95面積%を占め、残りが結合相と不可避不純物からなる組織を有する加圧焼結体で構成し、
(b)上記加圧焼結体を構成する分散相が、実質的に炭化タングステンにCoとCrが固溶含有し、かつその含有割合が分散相に占める平均値で、Co:0.1〜3質量%、Cr:0.1〜2質量%であるWとCoとCrの複合炭化物固溶体単一相からなり、
(c)同じく上記の結合相が、Crを結合相に占める平均値で、1〜8質量%含有するCo基合金単一相からなり、
(d)さらに上記加圧焼結体は、Vを加圧焼結体全体に占める割合で、0.1〜1質量%含有すると共に、前記Vが上記分散相と上記結合相の界面部に凝集した組織を有し、
(e)以上の(b)〜(d)の成分含有量および組織はいずれも透過型電子顕微鏡およびエネルギー分散型X線分析装置による測定結果のものであること、
を特徴とする高速穴あけ加工ですぐれた耐折損性および耐摩耗性を発揮する微粒組織加圧焼結体製ミニチュアドリル。
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