JP3811416B2 - 電動ステアリングロック装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用の電動ステアリングロック装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電動ステアリングロック装置は、電動モータ等の駆動力により、ロックバーがステアリングシャフトに係脱する構成になっている。具体的には、電動モータが、ギア等からなる操舵系機構を介してカムに駆動連結され、カムの回転とともにロックバーが上下方向に往復移動するようになっている。ステアリングシャフトは、ロックバーが下側に移動したロック位置にあるとき回転不能となり、ロックバーが上側に移動したアンロック位置にあるとき回転可能となる。この場合、ロックバーがロック位置またはアンロック位置にある状態で電動モータが駆動し続けると、電動モータに過負荷がかかる。このように、電動モータに過負荷がかかるのを防止するために、操舵機構のギアにクラッチ機構を設けた方法が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ステアリングシャフトを迅速かつ確実にロックまたはアンロックするためには、電動モータの駆動力を高くするのが望ましい。しかしながら、電動モータの駆動力を大きくすると、前記クラッチは、小さな負荷でも切れやすい機構となっているため、クラッチ機構を設けた方法では、ロックバーをステアリングシャフトに係脱させるのに必要な電動モータの駆動力を制限していた。
【0004】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、電動モータの過負荷を防止できるとともに、電動モータの駆動力を高くすることができる電動ステアリングロック装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、ステアリング操作に連動する可動部材に対して電動モータの駆動力でロック手段を係脱させることにより、前記ステアリングをロックまたはアンロックするようにした電動ステアリングロック装置において、前記電動モータの駆動により回転運動する回転シャフトを設け、この回転シャフトと前記ロック手段との境界部に、前記回転シャフトの回転運動を前記ロック手段の直線運動に変換する送りネジ機構を設け、前記ロック手段がアンロック位置に配置されているとき、前記回転シャフトが更に所定量回転されることで前記送りネジ機構による螺合を解除可能としたことをその要旨する。
【0006】
この構成によれば、送りネジ機構による螺合が解除されることにより、電動モータの駆動力の伝達が解除される。このため、何らかのトラブルにより、ロック手段がアンロック位置に配置されている状態で電動モータが駆動し続けても、電動モータに過負荷がかかることを防止できる。また、ネジ機構による動力伝達が行われることから、電動モータの駆動力をある程度高くする設定することができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記送りネジ機構は、前記回転シャフトに設けられる第1のネジと、前記ロック手段に設けられるとともに前記第1のネジの進退可能に螺合する第2のネジとから構成され、前記送りネジ機構を構成する前記第1のネジと前記第2のネジとを互いに引き付け合う方向に付勢する弾性部材が備えられていることをその要旨とする。
【0008】
この構成によれば、ロック手段がアンロック位置に配置された状態で、回転シャフトとロック手段との係合が解除された場合、回転シャフトをアンロック時とは反対方向に回転させると、弾性部材の付勢力により、回転シャフトとロック手段との螺合状態を再び得ることができる。よって、電動モータの回転方向を逆回転させることにより、回転シャフトとロック手段との係合を容易に復帰させることができる。
【0009】
請求項3に記載の発明によれば、ステアリング操作に連動する可動部材に対して電動モータの駆動力でロック手段を係脱させることにより、前記ステアリングをロックまたはアンロックするようにした電動ステアリングロック装置において、前記電動モータの駆動軸にギア機構を介して回転運動する回転シャフトを設け、この回転シャフトと前記ロック手段との境界部に、前記回転シャフトの回転運動を前記ロック手段の直線運動に変換する送りネジ機構を設け、前記ロック手段がロック位置に配置されているとき、前記回転シャフトが更に所定量回転されることで、前記回転シャフトと前記ギア機構との連結を解除するクラッチ機構を設けたことをその要旨とする。
【0010】
この構成によれば、クラッチ機構により回転シャフトとギア機構との連結が解除されると、電動モータの駆動力の伝達が確実に解除される。このため、何らかのトラブルにより、ロック手段がロック位置に配置されている状態で電動モータが駆動し続けても、電動モータに過負荷がかかることを確実に防止できる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記回転シャフトの一端は、ギア機構の一部を構成するギアに位置ずれ可能に貫通されており、前記クラッチ機構は、前記回転シャフトの外周面に突設された係脱ピンと、前記ギアに形成され前記係脱ピンが係合可能な係合凹部とから構成され、前記回転シャフトがその軸線方向に沿って位置ずれすることにより前記係合凹部から前記係脱ピンが外れることをその要旨とする。
【0012】
この構成によれば、回転シャフトがその軸線方向に沿って位置ずれすることにより、回転シャフトの外周面に突設された係脱ピンが、ギアに形成された係合凹部から外れる。このように、回転シャフトとギア機構との連結を解除するクラッチ機構が設けられているため、電動モータの駆動力の伝達を確実に解除することができる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記回転シャフトの端部には、その外周面から前記係脱ピンが出没可能に貫設され、前記ギアには、その回転中心周りに沿って延びる円弧状のガイド溝と、このガイド溝の端部に配置される前記係合凹部とが設けられ、前記回転シャフトとギア機構とがクラッチ機構により連結解除されている状態で、その連結解除を維持する方向とは逆方向に前記電動モータが回転したとき、前記ガイド溝に沿って移動する前記係脱ピンを移動規制する規制面が前記ガイド溝の端部に設けられ、この規制面と前記係合凹部との内側面とは同一面に配置されていることをその要旨とする。
【0014】
この構成によれば、ロック手段がロック位置にあるとき、回転シャフトとギア機構とがクラッチ機構により連結解除されている状態で、電動モータを逆回転させると、ガイド溝に沿って移動する係脱ピンは、その移動がガイド溝の一端に設けられた規制面によりガイド溝の端部で規制される。そして、回転シャフトの外周面から突出した係脱ピンの端部は、ガイド溝の端部に配置された係合凹部に係合されることで、回転シャフトとギアとが速やかに連結される。このように、電動モータの回転方向を逆回転させるだけで、回転シャフトとギア機構との連結を容易に復帰させることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した電動ステアリングロック装置10の一実施形態を図1〜図6に従って説明する。
【0016】
電動ステアリングロック装置10は、図示しない車両のステアリングポストに取り付けられている。電動ステアリングロック装置10では、車載バッテリーなどの電源により電動モータ11を駆動し、その駆動力によりロック手段としてのロックバー22を上下方向に往復運動させている。このようにして、ロックバー22をロック位置またはアンロック位置に移動させることにより、車両のステアリングをロックまたはアンロックしている。ステアリングのロックまたはアンロックの切替は、マイコン等の制御装置により電動モータ11を正転または逆転させることにより行われている。
【0017】
図1、図2に示すように、電動モータ11は駆動軸12を備え、その駆動軸12にはウォーム13が取り付けられている。電動モータ11が駆動すると、ウォーム13は駆動軸12とともに回転する。そして、ウォーム13とウォームホイール30とが噛み合うことにより、ウォームホイール30を回転させるようになっている。ウォームホイール30は、電動ステアリングロック装置10を収容するケース46に固定された支持板14によって支持されている。
【0018】
ウォームホイール30の下方には、リフト部材50がロックストッパ21に固定された状態で配置されている。略円筒状のリフト部材50は、中央の内壁面に第2のネジとしての雌ネジ52が貫設されている。ロックストッパ21は、コイルスプリング23を介してロックバー22に連結されている。本実施形態において、ロック手段は、リフト部材50、ロックストッパ21、ロックバー22、コイルスプリング23から構成されている。
【0019】
図2に示すように、ウォームホイール30の中央には貫通孔31が形成されている。その貫通孔31内では、前記リフト部材50に固定された回転シャフト40が、係脱ピン44を介してウォームホイール30に連結されている。回転シャフト40の一端には、回転シャフト40の径方向に沿って延びる貫通孔43が形成されている。係脱ピン44は、貫通孔43に緩挿された状態で、回転シャフト40の一端に支持されている。係脱ピン44の長さは、貫通孔43の全長よりも幾分長く設定されている。このため、係脱ピン44は、その両端部のうち少なくとも一方の端部が、貫通孔43の開口部43a,43bから突出している。つまり、係脱ピン44は、回転シャフト40の外周面から出没可能に配置されている。
【0020】
回転シャフト40の下方には、電動ステアリングロック装置10を収容するケース46に固定されたストッパ60が設けられ、このストッパ60は、回転シャフト40の先端部40aが突き当たることで、回転シャフト40がストッパ60よりも下方に移動することを規制している。回転シャフト40の中央部付近には、第1のネジとしての雄ネジ45が形成されている。回転シャフト40側の雄ネジ45は、リフト部材50側の雌ネジ52に対し、雄ネジ45の進退方向に螺合されている。このように、回転シャフト40とリフト部材50との境界部には、雄ネジ45と雌ネジ52との螺合によって、回転シャフト40の回転運動をリフト部材50の直線運動に変換する送りネジ機構が構成されている。
【0021】
支持板14とリフト部材50との間には、弾性部材としてのコイルバネ15が配置されている。コイルバネ15は、中央に回転シャフト40が挿通され、その一端部がリフト部材50及びロックストッパ21の上端部に設けられたバネ支持部24によって固定されている。
【0022】
図3に示すように、ウォームホイール30には、その径方向において対峙する位置に係脱ピン44が係合可能な2つの係合凹部32,33が設けられている。回転シャフト40の外周面から突出した係脱ピン44が係合凹部32,33に係合されることで、回転シャフト40とウォームホイール30とが連結される。また、係脱ピン44の端部が係合凹部32,33から外れることで、回転シャフト40とウォームホイール30との連結が解除される。このように、回転シャフト40とウォームホイール30との間には、それらの連結を解除するクラッチ機構が設けられている。本実施形態では、クラッチ機構は、ウォームホイール30の係合凹部32,33と係脱ピン44とから構成されている。
【0023】
ウォームホイール30の上面には、その回転中心周りに沿って延びる円弧状のガイド溝35が設けられ、このガイド溝35は、ウォームホイール30の回転中心に対し約270度の中心角を有している。ガイド溝35の内周面35d,35eは、ガイド溝35の始端部35aから係合凹部33にかけてほぼ並行に配置され、係合凹部33からガイド溝35の終端部35bにかけて徐々に接近するように配置されている。この場合、ガイド溝35の幅は、一方の係合凹部32と他方の係合凹部33との間の範囲で同じであるが、他方の係合凹部33を過ぎると次第に狭くなっている。
【0024】
ガイド溝35の始端部35aには、係脱ピン44が係合する係合凹部32と、この係合凹部32の内側面と同一面に配置された規制面35cが設けられている。規制面35cは、ロックバー22がロック位置にあるとき、回転シャフト40とウォームホイール30との連結が解除されている状態で、電動モータ11を逆回転させることで、ガイド溝35に沿って移動する係脱ピン44の移動を規制している。
【0025】
電動ステアリングロック装置10の動作説明を図2、図5(a)〜(d)に従って説明する。
まず、車両のステアリングがロックされている状態について説明する。図2、図5(b)に示すように、ロックバー22がロック位置にあるとき、ロックバー22の先端部22aはステアリングシャフト25の係合凹部25aに係入されている。このとき、回転シャフト40は、係脱ピン44を介してウォームホイール30に連結されており、回転シャフト40の先端部40aがストッパ60に当接した状態で固定されている。
【0026】
次に、ロックバー22がロック位置からアンロック位置に到達するまでの電動ステアリングロック装置10の動作説明を説明する。図2に示すように、回転シャフト40が一方向に回転(正転)すると、雄ネジ45が雌ネジ52に対して進行するため、リフト部材50は上方(図2に示すA方向)に移動する。ロックバー22が上方に移動すると、ロックバー22の先端部22aは、ステアリングシャフト25の係合凹部25aから徐々に外れる。よって、図5(c)に示すように、ロックバー22がアンロック位置に移動し、ロックバー22の先端部22aがステアリングシャフト25の係合凹部25aから完全に外れると、車両のステアリングがアンロックされる。
【0027】
次に、ロックバー22がアンロック位置からロック位置に到達するまでの電動ステアリングロック装置10の動作説明を説明する。
回転シャフト40がアンロック時とは反対方向に回転すると、雄ネジ45が雌ネジ52に対して後退するため、リフト部材50は下方(図2に示すB方向)に移動する。ロックバー22が下方に移動すると、ロックバー22の先端部22aは、ステアリングシャフト25の係合凹部25a内に係入される。よって、ロックバー22がロック位置に移動し、ロックバー22の先端部22aがステアリングシャフト25の係合凹部25a内に完全に係入されると、車両のステアリングがロックされる。
【0028】
ロックバー22がロック位置に配置された状態で、電動モータ11が駆動し続けたときの電動ステアリングロック装置10の動作を説明する。
図5(a)、図6に示すように、ロックバー22がロック位置にあるとき、電動モータ11が駆動し続けると、雄ネジ45がリフト部材50側の雌ネジ52から後退する。この場合、リフト部材50の位置は固定されているため、回転シャフト40は、上方(図6に示すC方向)に移動する。すると、係脱ピン44が係合凹部32,33から外れ、ウォームホイール30と回転シャフト40との連結が解除される。尚、回転シャフト40側の雄ネジ45の一部は、リフト部材50側の雌ネジ52に螺合されている。
【0029】
次に、ウォームホイール30と回転シャフト40とがクラッチ機構により連結解除された後の動作説明を図4(a)〜(c)に従って説明する。回転シャフト40は、ウォームホイール30との連結が解除されている一方、リフト部材50に螺合されている。このため、電動モータ11が駆動し続けると、ウォームホイール30は、図4(a)に示す時計回りに空回りし続ける。
【0030】
図4(b)は、図4(a)のウォームホイール30を時計回りに約60度回転させたときの状態を示している。この場合、回転シャフト40の外周面から突出した係脱ピン44の一端部に、ガイド溝35の終端部35bが接近する。すると、この係脱ピン44の一端部が、ガイド溝35の外側の内周面35eに押圧される。このため、係脱ピン44の一端部が開口部43aから貫通孔43内に没入される一方、係脱ピン44の他端部が貫通孔43の開口部43bから突出する。
【0031】
図4(c)は、図4(b)のウォームホイール30が時計回りに約60度回転したときの状態を示している。この場合、係脱ピン44の一端部は、貫通孔43の中に完全に没入されている。一方、係脱ピン44の他端部は、貫通孔43の開口部43bから突出している。さらに、ウォームホイール30が時計回りに回転すると、ガイド溝35の終端部35bが係脱ピン44に接近するに従い、係脱ピン44の端面がガイド溝35の外側の内周面35eに摺動する。すると、係脱ピン44の他端部は、開口部43bから貫通孔43内に没入される一方、係脱ピン44の一端部が開口部43aから突出し図4(a)の状態に戻る。このような一連の動作を繰り返すことにより、ウォームホイール30は空回りし続ける。このため、ロックバー22がロック位置に配置された状態で、電動モータ11が駆動し続けても、電動モータ11に過負荷がかかることはない。
【0032】
次に、ロックバー22がロック位置にあるとき、回転シャフト40とウォームホイール30とがクラッチ機構により連結解除されている状態で、その連結を復帰させるまでの電動ステアリングロック装置10の動作説明を説明する。電動モータ11を逆回転させると、ウォームホイール30が図4(a)に示す反時計回りに回転し始め、係脱ピン44はガイド溝35内を移動する。すると、ガイド溝35に沿って移動している係脱ピン44は、ガイド溝35の始端部35aに設けられた規制面35cによってその移動が規制されるとともに、係合凹部32に速やかに係合される。このとき、回転シャフト40はウォームホイール30に速やかに連結される。このように、電動モータ11を逆回転させるだけで、回転シャフト40とウォームホイール30との連結を容易に復帰させることができる。
【0033】
ロックバー22がアンロック位置に配置された状態で、電動モータ11が駆動し続けたときの電動ステアリングロック装置10の動作を説明する。
図5(d)、図7に示すように、ロックバー22がアンロック位置にあるとき、電動モータ11が駆動し続けると、雄ネジ45がリフト部材50側の雌ネジ52に対し進行する。この場合、リフト部材50の位置は固定されていないため、リフト部材50はアンロック位置よりも上方に移動する。そして、リフト部材50の下端部が雄ネジ45の上端部よりも上方に移動した後に、雄ネジ45と雌ネジ52との螺合が解除される。回転シャフト40は、ウォームホイール30に係合されている一方、リフト部材50との連結が解除されている。このため、電動モータ11が駆動し続けると、ウォームホイール30は、回転シャフト40とともに空回りし続ける。
【0034】
次に、ロックバー22がアンロック位置に配置され、回転シャフト40とリフト部材50との連結が解除されている状態で、リフト部材50と回転シャフト40との連結を復帰させるまでの電動ステアリングロック装置10の動作説明を説明する。図7に示すように、回転シャフト40及びリフト部材50は、ロックバー22がコイルバネ15によって下方に付勢されているため、雄ネジ45の上端と雌ネジ52の下端とが接触した状態で螺合が解除されている。この場合、電動モータ11を逆回転させると、雄ネジ45と雌ネジ52とが螺合され、回転シャフト40はリフト部材50に速やかに連結される。このように、電動モータ11の回転方向を逆回転させるだけで、回転シャフト40とリフト部材50との連結を容易に復帰させることができる。
【0035】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)ロックバー22がアンロック位置にあるとき、雄ネジ45と雌ネジ52との螺合が解除されることにより、回転シャフト40とリフト部材50との連結が解除される。この場合、ウォームホイール30は、電動モータ11の駆動力の伝達することなく空回りし続ける。このため、電動モータ11が駆動し続けても、電動モータ11に過負荷がかかることはない。よって、ステアリングのアンロック時における電動モータ11の過負荷を防止することができる。また、送りネジ機構による動力伝達が行われることから、電動モータ11の駆動力をある程度高くする設定することができる。
【0036】
(2)回転シャフト40とリフト部材50との境界部には、回転シャフト40の雄ネジ45とリフト部材50の雌ネジ52とが互いに引き付け合う方向に付勢するコイルバネ15が設けられている。このため、ロックバー22がアンロック位置に配置され、回転シャフト40とリフト部材50との連結が解除されている状態で電動モータ11を逆回転させると、雄ネジ45と雌ネジ52とが容易に螺合される。よって、電動モータ11を逆回転させるだけで、回転シャフト40とリフト部材50との連結を容易に復帰させて、電動モータ11の駆動力をロックバー22に再び伝達することができる。
【0037】
(3)ロックバー22がロック位置にあるとき、回転シャフト40とウォームホイール30との連結は、係脱ピン44が係合凹部32,33から外れることにより解除される。この場合、電動モータ11の駆動力の伝達が解除されるため、電動モータ11が駆動し続けても、電動モータ11に過負荷がかかることはない。よって、ステアリングのロック時における電動モータ11の過負荷を防止することができる。
【0038】
(4)ロックバー22がロック位置にあるとき、回転シャフト40とウォームホイール30とがクラッチ機構により連結解除されている状態で電動モータ11を逆回転させると、係脱ピン44はガイド溝35内を移動する。しかし、ガイド溝35に沿って移動している係脱ピン44は、ガイド溝35の始端部35aに設けられた規制面35cによってその移動が規制されるとともに、係合凹部32に速やかに係合される。このとき、回転シャフト40はウォームホイール30に速やかに連結される。このように、電動モータ11を逆回転させるだけで、回転シャフト40とウォームホイール30との連結を容易に復帰させることができる。
【0039】
尚、本実施形態では以下のように変更してもよい。
・本実施形態では、ウォームホイール30の上面において、1つのガイド溝35が、係合凹部32,33に通じるように円周方向に沿って形成されていた。しかし、図8に示すように、ウォームホイール30の上面において、2つのガイド溝62,63が、それぞれ係合凹部32,33に通じるように円周方向に沿って形成されてもよい。尚、回転シャフト40の貫通孔43には、係脱ピン64,65が回転シャフトの外周面の開口部43a,43bからコイルスプリング67の付勢力により突出可能に配設されている。そのため、回転力を均等に伝えることができる。
【0040】
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に示す。
(1)ステアリング操作に連動する可動部材に対して電動モータの駆動力でロック手段を係脱させることにより、前記ステアリングをロックまたはアンロックするようにした電動ステアリングロック装置において、前記電動モータの駆動により回転運動する回転シャフトを設け、この回転シャフトと前記ロック手段との境界部に、前記回転シャフトの回転運動を前記ロック手段の直線運動に変換する送りネジ機構を設け、前記ロック手段がアンロック位置に配置されているとき、前記回転シャフトが更に所定量回転されることで前記送りネジ機構による螺合を解除可能とし、前記ロック手段がロック位置に配置されているとき、前記回転シャフトが更に所定量回転されることで、前記回転シャフトと前記ギア機構との連結を解除するクラッチ機構を設けたことを特徴とする電動ステアリングロック装置。
【0041】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1〜5に記載の発明によれば、電動モータの過負荷を防止することができるとともに、電動モータの駆動力を高く保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態における電動ステアリングロック装置の斜視図。
【図2】同じく電動ステアリングロック装置における回転シャフト周辺の断面図。
【図3】同じく電動ステアリングロック装置におけるウォームホイールを斜めに見下げた角度での斜視図。
【図4】(a)はウォームホイールの空回り状態を説明するための図。(b)は(a)においてウォームホイールが時計回りに約60度回転したときの状態を示す図。(c)は(b)においてウォームホイールが時計回りに約60度回転したときの状態を示す図。
【図5】(a)ロック時にウォームホイールと回転シャフトとの連結が解除されたときの電動ステアリングロック装置の側面図。(b)ロック時における電動ステアリングロック装置の側面図。(c)アンロック時における電動ステアリングロック装置の側面図。(d)アンロック時に回転シャフトとリフト部材との連結が解除されたときの電動ステアリングロック装置の側面図。
【図6】ウォームホイールと回転シャフトとの連結が解除されたときの状態を示す回転シャフト周辺の断面図。
【図7】リフト部材と回転シャフトとの連結が解除されたときの状態を示す回転シャフト周辺の断面図。
【図8】別例の電動ステアリングロック装置におけるウォームホイールを斜めに見下げた角度での斜視図。
【符号の説明】
10・・・電動ステアリングロック装置、11・・・電動モータ、21・・・ロックストッパ(ロック手段)、22・・・ロックバー(ロック手段)、23・・・コイルスプリング(ロック手段)、25…ステアリングシャフト、30・・・ウォームホイール、32,33・・・係合凹部(クラッチ機構)、35・・・ガイド溝、40・・・回転シャフト、44・・・係脱ピン(クラッチ機構)、45・・・雄ネジ(第1のネジ)、50・・・リフト部材(ロック手段)、52・・・雌ネジ(第2のネジ)。
Claims (5)
- ステアリング操作に連動する可動部材に対して電動モータの駆動力でロック手段を係脱させることにより、前記ステアリングをロックまたはアンロックするようにした電動ステアリングロック装置において、
前記電動モータの駆動により回転運動する回転シャフトを設け、この回転シャフトと前記ロック手段との境界部に、前記回転シャフトの回転運動を前記ロック手段の直線運動に変換する送りネジ機構を設け、前記ロック手段がアンロック位置に配置されているとき、前記回転シャフトが更に所定量回転されることで前記送りネジ機構による螺合を解除可能としたことを特徴とする電動ステアリングロック装置。 - 前記送りネジ機構は、前記回転シャフトに設けられる第1のネジと、前記ロック手段に設けられるとともに前記第1のネジの進退可能に螺合する第2のネジとから構成され、前記送りネジ機構を構成する前記第1のネジと前記第2のネジとを互いに引き付け合う方向に付勢する弾性部材が備えられていることを特徴とする請求項1に記載の電動ステアリングロック装置。
- ステアリング操作に連動する可動部材に対して電動モータの駆動力でロック手段を係脱させることにより、前記ステアリングをロックまたはアンロックするようにした電動ステアリングロック装置において、
前記電動モータの駆動軸にギア機構を介して回転運動する回転シャフトを設け、この回転シャフトと前記ロック手段との境界部に、前記回転シャフトの回転運動を前記ロック手段の直線運動に変換する送りネジ機構を設け、前記ロック手段がロック位置に配置されているとき、前記回転シャフトが更に所定量回転されることで、前記回転シャフトと前記ギア機構との連結を解除するクラッチ機構を設けたことを特徴とする電動ステアリングロック装置。 - 前記回転シャフトの一端は、ギア機構の一部を構成するギアに位置ずれ可能に貫通されており、前記クラッチ機構は、前記回転シャフトの外周面に突設された係脱ピンと、前記ギアに形成され前記係脱ピンが係合可能な係合凹部とから構成され、前記回転シャフトがその軸線方向に沿って位置ずれすることにより前記係合凹部から前記係脱ピンが外れることを特徴とする請求項3に記載の電動ステアリングロック装置。
- 前記回転シャフトの端部には、その外周面から前記係脱ピンが出没可能に貫設され、前記ギアには、その回転中心周りに沿って延びる円弧状のガイド溝と、このガイド溝の端部に配置される前記係合凹部とが設けられ、前記回転シャフトとギア機構とがクラッチ機構により連結解除されている状態で、その連結解除を維持する方向とは逆方向に電動モータが回転したとき、前記ガイド溝に沿って移動する前記係脱ピンを移動規制する規制面が前記ガイド溝の端部に設けられ、この規制面と係合凹部との内側面とは同一面に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の電動ステアリングロック装置。
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