JP3811241B2 - 吊り天井用支持材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スラブなどに固定されている下地フレームから吊り天井のフレームを吊下支持するために用いる支持材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えばクリーンルームに清浄な空気を天井面から供給する場合、天井部に複数のファンフィルタユニットを設置するようにしている。このときファンフィルタユニットは、スラブなどに固定されている下地フレームから適宜の支持材を介して吊下支持されている吊り天井フレーム上に載置される。またその他、適宜の照明器具や空調吹出ユニット等も、前記下地フレームから支持材によって吊下支持されている吊り天井のフレームに固定されている。吊り天井フレームにおけるこれら各装置器具が固定されている部分以外のエリアに、適宜の化粧パネルを取り付けるようにしている。
【0003】
このようにして吊り天井フレームを下地フレームから吊下支持するにあたっては、下地フレームに取り付ける適宜の支持材を用いているが、吊り天井フレームを水平レベル出しする必要があるので、当該支持材は、長さ調節できるものが好ましく、そのため従来からこの種の支持材には、ターンバックル及びこのターンバックルの両端部に各々螺着した2本の吊りボルトなどのネジ軸を組み合わせて用いていた。
【0004】
承知のように、ターンバックルは、両端に右ネジと左ネジの継手部を有する部材であり、手で回転させることにより、ネジ軸がターンバックルに対して出入りしてその長さが調節できる機能を備えている。そして従来は、このネジ軸のうちの一のネジ軸を下地フレームに取り付けたボックスハンガーなどの取付部材に固定したり、あるいは直接下地フレームに直接固定し、他のネジ軸の下端部を吊り天井のフレームに固定するようにしていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記したターンバックルと吊りボルトを組み合わせた支持材を用いて吊り天井のフレームを支持していたのでは、次のような問題があった。まず結果的に2本のネジ軸を下地フレームと吊り天井のフレームとの間に介在させているため、部品数が多く、取扱いの点で改善が望まれていた。また、各ネジ軸の両端を螺着固定しているため、螺着箇所が多く、作業時間がかかっていた。さらにそのように全て吊りボルト等のネジ軸での固定であるから、地震の際にはネジ軸の固定部分、即ち狭い面積に強い力が加わり、その結果折れたり、外れたりして吊り天井自体が落下して大きな被害を被るおそれがあり、結局耐震性において、必ずしも満足できるものではなかった。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、部材構成が簡素で軽量化が図れ、しかも作業性、耐震性に優れた吊り天井用支持材を提供して、前記問題の解決を図ることをその目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、請求項1によれば、下地フレームから吊り天井のフレームを吊下支持するために用いる支持材であって、上端面にフランジ部が設けられた略円筒状の胴部と、この胴部から垂下して前記吊り天井のフレームにその下端部が固定されるネジ軸と、前記胴部を前記下地フレームに取り付けるための取付部材とを有し、前記フランジ部は、前記胴部の外径よりも大きい形態であり、
前記ネジ軸は、前記胴部における閉口した下端部を螺貫しており、前記取付部材には、その内周を前記胴部が回転自在で、かつ前記フランジ部よりも小さい径の孔が形成され、さらに前記下地フレームにこの取付部材を固定した際に、少なくとも前記フランジ部の厚さ分の空隙を下地フレームの下面との間に確保するスペーサが、前記フランジ部外縁の回転軌跡よりも外方に設けられたことを特徴とする、吊り天井用支持材が提供される。
【0008】
かかる構成の吊り天井用支持材を使用する場合、取付部材の孔内に胴部を挿入し、その状態で取付部材を下地フレームに固定する。このときスペーサによって少なくとも前記フランジ部の厚さ分の空隙が確保されており、また前記孔はフランジ部よりも径の小さい孔であるから、結局フランジ部が孔周辺で係止され、また胴部は取付部材に対して回転自在となっている。そしてネジ軸の下端部を吊り天井のフレームに固定することで、下地フレームから吊り天井のフレームを吊下支持することができる。そして胴部を適宜回転させることにより、ネジ軸が胴部に対して出入りするので、下地フレームと吊り天井のフレームとの間の間隔調節を行い、吊り天井のフレームの水平レベル出しを実施することができる。
【0009】
このようにして吊り天井のフレームが支持されると、結局、フランジ部が孔周辺で係止されることで胴部が吊り天井のフレームを吊下支持している。したがって、地震が起こった場合、前記係止部分では、孔と胴部との間に適宜の遊びを設定することで、振動をある程度吸収できる。しかも胴部の上部においては、螺着と違ってフランジ部の係止で吊下されているので、従来よりも大きい面積で力を受けとめることができる。特に上側につり天井のフレームが揺れた際、フランジ部全体に対応する部分で受けとめるので、耐震性に優れている。またネジ軸の数も従来より低減しているので取扱いが従来より楽であり、取り付けの際の作業性も良好である。なおフランジ部の平面形態は、必ずしも円形でなくともよく、方形等、任意の形状を採用することができる。
【0010】
以上のような吊り天井用支持材において、請求項2に記載したように、さらにネジ軸下端部と吊り天井のフレームとの固定箇所に固定される支持部材を備え、この支持部材を、ネジ軸下端部が挿通する孔を有する平坦な底部と、この底部の両端から各々斜め上方に延出した取付部とを有する構造とし、ネジ軸下端部と吊り天井のフレームとの固定の際に、この支持部材を同時に固定すれば、1つの支持部材を用いて同時に2つの方向に斜めの梁を設定することができる。したがって、地震の際の横揺れにも強い極めて耐震性の優れた構造を実現できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明すれば、図1は本実施の形態にかかる吊り天井用支持材を用いて後述の下地フレーム5から吊下支持する吊り天井フレーム1、及びこの吊り天井フレーム1に設置された状態のファンフィルタユニット2の外観を示している。この吊り天井フレーム1は、図2〜図4に示したように、横に配されるフレーム材3、縦に配されるフレーム材4を、格子状に接続して構成され、図3に示したように、吊り天井フレーム1全体は、スラブ等に直接又は間接的に固定される下地フレーム5から吊下支持される。
【0012】
本実施形態にかかる吊り天井用支持材11は、前記した吊り天井フレーム1における格子の交点部分、即ち、フレーム材3、4が交差する部分で吊り天井フレーム1を吊下支持するように配置される。但し、既述したように、本発明の吊り天井用支持材は耐震性が良好であるから、本実施形態にかかる吊り天井用支持材11を、必ずしも全ての交差部分に配置する必要はなく、図2、図3中の丸で囲った部分で示すように、所定の交差部分おきに配置し、その他の交差部分については、後述のように、従来の吊りボルト+ターンバックル構成の支持材を用いることができる。
【0013】
本実施形態にかかる吊り天井用支持材11の構成を図5、図6に示す。図5は、吊り天井用支持材11の平面、図6は側面をそれぞれ示している。この吊り天井用支持材11においては、適宜のパイプ材を切断して得られた胴部12の上端面にこの胴部12の外径よりも大きい円板状のフランジ13が溶接等によって固着されている。また胴部12の下端部内には、上半分が胴部12の内径に適合する大きさを持ったナット部材14が溶接等によって固着されている。
【0014】
前記ナット部材14にはネジ軸15が螺貫しており、このネジ軸15におけるナット部材14側基部外周には、抜け防止用のナット16が螺着されており、他方このネジ軸15における下端部近傍外周には、長尺のナット17が螺着されている。
【0015】
前記胴部12は、平面が正方形の取付部材21の中心に穿設されている孔22内に挿入されている。この孔22の径は、胴部12の外径よりも大きく、フランジ13の外径よりも小さいものである。したがって、胴部12は孔22内を回転自在であり、かつ胴部12全体は、上端面のフランジ13によって、孔22周辺部によって係止される。取付部材21の上面における両側端部には、スペーサ23、23が、フランジ13の外縁の回転軌跡外方に位置するように固着されている。これら各スペーサ23、23には、取付用のボルト孔24が、取付部材21をも貫設して各々4カ所に形成されている。このスペーサ23の厚さd1は、フランジ13の厚さd2よりも厚く設定されている。即ち、d1>d2である。
【0016】
本実施形態にかかる吊り天井用支持材11は以上のように構成されており、次にその使用例について説明すると、図6に示した状態、即ち取付部材17の上面側から胴部12を挿入した状態で、図7、図8に示したように、下地フレーム5と吊り天井フレーム1におけるフレーム材3、4との見かけ上交差している部分、例えばフレーム材3との間に取り付けられる。工法手順としては、例えば予め適宜数のフレーム材3、4で、吊り天井フレーム1のある程度分割された「ブロック」を構成しておき、所定位置に胴部12から下の部分、及びナット17等をフレーム材3に取り付けておき、その状態で当該ブロックを適宜の昇降ステージ上に載置し、次いでこの昇降ステージを所定の高さまで上昇させ、その状態で下地フレーム5と吊り天井用支持材11とを取付部材21を介して固定して、フレーム材3との間に吊り天井用支持材11を取り付けるという作業手順を採用することができる。
【0017】
その場合、例えばUボルト31、ナット32によって取付部材21は、下地フレーム5に取付固定される。他方、胴部12から垂下しているネジ軸15の下端部は、フレーム材3の上面に固着されている取付金具33を介し、ナット17、ボルト34により固定される。このとき、予めネジ軸15の下端部は、図9にも示している2つの支持部材41、41を挿通しておき、これら2つの支持部材41、41も同時に固定する。したがって、ネジ軸15とフレーム材3の取付金具33との固定箇所では、2つの支持部材41、41の底部42、42が重合している。
【0018】
この支持部材41は、細幅の板材を適宜折曲成形した全体として略V字形状をなしており、平坦な底部42とこの底部42の両側端から各々斜め上方に延出した取付部43、44とによって主たる構成がなされている。そして取付部43の外方端部には、さらに内側に90゜折曲した折曲部45が設けられ、同様に取付部44の外方端部にも折曲部46が設けられている。底部42には、固定用の孔42aが形成され、また前記折曲部45、46にも各々対応する孔45a、46aが形成されている。これら2つの支持部材41は、平面からみて各取付部43、44が各々フレーム材3、4と同一方向になるように、即ち2つの支持部材41で平面からみて十字形状をなすよう組み合わせてフレーム材3に固定される。
【0019】
各支持部材41の折曲部45、46の各孔45a、46aには、図7、図8に示したように、それぞれ吊りボルト51の一端部が挿入され、ナット52、53で両側から締め付け固定されている。この吊りボルト51の他端部は、下地フレームに固定される適宜のブラケット56の孔56aを挿通して、ナット(図示せず)などによってこのブラケット56に締め付け固定される。
【0020】
以上のようにして本実施形態にかかる吊り天井用支持材11は、下地フレーム5と吊り天井フレーム1との間に介在して、吊り天井フレーム1を吊下支持するが、この吊り天井用支持材11は、極めて耐震性に優れているので、既述したように、吊り天井フレーム1における全ての交差部分に設定する必要はなく、前出図2、図3に示したように、適宜間隔をおいて、即ちある程度間引きして取り付けられる。
【0021】
したがって、本実施形態にかかる吊り天井用支持材11が位置しない他の交差部分については、図3、図4に示したように、従前の吊りボルト+ターンバックルによって吊り天井フレーム1を吊下すればよい。即ち、図4に示したように、ターンバックル61の両端部に、2本の吊りボルト62、63を接続し、下側の吊りボルト62の下端部は、適宜の取付金具64を用いてフレーム材3又はフレーム材4に固定し、上側の吊りボルト63の上端部は、図4に示したように、直接下地フレーム5に固定すればよい。
【0022】
以上のようにして本実施形態にかかる吊り天井用支持材11を用いて下地フレーム5から吊り天井フレーム1を吊下支持すれば、次のような効果が得られる。まず、フランジ13が取付部材21の孔22周辺で係止されて荷重を受けるので安定した吊下支持が可能である。しかも縦揺れの際、特に上側に吊り天井フレーム1が揺れた際には、フランジ13全体に対応した部分にその時の力が加わるので、従来よりも単位面積をあたりの圧力が減少する。したがって、吊り天井フレーム1の吊下支持が従来よりも強固であり、かつ安定している。
【0023】
吊り天井フレーム1の水平レベル出しを実施する場合には、胴部12を適宜回転させれば、ネジ軸15が胴部12に対して出入りするので、容易にこれを実施することができる。胴部12自体は、ネジ軸15よりも径が大きいので、手で持って作業する場合でも握りやすく力が入りやすい。胴部12外周表面に、ロレット加工等、適宜の滑り止め加工を施せばさらに作業性が向上する。そのようにして微調整した後は、ナット16を締め付けて抜け防止を図る。
【0024】
さらに前記施工例では、支持部材41によって斜めに梁が架設されているので、横揺れに対しても強い構造となっている。この場合、従来のように単に斜めに梁を架設しただけではなく、両端に取付部43、44を有する支持部材41を使用しているので、四方に斜めの梁を架設するときでも、支持部材41は2つの使用で足りる。したがって、吊り天井用支持材11のネジ軸15と、フレーム材3との固定箇所の厚みがかさばらず、安定した吊下支持を妨げることはない。また固定作業もしやすいものである。さらに支持部材41自体の構造も簡易であるから、その製造も極めて簡単である。
【0025】
【発明の効果】
請求項1、2の発明にかかる吊り天井用支持材によれば、従来よりも部材構成が簡素で取扱いが容易である。しかも取り付けの際の作業性が良好で、耐震性が従来より向上している。特に請求項2の場合には、地震の際の横揺れにも強い構造とすることができ、ネジ軸の固定箇所周りもかさばらない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかる吊り天井用支持材を用いて吊下支持する吊り天井フレームにファンフィルタユニットを設置した様子を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態にかかる吊り天井用支持材を用いて吊下支持した吊り天井フレームの平面図である。
【図3】本発明の実施の形態にかかる吊り天井用支持材を用いて吊下支持した吊り天井フレームの側面図である。
【図4】本発明の実施の形態にかかる吊り天井用支持材で吊り天井フレームを吊下支持する状態を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態にかかる吊り天井用支持材の平面図である。
【図6】本発明の実施の形態にかかる吊り天井用支持材の側面図である。
【図7】本発明の実施の形態にかかる吊り天井用支持材を下地フレームと吊り天井フレームのフレーム材との間に取り付けた状態を示す正面図である。
【図8】本発明の実施の形態にかかる吊り天井用支持材を下地フレームと吊り天井フレームのフレーム材との間に取り付けた状態を示す側面図である。
【図9】図7に示した吊り天井用支持材に用いた支持部材の斜視図である。
【符号の説明】
1 吊り天井フレーム
2 圧縮機
3 フレーム材
4 フレーム材
5 下地フレーム
11 吊り天井用支持材
12 胴部
13 フランジ
14 ナット部材
15 ネジ軸
21 取付部材
22 孔
23 スペーサ
41 支持部材
Claims (2)
- 下地フレームから吊り天井のフレームを吊下支持するために用いる支持材であって、
上端面にフランジ部が設けられた略円筒状の胴部と、この胴部から垂下して前記吊り天井のフレームにその下端部が固定されるネジ軸と、前記胴部を前記下地フレームに取り付けるための取付部材とを有し、
前記フランジ部は、前記胴部の外径よりも大きい形態であり、
前記ネジ軸は、前記胴部における閉口した下端部を螺貫しており、
前記取付部材には、その内周を前記胴部が回転自在で、かつ前記フランジ部よりも小さい径の孔が形成され、さらに前記下地フレームにこの取付部材を固定した際に、少なくとも前記フランジ部の厚さ分の空隙を下地フレームの下面との間に確保するスペーサが、前記フランジ部外縁の回転軌跡よりも外方に設けられたことを特徴とする、吊り天井用支持材。 - ネジ軸下端部と吊り天井のフレームとの固定箇所に固定される支持部材を備え、
この支持部材は、ネジ軸下端部が挿通する孔を有する平坦な底部と、この底部の両端から各々斜め上方に延出した取付部とを有することを特徴とする、請求項1に記載の吊り天井用支持材。
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