JP3811124B2 - 圧延機の異常診断方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄鋼プラントにおいて多段スタンドで構成される圧延機を対象にした設備不良、操業不良の診断方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
鉄鋼プラントにおける冷間圧延機などの圧延ラインでは、板厚変動や形状変動などの異常発生に対して、これらの要因として考えられる設備不良、材料不良、制御不良などの各種不良要因を速やかに抽出し、歩留まりの向上を図る必要がある。このため、従来では、特開平4−9214号に記載のように、板の不良を検出した上で、各種操業データ、設備データを利用して発生要因をエキスパートシステムなどの診断ロジックで特定していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術では、コイル全長の中で異常の発生した部位や異常の種別(局所/全域)を特定し、全領域を対象に異常要因の推定処理を実施しているため、処理速度が遅くなる傾向があった。また、部位に応じて異常要因が異なることの考慮がなく、全領域を対象にして想定される全ての異常要因を検索しているため、部位を限定した診断と比較してノイズを含み易く、診断確度も低下する問題があった。さらに、対象の特性が経年変化等で変化した場合に、診断結果を導出するために用いる診断しきい値が現状を反映した適切な値とならないが、これを適切に修正する手段がなく、しきい値不良による診断確度低下の問題もあった。
【0004】
本発明の目的は、これら従来技術の問題点を克服し、高速、さらには高確度な圧延機の異常診断方法および装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明は、圧延中に収集された操業データを用いて板の品質の良否判定を行い、板が不良と判定された場合にその異常要因を推定する圧延機の異常診断方法において、コイル全長について板速の特性に応じて領域を分割し、この領域毎に板厚および/または形状の変動を検出し、変動の有る領域を異常部位として特定することを特徴とする。前記領域はFGC(溶接近傍)部、低速部、加速部、高速部及び減速部に分割される。
【0006】
また、前記異常部位に対し、操業時に観測される状態量または該状態量に統計処理を施した統計状態量とそれらの状態量または統計状態量毎に設定される診断しきい値との比較によって、異常な状態量を特定する診断を行うことを特徴とする。なお、前記しきい値と比較して異常有無の結論を導出する”しきい値演算”に用いられる状態量または統計状態量を、以下では特徴量と呼ぶ。
【0007】
また、前記異常部位に対し、前記領域毎に想定される異常要因の正否を診断する。この異常要因には母材板厚の変動、母材硬度のむら、板とロール間のスリップ、ロールの偏芯、センサ不良などの個別要因を含み、前記領域毎に可能性のある個別要因の診断ロジックを選択して診断処理することを特徴とする。
【0008】
本発明の方法が適用可能な診断装置は、操業時に観測される値を収集するデータ収集部と該データ収集部により収集されたデータを用いて板の品質の良否判定を行う品質判定部と、該品質判定部によって板が不良と判定された場合に品質異常の要因を推定する診断部を備え、コイル全長において板速の状態に応じて領域を分割し、該領域毎に異常の有無を検出し、該領域単位で異常部位を特定する異常内容判定部を有し、前記診断部は前記異常内容判定部が特定した異常部位を対象に該部位に関連するデータを用いて診断を実行することを特徴とする。
【0009】
前記診断部は前記異常内容判定部が特定する部位毎に関連する診断処理が記述されており、該異常内容判定が特定した部位に対応する該診断処理を選択的に実行する。
【0010】
さらに、前記異常診断装置はしきい値調整部を有し、前記品質判定部の判定結果が良で前記診断部の診断結果が異常を出力した場合は、異常を導出した診断部の有する診断しきい値を異常判定を起こしにくい方向へ修正し、前記品質判定部の判定結果が不良で前記診断部の診断結果が正常を出力した場合、前記診断しきい値と、それとの大小関係で正常・異常を判定するしきい値との絶対差が一定値以下となる診断しきい値を異常判定を起こしやすい方向へ修正する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。図1に本発明の一実施例となる圧延機の異常診断装置の構成を示す。異常診断装置101はデータ収集部102、品質判定部103、異常内容判定部104、一次診断部105、二次診断部106、しきい値構築部107、しきい値調整部108およびガイダンス部109で構成される。
【0012】
データ収集部102は、例えば5つのスタンドで構成されるタンデム冷間圧延機であるプラント100から操業データを収集し、品質判定部103へ送出する。品質判定部103は、一コイル圧延される毎に、このコイルの品質を判定し、コイルの良否を決定する。
【0013】
異常内容判定部104は不良判定を受けたコイルに対し、板速の状態に応じてコイルを領域分割し、異常が発生した領域を異常部位として抽出する。一次診断部105は、異常内容判定部104において抽出された異常部位を対象に、張力や荷重などの直接検出された値に対し平均値や分散値などの統計演算を行う。さらに、これらを正常コイルのものと比較して大きく隔たったものを異常として検出し、結果をガイダンス部109へ送信する。二次診断部106は、異常内容判定部104において抽出された異常部位を対象に、母材板厚変動やロール偏芯などの想定される異常要因を具体的に推定する処理を実行し、結果をガイダンス部109へ送信する。
【0014】
しきい値構築部107は、一次診断105および二次診断106の診断処理で用いる診断しきい値を構築するために、診断しきい値と比較して異常有無の結論を導出する値(この値を特徴量と呼ぶ)を蓄積し、これの平均値および分散値を用いてしきい値を算出する。
【0015】
しきい値調整部108は、品質判定部103による判定結果と二次診断部106による診断結果との整合性が保たれるよう、すなわち品質判定部103の判定結果が良の場合、二次診断部106の診断結果は“異常なし”となり、判定結果が不良の場合、何らかの変動要因が異常原因として診断されるように診断しきい値を調整する。
【0016】
ガイダンス部109は、一次診断部105と二次診断部106の出力結果を診断ログとしてファイル化し、これを蓄積するとともに表示装置110へ出力してオペレータへ診断結果を報知する。
【0017】
次に、本実施例の診断装置の主要部となる品質判定部103、異常内容判定部104、一次診断部105、二次診断部106、しきい値構築部107及びしきい値調整部108の処理の詳細について述べる。
【0018】
品質判定部103では、データ収集部102で厚められた一コイル分の操業データを用いて、図3に示す処理フローに従った処理を実行する。S3−1において、予め用意された板の評価基準について、これを判定するための値(品質1〜3)を算出する。S3−2では、図2に示す評価テーブル200を用いて各項目(評価基準)毎に点数を求める。S3−3では各項目の点数を合計し、総合評価テーブル201を用いて該当コイルの最終評価をA〜Dで決定する。Aは最良でB、Cと等級が下がり、Dが不良コイルとなる。
【0019】
異常内容判定部104は、基本的に板速に着目し、これの状態に応じてコイル全長を部分領域に分割する。すなわち、低速部、加速部、高速部、減速部およびFGC(Flying Gauge Changing;溶接部近傍)部にデータを分割して管理する。それぞれの領域が複数個存在する場合は、発生個数だけ別の分割領域として管理する。
【0020】
分割された各領域に対して、板、形状の変動を検出し、変動(異常)のあった領域を異常部位として特定する。また、これにより異常部位が先端、後端、中腹、または局所、全域のいずれで発生したかという異常状態の判定も行なえる。
【0021】
図4に異常内容判定部104の処理フローを示し、具体的な処理の流れを説明する。S4−1では、対象となるコイルの溶接点から前後一定長、もしくはフィードバック制御(AGC;Automatic Gauge Control)が開始されるまでをFGC部として抽出する。S4−2では、最終スタンドの出側板速vの移動微分値vmdを算出する。
【0022】
このvmdを対象に複数の状態判定用しきい値(加速状態判定用しきい値:thacc,減速状態判定用しきい値:thdcc,一定速度状態判定用しきい値:thcnst)を用いて一定速度領域、加速領域、減速領域を抽出する。S4−4においては、高・低判定しきい値(thLH)を用いて一定速度領域を高速部と低速部に分割する。S4−5では、抽出された各領域毎に最終スタンド出側板厚の変動および形状の変動を検出し、変動のあった領域を変動領域として特定する。
【0023】
図5に一次診断部の構成を示す。一次診断部105は、特徴量算出部500、特徴量テーブル501、一次診断実行部502およびしきい値テーブル503で構成される。
【0024】
一次診断部105は、図6の特徴量テーブル501に示すような、板厚、張力、荷重などオペレータが普段、観測している値の統計値(平均値、分散値、移動分散最大値など)を正常コイルのものと比較して、これらの正常/異常を判定する。一次診断部105では、これら統計値が特徴量に相当する。しきい値テーブル503には、複数の正常コイルの特徴量を蓄積することで得られた各特徴量のしきい値Vthが格納されている。ここで、特徴量の平均値μ、特徴量の標準偏差σ、しきい値を求める係数αとすると、Vthは(1)式より計算される。
【0025】
【数1】
Figure 0003811124
【0026】
図7に一次診断部105の処理フローを示す。S7−1において、異常内容判定部104で抽出された変動領域に対応する特徴量(名)を特徴量テーブル501より抽出する。S7−2では、抽出された特徴量(名)の値を計算する。例えば、FGC部が変動領域として選ばれると、特徴量テーブル501におけるFGCの付いた特徴量を選び、張力、荷重などの実績値を利用して、平均、分散、移動分散最大値などを計算する。S7−3では、計算された特徴量に対応するしきい値Vthを、しきい値テーブル503から抽出する。S7−4では、S7−2で計算された各特徴量に対し、S7−3で求めたしきい値Vthを用いて正常/異常判定する。すなわち、ある特徴量がしきい値Vthを越えた場合、その特徴量は異常となり、超えなかった場合は正常となる。以下、このように特徴量と診断しきい値を比較し、しきい値を越える/越えないにより、正常/異常を結論付ける処理を”しきい値演算”と呼ぶことにする。
【0027】
図8に二次診断部の構成を示す。二次診断部106は、領域−変動要因テーブル800、要因診断群801、要因診断選択部802、しきい値テーブル803および詳細情報算出部804で構成される。二次診断部106では、想定される変動要因毎にその要因可能性を推定する要因診断ロジック805を用意し、これを選択的に実行して変動要因の究明を行う。
【0028】
領域−変動要因テーブル800は領域とそれぞれの領域で発生する要因診断の対応関係が記録されている。要因診断群801は想定される変動要因の数だけ用意された要因診断ロジック805で構成される。しきい値テーブル803は各要因診断ロジック805が診断を実行するために用いるしきい値を格納しており、要因診断ロジック805はしきい値テーブル803を参照して診断を行う。
【0029】
図9に二次診断部106の処理フローを示す。S9−1では、要因診断選択部802において、異常内容判定部104で特定された変動領域に対応した要因診断ロジックを、領域−変動要因テーブル800を参照して抽出する。
【0030】
図10に領域−変動要因テーブル800の一例を示す。テーブル800には、領域毎の変動要因を格納している。例えば、低速領域における変動要因は母材板厚と硬度むらの2つ、高速領域における変動要因は母材板厚、硬度むら、ロール偏心、スリップ及び検出器不良の5つである。
【0031】
S9−2では、選択された要因診断ロジックを要因診断群801より選択して起動する。S9−3では、起動された要因診断ロジック805がしきい値テーブル803を参照して、要因診断を実行する。
【0032】
図11にしきい値テーブル803の一例を示す。しきい値テーブル803には、領域毎、要因別に(1)式より求めたしきい値が設定される。例えば、FGC部の要因の1つである母材板厚変動では、特徴量(母材板厚の移動分散値)VHmaxに対してしきい値VH_thを、特徴量(母材板厚の周波数スペクトルの最大値)Pmax に対してしきい値P_thをそれぞれ格納している。
【0033】
S9−4において、要因診断ロジック805で診断された結果が異常の場合、詳細情報算出部804が異常部位、異常アクチュエータなどの詳細情報を付加してガイダンス部109へ送信する。
【0034】
以上のように、一次診断部105においてオペレータが普段見慣れている張力、荷重などの操業データの異常を報知し、これに加えて二次診断部106が想定される変動要因名を具体的に報知することで、一次診断結果を用いた二次診断結果の検証が可能となるなど多面的な診断を可能とし、オペレータにとって診断確度を高められる有為な情報を提供できる。
【0035】
つづいて要因診断ロジック805の具体例を説明する。本実施例では、母材板厚の変動が要因となる場合の母材板厚変動診断ロジック、母材の硬度むらが要因となる場合の硬度むら異常診断ロジック、ロールと板の滑りが要因となる場合のスリップ診断ロジック、ロールの偏芯が要因となる場合のロール偏芯診断ロジック、板厚計または板速計のいずれかが原因となる場合の検出器不良診断ロジックの計5件を説明する。
【0036】
図12に母材板厚変動診断ロジックの処理模式図を示し、図13に処理フローを示す。母材板厚変動はほぼ全領域に亘ってその変動要因となる。処理フローにしたがって本ロジックの説明を行う。S13−1において、最終スタンド出側板厚hの移動分散値Vhを(2)式、(3)式を用いて算出する。
【0037】
【数2】
Figure 0003811124
【0038】
さらに、Vhの最大値VHmaxを算出する。
【0039】
S13−2では、に対応した部位の母材板厚の移動分散値VHmaxを求め、これの最大値をS13−1と同じ要領で算出する。S13−3では、最終スタンド出側板厚の周波数変換を行い、パワースペクトルがしきい値gth1を越える周波数をn点抽出する。S13−4では、S13−3で抽出された周波数の幅w近傍に存在する母材板厚の周波数スペクトルの最大値を求め、これをPmaxとする。
【0040】
S13−5では、VHmaxおよびPmaxの大きさを、しきい値テーブル803に格納されるしきい値を用いてしきい値演算し、それぞれの結果をOR演算することで正常/異常を決定する。すなわち、いずれか一方が異常の場合、異常と判定する。
【0041】
以上の処理により、母材変動が原因であった場合の振る舞いを、時間領域と周波数領域の両面から観測することで、高確度な母材変動要因の推定が可能となる。
【0042】
図14に硬度むら異常診断ロジックの模式図を示し、図15に処理フローを示す。本ロジックは、硬度むらを求めるために計算荷重と実測荷重の比(以下Zp)を求め、硬度むらが存在しない場合はZpが一定であることから、Zpが変動した部位が硬度むらの発生した部位であると診断する。
【0043】
S15−1において、最終スタンド出側板厚の移動分散値Vhを(2)式により算出し、これの最大値VHmaxを求める。S15−2では、VHmaxに対応した部位のZpの移動分散値を求め、これの最大値Vzpmaxを求める。S15−3では、Vzpmaxのしきい値演算を行い、正常/異常の結論を導出する。本ロジックによれば、硬度の振る舞いを顕著に観測可能なZpを利用することで、高確度な硬度むら不良の推定が可能となる。
【0044】
図16にスリップ診断ロジックの模式図を示し、図17に処理フローを示す。本ロジックでは実測された先進率faを利用して、通常は1近傍の値であるfaが急激にマイナス方向へ変化する現象を抽出することでスリップ診断を行う。
【0045】
S17−1において、母材板厚変動診断ロジックと同様に、最終スタンド出側板厚の移動分散値を算出し、これの最大値VHmaxを求める。S17−2では、VHmaxに対応した部位の幅wの範囲でfa<0となるfaが存在するかどうか確認する。存在する場合、S17−3に処理を移し、しない場合は処理終了となる。S17−3においては、faの移動平均famvを(4)式で求め、VHmaxに対応した部位の幅wの範囲でfamvの最大値と最小値の絶対差(P/P)を算出する。
【0046】
【数3】
Figure 0003811124
【0047】
S17−4では、S17−3で算出したP/Pを用いてしきい値演算を行い結論を導出する。本ロジックによればスリップ現象に一対一に対応するfaを利用し、かつ変動するfaを移動平均によりスムーズ化することで、これの定性的な振る舞いを正確に検出できた結果、高確度なスリップ異常の推定が可能となる。
【0048】
図18にロール偏芯診断ロジックの模式図を示し、図19に処理フローを示す。S19−1において、最終スタンド出側板厚を周波数変換する。S19−2では、各ロールについて回転周波数近傍wで最大のパワースペクトル(Pmax(i) i;スタンドNo.)を抽出する。S19−3において、Pmaxをしきい値演算し、しきい値を越えたロールを偏芯ロールとして特定する。この時のしきい値は、しきい値構築部107によって設定され、後述するように正常時のPmaxを特徴量として算出される。しきい値構築部107によって適切に設定されたしきい値を用いることで、高確度な偏芯ロールの検出が可能となる。
【0049】
図20に検出器不良診断ロジックの処理フローを示す。本診断ロジックは板厚計または板速計の不良を検出するために、一定速度状態においてマスフロー値(=板厚×板速化×板幅)が各スタンドで一定であるという性質に着目し、板速の高速部における各スタンドのマスフロー値を観測し、マスフロー値が他のスタンドと比較して大きく隔たっているスタンドの検出器(板厚計または板速計)が異常であるという結論を導出する。
【0050】
まず、S20−1において、母材板厚変動診断ロジックと同様に最終スタンド出側板厚の移動分散値を算出し、これの最大値VHmaxを求める。S20−2では、VHmaxに対応した時刻近傍wの板速、出側板厚を用いて各スタンドのマスフロー値の平均値xi(I;スタンドNo.)を算出する。ここで板幅は、一定の値を用いる。
【0051】
S20−3では、スタンドi以外のスタンドについてマスフロー値の平均値Eおよび標準偏差σを(5)式および(6)式を用いて算出する。
【0052】
【数4】
Figure 0003811124
【0053】
S20−4では、スタンドiのマスフロー値が(7)式を満たすかどうか判定する。
【0054】
【数5】
Figure 0003811124
【0055】
S20−5において、S20−4の結果がYesの場合は、iスタンドのマスフロー値が正常、すなわち、検出器が正常であると判定する。Noの場合はiスタンドの検出器が異常であると判定する。
【0056】
S20−6では、全てのスタンドが終了したかどうか判定し、終了した場合は処理終了、していない場合は処理をS20−3に移し、別のスタンドで同様な処理を実行する。
【0057】
本ロジックによれば、マスフロー値の乱れに着目することで異常検出器を有するスタンドが検出可能となり、またiスタンドマスフロー値のその他のスタンドからの隔たり具合を、(5)式、(6)式を用いることで高確度な検出器不良が推定可能となる。
【0058】
図21にしきい値構築部の構成を示す。しきい値構築部107は、コイルA判定検出部2100、特徴量算出部2101、しきい値構築用データ更新部2102、しきい値構築用データテーブル2103およびしきい値テーブル更新部2104から構成される。しきい値構築用データテーブル2103は、一次診断部105および二次診断部106においてしきい値演算に用いる特徴量の平均値μ、標準偏差σおよびこれらの値の計算に用いられたコイル数Nが各しきい値毎に格納される。
【0059】
図22にしきい値構築部107の処理フローを示す。コイル毎に起動処理され、S22−1では、コイルA判定検出部1900が品質判定部103の判定結果を確認する。S22−2において、判定結果がA判定であるかどうか調べ、A判定の場合は処理をS22−3へ移す。そうでない場合は、処理終了となる。
【0060】
S22−3において、特徴量算出部2101が、一次診断部105および二次診断部106におけるしきい値演算に用いる特徴量を算出する。S22−4では、しきい値構築用データ更新部2102がS22−2で算出した特徴量を用いて、しきい値構築用データテーブル2103に格納される各特長量の平均値Ave(N)、標準偏差Stddev(N)を(8)式、(9)式で更新する。ここで、Data(N)はS22−2で算出した特徴量である。
【0061】
【数6】
Figure 0003811124
【0062】
S22−5では、オペレータの指示があるか、もしくはコイル数NがNmax以上となった場合、しきい値テーブル更新部2104がしきい値構築用データテーブル2103の値を用いて、しきい値Vthを(10)式により算出し、この値を上書きすることで、一次診断部105のしきい値テーブル503、二次診断部106のしきい値テーブル803をそれぞれ更新する。
【0063】
【数7】
Figure 0003811124
【0064】
ここで、βは3前後の適当な値を選ぶ。しきい値構築部107によれば、(8),(9)式によって平均値μ、標準偏差σを逐次更新しているため、特徴量の値をコイル数分だけ蓄積する必要がなく、記憶領域を効率的に利用したしきい値の構築が可能となる。
【0065】
図23にしきい値修正部108の構成を示す。しきい値修正部108はコイル判定検出部2300、診断実行部2301、修正しきい値算出部2302、無反応検出部2303、修正対象診断要因抽出部2304、修正しきい値算出部2305およびしきい値テーブル更新部2306から構成される。
【0066】
図24にしきい値修正部108の処理フローを示し、処理詳細をフローにしたがって説明する。S24−1では、コイル判定検出部2300において、品質判定部103の判定結果を確認する。S24−2において判定結果がAかDかを調べ、A判定の場合は処理をS24−3へ移す。D判定の場合は、処理をS24−5に移し、いずれでもない場合は処理終了となる。
【0067】
S24−3では、診断実行部2301が二次診断部106を起動して全領域を対象に診断を実行し、A判定の結果に対して異常の判定を行った要因診断ロジック805を抽出する。S24−4において、S24−3で抽出された要因診断ロジック805のしきい値を修正しきい値修正部2302が反応しにくい方向(異常判定を出しにくい方向)へ修正する。
【0068】
一方、D判定に対する処理S24−5では、二次診断部106の診断結果が正常であったかどうか検証する。正常であった場合、処理をS24−6へ移し、正常でなかった場合は処理終了となる。S24−6では、修正対象診断要因抽出部2304が(11)式を満たす要因診断ロジック805を抽出する。
【0069】
【数8】
Figure 0003811124
【0070】
ここでγは判定係数、特徴量はしきい値演算に用いた値であり、Stddevはしきい値構築時に用いた標準偏差である。
【0071】
S24−7においてS24−6で抽出された要因診断ロック805のしきい値を、修正しきい値算出部2305が反応しやすい方向(異常判定を出しやすい方向)へ修正する。S24−8において、しきい値テーブル更新部2306が修正されたしきい値をしきい値テーブル803へ書き込み、これを更新する。
【0072】
以上のフローでは二次診断部106のしきい値を対象にした修正手順を示したが、要因診断ロジック805の代わりに、特徴量テーブル501に記載される特徴量を扱うことで、一次診断部105のしきい値調整も同様に行うことができる。
【0073】
【発明の効果】
本発明の圧延機異常診断装置によれば、板速の状態に応じて分類した領域毎に異常部位を特定でき、該部位を対象にその領域に適応した要因診断を選択的に実行できるため、高速かつ高確度な診断が可能となる。
【0074】
また、診断しきい値を板(コイル)の良否判定結果と診断結果の整合性を保つよう適宜調整するため、対象の特性が変化した場合でも適切なしきい値が維持され、絶えず高確度な診断を実行可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例となる圧延機異常診断装置の全体構成図。
【図2】品質判定評価テーブルの説明図。
【図3】品質判定部103の処理フロー図。
【図4】異常内容判定部104の処理フロー図。
【図5】一次診断部105の構成図。
【図6】特徴量テーブル501の説明図。
【図7】一次診断部105の処理フロー図。
【図8】二次診断部106の構成図。
【図9】二次診断部106の処理フロー図。
【図10】領域−変動要因テーブル800の説明図。
【図11】しきい値テーブル803の説明図。
【図12】母材板厚変動診断ロジックの模式図。
【図13】母材板厚変動診断ロックの処理フロー図。
【図14】硬度むら異常診断ロジックの模式図。
【図15】硬度むら異常診断ロジックの処理フロー図。
【図16】スリップ診断ロジックの模式図。
【図17】スリップ診断ロジックの処理フロー図。
【図18】ロール偏芯診断ロジックの模式図。
【図19】ロール偏芯診断ロジックの処理フロー図。
【図20】検出器不良診断ロジックの処理フロー図。
【図21】しきい値構築部107の構成図。
【図22】しきい値構築部107の処理フロー図。
【図23】しきい値修正部108の構成図。
【図24】しきい値修正部108の処理フロー図。
【符号の説明】
100…プラント(タンデム冷間圧延機)、101…異常診断装置、102…データ収集部、103…品質判定部、104…異常内容判定部、105…一次診断部、106…二次診断部、107…しきい値構築部、108…しきい値調整部、109…ガイダンス部、110…表示装置、200…評価テーブル、201…総合評価テーブル、500…特徴量算出部、501…特徴量テーブル、502…一次診断実行部、503…しきい値テーブル(一次用)、800…領域−変動要因テーブル、801…要因診断群、802…要因診断選択部、803…しきい値テーブル(二次用)、804…詳細情報算出部、805…要因診断ロジック、2100…コイルA判定部、2101…特徴量算出部、2102…しきい値構築用データ更新部、2103…しきい値構築用データテーブル、2104…しきい値テーブル更新部、2300…コイル判定検出部、2301…診断実行部(二次診断部起動部)、2302…修正しきい値算出部、2303…無反応検出部、2304…修正対象診断要因抽出部、2305…修正しきい値算出部、2306…しきい値テーブル更新部。

Claims (3)

  1. 複数スタンドからなる圧延機の圧延中に、収集された操業データを用いて板の品質の良否判定を行い、板が不良と判定された場合にその異常要因を推定する異常診断方法において、
    最終スタンド出側板厚の変動部位に対応する母材板厚の変動を観測し、該母材板厚が正常時の変動度合と異なる場合、および/または、最終スタンド出側板厚および該母材板厚の周波数成分を比較し、それらが正常時の変動度合と異なる場合に、前記母材板厚の変動が品質不良の異常要因であると推定することを特徴とする圧延機の異常診断方法。
  2. 複数スタンドからなる圧延機の圧延中に、収集された操業データを用いて板の品質の良否判定を行い、板が不良と判定された場合にその異常要因を推定する異常診断方法において、
    計算荷重と実績荷重の比であるzp値を計算し、最終スタンド出側板厚の変動部位に対応する該zp値の変動が正常時の変動度合と異なる場合、母材の硬度むらが品質不良の異常要因であると推定することを特徴とする圧延機の異常診断方法。
  3. 複数スタンドからなる圧延機の圧延中に、収集された操業データを用いて板の品質の良否判定を行い、板が不良と判定された場合にその異常要因を推定する異常診断方法において、
    実測される先進率の移動平均faを計算し、最終スタンド出側板厚の変動部位に対応する該faの挙動が負の方向へ変化し、かつ該faが負となっていた場合、板とロール間のスリップが品質不良の異常要因であると推定することを特徴とする圧延機の異常診断方法。
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