JP3810136B2 - 熱転写受像シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、昇華熱転写シートから移行してくる昇華性染料を受容する染料受容層を設けた熱転写受像シートに関し、更に詳しくはビデオプリンタ等、各種のカラープリンタ分野で幅広く利用することができる熱転写受像シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、撮影技術及びコンピューターグラフィックスに代表される画像形成システムの進歩が著しい。それに伴い、画像のカラーハードコピーに対するニーズが一層高まってきている。
各種のハードコピーシステムの中でも、昇華性染料を記録剤とした熱転写シートに熱転写受像シートを重ね、記録信号に応じてサーマルヘッドで加熱することにより染料を熱転写受像シートに転移させることによって記録像を得る方法は、形成される画像の透明性、中間色の階調再現性及び色再現性に優れているため、銀塩写真に匹敵する画像を得られることから非常に注目されている。
【0003】
このような昇華転写方式に用いられる熱転写受像シートの1つの用途として、画像が形成される染料受容層を離型紙(或いは離型シート)の表面に剥離可能に形成し、該染料受容層に所望の画像を形成後、該染料受容層を剥離して任意の物品に貼着する用途がある。
図5及び図6は、上記用途に使用されている従来技術の熱転写受像シートの1例を示すもので、図6は図5のX−X拡大断面図である。図5に示す熱転写受像シートは、所定の幅の長尺タイプであり、その両端は巻芯1に巻かれ、プリンタに装着されて矢印方向又はその反対方向に進行し、図示していない昇華型熱転写シートがその表面に重ねられ、該熱転写シートをその背面からサーマルヘッド等により画像状に加熱して、熱転写シートの染料を熱転写受像シートの表面に移行させ、熱転写受像シートの表面に任意の画像2を形成するものである。
【0004】
上記熱転写受像シートは、図5に示すように任意の形状にハーフカットされており、その断面の詳細を拡大して図6に示す。ハーフカットライン3によって区画された領域に形成された画像2、例えば、顔写真画像は、図6に示すように、ハーフカットライン3に沿ってその粘着剤層4とともに離型紙5から剥離され、剥離された画像形成染料受容層部分Aは、図7に示すように任意の物品11、例えば、ノート、手帳、鞄、その他の物品に貼着される。尚、図5における符号12は検知マークを示す。
【0005】
以上の如く従来のハーフカット入り熱転写受像シートは、離型紙や離型シート5の離型面に、粘着剤層4と染料受容層の支持体6である発泡ポリエチレンテレフタレート(PET)フイルムやユポの名称で知られている合成紙と、該支持体6上に形成された染料染着性の樹脂層7(染料受容層)から形成されている。
又、本願出願人により、上記の如き熱転写受像シートにおいて、上記支持体として、未発泡の樹脂フイルムと発泡樹脂フイルムとの積層体を使用して画像発色濃度を向上させたものが提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとしている課題】
上記従来技術の如き熱転写受像シートを用いて画像形成する場合には、図5に示す如き熱転写受像シートが、両端が巻き芯1に巻きつけられ、更に画像形成用プリンタ内では、プラテンロールを初めとして幾つかのローラーを経由して熱転写受像シートが搬送され、且つ画像形成部分がサーマルヘッド等により部分的に加熱されて所望の画像形成が為される。かかる画像形成に際して、熱転写受像シートがロール等の部分で湾曲搬送される際、ハーフカットライン3で包囲されている領域の端部がめくれ、該端部からハーフカット領域が剥離し、該剥離領域の裏面には粘着剤層が形成されている結果、プリンタ内における熱転写受像シートの搬送不良の問題が発生し、しばしば画像形成が中断されるという問題が生じている。
【0007】
このような問題は、粘着剤層の粘着強度を向上させれば解決することができるが、粘着剤層の粘着強度を向上させると、画像形成後のハーフカット領域を剥離する際、剥離困難になったり、剥離時に剥離領域の一部が断裂するという問題が生じる。
従って本発明の目的は、以上の如きハーフカットされた熱転写受像シートに熱転写プリンタにおいて画像形成する際に、ハーフカット領域の剥離がなく、そのうえ画像形成後にはハーフカット領域の剥離が容易である熱転写受像シートを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明は、少なくとも離型シートと、その離型面に形成した粘着剤層と、該粘着剤層とともに剥離可能な支持体と、その上に形成された染料受容層とからなる熱転写受像シートにおいて、離型シートを除く他の積層部分が、任意の形状にハーフカットされ、且つハーフカットラインが浅い部分と深い部分とからなり、浅いハーフカットラインが、ハーフカット領域の印字開始辺側及び/又は印字終了辺側に形成されており、上記浅いハーフカットラインのカット深さは、粘着剤層までは達しておらず、且つ染料受容層と支持体の少なくとも一部まで届いており、上記深いハーフカットラインは、粘着剤層の底部まで達していることを特徴とする熱転写受像シートである。
【0009】
本発明によれば、前記の如き熱転写受像シートにおいて、離型シートを除く他の積層部分を任意の形状にハーフカットする際、該ハーフカットラインを浅い部分と深い部分とから構成することによって、熱転写プリンタにおいて画像形成する際に、ハーフカット領域の端部のめくれによるハーフカット領域の剥離がない熱転写受像シートを提供することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に好ましい実施の形態を挙げて本発明を更に詳しく説明する。
本発明の熱転写受像シートの基本形態は、図1に示すよう、前記の如き熱転写受像シートにおいて、ハーフカットラインを浅い部分3’と深い部分3とから構成していることを特徴とする熱転写受像シートである。
【0011】
図2は、図1のX−X断面図であり、本発明の熱転写受像シートの層構成を説明する図であり、図3は別の本発明の熱転写受像シートの層構成を説明する図である。図示のように深いハーフカットライン3は、粘着剤層の底部まで達しているが、浅いハーフカットライン3’は、図2の場合には粘着剤層4にまで達しておらず、又、図3の場合には支持体を構成するフイルム8の一部にまで達している。このようにハーフカットラインの深さを代えることによって、ハーフカット3’のところでは、画像形成プリンタ中で熱転写受像シートに画像形成される場合、ハーフカット3’の部分は剥れにくく、従ってハーフカット領域の剥れによる画像形成用プリンタの中断がなくなる。図2及び図3に示す例は単なる例示であり、浅いハーフカットライン3’のカット深さは図示の例に限定されず、離型シートにまでは達せず、且つ染料受容層と支持体の少なくとも一部まで届いていれば如何なる深さであってもよい。尚、図3のように、支持体が貼り合わせてある場合には、その下側のフイルム8の途中までカットを入れることが好ましい。
【0012】
図4は、本発明におけるハーフカットライン3の形状の例を示す拡大図である。図示のように浅いハーフカットライン3’と深いハーフカットライン3との形状は、図1に示す形状以外に、図4a〜dに示す如き形状が可能であり、その他の形状であってもよい。好ましい形状は、図4に示すように、浅いハーフカットライン3’が、印字開始辺側及び/又は印字終了辺側に形成されている形状である。特に印字開始時にハーフカット領域が剥離し易いので図4b及びcの形状が好ましい。
【0013】
図2は、図1のX−X拡大断面図であり、本発明の熱転写受像シートの層構成は、図2に示すように、離型シート5と、その離型面に形成した粘着剤層4と、該粘着剤層4とともに剥離可能な支持体6と、その上に形成された染料受容層7とからなっている。
又、本発明の別の好ましい実施形態の熱転写受像シートの例は、図3にその拡大断面図にて示すように、上記熱転写受像シートにおいて、支持体(8+9+10)が、粘着剤層4に接する未発泡の樹脂フイルム8と染料受容層7に接する発泡樹脂フイルム9との積層体とすることによって、形成された画像の染料発色性、特に画像の濃厚部の染料発色性を向上させることができる。上記未発泡の樹脂フイルム8発泡樹脂フイルム9とは接着剤層10により貼着されている。
【0014】
上記本発明において使用する離型シート5は、従来公知のプラスチックフイルム又はポリラミ紙の表面にシリコーン等の公知の離型剤で離型処理を施した材料であり、例えば、東レ製のルミラーT−60(厚み50μm)や、ダイヤホイル製のW−400(厚み38μm)として入手して使用することができる。これらの離型シートは20μm〜100μmの厚みのものが好ましく、離型シートが薄すぎると得られる熱転写受像シートの所謂コシがなく、ロール送りが困難になったり、熱転写受像シートに皺が発生したりする。一方、離型シートが厚すぎると、得られる熱転写受像シートが厚くなりすぎ、熱転写プリンタに掛けにくくなる。
【0015】
表面無処理のポリオレフィン樹脂フイルム、例えば、ポリエチレンフイルム、ポリプロピレンフイルムであり、特に延伸又は無延伸のポリプロピレン樹脂フイルムが好ましい。本発明者の知見によれば、特に延伸又は無延伸のポリプロピレン樹脂フイルムは、その表面に、従来技術の如き離型処理を施すことなく熱転写受像シートを形成した場合に、粘着剤の種類を適当に選択することによって、上記離型シートと粘着剤層とのJIS Z0237準拠の180°による剥離強度を約100〜1,700、好ましくは約700〜1,400の範囲に容易に調節することができ、画像形成時にはハーフカット領域の剥離がなく、そのうえ画像形成後には、ハーフカット領域が断裂することなく容易に剥離することができる。上記離型シート5の厚みはを約20〜100μm、好ましくは約35〜75μmの範囲である。このような延伸若しくは無延伸のポリプロピレン樹脂フイルムとしては、例えば、東洋紡績製のパイレンや東レ製のトレファン等として市場から入手することができる。
【0016】
上記本発明において使用する粘着剤4は、従来公知の溶剤系及び水系のいずれの粘着剤でよく、離型シートに対する塗工量としては、約8〜30g/m2(固形分)が一般的であり、粘着力としては、JIS Z0237準拠の180°による方法において、100〜1,700の範囲、好ましくは700〜1,400の範囲の粘着力を示す粘着剤が好ましい。
以上の如き粘着剤は、前記離型シート6上に粘着剤層4を形成する際に、その剥離強度を前記範囲になるように選択して使用することが好ましい。
【0017】
本発明の熱転写受像シートにおける支持体6としては、従来公知のものでよく、例えば、東洋紡績製のトヨパールSS P4255(厚み35μm)、モビルプラスチックヨーロッパ製のMW247(厚み35μm)等の発泡ポリプロピレンフイルム、ダイアホイル製のW−900(50μm)、東レ製のE−60(50μm)等の発泡ポリエチレンテレフタレートフイルムが好ましく使用される。
【0018】
又、本発明の別の好ましい実施形態の熱転写受像シートの例は、図3にその拡大断面図にて示すように、上記熱転写受像シートにおいて、支持体(8+9+10)が、粘着剤層4に接する未発泡の樹脂フイルム8と染料受容層7に接する発泡樹脂フイルム9との積層体とからなる。このようにすることによって、形成される画像、特に高濃度部分の発色濃度を向上させて、高品質の画像を形成することができる。
【0019】
上記において有用な未発泡樹脂フイルム8は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン等の未発泡のフイルムであり、従来公知の未発泡樹脂フイルムはいずれも本発明において使用でき、厚みとしては約10〜50μmの範囲が好ましい。フイルム厚が薄すぎると所謂コシがなく、得られる熱転写受像シートにおいてサーマルヘッド等による画像形成時に熱収縮によるカールが発生し、一方、厚すぎるとサーマルヘッド等による画像形成時にヒートセットによるカールが発生し易くなる。好ましい1例としては、例えば、東レ製のルミラーS−10(厚み12μm)が挙げられる。
【0020】
又、有用な発泡樹脂フイルム9としては、発泡ポリプロピレンフイルムや発泡ポリエチレンテレフイタレートフイルム等の従来公知の発泡樹脂フイルムが使用でき、特に発泡ポリプロピレンフイルムがそのクッション性の点で好ましい。これらのフイルムの厚みは30〜60μm程度が好ましい。好ましい例としては、例えば、東洋紡績製のトヨパールP4255(厚さ35μm)やトヨパールP4256(厚さ60μm)等が挙げられる。
【0021】
上記未発泡樹脂フイルム8と発泡樹脂フイルム9との積層方法としては、例えば、ドライラミネーション、ノンソルベント(ホットメルト)ラミネーション、ECラミネーション方法等の公知の積層方法が使用できるが、好ましい方法はドライラミネーション及びノンソルベントラミネーション方法である。ノンソルベントラミネーション方法に好適な接着剤としては、例えば、武田薬品工業製のタケネートA−720Lが挙げられ、ドライラミネーションに好適な接着剤としては、例えば、武田薬品工業製のタケラックA969/タケネートA−5(3/1)等が挙げられる。これらの接着剤の使用量としては固形分で約1〜8g/m2、好ましくは2〜6g/m2の範囲である。
【0022】
図2に例示する本発明の熱転写受像シートにおいては、染料受容層の形成は、前記支持体6に予め設けておいてもよいし、支持体6と離型シート5とを積層した後に、支持体である発泡樹脂フイルム6の面に設けてもよい。
又、図3に例示する本発明の熱転写受像シートにおいては、染料受容層の形成は、前記発泡樹脂フイルム9と未発泡樹脂フイルム8とを積層する前の発泡樹脂フイルム9に設けてもよいし、発泡樹脂フイルム9と未発泡樹脂フイルム8とを積層して構成された支持体の発泡樹脂フイルム9の面に設けてもよいし、支持体(8+9+10)と離型紙若しくは離型シート5とを積層した後に、支持体の発泡樹脂フイルム9の面に設けてもよい。
【0023】
上記の染料受容層を形成する材料としては、例えば、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化ポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルエステル等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンやプロピン等のオレフィンと他のビニルモノマーとの共重合体系樹脂、アイオノマー、セルロースジアセテート等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート等が挙げられ、中でも特に好ましいものはポリエステル系樹脂及び塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体及びそれらの混合物である。
【0024】
画像形成時において、染料層を有する昇華熱転写シートと、熱転写受像シートの染料受容層との融着若しくは印画感度の低下等を防ぐ目的で、上記染料受容層用樹脂に離型剤を混合することができる。混合して使用する好ましい離型剤としては、シリコーンオイル、リン酸エステル系界面活性剤、弗素系界面活性剤等が挙げられるが、中でもシリコーンオイルが望ましい。そのシリコーンオイルとしては、エポキシ変性、ビニル変性、アルキル変性、アミノ変性、カルボキシル変性、アルコール変性、弗素変性、アルキルアラルキルポリエーテル変性、エポキシ・ポリエーテル変性、ポリエーテル変性等の変性シリコーンオイルが望ましい。
【0025】
離型剤は1種若しくは2種以上のものが使用される。又、この離型剤の添加量は染料受容層形成用樹脂100重量部に対し、0.5〜30重量部が好ましい。この添加量の範囲を満たさない場合は、昇華熱転写シートと熱転写受像シートの染料受容層との融着若しくは印画感度の低下等の問題が生じる場合がある。このような離型剤を染料受容層に添加することによって、転写後の染料受容層の表面に離型剤がブリードアウトして離型層が形成される。又、これらの離型剤は、染料受容層形成用樹脂中に添加せず、染料受容層上に別途塗工してもよい。
【0026】
染料受容層は、発泡樹脂フイルムの表面に、上記の如き樹脂に離型剤等の必要な添加剤を加えたものを適当な有機溶剤に溶解したり、或いは有機溶剤や水に分散した分散体を適当な塗布方法で塗布及び乾燥することによって形成される。
上記染料受容層の形成に際しては、染料受容層の白色度を向上させて転写画像の鮮明度を更に高める目的で、白色顔料や蛍光増白剤等を添加することができる。以上のように形成される染料受容層は任意の厚さでよいが、一般的には1〜50μmの厚さである。
【0027】
又、このような染料受容層は連続被覆であるのが好ましいが、樹脂エマルジョン若しくは水溶性樹脂や樹脂分散液を使用して、不連続の被覆として形成してもよい。更に、プリンタ中における搬送安定化を図るために染料受容層の上には帯電防止剤を塗工してもよい。
【0028】
更に、染料受容層と反対側の熱転写受像シートの面にはプリンタ中における給紙時のダブルフィードを防ぐために、適当なスリップ層(不図示)を設けることができる。スリップ層としては、ブチラール樹脂、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリ酢酸ビニル等公知の樹脂の単独又はブレンドしたものに、各種の微粒子やシリコーン等の滑剤を添加したものを用いることができる。
【0029】
本発明では、以上の如き熱転写受像シートを、少なくともその離型シートの厚み分を残して、且つ前記のように浅いハーフカットライン3’と深いハーフカットライン3とが連続して形成されるようにハーフカット処理する。ハーフカット装置としては、従来公知のいずれの装置も使用でき、例えば、水平な台座に高さが調整できる所定の形状の線状カッター刃であって、その刃先が浅いハーフカットライン3’と深いハーフカットライン3に対応するものを設けた上下動可能な上型と、ゴム等の弾性体からなる台座とからなる装置が使用され、上記上型と台座との間に前記の熱転写受像シートを挿入し、刃の高さを調整して、上型を上下動させることによって、前記熱転写受像シートに所望の形状のハーフカットラインを形成することができる。勿論、上記装置に代えてシリンダータイプのロータリーカッターを使用してもよい。
【0030】
以上のように形成された本発明の熱転写受像シートに画像を形成する方法は、従来公知の昇華熱転写方式でよく、例えば、イエロー、シアン及びマゼンタの3色の染料層を面順次に有する熱転写シートを用いて、公知のサーマルヘッド方式のプリンタによって所望のフルカラー画像を本発明の熱転写受像シートの染料受容層に形成し、画像形成された染料受容層を含む層を、粘着剤層とともに離型紙から剥離し、剥離した染料受容層を含む層を任意の物品に貼着することができる。
【0031】
又、熱転写受像シートが前記のようにハーフカット処理されている場合には、ハーフカット領域内に画像を形成し、図7に示すと同様な方法で画像形成されたハーフカット領域を剥離し、同様に任意の物品11に貼着することができる。
【0032】
【実施例】
次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。尚、文中部又は%とあるのは重量基準である。
実施例1
先ず、発泡ポリエチレンテレフタレートフイルム((商品名W−900、ダイアホイル製、厚み50μm)の一方の表面に下記組成の染料受容層用塗工液を固形分塗工量4.0g/m2の割合で塗工及び乾燥させて染料受容層を形成した。
【0033】
【0034】
次に上記発泡ポリエチレンテレフタレートフイルムの染料受容層が形成されていない側の表面に、下記組成の粘着剤を固形分塗工量15g/m2の割合で塗工し、温度70℃にて1分間の加熱乾燥を行なって粘着剤層を形成した。
粘着剤
アクリル共重合体(SKダイン1310L、綜研化学製) 48部
エポキシ樹脂(硬化剤E−AX、綜研化学製) 0.36部
酢酸エチル 51.64部
【0035】
別に表面無処理の二軸延伸ポリプロピレンフイルム(商品名パイレンP2156、東洋紡績製、厚み30μm)の一方の表面に前記の積層体の粘着剤層面を対向させてラミネートした。最後に、前記染料受容層面に帯電防止剤として、第4級アンモニウム塩化合物(松本油脂製薬製、TB−34の1/1000希釈液)を塗布して熱転写受像シートを形成した。
上記の熱転写受像シートを、離型性フイルムの厚み部分を残して、図4bに示す形状にハーフカット処理して本発明の熱転写受像シートを得た。1画面のサイズは110×110mmであり、この1画面内には20×15mmの小さい区画が図示のように12個形成されている。
【0036】
実施例2
実施例1における離型シートとして、表面無処理の無延伸のポリプロピレンフイルム(商品名太閤FC、FA、二村化学製、厚み60μm)を使用した以外は実施例1と同様にして本発明のハーフカット熱転写受像シートを得た。
実施例3
実施例1における支持体(発泡ポリエチレンテレグタレート)に代えて、合成紙(商品名ユポFPU60、王子油化製、厚さ60μm)を使用した以外は実施例1と同様にして本発明のハーフカット熱転写受像シートを得た。
【0037】
実施例4
先ず、発泡ポリプロピレンフイルム(Mobil製、MW846、厚み35μm)の一方の表面に実施例1と同様にして同様の染料受容層を形成した。
次に上記発泡ポリプロピレンフイルムの染料受容層を形成してない面に、下記組成の接着剤を固形分塗工量3g/m2の割合で塗工し、その面にPETフイルム(東レ製、透明PET T−60、厚み25μm)を貼り合せた。
接着剤
ウレタン系樹脂(タケラックA−969V、武田薬品製) 30部
イソシアアネート硬化剤(タケネートA−5、武田薬品製) 10部
酢酸エチル 80部
【0038】
上記のように貼り合せたPETフイルムの露出表面に、下記組成の粘着剤を固形分塗工量15g/m2の割合で塗工し、温度70℃にて1分間の加熱乾燥を行なって粘着剤層を形成した。
粘着剤
アクリル共重合体(SKダイン1310L、綜研化学製) 48部
エポキシ樹脂(硬化剤E−AX、綜研化学製) 0.36部
酢酸エチル 51.64部
【0039】
別に表面無処理の二軸延伸ポリプロピレンフイルム(商品名パイレンP2156、東洋紡績製、厚み30μm)の一方の表面に前記の積層体の粘着剤層面を対向させてラミネートした。最後に、前記染料受容層面に帯電防止剤として、第4級アンモニウム塩化合物(松本油脂製薬製、TB−34の1/1000希釈液)を塗布して熱転写受像シートを形成した。
上記の熱転写受像シートを、離型性フイルムの厚み部分を残して、図4cに示す形状にハーフカット処理して本発明の熱転写受像シートを得た。1画面のサイズは110×110mmであり、この1画面内には20×15mmの小さい区画が図示のように12個形成されている。
【0040】
比較例1
実施例1において、ハーフカットを図5に示す形状の行ない、他は実施例1と同様にして比較例のハーフカット熱転写受像シートを得た。
比較例2
実施例2において、ハーフカットを図5に示す形状の行ない、他は実施例2と同様にして比較例のハーフカット熱転写受像シートを得た。
【0041】
イエロー、シアン及びマゼンタの3色の染料層を面順次に有する昇華熱転写シート(大日本印刷製)と前記の本発明及び比較例の熱転写受像シートとを、夫々の染料層と染料受容面とを対向させて重ね合せ、熱転写シートの裏面からヘッド印加電圧12.0V、パルス幅16msec.印画周期33.3msec、ドット密度6ドット/lineの条件でサーマルヘッドで記録を行い、熱転写受像シートの染料受容層にフルカラーの顔写真を形成した。得られた各画像の同一部分の黒色部分の反射濃度を測定したところ、下記表1の結果を得た。又、画質を目視にて評価したところ、下記表1の結果を得た。
【0042】
【0043】
【表1】
性能評価
【0044】
【効果】
以上の如き本発明によれば、前記の如き熱転写受像シートにおいて、離型シートを除く他の積層部分を任意の形状にハーフカットする際、該ハーフカットラインを浅い部分と深い部分とから構成することによって、熱転写プリンタにおいて画像形成する際に、ハーフカット領域の端部のめくれによるハーフカット領域の剥離がない熱転写受像シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の熱転写受像シートの平面を図解的に説明する図。
【図2】 図1のX−X拡大断面図。
【図3】 別の例の図1のX−X拡大断面図。
【図4】 ハーフカットラインのパターンの例を図解的に説明する図。
【図5】 従来技術のハーフカット熱転写受像シートを図解的に説明する図。
【図6】 図5のX−X拡大断面図。
【図7】 剥離した画像を他物品に貼着した状態を説明する図。
1:巻芯
2:画像
3:ハーフカットライン
4:粘着剤層
5:離型シート
6:支持体(発泡樹脂フイルム)
7:染料受容層
8:未発泡樹脂フイルム
9:発泡樹脂フイルム
10:接着剤層
11:物品
12:検知マーク
Claims (5)
- 少なくとも離型シートと、その離型面に形成した粘着剤層と、該粘着剤層とともに剥離可能な支持体と、その上に形成された染料受容層とからなる熱転写受像シートにおいて、離型シートを除く他の積層部分が、任意の形状にハーフカットされ、且つハーフカットラインが浅い部分と深い部分とからなり、浅いハーフカットラインが、ハーフカット領域の印字開始辺側及び/又は印字終了辺側に形成されており、上記浅いハーフカットラインのカット深さは、粘着剤層までは達しておらず、且つ染料受容層と支持体の少なくとも一部まで届いており、上記深いハーフカットラインは、粘着剤層の底部まで達していることを特徴とする熱転写受像シート。
- 支持体が、粘着剤層に接する未発泡の樹脂フイルムと染料受容層に接する発泡樹脂フイルムとの積層体とからなる請求項1に記載の熱転写受像シート。
- 離型シートが、表面無処理のポリオレフィン樹脂フイルムからなる請求項1に記載の熱転写受像シート。
- 表面無処理のポリオレフィン樹脂フイルムが、延伸又は無延伸のポリプロピレン樹脂フイルムである請求項3に記載の熱転写受像シート。
- 表面無処理のポリオレフィン樹脂フイルムと粘着剤層とのJIS Z0237準拠の180°による剥離強度が100〜1,700gである請求項3に記載の熱転写受像シート。
Priority Applications (1)
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