JP3808643B2 - アクリロニトリル系繊維束及びその製造方法 - Google Patents

アクリロニトリル系繊維束及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は航空機、スポーツ等のプレミアム用途、及び一般産業用途に使用される炭素繊維糸を製造するのに適したアクリロニトリル系繊維束に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
炭素繊維糸の需要はここ数年来増加傾向にあり、航空機、スポーツ等のプレミアム用途、土木建築等の一般産業用途等へと発展しており、現在では、10,000〜20,000デニールのアクリロニトリル系繊維束をフィラメントワインディング法で巻き取り、焼成工程を経て炭素繊維糸になし、この炭素繊維糸の数本を引き揃えてから成形に付している。
【0003】
しかしながら上記の方法では、焼成工程を経て炭素繊維糸を得た後にこの炭素繊維糸の数本を引き揃えているために、引き揃えた炭素繊維糸同士の間に間隙が生じ易く、炭素繊維糸の強度や弾性率の低下に繋がるという成形時の欠陥が生じるだけでなく、炭素繊維糸の複数本を引き揃える工程を採ることが、成形品を製作する際の手間の煩雑及びコスト高の要因になっている。
【0004】
近年では、炭素繊維糸の前駆体であるアクリロニトリル系繊維束のフィラメント数を増加させることによってこれらの問題点を解決し、さらなる低コストの炭素繊維糸にすることが試みられている。
【0005】
しかしながら、アクリロニトリル系繊維束のフィラメント数をいたずらに増加させることは、トウハンドリング及びトウボリュウームの増加に繋がり、既存装置では乾燥負荷が増大することから、紡糸速度を上げることが出来ない。又、トウボリュームの増加によって繊維束間でのマージングの問題も発生するために、製品の品質が著しく低下するという問題もある。
【0006】
このために、炭素繊維糸の前駆体として使用するのに好適なアクリロニトリル系繊維束としては、トータルデニール数が大きく、緻密性に優れていて乾燥負荷が小さく、しかも集束性に優れたものが必要である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明が解決しようとする課題は、トータルデニール数が大きく、緻密性に優れていて乾燥負荷が小さく、しかも集束性に優れていることから、炭素繊維糸の前駆体として使用するのに好適なアクリロニトリル系繊維束を提供することにある。
【0008】
又本発明が解決しようとする課題は、緻密性に優れていて乾燥負荷が小さく、しかも集束性に優れていることから、炭素繊維糸の前駆体として使用するのに好適なアクリロニトリル系繊維束を、容易かつ的確に得ることのできるアクリロニトリル系繊維束の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、以下に記載する本発明のアクリロニトリル系繊維束及びその製造方法によって解決される。
すなわち本発明は、95重量%以上のアクリロニトリルを含有するアクリロニトリル系重合体からなるトータルデニール30,000以上の繊維束であって、該繊維束の表面には、繊維束の長手方向に実質的に連続する高さ0.5〜1.0μmの皺が2〜15本存在しており、かつ該繊維束の繊維重量当たりのヨウ素吸着量が0.5〜1.5重量%の範囲にあるアクリロニトリル系繊維束からなる。
【0010】
又本発明のアクリロニトリル系繊維束の製造方法は、アクリロニトリル系重合体の有機溶剤溶液からなる紡糸原液を、アクリロニトリル系重合体に対する有機溶剤の濃度50〜70重量%、温度30〜50℃の有機溶剤水溶液からなる第1凝固浴中に吐出させて凝固糸にすると共に、該第1凝固浴中からこの凝固糸を、紡糸原液の吐出線速度の0.8倍以下の引き取り速度で引き取り、次いでアクリロニトリル系重合体に対する有機溶剤の濃度50〜70重量%、温度30〜50℃の有機溶剤水溶液からなる第2凝固浴中にて1.1〜3.0倍の延伸を施す工程からなるものである。
【0011】
上記の構成を備えてなる本発明のアクリロニトリル系繊維束の製造方法においては、第2凝固浴中にて1.1〜3.0倍の延伸を施した後の乾燥前の膨潤繊維束の膨潤度が70重量%以下であるようにすることが好ましい。
【0012】
更に又別の本発明の本発明のアクリロニトリル系繊維束の製造方法は、アクリロニトリル系重合体の有機溶剤溶液からなる紡糸原液を、アクリロニトリル系重合体に対する有機溶剤の濃度50〜70重量%、温度30〜50℃の有機溶剤水溶液からなる第1凝固浴中に吐出させて凝固糸にすると共に、該第1凝固浴中からこの凝固糸を、紡糸原液の吐出線速度の0.8倍以下の引き取り速度で引き取り、次いでアクリロニトリル系重合体に対する有機溶剤の濃度50〜70重量%、温度30〜50℃の有機溶剤水溶液からなる第2凝固浴中にて1.1〜3.0倍の延伸を施し、更に4倍以上の湿熱延伸を行なう工程からなるものである。
【0013】
上記の構成を備えてなる本発明のアクリロニトリル系繊維束の製造方法においては、湿熱延伸を施した後の乾燥前の膨潤繊維束の膨潤度が70重量%以下であるようにすることが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明のアクリロニトリル系繊維束及びその製造方法においては、アクリロニトリル系重合体として、アクリロニトリル95重量%以上を含有する重合体を使用する。このアクリロニトリル系重合体としては、アクリロニトリルの単独重合体または共重合体あるいはこれらの重合体の混合重合体を使用し得る。
【0015】
アクリロニトリル共重合体はアクリロニトリルと共重合しうる単量体とアクリロニトリルとの共重合生成物であり、アクリロニトリルと共重合しうる単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル類、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸等の酸類およびそれらの塩類、マレイン酸イミド、フェニルマレイミド、(メタ)アクリルアミド、スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、更にはスチレンスルホン酸ソーダ、アリルスルホン酸ソーダ、β−スチレンスルホン酸ソーダ、メタアリルスルホン酸ソーダ等のスルホン基を含む重合性不飽和単量体、2−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン等のピリジン基を含む重合性不飽和単量体等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0016】
単量体混合物を重合する方法としては、例えば水溶液におけるレドックス重合、不均一系における懸濁重合、分散剤を使用した乳化重合等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0017】
本発明のアクリロニトリル系繊維束は、トータルデニール30,000以上の繊維束であって、該繊維束の表面に繊維束の長手方向に実質的に連続する高さ0.5〜1.0μm皺を2〜15本有するものである。そして、該繊維束の表面に存在している前記高さ0.5〜1.0μmの2〜15本の皺の存在により、本発明のアクリロニトリル系繊維束は良好な収束性を具備し、かつ該繊維束を前駆体とする炭素繊維糸によるプリプレグを製造する際の良好な開繊性を具備するものになっている。
【0018】
アクリロニトリル系繊維束の表面に2〜15本の割合で存在する前記の皺は、その皺の高さが高くなり過ぎると、繊維束の表面積が増加して静電気が発生し易くなり、繊維束の集束性を低下させることになる。又この皺の高さが低いと、皺の存在に伴う良好な収束性と、該繊維束を前駆体とする炭素繊維糸によるプリプレグを製造する際の良好な開繊性とが得られなくなる。
【0019】
従って本発明のアクリロニトリル系繊維束にあっては、該アクリロニトリル系繊維束の表面に繊維束の長手方向に実質的に連続して存在する皺は、その高さが0.5〜1.0μmの皺であることが必要であり、皺の高さが0.6〜0.8μmであることがより好ましい。
【0020】
又、アクリロニトリル系繊維束の表面に該繊維束の長手方向に実質的に連続して存在する上記の高さ0.5〜1.0μmの皺は、その本数が多くなり過ぎると、繊維束の表面積が増加して静電気が発生し易くなり、繊維束の集束性を低下させる。又この皺の本数が少ないと、皺の存在に伴う良好な収束性と、該繊維束を前駆体とする炭素繊維糸によるプリプレグを製造する際の良好な開繊性とが得られなくなる。
【0021】
従ってアクリロニトリル系繊維束の表面には、該繊維束の長手方向に実質的に連続して存在する上記の高さ0.5〜1.0μmの皺は、トータルデニール30,000以上の繊維束に対して2〜15本であることが必要である。
【0022】
更に本発明のアクリロニトリル系繊維束は、繊維重量当たりのヨウ素吸着量が0.5〜1.5重量%であることが必要である。このヨウ素吸着量は、アクリロニトリル系繊維束の緻密度の尺度であり、特開昭63−85168号公報に説明されている下記のヨウ素吸着法に従って測定した値である。
【0023】
ヨウ素吸着量の測定方法
繊維長5〜7cmの乾燥試料の約0.5gを精秤して200mlの共栓付三角フラスコに採り、これにヨウ素溶液(I2 :51g、2,4−ジクロロフェノール:10g、酢酸:90g、ヨウ化カリウム100gを秤量し、1リットルのメスフラスコに移して、水で溶かして定量の1リットルにしたヨウ素溶液)100mlを加え、60±0.5℃で50分間振とうさせて、吸着処理を行なった後、ヨウ素を吸着した試料を流水中で30分間水洗し、更に遠心脱水(2000rpm×1分)を行なってから、素早く風乾し、これを精秤することによって得た重量増加から求める。
【0024】
ここで、上記のアクリロニトリル系繊維束の繊維重量当たりのヨウ素吸着量が0.5重量%未満であると、アクリロニトリル系繊維束の緻密度が高過ぎる、つまり繊維表面の緻密度が高く、繊維表面の形態が平滑なものになってしまい、好ましくない。又このヨウ素吸着量が1.5重量%を超えると、アクリロニトリル系繊維束の表面の緻密度が低過ぎるために、該アクリロニトリル系繊維束を得る際の乾燥負荷が大きく、紡糸速度を上げられないだけでなく、これを焼成して得られる炭素繊維糸の強度低下が激しくなる。
【0025】
従って本発明のアクリロニトリル系繊維束は、繊維重量当たりのヨウ素吸着量が0.5〜1.5重量%であることが必要であり、0.5〜1.0重量%であることがより好ましい。
【0026】
本発明のアクリロニトリル系繊維束は、上記の構成によってトータルデニール30,000(33,000dTex)以上のいわゆるラージトウであっても、良好な収束性を具備しており、しかも該繊維束による高密度焼成を行なうことが可能である。従って、本発明のアクリロニトリル系繊維束による高密度焼成を行なうことが可能であるという特性は、トータルデニール50,000以上の繊維束にすることによって十分に生かされる。
【0027】
更に本発明のアクリロニトリル系繊維束は、下記に示す測定方法によって測定した静電気帯電量が−1〜+1kVの範囲であることが、該アクリロニトリル系繊維束の収束性を高めておく点において好ましい。更に又上記の静電気帯電量が−0.5〜+0.5kVの範囲にあるときには、繊維束のばらけによる単繊維のダメージが少なく、これに伴う性能の低下がなく、安定した高品質のものになる。
【0028】
静電気帯電量の測定方法
表面にハードクロムメッキを施した鉄製の2台のニップローラを互いに60m離して設置し、このニップローラ間に測定の対象となるアクリロニトリル系繊維束を渡し、SHISHIDO ELECTOROSTATIC Ltd.社製のSTATIRON III のセンサー部を、巻き取り側のニップローラの手前10cmに、アクリロニトリル系繊維束から0.5cm離して設置する。
次いで、アクリロニトリル系繊維束を50m/分で走行させ、帯電圧の測定を開始し、該アクリロニトリル系繊維束の走行が安定して帯電圧が変動しなくなったときの帯電圧値を、アクリロニトリル系繊維束の静電気帯電量とする。
【0029】
更に本発明のアクリロニトリル系繊維束には、該繊維束の帯電圧値を適正な範囲内のものにしてその収束性を更に高めるために、油剤を付与してもよい。このときの油剤としては、シリコン系油剤、芳香族エステル系油剤、含硫黄脂肪族エステル系油剤等が挙げられる。なお、シリコン系油剤はアクリロニトリル系繊維束の収束性を高めるだけでなく、該アクリロニトリル系繊維束を焼成して得られる炭素繊維糸の強度弾性率の向上作用も果たす。
【0030】
本発明のアクリロニトリル系繊維束の製造方法は、アクリロニトリル系重合体の有機溶剤溶液からなる紡糸原液を、アクリロニトリル系重合体に対する有機溶剤の濃度50〜70重量%、温度30〜50℃の有機溶剤水溶液からなる第1凝固浴中に吐出させて凝固糸にすると共に、該第1凝固浴中からこの凝固糸を、紡糸原液の吐出線速度の0.8倍以下の引き取り速度で引き取り、次いでアクリロニトリル系重合体に対する有機溶剤の濃度50〜70重量%、温度30〜50℃の有機溶剤水溶液からなる第2凝固浴中にて1.1〜3.0倍の延伸を施す工程からなる。
【0031】
又、別の本発明のアクリロニトリル系繊維束の製造方法は、アクリロニトリル系重合体の有機溶剤溶液からなる紡糸原液を、アクリロニトリル系重合体に対する有機溶剤の濃度50〜70重量%、温度30〜50℃の有機溶剤水溶液からなる第1凝固浴中に吐出させて凝固糸にすると共に、該第1凝固浴中からこの凝固糸を、紡糸原液の吐出線速度の0.8倍以下の引き取り速度で引き取り、次いでアクリロニトリル系重合体に対する有機溶剤の濃度50〜70重量%、温度30〜50℃の有機溶剤水溶液からなる第2凝固浴中にて1.1〜3.0倍の延伸を施し、更に4倍以上の湿熱延伸を行なう工程からなる。
【0032】
上記の構成を備えてなる本発明のアクリロニトリル系繊維束の製造方法においては、アクリロニトリル系重合体を該アクリロニトリル系重合体に対する有機溶剤に溶解させた有機溶剤溶液を紡糸原液として使用する。
このときのアクリロニトリル系重合体に対する有機溶剤としては、例えばジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等を使用し得るが、特にジメチルアセトアミドによる紡糸原液にすることにより、溶剤の加水分解による紡糸原液の性状の悪化が少なく良好な紡糸性を有する紡糸原液になるだけでなく、アクリロニトリル系繊維束を焼成して得られる炭素繊維糸の性能が安定したものになる。
【0033】
紡糸原液を押し出すための紡糸口金には、アクリロニトリル系繊維束を得るときの紡糸の際の一般的な太さである1.0デニール(1.1dTex)程度のアクリル単繊維を製造する際の孔径、すなわち15〜100μmの孔径のノズル孔を有する紡糸口金を使用し得る。
【0034】
なお、本発明のアクリロニトリル系繊維束の製造方法においては、良好な紡糸性を維持するために、アクリロニトリル系重合体の有機溶剤溶液からなる紡糸原液を1凝固浴中に吐出させて凝固糸にすると共に、該第1凝固浴中からこの凝固糸を、紡糸原液の吐出線速度の0.8倍以下の引き取り速度で引き取る関係から、つまり「凝固糸の引き取り速度/ノズルからの紡糸原液の吐出線速度」を0.8以下にすることによって良好な紡糸性を維持させる関係から、15〜50μmの孔径のノズル孔を有する紡糸口金を使用することが好ましい。
【0035】
又、本発明のアクリロニトリル系繊維束の製造方法においては、得られるアクリロニトリル系繊維束の配向を高めるために、紡糸原液を紡糸口金から第1凝固浴中に吐出させて凝固糸にするときの第1凝固浴として、アクリロニトリル系重合体に対する有機溶剤の濃度50〜70重量%、温度30〜50℃の有機溶剤水溶液を使用し、しかも該第1凝固浴から引き取った凝固糸を、アクリロニトリル系重合体に対する有機溶剤の濃度50〜70重量%、温度30〜50℃の有機溶剤水溶液からなる第2凝固浴中にて1.1〜3.0倍の延伸に付すことが必要である。
【0036】
ここで、第1凝固浴と第2凝固浴の有機溶剤の濃度を同じにする、第1凝固浴と第2凝固浴の温度を同じにする、更には紡糸原液の有機溶剤と第1凝固浴に用いる有機溶剤と第2凝固浴に用いる有機溶剤とを同じものにする等の手段を採ることにより、得られる凝固糸の凝固が均一に行なえるようになり、又溶剤回収上でのメリットのあるものすることができる。従って、ジメチルアセトアミドによる紡糸原液、同じくジメチルアセトアミドを利用した第1凝固浴及び第2凝固浴を用いることが最も好ましい。
【0037】
なお、第1凝固浴から引取った凝固糸は、該凝固糸が含有する液体中の有機溶剤の濃度が、該第1凝固浴における有機溶剤の濃度を越えているので、凝固糸の表面だけが凝固した半凝固状態にある凝固糸を該第1凝固浴中から引取ることにより、次工程の第2凝固浴中での延伸性の良好な凝固糸になし得る。
【0038】
凝固液を含んだままの膨潤状態にある凝固糸は、空気中で延伸することも可能であるが、この凝固糸を上記のように第2凝固浴中で延伸する手段を採ることにより、凝固糸の凝固を促進させることができ、又延伸工程での温度制御が容易になる。
【0039】
第2凝固浴中での凝固糸の延伸を延伸倍率3倍を越え行なうと、単繊維切れが発生し易くなり、又延伸倍率1.1未満の延伸では第2凝固浴での延伸によるアクリロニトリル系繊維束の配向効果が得られない。
【0040】
第2凝固浴中での延伸を行なった後に更に湿熱延伸を行なう工程を採るときには、第2凝固浴中での延伸倍率を2.0倍以下にすることにより、湿熱延伸工程での延伸性を高めることができる。
【0041】
次いで、第2凝固浴中での延伸を終えた膨潤状態にある繊維束を、水洗した後に乾燥し、目的のアクリロニトリル系繊維束を得る。
或いは、第2凝固浴中での延伸を終えた膨潤状態にある繊維束を、繊維の配向を更に高めるために湿熱延伸に付した後、乾燥し、目的のアクリロニトリル系繊維束を得る。湿熱延伸は、第2凝固浴中での延伸を終えた膨潤状態にある繊維束を水洗に付しながらの延伸や、或いは生産性を向上させるために熱水中での延伸によって行なえる。
【0042】
第2凝固浴中での延伸を終えた膨潤状態にある繊維束は、これを乾燥後に延伸することも可能であるが、乾燥後に延伸する工程を採ると、静電気が発生しやすく集束性が著しく低下するので、トータルデニールが30,000以上のアクリロニトリル系繊維束を対象とする本発明のアクリロニトリル系繊維束を得る場合には、第2凝固浴中での延伸工程の後の延伸は、湿熱延伸を行なう本発明方法によるのが好ましい。
【0043】
すなわち、第2凝固浴中での延伸を終えた繊維束に更に延伸を行なう工程を採る本発明のアクリロニトリル系繊維束の製造方法においては、第2凝固浴中での延伸工程に続いて4倍以上の湿熱延伸を行なうものであり、これによって延伸工程に伴う集束性の著しい低下を起こすことがなく、しかも緻密化したアクリロニトリル系繊維束が得られる。
【0044】
更に本発明のアクリロニトリル系繊維束の製造方法においては、延伸を施した後の乾燥前の膨潤繊維束の膨潤度が70重量%以下であるようにすることが、該繊維束を前駆体とする炭素繊維糸を高性能炭素繊維糸になす点で好ましく、第1凝固浴中での凝固糸の製造の際の「凝固糸の引き取り速度/ノズルからの紡糸原液の吐出線速度」を下げることによって、第1凝固浴中での凝固糸の凝固を均一なものにし、これを第2凝固浴中にて延伸することにより、内部まで均一に配向した糸条にすることにより、延伸を施した後の乾燥前の膨潤繊維束の膨潤度が70重量%以下であるようにすることができる。
【0045】
すなわち、第1凝固浴中での凝固糸の製造の際の「凝固糸の引き取り速度/ノズルからの紡糸原液の吐出線速度」を高くすると、該第1凝固浴中での凝固糸の凝固と延伸とが同時に起こるために第1凝固浴中での凝固糸の凝固が不均一になる。従って、これを第2凝固浴中で延伸しても、延伸を施した後の乾燥前の膨潤繊維束の膨潤度の低い、つまり内部まで均一に配向した糸条にすることができない。
【0046】
なお、乾燥前の膨潤状態にある繊維束の膨潤度は、膨潤状態にある繊維束の付着液を遠心分離機(3000rpm、15分)によって除去した後の重量wと、これを110℃×2時間の熱風乾燥機で乾燥した後の重量w0 とにより、膨潤度(%)=(w−w0 )×100/w0 によって求めた数値である。
【0047】
本発明のアクリロニトリル系繊維束の製造方法においては、第2凝固浴中での延伸を行なった後、或いは第2凝固浴中での延伸とそれに続く湿熱延伸とを行なった後の繊維束を、公知の乾燥方法により乾燥することにより、目的とするアクリロニトリル系繊維束を得る。
【0048】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明のアクリロニトリル系繊維束及びその製造方法の具体的な構成を説明する。
実施例1
アクリロニトリル、アクリル酸メチル、メタクリル酸を過硫酸アンモニウム−亜硫酸水素アンモニウム、硫酸鉄を使用して水系懸濁重合により共重合し、アクリロニトリル単位/アクリル酸メチル単位/メタクリル酸単位=95/4/1(重量)からなるアクリロニトリル系共重合体を得た後、該共重合体をジメチルアセトアミドに溶解し、濃度21重量%の紡糸原液を調製した。
【0049】
この紡糸原液を孔数50,000、孔径60μmの紡糸口金を通して、温度35℃、濃度65重量%のジメチルアセトアミド水溶液からなる第1凝固浴中に吐出させて凝固糸にすると共に、該第1凝固浴中からこの凝固糸を、紡糸原液の吐出線速度の0.4倍の引き取り速度で引き取った後、引き続いて温度35℃、濃度65重量%のジメチルアセトアミド水溶液からなる第2凝固浴中にて1.2倍に延伸し、次いで水洗と同時に2.0倍の延伸を行ない、更に沸水中での2.5倍の延伸を行なった。
【0050】
しかる後に、オイリング、及び熱ロールでの乾燥を行ない、ワインダーで巻き取ることにより、単繊維繊度1.0デニール(1.1dtex)のアクリロニトリル系繊維束を得た。この時の最終紡糸速度は80m/分であった。
【0051】
得られたアクリロニトリル系繊維束の乾燥状態は良好であり、該アクリロニトリル系繊維束の表面には、繊維束の長手方向に実質的に連続する高さ1.0μmの皺が5本存在していた。
【0052】
又このアクリロニトリル系繊維束のヨウ素吸着量を測定したところ、繊維重量当たり1.0重量%であった。なお、湿熱延伸後のアクリロニトリル系繊維束の膨潤度は65重量%であった。更にこのアクリロニトリル系繊維束を焼成して得られた炭素繊維糸のストランド強度は400kg/mm2 であった。
【0053】
実施例2
実施例1で調製した紡糸原液を、孔数50,000、孔径45μmの紡糸口金を通して、温度35℃、濃度60重量%のジメチルアセトアミド水溶液からなる第1凝固浴中に吐出させて凝固糸にすると共に、該第1凝固浴中からこの凝固糸を、紡糸原液の吐出線速度の0.3倍の引き取り速度で引き取った後、引き続いて温度35℃、濃度70重量%のジメチルアセトアミド水溶液からなる第2凝固浴中にて1.2倍に延伸し、次いで水洗と同時に2.0倍の延伸を行ない、更に沸水中での2.5倍の延伸を行なった。
【0054】
しかる後に、オイリング、及び熱ロールでの乾燥を行ない、ワインダーで巻き取ることにより、単繊維繊度1.0デニール(1.1dtex)のアクリロニトリル系繊維束を得た。この時の最終紡糸速度は80m/分であった。
【0055】
得られたアクリロニトリル系繊維束の乾燥状態は良好であり、該アクリロニトリル系繊維束の表面には、繊維束の長手方向に実質的に連続する高さ0.8μmの皺が3本存在していた。
【0056】
又このアクリロニトリル系繊維束のヨウ素吸着量を測定したところ、繊維重量当たり0.8重量%であった。なお、湿熱延伸後のアクリロニトリル系繊維束の膨潤度は61重量%であった。更にこのアクリロニトリル系繊維束を焼成して得られた炭素繊維糸のストランド強度は410kg/mm2 であった。
【0057】
実施例3
アクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸を過硫酸アンモニウム−亜硫酸水素アンモニウム、硫酸鉄を使用して水系懸濁重合により重合し、アクリロニトリル単位/アクリル酸単位/メタクリル酸単位=96/2/2(重量)からなるアクリロニトリル系共重合体を得た後、該共重合体をジメチルアセトアミドに溶解し、濃度21重量%の紡糸原液を調製した。
【0058】
この紡糸原液を孔数50,000、孔径55μmの紡糸口金を通して、温度30℃、濃度65重量%のジメチルアセトアミド水溶液からなる第1凝固浴中に吐出させて凝固糸にすると共に、該第1凝固浴中からこの凝固糸を、紡糸原液の吐出線速度の0.3倍の引き取り速度で引き取った後、引き続いて温度35℃、濃度65重量%のジメチルアセトアミド水溶液からなる第2凝固浴中にて1.2倍に延伸し、次いで水洗と同時に2.0倍の延伸を行ない、更に沸水中での2.5倍の延伸を行なった。
【0059】
しかる後に、オイリング、及び熱ロールでの乾燥を行ない、ワインダーで巻き取ることにより、単繊維繊度1.0デニール(1.1dtex)のアクリロニトリル系繊維束を得た。この時の最終紡糸速度は80m/分であった。
【0060】
得られたアクリロニトリル系繊維束の乾燥状態は良好であり、該アクリロニトリル系繊維束の表面には、繊維束の長手方向に実質的に連続する高さ0.7μmの皺が4本存在していた。
【0061】
又このアクリロニトリル系繊維束のヨウ素吸着量を測定したところ、繊維重量当たり0.8重量%であった。なお、湿熱延伸後のアクリロニトリル系繊維束の膨潤度は61重量%であった。更にこのアクリロニトリル系繊維束を焼成して得られた炭素繊維糸のストランド強度は420kg/mm2 であった。
【0062】
実施例4
アクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸を過硫酸アンモニウム−亜硫酸水素アンモニウム、硫酸鉄を使用して水系懸濁重合により重合し、アクリロニトリル単位/アクリル酸単位/メタクリル酸単位=96/3/1(重量)からなるアクリロニトリル系共重合体を得た後、該共重合体をジメチルアセトアミドに溶解し、濃度21重量%の紡糸原液を調製した。
【0063】
この紡糸原液を孔数50,000、孔径45μmの紡糸口金を通して、温度35℃、濃度60重量%のジメチルアセトアミド水溶液からなる第1凝固浴中に吐出させて凝固糸にすると共に、該第1凝固浴中からこの凝固糸を、紡糸原液の吐出線速度の0.3倍の引き取り速度で引き取った後、引き続いて温度35℃、濃度60重量%のジメチルアセトアミド水溶液からなる第2凝固浴中にて2.0倍に延伸し、次いで水洗と同時に2.0倍の延伸を行ない、更に沸水中での2.5倍の延伸を行なった。
【0064】
しかる後に、オイリング、及び熱ロールでの乾燥を行ない、ワインダーで巻き取ることにより、単繊維繊度1.0デニール(1.1dtex)のアクリロニトリル系繊維束を得た。この時の最終紡糸速度は80m/分であった。
【0065】
得られたアクリロニトリル系繊維束の乾燥状態は良好であり、該アクリロニトリル系繊維束の表面には、繊維束の長手方向に実質的に連続する高さ0.7μmの皺が5本存在していた。
【0066】
又このアクリロニトリル系繊維束のヨウ素吸着量を測定したところ、繊維重量当たり0.7重量%であった。なお、湿熱延伸後のアクリロニトリル系繊維束の膨潤度は61重量%であった。更にこのアクリロニトリル系繊維束を焼成して得られた炭素繊維糸のストランド強度は420kg/mm2 であった。
【0067】
比較例1
実施例1に記載したアクリロニトリル系繊維束の製造工程におけると同じ方法で第1凝固浴から凝固糸を引き取った後に、第2凝固浴を用いずに大気中で1.2倍の延伸を行ない、更に水洗と同時に2.0倍の延伸を行ない、続いて沸水中での2.5倍の延伸を行ない、更に実施例1と同じオイリング、及び熱ロールでの乾燥を行ない、ワインダーで巻き取ることにより、単繊維繊度1.0デニール(1.1dtex)のアクリロニトリル系繊維束を得た。この時の最終紡糸速度は60m/分であった。
【0068】
得られたアクリロニトリル系繊維束の乾燥は不十分であり、該アクリロニトリル系繊維束の表面には、繊維束の長手方向に実質的に連続する高さ0.4μmの皺が8本存在していた。又このアクリロニトリル系繊維束を十分に乾燥した後に焼成して得られた炭素繊維糸のストランド強度は、380kg/mm2 であった。
【0069】
比較例2
実施例1に記載したアクリロニトリル系繊維束の製造工程におけると同じ方法で第1凝固浴から凝固糸を引き取った後に、第2凝固浴を用いずに、大気中で1.7倍の延伸を行ない、更に水洗と同時に1.4倍の延伸を行ない、続いて沸水中での2.5倍の延伸を行ない、更に実施例1と同じオイリング、及び熱ロールでの乾燥を行ない、ワインダーで巻き取ることにより、単繊維繊度1.0デニール(1.1dtex)のアクリロニトリル系繊維束を得た。この時の最終紡糸速度は60m/分であった。
【0070】
得られたアクリロニトリル系繊維束の表面には、繊維束の長手方向に実質的に連続する高さ0.4μmの皺が6本存在していた。又このアクリロニトリル系繊維束のヨウ素吸着量を測定したところ、繊維重量当たり2.0重量%であった。なお、湿熱延伸後のアクリロニトリル系繊維束の膨潤度は85重量%であった。更にこのアクリロニトリル系繊維束を焼成して得られた炭素繊維糸のストランド強度は390kg/mm2 であった。
【0071】
【発明の効果】
本発明のアクリロニトリル系繊維束は、トータルデニール30,000以上の繊維束であって、該繊維束の表面には繊維束の長手方向に実質的に連続する高さ0.5〜1.0μmの皺が2〜15本存在しており、かつ該繊維束の繊維重量当たりのヨウ素吸着量が0.5〜1.5重量%の範囲にあるので、集束性に優れており、しかも緻密性に優れていて乾燥負荷が小さい。
【0072】
このため、トータルデニール30,000以上の繊維束であっても、紡糸速度の低下がなく、効率よく製造し得る。
【0073】
又本発明のアクリロニトリル系繊維束はトータルデニール30,000以上の繊維束であるために、これを前駆体とする炭素繊維糸を成形に付す際には、炭素繊維糸の複数本を引き揃える工程を採る必要がなく、成形品を製作する際の手間の煩雑及びコスト高を解決することができる。
【0074】
更に本発明のアクリロニトリル系繊維束は、該繊維束の繊維重量当たりのヨウ素吸着量が0.5〜1.5重量%の範囲にあるので、これを焼成することによって強度の高い炭素繊維糸にすることができ、又該繊維束の表面に繊維束の長手方向に実質的に連続する高さ0.5〜1.0μmの皺が2〜15本存在しているので、上記の通り該アクリロニトリル系繊維束が優れた集束性を有しているだけでなく、これを前駆体とする炭素繊維糸によるプリプレグを製造する際の開繊性が良好である。
【0075】
又本発明のアクリロニトリル系繊維束の製造方法によれば、上記の緻密性に優れていて乾燥負荷が小さく、しかも集束性に優れていることから、炭素繊維糸の前駆体として使用するのに好適なアクリロニトリル系繊維束を、容易かつ的確に製造することができる。

Claims (4)

  1. 95重量%以上のアクリロニトリルを含有するアクリロニトリル系重合体からなるトータルデニール30,000以上の繊維束であって、該繊維束の表面には、繊維束の長手方向に実質的に連続する高さ0.5〜1.0μmの皺が2〜15本存在しており、かつ該繊維束の繊維重量当たりのヨウ素吸着量が0.5〜1.5重量%であることを特徴とするアクリロニトリル系繊維束。
  2. アクリロニトリル系重合体の有機溶剤溶液からなる紡糸原液を、アクリロニトリル系重合体に対する有機溶剤の濃度50〜70重量%、温度30〜50℃の有機溶剤水溶液からなる第1凝固浴中に吐出させて凝固糸にすると共に、該第1凝固浴中からこの凝固糸を、紡糸原液の吐出線速度の0.8倍以下の引き取り速度で引き取り、次いでアクリロニトリル系重合体に対する有機溶剤の濃度50〜70重量%、温度30〜50℃の有機溶剤水溶液からなる第2凝固浴中にて1.1〜3.0倍の延伸を施すことを特徴とするアクリロニトリル系繊維束の製造方法。
  3. アクリロニトリル系重合体の有機溶剤溶液からなる紡糸原液を、アクリロニトリル系重合体に対する有機溶剤の濃度50〜70重量%、温度30〜50℃の有機溶剤水溶液からなる第1凝固浴中に吐出させて凝固糸にすると共に、該第1凝固浴中からこの凝固糸を、紡糸原液の吐出線速度の0.8倍以下の引き取り速度で引き取り、次いでアクリロニトリル系重合体に対する有機溶剤の濃度50〜70重量%、温度30〜50℃の有機溶剤水溶液からなる第2凝固浴中にて1.1〜3.0倍の延伸を施し、更に4倍以上の湿熱延伸を行なうことを特徴とするアクリロニトリル系繊維束の製造方法。
  4. 請求項2又は請求項3に記載のアクリロニトリル系繊維束の製造方法において、延伸を施した後の乾燥前の膨潤繊維束の膨潤度が70重量%以下であることを特徴とするアクリロニトリル系繊維束の製造方法。
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