JP3808547B2 - 火葬炉の燃焼制御システム - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、火葬炉の燃焼制御システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、火葬作業の分野においては、作業員が火葬の進行状況を目視しつつ、燃焼具合、バーナーの角度及び炉内における台車の位置調整を、勘と経験に基づき調整し、不具合なく火葬を行われる様に制御しており、火葬の終了を判断する場合においても作業員の目視に頼っているのが実情である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の如く目視に頼っていたのでは、作業員の誤操作も起き得るのみならず、目視時において運悪く被燃焼体が破裂した場合には、高温となった物体が目に入る可能性もある。また、様々な物の燃焼により発生する煙に含まれるNOx、SO2 、CO、ダイオキシン等の削減が大きく叫ばれている現状にあって、その様な有害物質の発生抑止が困難であるという問題があった。
【0004】
本発明は上記実情に鑑みて成されたものであって、火葬炉において各種公害物質の排出量の低減と、完全自動運転化を実現し得る火葬炉の燃焼制御システムの提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する為に成された本発明による火葬炉の燃焼制御システムは、炉内に搬入された被燃焼体を、既設のバーナーにて焼却する火葬炉の燃焼制御システムにおいて、被燃焼体を含む炉内の状況を映像データとして取り込む映像入力装置を備え、時には被燃焼体が載置による炉床への荷重を検出する荷重検出装置をも兼ね備え、前記映像データから導いた被燃焼体の形状に関する時系列データや、時には前記炉床にかかる荷重の時系列データをも用い、残存する被燃焼体を焼くバーナーについて焼却に適した火炎の噴射方向及び燃料供給量を調節する制御装置を具備することを特徴とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による火葬炉の燃焼制御システムの実施の形態を図面に基づき説明する。
【0007】
本発明による火葬炉の燃焼制御システムは、被燃焼体1を含む炉内の状況を映像データとして取り込む映像入力装置2と、被燃焼体1を載せた台車5が載置された炉床にかかる荷重及びその分布を検出する荷重検出装置3と、前記映像データから導いた被燃焼体1の形状に関する時系列データ及び前記炉床にかかる荷重の時系列データより該被燃焼体1の残存位置、量及び質を推定し、該燃焼体を焼くバーナーについて火炎の噴射方向及び該火炎の放射範囲並びに該バーナーへの燃料供給量を調節する制御装置4を具備するものである。
【0008】
該火葬炉は、実際に火葬を行う主燃焼室6と、不完全燃焼の排気を完全に燃やす為の再燃焼室7とで構成され、前記主燃焼室6の炉床が、その下方における少なくとも3箇所以上に前後左右に満遍なく配設した荷重検出装置3たるロードセルによって担架され、且つ該主燃焼室6の内部を多角的に撮影すべく、後壁8に一機、左右側壁の後部にそれぞれ一機の映像入力装置2,2,2が主燃焼室6に設置されている。
【0009】
主燃焼室6と再燃焼室7それぞれの後壁8には、主燃バーナー10と再燃バーナー11が配設され、そのうち主燃バーナー10は、火炎の放射範囲を広めたり狭めたり調節でき、且つ放射方向を上下左右に揺動できる様に、例えば直交する2軸を以て支持されている他、各燃焼室7,8には炉内の温度を検出する為の温度センサー12及び炉内の圧力を検出する為の圧力センサー13が配設されている。
【0010】
前記荷重検出装置3、映像入力装置2、温度センサー12、圧力センサー13(以下、検出部と総称する。)は、中継ハブ14を介して制御装置4へ接続され、該制御装置4は、各バーナー10,11の火力並びに主燃バーナー10の姿勢の制御及び火葬炉の排気・給気系統におけるダンパーやポンプ(以下、作動部と総称する。)の制御を行う制御盤15に接続される。即ち、制御装置4は、各検出部の出力に基いて作動部の起動内容を定め、その旨を制御盤15へ送出する役割を果たし、制御盤15は、該制御内容を実行するに必要な電気信号を形成し、該電気信号を種々のアクチュエータへ送出する役割を果たすものである。
【0011】
本発明による火葬炉の燃焼制御システムは、特に、荷重検出装置3たるロードセルと映像入力装置2を検出部として備えており、前記映像データにおける被燃焼体1部分の面積又は体積の時間的推移及び炉床にかかる荷重の時間的推移より該被燃焼体1の残存部分の分布、量及び質を推定し、主燃バーナー10について火炎の噴射方向及び該火炎の放射範囲並びに主燃バーナー10への燃料供給量を制御装置4にて導出する。
【0012】
これら検出事項の推移の基準には、例えば、主燃焼室6の前段に設けられている前室(図示省略)に、主燃焼室6と同様の荷重検出装3置及び棺16の外観及び内部を映し出すCCDカメラやX線カメラを設け、それらによって検出した棺16の素材や表面材質、並びに、遺体の大きさ、副葬品の量、炉床にかかる荷重及びその重心位置や荷重分布を用いれば良い。これらは、前記の通り検出事項の推移を考察する基準になる他、点火時より有害物質の発生を抑えた適切な火力で燃焼を行う為の指標とも成る。これは、副葬品や遺体によっては燃焼状態が異なる為に、燃焼温度が異常に高温となれば、窒素酸化物の排出を促進するということが背景にある。
【0013】
棺16を載せた台車5が主燃焼室6へ送られると、先ず再燃焼室7の再燃バーナー11が点火され、主燃焼室6内が主燃バーナー10の点火が可能な温度に達するまで排気系統のダンパー17の開閉によって炉の内圧の調整が行われ、有害物質除去装置18によって有害物質に対応する薬品の噴霧及び触媒等の準備が行われる。
【0014】
主燃焼室6内が所定の温度に達すると、主燃バーナー10が点火され、本火葬炉の燃焼制御が開始される。火葬の分野においては、長年の経験則により培われた原則が存在し、該原則に基き予め登録されているシーケンスデータを以て作動部が制御され火葬が行われる。該シーケンスデータによる制御は、各バーナーの火力制御が主となる。前記原則に基く一般的な火力の推移を例として挙げると、主燃バーナー10は最初比較的弱い火力にて運転され、暫く(5分前後)経過した後にいわゆる中火に火力が上げられる。この様に火葬初期において主燃バーナー10の火力を比較的弱く設定するのは、前記の如く副葬品によっては大量の窒素酸化物の排出が予測できることから、該窒素酸化物の排出防止と炉内の異常加熱防止を図るためである。そして、更に5分前後経過した以降は主燃バーナー10を最も強い火力で燃焼させる。この時期に入ると高温で燃焼する部分や窒素酸化物を多く発生する部分はほとんど焼失し、後はほぼ均一な熱量を与えて燃焼を続ければ支障がないという経験則による。
【0015】
その間制御装置4は、主に主燃焼室6の温度センサー12による出力から燃焼温度を取得すると共に、荷重検出装置3、映像入力装置2、圧力センサー13等の各検出部からそれぞれのデータを取り込み、各々の時系列データを構築する。又、温度検出の都度、前記シーケンスデータと共に登録してある理想温度データと比較し、例えば、理想温度よりも現燃焼温度の方が高い場合は排気ダンパー17の開度を増し、現燃焼温度の方が低い場合は排気ダンパー17の開度を減ずるように制御する。
【0016】
前記の如く火力のシーケンス制御が成されたとしても、副葬品や遺体の燃焼状態が均一でないために炉内の温度が時折急上昇することが少なくないことや、異常な高温下での燃焼は窒素酸化物の排出を促進し燃費を悪化するのみならず、炉の耐用年数を短縮するといった悪影響があることに鑑み、単位時間中における燃焼温度の上昇量を周期的に取得しその上昇量が所定値を越えた場合には、前記シーケンス制御の処理に関わらず主燃バーナー10の火力を下げることもある。
【0017】
本火葬炉においては、例えば30秒毎に炉内における10秒間の温度変化をサンプリングし、炉内の温度がサンプリング中(10秒間)に20度以上上昇すると主燃バーナー10の火力を弱火に低下させ、続くサンプリング時において10秒間の温度上昇が20度未満となった時に主バーナー10の火力を前記シーケンス制御に基づく火力に戻すといった制御が行われている。
【0018】
これらの制御のみでも火葬における火力の一応の制御は成し得るが、被燃焼体1には燃えやすい物と燃えにくいものが存在する他、場合に因っては被燃焼体1が前後左右に場所を移動する場合もある。その場合、主燃バーナー10の噴出する火炎が被燃焼体1を適格に捕えていないと火力が無駄であるし、火力が大きくなった後にも窒素酸化物を多く排出する物体が残っていたのでは大気汚染防止という効果を奏し得ない。そこで本発明による燃焼制御システムは、主燃バーナー10の火炎を、図2の如く残った被燃焼体1へ適格に合わせ、且つその火力及び火の放射範囲をも調整すべく、前記荷重検出装置3及び映像入力装置2から検出したデータによる時系列データを用いて自動制御を行おうとするものである。
【0019】
即ち、映像のみから容易に把握できるものは残留する被燃焼体1の形状(投影面積又は体積)と分布が主であり、これらの時間的推移、更には、履歴データを蓄積しておくことによって、それらが燃えやすい質のものか或いは燃えにくい質のものかがある程度推測できるので、前記荷重検出装置は必須の構成要素ではない。しかしながら、映像と荷重分布及び総荷重等を関連させることによって、被燃焼体1の部分的な比重が推定できるのみならず、時系列データとすることにより、それらが燃えやすい質のものか或いは燃えにくい質のものかが更に正確に認定できる。
【0020】
これらの情報から窒素酸化物を多量に排出するものであると判断すれば、主燃バーナー10をその対象に向け且つ燃焼初期と同様に火力を下げ、更にそれが広範囲に亘って存在すれば、主燃バーナー10の火炎の放射範囲を広げてやる。逆に、それらが窒素酸化物を多く排出しないものであると判断した場合には、主燃バーナー10をその対象に向け且つ燃焼後期と同様に火力を上げ、更にそれが広範囲に亘って存在すれば、主燃バーナー10の火炎の放射範囲を広げてやる。後は、残留する被燃焼体1の分布状態に伴って火炎の噴射角度や放射範囲を変えていけば良い。その際にも前記温度センサー12による制御が行われているので、急激な温度変化等を加味した極めて確実な燃焼制御が行われることとなる。
【0021】
主燃バーナー10を炉内の所定ポイントに向ける手段としては、例えば、各映像入力装置2,2,2で映し出された主燃焼室6の内部空間を3次元座標系で定義し、残留する被燃焼体1を3次元方程式で定義された曲線の集合たるワイヤーフレームにて表現した上で、その分布状況に応じて主燃バーナー10を指向せしめるポイントの座標を算出し、且つ各軸の回転させるべき角度を導出し、主燃バーナー10を支持する2本の直交軸を駆動するサーボモーター等に対し、その旨のデータを送出するなどの手段を採れば良い。主燃バーナー10の指向角度の関係で、主燃バーナー10と被燃焼体1間の距離が遠くなる場合には、制御の一部に、例えば図2(ハ)の如く台車5を前後へ自動的に移動せしめる部分を構築しておけば、より燃費の良い火葬が可能となる。台車5を駆動する具体的手段としては、主燃焼室6の後壁8から該台車5に連結するアームを伸縮するなどの方法がある。
【0022】
該火葬炉における燃焼をより効率的なものとする為には、様々な場合について最適な理想データを設定することは勿論、理想データと比較するタイミングや単位時間あたりの温度上昇量検出のタイミングも用途に最も適したものとすることが望ましい。その際、一定間隔で理想データと比較しても良いし、不要な比較行程を割愛し、各検出部毎に異なる要所を抜粋して比較を行うなどの手法が考えられ、制御の目的と成り得る排気・給気系統のダンパーの開度や、主バーナーの火力の段階数についてもより細かく変更すれば良い。一方、より簡易な構成とするには、前記シーケンス制御や、単位時間の温度変化による制御を絡めずに映像のみによる制御や、映像と荷重のみを関連させた制御も可能であり、火葬炉の仕様等に応じて映像による制御と他の制御方法とを適宜絡めて構築することが肝要である。
【0023】
【発明の効果】
以上の如く本発明による火葬炉の燃焼制御システムを使用すれば、被燃焼物の大小或いは多少又は質によって火葬時間が平均(30分前後)から大きく隔たったとしても、映像と荷重を検出することで焼却の終了時を確実に認識する他、適性な火力、適性な向き、適性な火炎の放射範囲で緻密な燃焼制御を行うことができる為、焼却時の燃料を効率良く利用できることはもとより、大気中に排出する有害物質の量も大幅に減少させることができる。そして、制御のほとんど全てがディジタルデータで管理されることによって、無人化はもとより、遠隔管理システム化へも極めて容易に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による火葬炉の燃焼制御システムの一例を示すブロック図である。
【図2】(イ)(ロ)(ハ)本発明による火葬炉の燃焼制御システムによる被燃焼体の火葬状況の推移と主燃バーナーの向きとの関係を示す説明図である。
【符号の説明】
1 被燃焼体
2 映像入力装置
3 荷重検出装置
4 制御装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、火葬炉の燃焼制御システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、火葬作業の分野においては、作業員が火葬の進行状況を目視しつつ、燃焼具合、バーナーの角度及び炉内における台車の位置調整を、勘と経験に基づき調整し、不具合なく火葬を行われる様に制御しており、火葬の終了を判断する場合においても作業員の目視に頼っているのが実情である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の如く目視に頼っていたのでは、作業員の誤操作も起き得るのみならず、目視時において運悪く被燃焼体が破裂した場合には、高温となった物体が目に入る可能性もある。また、様々な物の燃焼により発生する煙に含まれるNOx、SO2 、CO、ダイオキシン等の削減が大きく叫ばれている現状にあって、その様な有害物質の発生抑止が困難であるという問題があった。
【0004】
本発明は上記実情に鑑みて成されたものであって、火葬炉において各種公害物質の排出量の低減と、完全自動運転化を実現し得る火葬炉の燃焼制御システムの提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する為に成された本発明による火葬炉の燃焼制御システムは、炉内に搬入された被燃焼体を、既設のバーナーにて焼却する火葬炉の燃焼制御システムにおいて、被燃焼体を含む炉内の状況を映像データとして取り込む映像入力装置を備え、時には被燃焼体が載置による炉床への荷重を検出する荷重検出装置をも兼ね備え、前記映像データから導いた被燃焼体の形状に関する時系列データや、時には前記炉床にかかる荷重の時系列データをも用い、残存する被燃焼体を焼くバーナーについて焼却に適した火炎の噴射方向及び燃料供給量を調節する制御装置を具備することを特徴とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による火葬炉の燃焼制御システムの実施の形態を図面に基づき説明する。
【0007】
本発明による火葬炉の燃焼制御システムは、被燃焼体1を含む炉内の状況を映像データとして取り込む映像入力装置2と、被燃焼体1を載せた台車5が載置された炉床にかかる荷重及びその分布を検出する荷重検出装置3と、前記映像データから導いた被燃焼体1の形状に関する時系列データ及び前記炉床にかかる荷重の時系列データより該被燃焼体1の残存位置、量及び質を推定し、該燃焼体を焼くバーナーについて火炎の噴射方向及び該火炎の放射範囲並びに該バーナーへの燃料供給量を調節する制御装置4を具備するものである。
【0008】
該火葬炉は、実際に火葬を行う主燃焼室6と、不完全燃焼の排気を完全に燃やす為の再燃焼室7とで構成され、前記主燃焼室6の炉床が、その下方における少なくとも3箇所以上に前後左右に満遍なく配設した荷重検出装置3たるロードセルによって担架され、且つ該主燃焼室6の内部を多角的に撮影すべく、後壁8に一機、左右側壁の後部にそれぞれ一機の映像入力装置2,2,2が主燃焼室6に設置されている。
【0009】
主燃焼室6と再燃焼室7それぞれの後壁8には、主燃バーナー10と再燃バーナー11が配設され、そのうち主燃バーナー10は、火炎の放射範囲を広めたり狭めたり調節でき、且つ放射方向を上下左右に揺動できる様に、例えば直交する2軸を以て支持されている他、各燃焼室7,8には炉内の温度を検出する為の温度センサー12及び炉内の圧力を検出する為の圧力センサー13が配設されている。
【0010】
前記荷重検出装置3、映像入力装置2、温度センサー12、圧力センサー13(以下、検出部と総称する。)は、中継ハブ14を介して制御装置4へ接続され、該制御装置4は、各バーナー10,11の火力並びに主燃バーナー10の姿勢の制御及び火葬炉の排気・給気系統におけるダンパーやポンプ(以下、作動部と総称する。)の制御を行う制御盤15に接続される。即ち、制御装置4は、各検出部の出力に基いて作動部の起動内容を定め、その旨を制御盤15へ送出する役割を果たし、制御盤15は、該制御内容を実行するに必要な電気信号を形成し、該電気信号を種々のアクチュエータへ送出する役割を果たすものである。
【0011】
本発明による火葬炉の燃焼制御システムは、特に、荷重検出装置3たるロードセルと映像入力装置2を検出部として備えており、前記映像データにおける被燃焼体1部分の面積又は体積の時間的推移及び炉床にかかる荷重の時間的推移より該被燃焼体1の残存部分の分布、量及び質を推定し、主燃バーナー10について火炎の噴射方向及び該火炎の放射範囲並びに主燃バーナー10への燃料供給量を制御装置4にて導出する。
【0012】
これら検出事項の推移の基準には、例えば、主燃焼室6の前段に設けられている前室(図示省略)に、主燃焼室6と同様の荷重検出装3置及び棺16の外観及び内部を映し出すCCDカメラやX線カメラを設け、それらによって検出した棺16の素材や表面材質、並びに、遺体の大きさ、副葬品の量、炉床にかかる荷重及びその重心位置や荷重分布を用いれば良い。これらは、前記の通り検出事項の推移を考察する基準になる他、点火時より有害物質の発生を抑えた適切な火力で燃焼を行う為の指標とも成る。これは、副葬品や遺体によっては燃焼状態が異なる為に、燃焼温度が異常に高温となれば、窒素酸化物の排出を促進するということが背景にある。
【0013】
棺16を載せた台車5が主燃焼室6へ送られると、先ず再燃焼室7の再燃バーナー11が点火され、主燃焼室6内が主燃バーナー10の点火が可能な温度に達するまで排気系統のダンパー17の開閉によって炉の内圧の調整が行われ、有害物質除去装置18によって有害物質に対応する薬品の噴霧及び触媒等の準備が行われる。
【0014】
主燃焼室6内が所定の温度に達すると、主燃バーナー10が点火され、本火葬炉の燃焼制御が開始される。火葬の分野においては、長年の経験則により培われた原則が存在し、該原則に基き予め登録されているシーケンスデータを以て作動部が制御され火葬が行われる。該シーケンスデータによる制御は、各バーナーの火力制御が主となる。前記原則に基く一般的な火力の推移を例として挙げると、主燃バーナー10は最初比較的弱い火力にて運転され、暫く(5分前後)経過した後にいわゆる中火に火力が上げられる。この様に火葬初期において主燃バーナー10の火力を比較的弱く設定するのは、前記の如く副葬品によっては大量の窒素酸化物の排出が予測できることから、該窒素酸化物の排出防止と炉内の異常加熱防止を図るためである。そして、更に5分前後経過した以降は主燃バーナー10を最も強い火力で燃焼させる。この時期に入ると高温で燃焼する部分や窒素酸化物を多く発生する部分はほとんど焼失し、後はほぼ均一な熱量を与えて燃焼を続ければ支障がないという経験則による。
【0015】
その間制御装置4は、主に主燃焼室6の温度センサー12による出力から燃焼温度を取得すると共に、荷重検出装置3、映像入力装置2、圧力センサー13等の各検出部からそれぞれのデータを取り込み、各々の時系列データを構築する。又、温度検出の都度、前記シーケンスデータと共に登録してある理想温度データと比較し、例えば、理想温度よりも現燃焼温度の方が高い場合は排気ダンパー17の開度を増し、現燃焼温度の方が低い場合は排気ダンパー17の開度を減ずるように制御する。
【0016】
前記の如く火力のシーケンス制御が成されたとしても、副葬品や遺体の燃焼状態が均一でないために炉内の温度が時折急上昇することが少なくないことや、異常な高温下での燃焼は窒素酸化物の排出を促進し燃費を悪化するのみならず、炉の耐用年数を短縮するといった悪影響があることに鑑み、単位時間中における燃焼温度の上昇量を周期的に取得しその上昇量が所定値を越えた場合には、前記シーケンス制御の処理に関わらず主燃バーナー10の火力を下げることもある。
【0017】
本火葬炉においては、例えば30秒毎に炉内における10秒間の温度変化をサンプリングし、炉内の温度がサンプリング中(10秒間)に20度以上上昇すると主燃バーナー10の火力を弱火に低下させ、続くサンプリング時において10秒間の温度上昇が20度未満となった時に主バーナー10の火力を前記シーケンス制御に基づく火力に戻すといった制御が行われている。
【0018】
これらの制御のみでも火葬における火力の一応の制御は成し得るが、被燃焼体1には燃えやすい物と燃えにくいものが存在する他、場合に因っては被燃焼体1が前後左右に場所を移動する場合もある。その場合、主燃バーナー10の噴出する火炎が被燃焼体1を適格に捕えていないと火力が無駄であるし、火力が大きくなった後にも窒素酸化物を多く排出する物体が残っていたのでは大気汚染防止という効果を奏し得ない。そこで本発明による燃焼制御システムは、主燃バーナー10の火炎を、図2の如く残った被燃焼体1へ適格に合わせ、且つその火力及び火の放射範囲をも調整すべく、前記荷重検出装置3及び映像入力装置2から検出したデータによる時系列データを用いて自動制御を行おうとするものである。
【0019】
即ち、映像のみから容易に把握できるものは残留する被燃焼体1の形状(投影面積又は体積)と分布が主であり、これらの時間的推移、更には、履歴データを蓄積しておくことによって、それらが燃えやすい質のものか或いは燃えにくい質のものかがある程度推測できるので、前記荷重検出装置は必須の構成要素ではない。しかしながら、映像と荷重分布及び総荷重等を関連させることによって、被燃焼体1の部分的な比重が推定できるのみならず、時系列データとすることにより、それらが燃えやすい質のものか或いは燃えにくい質のものかが更に正確に認定できる。
【0020】
これらの情報から窒素酸化物を多量に排出するものであると判断すれば、主燃バーナー10をその対象に向け且つ燃焼初期と同様に火力を下げ、更にそれが広範囲に亘って存在すれば、主燃バーナー10の火炎の放射範囲を広げてやる。逆に、それらが窒素酸化物を多く排出しないものであると判断した場合には、主燃バーナー10をその対象に向け且つ燃焼後期と同様に火力を上げ、更にそれが広範囲に亘って存在すれば、主燃バーナー10の火炎の放射範囲を広げてやる。後は、残留する被燃焼体1の分布状態に伴って火炎の噴射角度や放射範囲を変えていけば良い。その際にも前記温度センサー12による制御が行われているので、急激な温度変化等を加味した極めて確実な燃焼制御が行われることとなる。
【0021】
主燃バーナー10を炉内の所定ポイントに向ける手段としては、例えば、各映像入力装置2,2,2で映し出された主燃焼室6の内部空間を3次元座標系で定義し、残留する被燃焼体1を3次元方程式で定義された曲線の集合たるワイヤーフレームにて表現した上で、その分布状況に応じて主燃バーナー10を指向せしめるポイントの座標を算出し、且つ各軸の回転させるべき角度を導出し、主燃バーナー10を支持する2本の直交軸を駆動するサーボモーター等に対し、その旨のデータを送出するなどの手段を採れば良い。主燃バーナー10の指向角度の関係で、主燃バーナー10と被燃焼体1間の距離が遠くなる場合には、制御の一部に、例えば図2(ハ)の如く台車5を前後へ自動的に移動せしめる部分を構築しておけば、より燃費の良い火葬が可能となる。台車5を駆動する具体的手段としては、主燃焼室6の後壁8から該台車5に連結するアームを伸縮するなどの方法がある。
【0022】
該火葬炉における燃焼をより効率的なものとする為には、様々な場合について最適な理想データを設定することは勿論、理想データと比較するタイミングや単位時間あたりの温度上昇量検出のタイミングも用途に最も適したものとすることが望ましい。その際、一定間隔で理想データと比較しても良いし、不要な比較行程を割愛し、各検出部毎に異なる要所を抜粋して比較を行うなどの手法が考えられ、制御の目的と成り得る排気・給気系統のダンパーの開度や、主バーナーの火力の段階数についてもより細かく変更すれば良い。一方、より簡易な構成とするには、前記シーケンス制御や、単位時間の温度変化による制御を絡めずに映像のみによる制御や、映像と荷重のみを関連させた制御も可能であり、火葬炉の仕様等に応じて映像による制御と他の制御方法とを適宜絡めて構築することが肝要である。
【0023】
【発明の効果】
以上の如く本発明による火葬炉の燃焼制御システムを使用すれば、被燃焼物の大小或いは多少又は質によって火葬時間が平均(30分前後)から大きく隔たったとしても、映像と荷重を検出することで焼却の終了時を確実に認識する他、適性な火力、適性な向き、適性な火炎の放射範囲で緻密な燃焼制御を行うことができる為、焼却時の燃料を効率良く利用できることはもとより、大気中に排出する有害物質の量も大幅に減少させることができる。そして、制御のほとんど全てがディジタルデータで管理されることによって、無人化はもとより、遠隔管理システム化へも極めて容易に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による火葬炉の燃焼制御システムの一例を示すブロック図である。
【図2】(イ)(ロ)(ハ)本発明による火葬炉の燃焼制御システムによる被燃焼体の火葬状況の推移と主燃バーナーの向きとの関係を示す説明図である。
【符号の説明】
1 被燃焼体
2 映像入力装置
3 荷重検出装置
4 制御装置
Claims (2)
- 炉内に搬入された被燃焼体(1)を、既設のバーナーにて焼却する火葬炉の燃焼制御システムにおいて、被燃焼体(1)を含む炉内の状況を映像データとして取り込む映像入力装置(2)と、前記映像データから導いた被燃焼体(1)の形状に関する時系列データを用い残存する被燃焼体(1)を焼くバーナーについて焼却に適した火炎の噴射方向と燃料供給量の少なくとも一方を調節する制御装置(4)を具備することを特徴とする火葬炉の燃焼制御システム。
- 炉内に搬入された被燃焼体(1)を、既設のバーナーにて焼却する火葬炉の燃焼制御システムにおいて、被燃焼体(1)を含む炉内の状況を映像データとして取り込む映像入力装置(2)と、被燃焼体(1)が載置による炉床への荷重を検出する荷重検出装置(3)と、前記映像データから導いた被燃焼体(1)の形状に関する時系列データ及び前記炉床にかかる荷重の時系列データを用い残存する被燃焼体(1)を焼くバーナーについて焼却に適した火炎の噴射方向と燃料供給量の少なくとも一方を調節する制御装置(4)を具備することを特徴とする火葬炉の燃焼制御システム。
Priority Applications (1)
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JP18229796A JP3808547B2 (ja) | 1996-07-11 | 1996-07-11 | 火葬炉の燃焼制御システム |
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