JP3807462B2 - 帯電制御剤およびそれを含有する静電荷像現像用トナー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、帯電制御剤およびそれを含有する静電荷像現像用トナーに関し、さらに詳しくは、負帯電安定性に優れ、且つ耐久印刷時の帯電量変動による画質低下が少ない現像剤の提供に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電子写真装置や静電記録装置等の画像形成装置において形成される静電潜像は、先ず、現像剤により現像され、次いで、現像された画像は、必要に応じて紙等の転写材上に転写された後、加熱、加圧、溶剤蒸気など種々の方式により定着される。
【0003】
画像形成装置によって形成される画像は、年々、その精細さへの要求が高くなってきている。該装置に用いる現像剤は、従来、着色剤などを含有する樹脂を溶融し、粉砕し、分級して得る粉砕法現像剤が主流であったが、粒径コントロールが容易で、分級などの煩雑な製造工程を経なくても済むと言われている重合法現像剤が注目されるようになってきている。
【0004】
非磁性一成分負帯電重合法現像剤として、特開昭56−35142号公報には負電荷を有するクロム錯体有機染料をトナー用の重合性単量体に加え、懸濁重合する方法が提案されているが、この染料自身が着色しており、カラー用のトナーの帯電制御剤としては使用できなかった。特開平01−217464号公報には重合性単量体とスルホン酸塩含有重合性単量体を共重合して極性ポリマーを得て、この極性ポリマー存在下でトナー用の重合性単量体と着色剤を懸濁重合する方法が提案されているが、このような方式で製造したトナーは帯電安定性に欠けており、非磁性一成分のごときスリーブやブレードからの摩擦帯電による現像方式では現像剤に十分な帯電能力が得られず、カブリが発生するという欠点があった。特開平3−243954号公報には、同様にアクリルアミドスルホン酸含有の共重合体存在下に懸濁重合しトナーを得る方法が提案されているが、当該現像剤では、帯電量が小さく印字濃度が低く、また、アクリルアミドスルホン酸含有共重合体の重量平均分子量が低いために、現像剤を紙に定着する際熱定着ローラに現像剤が付着し紙詰まりが発生するという問題点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
かかる従来技術のもと、本発明者らは、耐オフセット性に優れ、低温で定着し、良好な保存性を有し負帯電安定性に優れ、且つ耐久印刷時の帯電量変動による画質低下が少ないトナーを得るべく鋭意研究した結果、エポキシ構造と含硫黄またはリン構造とを有する重合体を帯電制御剤として用いたトナーが、これらの性能を有することを見いだし、この知見に基づいて、本発明を完成するに到った。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かくして本発明によれば、エポキシ構造と、含硫黄構造または含リン構造とを有する重合体からなる帯電制御剤、及び当該帯電制御性重合体を含有する静電荷像現像用トナー、好ましくはエポキシ構造と、硫酸エステル構造またはリン酸エステル構造とを有する重合体からなる帯電制御剤、及び当該帯電制御性重合体を含有する静電荷像現像用トナー、より好ましくはエポキシ基を有する重合性単量体及び必要に応じてこれと共重合可能な他の重合性単量体を、硫黄またはリンを含む過酸由来の構造を有するラジカル発生剤の存在下に重合して得られたエポキシ構造と、硫酸エステル構造またはリン酸エステル構造とを有する重合体からなる帯電制御剤、及び当該帯電制御性重合体を含有する静電荷像現像用トナーが提供される。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳述する。
(帯電制御剤)
本発明の帯電制御剤は、エポキシ構造と、含硫黄構造または含リン構造とを有する重合体である。含硫黄構造の具体例としては、硫酸エステル構造、スルホン酸構造、スルホン酸塩構造などがあり、含リン構造の具体例としては、リン酸エステル構造、ホスホン酸構造、ホスホン酸塩構造などが挙げられる。
以下、本発明において、これらは、まとめて単に酸由来構造群ということがあり、硫酸エステル構造とリン酸エステル構造とをまとめてエステル構造ということがある。また、スルホン酸構造とスルホン酸塩構造をまとめてスルホン酸(塩)構造ということがあり、ホスホン酸構造とホスホン酸塩構造をまとめてホスホン酸(塩)構造ということがある。 本発明において、特に好ましい含硫黄構造または含リン構造としては、硫酸エステル構造、リン酸エステル構造が挙げられる。
【0008】
エポキシ構造の割合は、単位重量当たりの分子量43のエポキシ基として算出される割合で、通常0.15〜10重量%、好ましくは0.5〜7重量%、より好ましくは0.5〜5重量%である。同様に、含硫黄構造および/または含リン構造の含有割合は、重合体中の含硫黄または含リン官能基例えば、−OSO3H、−SO3H、−OPO3H、−PO3Hなど)として算出される割合で、通常0.1〜4重量%、好ましくは0.2〜2重量%、より好ましくは0.3〜1重量%である。
エポキシ構造の割合が多すぎると自己架橋反応を起してゲル化し、モノマー不溶になるので、均一な帯電性が得られなくなるという問題があり、逆に少なすぎると安定した負帯電が得られず、また、硫酸エステル構造やリン酸エステル構造を後述するラジカル重合開始剤を用いて導入する方法を行う場合、これらの構造が必要量導入できないので帯電量を充分に上げることができず、良好な画像が得られない。
また、含硫黄構造および/または含リン構造の割合が多すぎると環境安定性が低下する傾向にあり、逆に少なすぎると帯電量を充分に上げることができないという問題がある。
【0009】
なお樹脂中のエポキシ構造含量は、エポキシ基を酸により開環させ、アルカリで滴定させ、酸の消費量から定量させて測定され、含硫黄構造および/または含リン構造の含量は、例えば、硫酸エステル構造およびスルホン酸(塩)構造の含量であれば、これらの総和として試料を酸素中で燃焼させ、燃焼ガスを蒸留水に吸収させ、イオンクロマトグラフィーで定量させて算出され、リン酸エステル構造含量、ホスホン酸(塩)構造含量であれば、それぞれNMR分析により算出される。なお、スルホン酸(塩)構造と硫酸エステル構造とが共存する樹脂においては、前述の方法により硫酸エステル構造とスルホン酸(塩)構造の含量の総和として測定された値から、次の方法により算出された硫酸エステル構造含量を差し引くことによって、スルホン酸(塩)構造含量が測定される。硫酸エステル構造含量は、試料を熱水で煮沸すると硫酸エステル構造は加水分解して水中に硫酸イオンが溶解するが、スルホン酸(塩)構造は、熱水での煮沸によって加水分解しない性質を利用し、ここで溶解した硫酸イオンをイオンクロマトグラフィーで定量され、その含量が算出される。
【0010】
このような重合体の製造方法は特に限定されないが、例えば、エステル構造を導入する方法としては、エポキシ構造を有する重合性単量体及び必要に応じてこれと共重合可能な他の重合性単量体を、硫黄またはリンを含む過酸に由来する構造を有するラジカル発生剤の存在下に重合して得る方法が、末端以外にもエステル構造を導入するのが容易な点から好ましい例として例示される。
このほかの製造方法としては、エポキシ構造を有する重合性単量体に、硫黄またはリンを含む強酸のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩を付加させた反応混合物を、エポキシ構造を有する重合性単量体と重合可能な他の単量体と重合させる方法、エポキシ構造を有する重合性単量体、硫黄またはリンを含む強酸のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩を有する単量体、及び必要に応じてこれらと共重合可能な単量体を共重合させる方法などが挙げられる。
また、エポキシ構造を有する重合性単量体、硫酸エステル構造、リン酸エステル構造、スルホン酸(塩)構造、またはホスホン酸(塩)構造を含む重合性単量体及び必要に応じてこれと共重合可能な他の重合性単量体を、常法に従って、例えばラジカル発生剤存在下に重合して、本発明の帯電制御剤となる重合体を得る方法も挙げられる。この方法は、特にスルホン酸(塩)構造やホスホン酸(塩)構造を導入する方法としては、簡便である。
【0011】
エポキシ構造を有する重合性単量体の具体例としては、アリルグリシジルエーテル、メタリルグリシジルエーテル等の不飽和アルコールのグリシジルエーテル類、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジル−p−ビニルベンゾエート、メチルグリシジルイタコネート、グリシジルエチルマレート、グリシジルビニルスルホネートなどの不飽和酸のグリシジルエステル類、ブタジエンモノオキサイド、ビニルシクロヘキセンモノオキサイド、2−メチル−5,6−エポキシヘキセンなどのエポキシドオレフィン類などが挙げられる。これらは1種類または2種類以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも不飽和アルコールのグリシジルエーテル類、不飽和酸のグリシジルエステル類などが共重合反応性が高い点から好ましい。
【0012】
このようなエポキシ構造を有する重合性単量体と共重合可能な単量体としては塩化ビニル、弗化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類;メチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;塩化ビニリデン、弗化ビニリデンなどのハロゲン化ビニリデン類;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸;無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸無水物;マレイン酸ジエチル、マレイン酸ブチル、マレイン酸−ジ−2−ヒドロキシエチル、イタコン酸ジメチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピルなどの不飽和カルボン酸エステル類;エチレン、プロピレンなどのオレフィン類;アリルアルコール、3−ブテン−1−オールなどの不飽和アルコール;(メタ)アクリロニトリルなどの不飽和ニトリル;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンなどの芳香族ビニル類などが挙げられる。これらは1種類または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
これらのなかでも、ハロゲン化ビニル類、カルボン酸ビニルエステル類、ハロゲン化ビニリデン類、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸エステル類、芳香族ビニル類が好ましく、特に、塩化ビニル、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、アクリル酸、メタクリル酸、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2エチルヘキシル、スチレンが好ましい。このような単量体は樹脂のガラス転移温度を制御しやすい。
【0013】
このような共重合可能な単量体の使用割合は、全単量体中、通常75〜99.9重量%、好ましくは80〜98重量%である。共重合可能な単量体の割合が多すぎると、共重合した樹脂を含有しても負帯電性を付与することができない
という問題があり、逆に少なすぎると親水性が強くなりすぎて、環境安定性が悪いトナーになり易いといった問題がある。
【0014】
硫黄またはリンを含む過酸由来の構造を有するラジカル発生剤の具体例としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過燐酸アンモニウム、過燐酸カリウムなどが挙げられる。これらは1種類または2種類以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも過硫酸カリウムや過燐酸カリウムなどが反応性が良い点から好ましい。また、操作性から過硫酸塩が好ましい。このようなラジカル発生剤の使用量は、単量体100重量部に対して、通常0.3〜9重量部、好ましくは1〜5重量部である。このようなラジカル発生剤の他に一般的なラジカル発生剤を使用することが可能である。例えばラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキカーボネイト、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネイト、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネイト、t−ブチル−パーオキシバリレート、t−ブチル−パーオキシネオデカノートのごとき有機過酸化物:2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、4,4’−アゾビス−4−シアノバレリン酸のごときアゾ化合物などが挙げられる。これらは1種類または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0015】
また、上述した硫黄またはリンを含む過酸由来の構造を有するラジカル発生剤に、ホルムアルデヒド、スルホキシル酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウムなどの還元剤を組み合わせることも可能である。尚一般のラジカル発生剤を併用する場合には、その他のラジカル発生剤の割合は、通常全ラジカル発生剤中0〜50重量%、好ましくは0〜30重量%程度である。硫黄またはリンを含む酸のエステルを有するラジカル発生剤の割合が少なすぎるとエステル構造の導入割合が少なくなるといった問題が生じる傾向にある。
【0016】
反応は、通常水媒体中で行うが、反応温度は通常1〜100℃、好ましくは5〜90℃であり、反応時間は通常5〜20時間、好ましくは8〜12時間である。
【0017】
スルホン酸、ホスホン酸、スルホン酸塩、ホスホン酸塩構造を有する本発明の帯電制御剤の製造に用いられるスルホン酸(塩)やホスホン酸(塩)構造を含む重合性単量体の具体例としてスルホン酸(塩)は、スチレンスルホン酸、α−メチル−スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−ブタンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−ヘキサンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−オクタンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−ドデカンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−テトラデカンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−フェニルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2,2,4−トリメチルペンタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルフェニルエタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−(4−クロロフェニル)プロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−カルボキシメチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−(2−ピリジン)プロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−1−メチルプロパンスルホン酸、3−アクリルアミド−3−メチルブタンスルホン酸、2−メタクリルアミド−n−デカンスルホン酸、4−メタクリルアミドベンゼンスルホン酸等の酸あるいは金属塩などが挙げられる。
ホスホン酸(塩)は、2−アシドホスホキシプロピルメタクリレート、2−アシドホスホキシエチルメタクリレート、3−クロロ−2−アシドホキシプロピルメタクリレートなどが挙げられる。この方法において用いられるエポキシ構造を有する重合性単量体は前述したものと同じものが挙げられ、また共重合可能な他の重合性単量体も前述したものと同じものが挙げられる。ラジカル重合に際しては、上述した方法において用いられるものが同様に用いられる。反応条件は、乳化重合、懸濁重合、溶液重合など、いかなる方法であっても良い。
【0018】
本発明で用いる帯電制御剤の、検出器としてUV検出器を、溶出溶剤としてテトラヒドロフランを用いたゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定される重量平均分子量(以下、単にMwという)は、通常2,000〜500,000、好ましくは10,000〜200,000である。Mwがこの範囲にある場合、特に高い帯電性に優れる。
【0019】
(トナー)
本発明のトナーは、前述した帯電制御剤を用いる以外は通常の方法によって製造することができる。即ち、(1)本発明の帯電制御剤を結着樹脂、着色剤及び所望により使用される添加剤と共に溶融、混練し、粉砕、分級する方法、または(2)本発明の帯電制御剤存在下、重合性単量体、着色剤、その他必要に応じて添加剤を、無機分散剤を含む水に加え、重合し、水洗、乾燥する方法を採用することができる。以下、主に(2)の方法について述べる。
本発明に用いる単量体として、モノビニル系単量体を挙げることができる。具体的にはスチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;アクリル酸、メタクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアクリル酸またはメタクリル酸の誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン等のエチレン性不飽和モノオレフィン;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル;ビニルメチルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン;2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン等の含窒素ビニル化合物;等のモノエチレン系不飽和単量体が挙げられる。これらのモノビニル系単量体は、単独で用いてもよいし、複数の単量体を組み合わせて用いてもよい。これらモノビニル系単量体のうち、スチレン系単量体またはアクリル酸もしくはメタクリル酸の誘導体が、好適に用いられる。
【0020】
更に架橋性単量体を用いることはホットオフセット改善に有効である。架橋性単量体は、2以上の重合可能な炭素−炭素不飽和二重結合を有する単量体である。具体的には、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、およびこれらの誘導体等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等のジエチレン性不飽和カルボン酸エステル;N,N−ジビニルアニリン、ジビニルエーテル等のジビニル化合物;3個以上のビニル基を有する化合物;等を挙げることができる。これらの架橋性単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0021】
また、本発明では、保存性と低温定着性とのバランスを良くするためにマクロモノマーを単量体として用いることができる。マクロモノマーは、分子鎖の末端にビニル重合性官能基を有するもので、数平均分子量が、通常、1,000〜30,000のオリゴマーまたはポリマーである。数平均分子量が小さいものを用いると、重合体粒子の表面部分が柔らかくなり、保存性が低下するようになる。逆に数平均分子量が大きいものを用いると、マクロモノマーの溶融性が悪くなり、定着性および保存性が低下するようになる。
マクロモノマー分子鎖の末端に有するビニル重合性官能基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基などを挙げることができ、共重合のしやすさの観点からメタクリロイル基が好適である。
【0022】
マクロモノマーは、前記モノビニル系単量体を重合して得られる重合体のガラス転移温度よりも高いガラス転移温度を有するものが好適である。
【0023】
モノビニル系単量体を重合して得られる重合体とマクロモノマーとの間のTgの高低は、相対的なものである。例えば、モノビニル系単量体がTg=70℃の重合体を形成するものである場合には、マクロモノマーは、Tgが70℃を越えるものであればよい。モノビニル系単量体がTg=20℃の重合体を形成するものである場合には、マクロモノマーは、例えば、Tg=60℃のものであってもよい。なお、マクロモノマーのTgは、通常の示差熱計(DSC)等の測定機器で測定される値である。
【0024】
本発明に用いるマクロモノマーの具体例としては、スチレン、スチレン誘導体、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等を単独でまたは2種以上を重合して得られる重合体、ポリシロキサン骨格を有するマクロモノマー、特開平3−203746号公報の第4頁〜第7頁に開示されているものなどを挙げることができる。
これらマクロモノマーのうち、親水性のもの、特にメタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルを単独でまたはこれらを組み合わせて重合して得られる重合体が、本発明に好適である。
【0025】
マクロモノマーを使用する場合、その量は、モノビニル系単量体100重量部に対して、通常、0.01〜10重量部、好適には0.03〜5重量部、さらに好適には0.05〜1重量部である。マクロモノマーの量が少ないと、保存性と定着性とのバランスが向上しないことがある。マクロモノマーの量が極端に多くなると定着性が低下するようになる。
【0026】
着色剤としては、カーボンブラック、チタンホワイト、ニグロシンベース、アニリンブルー、カルコオイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、オリエントオイルレッド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリンオクサレート等の染顔料類;コバルト、ニッケル、三二酸化鉄、四三酸化鉄、酸化鉄マンガン、酸化鉄亜鉛、酸化鉄ニッケル等の磁性粒子;などを挙げることができる。
【0027】
さらに、磁性カラートナー用着色剤としては、C.I.ダイレクトレッド1、C.I.ダイレクトレッド4、C.I.アシッドレッド1、C.I.ベーシックレッド1、C.I.モーダントレッド30、C.I.ダイレクトブルー1、C.I.ダイレクトブルー2、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー15、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー5、C.I.モーダントブルー7、C.I.ダイレクトグリン6、C.I.ベーシックグリン4、C.I.ベーシックグリン6等が、顔料として黄鉛、カドミウムイエロ、ミネラルファーストイエロ、ネーブルイエロ、ネフトールイエロS、ハンザイエロG、パーマネントイエロNCG、タートラジンレーキ、赤口黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、ベンジジンオレンジG、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、ウオッチングレッドカルシウム塩、エオシンレーキ、ブリリアントカーミン3B、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダスレンブルーBC、クロムグリン、酸化クロム、ピグメントグリンB、マラカイトグリンレーキ、ファイナルイエログリンG等が挙げられ、フルカラートナー用マゼンタ着色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48、49、50、51、52、53、54、55、57、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、163、202、206、207および209、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29および35等が、マゼンタ染料としては、C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109および121、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21および27、C.I.ディスパースバイオレット1などの油溶染料;C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39および40、C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27および28などの塩基性染料等が挙げられる。
【0028】
フルカラートナー用シアン着色顔料としては、C.I.ピグメントブルー2、3、15、16および17、C.I.バットブルー6、C.I.アシッドブルー45およびフタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料等が挙げられる。
【0029】
また、フルカラートナー用イエロ着色顔料としては、C.I.ピグメントイエロ1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、65、73、83、138および180、C.I.バットイエロ1、3および20等が挙げられる。
本発明に用いられる無機分散剤は、懸濁重合において、通常、使用されている、カチオン性分散剤である。
具体的には水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化第二鉄等の金属水酸化物等を挙げることができる。カチオン性分散剤はトナー表面に分散剤が吸着され難く粒子形状が整い画質に優れる上、耐久性に優れるため好ましい。
【0030】
難水溶性金属水酸化物のコロイドを含有する無機分散剤は、その製法による制限はないが、水溶性多価金属化合物の水溶液のpHを7以上に調整することによって得られる難水溶性の金属水酸化物のコロイド、特に水溶性多価金属化合物と水酸化アルカリ金属との水相中の反応により生成する難水溶性の金属水酸化物のコロイドを用いることが好ましい。
【0031】
本発明に用いる難水溶性金属化合物のコロイドは、個数粒径分布D50(個数粒径分布の50%累積値)が0.5μm以下で、D90(個数粒径分布の90%累積値)が1μm以下であることが好ましい。コロイドの粒径が大きくなると重合の安定性が崩れ、またトナーの保存性が低下する。
【0032】
無機分散剤は、重合性単量体100重量部に対して、通常、0.1〜20重量部の割合で使用する。この割合が0.1重量部より少ないと、充分な重合安定性を得ることが困難であり、重合凝集物が生成し易くなる。逆に、20重量部を超えると、水系分散媒体中の粘度が上昇し、重合トナー粒径の分布が広くなるので好ましくない。
【0033】
また、本発明においては、通常、重合性単量体を重合するためにラジカル重合開始剤、分子量調整剤などの重合副資材や、離型剤、ワックス等の各種添加剤を配合することができる。
【0034】
ラジカル重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;4,4−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2−アゾビス−2−メチル−N−1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチルプロピオアミド、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、1,1′−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)等のアゾ化合物;メチルエチルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、アセチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート等の過酸化物類などを例示することができる。また、これら重合開始剤と還元剤とを組み合わせたレドックス開始剤を挙げることができる。これらのうち、油溶性ラジカル開始剤、特に、10時間半減期の温度が60〜80℃、好ましくは65〜80℃で且つ分子量が250以下の有機過酸化物から選択される油溶性ラジカル開始剤、特にt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートが印字時の臭気が少ないこと、臭気などの揮発成分による環境破壊が少ないことから好適である。
【0035】
トナー製造のための重合開始剤の使用量は、水媒体基準で通常、0.001〜3重量%である。0.001重量%未満では、重合速度が遅く、3重量%超過では、分子量が低くなるので好ましくない。
【0036】
分子量調整剤としては、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素類;などを挙げることができる。これらの分子量調整剤は、重合開始前、あるいは重合途中に添加することができる。分子量調整剤は、単量体100重量部に対して、通常、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部の割合で用いられる。
【0037】
離型剤としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラステアラートのごとき多官能エステル化合物;低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリブチレンなどの低分子量ポリオレフィン類;パラフィンワックス類;などを挙げることができる。これらの内、多官能エステル化合物、特にペンタエリスリトールと炭素数10〜30個のカルボン酸からなるもの、具体的にはペンタエリスリトールテトラステアラートが好適である。離型剤は、単量体100重量部に対して、通常、0.1〜40重量部、好ましくは1〜20重量部の割合で使用される。
【0038】
さらに、着色剤のトナー粒子中への均一分散等を目的として、オレイン酸、ステアリン酸等の滑剤;シラン系またはチタン系カップリング剤等の分散助剤;などを使用してもよい。このような滑剤や分散剤は、着色剤の重量を基準として、通常、1/1000〜1/1程度の割合で使用される。
【0039】
懸濁重合を開始するに際し、通常、重合性単量体、架橋性単量体、分子量調節剤等の単量体等組成物と着色剤、帯電制御剤、離型剤等のトナー原材料をビーズミル等の混合分散機で混合し、分散安定剤を含有する水媒体中に分散させ、懸濁液を撹拌し、液滴を形成する。そこに重合開始剤を添加し、更に液滴をトナーの大きさまで小さくなるように、特に限定されないが、高速回転する回転子と、それを取り囲み且つ小孔または櫛歯を有する固定子との間隙に流通させて造粒する方法が好適である。
【0040】
単量体組成物分散液の分散状態は、単量体組成物の液滴の体積平均粒径が、0.1〜20μm、好ましくは、0.5〜10μmの状態である。液滴が大きすぎると、トナー粒子が大きくなり、画像の解像度が低下するようになる。
【0041】
該液滴の体積平均粒径/数平均粒径は、1〜3.0、好ましくは1〜2.0である。該液滴の粒径分布が広いと定着温度のばらつきが生じ、かぶり、フィルミングなどの不具合が生じるようになる。
該液滴は、好適には、その体積平均粒径±1μmの範囲に50体積%以上、好ましくは60体積%以上存在する粒径分布のものである。
【0042】
また、前記単量体組成物分散液を得た後、重合反応器に仕込み、重合することが好ましい。具体的には、分散液調製用の容器で単量体組成物を水媒体に添加して単量体組成物分散液を調製し、該単量体組成物を別の容器(重合反応用容器)に移送し、該容器に仕込み、重合する。
従来の懸濁重合法のごとく、分散液を重合反応器で得、そのまま重合反応をさせる方法では、反応器内にスケールが生起し、粗大粒子が多量に生成しやすくなる。
【0043】
単量体の重合は、重合転化率を、通常、80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上とする。80%未満の場合には、単量体が残存していると、トナーを熱定着したときに残存単量体が揮発して、作業環境を悪化させる。
【0044】
なお、本発明はコアシェル構造のトナーの製造にも適用することができる。
【0045】
このような方法によって粒子の体積平均粒径が、通常、0.5〜20μm、好ましくは1〜10μmである粒子が得られる。また、体積平均粒径(dv)/個数平均粒径(dp)が、通常、1.7以下、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.4以下のものが得られる。
【0046】
(現像剤)
本発明のトナーを含有する現像剤の製造に用いられる外添剤としては、無機粒子や有機樹脂粒子が挙げられる。無機粒子としては、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウムなどが挙げられる。有機樹脂粒子としては、メタクリル酸エステル重合体粒子、アクリル酸エステル重合体粒子、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体粒子、スチレン−アクリル酸エステル共重合体粒子、コアがメタクリル酸エステル共重合体で、シェルがスチレン重合体で形成されたコアシェル型粒子などが挙げられる。これらのうち、無機酸化物粒子、特に二酸化ケイ素粒子が好適である。また、これらの粒子表面を疎水化処理することができ、疎水化処理された二酸化ケイ素粒子が特に好適である。外添剤の量は、特に限定されないが、トナー粒子100重量部に対して、通常、0.1〜6重量部である。
【0047】
外添剤は2種以上を組み合わせて用いても良い。外添剤を組み合わせて用いる場合には、平均粒子径の異なる2種の無機酸化物粒子または有機樹脂粒子を組み合わせる方法が好適である。
具体的には、平均粒子径5〜20nm、好ましくは7〜18nmの粒子(好適には無機酸化物粒子)と、平均粒子径20nm超過2μm以下、好ましくは30nm〜1μmの粒子(好適には無機酸化物粒子)とを組み合わせて付着させることが好適である。なお、外添剤用の粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡で該粒子を観察し、無作為に100個選び粒子径を測定した値の平均値である。
【0048】
前記2種の外添剤(粒子)の量は、トナー粒子100重量部に対して、平均粒子径5〜20nmの粒子が、通常、0.1〜3重量部、好ましくは0.2〜2重量部、平均粒子径20nm超過2μm以下の粒子が、通常、0.1〜3重量部、好ましくは0.2〜2重量部である。平均粒子径5〜20nm粒子と平均粒子径20nm超過2μm以下粒子との重量比は、通常、1:5〜5:1の範囲、好ましくは3:10〜10:3の範囲である。
外添剤の付着は、通常、外添剤とトナー粒子とをヘンシェルミキサーなどの混合機に入れて撹拌して行う。
【0049】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。なお、部及び%は、特に断りのない限り重量基準である。
【0050】
本実施例では、以下の方法で測定、評価した。
(重量平均分子量/Mw)
帯電制御剤である重合体のMwは、検出器としてUV検出器を用い、テトラヒドロフランを溶出溶媒としたゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーを用いて行った。具体的には以下の方法を用いて行った。
【0051】
A、塩化ビニル系エステル樹脂
1)試料調製
試料約10mgを5mlのジメチルホルムアミドに溶解し、25℃、16時間放置後、0.45μmメンブランフィルターを通し、試料とした。
2)測定条件
温度:40℃、溶媒:臭化リチウム/ジメチルホルムアミド(5mmol/liter)、流速:1.0ml/min、
試料濃度:0.2wt%、試料注入量:100μl。
3)カラム
東ソー(株)製、G6000Hxl、G4000Hxl、G3000Hxl、G2000Hxlの4本を用いた。
【0052】
B、スチレン系エステル樹脂
1)試料調製
試料約10mgを5mlのテトラヒドロフランに溶解し、25℃、16時間放置後、0.45μmメンブランフィルターを通し、試料とした。
2)測定条件
温度:35℃、溶媒:テトラヒドロフラン、流速:1.0ml/min、試料濃度:0.2wt%、試料注入量:100μl。
3)カラム 昭和電工(株)製、ショウデックス GPC KF806M(30cm×2本)を用いた。
【0053】
(各構造含量)
樹脂中の塩化ビニル含量は燃焼による塩素の元素分析により算出された値である。硫酸エステル構造は、試料を酸素中で燃焼させ、燃焼ガスを蒸留水に吸収させ、硫酸イオンをイオンクロマトグラフィーで定量させることにより算出され、リン酸エステル構造量はNMR分析(重クロロホルム溶媒、標準物質:トリメチルシラン)により定量され、エポキシ基量は1規定塩酸により開環させ、0.1規定水酸化カリウムで滴定させ、酸の消費量から算出された値である。
【0054】
(定着性)
市販の非磁性一成分現像方式のプリンター(4枚機)の定着ロール部の温度を変化できるように改造したプリンターを用いて、定着ロールの温度を変化させて、それぞれの温度での定着率を測定し、温度−定着率の関係を求め、定着率80%の温度を定着温度と定義した。
定着率は、プリンターで印刷した試験用紙における黒ベタ領域のテープ剥離操作前後の画像濃度の比率から計算した。すなわち、テープ剥離前の画像濃度をID前、テープ剥離後の画像濃度をID後とすると、
定着率(%)=(ID後/ID前)×100
である。
なお、ここで黒ベタ領域とは、その領域内部の(プリンター制御部を制御する仮想的な)ドットのすべてに現像剤を付着させるように制御した領域のことである。
テープ剥離操作とは、試験紙用の測定部分に粘着テープ(住友スリーエム社製スコッチメンディングテープ810−3−18)を貼り、一定圧力で押圧して付着させ、その後、一定速度で紙に沿った方向に粘着テープを剥離する一連の操作である。
また、画像濃度は、McBeth社製反射式画像濃度測定機を用いて測定した。
【0055】
(流動性)
篩3種(目開き:150、75、45μm)をこの順に上から重ね、一番上の篩上に測定する現像剤を4g精秤して乗せる。この3種の篩を粉体測定機(細川ミクロン社製)のREOSTATを用いて、振動強度4の条件で、15秒間振動した後、篩いを通過した現像剤の重量を測定し、以下の式にいれて算出した。1サンプルにつき3回測定し、その平均値を流動性の指標とした。
算出式:
a=(150μm篩上に残った現像剤重量(g))/4g×100
b=(75μm篩上に残った現像剤重量(g))/4g×100×0.6
c=(45μm篩上に残った現像剤重量(g))/4g×100×0.2
流動性(%)=100−(a+b+c)
【0056】
(保存性)
現像剤を密閉した容器に入れて、密閉した後、55℃の温度にした恒温水槽の中に沈め、一定時間経過した後、容器から静かに現像剤を取り出し、42メッシュの篩いの上にできるだけ構造を破壊しないように移し、粉体測定機(細川ミクロン社製)のREOSTATを用いて、振動強度4.5の条件で、30秒間振動した後、篩い上に残った現像剤の重量を測定し、凝集現像剤の重量とした。全現像剤に対する凝集現像剤の重量の割合(重量%)を算出した。1サンプルにつき3回測定し、その平均値を保存性の指標とした。
【0057】
(帯電量の環境依存性)
L/L(温度10℃、湿度20%RH)又はH/H(温度35℃、湿度80%RH)環境下で、非磁性一成分現像方式のプリンター(4枚機)に現像剤を入れ、1昼夜放置後、ハーフトーンの印字パターンを5枚印字し、その後、現像ローラ上の現像剤を吸引式帯電量測定装置に吸引し、帯電量と吸引量から単位重量当たりの帯電量を測定した。各環境下における帯電量の変化から現像剤の環境変動の状況を評価した。
【0058】
(画質の環境依存性)
前述のプリンターで35℃×80RH%(H/H)環境及び10℃×20RH%(L/L)環境下で初期から連続印字を行い、印字濃度が反射濃度計(マクベス製)で1.3以上、非画像部のカブリが白色度計(日本電色製)で10%以下で1000枚以上継続できる現像剤を(○)、できない現像剤を(×)と評価した。
(画質の耐久性)
前述のプリンターで23℃×50RH%(H/H)環境下で初期から連続印字を行い、印字濃度が反射濃度計(マクベス社製)で1.3以上、非画像部のカブリが白色度計(日本電色製)で10%以下で10000枚以上継続できる現像剤を(○)、5千枚以上継続できる現像剤を(△)、5千枚以上継続できない現像剤を(×)と評価した。
【0059】
[実施例1]
(帯電制御剤の合成)
脱イオン水300部、アリルグリシジルエーテル20部、過硫酸カリウム5部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2部、水酸化ナトリウム0.7部をオートクレーブに入れ脱気後、塩化ビニル100部を仕込んで42℃で重合を開始した。重合開始と同時にアクリロニトリル10部を連続的にオートクレーブ中に注入した後、オートクレーブの圧力が3kg/cm2になったところで80℃に昇温し、未反応塩化ビニルを回収しつつ、3時間この温度に保った後、凍結凝固して、水洗乾燥し、硫酸エステル構造を含有する樹脂A(分子量16000、塩化ビニル含量95.2重量%、硫酸エステル構造含量0.8重量%、エポキシ構造含量1.5重量%)を得た。
【0060】
(トナーの製造)
スチレン90部、離型剤(FT−100、シェル・MDS社製)10部を、メデヤ型湿式粉砕機を用いて湿式粉砕を行い、離型剤が均一に分散されたスチレン単量体離型剤分散液を調製した。
この分散液中の離型剤の体積平均粒径は、D50(個数粒径分布の50%累積値)が3.0μm、D90(個数粒径分布の90%累積値)が7.3μmであった。また、この分散液の固形分濃度は10.2%であった。
【0061】
次いで、先に得た離型剤分散液20部(内訳スチレン18部、離型剤2部)、スチレン65部、n−ブチルアクリレート17部、先に得た硫酸エステル構造を含有する樹脂A2部、ジビニルベンゼン0.3部、カーボンブラック(商品名モナーク120、キャボット社製)7部を、通常の攪拌装置で攪拌、混合した後、メディア型分散機により、均一分散し、重合性単量体混合物を得た。
【0062】
他方、イオン交換水250部に塩化マグネシウム(水溶性多価金属塩)9.5部を溶解した水溶液に、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム(水酸化アルカリ金属)5.8部を溶解した水溶液を攪拌下で徐々に添加して、水酸化マグネシウムコロイド(難水溶性の金属水酸化物コロイド)分散液を調製した。生成した上記コロイドの粒径分布をマイクロトラック粒径分布測定器(日機装社製)で測定したところ、粒径は、D50(個数粒径分布の50%累積値)が0.35μmで、D90(個数粒径分布の90%累積値)が0.79μmであった。このマイクロトラック粒径分布測定器による測定においては、測定レンジ=0.12〜704μm、測定時間=30秒、媒体=イオン交換水の条件で行った。
【0063】
上記により得られた水酸化マグネシウムコロイド分散液に、上記単量体混合物を投入し、液滴が安定するまで攪拌し、そこに重合開始剤を添加後、TK式ホモミキサーを用いて12,000rpmの回転数で高剪断攪拌して、単量体混合物の液滴を造粒した。この造粒した単量体混合物の水分散液を、攪拌翼を装着した反応器に入れ、90℃で重合反応を開始させ、8時間継続した後、反応を停止し、pH10の現像剤用重合体粒子の水分散液を得た。
【0064】
上記により得た現像剤用重合体粒子の水分散液を攪拌しながら、硫酸により系のpHを約5.5にして酸洗浄(25℃、10分間)を行った。次いで、濾過、脱水し、脱水後、洗浄水を振りかけて水洗浄を行った。その後、乾燥器(45℃)にて2昼夜乾燥を行い重合体粒子を得た。
【0065】
(現像剤の調製)
上記により得られた現像剤用重合体粒子100部に、疎水化処理したシリカ(商品名:R−202、平均粒子径14nm、日本アエロジル社製)0.6部を添加し、ヘンシェルミキサーを用いて混合して非磁性一成分現像剤を製造した。
【0066】
上記処方により得られた現像剤の体積平均粒径(dv)は7.1μmであった。
画像評価では、高温高湿下及び低温低湿下のいずれにおいても、色調が良く、画像濃度が高く、カブリの無い極めて良好な画像が得られた。
【0067】
[実施例2]
実施例1において、過硫酸カリウムにかえて過リン酸カリウムを使用した以外は実施例1と同様に操作して樹脂B(分子量20000、塩化ビニル含量94.9重量%、リン酸エステル構造0.9重量%、エポキシ構造1.5重量%)を得た。
硫酸エステル残基含有樹脂Aの代りにリン酸エステル残基含有樹脂Bを2重量%使用した他は、実施例1と同様にして重合トナー粒子を得た。
【0068】
[実施例3]
3リットルフラスコにトルエン900部、スチレン100部、アリルグリシジルエーテル15部、過硫酸アンモニウム2部を仕込み攪拌、60℃で8時間反応後減圧蒸留により溶剤を除去し、硫酸エステル残基含有共重合体C(Mw40,000、硫酸エステル構造重量0.5%、エポキシ構造0.95重量%)を得た。
実施例1の硫酸エステル含有共重合体Aの代りに硫酸エステル含有共重合体Cを用いた他は実施例1と同様に実施した。
【0069】
[比較例1]
実施例1のうちで、硫酸エステル含有樹脂Aを仕込まずにトナー用単量体組成物を懸濁重合したトナー粒子を用いた他は実施例1と同様に実施した。
【0070】
[比較例2]
実施例1のうちで、硫酸エステル含有樹脂Aの代りに低分子量(1012)であるクロム錯体の帯電制御剤(TRH、保土ヶ谷化学社製)
1部を仕込んだトナー用単量体組成物を懸濁重合したトナー粒子を用いた他は実施例1と同様に実施した。
【0071】
[比較例3]
実施例1のうちで、硫酸エステル含有樹脂Aの代りにスルホン酸構造を含有するスチレン共重合樹脂Dの存在下、トナー用単量体組成物を懸濁重合したトナー粒子を用いた他は実施例1と同様に実施した。
スルホン酸を含有するスチレン共重合体樹脂Dは、3リットルフラスコにトルエン900部、スチレン88部、ブチルアクリレート10部、ベンゼンスルホン酸ナトリウム2部、及びアゾビスジメチルバレロニトリル2部を仕込み攪拌、80℃で8時間反応後減圧蒸留により溶剤を除去しスルホン酸含有共重合体樹脂D(Mw160,000、スルホン酸構造含量0.7重量%)を得た。
【0072】
[比較例4]
実施例1の帯電制御剤の合成において、重合開始剤の過硫酸カリウム5部の代りに、1,1,3,3−テトラメチル−ブチル−パーオキシネオデカノエート3部に変えて重合し、エポキシ基だけ含有する樹脂Eを得た以外は実施例1と同様に実施した。
【0073】
[実施例4]
実施例1のうちで、カーボンブラック(商品名モナーク120、キャボット社製)7部の代りに顔料のピグメントブルー15:3(HOSTAPERM BLUE B2G、ヘキストジャパン社製)5部を用いた他は実施例1と同様に実施した。
【0074】
[実施例5]
実施例1のうちで、カーボンブラック(商品名モナーク120、キャボット社製)7部の代りに顔料のピグメントレッド122(TONER MAGENTA E−02、ヘキスト社製)を用いた他は実施例1と同様に実施した。
【0075】
[実施例6]
実施例1のうちで、カーボンブラック(商品名モナーク120、キャボット社製)7部の代りに顔料のピグメントイエロー180(TONER YELLOWHG VP2155、ヘキストジャパン社製)5部を用いた他は実施例1と同様に実施した。
【0076】
以上、実施例1〜3の結果を表1に、比較例1〜3の結果を表2に、実施例4〜6の結果を表3に示す。
この結果から、エポキシ構造と、硫酸エステル構造またはリン酸エステル構造を有する帯電制御剤を用いると耐オフセット性に優れ、低温で定着し、良好な保存性を有し負帯電安定性に優れ、且つ耐久印刷時の帯電量変動による画質低下が少ない現像剤が得られることが判った。
【0077】
【表1】
Figure 0003807462
【0078】
【表2】
Figure 0003807462
【0079】
【表3】
Figure 0003807462

Claims (4)

  1. エポキシ構造と、硫酸エステル構造、またはリン酸エステル構造とを有する重合体からなるトナー用帯電制御剤。
  2. 重合体が、エポキシ基を有する重合性単量体及び必要に応じてこれと共重合可能な他の重合性単量体を、硫黄またはリンを含む過酸由来の構造を有するラジカル発生剤の存在下に重合して得られたものである請求項1記載のトナー用帯電制御剤。
  3. 請求項1または2記載の帯電制御剤を含有する静電荷像現像用トナー。
  4. 請求項1または2記載の帯電制御剤の存在下、重合性単量体に着色剤を分散し、次いで重合して得られたものである静電荷像現像用トナー。
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