JP3807091B2 - オレフィン性不飽和基含有重合体水素化物の連続製造方法 - Google Patents

オレフィン性不飽和基含有重合体水素化物の連続製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オレフィン性不飽和基含有重合体の水素化物を連続的に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
共役ジエン系重合体に代表されるオレフィン性不飽和基含有重合体は、エラストマーなどとして広く工業的に使用されている。しかしながら、これらのオレフィン性不飽和基含有重合体は、その不飽和結合を加硫などに利用できる反面、オレフィン性不飽和基含有重合体を加硫せずに使用する場合に、得られる製品の耐候性、耐熱性などを損なうことになり、用途が限定される。オレフィン性不飽和基含有重合体の耐候性、耐熱性などは、そのオレフィン性不飽和基を水素添加して、重合体鎖を飽和することにより著しく改善することができる。
【0003】
オレフィン性不飽和基含有重合体を水素添加する方法として、(1)ニッケル、白金、パラジウムなどの金属を、カーボン、シリカ、アルミナなどの担体に担持させた不均一系触媒による回分式の懸濁床方式あるいは流通式の懸濁気泡塔方式、(2)ニッケル、コバルト、チタニウムなどの有機金属化合物と、アルミニウム、マグネシウム、リチウムなどの還元性有機金属化合物とからなる均一系触媒による回分式の攪拌槽方式や連続式のループリアクター方式が知られている。
【0004】
上記(1)の不均一系水素添加触媒を用いる流通式の懸濁気泡塔方式では、均一系水素添加触媒を用いる方式と比べると、一般に触媒活性が低く、十分な水素添加反応を行なうためには、高温、高圧の厳しい条件が必要である。また、不均一系水素添加触媒による水素添加反応は、重合体を水素添加する場合には、低分子化合物の場合より、反応系の粘度や重合体鎖中の立体障害などの影響が大きく、触媒との接触が困難となる場合がある。
したがって、不均一系水素添加触媒を用いての連続的な水素添加方式でオレフィン性不飽和基含有重合体を効率よく水素添加するには、多量の触媒を必要とし不経済であるとともに、より高温、高圧での反応を必要とするため、重合体の分解やゲル化を起こしやすくなり、またエネルギーコストも高くなるという問題がある。
しかも、水素添加反応の条件が厳しくなると、スチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体のような共役ジエンとビニル芳香族化合物との共重合体の場合、芳香核の不飽和結合も水素添加され、共役ジエン部分を選択的に水素添加することが困難であるという欠点もある。
また、対象とする重合体溶液の粘度が比較的高粘度になれば、触媒担体など金属が反応後の製品に同伴し、製品品質上に問題を生じる原因となり、水素添加反応に要する不活性溶媒を多量に使用し重合体溶液粘度を低下されておく必要があった。このため、溶剤除去に要する設備、用役コストが高く不経済となる欠点がある。
【0005】
一方、上記(2)の回分式の攪拌槽方式に代表される、均一系水素添加触媒を用いた回分型水素添加方式では、不均一系水素添加触媒に比べると、一般に触媒活性が高く、触媒の使用量も少なくてすみ、より穏やかな条件で反応させることができるという利点がある。また、水素添加反応の条件を適切に選択すれば、共役ジエンとビニル芳香族化合物との共重合体の場合でも、共役ジエン部分を優先的に水素添加することも可能となる。
しかしながら、均一系水素添加触媒での回分型水素添加方式は、触媒の還元状態により活性が大きく変化するため水素添加率の再現性が低く、水素添加率の高い重合体を安定して得ることが困難であるという問題がある。
また、触媒成分が共存する不純物などにより不活性化されやすく、これも均一系水素添加触媒が再現性に乏しい一因となっている。
しかも、従来の均一系水素添加触媒による反応速度が充分速いとは言えず、また触媒の還元状態や不純物による触媒活性の低下によって反応速度がさらに低下するという問題もある。
【0006】
また、(2)の均一系水素添加触媒を用いた連続式のループリアクター方式では、反応熱の除去、気液接触の効率化の面で、高粘度重合体溶液での水素添加反応ができず、また、設備的にも高価で、共役ジエン系重合体に代表されるオレフィン性不飽和重合体を水素添加反応させるには、不向きである。これらの欠点が生産性を低下させ安定した品質の水素化オレフィン性重合体の製造に妨げとなっていた。
【0007】
それ故、共存する不純物の影響を受け難く、しかも触媒の調製条件によらず所望の水素添加率の重合体を安定して得ることができる、水素添加方法の開発が強く望まれているのが実状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、広範囲にわたる粘度領域のオレフィン性不飽和基含有重合体から、オレフィン性不飽和基が高水素添加率で水素化された水素化物(水素添加物)を、その高水素添加率を安定に維持して、連続的に製造し得る方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、広範囲にわたる粘度領域のオレフィン性不飽和基含有重合体から、オレフィン性不飽和基が所望の水素添加率で水素化された水素化物(水素添加物)を、その所望の水素添加率を安定に維持して、連続的に製造し得る方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、下記(1)〜(7)のオレフィン性不飽和基含有重合体の水素化物の製造方法が提供されて、上記本発明の目的が達成される。
(1)オレフィン性不飽和基含有重合体のオレフィン性不飽和基を水素化するための複数の反応器が直列に連結されており、第1段目の反応器は攪拌型反応器であり、かつ該反応器にオレフィン性不飽和基含有重合体の溶液を導入し、複数の反応器のうち少なくとも一つの反応器の下部より水素を供給し、各反応器でオレフィン性不飽和重合体の溶液と水素とを水素化触媒の存在下に接触させてオレフィン性不飽和基を水素化することを特徴とするオレフィン性不飽和基含有重合体水素化物の連続製造方法。
(2)前記攪拌型反応器が、前記オレフィン性不飽和基含有重合体の溶液と、前記水素とを向流接触させるものである上記(1)に記載の連続製造方法。
(3)第2段目以降の反応器が、攪拌型反応器(以下、「攪拌型反応槽」ともいう。)、流通式反応器、またはこれらの組み合わせによって構成されている上記(1)または(2)に記載の連続製造方法。
(4)前記複数の反応器の構成が、第1段から最終段までの順序で表した場合に、攪拌型反応器−攪拌型反応器、攪拌型反応器−攪拌型反応器−流通式反応器、攪拌型反応器−攪拌型反応器−攪拌型反応器、および攪拌型反応器−流通式反応器からなる群より選ばれる一つである上記(3)に記載の連続製造方法。
(5)前記流通式反応器が、前記オレフィン性不飽和基含有重合体の溶液と、前記水素とを並流接触させるものである上記(3)または(4)に記載の連続製造方法。
(6)最終段の反応器に水素を供給する上記(1)〜(5)のいずれかに記載の連続製造方法。
(7)最終段の反応器に供給された前記水素を、当該反応器から第1段の反応器に至るまで、順次、前段の反応器に供給して再使用する上記(6)に記載の連続製造方法。
【0010】
本発明の製造方法は、概略的には、複数の反応器、好ましくは2〜4個、更に好ましくは2ないし3個の反応器を直列に連結して、第1段目の攪拌型反応器へオレフィン性不飽和基含有重合体の溶液を導入し、少なくとも一つの反応器へ水素を供給し、各反応器でオレフィン性不飽和基含有重合体の溶液と水素を水素化触媒の存在下に接触させて、オレフィン性不飽和基を水素化する反応を行い、水素化物を製造する方法である。
【0011】
水素化されるオレフィン性不飽和基含有重合体は、重合体の主鎖、側鎖、末端などにオレフィン性不飽和基を有するものであれば特に制限されない。オレフィン性不飽和基含有重合体として、炭素数4〜12の共役ジエンの重合体、上記共役ジエンの少なくとも1種と共重合可能なモノオレフィン性単量体との共重合体を挙げることができる。上記共役ジエンとして、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン等が挙げられる。また、上記共重合可能なモノオレフィン性単量体として、アクリロニトリル、スチレン、アクリル酸エステル等が挙げられる。なかでも、工業的に有利に展開でき、物性の優れたエラストマーを得る上からは、1,3−ブタジエンまたはイソプレンの重合体、共重合体に対して本発明の製造方法が好ましく適用され、特にポリブタジエン、ポリイソプレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−ブタジエン−イソプレン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体に対して本発明の製造方法を好ましく適用することができる。ここで、共重合体は、その形式に制限されないが、ランダム共重合体およびブロック共重合体が好ましい。
【0012】
本発明で用いられる第2段以降の複数個の反応器は、好ましくは攪拌型反応槽、流通式反応器、およびこれらの組み合わせである。即ち、反応器全てを攪拌型反応槽あるいは流通式反応器を用いてもよいし、両者を組み合わせてもよいが、両者を組み合わせる方法がより好ましい。
【0013】
攪拌型反応槽では、適切な溶媒に溶解されたオレフィン性不飽和基含有重合体の溶液(以下単に「重合体溶液」ともいう)を攪拌型反応槽の上部あるいは上部付近から導入し、水素を攪拌型反応槽の底部あるいは底部付近から供給して、重合体溶液と水素とを接触させて、オレフィン性不飽和基を水素化することが好ましい。このように攪拌型反応槽を用い接触する方法は、広範囲にわたる重合体溶液粘度に対応可能で、かつ適切な気液接触を得やすく、水素添加率を制御しやすいなどの利点を有する。また、流通式反応器の場合は、縦型の流通式反応器を用い、重合体溶液および水素を反応器の底部あるいは底部付近から供給して、重合体溶液と水素とを接触させて、オレフィン性不飽和基を水素化することが好ましい。このような流通式反応器を用い接触する方法は、上記の攪拌型反応槽を用い接触する方法と比較して、より均一に水素化を行なうことができる利点を有する。
【0014】
反応器の好ましい構成方法として、最終の反応器の直前の反応器を攪拌型反応槽として、最終の反応器を流通式反応器とすることを挙げることができる。このように構成することにより、90%以上の高水素添加率であっても均一に水素化された水素化物を得ることができる。
【0015】
反応器の構成方法として、
(1)攪拌型反応槽−攪拌型反応槽
(2)攪拌型反応槽−攪拌型反応槽−流通式反応器
(3)攪拌型反応槽−攪拌型反応槽−攪拌型反応槽
(4)攪拌型反応槽−流通式反応器
などを挙げることができる。
なかでも、上記(1)、(2)および(3)が前記した観点から好ましい構成である。
【0016】
上記(2)の構成で、オレフィン性不飽和基含有重合体の典型例である共役ジエン重合体を90%以上の高水素添加率で水素化するフローの概略を図1に示してある。このフローに従って、本発明の製造方法の一つの好ましい態様を説明する。勿論、本発明はこの態様に制限されない。
【0017】
重合体溶液は、ライン11から第1段目の攪拌型反応槽1の上部に導入され、触媒がライン12から攪拌型反応槽1の上部に導入される。第2段目の攪拌型反応槽2からライン14を経由して送られてきた水素が攪拌型反応槽1の底部に供給され、触媒を含有する重合体溶液と向流接触する。このとき攪拌型反応槽1に装備されている攪拌装置4により攪拌されて、向流接触が行われる。
攪拌型反応槽1では、重合体溶液の滞留時間を通常1〜5時間とし、水素の供給量を通常重合体の理論不飽和基モル量に対して、0.2〜1.0のモル比とし、反応温度を通常60〜150℃とし、反応圧力(水素圧力)を5〜20kg/cm2Gとして水素化反応が行われる。また、水素添加率は、通常20〜80%に設定される。
余剰の水素は、攪拌型反応槽1上部からライン13を経由して、系外に排出されるかあるいは循環して再使用される。攪拌型反応槽1で部分的に水素化されたオレフィン性不飽和基含有重合体を含有する重合体溶液は、ライン15を経由して第2段目の攪拌型反応槽2の上部に導入される。
【0018】
攪拌型反応槽2の上部には、必要に応じて追加の触媒がライン19により供給される。最終段の流通式反応器3からライン16を経由して送られてきた水素が攪拌型反応槽2の底部に供給され、重合体溶液と向流接触する。攪拌型反応槽1と同様に、第2段目の攪拌型反応槽2に装備されている攪拌装置4'により攪拌されて、向流接触が行われる。攪拌型反応槽2では、重合体溶液の滞留時間を通常1〜3時間とし、水素の供給量を通常重合体の理論不飽和基モル量に対して、0.1〜1.0のモル比とし、反応温度を、通常60〜150℃とし、反応圧力(水素圧力)を5〜20kg/cm2Gとして水素化反応が行われる。また、水素添加率が、第1段目の攪拌型反応槽1の水素添加率との合計が70%以上、好ましくは90〜100%となるように水素化反応が行われる。余剰の水素は、攪拌型反応槽2上部からライン14を経由して、第1段目の攪拌型反応槽1の底部に供給される。攪拌型反応槽2でさらに水素化されたオレフィン性不飽和基含有重合体を含有する重合体溶液は、ライン17、18を経由して最終段の流通式反応器3の底部に導入される。
【0019】
流通式反応器3の底部には、ライン18から、攪拌型反応槽2からのオレフィン性不飽和基含有重合体の溶液(オレフィン性不飽和基が好ましくは70%以上水素化されたもの)と共に、水素および必要に応じてライン20を経由して追加の触媒が供給される。そして流通式反応器3では、重合体溶液と水素とが並流接触する。並流接触することにより、重合体溶液の流れが押し出し流れになりやすく、得られる重合体の物性上好ましい。なお、図1には示されていないが、流通式反応器での水素化反応を向流接触で行なうこともできる。しかし、並流接触の方が好ましい。流通式反応器3では、重合体溶液の滞留時間を通常0.3〜3時間とし、水素の供給量を通常重合体の理論不飽和基モル量に対して、0.1〜1.5のモル比とし、反応温度を、通常60〜150℃として、反応圧力(水素圧力)を5〜20kg/cm2Gとして水素化反応が行われる。水素化された重合体を含有する溶液は、おう溢されて流通式反応器3の上部付近に設けられたライン21から抜き出される。抜き出された溶液は、溶媒の除去などの精製工程(図示せず)に付されて水素化物が得られる。余剰の水素は、流通式反応器3の上部からライン16を経由して前段の攪拌型反応槽2の底部に供給される。このような流通式反応器3での水素化反応により、最終の水素添加率を90%以上、好ましくは95%以上とすることができる。勿論、より低い水素添加率の水素化物を製造することを意図する場合は、上記の諸々の水素化条件を適宜に変更することにより製造することができる。
【0020】
各反応器の温度の制御は、反応器に設けられているジャケット5,5',5''によって行なうことができるが、流通式反応器3の場合、温度制御を行わずに断熱的に水素化反応を行なうこともできる。
【0021】
以上図1を参照して、上記(2)の態様により共役ジエン重合体から高水素添加率の水素化物を製造する方法について説明したが、反応器の構成の他の態様を採用する場合においても、所望の水素添加率の水素化物を得るための各反応器の水素化条件を如何にするかは、上記した説明および後述する実施例を参照し、さらには当業者に知られている化学工学的な計算、若干の確認実験などにより、容易に決定することができる。
【0022】
本発明において用いられる攪拌型反応槽に装備される攪拌装置の攪拌翼形状は、重合体溶液の粘度により以下のように選択することが好ましい。即ち、1000センチポイズ以下の低粘度の重合体溶液の場合は、パドル翼に代表される一般的な低粘度攪拌翼とし、好ましくはディスクタービン翼に代表される攪拌型反応槽上部からの投影面積の大きい翼形状とする。1000センチポイズを越える高粘度の重合体溶液の場合は、マックスブレンド翼、リボン翼に代表される中高粘度大型攪拌翼にあって、好ましくはマックスブレンド翼に代表される攪拌槽側部からの投影面積の大きい翼形状とする。いずれの場合も、槽径に対する翼径の比を0.2〜0.8、特には0.3〜0.6とすることが好ましい。また、槽高に合わせ、翼は垂直方向に多段階に配置することができる。攪拌動力は、単位容積当たりの所要動力を0.1kW/m3以上とすることが好ましく、重合体溶液の粘度にあわせて調整する。一般的には、攪拌動力を大とすれば水素の拡散状態は良くなるが、過剰に大としても拡散状態はそれ程向上しない。
【0023】
本発明で使用される流通式反応器は、その内部にスタティックミキサー状のエレメントを配置してもよい。
【0024】
本発明の製造方法において用いられる水素化触媒(水添触媒)としては、特に制限されず、従来から知られているチタン、ニッケル、ジルコニウム、パラジウム、ルテニウムなどの有機金属化合物からなる均一系水添触媒が用いられる。好ましい具体例として、(イ)ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジベンジル、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジ−p−トリル、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジメチル、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジエチル、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジ−n−ブチル、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジ−sec−ブチル等のビス(シクロペンタジエニル)遷移金属化合物と、(ロ)メチルリチウム、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム等の有機リチウム化合物、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド等のアルミニウム化合物、ジエチル亜鉛、ビス(シクロペンタジエニル)亜鉛、ジフェニル亜鉛等の亜鉛化合物、ならびにジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、メチルマグネシウムブロミド、メチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムクロリド等のマグネシウム化合物等の還元性金属化合物を併用する混合触媒等を挙げることができる。
【0025】
水素化触媒は、オレフィン性不飽和基含有重合体の種類、所望の水素添加率、その他の条件にもよるが、オレフィン性不飽和基含有重合体重量に対して、通常10〜10000ppm、好ましくは100〜2000ppm程度用いられる。また、水素化反応の反応温度は、既に図1に示されるフローに従って典型的な例を示したが、水素化触媒の活性、重合体の性状などに応じ、0〜200℃、好ましくは40〜150℃の範囲から選択することができる。
【0026】
オレフィン性不飽和基含有重合体は、溶媒に溶解し重合体溶液として反応器に導入されるが、用いることができる溶媒としては、該重合体を溶解することができ、水素化反応を阻害しない不活性なものであれば特に制限されない。例えばn−ペンタン、n−ヘキサン、n−へプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカンなどの飽和炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロへプタン等の環状飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、およびこれらの混合溶媒等を用いることができる。なかでも、工業的に入手が容易であるn−ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、およびこれらの混合溶媒の使用が好ましい。
溶媒の使用量は、好ましくは上記重合体の重量の1〜10倍、より好ましくは2〜6倍である。
【0027】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない.なお、実施例中の部および%は、特に断りのないかぎり重量基準である。
【0028】
実施例1
攪拌型反応槽を2基使用して水素化をおこなった例である。即ち、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロライドと、ジエチルアルミニウムクロライド、n−ブチルリチウム、ベンゾフェノンとからなる水素化触媒を1%の含有率で含むトルエン溶液を70g/hrで、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体を20重量%含有し、シクロヘキサンとn−へプタンとの混合溶媒を用いて調製した重合体溶液を10kg/hrで、内容積40Lの第1段目の攪拌型反応槽の上部から各々供給した。第1段目の反応槽の温度を110℃に維持し、反応槽内の圧力を8kg/cm2Gとなるように、第2段目の攪拌型反応槽上部から排出される水素を第1段目の攪拌型反応槽の底部に供給し、重合体溶液と水素を向流接触した。この反応槽の水素添加率は、60%であった。第1段目の反応槽の底部から排出される重合体溶液を10kg/hrで、上記水素化触媒を70g/hrで、内容積40Lの第2段目の攪拌型反応槽の上部から各々供給し、第2反応槽温度を110℃に維持し、反応槽内圧力を10kg/cm2Gとなるように、2段目の攪拌型反応槽の底部に水素を供給し、重合体溶液と水素を向流接触した。この反応槽の底部から排出される重合体の水素添加率は、92%であった。上記2個の攪拌型反応槽の攪拌翼はディスクタービン翼とし、単位容積あたりの所要動力は1.0kW/m3とした。結果を、反応条件と共に表1に示す。また、重合体の水素添加率は、H−NMRスペクトル(100MHz)により、測定した。結果を、反応条件と共に表1に示す。
【0029】
実施例2
図1に示したフローに従って、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素化物を製造した。ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロライドと、ジエチルアルミニウムクロライド、n−ブチルリチウム、ベンゾフェノンとからなる水素化触媒を1%の含有率で含むトルエン溶液を100g/hrで、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体を17重量%含有し、シクロヘキサンとn−へプタンとの混合溶媒を用いて調製した重合体溶液を10kg/hrで、内容積40Lの第1段目の攪拌型反応槽の上部から各々供給した。第1段目の反応槽の温度を110℃に維持し、反応槽内圧力を8kg/cm2Gとなるように第2段目の攪拌型反応槽上部から排出される水素を第1段目の攪拌型反応槽の底部に供給し、重合体溶液と水素を向流接触した。この反応槽での水素添加率は、70%であった。第1段目の反応槽の底部から排出される重合体溶液を10kg/hrで、内容積40Lの第2段目の攪拌型反応槽の上部から各々供給し、第2反応槽温度を110℃に維持し、反応槽内圧力を10kg/cm2Gとなるように、水素を第2段目の攪拌型反応槽の底部に供給し、重合体溶液と水素を向流接触した。この反応槽から排出される重合体の水素添加率は、90%であった。第2段目の反応槽の底部から排出される重合体溶液を10kg/hrで、上記水素化触媒を1%の含有率で含むトルエン溶液を50g/hrで、内容積20Lの最終段の流通式反応器の下部に各々供給すると共に、管型流通式反応器内圧力を12kg/cm2Gとなるように、管型流通式反応器の下部に水素を供給し、重合体溶液と水素を並流接触した。この流通式反応器上部から排出される重合体の水素添加率は、97%であった。なお、この管型流通式反応器にあっては断熱反応により水素添加反応させた。上記2個の攪拌型反応槽の攪拌翼はディスクタービン翼とし、単位容積あたりの所要動力は1.0kW/m3とした。結果を、反応条件と共に表1に示す。
【0030】
実施例3
実施例1において、水素化触媒としてビス(シクロペンタジエニル)チタニウムビス(1,1-ジフェニルペントキシ)を用いた例である。即ち、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムビス(1,1-ジフェニルペントキシ)を120g/hrで、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体を20重量%含有し、シクロヘキサンとn−へプタンとの混合溶媒を用いて調製した重合体溶液を10kg / hrで、内容積40Lの第1段目の攪拌型反応槽の上部から各々供給した。第1段目の攪拌型反応槽の温度を110℃に維持し、反応槽内の圧力を8kg/cm2Gとなるように、第2段目の攪拌型反応槽上部から排出される水素を第1段目の攪拌型反応槽の底部に供給し、重合体溶液と水素を向流接触した。この反応槽の水素添加率は、75%であった。第1段目の反応槽の底部から排出される重合体溶液を10kg/hrで、内容積40Lの第2段目の攪拌型反応槽の上部から各々供給し、第2反応槽温度を110℃に維持し、反応槽内圧力を10kg/cm2Gとなるように、第2段目の反応槽の底部に水素を供給し、重合体溶液と水素を向流接触した。この反応槽の底部から排出される重合体の水素添加率は、97%であった。上記2個の攪拌型反応槽の攪拌翼はディスクタービン翼とし、単位容積あたりの所要動力は1.0kW/m3とした。結果を、反応条件と共に表1に示す。
【0031】
【表1】
Figure 0003807091
【0032】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、広範囲にわたる粘度領域のオレフィン性不飽和基含有重合体から、オレフィン性不飽和基が高水素添加率で水素化された水素化物を、その高水素添加率を安定に維持して、連続的に製造することができる。また、該オレフィン性不飽和基含有重合体から、所望の水素添加率で水素化された水素化物を、その所望の水素添加率を安定に維持して、連続的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法の好ましい一態様の概略を示すフローシ−トである。
【符号の説明】
1 攪拌型反応槽(第1段)
2 攪拌型反応槽(第2段)
3 流通式反応器(最終段)
4,4' 攪拌装置
5,5',5'' ジャケット
11,12,13,14,15,16 ライン
17,18,19,20,21 ライン

Claims (7)

  1. オレフィン性不飽和基含有重合体のオレフィン性不飽和基を水素化するための複数の反応器が直列に連結されており、第1段目の反応器は攪拌型反応器であり、かつ該反応器にオレフィン性不飽和基含有重合体の溶液を導入し、複数の反応器のうち少なくとも一つの反応器の下部より水素を供給し、各反応器でオレフィン性不飽和重合体の溶液と水素とを水素化触媒の存在下に接触させてオレフィン性不飽和基を水素化することを特徴とするオレフィン性不飽和基含有重合体水素化物の連続製造方法。
  2. 前記攪拌型反応器が、前記オレフィン性不飽和基含有重合体の溶液と、前記水素とを向流接触させるものである請求項1に記載の連続製造方法。
  3. 第2段目以降の反応器が、攪拌型反応器、流通式反応器、またはこれらの組み合わせによって構成されている請求項1または2に記載の連続製造方法。
  4. 前記複数の反応器の構成が、第1段から最終段までの順序で表した場合に、攪拌型反応器−攪拌型反応器、攪拌型反応器−攪拌型反応器−流通式反応器、攪拌型反応器−攪拌型反応器−攪拌型反応器、および攪拌型反応器−流通式反応器からなる群より選ばれる一つである請求項3に記載の連続製造方法。
  5. 前記流通式反応器が、前記オレフィン性不飽和基含有重合体の溶液と、前記水素とを並流接触させるものである請求項3または4に記載の連続製造方法。
  6. 最終段の反応器に水素を供給する請求項1〜5のいずれか1項に記載の連続製造方法。
  7. 最終段の反応器に供給された前記水素を、当該反応器から第1段の反応器に至るまで、順次、前段の反応器に供給して再使用する請求項6に記載の連続製造方法。
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