JP4912519B2 - 効率的な共役ジエン系重合体の水素添加方法 - Google Patents

効率的な共役ジエン系重合体の水素添加方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として重合した共役ジエン系重合体を、メタロセン系水素添加触媒を用いて、水素と接触させて共役ジエンの二重結合を水素添加する方法において、触媒量を削減し、且つ短時間で水素添加反応を完了する水素添加方法に関する。更に具体的には、水素添加触媒を数次に分けて添加し、水素添加率98%以上の共役ジエン系重合体を得る際に、追加する水素添加触媒の最適な追加時間を水素の吸収速度を測定する事により決定し、安定に、短時間で経済的に水素添加する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
メタロセン系触媒は、重合物の水素添加(以下水添と略す)に用いる場合、ニッケル系触媒に比べれば、よりマイルドな条件下で、より少ない量で同量の水添を成し遂げるという特徴が有り、この為、水添後、触媒残差を取り除く特別な処理が必要なく、又たとえ行う場合も触媒残差を取り除く処理が軽くて済むという特徴が有るため、近年、よく使われるようになってきた。しかしメタロセン系触媒は、価格が高く、また容易に活性を失い易いという問題を有するため、従来、より高活性で、取扱い方が易しく長期貯蔵安定性の良い水添触媒が種々検討され提案されてきた。例えば、特定のチタノセン化合物とアルキルリチウムを組み合わせて、オレフィン化合物を水添する方法(特開昭61−33132号、特開平1−53851号)、メタロセン化合物と有機アルミニウム、亜鉛、マグネシウムと組み合わせでオレフィン性不飽和(共)重合物を水添する方法(特開昭61−28507号、62−209103号)、特定のチタノセン化合物とアルキルリチウムとの組合せでオレフィン性不飽和基含有リビングポリマーを水添させる方法(特開昭61−47706号、特開昭63−5402号)、チタノセン化合物とトリメチルアルミニウムのメタラサイクル化合物であるTebbe試薬によるオレフィン性不飽和二重結合含有ポリマー中のオレフィン性二重結合を水添する方法(特開平11−71426号)、チタノセン化合物を、特定された量のリチウムアルコキサイトと組み合わせオレフィン性不飽和二重結合含有ポリマー中のオレフィン性二重結合を水添する方法(特開平1−275605)等が提案されている
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この様ないずれの方法においても、工業的な規模で、98%以上の高水添率の共役ジエン系重合体を得ようとすると種々の不具合が発生した。水添反応は激しい発熱反応であり、反応途中で温度が高くなり水添触媒の失活を招くトラブルが発生したり、経済性追求のため触媒使用量を削減すると、水添時間が長くかかったり、はなはだしくは目的の高水添率の重合体が得られないなどのトラブルが生じた。この為、なるべく少ない触媒使用量で、工業的に短時間で安定に高い水添率を達成する為の水添方法の改良が望まれていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは従来技術の上記の問題点を解決すべく鋭意検討した結果、工業的な規模で水添を行う場合、水添触媒を数次に分けて添加する事が大切であり、しかも追加する水添触媒の最適添加時期を、水素の吸収速度を測定することにより決定出来ることを見いだし、安定に短時間で経済的に、高水添率の水添を達成する本発明を成すに至った。
【0005】
本発明は、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として重合した共役ジエン系重合体を、メタロセン系水素添加触媒を2回以上に分けて添加し、高い水素添加率の共役ジエン系重合体を得る際、水素添加触媒の追加時期を水素の吸収速度を測定する事により決定する事を特徴とする改良された共役ジエン系重合体の水素添加方法である。
【0006】
本発明で重合開始剤として用いられる有機アルカリ金属化合物は、一般的に共役ジエン化合物に対しアニオン重合活性があることが知られている脂肪族炭化水素アルカリ金属化合物、芳香族炭化水素アルカリ金属化合物、有機アミノアルカリ金属化合物等が含まれ、アルカリ金属としてはリチウム、ナトリウム、カリウム等である。好適な有機アルカリ金属化合物としては、炭素数1から20の脂肪族および芳香族炭化水素リチウム化合物であり、1分子中に1個のリチウムを含む化合物、1分子中に複数のリチウムを含むジリチウム化合物、トリリチウム化合物、テトラリチウム化合物が含まれる。具体的にはn−プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−ペンチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、ベンジルリチウム、フェニルリチウム、トリルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとsec−ブチルリチウムの反応生成物、さらにジビニルベンゼンとsec−ブチルリチウムと少量の1,3−ブタジエンの反応生成物等があげられる。
【0007】
本発明の共役ジエン系重合体は、共役ジエンのホモ重合体、2種以上の共役ジエンからなる共役ジエンの共重合体、また共役ジエンと共重合可能な他の単量体との共重合体であって、該重合体中に共役ジエンから由来するオレフィン2重結合を有する1,4−重合体、1,2または3,4−重合体を含むものである。共役ジエンとしては、炭素数4から20の炭素原子を有する共役ジエン、具体的には1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン等が挙げられる。工業的に有利に展開でき、物性の優れた弾性体を得る上からは、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。また、共役ジエンと共重合可能な他の単量体として代表的なものはビニル芳香族化合物である。例えばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルエチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン等があげられ、好ましくはスチレン、α−メチルスチレンである。これらの共重合体はランダム、またはブロック共重合体である。
【0008】
水添は通常不活性炭化水素溶媒中で行われるが、この不活性炭化水素溶媒としては、共役ジエン系重合体の溶媒であって水素添加の際に反応に悪影響を与えないものである。本発明ではさらに、重合に引き続いて同じ不活性炭化水素溶媒中で水素添加が行われることが好ましい。好適な溶媒は、例えばn−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタンの如き脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘプタンの如き脂環式炭化水素類、また、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンの如き芳香族炭化水素も、選択された水添条件下で芳香族二重結合が水添されない時に限って使用することができる。この溶媒中に溶かす共役ジエン系重合体の濃度は、5〜40%、好ましくは10〜30%の濃度にする。この濃度が5%より低いと、共役ジエン系重合体と溶媒を分離する後工程の負荷が大きくなり好ましくなく、40%を越える濃度であると粘度がはなはだしく高くなり、水素、水添触媒などとの混合性や伝熱性が低下し、ひいては水添反応に影響するため好ましくない。
【0009】
本発明で用いられるメタロセン系水添触媒は、配位子として同一又は異なる2個の(置換)シクロペンタジエニル基を持つチタン、ジルコニウム、ハフニウム等の有機金属化合物であり、好ましくは還元性の有機金属化合物、例えばアルキルリチウム、アルキルナトリウム、アルキルカリウム、アルキルマグネシウム、アルキルアルミニウム、アルキル亜鉛等と用いられる。
【0010】
水添方法としては、メタロセン系化合物を用いる水添方法であれば公知のいかなる方法も採用できる。好ましくは、水素添加触媒がチタノセン系触媒である水添方法である。例えば、特定のチタノセン化合物とアルキルリチウムを組み合わせて、オレフィン化合物を水添する方法(特開昭61−33132号、特開平1−53851号)、メタロセン化合物と有機アルミニウム、亜鉛、マグネシウムと組み合わせでオレフィン性不飽和(共)重合物を水添する方法(特開昭61−28507号、62−209103号)、特定のチタノセン化合物とアルキルリチウムとの組合せでオレフィン性不飽和基含有リビングポリマーを水添させる方法(特開昭61−47706号、特開昭63−5402号)、チタノセン化合物とトリメチルアルミニウムのメタラサイクル化合物であるTebbe試薬によるオレフィン性不飽和二重結合含有ポリマー中のオレフィン性二重結合を水添する方法(特開平11−71426号)、チタノセン化合物を、特定された量のリチウムアルコキサイトと組み合わせオレフィン性不飽和二重結合含有ポリマー中のオレフィン性二重結合を水添する方法(特開平1−275605)等の何れの方法でも良い。また水添条件も、この様な水添触媒に合わせた、各明細書に書かれた方法を用いる事ができる。
【0011】
水添反応は典型的な発熱反応であり、水添触媒を最初に多量に添加すると激しく反応は進行し、反応温度は上昇していく。反応温度が高温になると水添触媒の分解、二量化等の副反応が顕著になり、水添反応速度は低下していく。更にはなはだしい場合には、途中で反応が停止してしまい、高水添率の重合体が得られなくなる。特に工業的な大きな反応器では、除熱が困難であり、この傾向は顕著となる。
【0012】
この問題を解決するためには水添触媒を、一度に全量添加するのでなく、少量づつ多段回に分けて添加する事であり、当初の1回を含めて2回以上、好ましくは2〜10回に分け、更に好ましくは2〜5回に分けて添加する事である。水添触媒を少量に分割して多段回で添加することにより、急激な発熱反応が抑えられ、水添反応は安定化し、水添触媒の使用量が削減できると共に、水添反応に要する時間も短縮でき、効率的な水添が可能となる。
【0013】
最初に添加する水添触媒の添加量は、一度の触媒添加で水添反応が完結する通常使用量は必要なく、むしろその量より少ない事が望ましい。好ましくは、水素添加率が50%以上かつ90%未満となる量を添加する。具体的な添加量を示せば、通常使用量の70%以下、更に望ましくは50%以下である。このような少量の触媒量の場合には水添反応は途中で停止してしまうが、追加する触媒で反応は継続し、結果として少ない水添触媒使用量で、むしろ短時間で水添反応を完了する事ができる。
【0014】
水添触媒の追加時期は、水素の吸収速度から判断するものである。水素の吸収速度は例えば反応器に加えた水素の量を測定することにより求められ、反応器の圧力、温度が変動する場合には圧力、温度を補正して、反応器に残存する水素量を算出し、反応器に加えた水素の量から加減する事により求められる。さらに、水添反応の制御がやや困難にはなるが、予め反応器に必要量の水素を仕込んでおき、反応器の圧力低下から測定する事も可能である。
【0015】
水添反応が始まると、水素は速やかに吸収されてゆき、通常数分程度の短時間で安定した水素の吸収速度を示す。この安定した水素の吸収速度が本願発明でいう反応開始時の水素の吸収速度である。
【0016】
本願発明の望ましい触媒の追加時期は、水素の吸収速度より決定するものでり、具体的な例を示せば反応開始時の水素の吸収速度に対して80%以下に低下した時点が望ましく、更に望ましくは60%以下に低下した時点である。この時点で追加の触媒を添加すれば触媒の添加量は少なく抑えられ、また水添に要する時間も短い効率的な水添が達成できる。水添率が所定の値を越えていれば、水素の吸収速度が低下していても更に水添触媒を添加する必要は無いが、高い水添率を得るために更に少量の水添触媒を添加しても良い。
【0017】
本願発明のメタロセン触媒を使用し共役ジエン系の重合体を水添する方法では、水添反応速度は水添反応の進行に依存せず、ほぼ一定の速度で推移し、反応後半はむしろ加速する傾向がある。この為水素の吸収速度を観測する事で水添触媒の劣化の程度が推定でき、触媒の追加の必要性、追加の時期を的確に判断する事ができる。
【0018】
本願発明では、水素の吸収速度から水添触媒の追加時期を判断するが、通常この添加時期は条件が同じなら再現性のあるものである。このような場合には、水添触媒の添加タイミングを1回或いは数回この方法で測定し、的確な追加の時期を確認したならば、この追加のタイミングを別の管理指標、例えば時間、水添率或いは反応温度等で代行させても良い。
【0019】
本願発明において追加する水添触媒の量は、二重結合の残存量により適宜選択すれば良い。触媒追加の時点で残存二重結合量が多ければ、多量に添加すれば良いし、少なければ少量添加すれば良い。具体的には最初に添加する触媒量の等量以下、望ましくは70%以下が良い。一度に多量に触媒を添加すると、急激な発熱を引き起こし、触媒の失活反応が顕著となり、望ましいものではない。少量ずつ分けて添加する事により発熱を抑えた安定な水添反応を達成できる。
【0020】
本願発明の水添触媒の追加回数は特に制限が無く、少量づつ小刻みに添加することが望ましい。具体的な追加の回数は、当初の1回を含めて2回から20回であり、更に具体的には2回から5回の範囲である。細かく分けるほど発熱は抑えられ、安定した水添反応が達成できるが、あまり細かく分ける事は煩雑な操作となり、望ましいものでは無い。また追加する触媒を連続的に微量添加することも望ましい方法である。
【0021】
水添触媒は、最初の1回目の添加分は共役ジエン系の重合体と混合した後で活性化しても良いが、少なくとも追加する触媒は、水添活性を発現した後か水素雰囲気で直ちに活性化する状態で添加する事が好ましい。追加する水添触媒は、初回添加分と後添加の触媒は同じ物でなくてもかまわないが、同じ物の方が、運転の簡便性から望ましい。
【0022】
本発明は、96%以上の高い水添率、好ましくは水添率98%以上、より好ましくは水添率99%以上を達成する方法である。水添率が低い場合は、得られる水素添加共役ジエン系重合体の耐候性、耐熱安定性が劣る。
【0023】
本願発明の方法は、バッチ式の水添反応に適応しても良いし、連続式の水添反応に応用しても良い。好ましくはバッチ式で行う方法である。連続式の水添反応に使用するなら、1ヶ或いは複数個の反応器に水添触媒の添加位置を複数個設ければ良いし、或いはチューブ型の反応器、或いはこれらの組み合わせたものを使用して実施しても良い。連続式の場合には、一段目の反応器の水素添加速度を観測して、2段目以降の反応器の水添触媒の添加量を増減させれば良い。なお本発明における水添率は、重合体中に含まれる共役ジエン単位の水添率を意味する。
【0024】
【実施例】
以下実施例、比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例、比較例に用いた各リビングポリマー(Aポリマー及びBポリマー)と水添触媒(TPM/Li)と(Tebbe試薬)の合成例を以下の製造例に示した。
【0025】
製造例1
16m3の撹拌機付き反応器中にシクロヘキサン4.3トン、スチレンモノマー0.20トンを入れた後、n−ブチルリチウム溶液4.8kg、更にテトラメチルエチレンジアミン0.62kgを加え、初期温度を70℃に設定し撹拌下で40分間重合した。次いで、1,3ブタジエンモノマーを0.924トンを含むシクロヘキサン溶液を追加し、1時間重合した。更にスチレンモノマーを0.20トンを含むシクロヘキサン溶液を追加し40分間重合した。得られたリビングポリマー(Aポリマー)は、結合スチレン含有量30%、ブロックスチレン含有量30%、ブタジエン単位の1,2−ビニル結合含有量37%であり、数平均分子量が約23万であるスチレン−ブタジエン−スチレン型のブロックポリマーであった。
【0026】
製造例2
16m3の撹拌機付き反応器中にシクロヘキサン3.88トン、スチレンモノマー0.264トンを入れた後、n−ブチルリチウム溶液17kgを加え、更にテトラメチルエチレンジアミン2.1kgを加え、初期温度を70℃に設定し撹拌下で30分重合した。次いで、1,3ブタジエンモノマーを1.242トン含むシクロヘキサン溶液を追加し45分間重合した。更にスチレンモノマーを0.264トン含むシクロヘキサン溶液を追加し30分間重合した。得られたリビングポリマー(Bポリマー)は、結合スチレン含有量30%、ブロックスチレン含有量30%、ブタジエン単位の1,2−ビニル結合含有量51%である数平均分子量が約6.1万のスチレン−ブタジエン−スチレン型のブロックポリマーであった。
【0027】
製造例3(Tebbe試薬)
特開平11−71426の方法に準拠した方法により水添触媒調製を行った。ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド(TC)5kgをシクロヘキサン70.1kgに添加し、撹拌後、10%トリメチルアルミニウム(TMAL)溶液24.9kgを追加し72時間反応させ、水添触媒(Tebbe試薬)溶液として調製した。
【0028】
製造例4(TPM/Li)
特開平8−33846の方法に準拠した方法により調整した水添触媒を加えた。すなわち、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジ−p−トリル(TPM)6kgをシクロヘキサン526kg中に溶解し、液状1,2ポリブタジエン60kgを添加した後、15%ブチルリチウム溶液を7.1kg添加、更にはエタノール0.6kgを添加し反応させ、水添触媒(TPM/Li)として調製した。
【0029】
実施例1
前処理として、製造例1で得られたリビングポリマー(Aポリマー)に、エチルアルコールをn−ブチルリチウムの0.9等量モル分加え、次いでこのポリマー溶液を20m3の撹拌機付き反応器に全量移送した。さらに該撹拌機付き反応器に、精製乾燥したシクロヘキサンを加えて12%のポリマー濃度のシクロヘキサン溶液に調整した後、撹拌下で反応器内を初期温度80℃に設定した、反応器内を水素ガスで置換し、更に0.7MPaの水素ガス加圧下とした。このポリマー溶液に、製造例4で得られた触媒(TPM/Li)を、Ti重量基準でポリマー重量に対し20ppmとなるように反応容器内に添加し、水添を開始した。水添反応開始2分後に水素の吸収速度が安定し、7.2Nm3/分となった。水素の吸収速度がスタート時の速度の70%まで低下した時点で追加の触媒20ppmを添加した。この時点の水素ガスの消費量からみたポリマーの水添率は85.4%であった。さらに水添反応を継続し、水素ガスの消費量からみたポリマーの水添率が100%となり、水素のポリマー溶液への吸収も停止したので水添を終了し、NMR法によりポリマーの水添率を測定したところ99.7%であった。なお水添中の最高到達温度は92℃、反応に要した時間は42分であった。
【0030】
実施例2
前処理として、製造例1で得られたリビングポリマー(Aポリマー)に、エチルアルコールをn−ブチルリチウムの0.9等量モル分加え、次いでこのポリマー溶液を20m3の撹拌機付き反応器に全量移送した。更に該撹拌機付き反応器に、精製乾燥したシクロヘキサンを加えて12%のポリマー濃度のシクロヘキサン溶液に調整した後、撹拌下で反応器内を初期温度80℃に設定した後、反応器内を水素ガスで置換し、更に0.7MPaの水素ガス加圧下とした。このポリマー溶液に、製造例4で得られた触媒(TPM/Li)を、Ti重量基準でポリマー重量に対し15ppmとなるように反応容器内に添加し、水添を開始した。水添反応開始2分後に水素の吸収速度が安定し、5.8Nm3/分となった。水素の吸収速度がスタート時の速度の70%まで低下した時点で追加の触媒10ppmを添加した。この時点の水素の消費量からみたポリマーの水添率は80.1%であった。再度水素の吸収速度がスタート時の70%まで低下したので追加の触媒5ppmを添加した。この時点の水素の消費量から見たポリマーの水添率は94.5%であった。さらに水添反応を継続し、水素ガスの消費量からみたポリマーの水添率が100%となり、水素のポリマー溶液への吸収も停止したので水添を終了し、NMR法によりポリマーの水添率を測定したところ99.9%であった。なお水添中の最高到達温度は90℃、反応に要した時間は39分であった。
【0031】
実施例3
前処理として、製造例2で得られたリビングポリマー(Bポリマー)に、トリメチルクロルシランをn−ブチルリチウムの0.9等量モル分加え、次いでこのポリマー溶液を20m3の撹拌機付き反応器に全量移送した。更に該撹拌機付き反応器に、精製乾燥したシクロヘキサンを加えて17%のポリマー濃度のシクロヘキサン溶液に調整した後、撹拌下で反応器内を初期温度80℃に設定した後、反応器内を水素ガスで置換し、更に0.7MPaの水素ガス加圧下とした。このポリマー溶液に、製造例3と同様の方法で調整された水添触媒(Tebbe試薬)をTi重量基準でポリマー重量に対し12ppm反応容器内に添加し、水添を開始した。水添反応開始2分後に水素の吸収速度が安定し、6.3Nm3/分となった。水素の吸収速度がスタート時の速度の50%に低下した時点で追加の触媒(TTebbe試薬)を5ppmを添加した。この時点で水素ガスの消費量からみたポリマーの水添率は82.0%であった。再度水素の吸収速度がスタート時の50%に低下した時点で追加の触媒(TC/TMAL)を5ppmを添加した。この時点の水素の吸収量からみたポリマーの水添率は91.1%であった。更に水素の吸収速度がスタート時の速度の50%に低下した時点で追加の触媒(TC/TMAL)を3ppmを添加した。この時点の水素の吸収量からみたポリマーの水添率は97.5%であった。さらに水添反応を継続し、水素ガスの消費量からみたポリマーの水添率が100%となり、水素のポリマー溶液への吸収も停止したので水添を終了し、NMR法によりポリマーの水添率を測定したところ100%であった。なお水添中の最高到達温度は90℃、反応に要した時間は38分であった。
【0032】
比較例1
製造例1と同様の方法で得られたリビングポリマー(Aポリマー)溶液を、実施例1と同様の方法で前処理した後、20m3の撹拌機付き反応器に全量移送し12%のポリマー溶液とした。撹拌下で反応器内を初期温度80℃に設定した後、反応器内を水素ガスで置換し、0.7MPaの水素ガス加圧下とした。このポリマー溶液に、製造例4で得られた触媒(TPM/Li)をTi重量基準でポリマー重量に対し40ppmとなるように添加し、水添を開始した。水添開始52分後、水素ガスの消費量からみたポリマーの水添率は91.3%で有ったが、水素のポリマー溶液への吸収がほぼ停止していたため、水添を終了した。NMR法による最終ポリマーの水添率は91.2%であった。なお水添中の最高到達温度は95℃であった。
実施例1と比較例1から明かなように、同じ水添触媒量を使用した場合には、最初に全ての触媒を添加する比較例の方法では、目標とする水添率を得ることはできない。
【0033】
比較例2
製造例1と同様の方法で得られたリビングポリマー(Aポリマー)溶液を、実施例1と同様の方法で前処理した後、20m3の撹拌機付き反応器に全量移送し12%のポリマー溶液とした。撹拌下で反応器内を初期温度80℃に設定した後、反応器内を水素ガスで置換し、0.7MPaの水素ガス加圧下とした。このポリマー溶液に、製造例4で得られた触媒(TPM/Li)をTi重量基準でポリマー重量に対し20ppmとなるように添加し、水添を開始した。水添開始後15分後に追加の触媒を20ppm添加した。水素ガスの消費量からみたポリマーの水添率は43.3%であった。水添開始51分後、水素ガスの消費量からみたポリマーの水添率は93.5%で有ったが、水素のポリマー溶液への吸収がほぼ停止していたため、水添を終了した。NMR法による最終ポリマーの水添率は93.4%であった。なお水添中の最高到達温度は94℃であった。
【0034】
実施例1と比較例2より明かなように、水添触媒を2回に分けて添加する場合にも、触媒追加のタイミングが不適当だと目標とする水添率の製品を得ることが出来ない。本願発明の水素の吸収量を測定しながら添加の時期を決定する方法を使用すると、触媒活性度が的確に判断でき、目標とする高い水添率のポリマーを、低い水添触媒使用量で、しかも短時間に得ることが出来る事が分かる。
【0035】
【表1】
Figure 0004912519
【0036】
【発明の効果】
本発明は、メタロセン系水添触媒を使用して水添率98%以上の共役ジエン系重合体を得る際に、水添触媒を数次に分けて添加し、追加する触媒の添加時期を水素の吸収速度を用いて決定する事により、少ない水添触媒量で安定に短時間で確実に水添できる工業的に極めて有利な方法を提供するものである。

Claims (5)

  1. 有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として重合した共役ジエン系重合体を、メタロセン系水素添加触媒を2回以上に分けて添加し、水素添加共役ジエン系重合体を得る際、水素の吸収速度が反応開始時の水素の吸収速度の80%以下に低下すればメタロセン系水素添加触媒を追加する事を特徴とする水添率が98%以上である改良された共役ジエン系重合体の水素添加方法
  2. 請求項1において、水添反応をバッチ式で行う事を特徴とする水添率が98%以上である改良された共役ジエン系重合体の水素添加方法。
  3. 請求項1又は2のいずれかにおいて、最初に添加する水素添加触媒量は、水添率が50%以上かつ90%未満となる量を添加する事を特徴とする水添率が98%以上である改良された共役ジエン系重合体の水素添加方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項において、追加する水素添加触媒量を最初に加える水素添加触媒量の等量以下にする事を特徴とする水添率が98%以上である改良された共役ジエン系重合体の水素添加方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項において、水素添加触媒がチタノセン系触媒である事を特徴とする水添率が98%以上である改良された共役ジエン系重合体の水素添加方法。
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