JP3806357B2 - スライドドアの給電機構 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スライドドア側の機能部品と車体側の機能部品との間を電気的に接続するスライドドアの給電機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ワンボックスカー等において、スライドドア側の機能部品と車体側の機能部品との間を、スライドドアの開閉動作に応じて湾曲変位するフレキシブルフラットケーブルを介して電気的に接続するスライドドアの給電機構が用いられることは良く知られている。
【0003】
例えば、図7に示すように(特開2000-177508 号公報参照) 、スライドドア100 の下部にアーム101 を介して付設されたローラユニット102 が、車体側部103 の車両前後方向に延在するガイドレール(図示せず)に沿って移動することで、ドア開口部がスライドドア100 で開閉される。そして、前記アーム101 に付設したブラケット104 に一端が接続された可撓部材105 の他端が車体側部103 に付設したブラケット106 に接続され、該可撓部材105 によってスライドドア側のタッチセンサ(図示せず)と車体側のCPU107 とが電気的に接続されると共に、可撓部材105 自体の湾曲変位によってスライドドア100 の開閉移動に良好に追従し得るようになっている。
【0004】
尚、前記可撓部材105 は、給電線及び該給電線を被覆する絶縁体を有するフレキシブル導体(フレキシブルフラットケーブル)と、該フレキシブル導体に沿って配設されると共にスライドドア100 のスライド方向の垂直断面が凹面を有する帯状鋼板とから構成される。この帯状鋼板は、可撓部材105 が湾曲変位する際に、湾曲部位の外側方向への広がりを規制することで、スライドドアの給電機構を配設する際のスペースの自由度を向上させることを狙ったものである。また、上述したように縦向きに使用されるフレキシブル導体の撓みや形状の崩れを防止するために、配線を被覆する可撓性(樹脂)帯板の樹脂部分の高さを2倍にして断面係数や断面2次モーメントを大きくするようにした技術が、特許第3216872 号で開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述したようにフレキシブル導体を支持する帯状鋼板を用いたスライドドアの給電機構にあっては、帯板鋼板の湾曲部位は、曲率を小さくすると折れてしまうので、ある程度の湾曲幅が必要である。このため、車体には帯板鋼板の湾曲幅より車両の左右方向に広いスペースが必要であり、スペースが狭い場合には使用することができないという問題点があった。
【0006】
また、配線を被覆する可撓性(樹脂)帯板の樹脂部分の高さを2倍にしたものにあっては、縦方向の高さが大きくなるので、車両の上下方向に大きな設置スペースを確保しなければならないという問題点があった。
【0007】
さらに、両者ともフレキシブル導体に加工を施す必要があるため、構造が複雑になりコストアップを招来するという問題点もあった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、巻掛け伝動機構を用いるという簡単な構造で、スライドドアの開閉に対する良好な追従性を確保しつつ、省スペースとコストダウンが図れるスライドドアの給電機構を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための、本発明に係るスライドドアの給電機構は、スライドドア側の機能部品と車体側の機能部品との間を、スライドドアの開閉動作に応じて湾曲変位するフレキシブルケーブルを介して電気的に接続するスライドドアの給電機構において、前記スライドドアと一体的に連結されると共に前記車体側に敷設されたガイドレールに沿ってスライドドアの開閉方向に回転及び移動可能な巻掛け伝動機構を設け、前記フレキシブルケーブルの一端側を前記ガイドレールに固定して車体側の機能部品に電気的に接続する一方、同フレキシブルケーブルの他端側を前記巻掛け伝動機構に巻回した後、端部寄りを同巻掛け伝動機構に固定して前記スライドドア側の機能部品と電気的に接続すると共に、前記巻掛け伝動機構は、縦向きに使用されると共に前記フレキシブルケーブルの端部寄り固定部に前記スライドドアから延出されたアームが結合される無端ベルトと、該無端ベルトの内側両端に配置されたプーリと、同無端ベルトの内側中間部に配置された複数のローラと、前記プーリと該プーリに隣接するローラ間、及び相互に隣接するローラ間にそれぞれ架設されて同プーリ及びローラを回転自在に支持するアームと、相互に隣接するアーム間に介装されて前記各ローラを互い違いに前記無端ベルトに押し付ける引張りばねと、を備えるので、巻掛け伝動機構を用いるという簡単な構造で、スライドドアの開閉に対する良好な追従性を確保しつつ省スペースとコストダウンが図れるようにした。
【0011】
また、前記巻掛け伝動機構は、一側面にスリット状開口部を有した断面矩形のガイドレール内に収装され、前記プーリ及びローラの上下に装着しベアリングを介して回転及び移動可能に案内されるので、巻掛け伝動機構の作動性が向上される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るスライドドアの給電機構を実施例により図面を用いて詳細に説明する。
【0013】
図1は本発明の一実施例を示すスライドドアの給電機構の全体平面図、図2は図1のII-II 線断面図、図3はガイドレール部の斜視図、図4は図3のIV矢視図、図5は図4のA-A 線、B-B 線及びC-C 線の各断面図、図6は作用説明図である。
【0014】
図1及び図2に示すように、車体1の側部にドア開口2が設けられ、スライドドア3で開閉されるようになっている。スライドドア3の下部にはロアアーム4が付設され、このロアアーム4の先端に付設したローラユニット5が、前記ドア開口2のステップ6下方に敷設したチャンネル状のロアレール7内を車両前後方向に移動可能になっている。前記ロアアーム4の中間部には自在継手8が設けられている。
【0015】
前記ロアレール7の直上には、リップ溝付きチャンネル状のガイドレール9がロアレール7に沿って車両前後方向に敷設され、このガイドレール9内を後述する駆動ベルト機構(巻掛け伝動機構)10が車両前後方向に移動可能になっている。また、前記ガイドレール9内には、図3にも示すように、一端側を前記ガイドレール9に固定し、他端側を前記駆動ベルト機構10に巻回した後、端部寄りを同駆動ベルト機構10に固着したフレキシブルフラットケーブル11も収装されている。
【0016】
前記フレキシブルフラットケーブル11の一端側は、コネクタ12及びハーネス13を介して図示しない車体1側の機能部品(ECU等)に電気的に接続される一方、他端側は、コネクタ14及びハーネス15を介して図示しないスライドドア3側の機能部品(スイッチ、センサ等)に電気的に接続される。前記スライドドア3側のコネクタ14及びハーネス15は、一端が前記ガイドレール9のリップ溝(スリット状開口部)9a内を貫通して前記駆動ベルト機構10に一体的に連結し他端がロアアーム4に結合した補助アーム16上に支持される。尚、補助アーム16の一端部には前記ガイドレール9のリップ溝9aが係合する上下一対の溝部16aが形成され、該溝部16a内には横方向規制用のスプリング部材23が収装される。
【0017】
前記駆動ベルト機構10は、図4及び図5にも示すように、縦向きに使用されると共に前記フレキシブルフラットケーブル11の端部寄り固定部に前記補助アーム16の一端が結合される無端ベルト17と、該無端ベルト17の内側両端に配置されたプーリ18と、同無端ベルト17の内側中間部に配置された複数(図示例では3個)のローラ19と、前記プーリ18と該プーリ18に隣接するローラ19間、及び相互に隣接するローラ19間にそれぞれ架設されて同プーリ18及びローラ19を回転自在に支持する支持アーム20と、相互に隣接する支持アーム20間に介装されて前記各ローラ19を互い違いに前記無端ベルト17の内側に押し付ける引張りばね21とを備える。また、前記プーリ18及びローラ19の上下にはボールベアリング22が装着される。
【0018】
このように構成されるため、スライドドア3が全閉状態から全開状態に移行する際は、図6にも示すように、スライドドア3と一体のロアアーム4及び補助アーム16が開方向に移動することから、駆動ベルト機構10の無端ベルト17とプーリ18及びローラ19が平面視で開方向(反時計回り)に回転すると共に開方向(右方)に移動する。
【0019】
そして、ロアアーム4及び補助アーム16がフレキシブルフラットケーブル11を伴ってガイドレール9の前端(左端)位置から後端(右端)位置まで移動することで、駆動ベルト機構10自体もガイドレール9の前端(左端)位置から後端(右端)位置まで移動する。
【0020】
このようにロアアーム4及び補助アーム16がガイドレール9の前端(左端)位置から後端(右端)位置まで移動することで、フレキシブルフラットケーブル11がスライドドア3の閉から開まで追従する。尚、この際、フレキシブルフラットケーブル11が略U字状に湾曲するように、即ち、略半分の長さで折り返すように、駆動ベルト機構10の全長が予め設定されている。一方、スライドドア3が全開状態から全閉状態に移行する際は、上記の逆動作となることが自明であるので説明は省略する。
【0021】
そして、本実施例では、フレキシブルフラットケーブル11は湾曲部位の曲率を比較的小さくすることが可能な市販のものをそのまま使用することができるので、駆動ベルト機構10のプーリ18及びローラ19を可及的に小径化することで、フレキシブルフラットケーブル11の湾曲幅を小さくすることができ、車体1における設置スペースの縮小化が図れ、ステップ6の下方に良好に設置できる。また、市販のものをそのまま使用することができるので、構造が簡単でコストダウンが図れる。
【0022】
また、ガイドレール9の内側に無端ベルト17を沿わせ、プーリ18と該プーリ18に隣接するローラ19間及び相互に隣接するローラ19間を繋ぐ支持アーム20に引張りばね21を設けてローラ19に外側方向へ力をかけておくことで、無端ベルト17の緩みを防止することができる。勿論、フレキシブルフラットケーブル11は駆動ベルト機構10により常に引っ張られた状態で湾曲変位するので、緩みや捩じれはない。
【0023】
また、ガイドレール9のリップ溝9aに補助アーム16の一端部を溝部16aを介して沿わせ、上下方向、横方向を規制するようにしているので、無端ベルト17の捩じれも防止できる。また、前記プーリ18及びローラ19の上下にボールベアリング22を装着しているので、ガイドレール9内を駆動ベルト機構10が円滑に移動でき、その作動性が向上される。
【0024】
また、前記駆動ベルト機構10は、無端ベルト17と該無端ベルト17の内側両端に配置されたプーリ18と同無端ベルト17の内側中間部に配置された複数のローラ19と前記プーリ18及びローラ19を回転自在に支持する支持アーム20と互に隣接する支持アーム20間に介装されて前記各ローラ19を互い違いに前記無端ベルト17の内側に押し付ける引張りばね21とからなるので、通常の巻掛け伝動機構を若干改良すればよく、簡単な構造でフレキシブルフラットケーブル11の良好な追従性が確保される。
【0025】
また、前記溝部16a内に設けたスプリング部材23により、補助アーム16はガイドレール9のコーナ部も滑らかに可動させられる。
【0026】
尚、本発明は上記実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、各種変更が可能であることは言うまでもない。例えば、大きさによっては、フレキシブルフラットケーブル11に限らず、通常のハーネスでも良い。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1の発明によれば、スライドドア側の機能部品と車体側の機能部品との間を、スライドドアの開閉動作に応じて湾曲変位するフレキシブルケーブルを介して電気的に接続するスライドドアの給電機構において、前記スライドドアと一体的に連結されると共に前記車体側に敷設されたガイドレールに沿ってスライドドアの開閉方向に回転及び移動可能な巻掛け伝動機構を設け、前記フレキシブルケーブルの一端側を前記ガイドレールに固定して車体側の機能部品に電気的に接続する一方、同フレキシブルケーブルの他端側を前記巻掛け伝動機構に巻回した後、端部寄りを同巻掛け伝動機構に固定して前記スライドドア側の機能部品と電気的に接続すると共に、前記巻掛け伝動機構は、縦向きに使用されると共に前記フレキシブルケーブルの端部寄り固定部に前記スライドドアから延出されたアームが結合される無端ベルトと、該無端ベルトの内側両端に配置されたプーリと、同無端ベルトの内側中間部に配置された複数のローラと、前記プーリと該プーリに隣接するローラ間、及び相互に隣接するローラ間にそれぞれ架設されて同プーリ及びローラを回転自在に支持するアームと、相互に隣接するアーム間に介装されて前記各ローラを互い違いに前記無端ベルトに押し付ける引張りばねと、を備えるので、巻掛け伝動機構を用いるという簡単な構造で、スライドドアの開閉に対する良好な追従性を確保しつつ省スペースとコストダウンが図れる。
【0029】
請求項の発明によれば、前記巻掛け伝動機構は、一側面にスリット状開口部を有した断面矩形のガイドレール内に収装され、前記プーリ及びローラの上下に装着しベアリングを介して回転及び移動可能に案内されるので、巻掛け伝動機構の作動性が向上される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すスライドドアの給電機構の全体平面図である。
【図2】図1のII-II 線断面図である。
【図3】ガイドレール部の斜視図である。
【図4】図3のIV矢視図である。
【図5】図4のA-A 線、B-B 線及びC-C 線の各断面図である。
【図6】作用説明図である。
【図7】従来のスライドドアの給電機構の平面図である。
【符号の説明】
1 車体
2 ドア開口
3 スライドドア
4 ロアアーム
5 ローラユニット
6 ステップ
7 ロアレール
8 自在継手
9 ガイドレール
10 駆動ベルト機構
11 フレキシブルフラットケーブル
12,14 コネクタ
13,15 ハーネス
16 補助アーム
16a 溝部
17 無端ベルト
18 プーリ
19 ローラ
20 支持アーム
21 引張りばね
22 ボールベアリング
23 スプリング部材

Claims (2)

  1. スライドドア側の機能部品と車体側の機能部品との間を、スライドドアの開閉動作に応じて湾曲変位するフレキシブルケーブルを介して電気的に接続するスライドドアの給電機構において、
    前記スライドドアと一体的に連結されると共に前記車体側に敷設されたガイドレールに沿ってスライドドアの開閉方向に回転及び移動可能な巻掛け伝動機構を設け、
    前記フレキシブルケーブルの一端側を前記ガイドレールに固定して車体側の機能部品に電気的に接続する一方、同フレキシブルケーブルの他端側を前記巻掛け伝動機構に巻回した後、端部寄りを同巻掛け伝動機構に固定して前記スライドド
    ア側の機能部品と電気的に接続すると共に、
    前記巻掛け伝動機構は、縦向きに使用されると共に前記フレキシブルケーブルの端部寄り固定部に前記スライドドアから延出されたアームが結合される無端ベルトと、該無端ベルトの内側両端に配置されたプーリと、同無端ベルトの内側中間部に配置された複数のローラと、前記プーリと該プーリに隣接するローラ間、及び相互に隣接するローラ間にそれぞれ架設されて同プーリ及びローラを回転自在に支持するアームと、相互に隣接するアーム間に介装されて前記各ローラを互い違いに前記無端ベルトに押し付ける引張りばねと、を備えることを特徴とするスライドドアの給電機構。
  2. 前記巻掛け伝動機構は、一側面にスリット状開口部を有した断面矩形のガイドレール内に収装され、前記プーリ及びローラの上下に装着しベアリングを介して回転及び移動可能に案内されることを特徴とする請求項2記載のスライドドアの給電機構。
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