JP3805278B2 - 電子部品吸着ノズル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、電子部品装着機に使用する電子部品吸着ノズルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子部品装着機には、所要の電子部品を吸着し、回路基板の所定個所に装着するための電子部品吸着ノズルが用いられている。
【0003】
従来、電子部品吸着ノズルとしては、超硬金属製のノズルの先端に例えば図5のような形状のノズル開口71を形成したものが用いられている。このような電子部品吸着ノズルは前記ノズル開口71を形成した後、先端の吸着面にダイヤモンドコーティングを施して、耐磨耗性と着磁防止機能を付与している。
【0004】
このノズル開口71は、図5に示すように中央スリット72とスリット72の中央から左右に対称的に放射状に延びたV字形スリット73、74から形成され、中心軸X、Yにそれぞれ対称であり、電子部品に吸着力の作用する吸着部分と電子部品を受け止める支持部分とが交互にかつ均等に分散配置された構成を有しており、部品の大小や、吸着位置ずれにも対応することができた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の吸着ノズルは、放射状に形成したスリットによりノズル開口71が構成されているため、吸着時に電子部品を受け止める支持部が自ずから鋭角形状となり、鋭角形状の尖端部に欠けが生じやすいと云った圧縮強度上の問題がある。具体的には、二点鎖線枠50を吸着する最小な電子部品とすると、電子部品50に吸着力が作用するのは図のドットを付加した領域J、K、L、M、Nであり、この電子部品50にかかる吸着力は図の斜線を付加して示した鋭角形状の支持部75〜80で受け止められ、基板への部品装着時にはこの鋭角形状支持部にさらに大きな圧縮力が負荷されるので、高硬度材に欠けを生じ易い。
【0008】
本発明の目的は、加工性と耐久性にすぐれた電子部品吸着ノズルを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記のような目的を達成するため、本発明の電子部品吸着ノズルは、一文字状の中央スリットと、中央スリットの長手方向の両側に外方向に開いて対称的に設けたコの字形のスリットとから成り、これらスリットを通じ吸着した電子部品を支承する支持部が、電子部品吸着ノズルの中心軸の方向に突出した4つの支持脚から成り、いずれも鋭角部分を有することなくほぼ方形状に形成されている開口を有することを主たる特徴とするものである。
【0010】
前記4つの支持脚は、ほぼ同程度の幅と長さを有したものとすることができる。
【0011】
また、上記に加え、さらに、前記4つの支持脚による支持部とこの支持部間で対向する電子部品を吸着する吸着部とが前記中心軸まわりに、交互にかつほぼ均等に分散して配置されたものとしたり、前記4つの支持脚は、矩形状電子部品の4辺を支持するようにしたりすることもできる。
【0012】
【作用】
本発明の電子部品吸着ノズルの上記主たる特徴の構成では、ノズル孔のノズル開口の形状が、一文字状の中央スリットと、中央スリットの長手方向の両側に外方向に開いて対称的に設けたコの字形スリットとから成り、これらスリットを通じ吸着した電子部品を支承する支持部が、電子部品吸着ノズルの中心軸の方向に突出した4つの支持脚から成り、いずれも鋭角部分を有することなくほぼ方形状に形成されているので、吸着部分と支持部分との分散配置による部品吸着の安定性を損なわずに、部品支持部を鋭角部のないほぼ方形状として、開口部に欠けの生じにくい耐圧縮性に優れたノズルが得られる。また、吸着口に鋭角部分、とくに細かい鋭角部分がないので、加工性は良好である。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明による電子部品吸着ノズルの製造工程の説明図である。これについて、概略を説明する。
【0015】
(a)超硬金属のノズルパイプ4の先端にダイヤモンドチップ2を固着して成るノズル棒1の他端(基部)を所定の径に細く削成して、シャンク5と接続するための接続部41を形成する。ダイヤモンドチップ2としては、細かい粒状のダイヤモンドをバインダーにより、たとえば2mm前後の厚みに固めたものが使用されている。
【0016】
(b)ノズル棒1の接続部41をシャンク5の一端に設けられた接続用孔に挿入し、両者の突き合わせ部分を接着等により接続する。これにより、ノズル棒1とシャンク5とが一体に接続され、かつノズルパイプ4とシャンク5に予め設けられているエア流れ用孔が接続される。なおシャンク5の他端(図では下端)には、電子部品装着ヘッド(図示せず)に装着するための装着部6が予め設けられている。
【0017】
(c)ノズル棒1の先端部付近を角切加工し、ノズル吸着口に必要な形状と寸法に適合した断面形状と大きさのノズルブロック3を形成する。ノズルブロック3の断面は、吸着対象電子部品の寸法にもよるが、微小部品用の場合、たとえば、1.2mm×1.5mm程度の大きさとなる。ダイヤモンド、超硬合金等の超硬材料にしかもかなりの微細加工を施す必要があるので、ワイヤ放電加工を用いることが好ましい。次の(d)、(e)工程についても同じである。
【0018】
放電加工では、絶縁性の加工液中で微小間隙をおいて、工具電極と工作物との間に100v前後の電圧を印加してパルス状にアーク放電させ、放電による両者の溶融、気化および、これによる衝撃圧により、工作物にクレータを生じさせ、超硬金属、ダイヤモンド等を精度良く加工でき、また加工時に働く力が小さく、熱影響が少なく、複雑形状の加工が容易であり、自動化もし易く、上記の加工に好適である。ワイヤ放電加工は、電極として金属細線を用いるものであり、上記の微細加工に効果的である。
【0019】
(d)ダイヤモンドチップ2の中心に、ワイヤ放電加工により、中心軸Aの方向の中心孔を形成する。これにより、ノズル棒1全体を通る貫通孔pが形成される。なおノズル棒1の超硬度金属として中心孔を有しない棒材を用いた場合には、この工程により、棒材自体にも中心孔を形成することができる。
【0020】
(e)ダイヤモンドチップ2に、ワイヤ放電加工により、所定形状のノズル開口11を持ったノズル孔10を形成する。ノズル孔10は、シャンク5に予め設けられている空気流れ孔(図示せず)と繋がり、ノズル棒1全体の吸引エア通路となる。
【0021】
なお、上記a)〜e)の工程の順序は一部変更することができるが、精度維持のため、ノズル孔形成工程(e)は最終であることが望ましく、またワイヤ放電加工を用いる工程は、生産効率上連続させる方が望ましい。
【0022】
上記の製造方法により、電子部品吸着ノズル7の製造時にノズル先端にダイヤモンドコーティングを施す必要が無くなり、製作が容易となり製作時間が短縮されるとともに、歩留りが向上し、その結果製造コストは約30〜40%程度低減された。
【0023】
図2は、図1の方法により製造された本発明の1実施形態の電子部品吸着ノズル7のノズル棒1の部分の拡大図であり、ダイヤモンドチップ2がノズルブロック3の先端に固着されている。ノズルブロック3はノズルパイプ4の先端にダイヤモンドチップ2と共に形成され、ノズル棒1の下部は図1に示すように、シャンク5に固着されている。
【0024】
電子部品吸着ノズル7の先端付近にはノズル孔10のノズル開口11が形成され、長方形のノズル吸着面20に開口している。
【0025】
図3は、本発明の1実施形態の電子部品吸着ノズル7の先端開口面の平面図であり、ノズル先端を構成するダイヤモンドチップ2、従ってノズル吸着面20は、長方形状を有する。ノズル孔10のノズル開口11はノズル吸着面20の長方形の中心線X、Yにそれぞれ対称であり、電子部品吸着ノズル7の中心軸Aに点対称の形状を有している。
【0026】
ノズル開口11は、具体的には、一文字状でやや細長の中央スリツト12と、中央スリツト12の長さ方向の両側に外方向に開いて、中心線X、Yにそれぞれ対称に設けられたコの字形スリット13、14から成っている。一方、吸着した電子部品50を支承するための支持部は、電子部品吸着ノズル7の中心軸Aの方向に突出した支持脚21、22、23、24から成り、いずれもほぼ方形状に形成されて、鋭角部分を有することなく、またほぼ同程度の幅と長さ、面積を有している。なお、ノズル開口11の外向き部分の角はほぼ円形に形成されている。
【0027】
上記構成においては、X、Y2軸方向について、電子部品50を支承すべき支持部分と吸着すべき吸着部分とが交互にかつほぼ均等に分散して配置されている。例えばY軸方向にみると、中央部では、支持脚23−中央スリット12による吸着部分−支持脚24の如く交互にほぼ均等に分散して配置され、また中央の左側部分でも、外枠支持部−吸着部分131−支持脚21−吸着部分132−外枠支持部分のように、両者が交互に且つほぼ均等に分散して配置されている。中央の右側部分、およびX軸方向についても、同じである。
【0028】
二点鎖線枠の電子部品50は、ノズル吸着面20に吸着された最小な電子部品50の1例であり、電子部品吸着ノズル7の吸着位置、支持位置、電子部品50との相対関係を示している。この関係において、ドットを付加して示した部分A、B、C、D、E、F、Gは電子部品50の表面に吸着力が作用する吸着位置、斜線を付加して示した部分S、T、U、V及び外枠部分は電子部品50を支承する支持位置に該当し、ノズル吸着面20上において、吸着位置と支持位置とが図3に示すように中心軸Aのまわりに交互にかつほぼ均等に分散配置された状態となっており、この関係が図にも明確に示されている。吸着位置と支持位置とのこの関係は、破線枠の電子部品50より多少小さい場合、十分大きい場合(例えばノズル端面と同じ大きさの場合)でも、また吸着の角度が中心軸のまわりに若干回転している場合でも、ほぼ維持される。
【0029】
またノズル開口11の輪郭が電子部品50の輪郭よりはみ出す場合には、はみ出し部分からの吸引エアの抜けが生じるが、図2の場合この抜けの生じる範囲(ノズル開口11の輪郭内の白い部分)も電子部品50の4隅に均等に分散され、電子部品50を正常位置にかつ正常な向きに安定して吸着するのに役立つ。
【0030】
図4に、本発明の製造方法および構成による電子部品吸着ノズル7(No.1)と従来の電子部品吸着ノズル(No.2)とのノズル性能を比較して示した。図4に示されるように、本発明の電子部品吸着ノズル7によれば、上記の製造方法および中央スリット12と、中央スリット12の長手方向の両側に対称的に設けたコの字形のスリット13、14から成るノズル開口11を有する電子部品吸着ノズル7を構成することにより、吸着性能が総合的に格段に向上した。
【0031】
例えば、圧縮強度は、図5の従来品の96.9Kgから153.0Kgと約1.6倍に高められ、またエッジ部耐磨耗性も一段と向上し、その結果ノズル寿命については、従来の3〜10倍に向上し、1個のノズルで1000万個程度の部品吸着が可能となる場合もあった。
【0032】
また、吸着力も十分であり、エアー流れは均一であった。
【0033】
また立ち吸着優位性の点でも改善が得られた。即ち、部品に対する吸着位置分布と支持位置分布とが偏ることなく、吸着面上で交互にかつほぼ均等に分散しているので、部品吸着位置が若干ずれても正常な姿勢で吸着することができる。
【0034】
したがつて、本発明によれば、ノズルの製造、使用面での経済性が向上するとともに、また上記の従来のノズルの弱点であったエッジ部磨耗性、圧縮強度等の問題が解消されて、安定な吸着性能を長く維持でき、耐久性にすぐれた電子部品吸着ノズルを構成することが可能となった。
【0035】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、吸着部分と支持部分との分散配置による部品吸着の安定性を損なわずに、部品支持部に鋭角部がなく欠けの生じにくい耐圧縮性に優れ、しかも、吸着口に鋭角部分、とくに細かい鋭角部分がないので加工性は良好である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電子部品吸着ノズルの製造工程の1例図。
【図2】本発明の1実施形態の電子部品吸着ノズルの要部構成図。
【図3】本発明の1実施形態の電子部品吸着ノズルのノズル開口の平面図。
【図4】本発明の電子部品吸着ノズルと従来のノズルとのノズル性能比較図。
【図5】従来の電子部品吸着ノズルのノズル開口の構成例図。
【符号の説明】
1 ノズル棒
2 ダイヤモンドチップ
4 ノズルパイプ
6 装着部
7 電子部品吸着ノズル
10 ノズル孔
11 ノズル開口
12 中央スリット
13 14 コの字形スリツト
20 ノズル吸着面
50 電子部品
A 中心軸
B〜G 吸着位置
S〜V 支持位置
Claims (4)
- 一文字状の中央スリットと、中央スリットの長手方向の両側に外方向に開いて対称的に設けたコの字形のスリットとから成り、これらスリットを通じ吸着した電子部品を支承する支持部が、電子部品吸着ノズルの中心軸の方向に突出した4つの支持脚から成り、いずれも鋭角部分を有することなくほぼ方形状に形成されている開口を有することを特徴とする電子部品吸着ノズル。
- 前記4つの支持脚は、ほぼ同程度の幅と長さを有している請求項1に記載の電子部品吸着ノズル。
- 前記4つの支持脚による支持部とこの支持部間で対向する電子部品を吸着する吸着部とが前記中心軸まわりに、交互にかつほぼ均等に分散して配置された請求項1又は2に記載の電子部品吸着ノズル。
- 前記4つの支持脚は、矩形状電子部品の4辺を支持する請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子部品吸着ノズル。
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