JP2010036295A - ドリル及びドリルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】刃部の耐摩耗性を高めて、工具寿命の向上を図ることができるドリル及びドリルの製造方法を提供すること。
【解決手段】ドリル100によれば、単結晶ダイヤモンドの結晶面の中で最も硬さに優れているとされる(111)結晶面により中心軸線Cに直角な刃部20の断面を構成することで、中心軸線Cの方向、即ち、被削材を削り込む方向に対する刃部20の耐摩耗性を高めることができる。これにより、工具寿命の向上を図ることができる。
【選択図】図1
【解決手段】ドリル100によれば、単結晶ダイヤモンドの結晶面の中で最も硬さに優れているとされる(111)結晶面により中心軸線Cに直角な刃部20の断面を構成することで、中心軸線Cの方向、即ち、被削材を削り込む方向に対する刃部20の耐摩耗性を高めることができる。これにより、工具寿命の向上を図ることができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、単結晶ダイヤモンドから構成され先端が凸の角錐状に形成される刃部を備えたドリル及びドリルの製造方法に関し、特に、刃部の耐摩耗性を高めて、工具寿命の向上を図ることができるドリル及びドリルの製造方法に関するものである。
従来より、単結晶ダイヤモンドから構成され先端が凸の角錐状に形成される刃部を備えたドリルが知られている。この種のドリルに関し、例えば、特許文献1には、六面体であって各面が(100)結晶面からなる人工の単結晶ダイヤモンドから構成され、中心線が単結晶ダイヤモンドの(100)結晶軸に一致する刃部を備えたドリルが開示されている。
特開2002−36017号公報
ところで、単結晶ダイヤモンドは、極めて硬い性質を備えているものの、結晶面の違いにより硬さが異なり、(100)結晶面は結晶面の中でも比較的に軟らかいとされている。このため、上述した特許文献1に開示されるドリルでは、刃部の中心線を単結晶ダイヤモンドの(100)結晶軸に一致させることで、中心線に直角な刃部の断面が単結晶ダイヤモンドの結晶面の中でも比較的に軟らかい(100)結晶面により構成されるので、刃部の耐摩耗性を十分に確保できず、工具寿命が不十分であるという問題点があった。
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、刃部の耐摩耗性を高めて、工具寿命の向上を図ることができるドリル及びドリルの製造方法を提供することを目的としている。
この目的を達成するために請求項1記載のドリルは、軸心回りに回転される工具本体と、その工具本体の一端に設けられると共に単結晶ダイヤモンドから構成され先端が凸の角錐状に形成される刃部とを備えるものであって、前記刃部は、前記先端を通る中心軸線が前記工具本体の軸心と前記単結晶ダイヤモンドの(111)結晶軸とに一致しており、前記中心軸線に直角な前記刃部の断面が前記単結晶ダイヤモンドの(111)結晶面により構成されている。
請求項2記載のドリルは、請求項1記載のドリルにおいて、前記刃部は、正六面体であって各面が(100)結晶面からなる人工の単結晶ダイヤモンドから構成され、前記単結晶ダイヤモンドの頂点を前記先端とする三角錐状に形成されている。
請求項3記載のドリルは、請求項2記載のドリルにおいて、前記工具本体は、前記一端に凹設され前記刃部が嵌め入れられる凹部を備え、前記刃部は、前記先端の対角線上に位置する前記単結晶ダイヤモンドの頂点が前記凹部に嵌め入れられた状態で前記工具本体にろう付けされている。
請求項4記載のドリルは、請求項3記載のドリルにおいて、前記凹部は、前記工具本体の軸心上に頂点を有する円錐状に形成されている。
請求項5記載のドリルは、請求項3記載のドリルにおいて、前記凹部は、前記工具本体の軸心上に頂点を有する三角錐状に形成されている。
請求項6記載のドリルの製造方法は、軸心回りに回転される工具本体と、その工具本体の一端に設けられると共に正六面体であって各面が(100)結晶面からなる人工の単結晶ダイヤモンドから構成され前記単結晶ダイヤモンドの頂点を先端とする三角錐状に形成される刃部とを備えたドリルの製造方法であって、前記刃部が嵌め入れられる凹部を前記工具本体の一端に凹設する凹設工程と、その凹設工程により前記工具本体の一端に凹設された凹部に前記刃部を嵌め入れてろう付けするろう付け工程とを備え、そのろう付け工程は、前記刃部の先端を通る中心軸線を前記工具本体の軸心と前記単結晶ダイヤモンドの(111)結晶軸とに一致させて前記先端の対角線上に位置する前記単結晶ダイヤモンドの頂点を前記凹部に嵌め入れた状態で前記刃部を前記工具本体にろう付けするものである。
請求項7記載のドリルの製造方法は、請求項6記載のドリルの製造方法において、前記凹設工程は、前記凹部を前記工具本体の軸心上に頂点を有する円錐状または三角錐状に形成するものである。
請求項1記載のドリルによれば、刃部の先端を通る中心軸線が工具本体の軸心と単結晶ダイヤモンドの(111)結晶軸とに一致しており、中心軸線に直角な刃部の断面が単結晶ダイヤモンドの(111)結晶面により構成されている。
よって、単結晶ダイヤモンドの結晶面の中で最も硬さに優れているとされる(111)結晶面を中心軸線に直角な刃部の断面とすることで、中心軸線の方向、即ち、被削材を削り込む方向に対する刃部の耐摩耗性を高めることができる。これにより、工具寿命の向上を図ることができるという効果がある。
請求項2記載のドリルによれば、請求項1記載のドリルの奏する効果に加え、刃部は、正六面体であって各面が(100)結晶面からなる人工の単結晶ダイヤモンドから構成されているので、天然の単結晶ダイヤモンドと比較して形状に歪みの少ない人工の単結晶ダイヤモンドから刃部を構成することで、刃部の中心軸線を単結晶ダイヤモンドの(111)結晶軸に精度良く一致させることができるという効果がある。
また、刃部は、単結晶ダイヤモンドの頂点を先端とする三角錐状に形成されているので、単結晶ダイヤモンドの原形を活かして刃部を形成することができる。よって、単結晶ダイヤモンドを複雑に加工する必要がなく、刃部を容易に形成することができるという効果がある。
請求項3記載のドリルによれば、請求項2記載のドリルの奏する効果に加え、刃部は、先端の対角線上に位置する単結晶ダイヤモンドの頂点が凹部に嵌め入れられた状態で工具本体にろう付けされているので、単結晶ダイヤモンドを原形のまま刃部として使用することができる。よって、単結晶ダイヤモンドを加工する必要がなく、製造コストの低減を図ることができるという効果がある。
また、刃部は、凹部に嵌め入れられた状態で工具本体にろう付けされているので、単に刃部を工具本体の端面にろう付けする場合と比較して、ろう付け面積を大きく確保することができ、工具本体と刃部との接合強度を高めることができるという効果がある。
請求項4記載のドリルによれば、請求項3記載のドリルの奏する効果に加え、凹部は、工具本体の軸心上に頂点を有する円錐状に形成されているので、刃部を凹部に嵌め入れることで、凹部の内壁面により刃部を位置決めすることができる。よって、刃部を凹部に嵌め入れるだけで、刃部の中心軸線と工具本体の軸心とを容易かつ精度良く一致させることができるという効果がある。
また、凹部は、円錐状に形成されているので、工具本体を複雑に加工する必要がなく、凹部を容易に形成することができるという効果がある。
請求項5記載のドリルによれば、請求項3記載のドリルの奏する効果に加え、凹部は、工具本体の軸心上に頂点を有する三角錐状に形成されているので、刃部を凹部に嵌め入れることで、凹部の内壁面により刃部を位置決めすることができる。よって、刃部を凹部に嵌め入れるだけで、刃部の中心軸線と工具本体の軸心とを容易かつ精度良く一致させることができるという効果がある。
また、凹部は、三角錐状に構成されているので、凹部の形状を凹部に嵌め入れられる刃部の形状に対応させて、工具本体と刃部との接合強度を高めることができるという効果がある。
請求項6記載のドリルの製造方法によれば、ろう付け工程は、刃部の先端を通る中心軸線を工具本体の軸心と単結晶ダイヤモンドの(111)結晶軸とに一致させて先端の対角線上に位置する単結晶ダイヤモンドの頂点を凹部に嵌め入れた状態で刃部を工具本体にろう付けするものである。
よって、中心軸線に直角な刃部の断面を単結晶ダイヤモンドの(111)結晶面により構成することができるので、単結晶ダイヤモンドの結晶面の中で最も硬さに優れているとされる(111)結晶面を中心軸線に直角な刃部の断面とすることで、中心軸線の方向、即ち、被削材を削り込む方向に対する刃部の耐摩耗性を高めることができる。これにより、工具寿命の向上を図ることができるという効果がある。
また、ろう付け工程は、先端の対角線上に位置する単結晶ダイヤモンドの頂点を凹部に嵌め入れた状態で刃部を工具本体にろう付けするので、単結晶ダイヤモンドを原形のまま刃部として使用することができる。よって、単結晶ダイヤモンドを加工する必要がなく、製造コストの低減を図ることができるという効果がある。
更に、ろう付け工程は、刃部を凹部に嵌め入れた状態で工具本体にろう付けするので、単に刃部を工具本体の端面にろう付けする場合と比較して、ろう付け面積を大きく確保することができ、工具本体と刃部との接合強度を高めることができるという効果がある。
請求項7記載のドリルの製造方法によれば、請求項6記載のドリルの製造方法の奏する効果に加え、凹設工程は、凹部を工具本体の軸心上に頂点を有する円錐状または三角錐状に形成するので、刃部を凹部に嵌め入れることで、凹部の内壁面により刃部を位置決めすることができる。よって、刃部を凹部に嵌め入れるだけで、刃部の中心軸線と工具本体の軸心とを容易かつ精度良く一致させることができるという効果がある。
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1及び図2を参照して、本発明の第1実施の形態におけるドリル100について説明する。図1(a)は、第1実施の形態におけるドリル100の側面図であり、図1(b)は、図1(a)の矢印Ib方向から視たドリル100の正面図である。また、図2(a)は、図1(a)の矢印Ib方向から視た工具本体10の正面図であり、図2(b)は、図2(a)のIIb−IIb線における工具本体10の断面図である。なお、図1(a)及び図2(b)では、工具本体10の軸心O方向の長さを一部省略して図示している。
ドリル100は、マシニングセンタ等の加工機械から伝達される回転力により被削材(主に、セラミックス、シリコン又は石英ガラスなどの硬脆性材料やアルミ又は銅などの非鉄金属)に穴あけ加工を行うための切削工具であり、図1に示すように、タングステンカーバイト(WC)等を加圧焼結した超硬合金から構成される工具本体10と、その工具本体10の一端に取り付けられ人工の単結晶ダイヤモンドから構成される刃部20とを備えて構成されている。なお、工具本体10は、超硬合金に限られず、高速度工具鋼などから構成しても良い。
工具本体10は、刃部20が取り付けられるボデー部11と、そのボデー部11に連設されボデー部11よりも大径に構成されるシャンク部12とを備え、全体として軸心Oを中心軸とする円柱状に形成されている。この工具本体10は、シャンク部12を介して加工機械に保持されることで、加工機械から伝達される回転力により軸心O回りに回転される。
図1(a)に示すように、工具本体10の一端(ボデー部11の先端)には、刃部20が嵌め入れられる凹部13が凹設されている。凹部13は、図2(a)及び(b)に示すように、工具本体10の軸心O上に頂点を有し、且つ、直角二等辺三角形(即ち、隣り合う2辺のなす角度Xが直角で、かかる2辺の長さLが等しい三角形)の角錐面を有する三角錐状に形成されている。
刃部20は、人工的に合成され各面が(100)結晶面からなる正六面体の単結晶ダイヤモンドから構成され、単結晶ダイヤモンドの頂点を先端Eとする三角錐状に形成されている。即ち、刃部20は、先端Eを通る中心軸線Cが単結晶ダイヤモンドの(111)結晶軸に一致しており、中心軸線Cに直角な刃部20の断面が単結晶ダイヤモンドの(111)結晶面により構成されている。この刃部20は、隣り合う(100)結晶面の稜線が切れ刃として作用することで、工具本体10の回転に伴って被削材に穴あけ加工を行う。なお、本実施の形態では、隣り合う切れ刃21を形成する稜線同士のなす角度が90度とされ、切れ刃21が単結晶ダイヤモンドの(110)結晶面により構成されている。
このように、刃部20は、人工の単結晶ダイヤモンドから構成されているので、天然の単結晶ダイヤモンドと比較して形状に歪みの少ない人工の単結晶ダイヤモンドから刃部20を構成することで、刃部20の中心軸線Cを単結晶ダイヤモンドの(111)結晶軸に精度良く一致させることができる。
また、刃部20は、単結晶ダイヤモンドの頂点を先端Eとする三角錐状に形成されているので、単結晶ダイヤモンドの原形を活かして刃部20を形成することができる。よって、単結晶ダイヤモンドを複雑に加工する必要がなく、刃部20を容易に形成することができる。
刃部20は、図1(a)に示すように、先端Eの対角線上に位置する単結晶ダイヤモンドの頂点が凹部13に嵌め入れられた状態でろう付けされ、先端Eを通る中心軸線Cが軸心Oと一致するように工具本体10に取り付けられている。
このように、刃部20は、先端Eの対角線上に位置する単結晶ダイヤモンドの頂点が凹部13に嵌め入れられた状態でろう付けされているので、単結晶ダイヤモンドを原形のまま刃部20として使用することができる。よって、単結晶ダイヤモンドを加工する必要がなく、製造コストの低減を図ることができる。
また、刃部20は、凹部13に嵌め入れられた状態でろう付けされているので、単に刃部20を工具本体10の端面にろう付けする場合と比較して、ろう付け面積を大きく確保することができ、工具本体10と刃部20との接合強度を高めることができる。
なお、刃部20は、図1(b)に示すように、先端E方向から視た輪郭が工具本体10のボデー部11の外径よりも大きく構成され、ボデー部11の外径を加工穴の内径よりも小さくすることで、刃部20の高さ(図1(b)紙面表裏方向の寸法)よりも深い穴の穴あけ加工を行うことが可能とされている。
次いで、上述したように構成されるドリル100の製造方法について説明する。ドリル100を製造するにあたっては、まず、超硬合金から構成されるブランク(図示せず)にボデー部11及びシャンク部12を加工して工具本体10を形成する(工具本体形成工程)。
工具本体形成工程の後は、工具本体10に放電加工を施して、工具本体10の一端(ボデー部12の先端)に凹部13を凹設する(凹設工程)。なお、凹設工程では、上述したように、凹部13を工具本体10の軸心O上に頂点を有する三角錐状に形成する。
凹設工程の後は、各面が(100)結晶面からなる六面体の単結晶ダイヤモンドから構成される刃部20を凹部13に嵌め入れた状態で工具本体10にろう付けする(ろう付け工程)。なお、ろう付け工程では、上述したように、先端Eの対角線上に位置する単結晶ダイヤモンドの頂点を凹部13に嵌め入れた状態で刃部20を工具本体10にろう付けする。
以上説明したように、本実施の形態におけるドリル100によれば、単結晶ダイヤモンドの結晶面の中で最も硬さに優れているとされる(111)結晶面により中心軸線Cに直角な刃部20の断面を構成することで、中心軸線Cの方向、即ち、被削材を削り込む方向に対する刃部20の耐摩耗性を高めることができる。これにより、工具寿命の向上を図ることができる。
また、凹部13は、工具本体10の軸心O上に頂点を有する三角錐状に形成されているので、刃部20を凹部13に嵌め入れることで、凹部13の内壁面により刃部20を位置決めすることができる。これにより、刃部20の中心軸線Cと工具本体10の軸心Oとを容易かつ精度良く一致させることができる。
更に、凹部13は、直角二等辺三角形の角錐面を有する三角錐状に形成されているので、凹部13の形状を凹部13に嵌め入れられる刃部20の形状に対応させることで、工具本体10と刃部20との接合強度を高めることができる。
次いで、図3を参照して、第2実施の形態におけるドリル200について説明する。なお、第1実施の形態と同一の構成については同一の符号を付して、その説明を省略する。
図3(a)は、第2実施の形態におけるドリル200の側面図である。また、図3(b)は、図3(a)の矢印IIIb方向から視た工具本体210の正面図であり、図3(c)は、図3(b)のIIIc−IIIc線における工具本体210の断面図である。なお、図3(a)及び(c)では、工具本体210の軸心O方向の長さを一部省略して図示している。
第2実施の形態におけるドリル200は、図3(a)に示すように、工具本体210と、刃部20とを備えて構成されている。また、工具本体210の一端(ボデー部11の先端)には、刃部20が嵌め入れられる凹部213が凹設されている。凹部213は、図3(b)及び(c)に示すように、工具本体210の軸心O上に頂点を有し、且つ、頂角Xが直角の円錐状に形成されている。
ドリル200の製造方法については、第1実施の形態におけるドリル100の製造方法と同様であるため、その説明を省略する。なお、凹設工程では、工具本体210に切削加工を施して、工具本体210の一端(ボデー部11の先端)に凹部213を凹設し、上述したように、凹部213を工具本体210の軸心O上に頂点を有する円錐状に形成する。
以上説明したように、本実施の形態におけるドリル200によれば、凹部213は、工具本体210の軸心O上に頂点を有する円錐状に形成されているので、第1実施の形態におけるドリル100と同様に、刃部20を凹部213に嵌め入れることで、凹部213の内壁面により刃部20を位置決めすることができる。これにより、刃部20の中心軸線Cと工具本体210の軸心Oとを容易かつ精度良く一致させることができる。
また、凹部213は、円錐状に形成されているので、工具本体210を複雑に加工する必要がなく、凹部213を容易に形成することができる。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記実施の形態では、単結晶ダイヤモンドを原形のまま刃部20として使用する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、先端E方向から視た輪郭の角部に対応する単結晶ダイヤモンドの頂点を工具本体10の軸心Oと平行に切り欠いて、かかる角部に研磨面を設けても良い。この場合には、研磨面により加工穴の内壁面を研磨することができ、加工穴の面粗さの向上を図ることができる。
また、上記実施の形態では、刃部20は、隣り合う切れ刃21を形成する稜線同士のなす角度が90°とされ、切れ刃21が単結晶ダイヤモンドの(110)結晶面により構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、隣り合う切れ刃21を形成する稜線同士のなす角度を80°以上かつ100°以下の範囲内に設定しても良い。即ち、隣り合う切れ刃21を形成する稜線同士のなす角度が80°よりも小さい場合には、中心軸線Cに直角な刃部20の断面積が減少して、刃部20に欠けが生じ易くなると共に、隣り合う切れ刃21を形成する稜線同士のなす角度が100°よりも大きい場合には、被削材に食い付き難くなり、振れが生じ易くなる。これに対し、隣り合う切れ刃21を形成する稜線同士のなす角度を80°以上かつ100°以下の範囲内に設定することで、刃部20の欠けを抑制して、工具寿命の向上を図ると共に、振れを抑制して、加工精度の向上を図ることができる。
100,200 ドリル
10,210 工具本体
13,213 凹部
20 刃部
C 中心軸線
E 先端
O 軸心
10,210 工具本体
13,213 凹部
20 刃部
C 中心軸線
E 先端
O 軸心
Claims (7)
- 軸心回りに回転される工具本体と、その工具本体の一端に設けられると共に単結晶ダイヤモンドから構成され先端が凸の角錐状に形成される刃部とを備えたドリルにおいて、
前記刃部は、前記先端を通る中心軸線が前記工具本体の軸心と前記単結晶ダイヤモンドの(111)結晶軸とに一致しており、前記中心軸線に直角な前記刃部の断面が前記単結晶ダイヤモンドの(111)結晶面により構成されていることを特徴とするドリル。 - 前記刃部は、正六面体であって各面が(100)結晶面からなる人工の単結晶ダイヤモンドから構成され、前記単結晶ダイヤモンドの頂点を前記先端とする三角錐状に形成されていることを特徴とする請求項1記載のドリル。
- 前記工具本体は、前記一端に凹設され前記刃部が嵌め入れられる凹部を備え、
前記刃部は、前記先端の対角線上に位置する前記単結晶ダイヤモンドの頂点が前記凹部に嵌め入れられた状態で前記工具本体にろう付けされていることを特徴とする請求項2記載のドリル。 - 前記凹部は、前記工具本体の軸心上に頂点を有する円錐状に形成されていることを特徴とする請求項3記載のドリル。
- 前記凹部は、前記工具本体の軸心上に頂点を有する三角錐状に形成されていることを特徴とする請求項3記載のドリル。
- 軸心回りに回転される工具本体と、その工具本体の一端に設けられると共に正六面体であって各面が(100)結晶面からなる人工の単結晶ダイヤモンドから構成され前記単結晶ダイヤモンドの頂点を先端とする三角錐状に形成される刃部とを備えたドリルの製造方法において、
前記刃部が嵌め入れられる凹部を前記工具本体の一端に凹設する凹設工程と、
その凹設工程により前記工具本体の一端に凹設された凹部に前記刃部を嵌め入れてろう付けするろう付け工程とを備え、
そのろう付け工程は、前記刃部の先端を通る中心軸線を前記工具本体の軸心と前記単結晶ダイヤモンドの(111)結晶軸とに一致させて前記先端の対角線上に位置する前記単結晶ダイヤモンドの頂点を前記凹部に嵌め入れた状態で前記刃部を前記工具本体にろう付けするものであることを特徴とするドリルの製造方法。 - 前記凹設工程は、前記凹部を前記工具本体の軸心上に頂点を有する円錐状または三角錐状に形成するものであることを特徴とする請求項6記載のドリルの製造方法。
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