JP3804202B2 - 座屈補剛部材および座屈補剛部材と構造物との接続方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、建築骨組構造に適用されるブレ−スやトラス部材等に使用される部材の中で、大きな圧縮力を受けても座屈を生じにくい座屈補剛部材、特に角形鋼管からなる補剛管に、軸力材である平鋼を角形鋼管の対角線に沿って配置し、平鋼に圧縮力が作用したときに、平鋼が座屈するのを角形鋼管の角部で拘束するようにした座屈補剛部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の角形鋼管からなる補剛管に、軸力材である平鋼を角形鋼管の対角線に沿って配置した座屈補剛部材としては、本発明者等が特願平8−328635号に提案した座屈補剛部材がある。この座屈補剛部材は、角形鋼管からなる補剛管に、軸力材である平鋼を隙間を設けて対角配置で挿入し、平鋼に圧縮力が作用したときに、平鋼が板面と直交する方向にたわみ、座屈するのを補剛管の角部で拘束するようにするとともに、軸力材である平鋼の両端部に、平鋼の配置角度に対し、45°の異なった角度で断面十字型の継手部材を固着したブレ−ス材である。
【0003】
このように断面十字型の継手部材を、軸力材である平鋼の両端部に固着したのは、単に平鋼の両端部にボルト穴を設けて継手としたのでは、ボルト穴を空けた継手部の断面積が、軸力材として断面不足となるからである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した特願平8−328635号に記載された座屈補剛部材の継手構造には、次のような問題点がある。
【0005】
断面十字型の継手部材を平鋼の端部に固着させるため、平鋼端部の幅方向中央部にスリット状の溝部を設け、この溝部に断面十字型の継手部材を挿入し、継手部材に十字面が平鋼の板面(幅方向)に対して45°となるようにしてから、平鋼と継手部材を溶接するというものであるため、継手を構成するのに工数がかかる。
【0006】
また、継手部材が断面十字型であるため、あらかじめ軸力材である平鋼に継手部材を接続し、補剛管である角形鋼管に挿入するのが困難であり、組み立てが容易ではない。
【0007】
また、梁や柱のガセットプレ−トとの接続が容易でなく、スプライスプレ−ト等の接合部品が必要である。
【0008】
さらには、軸力材の継手に近い両端部においては、補剛管が無くなることにより、補剛管による拘束効果が乏しく、かつ拘束反力によって補剛管の端面が変形しやすい上に、座屈補剛部材と建屋の骨組とは完全なピン接合ではないことや、偏心接合となることは避けられないため、座屈補剛部材に若干の曲げモ−メントが作用し、軸力材が局部的に塑性化したり、座屈が生じやすくなる。
【0009】
この発明は従来技術の上述のような問題点を解消するためになされたものであり、継手の製作が容易であり、かつ梁や柱のガセットプレ−トとの接続が簡単にでき、軸力材や補剛管に局部変形が発生しない座屈補剛部材を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る座屈補剛部材は、角形鋼管からなる補剛管に、軸力材である平鋼が補剛管の対角線に沿って挿入され、平鋼に圧縮力が作用したときに、平鋼が座屈するのを補剛管の隅部で拘束するようにした座屈補剛部材において、前記平鋼の長さ方向端部の少なくとも一端に、フランジ部とウェブ部とからなる継手板を配し、該継手板のフランジ部の面は前記平鋼に固定され、フランジ部の幅両端部は補剛鋼管の内面にほぼ接し、該継手板のウェブ部の端部は補剛鋼管の隅部にほぼ接して配置され、該継手板が平鋼と構造物との接合部材として機能していることを特徴とする座屈補剛部材である。
【0011】
また、前記継手板は、断面T字型の部材、2本のL字形鋼またはL字形鋼と平板とから構成されている座屈補剛部材である。
【0012】
また、前記継手板は、ボルトにより平鋼に接続されているものである。
さらに、平鋼に接続された継手板と構造物との接続方法であって、平鋼と構造物の継手とをT字形の継手板で挟み込んで接続したことを特徴とする座屈補剛部材と構造物との接続方法である。
【0013】
平鋼は板幅方向が補剛管の対角線上に位置され、かつ平鋼の幅端部と補剛管のコ−ナ−部との間にわずかな隙間があるようにして補剛管に挿入される。そして、平鋼の長さ方向両端部の少なくとも一方の板面に、継手板がボルト締めまたは溶接等により、その長手方向の一部が補剛管に挿入されるような状態で接合される。
【0014】
この継手板は、フランジ部の面が平鋼の面に接触するようにして接合されるが、このフランジ部分の幅は補剛管に挿入可能で、かつフランジ部分の幅端部がほぼ補剛管の内面に接触する幅とする。
【0015】
また、継手板のフランジ部と直交するウェブ部の長さは、その先端が角形鋼管の補剛管の他の隅部にほぼ接触する長さとする。
【0016】
このようにするのは、継手板のフランジ部の両端部およびフランジ部と直交するウェブ部の先端が補剛管の内面に完全に接触していると、接触にともなう抵抗が発生し、その軸力が補剛管へと流れ補剛管が変形する恐れがあるからであり、ほぼ接する状態を保って、補剛管は平鋼からなる軸力材の座屈変形を拘束する役目だけを負わせるためである。
【0017】
継手板には複数の接合用のボルト穴が設けられるが、ボルト穴をあけた後の継手板の断面積は、継手板の強度が平鋼の強度と同じであれば、平鋼の断面積以上とし、平鋼と継手板の強度が異なれば、強度比に応じた断面積とする。
【0018】
この座屈補剛部材は前述のとおり構成されているので、十分な強度を有する継手を容易に製作することができるとともに、2枚の継手板の間に梁や柱のガセットプレ−トを挟み込んで接続ができるので、接続が簡単にできる。
【0019】
また、平鋼の端部に接合される継手板が補剛管に挿入可能であるので、あらかじめ継手板を平鋼に接続しておき、このような状態にしたものを補剛管に挿入できるので、補剛部材の組み立てが容易である。
【0020】
さらには、継手板の一部を補剛管内に入り込ませることにより、継手板が平鋼の長さ方向両端部における補強部材としての役目も発揮することができるようになり、補剛管端部において軸力材である平鋼が局部変形したり、補剛管のコ−ナ−部が変形したりするのを防止することができる。
【0021】
そして、2本のL字形鋼またはL字形鋼と平板で継手板を構成すると、断面T字形の継手板を容易に製作することができる。
【0022】
なお、L字形鋼には通常の山形鋼も含まれる。
また、継手板をボルト締めにより平鋼に接続するすると、容易に接続することができる。
【0023】
また、この発明に係る座屈補剛部材と構造物との接合方法は、継手板を平鋼の一端に固着したときの座屈補剛部材と構造物との接続方法であって、平鋼と構造物側に設けた継手とを継手板で挟み込んで接続したものである。
【0024】
継手板を平鋼の一方の板面に固着したときに、継手板と構造物側に設けた継手とを直接重ね合わせて接続して座屈補剛部材と構造物を接続すると、構造物を介して継手板に曲げ応力が作用し、継手板が回転力のア−ムとなり、平鋼には大きな曲げモ−メントが作用し、平鋼端部が局部的に変形する。
【0025】
これに対して、平鋼を挟み込むようにして座屈補剛部材と構造物を接続した場合には、構造物を介した曲げ応力は継手板には作用せず、平鋼端部に直接作用する。そして、この場合の回転力のア−ムは小さく、平鋼には大きな曲げモ−メントは作用しないので、平鋼端部が局部的に変形することはない。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0027】
図1(a)はこの発明の第一の実施の形態の座屈補剛部材の側面図、図1(b)は(a)のA−A断面図であり、図1(c)は図1(a)のB−B断面図である。
【0028】
この座屈補剛部材は補剛管としての角形鋼管1と、この角形鋼管1の内面に板幅方向が角形鋼管1の対角線を向くようにして挿入された軸力材としての平鋼2と、平鋼2の長さ方向両端部の両板面に固着した継手板3からなり、図示の継手板3はT字型の部材を用いた場合であり、フランジ部3aの幅およびフランジ部3aと直交するウェブ部3bの幅が角形鋼管1に挿入可能で、かつフランジ部3aの幅方向両端部は角形鋼管1の内面にほぼ接し、ウェブ部3bの先端は角形鋼管1の他の隅部にほぼ接する寸法の2枚の断面T字形の継手板3(以下T字形継手板という)で構成されている。そして、平鋼2に圧縮力が作用したときに、平鋼2が板面と直交する方向にたわんで座屈しようとするのを、平鋼2の板幅方向両端部2aを角形鋼管1の隅部分が拘束して、座屈を防止することができる。平鋼2の板幅方向端部2aと角形鋼管1の隅部との間には、軸力材である平鋼2に作用した圧縮力が角形鋼管1に流れないように、隙間αが設けられるが、通常このαの値は平鋼2の板厚の1/20から1/40程度である。
【0029】
T字形継手板3は、長手方向の一端側は角形鋼管1に挿入されており、長手方向中央部分は角形鋼管1から突出した平鋼2の端部にボルト4で接合されており、長手方向の他端側は柱、梁等の構造物の継手であるガセットプレ−ト21をT字形継手板3で挟み込むことによりボルト5で容易に接合されるようになっている。
【0030】
この座屈補剛部材は、T字形継手板3の板厚を適宜選定することにより、T字形継手板3にボルト4の穴をあけても、軸力に対する十分な断面積を確保することができる。
【0031】
また、2枚のT字形継手板3の間に梁や柱のガセットプレ−ト21を挟み込んで接続ができるので、接続が簡単にできる。
【0032】
また、T字形継手板3を角形鋼管1に挿入可能な寸法としているので、あらかじめT字形継手板3を平鋼2に接続しておき、このような状態にしたものを角形鋼管1に挿入することで、補剛部材の組み立てが容易となる。
【0033】
さらには、T字形継手板3のフランジ部3aの板幅方向両端部が、角形鋼管1の内面にほぼ接し、フランジ部3aと直交するウェブ部3bの長さが角形鋼管1の角部とほぼ接する寸法となっているので、T字形継手板3の角形鋼管1に挿入されている部分が、角形鋼管1の両端部における平鋼2の補強材の役目を果たすことができ、平鋼2や角形鋼管1が端部近傍で局部変形するのを防止することができる。
【0034】
尚、特に図示しないが、図1で示したT字形継手板3のフランジ部3aの板幅方向端部、およびフランジ部3aと直交するウェブ部3bの先端に、面取り部を設けてもよい。このような面取り部を設けることにより、T字形継手板3の角形鋼管1の内面とほぼ接する部分の割合が、面取り部を設けないものよりも多くなるので、面取りをしないもの以上に、角形鋼管1端部において平鋼2が局部変形したり、角形鋼管1のコ−ナ−部が変形したりするのを防止することができる。
【0035】
また、面取りをすることにより、より寸法の大きいT字形継手板3を使用することができるので、継手強度を向上させることができる。
【0036】
図2はT字形継手板3を2枚のL字形鋼6で構成した場合の断面図である。 また、図3はT字形継手板3を1枚のL字形鋼6と1枚の平板7で構成した場合の断面図である。
【0037】
このように、T字形継手板3は、T字形に出来上がっているものを使用するばかりでなく、複数の部材を組み合わせてT字形としてもよく、組み立て工数を極力低減できるケ−スを採用すればよい。
【0038】
図4(a)は、第二の実施の形態の座屈補剛部材のT字形継手板3部分の断面図{図1(c)のB−B断面に該当}であり、図4(b)はこの座屈補剛部材のT字形継手板3部分の平面図である。この座屈補剛部材の場合には、T字形継手板3を1枚のみとしたものであり、その他の構成は第一の実施の形態の座屈補剛部材と同じものである。
【0039】
この座屈補剛部材を柱・梁等の構造物に接続する本発明の実施の形態の座屈補剛部材と構造物との接続方法は、図4(b)に示すように、平鋼2のT字形継手板3との重なり部分を、T字形継手板3とガセットプレ−ト21とで挟み込んでボルト締めする。このようにしたのは、T字形継手板3とガセットプレ−ト21とを直接接合するのでは、構造物を介して曲げ応力がT字形継手板3に作用したときに、平鋼2に大きな曲げモメントが作用し、平鋼2が端部において局部変形するからである。
【0040】
この座屈補剛部材も、前述した第一の実施の形態の座屈補剛部材の効果に準ずる効果が期待できる。
【0041】
なお、この座屈補剛部材のT字形継手板3も、図2および図3で示したように、2枚のL字形鋼6で構成してもよいし、1枚のL字形鋼6と1枚の平鋼7で構成してもよい。
【0042】
【発明の効果】
この発明により、継手の製作が容易であり、補剛部材の組み立てが簡単であるとともに、梁や柱のガセットプレ−トとの接続が簡単にでき、軸力材や補剛管に局部変形が発生しない座屈補剛部材を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一の実施の形態の座屈補剛部材の説明図であり、(a)は側面図、(b)は(a)のA−A断面図、(c)は(a)のB−B断面図である。
【図2】第二の実施の形態の座屈補剛部材の説明するためのT字形継手板部分の断面図である。
【図3】T字形継手板を2枚のL字形鋼で形成した場合の継手板部分の断面図である。
【図4】T字形継手板を1枚のL字形鋼と1枚の平板で形成した場合の継手板部分の断面図である。
【符号の説明】
1 角形鋼管
2 平鋼
3 T字形継手板
3a T字形継手板のフランジ部
3b T字形継手板のウェブ部
4 T字形継手板と平鋼を締結するボルト
5 T字形継手板と構造物のガセットプレートを締結するボルト
6 L字形鋼
7 平鋼
【発明の属する技術分野】
この発明は、建築骨組構造に適用されるブレ−スやトラス部材等に使用される部材の中で、大きな圧縮力を受けても座屈を生じにくい座屈補剛部材、特に角形鋼管からなる補剛管に、軸力材である平鋼を角形鋼管の対角線に沿って配置し、平鋼に圧縮力が作用したときに、平鋼が座屈するのを角形鋼管の角部で拘束するようにした座屈補剛部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の角形鋼管からなる補剛管に、軸力材である平鋼を角形鋼管の対角線に沿って配置した座屈補剛部材としては、本発明者等が特願平8−328635号に提案した座屈補剛部材がある。この座屈補剛部材は、角形鋼管からなる補剛管に、軸力材である平鋼を隙間を設けて対角配置で挿入し、平鋼に圧縮力が作用したときに、平鋼が板面と直交する方向にたわみ、座屈するのを補剛管の角部で拘束するようにするとともに、軸力材である平鋼の両端部に、平鋼の配置角度に対し、45°の異なった角度で断面十字型の継手部材を固着したブレ−ス材である。
【0003】
このように断面十字型の継手部材を、軸力材である平鋼の両端部に固着したのは、単に平鋼の両端部にボルト穴を設けて継手としたのでは、ボルト穴を空けた継手部の断面積が、軸力材として断面不足となるからである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した特願平8−328635号に記載された座屈補剛部材の継手構造には、次のような問題点がある。
【0005】
断面十字型の継手部材を平鋼の端部に固着させるため、平鋼端部の幅方向中央部にスリット状の溝部を設け、この溝部に断面十字型の継手部材を挿入し、継手部材に十字面が平鋼の板面(幅方向)に対して45°となるようにしてから、平鋼と継手部材を溶接するというものであるため、継手を構成するのに工数がかかる。
【0006】
また、継手部材が断面十字型であるため、あらかじめ軸力材である平鋼に継手部材を接続し、補剛管である角形鋼管に挿入するのが困難であり、組み立てが容易ではない。
【0007】
また、梁や柱のガセットプレ−トとの接続が容易でなく、スプライスプレ−ト等の接合部品が必要である。
【0008】
さらには、軸力材の継手に近い両端部においては、補剛管が無くなることにより、補剛管による拘束効果が乏しく、かつ拘束反力によって補剛管の端面が変形しやすい上に、座屈補剛部材と建屋の骨組とは完全なピン接合ではないことや、偏心接合となることは避けられないため、座屈補剛部材に若干の曲げモ−メントが作用し、軸力材が局部的に塑性化したり、座屈が生じやすくなる。
【0009】
この発明は従来技術の上述のような問題点を解消するためになされたものであり、継手の製作が容易であり、かつ梁や柱のガセットプレ−トとの接続が簡単にでき、軸力材や補剛管に局部変形が発生しない座屈補剛部材を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る座屈補剛部材は、角形鋼管からなる補剛管に、軸力材である平鋼が補剛管の対角線に沿って挿入され、平鋼に圧縮力が作用したときに、平鋼が座屈するのを補剛管の隅部で拘束するようにした座屈補剛部材において、前記平鋼の長さ方向端部の少なくとも一端に、フランジ部とウェブ部とからなる継手板を配し、該継手板のフランジ部の面は前記平鋼に固定され、フランジ部の幅両端部は補剛鋼管の内面にほぼ接し、該継手板のウェブ部の端部は補剛鋼管の隅部にほぼ接して配置され、該継手板が平鋼と構造物との接合部材として機能していることを特徴とする座屈補剛部材である。
【0011】
また、前記継手板は、断面T字型の部材、2本のL字形鋼またはL字形鋼と平板とから構成されている座屈補剛部材である。
【0012】
また、前記継手板は、ボルトにより平鋼に接続されているものである。
さらに、平鋼に接続された継手板と構造物との接続方法であって、平鋼と構造物の継手とをT字形の継手板で挟み込んで接続したことを特徴とする座屈補剛部材と構造物との接続方法である。
【0013】
平鋼は板幅方向が補剛管の対角線上に位置され、かつ平鋼の幅端部と補剛管のコ−ナ−部との間にわずかな隙間があるようにして補剛管に挿入される。そして、平鋼の長さ方向両端部の少なくとも一方の板面に、継手板がボルト締めまたは溶接等により、その長手方向の一部が補剛管に挿入されるような状態で接合される。
【0014】
この継手板は、フランジ部の面が平鋼の面に接触するようにして接合されるが、このフランジ部分の幅は補剛管に挿入可能で、かつフランジ部分の幅端部がほぼ補剛管の内面に接触する幅とする。
【0015】
また、継手板のフランジ部と直交するウェブ部の長さは、その先端が角形鋼管の補剛管の他の隅部にほぼ接触する長さとする。
【0016】
このようにするのは、継手板のフランジ部の両端部およびフランジ部と直交するウェブ部の先端が補剛管の内面に完全に接触していると、接触にともなう抵抗が発生し、その軸力が補剛管へと流れ補剛管が変形する恐れがあるからであり、ほぼ接する状態を保って、補剛管は平鋼からなる軸力材の座屈変形を拘束する役目だけを負わせるためである。
【0017】
継手板には複数の接合用のボルト穴が設けられるが、ボルト穴をあけた後の継手板の断面積は、継手板の強度が平鋼の強度と同じであれば、平鋼の断面積以上とし、平鋼と継手板の強度が異なれば、強度比に応じた断面積とする。
【0018】
この座屈補剛部材は前述のとおり構成されているので、十分な強度を有する継手を容易に製作することができるとともに、2枚の継手板の間に梁や柱のガセットプレ−トを挟み込んで接続ができるので、接続が簡単にできる。
【0019】
また、平鋼の端部に接合される継手板が補剛管に挿入可能であるので、あらかじめ継手板を平鋼に接続しておき、このような状態にしたものを補剛管に挿入できるので、補剛部材の組み立てが容易である。
【0020】
さらには、継手板の一部を補剛管内に入り込ませることにより、継手板が平鋼の長さ方向両端部における補強部材としての役目も発揮することができるようになり、補剛管端部において軸力材である平鋼が局部変形したり、補剛管のコ−ナ−部が変形したりするのを防止することができる。
【0021】
そして、2本のL字形鋼またはL字形鋼と平板で継手板を構成すると、断面T字形の継手板を容易に製作することができる。
【0022】
なお、L字形鋼には通常の山形鋼も含まれる。
また、継手板をボルト締めにより平鋼に接続するすると、容易に接続することができる。
【0023】
また、この発明に係る座屈補剛部材と構造物との接合方法は、継手板を平鋼の一端に固着したときの座屈補剛部材と構造物との接続方法であって、平鋼と構造物側に設けた継手とを継手板で挟み込んで接続したものである。
【0024】
継手板を平鋼の一方の板面に固着したときに、継手板と構造物側に設けた継手とを直接重ね合わせて接続して座屈補剛部材と構造物を接続すると、構造物を介して継手板に曲げ応力が作用し、継手板が回転力のア−ムとなり、平鋼には大きな曲げモ−メントが作用し、平鋼端部が局部的に変形する。
【0025】
これに対して、平鋼を挟み込むようにして座屈補剛部材と構造物を接続した場合には、構造物を介した曲げ応力は継手板には作用せず、平鋼端部に直接作用する。そして、この場合の回転力のア−ムは小さく、平鋼には大きな曲げモ−メントは作用しないので、平鋼端部が局部的に変形することはない。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0027】
図1(a)はこの発明の第一の実施の形態の座屈補剛部材の側面図、図1(b)は(a)のA−A断面図であり、図1(c)は図1(a)のB−B断面図である。
【0028】
この座屈補剛部材は補剛管としての角形鋼管1と、この角形鋼管1の内面に板幅方向が角形鋼管1の対角線を向くようにして挿入された軸力材としての平鋼2と、平鋼2の長さ方向両端部の両板面に固着した継手板3からなり、図示の継手板3はT字型の部材を用いた場合であり、フランジ部3aの幅およびフランジ部3aと直交するウェブ部3bの幅が角形鋼管1に挿入可能で、かつフランジ部3aの幅方向両端部は角形鋼管1の内面にほぼ接し、ウェブ部3bの先端は角形鋼管1の他の隅部にほぼ接する寸法の2枚の断面T字形の継手板3(以下T字形継手板という)で構成されている。そして、平鋼2に圧縮力が作用したときに、平鋼2が板面と直交する方向にたわんで座屈しようとするのを、平鋼2の板幅方向両端部2aを角形鋼管1の隅部分が拘束して、座屈を防止することができる。平鋼2の板幅方向端部2aと角形鋼管1の隅部との間には、軸力材である平鋼2に作用した圧縮力が角形鋼管1に流れないように、隙間αが設けられるが、通常このαの値は平鋼2の板厚の1/20から1/40程度である。
【0029】
T字形継手板3は、長手方向の一端側は角形鋼管1に挿入されており、長手方向中央部分は角形鋼管1から突出した平鋼2の端部にボルト4で接合されており、長手方向の他端側は柱、梁等の構造物の継手であるガセットプレ−ト21をT字形継手板3で挟み込むことによりボルト5で容易に接合されるようになっている。
【0030】
この座屈補剛部材は、T字形継手板3の板厚を適宜選定することにより、T字形継手板3にボルト4の穴をあけても、軸力に対する十分な断面積を確保することができる。
【0031】
また、2枚のT字形継手板3の間に梁や柱のガセットプレ−ト21を挟み込んで接続ができるので、接続が簡単にできる。
【0032】
また、T字形継手板3を角形鋼管1に挿入可能な寸法としているので、あらかじめT字形継手板3を平鋼2に接続しておき、このような状態にしたものを角形鋼管1に挿入することで、補剛部材の組み立てが容易となる。
【0033】
さらには、T字形継手板3のフランジ部3aの板幅方向両端部が、角形鋼管1の内面にほぼ接し、フランジ部3aと直交するウェブ部3bの長さが角形鋼管1の角部とほぼ接する寸法となっているので、T字形継手板3の角形鋼管1に挿入されている部分が、角形鋼管1の両端部における平鋼2の補強材の役目を果たすことができ、平鋼2や角形鋼管1が端部近傍で局部変形するのを防止することができる。
【0034】
尚、特に図示しないが、図1で示したT字形継手板3のフランジ部3aの板幅方向端部、およびフランジ部3aと直交するウェブ部3bの先端に、面取り部を設けてもよい。このような面取り部を設けることにより、T字形継手板3の角形鋼管1の内面とほぼ接する部分の割合が、面取り部を設けないものよりも多くなるので、面取りをしないもの以上に、角形鋼管1端部において平鋼2が局部変形したり、角形鋼管1のコ−ナ−部が変形したりするのを防止することができる。
【0035】
また、面取りをすることにより、より寸法の大きいT字形継手板3を使用することができるので、継手強度を向上させることができる。
【0036】
図2はT字形継手板3を2枚のL字形鋼6で構成した場合の断面図である。 また、図3はT字形継手板3を1枚のL字形鋼6と1枚の平板7で構成した場合の断面図である。
【0037】
このように、T字形継手板3は、T字形に出来上がっているものを使用するばかりでなく、複数の部材を組み合わせてT字形としてもよく、組み立て工数を極力低減できるケ−スを採用すればよい。
【0038】
図4(a)は、第二の実施の形態の座屈補剛部材のT字形継手板3部分の断面図{図1(c)のB−B断面に該当}であり、図4(b)はこの座屈補剛部材のT字形継手板3部分の平面図である。この座屈補剛部材の場合には、T字形継手板3を1枚のみとしたものであり、その他の構成は第一の実施の形態の座屈補剛部材と同じものである。
【0039】
この座屈補剛部材を柱・梁等の構造物に接続する本発明の実施の形態の座屈補剛部材と構造物との接続方法は、図4(b)に示すように、平鋼2のT字形継手板3との重なり部分を、T字形継手板3とガセットプレ−ト21とで挟み込んでボルト締めする。このようにしたのは、T字形継手板3とガセットプレ−ト21とを直接接合するのでは、構造物を介して曲げ応力がT字形継手板3に作用したときに、平鋼2に大きな曲げモメントが作用し、平鋼2が端部において局部変形するからである。
【0040】
この座屈補剛部材も、前述した第一の実施の形態の座屈補剛部材の効果に準ずる効果が期待できる。
【0041】
なお、この座屈補剛部材のT字形継手板3も、図2および図3で示したように、2枚のL字形鋼6で構成してもよいし、1枚のL字形鋼6と1枚の平鋼7で構成してもよい。
【0042】
【発明の効果】
この発明により、継手の製作が容易であり、補剛部材の組み立てが簡単であるとともに、梁や柱のガセットプレ−トとの接続が簡単にでき、軸力材や補剛管に局部変形が発生しない座屈補剛部材を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一の実施の形態の座屈補剛部材の説明図であり、(a)は側面図、(b)は(a)のA−A断面図、(c)は(a)のB−B断面図である。
【図2】第二の実施の形態の座屈補剛部材の説明するためのT字形継手板部分の断面図である。
【図3】T字形継手板を2枚のL字形鋼で形成した場合の継手板部分の断面図である。
【図4】T字形継手板を1枚のL字形鋼と1枚の平板で形成した場合の継手板部分の断面図である。
【符号の説明】
1 角形鋼管
2 平鋼
3 T字形継手板
3a T字形継手板のフランジ部
3b T字形継手板のウェブ部
4 T字形継手板と平鋼を締結するボルト
5 T字形継手板と構造物のガセットプレートを締結するボルト
6 L字形鋼
7 平鋼
Claims (6)
- 角形鋼管からなる補剛管に、軸力材である平鋼が補剛管の対角線に沿って挿入され、平鋼に圧縮力が作用したときに、平鋼が座屈するのを補剛管の隅部で拘束するようにした座屈補剛部材において、前記平鋼の長さ方向端部の少なくとも一端に、フランジ部とウェブ部とからなる継手板を配し、該継手板のフランジ部の面は前記平鋼に固定され、フランジ部の幅両端部は補剛鋼管の内面にほぼ接し、該継手板のウェブ部の端部は補剛鋼管の隅部にほぼ接して配置され、該継手板が平鋼と構造物との接合部材として機能していることを特徴とする座屈補剛部材。
- 前記継手板が、断面T字型の部材で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の座屈補剛部材。
- 前記継手板が、2本のL字形鋼から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の座屈補剛部材。
- 前記継手板が、L字形鋼と平板とから構成されていることを特徴とする請求項1に記載の座屈補剛部材。
- 前記継手板が、ボルトにより平鋼に接続されていることを特徴とする請求項1、2、3または4に記載の座屈補剛部材。
- 平鋼に接続された請求項1、2、3または4に記載の継手板と構造物との接続方法であって、平鋼と構造物の継手とをT字形の継手板で挟み込んで接続したことを特徴とする座屈補剛部材と構造物との接続方法。
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