JP3804182B2 - 溶融金属への粉体吹き込み方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶融金属への粉体吹き込み方法に関し、具体的には、例えば溶銑鍋に保持した溶銑内に耐火物で保護した粉体吹込用ランス(以下、単にランスという)を上部より浸漬し、溶銑中に粉状精錬材を吹き込み、精錬するにあたり、吹き込み初期において、ランス孔の損耗を防止すると共に、溶銑のスロッピングを抑える技術である。
【0002】
【従来の技術】
一般に、溶融金属への粉体吹き込み装置は、図2に例示するように、フラックス等、精錬剤である粉体1を収納し、キャリア・ガスによって加圧と流動化するための圧力容器4と、それにつながる配管9の先端にランス5を備えている。そして、該圧力容器4内のガス圧力と粉体吹き込み速度との関係を予め知っておき、その関係から精錬時における目標吹き込み速度を実現するガス圧力を求め、粉体1の吹き込み量を決定している。
【0003】
ところが、上記の関係は、ランス5を溶融金属7中へある深さで浸漬した場合について決められているので、吹き込み開始当初(制御初期)のランス5の下降中には、まだ、その浸漬深さが浅く、前記目標吹き込み速度以上で粉体1を吹き込んでしまい、過剰な吹込み量にしてしまうことが多い。
また、ランス先端に設けられた粉体1の吹出口(以下、ランス孔8という)は、溶融金属7への浸漬時に溶融金属やスラグが差し込んで閉塞することが多いので、その保護のためには、溶融金属7にランス孔8が浸漬する以前から粉体1の吹き込みを開始していることが望ましい。そのため、吹き込み開始初期のランス5の下降期では、目標値以上の過大な流量のキャリア・ガス2と粉体1が溶融金属7中の浅い部位に吹き込まれ、溶融金属7が精錬容器6から噴出する所謂スロッピング現象(以下、単にスロッピングという)を招くことになる。
【0004】
これらの問題を解決するには、前記関係をランス5の浸漬深さに応じて知っておき、吹込み開始時には、その浸漬深さに適合したガス圧力で吹き込みを制御することが必要である。しかしながら、吹き込みガス圧力の制御時定数が長くて最適制御が難しく、また必要以上に吹込み制御用ソフトが煩雑になるという別の問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる事情に鑑み、溶融金属への粉体吹き込みの初期において、ランス孔の保護及び溶融金属のスロッピング抑制を容易になし得る溶融金属への粉体吹込み方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
発明者は、上記目的を達成するため、ランスを精錬期の浸漬深さまでに到達させるまでの間の吹込む量に着眼して、鋭意研究を行い、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、溶融金属に浸漬ランスを介しキャリア・ガスで粉状精錬剤を吹き込み、該溶融金属を精錬するに際し、下記の段階を順次経て粉体供給用圧力容器内のガス圧力を調整することを特徴とする溶融金属への粉体吹き込み方法である。
【0007】
第1段階:まず、浸漬ランスを下降させ、ランス先端に設けたランス孔が溶融金属浴の湯面に到達するまでは、前記粉体供給用圧力容器内のガス圧力を、精錬期における前記ランス孔の溶融金属内深さで、溶融金属が前記ランス孔に差し込まない下限値に設定する段階。
第2段階:さらに、浸漬ランスを下降させ、ランス孔が溶融金属浴の湯面に到達後、前記粉体供給用圧力内のガス圧力を徐々に上昇させ、ランス孔が溶融金属内での精錬期の浸漬深さに到達するまでに、前記粉体供給用圧力容器内のガス圧力を、精錬期における粉体切り出し速度を実現する圧力P F にし、精錬期の浸漬深さに到達後も精錬終了まで前記圧力P F を維持する段階。
【0008】
また、本発明は、前記ガス圧力の下限値を、予めランス孔位置に応じて定めておくことを特徴とする溶融金属への粉体吹込み方法である。
本発明では、吹き込みガスの圧力を、ランス下降時における浸漬深さの小さい位置では、ランス孔の保護にのみ必要な値とし、その後、精錬期におけるランス位置に到達してから、精錬に必要な圧力になるように調整するので、過剰な吹込みが防止できる。その結果、吹き込み初期の溶銑のスロッピングを、ランス孔の損耗を防止しつつ、抑えることが可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図1に基づき、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明の実施に使用する演算制御装置(図示せず)には、予め測定された前記ランス孔が精錬期の位置に到達する前のガス圧力の下限値、及び到達後のガス圧力と吹き込み速度との関係(図3参照)が記憶させてある。そして、ランス高さの制御とガス圧力の制御を、図1に示すように併用して本発明を実施するのである。
【0010】
まず、ランス下降前(待機位置)にて、前記圧力容器4内の設定ガス圧力SPを初期圧力、つまり前記ランス孔8に溶融金属7が差し込まない圧力PS になるまで加圧される。ランス5の下降指令が発せられると、ランス5の下降が開始されるが、まだ、粉体は吹き込まれていない。
次に、ランス5の位置が溶融金属7の湯面に到達したことを検知すると、圧力容器4に付帯した開閉弁3を開き、ランス孔8から、その時のガス圧力PS に応じたキャリア・ガス2及び粉体1の吹き出しを開始する。しかし、ランス5は、ランス孔8が溶融金属7内に埋没し、精錬期の浸漬深さに到達するまで、下降を続ける。それと同時に、圧力容器4内の設定圧力SPを、目標とする粉体吹込速度に対して前記図3の関係で定まる精錬時でのガス圧力PF になるよう設定する。但し、SPをPS からPF に設定しても、実際のガス圧力PVは、一気にPF にはならず徐々に上昇する。そして、精錬時のランス浸漬深さに達する時までに、PVをほぼPF とし、該粉体1の吹込み量を、精錬に必要な量になるようにする。ランス孔8が精錬時の浸漬深さに到達した後は、前記ガス圧力PF を精錬終了まで維持するのである。
【0011】
かかる本発明によれば、ランス5下降時の吹き込み圧力は、溶融金属7浴内の浅い所では、ランス孔6の保護に必要な低い圧力に設定され、その後、ランス5の下降に従って、吹き込み圧力が徐々に高くなり、精錬期に必要な高い圧力になる。従って、従来生じていた吹き込み初期のスロッピングが防止され、ランス孔8の損耗防止も達成できるのである。
【0012】
【実施例】
235トン規模の底吹転炉を2基有する製鋼工場で、本発明に係る溶融金属への粉体吹込方法を実施した。溶融金属7としては溶銑で、それを図2に示した溶銑鍋6に収容して、所謂溶銑予備処理による脱硫を行った。
図2の吹き込み装置は、容量1m3 の圧力容器4と、ランス5及びその旋回/昇降手段10、11とで構成されていた。ランス5は、鋼管の外側を耐火物でライニングしたもので、ランス孔8は水平2孔方式である。吹き込んだ粉状精錬剤は、CaCO3 が80%、金属Mgが20%の混合粉体とした。なお、この装置の吹き込み能力は毎分30〜70kgである。
【0013】
その結果、吹き込み初期のスロッピングは完全に防止でき、スロッピングに起因した予備処理時間の延長がなくなり、従来より処理量が大幅に向上した。具体的には上記底吹転炉の場合、従来に比べ、精錬時間のロスが、年平均で0.5%減少した。
また、ランス5の寿命は、平均使用回数30回となり、従来レベルの寿命を維持できた。さらに、本発明は、簡易な制御ソフトとハードで実施できるので、大がかりな装置改造を必要とせず、安価な建設コストのみで目的が達成できた。ちなみに、建設コストのうち、ソフト製作費用が10%減少した。
【0014】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明により、溶融金属への粉体吹き込み時の初期スロッピングを防ぐことができ、該スロッピングに起因した精錬時間の遅滞が防止できるようになった。その結果、溶鋼の生産性が大幅に向上した。また、使用ランスの寿命を従来のレベルに維持でき、操業コストの増加を抑止した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る溶融金属への粉体吹込み方法のフロー図である。
【図2】溶融金属への粉体吹込みを行う一般的な装置例を示す図である。
【図3】圧力容器内のガス圧力と粉体吹き込み速度との関係を示す図である。
【符号の説明】
1 粉体(吹込み材)
2 キャリア・ガス
3 開閉弁
4 圧力容器
5 ランス
6 精錬容器(溶銑鍋)
7 溶融金属(溶銑)
8 ランス孔
9 配管
10 ランス昇降アーム
11 昇降アーム支持柱
Claims (2)
- 溶融金属に浸漬ランスを介しキャリア・ガスで粉状精錬剤を吹き込み、該溶融金属を精錬するに際し、
下記の段階を順次経て粉体供給用圧力容器内のガス圧力を調整することを特徴とする溶融金属への粉体吹き込み方法。
第1段階:まず、浸漬ランスを下降させ、ランス先端に設けたランス孔が溶融金属浴の湯面に到達するまでは、前記粉体供給用圧力容器内のガス圧力を、精錬期における前記ランス孔の溶融金属内深さで、溶融金属が前記ランス孔に差し込まない下限値に設定する段階。
第2段階:さらに、浸漬ランスを下降させ、ランス孔が溶融金属浴の湯面に到達後、前記粉体供給用圧力内のガス圧力を徐々に上昇させ、ランス孔が溶融金属内での精錬期の浸漬深さに到達するまでに、前記粉体供給用圧力容器内のガス圧力を、精錬期における粉体切り出し速度を実現する圧力P F にし、精錬期の浸漬深さに到達後も精錬終了まで前記圧力P F を維持する段階。 - 前記ガス圧力の下限値を、予めランス孔位置に応じて定めておくことを特徴とする請求項1記載の溶融金属への粉体吹込み方法。
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JP12992397A JP3804182B2 (ja) | 1997-05-20 | 1997-05-20 | 溶融金属への粉体吹き込み方法 |
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- 1997-05-20 JP JP12992397A patent/JP3804182B2/ja not_active Expired - Fee Related
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