JP2654586B2 - スラグフォーミング抑制のための炭材吹込み方法 - Google Patents
スラグフォーミング抑制のための炭材吹込み方法Info
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Description
その他の精錬剤を添加して溶銑の脱珪、脱りんもしくは
脱りん脱硫を行なう溶銑予備処理工程におけるスラグフ
ォーミング抑制のための炭材吹込み方法に関する。
は吹込みにより脱炭して鋼を精錬する場合、転炉では単
に脱炭するだけでなく鋼の目標成分に応じて脱りん脱硫
を行なうために、通常石灰その他の精錬剤を添加するこ
とが必要である。この場合転炉吹錬初期の脱珪反応によ
り生成するSiO2 を主成分とするスラグを高塩基度の
スラグに変えるために大量の石灰を投入する必要が生じ
る。近年、この石灰使用量を削減して経済的に脱りん脱
硫を行なうために、溶銑を予め別の容器で脱珪、脱り
ん、脱硫処理するいわゆる溶銑予備処理法が広く一般に
行なわれている。この場合溶銑予備処理用の容器には溶
銑の搬送容器であるトピードカーや溶銑鍋が使用され、
これらの容器は本来精錬容器ではないためにフリーボー
ドが小さく、脱珪、脱りん、脱硫処理中にスラグが泡立
ち、スラグが反応容器外に流出する事が多い。
て、従来、主として二つの方法が取られてきた。その第
一は精錬容器からのスラグ流出が始まったら、スラグ流
出が止まるまで一時精錬剤の吹込みを中断する方法であ
る。第二の方法はスラグが流出しても精錬作業に支障が
生じないように、溶銑予備処理容器の周辺に流出スラグ
用のピットを堀り、処理後に流出スラグを搬出する方法
である。これらの方法には以下の問題点がある。まず精
錬剤の吹込みを中断する第一の方法の場合、処理の中断
は処理時間の延長をもたらし、後工程である転炉の操業
阻害要因になるだけでなく温度低下という大きな悪影響
がある、また第二の方法に関しては流出スラグ中に通常
10%以上の鉄分が含まれているので、スラグ中鉄分を
回収しなければ鉄歩留まりが悪化するという問題がある
だけでなく、ピットを配置するための設備費やピット内
スラグを搬出する等の新たな作業が必要となり経済的で
はない。
鑑みてなされたもので、従来の問題点の根本原因である
スラグの泡立ちを効果的に抑制してスラグ流出を防止
し、経済的に溶銑予備処理を行なうことを目的としたも
のである。
が、脱珪、脱りん、脱硫処理中に発生したCOガス気泡
によりスラグの体積が膨張することによって生じ、その
泡立ち高さは気泡と気泡との間のスラグ液膜の安定性に
よって支配され、スラグと濡れにくい物質である炭材を
添加し、気泡間のスラグ液膜を破壊して、気泡の合体や
破裂を促進することにより泡立ち高さが低下するとの本
発明者らの知見に基づきなされたものであり、その要旨
とするところは以下の通りである。溶銑に石灰、スケー
ル、その他の精錬剤を添加して溶銑の脱珪、脱りんもし
くは脱りん脱硫を行なう溶銑予備処理方法において、ス
ラグ泡立ち高さが容器高さの範囲内に維持されるよう
に、炭材を一回の抑制作業につき溶銑トン当り0.1k
g以上0.8kg未満、吹込み速度5〜100kg/分
で添加して、スラグ泡立ち高さを制御する溶銑予備処理
方法で、添加する炭材が粗粒と細粒とに広い粒子径分布
を持つために、粒子径が0.1〜1mmの範囲に分布し
た炭材と1〜5mmの範囲に分布した炭材とを各々独立
した吹込み系統で添加することを特徴とするスラグフォ
ーミング抑制のための炭材吹込み方法にある。
本発明が適用される工程について説明する。本発明が適
用される工程は溶銑に石灰、スケールその他の精錬剤を
添加して溶銑の脱珪、脱りん、脱硫を行なう溶銑予備処
理工程である。溶銑予備処理を行なう精錬容器としては
通常トピードカーもしくは溶銑鍋が用いられるが、容器
外へのスラグの流出や泡立ち高さが問題となる場合に
は、転炉等その他の反応容器であっても差し支えない。
また精錬剤としては、通常石灰及びスケールが主として
用いられるが、炭酸ソーダ等その他の精錬剤であっても
本発明が適用可能であることは言うまでもない。また溶
銑予備処理時のスラグ流出が特に問題となるのは脱りん
脱硫を目的とした精錬工程であるが、脱りん前の脱珪処
理等、その他の目的の精錬処理であっても、スラグ流出
や、泡立ち高さが問題となる限り、本発明の適用は有効
である。即ち、本発明は精錬用スラグの泡立ち高さの制
御が必要な溶銑予備処理工程であればいかなる工程であ
っても適用可能なものである。
スラグ泡立ち高さを監視して泡立ち高さが流出にいたる
高さになると判断した時点で、抑制材として粒子径が
0.1〜1mmの範囲に分布したコークス粉と粒子径が
1〜5mmの範囲に分布したコークス粉とを、一回の抑
制作業につき合計溶銑トン当り0.1kg以上0.8k
g未満添加し、必要に応じてこの作業を繰り返し行なう
点にある。フォーミング抑制に対する炭材粒子径の影響
に関しては、図2、3に示すように、同一添加量であっ
ても、粒子径が小さい場合、炭材添加開始から抑制効果
が現われるまでの時間が短いが抑制効果の持続時間も短
い、一方、粒子径が大きい場合、炭材添加開始から抑制
効果が現われるまでの時間が長いが抑制効果の持続時間
も長いことがわかった。従って、炭材添加後、直ちにフ
ォーミングを抑制し、かつ持続性を持たせるためには、
添加する炭材の粒子径が、粗粒と細粒に広い粒子径分布
を持つことが必要である。安定して炭材をフォーミング
スラグ中に吹込むためには、事前に準備した0.1〜1
mmの範囲に分布した炭材と粒子径が1〜5mmの範囲
に分布した炭材とが均一に添加されることが望ましい。
は炭材添加開始から抑制効果が発現するまでの時間的余
裕を考えて経験上炉口下0.3m以上になった時点では
遅くとも添加を開始することが望ましい。添加する泡立
ち抑制材としてはコークス粉が最も有効であるが、目的
に応じてコークス粉の代わりに石炭を用いたり、コーク
ス粉に炭酸カルシウム等その他の粉体を混合した物を用
いることができる。その場合でも添加する粉体中の炭素
成分の総量が溶銑トン当り0.1kg以上添加すること
により、コークス粉のみを添加するのと同様の効果を得
ることが出来る。
銑トン当り0.1kg以上であれば添加量が多いほど泡
立ち抑制効果が持続する時間が長くなり好ましいが、多
すぎるとコークス原単位の増加をまねいて経済的でない
ばかりでなく、図4に示すように、添加したコークスが
スラグ中のFeOを還元するため、脱りん酸素効率が低
下する等の悪影響を招くので、添加量は溶銑トン当り
0.8kg未満を上限とする。一方、添加量が溶銑トン
当り0.1kg未満の場合にはコークスを添加してもス
ラグ流出を抑制できない場合が生ずるので好ましくな
い。また抑制材を添加するに当たっては、一括して添加
するのではなくスラグ中に均一に吹込むために連続的に
吹込むことが望ましい。
によってフォーミング抑制度合が変化することである。
本発明者らのトピードカーを用いた抑制実験の結果によ
れば、炭材添加速度が5kg/分未満の場合には炭材添
加を行なってもフォーミングを抑制することが不可能で
あり、トピードカー外へのスラグの流出を防止すること
ができなかった。また同様に炭材添加速度を100kg
/分にしたところ排ガス温度が上昇し集塵機の熱負荷増
大による集塵効率低下及び集塵ダクトの熱変形亀裂とい
うトラブルを生じ操業に支障をきたす。そこで炭材添加
量は100kg/分を上限とすることが望ましい。
は、粉体を配管圧送等で連続的に供給する事が困難とな
るので、現実的には5mm以下が望ましい。上述のごと
くコークス等のフォーミング抑制材の添加は経済性及び
脱りんへの悪影響回避の観点から必要最低限にとどめる
ことが望ましく、このため一回のスラグ流出抑制作業当
りのコークス粉の添加量を上述のごとく制限し、必要に
応じてこの作業を繰り返すことによりスラグ泡立ちを抑
制することが可能となる。本発明において、細粒側の粒
子径が小さすぎる場合には粉体が飛散して粉体のロスを
生じる問題もあるが、粉体が確実に泡立ちスラグ中に添
加される条件が確保され、製造費用を無視できれば粒子
径の下限を規定する必要は特にない。しかしながら、製
造費用の点から現実的には0.1mm以上が望ましい。
ら窒素ガス等の搬送ガスによって泡立ちスラグ中へ吹込
む方法が最も好ましいが、スラグ中に確実に分散させる
ことが可能であれば搬送ガスとともにランスから吹込む
方法以外であっても差し支えない。本発明者らの実験に
よれば、袋詰めした炭材を単に上方から投入するだけで
は泡立ち抑制効果は不十分であり、スラグ中に粉体を確
実に分散させるためには、溶銑面から500mmから2
000mmの位置で泡立ちスラグ表面より下方の泡立ち
スラグ上層部に確実にコークス粉を吹込むことが望まし
い。
す。本発明を適用した溶銑処理の一実施例の概略図を図
1に示す。図1に示す溶銑予備処理において、粒子径が
0.1〜1mmの範囲に分布したコークス粉と粒子径が
1〜5mmの範囲に分布したコークス粉とを、各々独立
した吹込み系統によりフォーミングスラグに吹込んで、
スラグの泡立ちを抑制した場合の炭材添加量と抑制効果
が現われる時間及び抑制持続時間を、従来粉コークスの
場合と比較して図2、3に示した。 図2、3により明
らかなように、粗粒と細粒の異なった粒子径分布を持つ
コークス粉を用いることにより、即効性がありかつ持続
性を持ってスラグの泡立ちを抑制可能なことがわかっ
た。炭材の添加方法としては図1で示した専用吹込みラ
ンス8を設ける以外に、精錬剤吹込みランス5の途中に
炭材吹込み孔を設けた図5、6の方法でも同様の効果が
期待される。
方法によれば溶銑予備処理における精錬反応を効果的に
行うことが可能となり、その結果スラグ泡立ち高さ増大
によるスラグ流出を発生させる事なく操業を短時間で円
滑に実施することが可能となった。
す説明図。
る。
Claims (1)
- 【請求項1】 溶銑に石灰、スケール、その他の精錬剤
を添加して溶銑の脱珪、脱りんもしくは脱りん脱硫を行
なう溶銑予備処理方法において、スラグ泡立ち高さが容
器高さの範囲内に維持されるように、炭材を一回の抑制
作業につき溶銑トン当り0.1kg以上0.8kg未
満、吹込み速度5〜100kg/分で添加して、スラグ
泡立ち高さを制御する溶銑予備処理方法で、添加する炭
材が粗粒と細粒とに広い粒子径分布を持つために、粒子
径が0.1〜1mmの範囲に分布した炭材と1〜5mm
の範囲に分布した炭材とを各々独立した吹込み系統で添
加することを特徴とするスラグフォーミング抑制のため
の炭材吹込み方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP9083292A JP2654586B2 (ja) | 1992-04-10 | 1992-04-10 | スラグフォーミング抑制のための炭材吹込み方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP9083292A JP2654586B2 (ja) | 1992-04-10 | 1992-04-10 | スラグフォーミング抑制のための炭材吹込み方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH05287347A JPH05287347A (ja) | 1993-11-02 |
| JP2654586B2 true JP2654586B2 (ja) | 1997-09-17 |
Family
ID=14009564
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP9083292A Expired - Lifetime JP2654586B2 (ja) | 1992-04-10 | 1992-04-10 | スラグフォーミング抑制のための炭材吹込み方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2654586B2 (ja) |
-
1992
- 1992-04-10 JP JP9083292A patent/JP2654586B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH05287347A (ja) | 1993-11-02 |
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