JP3803846B2 - 有機塩素化合物を含むガスの浄化法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,有機塩素化合物を含む工場の排ガス等を電子線を用いて効率的に浄化処理する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、有機塩素化合物を含むガスの浄化方法として、ガスを高温で加熱することによって有機塩素化合物を分解したり、活性炭等の吸着材に有機塩素化合物を吸着することによりガスを浄化する方法等が知られている。しかし、これらの方法は、加熱時に大量のエネルギーを消費したり、使用後の吸着材の廃棄や、加熱による吸着材の再生処理の際の有害物質の生成等による二次公害の恐れがあり、問題点も多い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
殺菌や高分子の重合処理等の分野において、電子線照射法は、熱を用いる他の処理法に比べて小さいエネルギー量で目的が達成でき、また、有害な殺菌剤や有機溶媒等を使用しない無公害プロセスであることは広く知られている。環境保全の分野でも排煙や廃水の浄化に省エネルギー・無公害的観点から電子線を利用しようとする研究・開発が既に行われている。
【0004】
また、有機塩素化合物を含むガスに電子線を照射すると、有機塩素化合物は分解されて無害あるいは毒性の低い物質となる。分解生成物としては、炭酸ガス、塩酸等の無機塩素化合物、有機酸等の塩素を含まない有機化合物、塩素を含む有機化合物等が挙げられる。これらの分解生成物は、生物にとって無害な炭酸ガスを除いては、もとの有機塩素化合物に比べて、毒性はかなり低いものの、有機塩素化合物の含有量が多いガスを照射処理する場合では、そのまま大気中に放出するには必ずしも全く安全であるとは言い難かった。
【0005】
本発明は、この問題を解決し、照射処理したガス中の生成物を速やかに、かつ、効率的に無害化・除去するとともに、未反応の有機塩素化合物の一部をも併せて除去することによりガスを浄化するものである。特に、本発明によれば、工場排ガス等に含まれる揮発性有機物(VOC)を分解浄化することができ、そのVOCが極めて低濃度でも分解して浄化することができ、又ダイオキシンについても分解浄化できできるものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、揮発性有機塩素化合物を含む排ガスの電子線照射による効率的な分解処理方法について種々の検討を行ってきた。その結果、アンモニア又はアルカリ水等のアルカリ物質存在下で揮発性有機塩素化合物を含むガスに電子線照射すると、無害化された凝縮状態の物質が生成し、さらに、これに未反応の有機塩素化合物の一部が吸着することを見出した。
【0007】
また、ジクロルエタン等の二重結合を持たない有機塩素化合物では、アルカリ物質の添加が分解反応を促進するが、トリクロルエチレンやテトラクロルエチレン等の二重結合を持つ有機塩素化合物では、アルカリ物質の添加が分解反応を阻害する等、アルカリ物質の添加が揮発性有機塩素化合物の電子線による分解反応の促進や阻害に係わっていることを見出した。
【0008】
そこで、処理対象とする排ガスとアルカリ物質の混合方法及び生成物の捕集方法について検討した結果、(1)有機塩素化合物を含むガスにアルカリ物質を吹き込んだ後、照射容器内に導いて電子線照射した後、または、(2)有機塩素化合物を含むガスを照射容器内に導いてアルカリ物質を吹き込みつつ照射した後、照射されたガスをフィルター等と接触させることにより、電子線照射による有機塩素化合物の分解効率を高め、あるいは高い分解効率を維持したまま、ガス中の分解生成物が速やかに無害化・除去できるとともに、未反応の有機塩素化合物の一部も併せて除去できることを見出した。
【0009】
即ち、アルカリ物質の存在下で有機塩素化合物を含むガスに電子線を照射すると、有機塩素化合物が分解されて無害あるいは毒性の低い凝縮状態の有機又は無機化合物が生成し、その生成した凝縮状態の化合物に未反応の有機塩素化合物の一部が吸収され、これらがフィルターに吸着されることによりガスが浄化されるものである。また、分解生成物が有機酸等の塩素を含まない有機化合物である場合には、微生物等により更に分解されて無害なCO2やH2Oに転化される。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明にいう有機塩素化合物とは、塩素と炭素との化合物を指し、具体的にはテトラクロルエチレン、トリクロルエチレン等の塩素を含むエチレン系化合物、クロルベンゼン、ジクロルベンゼン、クロルフェノール等の塩素を含む芳香族化合物、さらに、フロン、PCB、ダイオキシン類がこれに含まれる。
【0011】
本発明にいう有機塩素化合物を含むガスとは、主に空気を主成分とし、これに上記の有機塩素化合物を数ナノグラム/m3から数グラム/m3含むガスを指す。
【0012】
本発明にいう電子線とは、電子加速器により発生させる電子の流れであり、実用的には50keVから2MeV程度のエネルギーを有するものが適している。
【0013】
本発明にいうアンモニアとは、純アンモニア、アンモニアと窒素や空気等との混合ガス(ガス状アンモニア)を含む。又、本発明にいうアルカリ水とは、水酸化ナトリウム、アンモニア、水酸化カルシウム等のアルカリ物質を水に溶解させたものを指す。
【0014】
吹き込みの方法は、ガス状アンモニアにおいてはそのままあるいは他のガスにより希釈して吹き込み、アルカリ水の場合では、加圧噴霧あるいは他のガスとの2流体噴霧により、直径数mm以下の粒子、好ましくは数ミクロン以下の直径の微粒子として吹き込むことにより良好な結果が得られる。
【0015】
アンモニア又はアルカリ水の吹き込み速度は、処理対象とするガスが含んでいる有機塩素化合物の種類、ガス中における有機塩素化合物の濃度、ガスの流速によって異なるが、処理対象とするガス中に含まれる塩素のモル流速の30%以上から等量となるようにアルカリ物質濃度または吹き込み速度を制御するか、あるいはその両方を制御することが望ましい。
【0016】
アンモニア又はアルカリ物質の吹き込み場所については、ジクロルエタンのように生成する分解生成物が分解反応を阻害するような有機塩素化合物を対象とする場合では、ガスとアンモニア又はアルカリ水を混合した後、照射容器に導いて電子線照射することが反応を促進させる上で望ましい。一方、トリクロルエチレンやテトラクロルエチレン等の電子線照射時に連鎖反応によって分解反応が促進される有機塩素化合物を対象とする場合では、ガスを照射容器に導いた後、照射容器後半部にアンモニア又はアルカリ水を吹き込むことが高い反応速度を維持するために望ましい。
【0017】
本発明にいうフィルター等とは、紙、金属、ガラス、石英、土壌等を素材とし、ガスとの接触面積を高めるために繊維状、あるいは多孔質な形状を有するものや邪魔板等をいう。これらのフィルター等は、水等で湿らせることにより分解生成物の除去効率をより高めることができる。また、取り替えが容易なようにカートリッジタイプとすることが望ましい。なお、フィルター等に捕集された有機酸等の分解生成物の大部分は塩素が脱離し、酸化分解及び中和により無害化されているため、容易に微生物分解できる。以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
【0018】
【実施例1】
トリクロルエチレン1100ppmを含む空気に1000ppmのアンモニアを照射容器後部において吹き込みつつ、8.7kGyの電子線照射を行い、石英繊維を充填したフィルターと接触させた。フィルター通過後のガス中の未反応のトリクロルエチレン濃度は8ppmであった。また、トリクロルエチレン以外の有機化合物(照射によって生成した有機塩素化合物を含む)と無機塩素化合物は検出されなかった。
【0019】
一方、トリクロルエチレン1100ppmを含む空気にアンモニアを添加せずに照射した場合では、未反応のトリクロルエチレン濃度は10ppm、有機化合物濃度は約620ppm、無機塩素化合物濃度は約850ppmであった。
【0020】
【実施例2】
ジクロルエタン105ppmを含む空気に200ppmのアンモニアを照射容器入り口において吹き込みつつ、8.0kGyの電子線照射を行い、石英繊維を充填したフィルターと接触させた。フィルター通過後のガス中の未反応のジクロルエタン濃度は5ppmであった。また、有機化合物(照射によって生成した有機塩素化合物を含む)と無機塩素化合物は検出されなかった。
【0021】
一方、アンモニアを添加せずに照射した場合では、未反応のジクロルエタン濃度32ppm、ジクロルエタン以外の有機化合物濃度は68ppm、無機塩素化合物濃度は38ppmであった。
【0022】
【実施例3】
クロルベンゼン25ppmを含む空気に25ppmのアンモニアを照射容器入り口において吹き込みつつ、4kGyの電子線照射を行い、石英繊維を充填したフィルターと接触させた。フィルター通過後のガス中の未反応のクロルベンゼン濃度は1lppmであった。また、クロルベンゼン以外の有機化合物(照射によって生成した有機塩素化合物を含む)と無機塩素化合物は検出されなかった。
【0023】
一方、アンモニアを添加せずに照射した場合では、未反応のクロルベンゼン濃度15ppm、クロルベンゼン以外の有機化合物濃度は9ppm、無機塩素濃度は約7ppmであった。
【0024】
【実施例4】
トリクロルエチレン1100ppmを含む空気に0.01規定の水酸化ナトリウム水溶液を数ミクロンの粒子状にして照射容器に吹く込みつつ、8.7kGyの電子線照射を行い、石英繊維を充填したフィルターと接触させた。フィルター通過後のガス中の未反応のトリクロルエチレン濃度は7ppmであった。また、トリクロルエチレン以外の有機化合物(照射によって生成した有機塩素化合物を含む)と無機塩素化合物は検出されなかった。
【0025】
一方、トリクロルエチレン1100ppmを含む空気に水酸化ナトリウム水溶液を添加せずに照射した場合では、未反応のトリクロルエチレン濃度は10ppm、有機化合物濃度は約620ppm、無機塩素化合物濃度は約850ppmであった。
【0026】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、アルカリ物質存在下で揮発性有機塩素化合物を含むガスに電子線照射し、この有機塩素化合物を分解して凝縮状態の無機塩素化合物及び有機化合物を生成させ、これに未反応の有機塩素化合物の一部を吸収させてフィルターに吸着させることにより、揮発性有機塩素化合物を含むガスガスを無害化または浄化することができる。
Claims (2)
- 生成する分解生成物が分解反応を阻害する有機塩素化合物であるジクロルエタン又はクロルベンゼンを含むガスにアンモニア又は水酸化ナトリウム水溶液を吹き込んだ後、アンモニア又は水酸化ナトリウム水溶液が吹き込まれたガスに照射容器内で電子線を照射して前記有機塩素化合物を無害又は毒性の低い凝縮状態の化合物に分解し、その照射後のガスを、紙、金属、ガラス、石英又は土壌を素材とした繊維状又は多孔質形状のフィルターと接触させることにより前記凝集状態の化合物に未反応有機塩素化合物を吸着させることを特徴とする有機塩素化合物を含むガスの浄化方法。
- 電子線照射時に連鎖反応によって分解反応が促進される有機塩素化合物であるトリクロルエチレン又はテトラクロルエチレンを含むガスを照射容器内に導いてアンモニア又は水酸化ナトリウム水溶液を吹き込みつつ、アンモニア又は水酸化ナトリウム水溶液が吹き込まれたガスに電子線を照射して前記有機塩素化合物を無害化された凝縮状態の化合物に分解し、照射後のガスを、紙、金属、ガラス、石英又は土壌を素材とした繊維状又は多孔質形状のフィルターと接触させることにより前記化合物に未反応有機塩素化合物を吸着させることを特徴とする有機塩素化合物を含むガスの浄化方法。
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