JP3803531B2 - 骨構成成分含有食品組成物及びこれを用いたカプセル型栄養補助食品 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、生命活動において必須のミネラルであるにもかかわらず、一般の食生活において不足しがちなカルシウムを効率よく、安全かつ簡便に摂取するための健康食品に関し、更に詳しくは、加熱や抽出工程を経ていない純正鮫軟骨に、マグネシウム含有剤を配合することにより、カルシウム吸収効率の向上を図ると共にカルシウムの過剰摂取による副作用を抑制し、しかも、骨の構成成分であるコラーゲン、ムコ多糖類(コンドロイチン)、リン分を豊富に含有し、同時に骨形成を促す作用を有するビタミンKやビタミンDをも摂取できる健康食品として、アルツハイマー型痴呆症、パーキンソン病、糖尿病、動脈硬化症、心臓病、高血圧、脳梗塞、虚血性心疾患、脳出血、骨粗鬆症、頭痛、ストレス、尿結石、不整脈、突然死、及び肝臓病等の予防に著しい効果を発揮する骨構成成分含有食品組成物及びこれを用いたカプセル型栄養補助食品に関する。
【0002】
【従来の技術】
戦後の経済的発展により、現在における日本人の食生活は極めて裕福となり、「飽食日本」と諸外国から揶揄されるほど、その食生活は多種多量であり、最近では、エネルギーやタンパク質、脂肪などの過剰摂取による高血圧や動脈硬化等が国民的な問題となりつつある。
【0003】
しかしながら、このような「飽食日本」にあっても、カルシウムについては、先進諸外国と比較して摂取量が少なく、一日の必要所要量を満たしていない栄養素の一つとなっている。
【0004】
カルシウムは、生命活動において必須のミネラル類の一つであり、人体を支える骨を構成する成分として必要不可欠であることはいうまでもなく、更に、このカルシウムの摂取量の不足により、副甲状腺ホルモンの分泌異常や、血管を構成している弾性繊維(エラスチン)の硬化を引き起こし、高血圧、動脈硬化、糖尿病、老人性痴呆症、骨粗鬆症等の様々な疾患や成人病(生活習慣病)を引き起こすばかりか、アトピーやアレルギー、筋肉や神経の興奮、筋肉のけいれん、いらだちや被害妄想等の精神不安等を引き起こす原因にもなるといわれている。
【0005】
現在、厚生省の提示するカルシウムの必要所要量は、成人で一日600mgに設定されているが、この数値は先進諸外国と比較して5〜8割程度の量に過ぎないにも拘わらず、平均的日本人のカルシウム摂取量はこの数値の約90%程度しか達成されていないのが現状である。
【0006】
又、妊娠中や閉経した女性は、一日当たり800〜1000mg以上の更に多量のカルシウムを摂取するべきであるともいわれており、日本人のカルシウム不足は深刻な状況になっているのである。
【0007】
このような状況から、最近の日本は「カルシウム・ブーム」の様相を呈しており、各種のカルシウムを添加したミネラル食品や飲料等が研究・開発され、市場にも多く出回るようになっている。
【0008】
しかしながら、カルシウムはもともと吸収効率が余り高くない栄養素であり、例えば、通常の食品で約10〜30%程度、最も吸収効率が高いといわれている牛乳や乳製品等でさえ、約50%程度の吸収率しかなく、食品中に含まれるカルシウムの大部分が体内に取り込まれることなく排泄されることとなり、従って、一般的に市場で流通しているカルシウムを添加した食品や飲料等を摂取したとしても、大きな効果を得ることは困難である。
【0009】
一方、逆にカルシウムを過剰に摂取すると、血液や細胞内のカルシウム濃度が増加し、神経の興奮性の過剰低下や、筋肉の弛緩、或いは鬱病等の副作用が発生し、時には意識障害まで生じる恐れもある。
【0010】
即ち、カルシウムを人体に効率よく、かつ適当量取り込むことは非常に困難であり、単に、現在市販されているカルシウム食品や飲料等を普通に摂取したとしても、ほとんど効果が得られないばかりか、逆に、現在市販のカルシウム食品等を積極的に(過剰に)摂取することによって、前記の副作用が発生する恐れがあり、この点においてカルシウムの適度な摂取は一般の人々にとって非常に難しい問題なのである。
【0011】
前記カルシウムの適量摂取の困難性に鑑みて、特開平1−320969号公報には、天日塩田製塩において副生する苦汁成分とカルシウム成分を主成分とし、カルシウムとマグネシウムの含有比が略2:1となるように調整したミネラル食品組成物が開示されている。
【0012】
又、特開平8−116922号公報には、カルシウム含有の天然素材(牛骨、サンゴ、卵殻、石灰石等)を加熱後、水中に懸濁せしめ、次いで懸濁液に塩化マグネシウム含有物の水溶液を添加して混合した後、濾過水洗してマグネシウムを含有するカルシウム食品粉末を製造する方法が開示されている。
【0013】
これら、特開平1−320969号公報及び特開平8−116922号に開示されたミネラル食品組成物等は、主にカルシウムの摂取不足による心臓病等の循環器疾患を予防することを目的として、カルシウムとマグネシウムの含有比率を程度に調整(略2:1)したものであり、即ち、生体内におけるマグネシウムとカルシウムの拮抗的作用を利用することにより、カルシウムの摂取効率を高め、しかも、カルシウムが細胞内へ過剰に入り込むことを抑制し、容易にカルシウムを適量摂取することができる効果を期待するものであり、実際、これらのミネラル食品組成物等の補給により、高血圧や心臓病等の予防にはある程度効果が認められている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平1−320969号公報及び特開平8−116922号公報に開示されたミネラル食品組成物等を栄養補助食品として補給したとしても、骨密度の低下や骨粗鬆症等の発症を抑制する効果については、大きな効果を得ることはできないのである。
【0015】
この理由としては、一般的に、骨はカルシウムの塊のように思われているが、実のところ、骨はカルシウムだけで構成されているものではなく、硬く、しかも弾力性のあるタンパク質であるコラーゲンを軸として、このまわりに、コンドロイチンをセメント代わりにしてカルシウム等のミネラルを塗り固めた構造をしており、従って、特開平1−320969号公報及び特開平8−116922号公報に開示されたミネラル食品組成物を補給して、カルシウムの摂取量が多くなったとしても、その他の構成成分の摂取量も比例して多くなければ、丈夫な骨を構成することはできないのである。
【0016】
又、カルシウムは、元素のままでは骨に沈着することができないため、骨の中のカルシウムは、ほとんどリンと結合したリン酸カルシウムの状態で骨の中に含まれており、この点において、カルシウムとリン分のバランスのよい摂取が非常に重要となる(骨形成においては、一般的に、このカルシウムとリン分のバランスが、重量比で2:1になるように摂取することがよいといわれている。)。
【0017】
更に、丈夫な骨を造るためには、骨芽細胞に働きかけ血液中のカルシウムを骨に固着する作用を有するビタミンKや、小腸からのカルシウムの吸収を促進させるビタミンD等の「脂溶性ビタミン」の摂取が必要となる。
【0018】
しかしながら、これらビタミンKやビタミンD等の脂溶性ビタミンは、主に緑黄色野菜や海草類、大豆や大豆発酵食品等に多く含まれており、又、魚介類等の脂肪、軟骨中にも含まれているが、牛、豚、鶏等の陸上の家畜を加工した食品にはほとんど含まれておらず、更に、牛骨や卵殻には全くといっていいほど含まれていないため、特開平1−320969号公報及び特開平8−116922号公報に開示されたミネラル食品組成物等において、これら脂溶性ビタミンは、全く含まれていないことになる。
【0019】
このように、カルシウムの吸収効率を向上し、かつ、丈夫な骨を構成するためには、前記の如く様々な栄養素を同時に摂取する必要があり、前記栄養素を全て含む食品組成物を製造するためには、製造コストがかかりすぎ、従って、このような組成物を安価に提供するための開発は、現在のところなされていないのである。
【0020】
本発明は、コンドロイチンを豊富に含むといわれている鮫軟骨が、コラーゲン、カルシウム、及びリン分等のその他の骨構成成分も豊富に含むことを見いだし、しかも、鮫軟骨の脂肪中には、脂溶性ビタミンをも含んでいることに着目し、これに天然苦汁からなるマグネシウム含有剤を配合することにより、カルシウム吸収効率の増加を図ると同時にカルシウムの過剰摂取による副作用を抑制し、同時に骨形成を著しく促進する骨構成成分含有食品組成物を得ることができるという知見に基づいて完成されたものであり、更に詳しくは、安価に入手でき、しかも、純正のままで前記骨構成成分を豊富に含む鮫軟骨に対して、天然苦汁からなるマグネシウム含有剤を配合することにより、カルシウム吸収効率の増加を図ると共に、カルシウムの過剰摂取による副作用を抑制し、しかも、骨の構成成分であるコラーゲン、コンドロイチン、リン分を豊富に含有し、同時に骨形成を促す作用を有するビタミンKやビタミンDをも摂取できる健康食品として、アルツハイマー型痴呆症、パーキンソン病、糖尿病、動脈硬化症、心臓病、高血圧、脳梗塞、虚血性心疾患、脳出血、骨粗鬆症、頭痛、ストレス、尿結石、不整脈、突然死、及び肝臓病等の予防に著しい効果を発揮する骨構成成分含有食品組成物及びこれを用いたカプセル型栄養補助食品を提供することを目的とするものである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明における骨構成成分含有食品組成物は、加熱や抽出工程を経ていない純正鮫軟骨に、マグネシウム含有剤を配合してなり、しかも、このマグネシウム含有剤が天然苦汁であることを特徴とするものである。
【0022】
本発明において、鮫軟骨を用いた理由としては、上述の如く、鮫軟骨は、コラーゲン、コンドロイチン、カルシウム、リン分等の骨構成成分を豊富に含有し、特にコンドロイチンは、一般的に用いられている他のカルシウムを含有する素材(牛骨、魚骨、牡蠣殻、卵殻、石灰石等)と比較して多く含んでおり、しかも、鮫軟骨の脂肪中には、他のカルシウムを含有する素材にはほとんど含まれていない脂溶性ビタミンをも含有するからであり、又、カルシウムとリンの存在割合は、骨形成において最もバランスのよい比率、即ち重量比で約2:1となっているからである。
【0023】
加えて、鮫は他の魚類と比較して大型の魚類であるため、その非可食部として廃棄されている軟骨部分を、安価でしかも大量に入手することができるからである。
【0024】
ここで、「加熱や抽出工程を経ていない純正鮫軟骨」とは、鮫軟骨そのまま、ないしは鮫軟骨に対して天日乾燥、温風乾燥等を行うことによって得られた乾燥鮫軟骨のことをいう。
【0025】
そして、本発明において、鮫軟骨に対して加熱や抽出工程を加えない理由としては、鮫軟骨はそのままの状態で、コラーゲン、コンドロイチン、カルシウム、リン分等の骨構成成分を充分に含有するため、乾燥以外の工程(加熱や抽出等)を加える必要が無く、意味がないばかりか、加熱を加えるとコラーゲンやコンドロイチン等が変成するため好ましくなく、又、水などによる抽出工程では、カルシウムや脂溶性ビタミンがほとんど抽出されないため好ましくないからである。
【0026】
本発明においては、前記純正鮫軟骨に、天然苦汁からなるマグネシウム含有剤を配合することを特徴とするものであるが、この配合方法としては、特に制限されるものではなく、例えば、前記純正鮫軟骨を粉砕した粉末に対して、天然苦汁からなるマグネシウム含有剤の粉末を配合してもよく、又、これらの粉末に適度の水を加えて混練することにより、配合してもよい。
【0027】
ところで、マグネシウムはカルシウムと異なり、過剰に摂取したとしても、人体において副作用が発現しないため、本発明において、鮫軟骨に対する前記マグネシウム含有剤の配合割合は、特に制限されるものではない。
【0028】
しかしながら、カルシウムの摂取量に対し、マグネシウムの摂取量が1/2程度以上となった場合に、カルシウムの吸収効率が最もよくなるため、本発明においては、マグネシウムとカルシウムの含有重量比(Mg/Ca)が、0.3〜1.0となるように配合することが最も好ましい。
【0029】
本発明において用いられるマグネシウム含有剤としては、天然苦汁或いはこれを精製したものが用いられる。
【0030】
前記天然苦汁は、海水を濃縮して食塩を採取するときに、副生成物として得られるもので、マグネシウム塩(塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム等)を大量に含み、又、海水を原料とするため安価で大量に入手できるのであり、しかも、マグネシウム以外のミネラル(ナトリウム、カリウム等の無機元素)を70種も含むものであり、他のミネラルを同時に摂取することができることから、本発明においては、この天然苦汁或いはこれを精製したものが用いられる。
【0031】
本発明においては、必要に応じて、前記した骨構成成分含有食品組成物に対し、更にビタミンK及び/又はビタミンDを適宜配合することが好ましい。
【0032】
即ち、本発明においては、純正鮫軟骨を構成成分としているため、製造した骨構成成分含有食品組成物には、充分に、ビタミンK及びビタミンDが含有されているが、例えば、骨粗鬆症が既に発症している人や、骨折した人等にあっては、急速な回復効果が必要とされるため、このような場合にあっては、前記した骨構成成分含有食品組成物に対し、更にビタミンK及び/又はビタミンDを適宜配合したものを提供することが必要となるのである。
【0033】
つまり、ビタミンDとマグネシウムはカルシウムの吸収効率を高めるのであり、特に、ビタミンDは腸からのカルシウム吸収効率を高めるのであり、又、マグネシウムは常にカルシウムとペアで摂取され、カルシウムとマグネシウムは体内でバランスを取りながら機能しているので、その一方だけを摂取しても効率が悪くなる。
【0034】
更に、ビタミンKは、丈夫な骨を造るために、骨芽細胞に働きかけ血液中のカルシウムを骨に固着する機能を有するのであり、従って、このビタミンKや、腸からのカルシウムの吸収を促進させるビタミンD等の「脂溶性ビタミン」の摂取が必要なのである。
【0035】
しかしながら、これらビタミンKやビタミンD等の脂溶性ビタミンは、魚介類等の脂肪、軟骨中にも含まれているが僅かであり、主に緑黄色野菜や海草類、大豆や大豆発酵食品などや穀物胚芽、特に、大豆胚芽に多く含まれているので、この大豆胚芽を配合するのが最も望ましい。
【0036】
このビタミンK及び/又はビタミンDを更に配合する方法としては、特に制限されるものではなく、鮫軟骨とマグネシウム含有剤を配合する際、或いは配合した後に、市販のビタミンKやビタミンDを、適当量添加してもよく、又、ビタミンKやビタミンDを多く含む大豆や大豆胚芽、緑黄色野菜或いは魚介類等を乾燥し、粉末状にしたものを、同様の方法で配合してもよい。
【0037】
中でも、本発明においては、安価な天然食品で、しかも多量にビタミンKやビタミンDを含む、大豆や大豆胚芽を用いることが特に好ましい。
【0038】
ところで、これらの大豆食品には抗酸化力があり、特に大豆胚芽は、抗酸化力が高く、ポリフェノールの一種であるイソフラボンを多く含んでおり、このイソフラボンは、血管の内部が粥状になる動脈硬化を予防する。又、大豆サポニンは、体内の脂肪分に連鎖的なダメージを与える過酸化脂質の生成を抑制し、その抗酸化作用は、体内で作られる強力な抗酸化物質・グルタチオン並みに強いものである。
【0039】
特に、日本において、骨粗鬆症の人はその予備軍も含めると1000万人いると言われており、その殆どが更年期以降の女性であり、女性ホルモンが急激に減少する閉経後は、10年間で骨量が15〜50%失われるといわれている。大豆イソフラボンは女性ホルモンと関連が深く、女性の更年期障害、骨粗鬆症などに効果があり、大豆イソフラボンは、体の中で女性ホルモンと似たような機能を発現し、更年期には女性ホルモンが少なくなるので、大豆、特に大豆胚芽を多く摂取するのが望ましい。
【0040】
本発明における骨構成成分含有食品組成物は、最終的には、例えば、粉末剤、錠剤、ドリンク剤及びカプセル剤等として成形され、その商品形態としては特に制限されるものではないが、そのままの状態で摂取した場合には、マグネシウムに起因する独特の苦みがあるため、特に、カプセルに封入したカプセル型栄養補助食品とすることが好ましい。
【0041】
この骨構成成分含有食品組成物を充填する方法及びカプセル基剤としては、現在、一般的に使用されている既知のカプセル基剤を好適に用いることができ、例えば、ゼラチン製の硬質カプセルに封入したり、ゼラチンにグリセリンなどを加えて柔軟にした2枚のゼラチン基剤の間に当該組成物を置き、型にのせ、温時圧搾して球形若しくは楕円体に成形したりする方法が挙げられる。
【0042】
【作用】
以上、説明したように、本発明に係る骨構成成分含有食品組成物は、加熱や抽出工程を経ていない純正鮫軟骨に、天然苦汁からなるマグネシウム含有剤を配合しているので、一般の食生活において不足しがちなカルシウムを効率よく、安全かつ簡便に摂取するための健康食品として、アルツハイマー型痴呆症、パーキンソン病、糖尿病、動脈硬化症、心臓病、高血圧、脳梗塞、虚血性心疾患、脳出血、骨粗鬆症、頭痛、ストレス、尿結石、不整脈、突然死、及び肝臓病等の予防優れた機能を発揮する、という作用を有するのである。
【0043】
即ち、本発明の骨構成成分含有食品組成物を栄養補助食品として摂取することにより、血清カルシウム値の低下や、副甲状腺ホルモンの分泌異常を抑制することができるようになり、これによって高血圧に代表される成人病のの予防に著しい作用を発現するのである。
【0044】
更に詳しくは、副甲状腺ホルモンの分泌異常は、骨からカルシウムが溶け出すことを助長し、血管壁の細胞の硬化が引き起こされ、動脈硬化、心臓病、脳梗塞、虚血性心疾患、脳出血、不整脈及び突然死等の原因ともなるが、本発明の骨構成成分含有食品組成物を栄養補助食品として摂取することにより、副甲状腺ホルモンの分泌を正常化し、これによって動脈硬化、心臓病、脳梗塞、虚血性心疾患、脳出血、不整脈及び突然死等の予防に著しい作用を発現するのである。
【0045】
又、骨からのカルシウムの過剰溶出は、細胞内外のカルシウム濃度差の不均衡を生じ、これにより、腎臓からのインスリン分泌の低下や、神経細胞の情報伝達異常を招き、糖尿病、肝臓病、アルツハイマー型痴呆症、パーキンソン病等の原因ともなるが、本発明の骨構成成分含有食品組成物を栄養補助食品として摂取することにより、骨からのカルシウムの過剰溶出を抑制し、糖尿病、肝臓病、アルツハイマー型痴呆症及びパーキンソン病等の予防に著しい作用を発現するのである。
【0046】
そして、本発明の骨構成成分含有食品組成物は、カルシウムとマグネシウムの含有比率を程度に調整し、生体内におけるマグネシウムとカルシウムの拮抗的作用を利用することにより、カルシウムの摂取効率を高め、しかも、カルシウムが細胞内へ過剰に入り込むことによる副作用を抑制し、安全かつ簡便にカルシウムを適量摂取することができる、といった作用を奏するのである。
【0047】
又、本発明の骨構成成分含有食品組成物は、カルシウムのみならず、骨形成に不可欠な構成成分である、コラーゲン、コンドロイチン、リン分を豊富に含有するため、骨折の回復、関節炎及び骨粗鬆症等の予防に優れた作用を発現するのであり、特に、ビタミンKやビタミンDを更に添加したものは、骨折の早期回復や骨粗鬆症等の治療に著しい作用を発現するのである。
【0048】
更に、本発明の骨構成成分含有食品組成物は、鮫の非可食部である鮫軟骨や、塩田における副産物である苦汁等の安価な素材を用いているため、安価で大量に製造することができる、といった作用も有するのである。
【0049】
加えて、本発明の骨構成成分含有食品組成物をカプセル型の栄養補助食品としたものは、取り扱いや飲み易さを更に向上させたものであり、この点において優れた作用を有するのである。
【0050】
【実施例】
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0051】
実施例1
(1) 純正鮫軟骨として、鮫軟骨を天日乾燥した後、粉砕して粉末状にしたものを使用した。
(2) マグネシウム含有剤として、天然苦汁を用い、これを濾過して異物を除去した後、2倍に濃縮して精製苦汁を得た。
純正鮫軟骨の成分及び天然苦汁中のミネラル含有量を表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
なお、純正鮫軟骨におけるミネラルの60%はカルシウムとリンで構成され、カルシウムとリンの比率は2:1であった。
【0054】
前記(1)及び(2)を、マグネシウムとカルシウムの含有比率が重量比で1:2となるように配合し、よく混練した後、温度30〜40℃で送風乾燥したものを粉砕し、本発明の骨構成成分含有食品組成物を得た。
【0055】
実施例2
実施例で用いた、純正鮫軟骨とマグネシウム含有剤を配合したもの100重量部に対し、大豆胚芽を粉末状にしたものを25重量部配合した以外は、実施例1と同様にして、本発明の骨構成成分含有食品組成物を得た。
【0056】
比較例
比較例として、市販の合成カルシウム錠剤に対して、塩化マグネシウムをマグネシウムとカルシウムの含有比率が重量比で1:2となるように配合し、水を加えてよく混練した後に、温度30〜40℃で送風乾燥したものを粉砕したものを用いた。
【0057】
前記の実施例1、2及び比較例において得られた粉末を、右前足を骨折させたラットの餌に混ぜ、骨折の回復状態について比較試験した。
なお、試験は、ラットに与える餌について、ラットの通常の餌であって脂肪を全く含まないもの[即ち、脂溶性ビタミンを全く含まないもの(A)]と、通常のラットの餌であって脂肪を含むもの[脂溶性ビタミンを含むもの(B)]の2種類についてそれぞれ比較試験を行った。
【0058】
つまり前記の実施例1、2及び比較例のそれぞれ10重量部に対し、通常の餌前記(A)をそれぞれ100重量部配合したもの[表2中の試験名(a)〜(c)]と、前記の実施例1、2及び比較例のそれぞれ10重量部に対し、通常の餌前記(B)をそれぞれ100重量部配合したもの[表2中の試験名(d)〜(f)]と、参考例として通常の餌前記(B)のみ[表2中の試験名(g)]、についてそれぞれ比較試験を行った。
ラット数は21匹であり、各検体は3匹ずつとした。
比較試験の詳細を表2に示す。
【0059】
【表2】
【0060】
試験開始後から10日経過した後に、各グループのラットにおける右前足の骨を取り出して観察したところ、実施例1及び2の本発明に係る骨構成成分含有食品組成物を餌に混ぜたものを与えたラットについては、(A)の餌のグループ[試験名(a)、(b)]においても(B)の餌のグループ[試験名(d)、(e)]においても、良好な骨形成が認められ、ほぼ健常な状態に回復しており、特に、実施例2に係る骨構成成分含有食品組成物を餌に混ぜたものを与えたグループ[試験名(b)、(e)]については、著しく良好な骨折回復(骨形成)が認められ、健常な状態に回復していることが認められた。
【0061】
一方、比較例の粉末を餌に混ぜたものを与えたラットについては、(B)の餌のグループ[試験名(f)]において、通常の餌のみを与えたグループ[試験名(g)]と比較して、ごく僅かの骨形成を認めることができたが、(A)の餌のグループ[試験名(c)]については、全くと言っていいほど骨形成を認めることはできず、逆に、骨がいわゆる「すかすかの状態」になっており、骨粗鬆症が発症していることが確認された。
【0062】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明に係る骨構成成分含有食品組成物は、加熱や抽出工程を経ていない純正鮫軟骨に、天然苦汁からなるマグネシウム含有剤を配合しているので、一般の食生活において不足しがちなカルシウムを効率よく、安全かつ簡便に摂取するための健康食品として、アルツハイマー型痴呆症、パーキンソン病、糖尿病、動脈硬化症、心臓病、高血圧、脳梗塞、虚血性心疾患、脳出血、骨粗鬆症、頭痛、ストレス、尿結石、不整脈、突然死、及び肝臓病等の予防優れた機能を発揮する、という効果を有するのである。 特に、本願の請求項1に記載の発明である「骨構成成分含有食品組成物」においては、そのマグネシウム含有剤が天然苦汁であるから、マグネシウム塩(塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム等)を大量に含み、又、海水を原料とするため、安価で大量に入手できるのであり、しかも、マグネシウム以外のミネラル(ナトリウム、カリウム等の無機元素)を70種も含むものであり、他のミネラルを同時に摂取することができるなどの効果を奏するのである。
【0063】
即ち、本発明の骨構成成分含有食品組成物を栄養補助食品として摂取することにより、血清カルシウム値の低下や、副甲状腺ホルモンの分泌異常を抑制することができるようになり、これによって高血圧に代表される成人病のの予防に著しい効果を発現するのである。
【0064】
更に詳しくは、副甲状腺ホルモンの分泌異常は、骨からカルシウムが溶け出すことを助長し、血管壁の細胞の硬化が引き起こされ、動脈硬化、心臓病、脳梗塞、虚血性心疾患、脳出血、不整脈及び突然死等の原因ともなるが、本発明の骨構成成分含有食品組成物を栄養補助食品として摂取することにより、副甲状腺ホルモンの分泌を正常化し、これによって動脈硬化、心臓病、脳梗塞、虚血性心疾患、脳出血、不整脈及び突然死等の予防に著しい効果を発現するのである。
【0065】
又、骨からのカルシウムの過剰溶出は、細胞内外のカルシウム濃度差の不均衡を生じ、これにより、腎臓からのインスリン分泌の低下や、神経細胞の情報伝達異常を招き、糖尿病、肝臓病、アルツハイマー型痴呆症、パーキンソン病等の原因ともなるが、本発明の骨構成成分含有食品組成物を栄養補助食品として摂取することにより、骨からのカルシウムの過剰溶出を抑制し、糖尿病、肝臓病、アルツハイマー型痴呆症及びパーキンソン病等の予防に著しい効果を発現するのである。
【0066】
そして、本発明の骨構成成分含有食品組成物は、マグネシウムとカルシウムの含有比率(Mg/Ca)が、0.3〜1.0となるように調整し、生体内におけるマグネシウムとカルシウムの拮抗的作用を利用することにより、カルシウムの摂取効率を高め、しかも、カルシウムが細胞内へ過剰に入り込むことによる副作用を抑制し、安全かつ簡便にカルシウムを適量摂取することができる、といった効果を奏するのである。
【0067】
又、本発明の骨構成成分含有食品組成物は、カルシウムのみならず、骨形成に不可欠な構成成分である、コラーゲン、コンドロイチン、リン分を豊富に含有するため、骨折の回復、関節炎及び骨粗鬆症等の予防に優れた作用を発現するのであり、特に、ビタミンKやビタミンDを更に添加したものは、骨折の早期回復や骨粗鬆症等の治療に著しい効果を発現するのである。
【0068】
更に、本発明の骨構成成分含有食品組成物は、鮫の非可食部である鮫軟骨や、塩田における副産物である苦汁等の安価な素材を用いているため、安価で大量に製造することができる、といった効果も有するのである。
【0069】
加えて、本発明の骨構成成分含有食品組成物をカプセル型の栄養補助食品としたものは、取り扱いや飲み易さを更に向上させたものであり、この点において優れた効果を有するのである。
Claims (4)
- 加熱や抽出工程を経ていない純正鮫軟骨に、マグネシウム含有剤を配合してなり、しかも、このマグネシウム含有剤が天然苦汁であることを特徴とする骨構成成分含有食品組成物。
- マグネシウムとカルシウムの含有重量比(Mg/Ca)が、0.3〜1.0である請求項1に記載の骨構成成分含有食品組成物。
- 請求項1又は2に記載の骨構成成分含有食品組成物に対し、ビタミンK及び/又はビタミンDを更に配合した骨構成成分含有食品組成物。
- 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の骨構成成分含有食品組成物をカプセル内に封入したことを特徴とするカプセル型栄養補助食品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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