JP3803451B2 - 部分的に切断された半導体ウエハを清浄化する方法 - Google Patents

部分的に切断された半導体ウエハを清浄化する方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、全体的にいえば、ウエハから半導体ダイを製造する方法に関する。この方法は、例えば、集積回路に対して用いることができる。さらに詳細にいえば、本発明は、半導体ウエハを部分的に切断する工程の後、そしてそれに続く処理工程を行う前に、部分的に処理されたウエハを清浄化する方法に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
ウエハから集積回路ダイを製造する従来の製造技術は、ウエハから集積回路ダイを大量に製造する技術である。この場合のウエハは、典型的には、シリコン・ウエハである。これらのウエハのそれぞれには、部材沈着工程およびエッチング工程などの一連の処理工程が行われ、それにより、それぞれのウエハの上に複数個の集積回路ダイが作成される。その後、ウエハが区画路に沿って典型的には切断工程により分割されそして分離され、それにより、個別のダイが得られる。その後、これらのダイに対して導線が接続され、そして最終的にはセラミッック容器またはプラスチック容器の中に封止されて、集積回路が完成する。
【0003】
生物学的センサまたは化学的センサのような他のデバイスの場合もそうであるが、マイクロ機械デバイスを製造する場合、「部分的切断」工程の後、すなわち、ウエハが完全に切断されて個別のダイが作成される前に、半導体ウエハに対してさらに処理工程を行うことが必要であることがある。回路が完成する前で、ウエハを処理装置に容易に取り付けることができる間に、部分的切断工程による切断を区画路に沿って行うことを、最初にそして正確に行うことは有益である。けれども、好ましくないことに、この部分的切断工程により粒子が発生する。これらの粒子は、もし個別のダイが注意深く制御されていないならば、ダイを汚染し、そしてダイに損傷を与え、そして多分それらのダイを不良品にしてしまうであろう。通常、マイクロ機械デバイスは基板の上に作成された小型のデバイスを備え、そして運動する部品を備えている。例えば、マイクロ加速度計、マイクロ電動機、およびマイクロ歯車はこのようなマイクロ機械デバイスである。これらのマイクロ機械デバイスは、粒子によって特に損傷を受けやすく、したがって、これらの運動する部品が作成される前に、部分的に切断を達成するための部分的切断工程を行うことが有効である。この部分的切断工程の後に残る切断屑や粒子を除去する清浄化工程が重要である。
【0004】
テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド(ダラス、テキサス)により最近発表された革新的な装置は、変形可能ミラー・デバイス(DMDと略称される)である。DMDは、表示装置、投射装置、およびハードコピー印刷装置に対して適切に用いることができる電気的/機械的/光学的・空間光変調器(SLM)である。DMDは1チップのモノリシック集積回路SLMであり、17ミクロンの中心点の上に16ミクロンの正方形の可動なマイクロミラーが高密度に配列されたアレイで構成される。これらのミラーのおのおのは、DMDアレイの1つの画素を構成する。これらのミラーは双安定状態を有する、すなわち、2つの位置の中の1つの位置が安定である。そして光源からこのミラー・アレイに入射する光は、2つの位置の中の1つの位置にあるミラーにより反射されるであろう。1つの安定位置である「オン」ミラー位置にミラーがある場合、そのミラーに入射する光は反射された後、投射レンズに向かって進み、そして表示スクリーンの上または印刷装置の感光素子の上に集光するであろう。もう1つの「オフ」ミラー位置にミラーがある場合、そのミラーに入射する光は反射された後、光吸収体に向かって進むであろう。このアレイの中のミラーのおのおのは、ミラーに入射する光が投射レンズに向かって進むかまたは光吸収体に向かって進むかのいずれかであるように、個別に制御される。投射レンズは、最終的に、画素ミラー・アレイで変調された光を表示スクリーンの上に集光し、そして拡大し、そして表示装置の場合には画像が形成される。もしDMDアレイの画素ミラーのおのおのが「オン」位置にあるならば、表示された画像は明るい画素のアレイであるであろう。
【0005】
DMDデバイスのさらに詳細な説明については、ホーンベック(Hornbeck)名の名称「空間光変調器とその方法(Spatial Light Modulator and Method)」の米国特許第5,061,049号と、デモンド(DeMond)ほかの名称「ディジタル化された標準型独立ビデオ装置(Standard Independent Digitized Video System)」の米国特許第5,079,544号と、ネルソン(Nelson)の名称「印刷装置露光モジュール整合法および製造装置(Printig System Exposure Module Alignment Method and Apparatus of Manufacture)」の米国特許第5,105,369号の関連する特許を参照されたい。これらの特許はいずれも本発明の譲渡人と同じ譲渡人に譲渡されている。これらの特許の内容は、本出願の中に取り込まれている。画像を形成する画素の濃度階調は、名称「パルス幅変調表示装置に用いられるDMDアーキテクチャおよびタイミング(DMD Architecture and Timing for Use in a Pulse−Width Modulated Display System)」の米国特許第5,278,652号に記載されているような、ミラーのパルス幅変調技術により達成される。この特許は本発明の譲渡人と同じ譲渡人に譲渡されており、そしてこの特許の内容は本出願の中に取り込まれている。
【0006】
DMDミラー・アレイの個々のミラーは、ウエハの切断工程および/または破断工程の期間中に発生する粒子などの切断屑によって損傷を受けやすい。DMDは可動である画素ミラーを備えたマイクロ機械デバイスであるから、ウエハの上に製造されるDMDは、他の半導体処理工程技術で従来行われているように、最終の切断工程の前に、保護酸化物被覆体で適切に被覆することはできない。さらに、導電性のミラーの下に配置される導電性のアドレス電極と、ミラーとアドレス電極との間に捕らえられた導電性の粒子とにより、ミラーとアドレス電極とが簡単に短絡することがある。したがって、ウエハの切断工程および清浄化工程の期間中、粒子が少しも残留しないようにすることがDMDの場合に特に重要である。
【0007】
本発明の譲渡人と同じ譲渡人に譲渡された、名称「グリッド・アレイ・マスキング・テープ処理工程(Grid Array Masking Tape Process)」の米国特許第5,435,876号に開示されているように、切断工程の期間中ウエハを保護する1つの技術は、処理工程が行われるウエハの活性表面の上にグリッド・アレイ・マスキング・テープを用いる技術である。作成される集積回路の間に延長されている格子に沿って、テープがウエハに粘着し、そして切断工程の期間中、切断屑が活性表面に損傷を与えるのを防止する。切断工程の後テープが除去され、そしてそれから、ミラー層の下のフォトレジストがプラズマ・エッチング工程により除去され、それによりミラーの下にウエルが作成される。このことにより、ミラーが偏向可能となる。
【0008】
マイクロ機械デバイスを作成するためのウエハに処理工程を実行するまた別の技術は、本発明の譲渡人と同じ譲渡人に譲渡された、名称「集積された部分切断工程(Integrated Partial Sawing Process)」の米国特許第5,393,706号と、名称「DMDを切断した後のウエハ状処理工程(Wafer−Like Processing after Sawing DMDs)」の米国特許第5,445,559号と、名称「グリッド・アレイ・マスキング・テープ処理工程(Grid Array Masking Tape Process)」の米国特許第5,435,876号と、名称「ウエハ・レベル・バックエンド処理工程に対する基板キャリアとしてのテープと共にソー・フレームの利用(Use of a Saw Frame with Tape as a Substrate Carrier for Wafer Level Backend Processing)」の米国特許第5,389,182号とに開示されている。本発明の譲渡人と同じ譲渡人に譲渡されたこれらの特許の内容は、本出願の中に取り込まれている。
【0009】
本発明の譲渡人と同じ譲渡人に譲渡された、名称「ウエハ・レベルの処理工程でウエハをダイに分離する(Separation of Wafer into Die with Wafer Level Processinging)」の出願中米国特許出願番号第08/369,838号には、ウエハの表面を保護被覆体で被覆する方法が開示されている。この方法により、ウエハの頂部表面に分離ラインが刻印される。これらの分離ラインはダイの間の境界を表し、そして予め定められた深さを有する。この保護被覆体が除去された後、少なくとも1つ以上のウエハ・レベルの処理工程がウエハに対しさらに行われる。最後に、ウエハは分離ラインに沿ってダイに分離される。本出願では、フォトレジストの層をまずスピン・オンすることにより保護被覆体が作成され、そして次に薄い酸化物層が沈着される、という方法が開示される。この保護層は、溶剤、または溶剤の流れ、または灰化を用いた清浄化段階の期間中に、後で除去される。さらに、湿式エッチング処理工程を用いることにより、レジスト部材を除去することができる。
【0010】
DMDの処理工程の期間中に起こる技術的に難しい1つの点は、マイクロ機械ミラーとそれに付随する支持構造体がCMOSアドレス指定回路の上に製造されるという点である。このために、ウエハが区画路に沿って部分的に切断されて切り溝が作成される時、ウエハのCMOS層からの酸化物粒子が発生し、そしてこれらの酸化物粒子が切り溝の中に付着するということが起こる。これらの酸化物粒子はまた、図1に示されているように、保護層の上に散乱しそして付着することが起こり得る。
【0011】
酸化物粒子を含むこの切断屑を除去することができる技術はいくつかあるけれども、ウエハ表面および切り溝から酸化物粒子を除去する清浄化工程の後においても、切り溝の近傍の埋め込みCMOS層の端部が酸化物粒子を時間と共に発生し続けることが、最近分かってきた。CMOS層からこれらの酸化物粒子が後で発生し続けることは、これらの切り溝の近傍のCMOS層の壁の中のクラックのような微小な損傷のためであることが、最近発見された。時間、振動、およびその他の要因は、切り溝の近傍のCMOS層からの微小な酸化物粒子の持続的解放を促進する。
【0012】
本発明の1つの目的は、部分的切断工程の後で、そしてそれに続く処理工程の前に、半導体ウエハを清浄化する方法を得ることである。この方法により、切断後の清浄化工程の後、CMOS層から酸化物粒子のような切断屑が続いて発生することが、大幅に小さくなる、または全くなくなる。後での酸化物粒子の発生を減少させるこのような方法は、ダイの歩留まりを大幅によくする、特にDMDのようなマイクロ機械型の装置の歩留まりを大幅によくすることが実現されるが、化学的センサまたは生物学的センサのような後での処理工程を必要とする他の集積回路およびデバイスの歩留まりをも、また大幅によくすることが実現される。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明に従い、希釈されたフッ酸(HF)とアルキル・グリコールを含む溶液で部分的切断工程の後の半導体ウエハを清浄化する、という方法により技術的利点が得られる。この溶液は、脱イオン水をも一部分として含有することが好ましい。アルキル・グリコールとフッ酸とを組み合わせて用いることにより、CMOS層から酸化物粒子のような種々の切断屑が、清浄化により半導体ウエハの表面および切り溝から適切に除去され、そして粒子が付加的に発生することが抑制される。アルキル・グリコールは、部分的に処理された半導体ウエハを損傷から保護する。アルキル・グリコールを用いないでフッ酸だけの溶液を用いる場合には、損傷が生ずるであろう。本発明の好ましい実施例は、マイクロ機械デバイスを製造するのにまた適切に用いることができる。部分的に処理された半導体ウエハが、保護層でまず被覆される。この保護層は、フォトレジスト層で構成されることが好ましい。部分的切断工程の後、アルキル・グリコールとHFの溶液でウエハを清浄化することにより、部分的に処理されたウエハから切断屑が適切に除去される。本発明の溶液は、フォトレジスト層を通って浸透することはない、または拡散することはないであろう。したがって、フッ酸と組み合わせてアルキル・グリコールを用いることにより、ウエハの上のマイクロ機械デバイス構造体のような傷つきやすい構造体に損傷を与えることなく、フッ酸を効果的に用いることができる。
【0014】
清浄化をさらに促進するために、半導体ウエハに対し超音波処理工程がまた行われる。部分的に処理された半導体ウエハが、好ましくは3%の過酸化水素を含有する脱イオン水の溶液の中に浸されたまま、メガヘルツの超音波により振動が加えられる。その後、ウエハに窒素ガスを吹き付けることにより、機械的損傷または熱的ストレスをできるだけ加えないで、ウエハが乾燥される。
【0015】
ウエハの清浄化のために希釈されたフッ酸を用いることは、ウエハに損傷を与えることがあるために従来は禁止されていたが、本発明の方法に従って、保護層を通してフッ酸が浸透するのを抑制するためにアルキル・グリコールと組み合わせて用いることにより、フッ酸を効果的に用いることができる。本発明の好ましい実施例では、アルキル・グリコールは、グリセリン、プロピレン・グリコール、エチレン・グリコール、またはブチレン・グリコールのいずれかで構成することができる。エチレン・グリコールを用いることが好ましい。この溶液は、体積で少なくとも50%のアルキル・グリコールを有することが好ましく、そして好ましい溶液は、アルキル・グリコール8、希釈されたフッ酸1、脱イオン水1の(8−1−1)である。フッ酸は希釈されることが好ましく、約0.5%の濃度を有するフッ酸1であることが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は半導体ウエハの横断面図であって、処理工程の途中で部分的に処理された半導体ウエハが10で全体的に示されている。この半導体ウエハは、シリコンまたは他の部材で作成することができる。本発明の方法を例を挙げて説明するために、および本発明の方法を明確に理解するために、製造途中のマイクロ機械デバイスを備えた、部分的に処理されたウエハの清浄化について説明する。特に、本発明の背景のところで説明され、そして本発明の譲渡人と同じ譲渡人に譲渡された種々の特許に開示された、テキサス インスツルメンツ(ダラス・テキサス)製造のDMD型のデバイスの部分的に処理されたウエハの清浄化について説明する。
【0017】
図1に示されているように、シリコン・ウエハ基板12の上の表面に、CMOSアドレス指定回路14の層が作成される。このCMOSアドレス指定回路14の上に、16で全体的に示された複数個のマイクロミラーおよびそれらに付随するヒンジや支持構造体が作成される。このDMDマイクロ構造体16についてのさらに詳細な説明は、本発明の背景のところで説明され、そして本発明の譲渡人と同じ譲渡人に譲渡された種々の特許を参照されたい。構造体16は、基本的には、小型のマイクロミラーを備えている。この小型のマイクロミラーは、最終的には、CMOS層14のアドレス指定回路の上の一対の支持ポストの上の捩りヒンジにより保持されるであろう。CMOS層14は、アドレス電極およびそれらに付随するメモリ・セルを備えている。この場合、1個の電極が呼び出されると、その上にある付随するミラーに静電引力を及ぼし、それによりミラーが2つの方向の中の1つの方向に向って傾斜する。
【0018】
例えばマイクロエレクトロニックス社のPFR1X710−D75のフォトレジストで厚さ8000オングストロームの層に作成されたフォトレジスト層20が、図に示されているように、部分的に処理工程が行われたマイクロ機械構造体16の上に沈着されることが好ましい。図1に示された処理工程段階において、ウエハ基板12が区画路に沿って部分的に切り込みが入れられ、切り溝22が作成される。後でのウエハ分離工程において、ウエハ10がこれらの切り溝22の沿って分離され、それにより個別のダイが作成されるであろう。図示されているように、部分的切断工程の期間中、切断屑が生ずるであろう。この切断屑の中には24で示された酸化物粒子が含まれている。これらの酸化物粒子は、半導体ウエハの表面の上および切り溝22の深い領域部分の中に沈着するであろう。これらの酸化物粒子24は、典型的には、CMOS層14の中への切断工程によって形成される。
【0019】
部分的切断工程の後でも、切り溝22の近くの領域26で示されたCMOS層14の端部により、切断屑がその後でもなお発生することが分かっている。CMOS層のこの領域26は、切断工程の期間中、クラックなどの微細な損傷がCMOS層14の切断面の近傍に誘発されて発生することにより、酸化物粒子24が発生し続ける。従来の清浄化工程の後でもなお、酸化物粒子が切り溝22の近傍のCMOS層14により発生し続けることがあり、もし他の側面に処理工程が行われなくても、部分的に処理されているウエハ10を汚染し続けることがあり得ることを本発明は認識している。
【0020】
図2は、下記で説明される本発明の清浄化工程の後、部分的に処理された半導体ウエハ10の横断面図である。図示されているように、酸化物粒子を含む切断屑粒子の大部分が、半導体ウエハ10の表面と切り溝22の深い領域部分との両方から除去されている。さらに、レジスト層20によりなお被覆されているマイクロ機械構造体16が損傷を受けることはない。再び領域26については、切り溝22の近くのCMOS層14のこの表面は、後で発生する酸化物粒子はごく少量であるように処理工程が行われる。このことは、部分的切断工程の期間中、この表面に対する損傷を事実上補償するようにこの表面領域26に処理工程が行われるためである。
【0021】
図3は、清浄化後に切断屑がさらに発生することを防止するために、本発明の好ましい実施例に従い、(1)酸化物粒子を含む切削屑粒子を除去するため、(2)切り溝22の近くのCMOS層の領域26を処理するため、に行われる清浄化工程を示した図である。
【0022】
段階30では、半導体ウエハは、図1に示されたマイクロ構造体16のような損傷を受けやすい構造体を含めて部分的に製造される。再び例示の目的のために、この損傷を受けやすい構造体16はマイクロミラーであるとして示されているが、加速時計、マイクロ電動機、または生物学的センサまたは化学的センサ、に適切に用いられる他のマイクロ機械デバイスであることができる。本発明を明確に理解する目的のために、しかし本発明の範囲がそれに限定されるという意味ではなく、電子集積回路の中に組み込むことができる、および部分的切断工程の期間中に発生する切断屑により損傷を受けるまたは動作不能になることがあるすべての構造体を、構造体16が包含するものと理解しなければならない。
【0023】
段階32では、部分的に処理されたウエハは、図1および図2に示された層20のようなフォトレジストの保護層で被覆される。このフォトレジストはPFR1X710−D75部材で構成されることが好ましく、そしてその厚さは約8000+/−50オングストロームであることが好ましい。また別の実施例では、200オングストロームの酸化物/フォトレジスト層が用いられる。
【0024】
段階34では、部分的に処理されたウエハが区画路に沿って部分的に切断され、それにより部分的に処理されたウエハの中に切り溝22が作成される。これらの切り溝22は個々の回路の間に存在する。ウエハが分離されて個別のダイが作成される時、これらの切り溝22は切断点となる。
【0025】
段階36では、部分的に処理されたウエハ10は、本発明の好ましい実施例に従う溶液を用いて清浄化される。この溶液は、希釈されたフッ酸(HF)と、一部分として含有されるアルキル・グリコールとで構成される。この溶液はまた、脱イオン水を有することが好ましく、その好ましい比率は、アルキル・グリコール8、フッ酸1、脱イオン水1の(8−1−1)溶液である。フッ酸は、約0.5%濃度の緩衝され希釈された酸であることが好ましい。アルキル・グリコールは、それらに限定されるわけではないが、グリセリン、プロピレン・グリコール、エチレン・グリコール、およびブチレン・グリコールを含む群の中から選定することができる。エチレン・グリコールは、そのHF浸透抑制能力およびHFとの両立性のために、本発明の好ましい実施例における好ましい溶液である。
【0026】
段階36の清浄化工程の期間中、部分的に処理されたウエハ10は8−1−1溶液の中に約6分間浸される。この期間中、この溶液は、CMOS層16の領域26の表面の約600オングストロームをエッチングにより除去する。領域26を約600オングストロームだけこのように除去することにより、CMOS層14の損傷を受けた領域が除去される。CMOS層14の損傷を受けた領域は、酸化物粒子24を後で発生することが分かっている。CMOS領域26の表面の損傷を受けた領域をいくらか除去することにより、清浄化の後の表面には容易には除去できない粒子は存在しなく、したがって、後で粒子が発生する危険性は大幅に減少する。
【0027】
段階38では、部分的に処理されたウエハ10は脱イオン水の中に浸される。この脱イオン水は、脱イオン水の純度を保持するために、3%の過酸化水素を含有することが好ましい。この脱イオン水の中に浸されている間、このウエハに対し1メガヘルツの超音波処理工程が行われる。この処理工程ではウエハの中に超音波による振動が誘起され、それにより、段階36を行った後では、ウエハの表面または切り溝22の中に残っているすべての他の粒子がさらに除去される。その後、DRW装置を用いて、ウエハの全面に室温で乾燥窒素を吹きかけることにより、損傷を受けやすいウエハの乾燥が行われる。このような乾燥方法は、他の方法では発生することがある機械的損傷または熱ストレスが非常に小さい。
【0028】
段階40では、ウエハ10に対して、少なくとも1つ以上の半導体処理工程が実行される。これらの処理工程の最終段階では、レジスト層20が除去される。レジスト層20が除去されると、マイクロミラーはアドレス電極の上で自由に懸垂される状態になる。重要なことは、マイクロミラーがその正常な傾斜動作をすることを損なうまたは抑制する粒子が存在しないことである。
【0029】
段階42では、ウエハ10は区画路に沿って切断され、それにより、個別のダイが得られる。この切断工程は、ウエハの裏側表面すなわち下側表面のドーム状の部分を押す工程であることができ、それにより、ウエハ・ダイが切り溝22に沿って分離する。このウエハを粘着テープの上で上側を下向きにして配置することにより、この最終の切断工程の間に発生するすべての粒子が下方に落下し、そして粘着テープに付着するであろう。
【0030】
要約をすれば、本発明の処理工程は、続いて行われる処理工程の前に、部分的切断工程の後で部分的に処理されたウエハを清浄化する段階を有する。本発明は、フッ酸とアルキル・グリコールとを組み合わせて用いる。この組み合わせは、フッ酸の清浄化溶液としての利点を利用する一方、アルキル・グリコールは、フォトレジストで構成される保護層に希釈されたフッ酸が浸透または拡散することを抑制する。したがって、フッ酸が用いられる一方、マイクロ機械デバイスまたはその他の損傷を受けやすい構造体のような装置の基本となる構造体が損傷を受ける確率は、大幅に減少する。アルキル・グリコールがフォトレジストと相互作用して残留物を生成し、そしてこの残留物により、フッ酸が保護レジスト層を通って移動することを抑制することが理論的に分かっている。
【0031】
本発明の方法により、2つの目標が達成される。第1の目標は、部分的切断工程の後に残っている酸化物粒子を含む粒子を、ウエハの上に形成されたCMOS層から除去することである。第2の目標は、切り溝の近くのCMOS層の損傷を受けた表面を部分的に除去することである。この切り溝の近くのCMOS層の損傷を受けた表面は、清浄化工程が行われた後でも、粒子を発生する発生源であることが分かっている。切り溝の近くのこのCMOS層を約600オングストロームだけ除去することにより、CMOS層の損傷を受けた部分が減少する。本発明により、ウエハからデバイスを得る歩留まりが大幅によくなる。
【0032】
本発明を特定の好ましい実施例について説明したけれども、本発明の範囲内において多くの変更実施例および修正実施例の可能であることは、当業者にはすぐに理解されるであろう。したがって、本発明は、先行技術の観点から可能であるこのような変更実施例および修正実施例をすべて包含すると理解しなければならない。例えば、本発明は、DMD型の空間光変調器、加速度計、マイクロ電動機、化学的センサおよび生物学的センサを含む、マイクロ機械デバイスを包含する製造途中の構造体の処理工程に応用することができる。
【0033】
以上の説明に関して更に以下の項を開示する。
(1)(イ) 半導体ウエハを保護層で被覆する段階と、
(ロ) 前記ウエハを部分的に切断する工程により区画路を作成する段階と、
(ハ) 希釈されたフッ酸とアルキル・グリコールを含む溶液を前記ウエハに作用させる段階と、
(ニ) 前記半導体ウエハの上に構造体を完成するために前記ウエハに処理工程を行う段階と、
(ホ) 前記部分的切断工程により作成された区画路に沿って前記ウエハを破断して個別のチップを作成する段階と、
を有する、部分的に完成された構造体を備えた半導体ウエハを清浄化するための処理工程。
【0034】
(2) 第1項記載の処理工程において、前記溶液の中に脱イオン水を備える段階をさらに有する、前記処理工程。
(3) 第1項記載の処理工程において、前記溶液が前記アルキル・グリコールを容積で50パーセント以上有する、前記処理工程。
(4) 第1項記載の処理工程において、前記溶液が前記アルキル・グリコールを約8、希釈されたフッ酸を約1、脱イオン水を約1有する、前記処理工程。
(5) 第1項記載の処理工程において、前記溶液がグリセリン、プロピレン・グリコール、エチレン・グリコール、またはブチレン・グリコールのいづれかで構成される、前記処理工程。
(6) 第1項記載の処理工程において、前記フッ酸が希釈されている、前記処理工程。
(7) 第4項記載の処理工程において、前記フッ酸が約0.5%の濃度である、前記処理工程。
(8) 第1項記載の処理工程において、前記段階(ニ)を実行する前に前記溶液を音波により振動を加える段階をさらに有する、前記処理工程。
(9) 第1項記載の処理工程において、前記ウエハを清浄化するための前記段階(ハ)において前記ウエハを前記溶液の中に浸す段階を有する、前記処理工程。
(10) 第4項記載の処理工程において、前記区画路の近傍の前記保護層を約600オングストロームだけ除去するために前記ウエハを前記溶液の中に浸す段階を有する、前記処理工程。
(11) 第1項記載の処理工程において、前記ウエハが前記段階(ロ)の期間中に部分的に切断される酸化物層を前記保護層の下に配置して有する、前記処理工程。
(12) 第1項記載の処理工程において、前記ウエハが部分的に製造されたマイクロ機械デバイスを備えている、前記処理工程。
(13) 第1項記載の処理工程において、前記保護層がフォトレジストで構成される、前記処理工程。
(14) 第1項記載の処理工程において、前記保護層が酸化物/フォトレジストで構成される、前記処理工程。
(15) 第1項記載の処理工程において、前記段階(ハ)の後に前記ウエハを乾燥する段階をさらに有する、前記処理工程。
(16) 第15項記載の処理工程において、前記乾燥段階が前記ウエハに窒素ガスを吹きかけることにより行われる、前記処理工程。
【0035】
(17) 本発明により、部分的に切断された半導体ウエハ10から切断屑24を除去して清浄化する処理工程が得られる。本発明の方法は、その上に例えばマイクロ機械デバイス16が製造されている部分的に製造されたウエハ12の清浄化に関する。マイクロ機械デバイス16は、部分的に切断する工程により発生する酸化物粒子のような粒子24により、容易に損傷を受けることがある。本発明は、希釈されたフッ酸とアルキル・グリコールを含有する溶液で、部分的に切断されたウエハを清浄化する段階を有する。この溶液を用いた清浄化段階により、2つの目標が達成される。第1の目標は、ウエハの表面の上および切り溝22の中の酸化物粒子などの切断屑を除去することである。第2の目標は、切り溝22の近傍のCMOS層14の表面26の中の損傷の深さを減少させることである。この切り溝22は、ウエハの清浄化工程の後における粒子の発生源であることが分かっている。その後、他のすべての粒子をさらに除去するために、脱イオン水の中にウエハを浸しながら、超音波処理工程によりウエハに超音波振動が加えられる。本発明の清浄化工程が行われた後、少なくとも1つの半導体処理工程を行うことにより半導体ウエハが完成する。本発明の清浄化工程を用いることにより、大幅に改良された歩留まりを実現することができる。
【0036】
【関連する出願】
関連する出願は、名称「ウエハのレベルでの処理工程によりウエハをダイに分離する(Separation of Wafer Into Die with Wafer−Level Processing)」の1995年1月6日受付けの出願中特許出願番号第08/369,838号である。この出願中特許は、本発明の譲渡人と同じ譲渡人に譲渡されている。この出願中特許の内容は、本出願に取り込まれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】CMOS回路の層の上に定められた製造途中のマイクロ機械デバイスの構造体部品である、部分的に処理された半導体ウエハの横断面図。このマイクロ機械構造体はフォトレジストの保護層で被覆される。部分的に切断する工程の後、切断切り溝の中に存在する酸化物粒子などの切断屑がさらに示されている。
【図2】半導体ウエハの本発明の清浄化工程の後における部分的に処理された横断面図。この清浄化工程により、フッ酸とアルキル・グリコールの溶液を用いることにより、部分的に完成したダイのマイクロ機械構造体に損傷を与えることなく、酸化物粒子を含む切断屑がウエハ表面および切り溝から除去される。
【図3】製造途中の半導体ウエハに損傷を与えることなく、この製造途中の半導体ウエハに対し処理工程を実施する順次の段階を示した本発明の流れ図。
【符号の説明】
10 半導体ウエハ
12 半導体基板
14 CMOS層
16 マイクロ機械デバイス
20 保護層、フォトレジスト層
22 切り溝
24 切断屑、酸化物粒子

Claims (1)

  1. (イ) 半導体ウエハを保護層で被覆する工程と、
    (ロ) 前記ウエハの部分的切断により区画路を作成する工程と、
    (ハ) 保護層を除去することなく部分的切断からの切断屑を除去するために、希釈されたフッ酸とアルキル・グリコールを含む溶液を前記ウエハに作用させる工程と、
    (ニ) 前記作用させる工程を完了させた後、保護層を除去する工程と
    (ホ) 前記半導体ウエハの上に構造体を完成するために前記ウエハに処理を行う工程と、
    (ヘ) 前記部分的切断により作成された区画路に沿って前記ウエハを破断して個別のチップを作成する工程と、
    を有する、部分的に完成された構造体を備えた半導体ウエハを清浄化する方法。
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