JP3802195B2 - 車形検出装置および同装置を備えた洗車機 - Google Patents

車形検出装置および同装置を備えた洗車機 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、フレームと自動車車体とを相対移動させて自動車車体の車形を検出する車形検出装置、および同装置を備え、洗浄する自動車車体の形状に応じて、洗浄ブラシ,乾燥ノズル等の洗車処理装置を順次作用させて自動車車体の洗浄,乾燥等の処理を施す洗車機に関する。
【0002】
【従来の技術】
洗車機本体に洗浄ブラシ,乾燥ノズル等の洗車処理装置を備え、洗車機本体と洗浄する自動車車体とを相対移動させて自動車車体の洗浄を行う洗車機では、洗浄する自動車車体の形状に応じて、洗浄ブラシ,乾燥ノズル等の洗車処理装置を制御している。そのため、自動車車体の形状を検出する必要がある。
【0003】
例えば、従来の自動車車体形状を検出する手段の一例として、特開平1−127439に開示されている車高測定装置がある。この車高測定装置では、走行フレームの走行に伴って走行パルス信号を出力する走行パルス発生手段と、走行フレームの車両に対向する側面の上下方向に設けられた複数のセンサからなる車両検出手段と、走行パルス信号が出力されると車両検出手段の出力信号を記憶する手段とを備え、走行フレームの走行に伴って、車高を連続して測定するものである。従って、この装置では車両の長さ方向に一定間隔ごとに車高が検出され記憶されることになり、車両の輪郭形状が記憶されることになる。
【0004】
また、その他の例として、本出願人が既に出願し特開平3−220051に開示されている洗車機における車高測定装置がある。この車高測定装置では、フレームの前端部両側に相対向するように設けた複数の光電スイッチと、光電スイッチを上下方向に昇降移動させる台車と、光電スイッチより得られる検知信号に基づいて台車の昇降を制御する台車昇降制御手段と、台車の高さを検出する台車位置検出手段と、フレームの走行位置を検出するフレーム位置検出手段と、各検出手段より得られるフレームの走行距離に対する台車の高さを記憶する記憶手段とを備えており、この装置でも、車両の長さ方向に一定間隔ごとに車高が検出され記憶されることになり、車両の輪郭形状が記憶されることになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような方法で検出された車両の輪郭形状は、自動車車体に対しては充分な精度を持つものであるが、車体より突出した突起物の検出は充分とは言えなかった。例えば、近年増加傾向にあるワンボックス形状のワゴン車やオフロードタイプのRV車は、車体前部のフロントミラーや車体後部のリアミラーといった車体から突出したミラーを備えている。これら突起物は一般的に車体本体と比較すると機械的強度に劣るものであるが、これらを検出する際、前記特開平1−127439や特開平3−220051の方法では、車体本体の一番高い部分として検出されるだけである。従って、洗浄ブラシを車体表面に沿って昇降制御させようとすれば、機械的強度に劣るミラー部も車体本体と同じように洗浄ブラシを接触させて回転洗浄することになり、ミラーを破損させる恐れがある。
【0006】
また、特開平3−220051では、ミラーを支える細いアームを光電スイッチが検出したときには光電スイッチを保持する台車を上昇制御し、ミラーを検出することができるが、万一アームを検出できなかったときには、光電スイッチによる車体の検出は自動車車体本体の輪郭に沿って行われることになり、ミラーは検出されないことになる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような問題を解決するために本発明は、フレームと自動車車体とを相対移動させて自動車車体の車形を検出する装置において、前記フレームの走行位置を検出する走行位置検出手段と、前記フレームの前部に車体の上下方向に所定間隔ごとに複数配置され車体の有無を検出する車体検出手段と、前記走行位置検出手段で検出されたフレームもしくは自動車車体の所定間隔ごとの走行位置に対応して、前記複数の車体検出手段の各々で検出された車体の有無を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された車体の有無のデータを2値化された画像データとして認識し輪郭を抽出する第1の処理手段と、車体有のデータが所定面積以上の連結成分として存在する部分を突起物として抽出する第2の処理手段と、第1,第2の処理手段に与えられ洗車制御用データを作成する車形検出手段とを備え、第1の処理手段による画像データと第2の処理手段による画像データとを比較し、第1の処理手段による輪郭画像データに第2の処理手段により得た突起物が反映されていない場合、突起物をその存在する位置に復元した洗車制御用データを作成する。
【0008】
また、本発明は、フレームと自動車車体とを相対移動させて自動車車体を検出し、車体データを2値化画像として記憶するとともに、記憶した車体画像データを画像処理し自動車車体の形状を検出する装置において、検出された自動車車体の画像データから、突起物が存在し得る範囲の画像データを自動車車体のどの部分かに応じてアドレス付けしてマイクロコンピュータ内のプレーン上に展開し、プレーン上に展開した画像データにおいて自動車車体の各基準点を認識する手段と、前記各基準点間を結ぶ線により、画像データを自動車車体本体と、フロントミラー,リアミラー等の自動車車体本体でない部分とに分割して、そのうち自動車車体本体でない部分を抽出し、抽出された自動車車体本体でない部分に対して記憶した車体画像データを基にプレーン上の突起物が存在する可能性のある範囲内で所定面積以上の物体を検出し、物体が検出されたとき、前記基準点およびプレーンのアドレスに対応させて物体がフロントミラー,リアミラー等の自動車車体本体より突出した突起物であることを判断する手段を備える。
【0009】
また、本発明はこれらの車形検出装置を、洗車機本体と洗浄する自動車車体とを相対移動させて自動車車体の洗浄を行う洗車機に備えるとともに、この車形検出装置で検出した車形に応じて洗浄ブラシ,乾燥ノズル等の洗車処理装置を制御して自動車車体に対して作用させ、自動車車体の洗浄を行う。
【0010】
【作用】
本発明によれば、自動車車体の長さ方向に所定間隔ごとの上下方向車体有無を記憶しながら、同時に車体の有無に関するデータをそのまま直接2値化された画像データとして認識するので、原寸大の車体を上部から下部まで隈無く検出した上での車体の実際の大きさに対応した画像データが、短時間で正確に得られる。2値化された画像データを他の方法で得ようとすれば、一般的にはCCDカメラを用いた方法があるが、例えば、CCDカメラを洗車機側面に設けて車体を撮影すれば、至近距離で撮影することになるため撮影範囲は車体の一部分に限られてしまう。また、車幅の違いや洗車機に対する停止位置の違いにより、撮影距離が変化してしまうため、撮影した画像と実際の自動車の大きさとの対応づけが難しくなる。また、カメラで撮影した画像は、撮影した画像データを2値化する処理が必要であり、実際に必要な車体部分のデータを背景部分から抽出する処理も必要である。
【0011】
また、本発明は車体に関する2値化データを認識しながら、それを基に車体の輪郭抽出,収縮,ラベリング等の画像処理を施し、輪郭抽出した2値化画像データとラベリング処理後の突起物に関する2値化画像データとを比較して、輪郭データに突起物が反映されていない場合は、突起物を輪郭に復元した洗車制御用データを作成するので、フロントミラーやリアミラーの検出において、ミラー部分を自動車車体本体部分と区別してミラーとして認識するができ、しかも万一、輪郭抽出処理の際に輪郭からミラーが抜け落ちたような場合でも、本来ミラーが存在していた位置に輪郭として完全に復元できる。また、従来例のように自動車車体本体部分からミラーを支えるアームを検出できずにミラーの存在を無視してしまうというようなこともない。
【0012】
また、本発明では、検出された自動車車体の画像データから、突起物が存在し得る範囲の画像データを自動車車体のどの部分かに応じてアドレス付けしてマイクロコンピュータ内のプレーン上に展開し、プレーン上に展開した画像データにおいて自動車車体の各基準点を認識する手段と、前記各基準点間を結ぶ線により、画像データを自動車車体本体と、フロントミラー,リアミラー等の自動車車体本体でない部分とに分割して、そのうち自動車車体本体でない部分を抽出し、抽出された自動車車体本体でない部分に対して記憶した車体画像データを基にプレーン上の突起物が存在する可能性のある範囲内で所定面積以上の物体を検出し、物体が検出されたとき、前記基準点およびプレーンのアドレスに対応させて物体がフロントミラー,リアミラー等の自動車車体本体より突出した突起物であることを判断するので、フロントガード,スペアタイヤなどとの区別や自動車車体に関する画像データを検出する際にノイズ成分が一緒に読み込まれた場合でも、車体からの突起物なのかあるいはノイズ成分なのかの判断が確実に行われる。また、その判断結果に基づいて洗浄ブラシ,乾燥ノズル等の洗車処理装置を自動車車体本体に対して作用させて自動車車体の洗浄を行うことは、検出された画像データ全体をラベリング処理するのに比べて、画像処理に必要な時間を短縮することができ、これにより自動車の車形に適した安全な洗車を高速で行うことができる。
【0013】
【実施例】
以下、図面を基に、本発明の実施例について説明する。図1は本発明実施例の側面図、図2は本発明実施例の正面図である。1は自動車車体を跨ぐように門型状に形成した洗車機本体で、正転逆転可能な電動機4,4により車輪2,2を回転駆動して、レール3,3上を往復走行する。
【0014】
5は、レール上における洗車機の走行位置を検出するロータリーエンコーダーで、電動機4の出力軸に連結し、電動機4の回転方向すなわち車輪2の回転方向を検出しながら単位角度回転ごとにパルス信号を出力して洗車機本体1の走行位置を与える。
【0015】
6は、洗車機の基準となる位置を検出する位置センサーで、洗車機本体1下部に設けられ、レール3敷設面に突起して固定されたドッグ7を感知してスイッチングし、洗車機本体1の位置を与えている。このドッグ7が固定された位置が洗車機の走行開始位置となる。
【0016】
8は自動車車体上面に沿って回転しながら上下する上面洗浄ブラシ、9は車体側面に沿って回転しながら開閉する側面洗浄ブラシ、10,11は散水ノズル、12は上面乾燥ノズル、13は側面乾燥ノズルで、洗車機本体1の往復走行に伴って、車体の洗浄,乾燥等の処理を行う洗車処理装置を構成する。
【0017】
14はLED等の単位投光素子を上下方向に多数並べた投光器、15は投光器の単位投光素子と同数の単位受光素子を上下方向に並べた受光器で、本発明実施例の車体検出手段を構成する。投光器14の単位投光素子は一つづつ順次点灯、消灯制御され、受光器15に向けて水平方向に光を照射する。従って、投光器14の各単位投光素子より照射される光が自動車車体により遮られている箇所は受光器15では受光せず、自動車車体に遮られていない箇所は受光するので、結果として自動車車体の有無を検出することが可能となる。
【0018】
図3は実施例の制御系を示すブロック図である。16はマイクロコンピューターで、演算処理を行うCPU17、プログラム及び各種データを記憶するメモリ18、入出力インターフェース19より成り、入出力インターフェース19には、走行位置検出用ロータリーエンコーダー5、位置センサー6、電動機4,4、上面洗浄ブラシ8、側面洗浄ブラシ9、散水ノズル10,11、上面乾燥ノズル12、側面乾燥ノズル13、車体検出用投光器14、車体検出用受光器15が接続される。
【0019】
20は画像処理部で、走行位置検出用ロータリーエンコーダー5からのパルス入力と対応させて車体検出用受光器15の単位受光素子の受光,非受光の状態を記憶して画像データを作成するとともに、画像処理を行う。
【0020】
次に図4を基に、本発明実施例の車形検出装置の動作について説明する。図5(a)に示すように洗車機本体1が洗車開始位置にあるとき、自動車Aを所定の停止位置に停止させる。洗車を開始し、洗車機は投光器14を構成する単位投光素子を順次点灯,消灯させるとともに、受光器15で受光,非受光を検出し、自動車Aの車体を検出する。洗車機本体1が図5(b)に示す位置に達したとき、投光器14を構成する単位投光素子のうちhaより下に位置するものの光は自動車Aの車体によって遮光され、受光器15で受光されない。この時の受光器15での受光の有無は、この位置における車体の検出状態として画像処理部に保存される。洗車を実行し、洗車機本体1が図5(c)に示す位置に達したとき、投光器14の単位投光素子のうちhbより下に位置するものの光は、自動車Aの車体によって遮光され受光器15では受光されない。このときの受光器15での受光の有無も、この位置における車体の検出状態として画像処理部に保存される。このようにして、洗車機本体1の走行に伴い投光器14からの光が自動車によって遮られるか否かを順次画像処理部20に記憶して、自動車の車体を2値化画像データとして検出する。
【0021】
このようにして、検出した自動車Aの車体画像データを図5(a)に示す。この検出された画像データは、画像処理部20内部で図5(b)に示すマトリクス状に区切った画面上に、受光「0」,非受光「1」という2値データとして展開される。マトリクス行列の行数は投光器14の単位投光素子の数に相当し、1セルの長さは、隣り合う単位投光素子のピッチに相当する。列数は洗車機本体の走行距離に対応するものであり、1セルの長さは、走行位置検出用ロータリーエンコーダー5のパルス発生タイミングに相当する。本実施例では、投光器14の単位投光素子としてLEDを用い、上下方向に224個を7mmピッチで配設している。また、走行位置検出用ロータリーエンコーダー5は洗車機本体1が2.49mm移動するごとにパルスを発生しており、3パルス7.47mmごとに受光器15の単位受光素子の受光,非受光の状態を読み込んでいる。従って、マトリクスの1セルは自動車の車体画像データを読み込んだ際の画素であり、これはすなわち分解能に相当する。つまり、自動車は7mm×7.47mmの分解能で検出される。
【0022】
本発明では、上記の分解能で検出された画像データを解析処理することにより、自動車車体の輪郭を検出する。輪郭は画像データに論理フィルターをかけて検出し、それによってフロント位置,ボンネットとフロントガラスの境界といった基準点が検出される。
【0023】
画像データに論理フィルターをかけて輪郭線を抽出するアルゴリズムを図6を基にして説明する。まず、図6(b)に示すように、画像処理部20内部に展開された2値データにおいて、「1」が隣どうし連続して存在している連結成分の、最も下でかつ最も左に位置するセルを追跡開始点D1として選択する。次に図6(a)に示すようにD1を中心にその周りに隣接する8セルを右まわりに調べ、図6(b)に示すように「0」から「1」に初めて変わったときのセルをD2として検出する。次に選択するセルをD1からD2に移し、D2について上記と同様の処理を行い、セルD3を得る。この処理を繰り返し実行し、Dn=D1つまり追跡開始点として最初に選択したセルD1に戻ったとき処理を終了し、それまでの過程で検出したD1からDn−1までのセルを輪郭線とする。実際には、洗車機本体1の走行とともに自動車の車体画像データが順次送られてきて展開されつつ輪郭線を追跡するので、自動車全体の画像データ取り込みを完了した時点で図5(c)に示すように全体の輪郭線が抽出されることになる。次に、抽出した輪郭画像データを基に、自動車車体の車長方向距離ΔLに対する高さ方向の変化ΔHを計算し、その傾きの変化から、フロント位置a,ボンネット部とフロントガラスの境界b,フロントガラスと屋根部の境界c,屋根部とリアガラスの境界d,リアガラスとトランク部の境界e,リア位置fといった車体各部のポイントを検出する。ワンボックスワゴン車のようにボンネットのない自動車の場合は、ボンネット部とフロントガラスの境界は検出できないので、所定高さを越えた時点でボンネット部とフロントガラスの境界が検出されなかった場合は、ワゴン車と判断し、ボンネット部とフロントガラスの境界検出は放棄し、フロントガラスと屋根部の境界検出に移るようにする。更に、図5(d)に示すように、抽出した輪郭データを基に洗車機本体の走行x軸方向に対し、自動車高さy軸方向のデータを1つ限定した洗車制御用データを作成する。
【0024】
次に、本発明の車形検出装置を用いて自動車車体の突起物を検出する例を説明する。例えば、図7(a)に示すように、ワゴン車に関する車体画像データを検出するとき、上記の方法で輪郭線抽出処理を行うとともに、車体の前端から所定距離分の画像データを取り込むごとにラベリング処理の指示を出す。車体形状全体に注目したとき、突起物であるフロントミラーFMやリアミラーRMが存在する位置はだいたい決まっており、ワゴン車の場合であれば、車種が異なっても図示する位置付近に集中してくる。従って、車体前端からフロントミラーが存在する可能性が高い位置まで画像処理部20内部に車体画像データを取り込んだらラベリング処理を行い、処理対象物であるフロントミラーを捕捉し処理を実行するまで、あるいはミラーが存在すべき位置を過ぎるまで集中的にリトライをかける。取り込まれる車体画像データが車体の屋根部に移ったら0.5〜1mおきにラベリング処理を行い、今度はリアミラーが存在する可能性の高い位置に達したらフロントミラー付近と同じようにリアミラーを捕らえるまで集中的にリトライをかける。
【0025】
ラベリング処理の具体的な内容は次の通りである。まず、図8(a)に示すように、取り込んだ車体画像データからプレーン上に車体画像の一部を切り出して展開する。このプレーンの大きさは縦0.5〜0.8m横は車体の場所に応じて可変するものであり、車体のどの部分を切り出して展開したかはプレーン左上の座標(Xn,Yn)で判断する。次に、プレーン上の画像データに論理フィルターをかけて収縮画像データを作成する。つまり、図8(c)に示すように、検出の対象となるセルとそれに隣接する8個のセルを一組とした9セルのパターンを検出することにより行われる。具体的には、「D0,D1,D3,D4,D6,D7が1であるときは0を出力する」、「D3,D4,D6,D7が1であるときは0を出力する」、「D3,D4,D5,D6,D7,D8が1であるときは0を出力する」、など適宜のパターンの出力値を0とする事で、図8(b)のように、所定面積以下のミラーのアーム部分が消滅し、自動車車体本体部分とフロントミラー部分とが分離された収縮画像データを作成する。次に、この収縮画像データの、論理が1となる隣接したセルに同じ番号を付ける。例えば、自動車車体本体部分を1に、フロントミラー部分を2に番号付けして検出する。
【0026】
このラベリング処理は、セル1つ1つに論理フィルターをかける等の処理を行って収縮画像を作成し、収縮画像の連結成分セル1つ1つに番号付けをしていくものであるから、処理に時間がかかり、車形を検出しながら同時に洗車を行う洗車機に応用する場合には都合が悪い。そのため、処理時間を短縮する必要があり、次のようにして短縮している。
【0027】
輪郭抽出で検出した車体の基準点に直線を引き、車体本体部分とそうでない部分とを分離し、本体ではない部分のみにラベリング処理を行うようにする。図9(a)に示すように、フロント位置aと、フロントガラスと屋根部の境界cの各基準点を結ぶ直線で車体本体部分とそうでない部分とに分け、図9(b)に示すように本体でない部分のみを抽出する。そして、抽出された画像データにのみ収縮処理とラベリング処理を施す。ところで、図8(a)に示すようにプレーン左上の座標(Xn,Yn)により車体のどの部分を切り出してラベリング処理しているのかが判るので、ワゴン車のフロントミラーが存在する可能性の最も高いプレーンを予め決めることが可能である。更にそのプレーン上のどのあたりにフロントミラーが存在するということも予測できる。そこで、フロントミラーを検出する可能性の高いプレーンの注目箇所を予め設定し、ラベリング処理を施した結果その注目箇所に位置し、かつ所定面積以上を持つものを車体からのミラー突起物として認識する。このようにすることによって、洗車に影響のない突起物(フロントガード,RV車の後部に固定されたスペアタイヤなど車体として考えて構わない突起物)とミラーとの区別を確実に行うことができる。
【0028】
ところで、フロントミラーが自動車前端部より前にある場合は、フロントミラー自体がフロント位置として認識されることになる。このような場合を考慮し、フロント位置を所定の高さ以下として基準点を設定しておけば、抽出する領域をフロントミラー、あるいはフロントミラーと車体の一部を含む部分とすることができる。図10(a)に示すように、フロント位置aとして検出されるフロントミラーFMの前端面と垂直線上にある所定の高さの点をフロント位置a′と定め、この点とフロントガラスと屋根部の境界cとを直線で結び、自動車車体本体部分とそうでない部分とに分離し、車体本体部分以外を抽出すると、図10(b)に示すように、フロントミラーFMが抽出できる。
【0029】
このようにして、自動車車体の輪郭線を抽出し、輪郭線に含まれる突起物がミラーであるのか否かの判断を行う。しかし、車形検出手段による車体画像データ検出の際、長期の使用にわたる投光器,受光器の汚れ等により、ミラーのアーム部分のような細い箇所が一部検出できないというケースも発生しうる。そのような場合、抽出される輪郭線および洗車制御用データは図11のようになり、突起物であるミラー部分が抜け落ちた輪郭線および洗車制御データとなり、抜け落ちたミラー部分は空中に浮いた状態でノイズとして扱われてしまう。この洗車制御データに基づいて上面洗浄ブラシ8,上面乾燥ノズル12を制御し、自動車車体に作用させると、ミラー部分を破損させてしまう可能性が非常に高い。そこで、ラベリング処理によりフロントミラー,リアミラー突起物を検出した時点で抽出した輪郭線との比較を行い、輪郭線に突起物が含まれていない場合は、突起物を検出した位置に突起物の存在を復元、すなわち空中に取り残された状態の突起物を車体の一部として戻した洗車制御用データを作成する。このように、輪郭線抽出結果と、ラベリングによる突起物の検出結果とを比較した上で洗車制御用データを作成することにより、ミラーのアーム部分を検出できなかった場合でも洗車時のミラー破損を防ぐことができる。
【0030】
なお、本発明は、上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲を逸脱することなく、種々の設計変更が可能である。例えば、車体の検出手段は複数の投光器に対する受光面に放物線状の反射板を用い、反射光の焦点に受光器を設けるようにした方式の車体検出手段でも良い。
【0031】
また、画像データの処理には、実施例の記載の方法だけでなく、種々の方法を用いることができ、例えば、車体の輪郭画像は、セルが0と1の境界となる部分を車体に沿って逐次検出していくことによっても作成できる。また、画像処理に用いる手法は実施例に記載の輪郭の抽出,収縮,ラベリング等の手法だけでなく、ノイズの除去やその他数式を用いた処理など、種々の画像処理方法を用いることができる。
【0032】
また、実施例では、例としてワゴン車のフロントミラーを検出する場合を示しているが、リアミラーの検出も同様に行えるし、自動車の車種や突起物の種類は限定されず、乗用車においてのルーフキャリアやタクシーの表示灯なども、同様の手法で検出でき、検出した突起物に応じて洗浄ブラシや乾燥ノズルといった洗車処理装置の制御を行える。
【0033】
また、実施例では、所定位置に停止した自動車に対し、洗車機本体が走行して自動車車体を洗浄する洗車機について示しているが、自動車を移動可能な台車に載せ、洗車機本体と自動車のどちらか一方または双方を移動させて洗浄を行う洗車機でもよく、あるいは、固定されたトンネル状の洗車機本体に、自動車をコンベア等で移動させて洗浄を行う洗車機でも良い。
【0034】
【発明の効果】
以上のように本発明は、フレームと自動車車体とを相対移動させて自動車車体の車形を検出する装置として、前記フレームの走行位置を検出する走行位置検出手段と、前記フレームの前部に車体の上下方向に所定間隔ごとに複数配置され車体の有無を検出する車体検出手段と、前記走行位置検出手段で検出されたフレームもしくは自動車車体の所定間隔ごとの走行位置に対応して、前記複数の車体検出手段の各々で検出された車体の有無を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された車体の有無のデータを2値化された画像データとして認識し輪郭を抽出する第1の処理手段と、車体有のデータが所定面積以上の連結成分として存在する部分を突起物として抽出する第2の処理手段と、第1,第2の処理手段に与えられ洗車制御用データを作成する車形検出手段とを備え、第1の処理手段による画像データと第2の処理手段による画像データとを比較し、第1の処理手段による輪郭画像データに第2の処理手段により得た突起物が反映されていない場合、突起物をその存在する位置に復元した洗車制御用データを作成するものである。
【0035】
また、本発明は、洗車機本体もしくは自動車車体の走行に伴い、自動車車体を検出し、検出した車体データを2値化画像として記憶するとともに、記憶した車体画像データを画像処理し自動車車体の形状を検出する装置において、検出された自動車車体の画像データから、突起物が存在し得る範囲の画像データを自動車車体のどの部分かに応じてアドレス付けしてマイクロコンピュータ内のプレーン上に展開し、プレーン上に展開した画像データにおいて自動車車体の各基準点を認識する手段と、前記各基準点間を結ぶ線により、画像データを自動車車体本体と、フロントミラー,リアミラー等の自動車車体本体でない部分とに分割して、そのうち自動車車体本体でない部分を抽出し、抽出された自動車車体本体でない部分に対して記憶した車体画像データを基にプレーン上の突起物が存在する可能性のある範囲内で所定面積以上の物体を検出し、物体が検出されたとき、前記基準点およびプレーンのアドレスに対応させて物体がフロントミラー,リアミラー等の自動車車体本体より突出した突起物であることを判断するものである。
【0036】
これにより、実際の自動車車体の大きさに対応づけた2値化画像データを容易に得ることができ、この画像データに、輪郭の抽出、ラベリング等の画像処理を施して、突起物を備えた自動車の車形と突起物がミラーであるのかどうかの検出を行うことができる。また、長期にわたる使用で車体検出手段の精度が低下し、車体の輪郭線抽出の際に突起物が抜け落ちた場合でも、ラベリング処理で検出した突起物有無の結果と比較し、抜け落ちた突起物を車体の一部として復元して洗車制御用データを作成するので、車体に対して機械的強度に欠けるミラー部分の損傷を確実に防ぐことができる。更に、ラベリング処理による突起物の検出は、検出した車体画像データに応じて、予め予測したミラー等の機械的強度に欠ける突起物が存在する可能性の高い部分を重点的にチェックすると共に、ラベリング処理された物体の面積と併せて判定するので、フロントガード,スペアタイヤ等機械的強度の高い突起物と明確に区別することが可能であり、洗車に影響の無い部分は確実に洗浄し破損の恐れがある部分は回避するといった効率的な洗車が提供できるものである。
【0037】
また、本発明はこれらの車形検出装置を、洗車機本体と洗浄する自動車車体とを相対移動させて自動車車体の洗浄を行う洗車機に備えると共に、これらの車形検出手段で検出した車形に応じて洗浄ブラシ,乾燥ノズル等の洗車処理装置を制御して自動車車体に対して作用させ、自動車車体の洗浄を行う。
【0038】
このように本発明による車形検出装置を洗車機に用いることにより、短時間で車形の検出および突起物の判断を行うことができ、その検出結果に基づいて、洗浄ブラシ,乾燥ノズル等の洗車処理装置を自動車車体に対して作用させて自動車車体の洗浄を行えるので、自動車の車形に適した安全な洗車を高速で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例の側面説明図である。
【図2】本発明実施例の正面説明図である。
【図3】本発明実施例の制御系を示す説明図である。
【図4】本発明実施例の動作説明図である。
【図5】本発明実施例の車形検出装置による車形検出の説明図である。
【図6】本発明実施例の車形検出装置による車形検出の説明図である。
【図7】本発明実施例の車形検出装置による車形検出の説明図である。
【図8】本発明実施例の車形検出装置による車形検出の説明図である。
【図9】本発明実施例の車形検出装置による車形検出の説明図である。
【図10】本発明実施例の車形検出装置による車形検出の説明図である。
【図11】本発明実施例の車形検出装置による車形検出の説明図である。
【符号の説明】
1 洗車機本体
5 走行位置検出手段を構成するロータリーエンコーダ
8 上面洗浄ブラシ
14 車形検出手段を構成する投光器
15 車形検出手段を構成する受光器
16 制御手段であるマイクロコンピュータ
20 画像処理部

Claims (5)

  1. フレームと自動車車体とを相対移動させて自動車車体の車形を検出する装置において、前記フレームの走行位置を検出する走行位置検出手段と、前記フレームの前部に車体の上下方向に所定間隔ごとに複数配置され車体の有無を検出する車体検出手段と、前記走行位置検出手段で検出されたフレームもしくは自動車車体の所定間隔ごとの走行位置に対応して、前記複数の車体検出手段の各々で検出された車体の有無を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された車体の有無のデータを2値化された画像データとして認識し輪郭を抽出する第1の処理手段と、車体有のデータが所定面積以上の連結成分として存在する部分を突起物として抽出する第2の処理手段と、第1,第2の処理手段に与えられ洗車制御用データを作成する車形検出手段とを備え、第1の処理手段による画像データと第2の処理手段による画像データとを比較し、第1の処理手段による輪郭画像データに第2の処理手段により得た突起物が反映されていない場合、突起物をその存在する位置に復元した洗車制御用データを作成することを特徴とする車形検出装置。
  2. フレームと自動車車体とを相対移動させて自動車車体を検出し、車体データを2値化画像として記憶するとともに、記憶した車体画像データを画像処理し自動車車体の形状を検出する装置において、検出された自動車車体の画像データから、突起物が存在し得る範囲の画像データを自動車車体のどの部分かに応じてアドレス付けしてマイクロコンピュータ内のプレーン上に展開し、プレーン上に展開した画像データにおいて自動車車体の各基準点を認識する手段と、前記各基準点間を結ぶ線により、画像データを自動車車体本体と、フロントミラー,リアミラー等の自動車車体本体でない部分とに分割して、そのうち自動車車体本体でない部分を抽出し、抽出された自動車車体本体でない部分に対して記憶した車体画像データを基にプレーン上の突起物が存在する可能性のある範囲内で所定面積以上の物体を検出し、物体が検出されたとき、前記基準点およびプレーンのアドレスに対応させて物体がフロントミラー,リアミラー等の自動車車体本体より突出した突起物であることを判断する手段を備えることを特徴とする車形検出装置。
  3. 請求項1記載の車形検出装置において、第2の処理手段では画像処理による収縮処理を行った後ラベリング処理の手法を用いて連結成分として存在する部分を抽出することを特徴とする車形検出装置。
  4. 洗車機本体と洗浄する自動車車体とを相対移動させて自動車車体の洗浄を行う洗車機に、請求項1または請求項2に記載の車形検出装置を備えたことを特徴とする洗車機における車形検出装置。
  5. 門型上に形成した洗車機本体内に、洗浄ブラシ,乾燥ノズル,等の洗車処理装置を備え、洗車機本体と洗浄する自動車車体とを相対移動させて自動車車体の洗浄を行う洗車機において、請求項1または請求項2に記載の車形検出装置を備え、車形検出装置で検出した車形に応じて前記洗車処理装置を制御して自動車車体に対して作用させ、自動車車体の洗浄を行う手段を備えることを特徴とする洗車機。
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