JP3801955B2 - インダクタブロック - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は主としてマルチサラウンド音響システム等によるデジタルオーディオに関するもので、より詳しくはスピーカ用デジタルアンプ回路に使用するフィルタ用チョークコイルに係るものである。
【0002】
【従来の技術】
図1(a),(b)はデジタルアンプの1チャンネル分の概略回路図である。すなわち図1(a)はSEPP(Single Ended Push Pull)方式による回路概略図であり、図1(b)はBTL(Balanced Transformer Less)方式による回路概略図である。
図1(a),(b)において、ICは集積回路、AMPはデジタルアンプ、L,CはローパスフィルタLPFを構成するインダクタとコンデンサであり、SPはスピ−カである。このように、SEPP回路方式は1チャンネルについて1組のLPFが必要であり、BTL回路方式は1チャンネルについて2組のLPFが必要である。
【0003】
近年のデジタルアンプは、高性能のサラウンド機能が脚光を浴び、多チャンネル化している。このデジタルアンプは、図1(b)に示すBTL回路方式が主流となってきており、4チャンネルから8チャンネル用いるのが一般的であって、LPFに用いられるインダクタLおよびコンデンサCは、8個乃至16個用いられる。そして、インダクタLは、10〜100Wの出力を出すデジタルアンプでは、2〜10Aの電流を流すために大きな形状となるとともに、周辺回路における発熱も大きい。特に、回路基板から伝わってくる熱に対しては、インダクタLを回路基板の面から浮かして放熱を計っている。このように、チャンネル数が増えると、インダクタを回路基板に実装する上で作業工数が増加する。
【0004】
図2に、従来使用されている縦型のインダクタの断面図である。
図2において、インダクタ30は、ドラムコア31aと、ドラムコア31aに巻回された巻線31bからなるコイル31と、ポット型コア33とで構成されている。
このように、インダクタ30は、コイル31にポット型コア33を被せ、底面部を接着剤32で固定したものが一般的に使用されている。また、回路基板35の表面から浮かした状態にして装着している。
このインダクタ30は、形状が大きく(参考:直径10mmφ、高さ15mm)重いことや放熱を考慮した部品配置とすることから、チャンネル数が増えると実装面積が大きくなり、装置として大型となる。ときには、熱および振動・衝撃により、ポット型コアとコイルの接着部分が剥離して特性が変化してしまうという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、多チャンネル化によるインダクタの増加にもかかわらず、インダクタの集約を図り、回路基板への装着回数を減らし、実装時の作業を軽減するとともに、熱および振動/衝撃等によるポット型コアとコイルとの接着部の剥離を防止したインダクタブロックを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明では、コアに巻いたコイルをポット型コアで覆ってなる縦型のインダクタと、そのインダクタを複数個収納して一体化する外装ケースとを有するインダクタブロックにおいて、外装ケースはインダクタを収納する複数個の貫通孔を有し、インダクタの端子を引き出す面に端子を固定するための保持部を形成する。また、外装ケースの上表面に溝を設け、外装ケースの底面にスタンドオフを設けるとともに、インダクタの外周同士が接触することのないように隙間を設ける。そして、外装ケースは、インダクタを横に寝かせて、複数個縦に積重ねて収納したり、横に並べて収納したりする。さらに、外装ケースの保持部は、端子を引出した側の外装ケースの側面に、溝又は孔を有する突起が設けてある。さらにまた、外装ケースが熱可塑性の樹脂製であって保持部を熱で溶解して端子を固定する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のインダクタブロックは、ポット型コアと、コアに巻いたコイルとを組合せて得られる縦型のインダクタを複数個収納してブロック化できる外装ケースを設けるものである。
その外装ケースは、プラスチック製のブロックに、インダクタを横に寝かせて複数個縦に積重ねて収納するための複数の貫通孔を設け、インダクタの端子引出し方向の面に端子を保持する保持部を持たせるか、または、インダクタを横に寝かせて複数個横に並べて収納するための複数の貫通孔を設けたり、縦型のインダクタの上に横に寝かせたインダクタを積重ねて収納する2つの貫通孔を設け、インダクタの端子引出し方向の面に端子を保持する保持部を持たせてなるものである。
さらに、インダクタの端子を保持する保持部は、外装ケースの側面に溝を設けるか、あるいは係止部を持った突起を設ける。さらにまた、外装ケースが熱可塑性の樹脂製であって、端子を保持する保持部の周辺を熱で溶解し、端子の固定を強化してなるものである。
【0008】
【実施例】
以下に本発明の一実施例であるインダクタについて図3乃至図5を用いて説明する。
【0009】
図3は本発明の一実施例であるインダクタブロックの斜視図である。図4はその背面図であり、図5はその縦断面図である。
この実施例は、2つのインダクタを横に寝かせて縦方向(回路基板の面に対し垂直)に重ねたインダクタブロックであり、実装面積を小さくし、回路基板の小型化に有効である。
図3において、L1およびL2は、図2に示した従来の縦型のインダクタ30と同様の構成であり、1は外装ケースである。
この外装ケース1は、立方体のプラスチック製ブロックに、インダクタL1,L2を収納する2つの貫通孔2,3を縦に平行に設ける。孔の一方の開放端4はインダクタが挿入できる孔径とし、他方の開放端5はインダクタの外形より孔径を小さくしてストッパーとする。
外装ケース1の孔のある両端面側は、インダクタ30の各端子34を保持する各々の溝a1,a2,b1,b2,b3,b4が設けてある。そして、外装ケース1の貫通孔の配置は、2つのインダクタL1およびL2の放熱を考慮して、外周が接触することがないように隙間を設けてある。
さらに、外装ケース1の上面は、熱を放出するためのスリット6を設けてインダクタL2の一部分が露出した状態にしてあり、底面にはスタンドオフ7が設けてある。
【0010】
このインダクタブロックは、特性の同じである2つのインダクタ30を用いて、図5に示すように、外装ケース1の一方の開放端4から他方の開放端5に挿入する。
インダクタL1は、端子34の先端を貫通孔2の開放端4から挿し込んで他方の開放端5に突き当たるまで挿入する。そして、突き出た2つの端子34を外装ケース1の面に沿って底面側に直角に折り曲げ、外装ケース1の面に設けられた溝a1,a2に嵌めこむ。
インダクタL2は、ポット型コアの上面を貫通孔3の一方の開放端4から挿し込んで他方の開放端5に突き当たるまで挿入し、2つの端子34を外装ケース1の面に沿って底面側に直角に折り曲げ、外装ケース1の面に設けられた溝b1,b2,b3,b4に嵌め込む。
インダクタL1,L2の端子34は、予め予備半田によって外装被膜を取り除いてある。
この図5に示した実施例は、外装ケースに熱可塑性樹脂を用いて成形したもので、端子を保持する溝に嵌め込み、溝部周辺を熱で溶解して固定を強化する。
【0011】
このように、本発明のコイルブロックは、2つのインダクタL1,L2を組合せる外装ケースを用いることによって、インダクタL1,L2の端子を長くして、回路基板の面からインダクタL1,L2を浮かせ、回路基板から伝わってくる熱の影響を少なくする。さらに、外装ケースの上面のスリットおよびインダクタL1とL2の間においても隙間を設けていることから、熱が篭ることなく容易に放熱することができる。
そして、インダクタL1,L2の端子をケースの一部で保持(融着)していることから、端子のピッチずれ、曲がり、変形等がなく、回路基板への装着が容易にでき、作業性が良い。そして、衝撃・振動等がインダクタの接着部に直接加わることがないことから、ポットコアとコイルとが剥離することがない。
【0012】
次に、他の実施例として、2つのインダクタL1,L2を横に寝かせて、横方向(回路基板の面に対し平行)に並べたインダクタブロックを図6に示す。そして、図6(a)はインダクタブロックの正面図、図6(b)は背面図、図6(c)はC−D縦断面図である。
この実施例は、高さを押さえた装置とする場合に好適である。
図6において、L1およびL2は、図2に示した従来の縦型のインダクタ30と同じ構成であり、10は外装ケースである。
外装ケース10は、インダクタL1,L2を横に寝かせて収納する2つの貫通孔12,13を横に平行に並べて設け、一方の開放端14はインダクタL1が挿入できる孔径とし、他方の開放端15はインダクタL1の外形より孔径を小さくしてストッパーとする。
外装ケース10の貫通孔のある両端面側は、インダクタ30の各端子34を保持する各々の溝a11,a12,b11,b12が設けてある。そして、外装ケース10の貫通孔の配置は、2つのインダクタL1とL2の放熱を考慮して、外周同士が接触することのないように隙間を設けてある。さらに、外装ケース10の上面は、熱を放出するためのスリット16を設けてインダクタL1,L2の一部分を露出させており、底面にはスタンドオフ17を設けている。
【0013】
このインダクタブロックは、特性の同様の2つのインダクタ30を外装ケース11の貫通孔12,13に収納する。インダクタL1,L2は、端子34の先端を貫通孔12または13の開放端14から挿し込み、他方の開放端15に突き当たるまで挿入する。そして、突き出た端子34の各々を外装ケース11の面に沿って底面側に直角に折り曲げ、外装ケース11の面に設けられた溝a11,a12,b11,b12に嵌め込む。インダクタL1,L2の端子34は、予め予備半田により外装被膜を取り除いてある。
本実施例では、外装ケースに熱可塑性樹脂を用いて成形したもので、端子を保持する溝に嵌め込み、溝部周辺を熱で溶解し、端子の固定を強化する。
【0014】
更に、他の実施例として、2つのインダクタを縦方向(回路基板の面に対し垂直)に積重ねたインダクタブロックとして構成され、第1段目のインダクタL1を立てた状態(回路基板の面と垂直にしてピンを底面側に出す)とし、第2段目のインダクタL2を横に寝かせた(回路基板の面と平行)インダクタブロックを図7に示す。そして、図7(a)はインダクタブロックの正面図、図7(b)は背面図、図7(c)はE−F縦断面図である。
この実施例は、2つのインダクタの磁軸を異ならせており、互いに磁界の影響を及ぼさないので、相互干渉を問題とする装置に使用する場合に好適である。
図7において、L1およびL2は、図2に示した従来の縦型のインダクタ30と同じ構成であり、20は外装ケースである。
外装ケース20は、インダクタL1,L2を収納する縦孔22と横に寝かせて収納する貫通孔23とを設け、縦孔22は外装ケース20の底面からインダクタL1を挿入する孔である。
貫通孔23は、縦孔22の上方に一方の側面24から他方の側面25に突き抜け、インダクタL2を挿入する横孔であり、貫通孔の一方の開放端24側からインダクタが挿入できるように開放端24側は大きな孔径とし、他方の開放端25側はインダクタの外形より孔径を小さくしてストッパーとする。貫通孔23の一方の開放端面25側は、インダクタ30の各端子34を保持する各々の溝b21,b22,b23,b24が設けてある。
そして、貫通孔22および23は、2つのインダクタL1,L2の放熱を考慮して、外周が接触することのないように隙間を設けてあり、さらに、外装ケース20の上面は熱を放出するためのスリット26を設けてインダクタL2の一部が露出してあり、底面にはスタンドオフ27が設けてある。
【0015】
このインダクタブロックは、特性の同じ2つのインダクタ30を用いて外装ケース21に設けられた縦孔22と貫通孔23に、インダクタL1およびL2を挿入する。
インダクタL1は、ポット型コア33の頭部を外装ケース20の底面から縦孔22に挿入し、接着剤で固定する。そして、突き出た2つの端子34は、外装ケース20の底面に沿って一方端(開放端24側底部)側に直角に折り曲げ、外装ケース20の側面側底面に設けられた溝a21,a22に嵌め込み、さらに下方に直角に折り曲げて外部回路基板と接続する端子とする。
インダクタL2は、端子34を貫通孔23の一方の開放端24から挿し込み他方の開放端25に突き当たるまで挿入し、接着剤で固定する。そして、突き出た2つの端子34を、外装ケース21の側面に沿って底面側に直角に折り曲げて、外装ケース20の側面に設けられた溝b21,b22,b23,b24に嵌め込み固定する。
インダクタL1,L2の端子34は、予め予備半田により外装被膜を取り除いてある。
この実施例では、外装ケースに熱可塑性樹脂を用いて成形したもので、端子を保持する溝に嵌め込み、溝部周辺を熱で溶解して固定を強化する。
【0016】
以上、本発明のインダクタブロックの実施例を述べたが、これらの実施例に限られるものではない。例えば、インダクタは、円筒型のポット型コアおよびコイルで形成したものを用いたが、一般的な閉磁路型固定インダクタを用いてもよく、角筒型であってもよい、また、外部ノイズの影響がない回路または装置に使用する場合は、外周のポット型コアを外してもよい。また、端子の保持部として溝を用いたが、溝または孔の係止部を設けた突起でもよい。
【0017】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のインダクタブロックは、外装ケースを用いて複数のインダクタを収納することによって、インダクタの集約を図り、回路基板への装着回数を減らし、実装時の作業を軽減することができる。
そして、外装ケースを用いることによって、インダクタを回路基板の面から浮かし、端子を長くすることによって、回路基板から伝わってくる熱の影響を小さくすることができる。
また、外装ケースの上面のスリットおよびインダクタL1とL2との間においても隙間を設けることから熱が篭ることなく、放熱効果がある。
さらに、インダクタの端子をケースの一部で保持(融着)することから、端子のピッチずれ、曲がり、変形等がなく、回路基板への装着が容易となる。しかも、熱および衝撃/振動等が接着部に直接加わらないので、ポットコアとコイルの剥離を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】デジタルアンプの1チャンネル分の回路概略図であり、(a)はSEPP方式、(b)BTL方式を示す。
【図2】従来のインダクタの一例を示す断面図。
【図3】本発明のインダクタブロックの一実施例である斜視図。
【図4】本発明のインダクタブロックの一実施例である図3の背面図。
【図5】本発明のインダクタブロックの一実施例である図3のA−B縦断面図。
【図6】本発明の他の実施例を示す正面図(a)、背面図(b)とそのC−D縦断面図(c)。
【図7】本発明のさらに他の実施例を示す正面図(a)、背面図(b)とそのE−F縦断面図(c)。
【符号の説明】
1 外装ケース
2、3 貫通孔
6 スリット
L1、L2 インダクタ
34 端子
a1、a2、b1、b2、b3、b4 端子固定部

Claims (1)

  1. コアに巻いたコイルをポット型コアで覆ってなる縦型のインダクタと、該インダクタを複数個収納して一体化する外装ケースとを有するインダクタブロックにおいて、
    該外装ケースは、該インダクタを収納する複数個の貫通孔を有し、該インダクタの端子を引き出す面に、該端子を固定するための保持部を形成し、該外装ケースの上表面に溝を設け、該外装ケースの底面にスタンドオフを設け、該インダクタの外周同士が接触することのないように隙間を設けたことを特徴とするインダクタブロック。
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