JP3801920B2 - 地下構造物用表示装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蓋本体の表面に配置される表示部材の取り付けのために、蓋本体を貫通する取り付け孔を有し、そこに表示部材の軸部を差し込んで止める構成を有する地下構造物用表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
所謂マンホールの蓋などの表面に、蓋本体とは別構造の表示部材を後付けすることが行われており、この種の技術を扱ったものとしては、特開平8−260496号や特開平9−144046号等の発明が提案されている。前者の例は蓋本体に貫通部分を生じないので漏水対策の必要はないが、後者の場合には蓋本体を表裏貫通する孔を生じるので何らかの漏水対策が必要とされる。下水用のマンホール蓋では鉤穴の内側を袋状にして、漏水が微量となるように設計されたものも少なくないが、個々の貫通孔からの漏水量は僅かなものであっても、多数の貫通孔を通じた漏水量の蓄積が進むと、地下構造物の内部の圧力が高まり、設置箇所によってはマンホール蓋などを飛散させるにも原因にもなる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記の点に着目してなされたもので、その課題は、蓋本体を貫通する取り付け孔に、表示部材の一部を差し込んで取り付ける構成に起因して発生する漏水の問題を解決することである。また本発明の他の課題は、表示部材の交換が容易でありかつ交換しても所期の漏水防止機能が維持される地下構造物用表示装置を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するため本発明は、半径方向外方へ突出する突形状を有し、かつ取り付け孔に差し込むと蓋本体の裏面に突出する係合手段を表示部材の軸部に設け、取り付け孔に差し込まれている軸部の係合手段にシール部材を係合によって固定し、シール部材は、キャップ状構造を有するとともに、蓋本体の裏面に接触し、封止機能を発揮するシール端を有しており、蓋本体を表示部材とシール部材とで表裏から挟み込む状態を取ることによって取り付け孔から蓋本体内に侵入しようとする漏水を遮断するという手段を講じたものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明に係る地下構造物用表示装置は、蓋本体の表面に配置される表示部材の取り付けのために、蓋本体を表裏貫通する取り付け孔を有し、そこに表示部材の軸部を差し込んで止める構成を有しているものを対象とする。
【0006】
蓋本体には、貫通した取り付け孔とともに、表示部材の嵌まる凹部を設けてあっても良い。表示部材は、その蓋本体を有する地下構造物に関する管路番号、鉄蓋識別番号、敷設年度等の情報を外部に表示するもの、蓋本体を装飾するもの、蓋本体の型式や種類を表示するものなどによって構成される。
【0007】
表示部材には、半径方向外方へ突出する突形状を有し、かつ取り付け孔に差し込むと蓋本体の裏面に突出する係合手段が軸部に設けられている。係合手段は、後に述べるシール部材との結合のために設けられているものである。従って、表示部材を蓋本体に固定するために係合手段が機能する必要はないが、しかし係合手段が表示部材を蓋本体に固定するための機能を兼ねることは本来の目的を損なわない限り自由である。
【0008】
取り付け孔に差し込まれている状態にある軸部の係合手段に前述のシール部材が係合によって固定される。この係合は、シール部材を軸方向に押し込むと係合が進み、緊締度が逓増する係合であっても良いし、必要な力を加えて初めて係合が可能となる係合であっても良い。いずれの係合であるにせよ、係合の結果、シール部材に得られる反力によって、蓋本体を表示部材とシール部材とで表裏から挟み込む関係又は状態を作り出し、取り付け孔から蓋本体内に侵入しようとする漏水を遮断可能とすることにおいて変わりはない。
【0009】
シール部材を、ゴム等の弾力性を有する材料によって形成し、表示部材軸部の係合手段とシール部材との結合によって、弾力性のあるシール部材が圧縮され、その圧縮反力によって漏水に対する遮断作用を高めることができる。即ちシール部材の主目的は蓋本体に開けられた貫通状の取り付け孔から漏水が内部に侵入するのを防止することにある。シール部材は様々な形態を取ることができるが、キャップ状の構造を有することにより密封可能である。
【0010】
表示部材には、軸部を有しかつ軸部に突形状の係合手段が設けてあるほかに要求されることはないが、表示部材自体の存在理由である何らかの表示を有しているベきであるのは当然のことである。しかし無表示、無特徴の表示部材も、例えば凹部を埋める等のために使用され得る。シール部材がゴム等の弾力性を有する材料から成るのに対して、表示部材はそれよりも良好な耐摩耗性、耐衝撃性を有する材料から成ることが望まれる。
【0011】
【実施例】
以下図示の実施例を参照して本発明をより詳細に説明する。図1は、地下構造物の開口を閉じるいわゆる鉄蓋の一部を示しており、蓋本体11の表面の縁に近い部分に必要数個の凹部12が設けられ、夫々の底に蓋本体11を貫通する取り付け孔13が形成されている。各取り付け孔13はスリバチ状に整形され無理嵌めを容易にする導入部14を有しており、この導入部14は、蓋本体11の鋳造時における鋳型からの抜き勾配を兼ねている。
【0012】
表示部材として図1には2種類の軸部を有するものが併記されている。第1の表示部材15は、数字で示された表示部16と表示部16から丁字交差状に伸びる軸部17とを有しており、軸部17は表示部16を凹部12の底に接した状態で蓋本体11の裏面に突出する長さを有し、かつその裏面に突出する軸部17には、半径方向外方に突出する突形状の係合手段18として鍔を多重に設けた構成を有する(図3参照)。
【0013】
これと係合可能な第1のシール部材19は弾力性を有する材料であるゴムより成るキャップ状の成形品として示されている。第1のシール部材19は、蓋本体11の裏面に接触して封止機能を発揮するシール端21と、軸部17を受け入れる中央溝部22及び係合手段18と係合可能な係合溝部23を有する。係合手段18は8重の鍔を有する場合、6段目位まで係合溝部23と係合するとともに各鍔は下方(軸先端方)に向かって傾斜した面を有するので、シール部材19を軸部17の軸方向に押す力を加えると緊締度が逓増する係合となっている。
【0014】
第2の表示部材25は、前記と同様の表示部26と軸部27とを有しており、表示部26を凹部12の底に接した状態で蓋本体11の裏面に突出する軸部27の先端に、半径方向外方に突出する突形状の係合手段28を設けた構成を有する(図4参照)。例示の係合手段28は所要の力を加えて初めて第2のシール部材29と係合可能となる単純な係合を構成する。このため第2のシール部材29は蓋本体11に接触して封止機能を発揮するシール端31と、係合手段28の顎部34と係合可能なように溝32内に設けた係合段部33とを有する。なお、第2の表示部材25の係合手段28は、取り付け孔13の孔径よりも大径であり、通過時弾性変形により縮径する。蓋体裏面に突出後弾性によって原形に復帰し、蓋体裏面との間に、第2のシール部材29のシール端部分が入り込む空所が形成される。
【0015】
このような構成を有する本発明の装置の内、第1の表示部材15を取り付ける方法を例として図5、図6に基づいて説明する。予め蓋本体11の表面を清掃しておき、その表示面を構成する凹部12に表示部材15を軸部17の差し込みによって取り付ける(図5a)。第1表示部材15の係合手段18は、蓋本体11を貫通した取り付け孔13にきつく嵌まり込む構成であるので指先に力をこめて押し込むか(図5b)、或いはカナヅチなどの工具35を用いて打ち込むようにする(図5b′)。この作業を全部の第1表示部材15…について行ない(図5c)、次いで、蓋本体11を表裏反転させる。
【0016】
蓋本体11の裏面に突出している軸部17にキャップ状のシール部材19をかぶせるようにし(図6a)、係合手段18と係合溝部23とを完全に係合させる(図6b)。その際にはシール部材19の弾力性が係合を促進するので工具を使用する必要はない。その後、表示部材15を取り外したり交換したりする必要が生じたときは、シール部材19を除去して前記のような工具35を用いて表示部材15を叩き出せば良い(図6c)。一旦除去した構成部材は2度使用することはなく、新たな部材と交換することにより所期の漏水防止性能が維持される。
【0017】
図3に示すように、第1のシール部材19が係合手段18の部分において第1の表示部材15と十分に係合しており、または図4に示すように第2のシール部材29が係合手段28の部分において第2の表示部材25と完全に係合している状態では、夫々のシール端21、31が蓋本体11の裏面に各シール部材19、29の圧縮圧力によって接触している。故に各表示部材15、25は各シール部材19、29との係合によって結合一体化状態となり、かつ各シール部材19、29は蓋本体11の裏面に対して圧接した状態にあるので、漏水は完全に遮断される。
【0018】
【発明の効果】
本発明は以上の如く構成されかつ作用するものであるから、蓋本体を貫通する取り付け孔に、表示部材の一部を差し込んで取り付ける構成に起因して発生する漏水の問題を、表示部材と係合するシール部材の作用によって解決することができ、かつまた表示部材を容易に交換することが可能であるとともに、交換後も所期の漏水防止機能を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る地下構造物用表示装置の実施例を分解して示す表面側の斜視図。
【図2】同じく裏面側の斜視図。
【図3】第1の例による本発明装置の縦断面図。
【図4】第2の例による本発明装置の縦断面図。
【図5】本発明装置の取り付け工程を示す説明図。
【図6】同じく取り付け工程及び取り外し工程を示す説明図。
【符号の説明】
11 蓋本体
13 取り付け孔
15、25 第1の表示部材、第2の表示部材
17、27 軸部
18、28 係合手段
19、29 第1のシール部材、第2のシール部材
21、31 シール端

Claims (3)

  1. 蓋本体の表面に配置される表示部材の取り付けのために、蓋本体を貫通する取り付け孔を有し、そこに表示部材の軸部を差し込んで止める構成を有する地下構造物用表示装置であって、半径方向外方へ突出する突形状を有し、かつ取り付け孔に差し込むと蓋本体の裏面に突出する係合手段を表示部材の軸部に設け、取り付け孔に差し込まれている軸部の係合手段にシール部材を係合によって固定し、シール部材は、キャップ状構造を有するとともに、蓋本体の裏面に接触し、封止機能を発揮するシール端を有しており、蓋本体を表示部材とシール部材とで表裏から挟み込む状態を取ることによって取り付け孔から蓋本体内に侵入しようとする漏水を遮断することを特徴とする地下構造物用表示装置。
  2. シール部材はゴム等の弾力性を有する材料から成り、表示部材軸部の係合手段とシール部材との結合によって弾力性のあるシール部材が圧縮され、その圧縮反力によって漏水に対する遮断作用を高めている請求項1記載の地下構造物用表示装置。
  3. 表示部材の軸部とシール部材との係合は、シール部材を軸方向に押し込むと緊締度が逓増するか、或いは必要な力を加えて初めて可能となる係合である請求項1又は2記載の地下構造物用表示装置。
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