JP3800087B2 - 車線逸脱防止装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、走行中に自車両が走行車線から逸脱しそうになったときに、その逸脱を防止する車線逸脱防止装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、このような車線逸脱防止装置としては、例えば特開2000−33860号公報(以下、単に従来例と称す)に記載されたものが知られている。
この従来例には、走行車線の基準一からの車両の走行位置の横ずれ状態を検出し、検出した横ずれ状態に基づいて自車両の車線逸脱方向を判定し、左右の車輪のうち逸脱方向と反対側の車輪に制動力が付加されるように制動力制御アクチュエータを制御するようにした車線逸脱防止装置が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例にあっては、逸脱防止制御が終了したときに、車両進行方向と車線方向との間に角度が生じているため、その後、車線内走行を維持していくためには、運転者がステアリング操作により車両進行方向を車線方向に合わせて修正しなければならないという未解決の課題がある。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、逸脱防止制御の終了時に車両進行方向を車線方向に自動的に合わせることができる車線逸脱防止装置を提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に係る車線逸脱防止装置は、自車両の走行状態を検出する走行状態検出手段と、該走行状態検出手段で検出された走行状態から自車両が走行車線から逸脱する可能性があることを検出する逸脱判断手段と、該逸脱判断手段で自車両が走行車線から逸脱する可能性があることが検出されたときに、前記走行状態検出手段で検出された走行状態に応じて、自車両の走行車線からの逸脱を回避する方向の車線逸脱回避制御を行う逸脱回避制御手段とを備えた車線逸脱防止装置において、
車線逸脱防止制御の終了時を検出する制御終了時検出手段を有し、前記車線逸脱回避制御手段は、前記制御終了時検出手段で車線逸脱制御の終了を検出していないときに、車両を車線逸脱を回避する方向に車線逸脱回避制御を行い、車線逸脱制御の終了を検出したときに、逸脱回避方向とは逆方向に車線逸脱回避制御を行うように構成されていることを特徴としている。
【0005】
また、本発明のうち請求項2に係る車線逸脱防止装置は、請求項1に係る発明において、前記車線逸脱回避制御手段は、前記逸脱判断手段で自車両が走行車線から逸脱する可能性があることが検出されたときに、前記走行状態検出手段で検出された走行状態に応じて、自車両の走行車線からの逸脱を回避する方向の目標ヨーモーメントを算出する目標ヨーモーメント算出手段と、該目標ヨーモーメント算出手段で算出した目標ヨーモーメントに応じて各輪の制動力制御量を算出する制動力制御量算出手段と、該制動力算出手段で算出した制動力制御量に応じて各輪の制動力を制御する制動力制御手段とを備え、前記目標ヨーモーメント算出手段は、前記制御終了時検出手段で車線逸脱制御の終了を検出していないときに、車線逸脱を回避する方向の目標ヨーモーメントを算出し、車線逸脱制御の終了を検出したときに、逸脱回避方向とは逆方向の目標ヨーモーメントを算出するように構成されていることを特徴としている。
【0006】
さらに、請求項3に係る車線逸脱防止装置は、請求項1に係る発明において、前記車線逸脱回避制御手段は、前記逸脱判断手段で自車両が走行車線から逸脱する可能性があることが検出されたときに、前記走行状態検出手段で検出された走行状態に応じて、自車両の走行車線からの逸脱を回避する方向の目標ヨーモーメントを算出する目標ヨーモーメント算出手段と、該目標ヨーモーメント算出手段で算出した目標ヨーモーメントに応じて各輪の制動力制御量を算出する制動力制御量算出手段と、該制動力算出手段で算出した制動力制御量に応じて各輪の制動力を制御する制動力制御手段とを備え、前記制動力制御量算出手段は、前記制御終了時検出手段で車線逸脱制御の終了を検出していないときに、車線逸脱を回避する方向の制動力制御量を算出し、車線逸脱制御の終了を検出したときに、逸脱回避方向とは逆方向の制動力制御量を算出するように構成されていることを特徴としている。
【0007】
さらにまた、請求項4に係る車線逸脱防止装置は、請求項2又は3に係る発明において、操舵機構の操舵状態を検出する操舵状態検出手段を有し、前記制動力制御量算出手段は、前記操舵状態検出手段で検出した操舵状態に応じて制動力減圧速度を変更するように構成されていることを特徴としている。
なおさらに、請求項5に係る車線逸脱防止装置は、請求項4に係る発明において、前記操舵状態検出手段は、操舵角、操舵角速度及び操舵角加速度の何れか1つを検出するように構成されていることを特徴としている。
【0008】
また、請求項6に係る車線逸脱防止装置は、請求項4に係る発明において、前記操舵状態検出手段は、操舵角速度を検出するように構成され、前記制動力制御量算出手段は、前記操舵角速度が大きいときに制動力減圧速度が速くなるように変更するように構成されていることを特徴としている。
さらに、請求項7に係る車線逸脱防止装置は、自車両の走行状態を検出する走行状態検出手段と、該走行状態検出手段で検出された走行状態から自車両が走行車線から逸脱する可能性があることを検出する逸脱判断手段と、該逸脱判断手段で自車両が走行車線から逸脱する可能性があることが検出されたときに、前記走行状態検出手段で検出された走行状態に応じて、自車両の走行車線からの逸脱を回避する方向の車線逸脱回避制御を行う逸脱回避制御手段とを備えた車線逸脱防止装置において、
旋回走行中における車線逸脱防止制御の終了時を検出する制御終了時検出手段を有し、前記車線逸脱回避制御手段は、前記制御終了時検出手段で車線逸脱制御の終了を検出していないときに、車両を車線逸脱を回避する方向に車線逸脱回避制御を行い、車線逸脱制御の終了を検出したときに、旋回方向への車両ヨーモーメントが発生するように車線逸脱回避制御を行うように構成されていることを特徴としている。
【0009】
さらにまた、請求項8に係る車線逸脱防止装置は、請求項7に係る発明において、前記車線逸脱回避制御手段は、前記逸脱判断手段で自車両が走行車線から逸脱する可能性があることが検出されたときに、前記走行状態検出手段で検出された走行状態に応じて、自車両の走行車線からの逸脱を回避する方向の目標ヨーモーメントを算出する目標ヨーモーメント算出手段と、該目標ヨーモーメント算出手段で算出した目標ヨーモーメントに応じて各輪の制動力制御量を算出する制動力制御量算出手段と、該制動力算出手段で算出した制動力制御量に応じて各輪の制動力を制御する制動力制御手段とを備え、前記目標ヨーモーメント算出手段は、前記制御終了時検出手段で車線逸脱制御の終了を検出していないときに、車線逸脱を回避する方向の目標ヨーモーメントを算出し、前記制御終了時検出手段で旋回内側への逸脱防止制御の終了を検出したときには、逸脱回避方向とは逆方向に目標ヨーモーメントを算出し、旋回外側への逸脱防止制御の終了を検出したときには逸脱回避方向に目標ヨーモーメントを算出するように構成されていることを特徴としている。
【0010】
なおさらに、請求項9に係る車線逸脱防止装置は、請求項8に係る発明において、旋回曲率を検出する旋回曲率検出手段を有し、前記目標ヨーモーメント算出手段は目標ヨーモーメントを前記旋回曲率検出手段で検出した旋回曲率に応じて補正するように構成されていることを特徴としている。
また、請求項10に係る車線逸脱防止装置は、請求項7に係る発明において、前記車線逸脱回避制御手段は、前記逸脱判断手段で自車両が走行車線から逸脱する可能性があることが検出されたときに、前記走行状態検出手段で検出された走行状態に応じて、自車両の走行車線からの逸脱を回避する方向の目標ヨーモーメントを算出する目標ヨーモーメント算出手段と、該目標ヨーモーメント算出手段で算出した目標ヨーモーメントに応じて各輪の制動力制御量を算出する制動力制御量算出手段と、該制動力算出手段で算出した制動力制御量に応じて各輪の制動力を制御する制動力制御手段とを備え、前記制動力制御量算出手段は、前記制御終了時検出手段で車線逸脱制御の終了を検出していないときに、車線逸脱を回避する方向の制動力制御量を算出し、前記制御終了時検出手段で旋回内側への逸脱防止制御の終了を検出したときには、逸脱回避方向とは反対側の車輪の制動力減圧に対して、逸脱側の車輪の制動力減圧を遅延させ、旋回外側への逸脱防止制御の終了を検出したときには、逸脱側の車両の制動力減圧に対して逸脱とは反対側の車輪の制動力減圧を遅延させるように構成されていることを特徴としている。
【0011】
さらに、請求項11に係る車線逸脱防止装置は、請求項10に係る発明において、旋回曲率を検出する旋回曲率検出手段を有し、前記制動力制御量算出手段は前記制動力減圧の遅延量を前記旋回曲率検出手段で検出した旋回曲率に応じて補正するように構成されていることを特徴としている。
さらにまた、請求項12に係る車線逸脱防止装置は、請求項2、8及び9の何れかの発明において、車両横方向の走行抵抗を検出する走行抵抗検出手段を有し、前記目標ヨーモーメント算出手段は、前記走行抵抗検出手段で検出した走行抵抗に応じて目標ヨーモーメントを補正するように構成されていることを特徴としている。
【0012】
なおさらに、請求項13に係る車線逸脱防止装置は、請求項12に係る発明において、前記目標ヨーモーメント算出手段は、前記走行抵抗検出手段でカントを検出したときに、カントの上側への逸脱防止制御終了時には、逸脱回避方向とは逆方向に算出する目標ヨーモーメント量を大きく補正し、カントの下側への逸脱防止制御終了時には逸脱回避方向とは逆方向に算出する目標ヨーモーメント量を小さく補正するように構成されていることを特徴としている。
【0013】
また、請求項14に係る車線逸脱防止装置は、請求項3、10及び11の何れかの発明において、車両横方向の走行抵抗を検出する走行抵抗検出手段を有し、前記制動力制御量算出手段は、前記走行抵抗検出手段で検出した走行抵抗に応じて制動力制御量を補正するように構成されていることを特徴としている。
さらに、請求項15に係る車線逸脱防止装置は、請求項14に係る発明において、前記制動力制御量算出手段は、前記走行抵抗検出手段でカントを検出したときに、カントの上側への逸脱防止制御終了時には、逸脱側の車輪の制動力減少を遅延させ、カントの下側への逸脱防止制御終了時には逸脱とは反対側の車輪の制動力減少を遅延させるように構成されていることを特徴としている。
【0014】
【発明の効果】
本発明のうち請求項1〜3の何れかに係る車線逸脱防止装置によれば、車線逸脱防止制御終了時に車両進行方向を車線方向に沿うように自動的に補正することができるので、車線逸脱防止制御終了後の通常走行への移行を円滑に行うことができるという効果が得られる。
また、請求項4〜6の何れかに係る車線逸脱防止装置によれば、運転者による逸脱回避を行うステアリング操作が行われた場合に、これを操舵状態検出手段で検出して、制動力減圧速度を例えば速める方向に変更するので、車線逸脱防止制御終了速度を速めて、運転者の操舵操作を優先し、運転者の操舵操作と車線逸脱防止制御とが干渉することを確実に防止することができるという効果が得られる。
【0015】
さらに、請求項7〜11の何れかに係る車線逸脱防止装置によれば、旋回走行状態で車線逸脱防止制御終了時に車両進行方向をコーナーに沿う方向に補正することができるので、車線逸脱回避制御終了後のコーナーでの通常走行への移行を円滑に行うことができると共に、カーブ外側への再逸脱を確実に防止することができるという効果が得られる。
さらにまた、請求項12〜15の何れかに係る車線逸脱防止装置によれば、車線逸脱防止制御終了時に車両進行方向を走行抵抗に応じて補正するので、車線逸脱回避制御終了後の通常走行への移行を円滑に行うことかできると共に、走行抵抗側への再逸脱を確実に防止することができるという効果が得られる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明における車線逸脱防止装置の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明による車線逸脱防止装置の一実施形態を示す車両概略構成図である。この車両は、自動変速機及びコンベンショナルディファレンシャルギヤを搭載した後輪駆動車両であり、制動装置は、前後輪とも、左右輪の制動力を独立に制御可能としている。
【0017】
図中、1はブレーキペダル、2はブースタ、3はマスタシリンダ、4はリザーバであり、通常は、運転者によるブレーキペダル1の踏込み量に応じ、マスタシリンダ3で昇圧された制動流体圧が、各車輪5FL〜5RRの各ホイールシリンダ6FL〜6RRに供給されるが、このマスタシリンダ3と各ホイールシリンダ6FL〜6RRとの間には制動流体圧制御回路7が介装されており、この制動流体圧制御回路7内で、各ホイールシリンダ6FL〜6RRの制動流体圧を個別に制御することが可能となっている。
【0018】
前記制動流体圧制御回路7は、例えばアンチスキッド制御やトラクション制御に用いられる制動流体圧制御回路を利用したものであり、この実施形態では、各ホイールシリンダ6FL〜6RRの制動流体圧を、単独で増減圧することができるように構成されている。この制動流体圧制御回路7は、後述する制駆動力コントロールユニット8からの制動流体圧指令値に応じて各ホイールシリンダ6FL〜6RRの制動流体圧を制御する。
【0019】
また、この車両は、エンジン9の運転状態、自動変速機10の選択変速比、並びにスロットルバルブ11のスロットル開度を制御することにより、駆動輪である後輪5RL、5RRへの駆動トルクを制御する駆動トルクコントロールユニット12が設けられている。エンジン9の運転状態制御は、例えば燃料噴射量や点火時期を制御することによって制御することができるし、同時にスロットル開度を制御することによっても制御することができる。なお、この駆動トルクコントロールユニット12は、単独で、駆動輪である後輪5RL、5RRの駆動トルクを制御することも可能であるが、前述した制駆動力コントロールユニット8から駆動トルクの指令値が入力されたときには、その駆動トルク指令値を参照しながら駆動輪トルクを制御する。
【0020】
また、この車両には、自車両の走行車線逸脱防止判断用に走行車線内の自車両の位置を検出するための外界認識センサとして、CCDカメラ13及びカメラコントローラ14を備えている。このカメラコントローラ14では、CCDカメラ13で捉えた自車両前方の撮像画像から、例えば白線等のレーンマーカを検出して走行車線を検出すると共に、その走行車線に対する自車両のヨー角φ、走行車線中央からの横変位X、走行車線の曲率β、走行車線幅L等を算出することができるように構成されている。ここで、白線認識ができている状態から、ノイズや障害物などにより、短時間のみ白線認識ができないなどの場合には、各検知パラメータは前回値を保持する等の対策がなされている。
【0021】
また、この車両には、自車両に発生する前後加速度Xg及び横加速度Ygを検出する加速度センサ15、自車両に発生するヨーレートφ' を検出するヨーレートセンサ16、前記マスタシリンダ3の出力圧、所謂マスタシリンダ圧Pm を検出するマスタシリンダ圧センサ17、アクセルペダルの踏込み量即ちアクセル開度Accを検出するアクセル開度センサ18、ステアリングホイール21の操舵角δを検出する操舵角センサ19、各車輪5FL〜5RRの回転速度即ち所謂車輪速度Vwi (i=FL〜RR)を検出する車輪速度センサ22FL〜22RR、方向指示器による方向指示操作を検出する方向指示スイッチ20が備えられ、それらの検出信号は制駆動力コントロールユニット8に出力される。
【0022】
また、前記カメラコントローラ14で検出された走行車線に対する自車両のヨー角φ、走行車線中央からの横変位X、走行車線の曲率β、走行車線幅L等や、駆動トルクコントロールユニット12で制御された駆動トルクTwも合わせて制駆動力コントロールユニット8に出力される。なお、検出された車両の走行状態データに左右の方向性がある場合には、何れも左方向を正方向とし、右方向を負方向とする。すなわち、ヨーレイトφ' や横加速度Yg、操舵角δ、ヨー角φは、左旋回時に正値となり、右旋回時に負値となり、横変位Xは、走行車線中央から左方にずれているときに正値となり、右方にずれているときに負値となる。
【0023】
次に、前記制駆動力コントロールユニット8で行われる車線逸脱回避制御処理について、図2〜図4のフローチャートに従って説明する。この車線逸脱回避制御処理は、例えば10msec毎のタイマ割込処理によって実行される。
この車線逸脱回避制御処理では、まずステップS1で、前記各センサやコントローラ、コントロールユニットからの各種データを読込む。具体的には、前記各センサで検出された前後加速度Xg、横加速度Yg、ヨーレイトφ′、各車輪速度Vwi 、アクセル開度Acc、マスタシリンダ圧Pm 、操舵角δ、方向指示スイッチ信号WS、また駆動トルクコントロールユニット12からの駆動トルクTw、カメラコントローラ14からの走行車線に対する自車両のヨー角φ、走行車線中央からの横変位X、走行車線の曲率β、走行車線幅Lを読込む。
【0024】
次にステップS2に移行して、前記ステップS1で読込んだ各車輪速度VwFL〜VwRRのうち、非駆動輪である前左右輪速度VwFL、VwFRの平均値から自車両の車速(=(VwFL+VwFR)/2)を算出する。
次にステップS3に移行して、将来の推定横変位即ち逸脱推定値XSを算出する。具体的には、前記ステップS1で読込んだ自車両の走行車線に対するヨー角φ、走行車線中央からの横変位X、走行車線の曲率β及び前記ステップS2で算出した自車両の車速Vを用い、下記(1)式に従って将来の横変位推定値となる逸脱推定値XSを算出する。
【0025】
XS=Tt×V×(φ+Tt×V×β)+X ……… (1)
ここで、Ttは前方注視距離算出用の車頭時間であり、車頭時間Ttに自車両の走行速度Vを乗じると前方注視距離になる。つまり、車頭時間Tt後の走行車線中央からの横変位推定値が将来の推定横変位即ち逸脱推定値XSとなる。後述するように、本実施形態では、この逸脱推定値XSが所定の横変位限界値以上となるときに自車両は走行車線を逸脱する可能性がある、或いは逸脱傾向にあると判断することができる。
【0026】
次にステップS4に移行して、逸脱推定値XSが予め設定した横変位限界値XC (日本国内では高速道路の車幅が3.35mであることから、例えば0.8m程度に設定する)以上であるか否かを判定し、XS≧XC であるときには左に車線逸脱すると判断してステップS5に移行し、逸脱判断フラグFLDを“1”に設定してからステップS9に移行し、XS<XC であるときにはステップS6に移行して、逸脱推定値XSが横変位限界値XC の負値−XC 以下であるか否かを判定し、XS≦−XC であるときには右に車線逸脱すると判断してステップS7に移行して逸脱判断フラグFLDを“−1”に設定してからステップS9に移行し、XS>−XC であるときには車線逸脱が予測されないものと判断してステップS8に移行し、逸脱判断フラグFLDを“0”に設定してからステップS9に移行する。
【0027】
ステップS9では、後述する逸脱制御終了後の制動力減少状態であるか否かを表す制動力減少フラグFEDが左側逸脱制御終了後の制動力減少状態を表す“1”であるか否かを判定し、これが“1”にセットされているときにはステップS10に移行して、図3に示す左側逸脱終了時制動力減少処理を実行してから後述するステップS26に移行する。
また、ステップS9の判定結果が、FED≠“1”であるときには、左側逸脱制御終了後の制動力減少状態ではないものと判断してステップS11に移行し、逸脱判断フラグFLDが“1”から“0”に変化した左側逸脱制御終了時点であるか否かを判定し、逸脱判断フラグFLDが“1”から“0”に変化したときにはステップS11aに移行して、制御終了フラグFEDを“1”にセットしてから前記ステップS10に移行し、そうでないときにはステップS12に移行する。
【0028】
このステップS12では、制御終了フラグFEDが右側逸脱制御終了後の制動力減少状態を表す“−1”にセットされているか否かを判定し、これが“−1”にセットされているときにはステップS13に移行して、図4に示す右側逸脱終了時制動力減少処理を実行してから後述するステップS26に移行する。
また、ステップS12の判定結果が、FED≠“−1”であるときにはステップS14に移行して、逸脱判断フラグFLDが“−1”から“0”に変化した右側逸脱制御終了時点であるか否かを判定し、逸脱判断フラグFLDが“−1”から“0”に変化したときにはステップS14aに移行して制御終了フラグFEDを“−1”にセットしてから前記ステップS13に移行し、そうでないときにはステップS15に移行する。
【0029】
このステップS15では、逸脱判断フラグFLDが“0”以外であるか否かを判定し、FLD≠0であるときには、ステップ16に移行して、下記(1)式の演算を行って目標ヨーモーメントMsを算出してからステップS18に移行する。
Ms=−K1×K2×(XS−XC ) …………(1)
ここで、K1は車両諸元によって定まる定数である。K2は車速に応じて変動するゲインであり、車速Vをもとに図5に示すゲイン算出マップを参照して算出する。このゲイン算出マップは、車速が“0”から低速側の所定値VS1までの間はゲインK2が比較的大きな値KH に固定され、車速Vが所定値VS1を超えて高速側の所定値VS2に達するまでの間は車速Vの増加に応じてゲインK2が減少し、車速Vが所定値VS2を超えると比較的小さい値KL に固定されるように特性線L2が設定されている。
【0030】
また、ステップS15の判定結果がFLD=0又はFCA=1であるときにはステップS17に移行して、目標ヨーモーメントMsを“0”に設定してからステップS18に移行する。
ステップS18では、逸脱判断フラグFLDが“0”以外であるか否かを判定し、FLD=0であるときにはステップS19に移行して、下記(2)式に示すように、前左輪の目標液圧PsFL及び前右輪の目標液圧PsFRを“0”に設定すると共に、下記(3)式に示すように、後左輪の目標液圧PsRL及び後右輪の目標液圧PsRRを“0”に設定してから後述するステップS26に移行する。
【0031】
PsFL=PsFR=0 …………(2)
PsRL=PsRR=0 …………(3)
また、ステップS18の判定結果が、FLD≠0であるときにはステップS20に移行して、目標ヨーモーメントMsの絶対値|Ms|が設定値Ms0より小さいか否かを判定し、|Ms|<Ms0であるときにはステップS21に移行して、前輪側の目標制動液圧差ΔPsF を下記(4)式に示すように“0”に設定すると共に、後輪側の目標制動液圧差ΔPsR を下記(5)式に示すように2・KBR・|Ms|/Tに設定してからステップS23に移行する。
【0032】
ΔPsF =0 …………(4)
ΔPsR =2・KBR・|Ms|/T …………(5)
一方、ステップS20の判定結果が|Ms|≧Ms1であるときにはステップS22に移行して、前輪側の目標制動液圧差ΔPsF を下記(6)式に示すように2・KBF・(|Ms|−Ms0)/Tに設定すると共に、後輪側の目標制動液圧差ΔPsR を下記(7)式に示すように2・KBR・Ms0/Tに設定してからステップS23に移行する。
【0033】
ΔPsF =2・KBF・(|Ms|−Ms1)/T ……(6)
ΔPsR =2・KBR・Ms1/T …………(7)
ここで、Tはトレッドを示し、簡単のため前後のトレッドは一致するものとする。また、KBF及びKBRは制動力を制動液圧に換算する場合の換算係数であり、ブレーキ諸元により定まる。このステップS22で前輪側のみで制動力差を発生させるようにしてΔPsF =2・KBF・|Ms|/Tに設定するようにしてもよい。
【0034】
ステップS23では、目標ヨーモーメントMsが負即ち左方向に車線逸脱しようとしているか否かを判定し、Ms<0であるときにはステップS24に移行して、前左輪の目標制動圧PsFLを下記(8)式に示すように加速度センサ15で検出した前後加速度Xgのうちの車両減速度Gdに基づいて設定し、前右輪の目標制動圧PsFRを下記(9)式に示すように車両減速度Gdに基づく値に目標制動液圧差ΔPsF を加算した値に設定し、後左輪の目標制動圧PsRLを下記(10)式に示すように車両減速度Gdに基づく値に設定し、後右輪の目標制動圧PsRRを下記(11)式に示すように減速度成分に基づく値に後輪側目標制動液圧差ΔPsR を加算した値に設定してからステップS46に移行する。
【0035】
PsFL=Gd×KtF …………(8)
PsFR=Gd×KtF +ΔPsF …………(9)
PsRL=Gd×KtR …………(10)
PsRR=Gd×KtR +ΔPsR …………(11)
ここで、KtF 及びKtR は車両減速度Gdを前後夫々の制動液圧に換算する換算係数である。
【0036】
一方、ステップS23の判定結果がMs≧0であるときにはステップS25に移行して、前左輪の目標制動圧PsFLを下記(12)式に示すように車両減速度Gdに基づく値に前輪側目標制動液圧差ΔPsF を加算した値に設定し、前右輪の目標制動圧PsFRを下記(13)式に示すように車両減速度Gdに基づく値に設定し、後左輪の目標制動圧PsRLを下記(14)式に示すように車両減速度Gdに基づく値に後輪側目標制動液圧差ΔPsR を加算した値に設定し、後右輪の目標制動圧PsRRを下記(15)式に示すように車両減速度Gdに基づく値に設定してからステップS26に移行する。
【0037】
PsFL=Gd×KtF +ΔPsF …………(12)
PsFR=Gd×KtF …………(13)
PsRL=Gd×KtR +ΔPsR …………(14)
PsRR=Gd×KtR …………(15)
ステップS26では、逸脱判断フラグFLDが“0”以外の値であるか否かを判定し、FLD≠0であるときにはステップS27に移行して、下記(16)式に従って目標駆動トルクTrqを算出してからステップS29に移行する。
【0038】
Trq=f(Acc)−g(Ps) …………(16)
ここで、Psは逸脱防止制御により発生させる目標制動液圧差ΔPsF 及びΔPsR の和である(Ps=ΔPsF +ΔPsR )。また、f(Acc)はアクセル関数に応じて目標駆動トルクを算出する関数であり、g(Ps)は制動液圧により発生が予想される制動トルクを算出する関数である。
また、ステップS26の判定結果がFLD=0であるときにはステップS28に移行して、下記(17)式に従って目標駆動トルクTrqを算出してからステップS29に移行する。
【0039】
Trq=f(Acc) …………(17)
ステップS29では、ステップS19、S24又はS25で算出した目標制動圧PsFL〜PsRRを制動流体制御回路7に出力すると共に、ステップS27又はS28で算出した目標駆動トルクTrqを駆動トルクコントロールユニット12に出力してからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。一方、ステップS10の左側逸脱終了時制動力減少処理は、図3に示すように、ステップS31で、下記(18)式に示すように前回の前右輪の目標制動圧PsFR(n-1) から一回当たりの前輪側減少量ΔPs0F を減算した値を新たな前右輪の目標制動圧PsFR(n) として設定すると共に、下記(19)式に示すように、前回の後右輪の目標制動圧PsRR(n-1) から一回当たりの後輪側減少量ΔPs0R を減算した値を新たな後右輪の目標制動圧PsRR(n) として設定してからステップS32に移行する。
【0040】
PsFR(n) =PsFR(n-1) −ΔPs0F …………(18)
PsRR(n) =PsRR(n-1) −ΔPs0R …………(19)
ステップS32では、ステップS31で算出した前右輪の目標制動圧PsFR(n) が負であるか否かを判定し、PsFR(n) <0であるときにはステップS33に移行して、前右輪の目標制動圧PsFR(n) を“0”に設定してからステップS36に移行し、PsFR(n) ≧0であるときにステップS34に移行する。
【0041】
このステップS34では、ステップS31で算出した後右輪の目標制動圧PsRR(n) が負であるか否かを判定し、PsRR(n) <0であるときにはステップS35に移行して、後右輪の目標制動圧PsRR(n) を“0”に設定してからステップS36に移行し、PsRR(n) ≧0であるときにステップS36に移行する。
ステップS36では、前記逸脱判断フラグFLDが“1”から“0”に切換わってから所定時間tdが経過したか否かを判定し、所定時間tdが経過していないときにはそのままサブルーチン処理を終了して図2のステップS26に移行し、所定時間tdが経過したときにステップS37に移行する。
【0042】
ステップS37では、下記(20)式に示すように前回の前左輪の目標制動圧PsFL(n-1) から前述した前輪側減少量ΔPs0F より小さい値に設定された一回当たりの前輪側減少量ΔPs1F を減算した値を新たな前左輪の目標制動圧PsFL(n) として設定すると共に、下記(21)式に示すように、前回の後左輪の目標制動圧PsRL(n-1) から前述した後輪側減少量ΔPs0R より小さい値に設定された一回当たりの後輪側減少量ΔPs1R を減算した値を新たな後左輪の目標制動圧PsRL(n) として設定してからステップS38に移行する。
【0043】
PsFL(n) =PsFL(n-1) −ΔPs1F …………(20)
PsRL(n) =PsRL(n-1) −ΔPs1R …………(21)
ステップS38では、ステップS37で算出した前左輪の目標制動圧PsFL(n) が負であるか否かを判定し、PsFL(n) <0であるときにはステップS39に移行して、前左輪の目標制動圧PsFL(n) を“0”に設定してからステップS42に移行し、PsFL(n) ≧0であるときにステップS40に移行する。
【0044】
このステップS40では、ステップS37で算出した後左輪の目標制動圧PsRL(n) が負であるか否かを判定し、PsRL(n) <0であるときにはステップS41に移行して、後左輪の目標制動圧PsRL(n) を“0”に設定してからステップS42に移行し、PsRL(n) ≧0であるときにステップS42に移行する。
ステップS42では、各輪の目標制動圧PsFL(n) 〜PsRR(n) の全てが“0”であるか否かを判定し、全ての目標制動圧PsFL(n) 〜PsRR(n) が“0”であるときにはステップS43に移行して、制動力減少フラグFEDを“0”にリセットしてからサブルーチン処理を終了して図2のステップS26に移行し、各輪の目標制動圧PsFL(n) 〜PsRR(n) の何れかが“0”でないときにはそのままサブルーチン処理を終了して図2のステップS26に移行する。
【0045】
なお、図示しないが、運転者が車線変更を行う意志があることを、例えば方向指示スイッチの支持方向と車線逸脱推定値XSとが一致することにより検出した場合には、これを検出してから方向指示スイッチがオフ状態となってから所定時間経過するまでの間逸脱判断フラグFLDを“0”に設定して運転者の意志による車線変更を可能としている。
また、ステップS13の右側逸脱終了時制動力減少処理は、図4に示すように、前述した図3の左側逸脱終了時制動力減少処理における各ステップS31〜S41の処理において、添字FRを添字FLに、添字RRを添字RLに、添字FLを添字FRに、添字RLを添字RRに夫々変更されていることを除いては図3と同様の処理を図3との対応処理には同一ステップ番号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
【0046】
これら図2〜図4の車線逸脱防止処理において、ステップS1及びS2の処理とCCDカメラ13、カメラコントローラ14、加速度センサ15及びヨーレートセンサ16とが走行状態検出手段に対応し、ステップS11及びS14の処理が制御終了検出手段に対応し、ステップS3〜S8の処理が逸脱判断手段に対応し、ステップS9〜S28の処理が逸脱回避制御手段に対応し、このうちステップS15〜S17の処理が目標モーメント算出手段に対応し、ステップS9〜S15の処理と、図3及び図4の処理と、ステップS18〜S25の処理とが制動力制御量算出手段に対応し、ステップS29の処理及び制動流体圧制御回路7で制動力制御手段に対応している。
【0047】
したがって、今、車両が直進走行車線内を逸脱することなく非制動状態で直進走行しているものとする。この状態では、車両が直進走行しているので、ヨー角φ、横変位x、曲率β、ヨーレイトφ′及び横加速度YG は略“0”となるため、ステップS3で算出される逸脱推定値XSも略“0”となる。このため、ステップS4及びS6を経てステップS8に移行し、逸脱判断フラグFLDが図6(a)に示すように“0”に設定され、これに応じてステップS15からステップS17に移行して、目標ヨーモーメントMsも“0”に設定され、次いでステップS18からステップS19に移行して、前左右輪の目標制動圧PsFL,PsFRも図6(b)及び(d)に示すように“0”に設定されると共に、後左右輪の目標制動圧PsRL,PsRRも図6(c)及び(e)に示すように“0”に設定される。この結果、目標駆動トルクTrqはアクセル関数のみに基づいて算出され、これが駆動トルクコントロールユニット12に出力されるので、スロットルバルブ11の開度がアクセルの踏込量に応じて制御されると共に、制動流体制御回路7でホイールシリンダ6FL〜6RRの制動流体圧が“0”に制御されることにより、直進走行状態を継続する。
【0048】
この車線内走行状態を継続している状態から例えば時点t1で車線の左側に大きく逸脱する状態となると、ステップS3で算出される逸脱推定値XSが正値で増加して横変位限界値XC より大きな値となり、ステップS4からステップS5に移行して、逸脱判断フラグFLDが図6(a)に示すように“1”にセットされる。
このため、ステップS15からステップS16に移行して、負値の比較的大きな値の目標ヨーモーメントMsが算出され、次いで、ステップS18からステップS20を経てステップS22に移行して、比較的大きな値の前輪側の目標制動液圧差ΔPsF 及び後輪側の目標制動液圧差ΔPsR を算出する。
【0049】
そして、目標ヨーモーメントMsが負値であるので、ステップS23からステップS24に移行して、各輪の目標制動圧PsFL〜PsRRが算出されるが、車両が非制動状態を継続しているので、加速度センサ15で検出される前後加速度Xgが“0”となり、車両減速度Gdも“0”となるので、前左側の目標制動圧PsFL及び後左側の目標制動圧PsRLは“0”を継続するが、前右側の目標制動圧PsFR及び後右側の目標制動圧PsRRは、目標制動液圧差ΔPsF 及びΔPsR分だけ大きな値となるため、前右側のホイールシリンダ6FR及び後右側のホイールシリンダ6RRに目標制動圧PsFR及びPsRRに応じた制動液圧が供給されることにより、制動状態となる。
【0050】
このため、車両を右側に旋回させるヨーモーメントが発生して、車両を車線逸脱方向とは逆の走行車線側に引き戻して車線逸脱防止制御が開始される。この状態となると、車両に前右側及び後右側のホイールシリンダ6FR及び6RRで発生する制動力に応じた値の減速度Gdが発生し、これに応じてステップS24で算出される前左側の目標制動圧PsFL及び後左側の目標制動圧PsRLが図6(b)及び(d)に示すように比較的小さな値PsFL0 及びPsRL0 まで増加すると共に、前右側の目標制動圧PsFR及び後右側の目標制動圧PsRRが図6(c)及び(e)に示すように大きな値PsFR0 及びPsRR0 まで増加する。
【0051】
この車線逸脱防止制御が継続されて、時点t2で、車両が車線内に戻り、ステップS3で算出される逸脱推定値XSが横変位限界値XC 未満の値となると、ステップS4からステップS6を経てステップS8に移行することにより、逸脱判断フラグFLDが図6(a)に示すように“0”にリセットされる。
このとき、逸脱判断フラグFLDが“1”から“0”に変化するので、ステップS11からステップS11aに移行して、制御終了フラグFEDが図6(f)に示すように“1”にセットされ、次いでステップS10に移行して、ステップS3に示す左側逸脱終了時制動力減少処理が実行される。
【0052】
この制動力減少処理では、先ず、ステップS31で、大きな値に設定されている前回の前右側の目標制動圧PsFR(n-1) 及び後右側の目標制動圧PsRR(n-1)から一回当たりの前輪側及び後輪側減少量ΔPs0F 及びΔPs0R を減算した値を新たな目標制動圧PsFR(n) 及びPsRR(n) として算出されることにより、これら前右側の目標制動圧PsFR(n) 及び後右側の目標制動圧PsRR(n) が図6(c)及び(e)に示すように、比較的急峻に“0”となるまで減少される。
【0053】
一方、前左側の目標制動圧PsFL(n) 及び後左側の目標制動圧PsRL(n) については時点t2から所定時間tdが経過するまではステップS36からステップS42に移行するので、減少制御が行われることはなく、逸脱防止制御時の目標制動圧PsFL0 及びPsRL0 を維持する。
したがって、前右側の目標制動圧PsFR(n) が前左側の目標制動圧PsFL(n)より小さくなる時点t3以降で車両を車線逸脱方向に回頭させる比較的小さなヨーモーメントが発生され、車両の走行方向が車線に沿う方向に徐々に戻される。
【0054】
その後、時点t2から所定時間tdが経過した時点t4で、図3のステップS36からステップS37に移行し、前左側の目標制動圧PsFL(n) 及び後左側の目標制動圧PsRL(n) が夫々一回当たりの前輪側及び後輪側減少量ΔPs1F 及びΔPs1R だけ減少されることにより、前左側及び後左側のホイールシリンダ6FL及び6RLの制動液圧が比較的緩やかに減少される。
その後、時点t5で最後の前左側の目標制動圧PsFL(n) が“0”となると、ステップS42からステップS43に移行して、制御終了フラグFEDが“0”にリセットされる。このため、図2のステップS9からステップS11に移行し、逸脱判断フラグFLDが“0”にリセットされている状態を継続しているので、ステップS12に移行し、通常の逸脱防止制御処理に復帰する。
【0055】
また、車両が車線の右側に逸脱する場合には、上記とは左右逆の制御が行われて逸脱防止制御が行われ、車両が車線内に戻されて逸脱判断フラグFDLが“−1”から“0”に変化した時点で、前左側及び後左側の目標制動圧PsFL(n) 及びPsRL(n) が減少制御され、その後所定時間tdが経過した後に前右側及び後右側の目標制動圧PsFR(n) 及びPsRR(n) が減少制御されることにより、車両を右側の逸脱方向に緩やかに回頭させて車両の進行方向を車線に沿う方向に戻すことができる。
【0056】
このように、第1の実施形態によると、車両が車線逸脱状態となると、車両を車線逸脱回避方向に制御し、車線逸脱状態が回避される状態となって車線逸脱回避制御が終了されると、車線逸脱回避方向とは逆方向に車線逸脱回避制御を行うことにより、自動的に車両の進行方向を車線に沿う方向とすることができ、運転者がステアリング操作によって車両進行方向を車線方向に合わせるための修正動作を省略することができる。
【0057】
次に、本発明の第2の実施形態を図7〜図9について説明する。
この第2の実施形態では、逸脱回避制御が終了した後に運転者による逸脱回避操舵が行われたときに、制動圧減少処理を速やかに終了させるようにしたものである。
すなわち、第2の実施形態では、第1の実施形態における図3に示す左側逸脱回避終了時制動力減少処理及び図4に示す右側逸脱回避終了時制動力減少処理が、図7及び図8に示すように、ステップS31の前に運転者の車線逸脱回避を行うステアリング操作を検出したときに制動圧減少処理を速めるための処理が介挿されていると共に、ステップS31及びS37で目標制動圧PsFL(n) 〜PsRR(n) を算出するための前輪側及び後輪側減少量ΔPs0F ,ΔPs1F 及びΔPs0R ,ΔPs1R が比較的小さい値に設定されていることを除いては図3及び図4と同様の処理を行い、図3及び図4との対応処理には同一ステップ番号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
【0058】
制動圧減少処理を速めるための処理は、先ず、ステップS51で、操舵角センサ19で検出した操舵角δを微分して操舵角速度δ′を算出し、次いでステップS52に移行して操舵角速度δ′の絶対値|δ′|が設定値δ′s以上であるか否かを判定し、|δ′|≧δsであるときに運転者が車線逸脱回避を行うためにステアリング操作をしているものと判断してステップS53に移行し、ステアリング操作フラグFSTを“1”にセットしてからステップS55に移行し、|δ′|<δsであるときに運転者が車線逸脱回避を行うためにステアリング操作をしていないものと判断してステップS54に移行し、ステアリング操作フラグFSTを“0”にリセットしてからステップS55に移行する。
【0059】
このステップS55では、ステアリング操作フラグFSTが“0”であるか否かを判定し、FST=“0”であるときには前述したステップS31に移行し、FST=“1”であるときにはステップS56に移行して、下記(22)〜(25)式の演算を行って各輪の目標制動圧PsFL( n) 〜PsRR(n) を算出する。
PsFL(n) =PsFL(n-1) −ΔPs …………(22)
PsFR(n) =PsFR(n-1) −ΔPs …………(23)
PsRL(n) =PsRL(n-1) −ΔPs …………(24)
PsRR(n) =PsRR(n-1) −ΔPs …………(25)
ここで、ΔPsは1回当たりの制動圧減少量であって、上述した小さい値に設定された前輪側及び後輪側減少量ΔPs0F ,ΔPs1F 及びΔPs0R ,ΔPs1R に比較して大きな値に設定されている。
【0060】
次いで、ステップS58に移行して、前左側の目標制動圧PsFL(n) が負であるか否かを判定し、PsFL(n) <0であるときにはステップS59に移行して前左側の目標制動圧PsFL(n) を“0”に設定してからステップS60に移行し、PsFL(n) ≧0であるときにはそのままステップS60に移行する。
ステップS60では、前右側の目標制動圧PsFR(n) が負であるか否かを判定し、PsFR(n) <0であるときにはステップS61に移行して前右側の目標制動圧PsFR(n) を“0”に設定してからステップS62に移行し、PsFR(n) ≧0であるときにはそのままステップS62に移行する。
【0061】
ステップS62では、後左側の目標制動圧PsRL(n) が負であるか否かを判定し、PsRL(n) <0であるときにはステップS63に移行して後左側の目標制動圧PsRL(n) を“0”に設定してからステップS64に移行し、PsFR(n) ≧0であるときにはそのままステップS64に移行する。
ステップS64では、後右側の目標制動圧PsRR(n) が負であるか否かを判定し、PsRR(n) <0であるときにはステップS65に移行して後右側の目標制動圧PsRR(n) を“0”に設定してから前記ステップS42に移行し、PsRR(n)≧0であるときにはそのままステップS42に移行する。
【0062】
また、図8については前述した図7の左側逸脱終了時制動力減少処理における各ステップS31〜S41の処理において、添字FRを添字FLに、添字RRを添字RLに、添字FLを添字FRに、添字RLを添字RRに夫々変更されていることを除いては図7と同様の処理を図7との対応処理には同一ステップ番号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
この図7及び図8の処理が制動力制御量算出手段に対応している。
【0063】
次に、上記第2の実施形態の動作を図9について説明する。
今、運転者がステアリングホイール21を操舵していないか又は小さな操舵角速度δ′で緩やかに操舵している状態で、時点t11で車線から例えば左側に逸脱する状態となると、前述第1の実施形態と同様に逸脱判断フラグFLDが図9(b)に示すように“1”にセットされて、逸脱推定値XSに応じた負値の目標ヨーモーメントMsが算出されると共に、これに応じた前輪側制動圧差ΔPsF 及びΔPsR が算出されて、車線逸脱を回避するように前左側目標制動圧PsFL及び後左側目標制動圧PsRLが図9(c)及び(e)に示すように小さい値のPsFL0 及びPsRL0 に設定されると共、前右側目標制動圧PsFR及び後右側目標制動圧PsRRが図9(d)及び(f)に示すように大きい値のPsFR0 及びPsRR0 に設定されて、車両を逸脱回避方向に回頭させる逸脱回避制御が行われる。
【0064】
その後、車両が車線内に戻って、時点t12で逸脱判断フラグFLDが図9(b)に示すように“0”にリセットされると、図2のステップS11からステップS11aに移行して、制御終了フラグFEDを“1”にセットしてからステップS10に移行して、図7の処理制動力減少処理が開始される。
このとき、運転者がステアリングホイール20を操舵していないか又は操舵しているといしてもその操舵角速度δ′が設定値δ′sより小さい場合には、ステップS52からステップS54に移行してステアリング操作フラグFSTが“0”に維持されるため、ステップS55からステップS31に移行して、前述した第1の実施形態と同様に車両を車線逸脱方向に緩やかに回頭させて車両の進行方向を車線に沿わせる制動力減少処理が開始される。
【0065】
制動力減少処理が開始された後の時点t13で、運転者が車両進行方向を所望方向とするためにステアリングホイール21を比較的大きな操舵角速度δ′で操舵すると、図7の処理において、ステップS52からステップS53に移行して、ステアリング操作フラグFSTが図9(a)に示すように“1”にセットされ、これに応じてステップS55からステップS57に移行して、全ての目標制動圧PsFL(n) 、PsFR(n) 、PsRL(n) 及びPsRR(n) が図9(c)、(d)、(e)及び(f)に示すように大きな値に設定された一回当たりの減少量ΔPsだけ減少されることになり、全ての目標制動圧PsFL(n) 、PsFR(n) 、PsRL(n) 及びPsRR(n) が急激に“0”まで減少されて、短時間でホイールシリンダ6FL〜6RRが短時間で非制動状態に復帰する。
【0066】
このため、運転者のステアリングホイール21の操舵に対して、車線逸脱回避制御によって発生するヨーモーメントが干渉することを確実に抑制することができ、運転者のステアリングホイール21の操舵を優先させて、車両の進行方向を所望方向に直ちに変更することができる。
そして、全ての目標制動圧PsFL(n) 〜PsRR(n) が“0”となると、ステップS42からステップS43に移行して、制御終了フラグFEDが“0”にリセットされて、図2におけるステップS15〜ステップS25の通常の車線逸脱回避制御に復帰する。
【0067】
なお、上記第2の実施形態においては、運転者のステアリング操作を操舵角速度δ′を算出し、これと設定値δ′sとを比較する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、操舵角δの変化量や操舵角加速度δ″と予め設定した設定値とを比較することにより運転者のステアリング操作を検出するようにしてもよい。
次に、本発明の第3の実施形態を図10〜図15について説明する。
【0068】
この第3の実施形態では、車両がコーナーを走行中に車線逸脱状態となったときに、逸脱回避制御の終了時に車両の進行方向をコーナーに沿う方向に自動的に合わせるようにしたものである。
すなわち、第3の実施形態では、前述した第1の実施形態における図3及び図4の制動力減少処理が、図10及び図11に示すように、ステップS31の前に車両がコーナー走行中であるか否かを判断する処理が設けられていると共に、ステップS36の所定時間が第1の実施形態における所定時間tdより長い所定時間td1 に設定されていることを除いては図3及び図4と同様の処理を行い、図3及び図4との対応処理には同一ステップ番号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
【0069】
車両がコーナーを走行中であるか否かを判断する処理は、先ず、ステップS71で、道路曲率βが設定値β0以上であるか否かを判定し、β≧β0であるときには左コーナーを走行しているものと判断してステップS72に移行し、コーナー判断フラグFCRを“L”に設定してからステップS76に移行し、β<β0であるときにはステップS73に移行する。
このステップS73では、道路曲率βが設定値−β0以下であるか否かを判定し、β≦−β0であるときには右コーナーを走行しているものと判断してステップS74に移行し、コーナー判断フラグFCRを“R”に設定してからステップS76に移行し、β>−β0であるときには直進路を走行しているものと判断してステップS75に移行し、コーナー判断フラグFCRを“0”に設定してからステップS76に移行する。
【0070】
ステップS76では、コーナー判断フラグFCRが“0”であるか否かを判定し、FCR=“0”であるときには前記ステップS31に移行し、FCR≠“0”であるときにはステップS77に移行して、コーナー判断フラグFCRが“L”に設定されているか否かを判定し、FCR=“L”であるときには左コーナーを走行していて内側に逸脱するものと判断して前記ステップS31に移行し、FCR=“R”であるときには右コーナーを走行していて外側に逸脱するものと判断してステップS79に移行する。
【0071】
このステップS79では、下記(26)式に示すように前回の前左輪の目標制動圧PsFL(n-1) から比較的大きな値に設定された一回当たりの前輪側減少量ΔPs0F を減算した値を新たな前右輪の目標制動圧PsFL(n) として設定すると共に、下記(27)式に示すように、前回の後左輪の目標制動圧PsRL(n-1) から比較的大きな値に設定された一回当たりの後輪側減少量ΔPs0R を減算した値を新たな後左輪の目標制動圧PsRL(n) として設定してからステップS80に移行する。
【0072】
PsFL(n) =PsFL(n-1) −ΔPs0F …………(26)
PsRL(n) =PsRL(n-1) −ΔPs0R …………(27)
ステップS80では、ステップS79で算出した前左輪の目標制動圧PsFL(n) が負であるか否かを判定し、PsFL(n) <0であるときにはステップS81に移行して、前左輪の目標制動圧PsFL(n) を“0”に設定してからステップS82に移行し、PsFL(n) ≧0であるときにステップS82に移行する。
【0073】
このステップS82では、ステップS79で算出した後左輪の目標制動圧PsRL(n) が負であるか否かを判定し、PsRL(n) <0であるときにはステップS83に移行して、後左輪の目標制動圧PsRL(n) を“0”に設定してからステップS84に移行し、PsRL(n) ≧0であるときにステップS84に移行する。
ステップS84では、前記逸脱判断フラグFLDが“1”から“0”に切換わってから前述した所定時間tdより短い第2の所定時間td2 が経過したか否かを判定し、所定時間td2 が経過していないときにはそのままサブルーチン処理を終了して図2のステップS26に移行し、所定時間td2 が経過したときにステップS85に移行する。
【0074】
このステップS85では、下記(28)式に示すように前回の前右輪の目標制動圧PsFR(n-1) から前述した前輪側減少量ΔPs0F より小さい値に設定された一回当たりの前輪側減少量ΔPs1F を減算した値を新たな前右輪の目標制動圧PsFR(n) として設定すると共に、下記(29)式に示すように、前回の後右輪の目標制動圧PsRR(n-1) から前述した後輪側減少量ΔPs0R より小さい値に設定された一回当たりの後輪側減少量ΔPs1R を減算した値を新たな後右輪の目標制動圧PsRR(n) として設定してからステップS86に移行する。
【0075】
PsFR(n) =PsFR(n-1) −ΔPs1F …………(28)
PsRR(n) =PsRR(n-1) −ΔPs1R …………(29)
ステップS86では、ステップS85で算出した前右輪の目標制動圧PsFR(n) が負であるか否かを判定し、PsFR(n) <0であるときにはステップS87に移行して、前右輪の目標制動圧PsFR(n) を“0”に設定してからステップS88に移行し、PsFR(n) ≧0であるときにステップS88に移行する。
【0076】
このステップS88では、ステップS85で算出した後右輪の目標制動圧PsRR(n) が負であるか否かを判定し、PsRR(n) <0であるときにはステップS89に移行して、後右輪の目標制動圧PsRR(n) を“0”に設定してから前記ステップS42に移行し、PsRR(n) ≧0であるときにはステップS42に移行する。
また、図11については前述した図10の左側逸脱終了時制動力減少処理における各ステップS31〜S41及びS79〜S89の処理において、添字FRを添字FLに、添字RRを添字RLに、添字FLを添字FRに、添字RLを添字RRに夫々変更されていることを除いては図10と同様の処理を図10との対応処理には同一ステップ番号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
【0077】
この第3の実施形態によると、例えば車線逸脱方向が左方向であり、この車線逸脱を回避する逸脱回避制御が行われて、車両が車線内に戻っることにより、逸脱判断フラグFLDが“1”から“0”に変化したときには、図10の処理が実行される。
このとき、車両が左コーナーを走行している場合には、コーナー内側に逸脱状態となっている状態から車線内に戻ることになり、逸脱状態フラグFLDが“1”から“0”に変化する逸脱回避制御終了時に、図12に示すように、前述した直線路を走行している場合より長い所定時間td1 だけ逸脱回避方向へのヨーモーメントが発生される制御終了時制動力減少処理が行われ、車両の進行方向が曲率が大きい左コーナー内側に沿う方向に自動的に制御される。
【0078】
逆に、車両が右コーナーを走行している場合には、コーナー外側に逸脱状態となっている状態から車線内に戻ることになり、逸脱回避制御終了時に、図13に示すように、前述した直線路を走行している場合に比較して短い所定時間td2だけ逸脱回避方向へのヨーモーメントが発生される制御終了時制動力減少処理が行われ、車両の進行方向が曲率の小さい右コーナー外側に沿う方向に自動的に制御される。
【0079】
また、車両が右方向に逸脱する場合には、図11の処理が実行され、左コーナーを走行している場合には、逸脱状態フラグFLDが“−1”から“0”に変化する逸脱回避制御終了時に、図14に示すように、図13よりさらに短い時間td3 だけ逸脱回避方向へのヨーモーメントが発生される制御終了時制動力減少処理が行われ、車両の進行方向が曲率の小さい左コーナーの外側に沿う方向に自動的に制御される。
【0080】
逆に、車両が右コーナーを走行している場合には、逸脱回避制御終了時に、図15に示すように、図12より短く図13よりは長い時間td4 だけ逸脱回避方向へヨーモーメントが発生される制御終了時制動力減少処理が行われ、車両の進行方向が曲率の小さい右コーナーの内側に沿う方向に自動的に制御される。
なお、上記第3の実施形態においては、逸脱回避制御終了時から制動力減少処理を遅らすための所定時間td1 〜td4 が一定値である場合について説明したがこれに限定されるものではなく、道路の曲率βに応じた記憶テーブルを設けて、この記憶テーブルを参照して最適値を選択するようにしてもよい。
【0081】
次に、本発明の第4の実施形態を図16〜図18について説明する。
この第4の実施形態は、車両を回頭させる横方向の走行抵抗を有する走行路を走行している状態で車線逸脱傾向となったときに、走行抵抗を考慮して車両の進行方向を制御するようにしたものである。
すなわち、第4の実施形態では、図16に示すように、路面のカント等の車両を横方向に向かわせる横方向の走行抵抗を検出する例えば傾斜計で構成される走行抵抗検出手段としての走行抵抗センサ31が配設され、この走行抵抗センサ31で検出した路面左右方向の傾斜角を表す走行抵抗τ(車両を左方向に走行させる走行抵抗を正とし、車両を右方向に走行させる走行抵抗を負とする)が制駆動力コントロールユニット8に入力されている。
【0082】
この制駆動力コントロールユニット8では、図2と同様の車線逸脱回避制御処理を行うと共に、図17及び図18に示す左側制御終了時制動力減少処理及び右側制御終了時制動力減少処理を実行する。
左側逸脱終了時制動力減少処理は、図17に示すように、先ず、ステップS91で、走行抵抗センサ31で検出した走行抵抗τを読込み、次いでステップS92に移行して、走行抵抗τが設定値τs以上であるか否かを判定し、τ≧τsであるときには、路面に左下がりのカントが形成されており、車両を左方向に向かわせる走行抵抗があるものと判断してステップS93に移行し、走行抵抗フラグFROを“L”に設定してからステップS97に移行し、τ<τsであるときにはステップS94に移行する。
【0083】
このステップS94では、走行抵抗τが設定値−τs以下であるか否かを判定し、τ≦−τsであるときには右下がりのカントが形成されており、車両を右方向に向かわせる走行抵抗があるものと判断してステップS95に移行して、走行抵抗フラグFROを“R”に設定してからステップS97に移行し、τ>τsであるときには路面カントが形成されていないか形成されているとしても僅かであるものと判断してステップS96に移行し、走行抵抗フラグFROを“0”に設定してからステップS97に移行する。
【0084】
ステップS97では、走行抵抗フラグFROが“L”、“R”及び“0”の何れに設定されているかを判定し、FRO=“0”であるときには略平坦な通常走行路を走行しているものと判断してステップS98に移行し、第1の実施形態における図3のステップS31〜S41と同様の処理を行う通常制動力減少処理を行ってから前記ステップS42に移行する。
また、ステップS97の判定結果が、FRO=“L”であるときにはステップS84で逸脱判断フラグFLDが“1”から“0”に変化した時点から比較的小さい値に設定された所定時間td5 が経過したか否かを判定するように変更されていることを除いては第3の実施形態における図10のステップS79〜S89と同様の処理を行って左方向走行抵抗路での制動力減少処理を行い、同様に、ステップS97の判定結果が、FRO=“R”であるときにはステップS99で、下記(30)式に示すように前回の前右輪の目標制動圧PsFR(n-1) から前述した比較的大きな値の前輪側減少量ΔPs0F を減算した値を新たな前右輪の目標制動圧PsFR(n) として設定すると共に、下記(31)式に示すように、前回の後右輪の目標制動圧PsRR(n-1) から前述した比較的大きな値の後輪側減少量ΔPs0R を減算した値を新たな後右輪の目標制動圧PsRR(n) として設定してからステップS100に移行する。
【0085】
PsFR(n) =PsFR(n-1) −ΔPs0F …………(30)
PsRR(n) =PsRR(n-1) −ΔPs0R …………(31)
ステップS100では、ステップS99で算出した前右輪の目標制動圧PsFR(n) が負であるか否かを判定し、PsFR(n) <0であるときにはステップS101に移行して、前右輪の目標制動圧PsFR(n) を“0”に設定してからステップS104に移行し、PsFR(n) ≧0であるときにステップS102に移行する。
【0086】
このステップS102では、ステップS99で算出した後右輪の目標制動圧PsRR(n) が負であるか否かを判定し、PsRR(n) <0であるときにはステップS103に移行して、後右輪の目標制動圧PsRR(n) を“0”に設定してから前記ステップS104に移行し、PsRR(n) ≧0であるときにはステップS104に移行する。
このステップS104では、前記逸脱判断フラグFLDが“1”から“0”に切換わってから前述した所定時間tdより長い第6の所定時間td6 が経過したか否かを判定し、所定時間td6 が経過していないときにはそのままサブルーチン処理を終了して図2のステップS26に移行し、所定時間td6 が経過したときにステップS105に移行する。
【0087】
このステップS105では、下記(32)式に示すように前回の前左輪の目標制動圧PsFL(n-1) から比較的小さな値に設定された前輪側減少量ΔPs1F より小さい値の一回当たりの前輪側減少量ΔPs2F を減算した値を新たな前右輪の目標制動圧PsFL(n) として設定すると共に、下記(33)式に示すように、前回の後左輪の目標制動圧PsRL(n-1) から比較的大きな値に設定された一回当たりの後輪側減少量ΔPs2R を減算した値を新たな後左輪の目標制動圧PsRL(n) として設定してからステップS106に移行する。
【0088】
PsFL(n) =PsFL(n-1) −ΔPs2F …………(32)
PsRL(n) =PsRL(n-1) −ΔPs2R …………(33)
ステップS106では、ステップS105で算出した前左輪の目標制動圧PsFL(n) が負であるか否かを判定し、PsFL(n) <0であるときにはステップS107に移行して、前左輪の目標制動圧PsFL(n) を“0”に設定してから前記ステップS42に移行し、PsFL(n) ≧0であるときにステップS108に移行する。
【0089】
このステップS108では、ステップS105で算出した後左輪の目標制動圧PsRL(n) が負であるか否かを判定し、PsRL(n) <0であるときにはステップS109に移行して、後左輪の目標制動圧PsRL(n) を“0”に設定してから前記ステップS42に移行し、PsRL(n) ≧0であるときにステップS42に移行する。
一方、右側逸脱回避終了時制動力減少処理は、図18に示すように、図17の処理において、ステップS84で比較的長い所定時間td6 が経過したか否かを判断し、ステップS104で比較的短い所定時間td5 が経過したか否かを判断するように変更されていることを除いては図17と同様の処理を行い、図17との対応処理には同一ステップ番号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
【0090】
この第4の実施形態によると、図19に示すように、走行車線に左下がりのカントが形成されて車両が左方向に向かう左方向走行抵抗路を走行しているものとし、この状態で、実線図示の左輪走行軌跡で示すように、左側車輪5FL及び5RLが車線から左側に逸脱する状態となると、逸脱判断フラグFLDが図20(a)に示すように“1”に設定され、これに応じて第1〜第3の実施形態と同様に前右輪の目標制動圧PsFR及び後右輪の目標制動圧PsRRが図20(c)及び(e)に示すように比較的大きな値PsFR0 及びPsRR0 に設定され、前左輪の目標制動圧PsFL及び後左輪の目標制動圧PsRLが図20(b)及び(d)に示すように比較的小さな値PsFL0 及びPsRL0 に設定されて、左方向への車線逸脱を回避する逸脱回避制御が実行される。
【0091】
この逸脱回避制御によって車両が車線内に戻ると、逸脱判断フラグFLDが図20(a)に示すように、“1”から“0”に変化することになり、この時点で図17の制御終了時制動力減少処理が開始され、走行抵抗τから走行抵抗フラグFROが“L”に設定され、これに応じてステップS97からステップS79に移行して、前左輪の目標制動圧PsFL(n) 及び後左輪の目標制動圧PsRL(n) が比較的急峻に減少されるが、前右輪の目標制動圧PsFR(n) 及び後右輪の目標制動圧PsRR(n) は大きな値に維持されるので、図19に示すように、左輪の軌跡が走行車線の内側に確実に戻り、その後所定時間td5 が経過した時点で、前右輪の目標制動圧PsFR(n) 及び後右輪の目標制動圧PsRR(n) が比較的緩やかに減少されることにより、左車輪の軌跡が図19に示すように車線に沿う方向に略一致される。このとき、第1の実施形態のように左側の目標制動圧PsFL(n) 及びPsRL(n) を維持して、右側の目標制動圧PsFR(n) 及びPsRR(n) を減少させると、車両を左方向に回頭させるヨーモーメントが発生することにより、路面の左方向走行抵抗と相まって再度車線逸脱方向に車両が進行することになるが、上述したように右側の目標制動圧PsFR(n) 及びPsRR(n) を左側の目標制動圧PsFL(n) 及びPsRL(n) から所定時間td5 だけ遅延させて減少させることにより、車線逸脱方向への移動を確実に抑制することができる。
【0092】
一方、走行車線に図21に示すように右下がりのカントが形成されて車両が右方向に向かわされる右方向走行抵抗路面を走行している状態で、実線図示のように左輪側が車線より左側に逸脱する場合には、逸脱回避制御については上記と同様に行われるが、左側車輪の軌跡が車線内に戻って、逸脱判断フラグFLDが“1”から“0”に変化したときには、図22に示すように、右輪側の目標制動圧PsFR(n) 及びPsRR(n) が直ちに減少され、左輪側の目標制動圧PPsFL(n) 及びPsRL(n) が比較的長い所定時間td6 だけ遅延された後に緩やかに減少される。このため、車両の左側輪が車線内に戻ったときに、右方向走行抵抗によって車両が右方向に向こうとするが、これが左輪側の目標制動圧PsFL(n) 及びPsRL(n) によって発生される左方向へのヨーモーメントによって相殺されて車両が車線に沿う方向に自動的に進行するようになる。
【0093】
また、図19で破線図示のように左方向走行抵抗路で右方向に車線逸脱する場合には、逸脱回避制御によって車両が車線内に戻されて、逸脱判断フラグFLDが“−1”から“0”に変化する時点で、図18の左側逸脱終了時制動力減少処理が実行されて、大きな値に制御されていた左輪側の目標制動圧PsFL(n) 及びPsRL(n) が直ちに減少され、これより比較的長い遅延時間td6 だけ遅れて右輪側の目標制動圧PsFR(n) 及びPsRR(n) が減少されることにより、左方向走行抵抗に抗して車両の進行方向を車線方向に自動的に一致させることができる。
【0094】
同様に、図21で破線図示のように右方向走行抵抗路で右方向に車線逸脱する場合には、逸脱回避制御の終了時に右輪側の目標制動圧PsFR(n) 及びPsRR(n) が直ちに減少され、これより比較的短い遅延時間td5 だけ遅れて左輪側の目標制動圧PsFL(n) 及びPsRL(n) が緩やかに減少されることにより、右方向走行抵抗によって車両が車線に沿う方向に自動的に一致される。
なお、上記第4の実施形態においては、ステップS84及びs104で判定される所定時間td5 及びtd6 が一定値である場合について説明したが、これに限定されるものではなく、走行抵抗と遅延時間との関係を表す記憶テーブルを設け、この記憶テーブルを参照して遅延時間td5 及びtd6 を設定するようにしてもよく、同様に減圧速度も走行抵抗に応じて変化させるようにしてもよい。
【0095】
また、上記第1〜第4の実施形態においては、車線逸脱回避制御の終了時に目標制動圧を減少制御する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、車線逸脱回避制御終了時に逸脱回避方向とは逆方向の目標ヨーモーメントーメントを算出し、この目標ヨーモーメントを発生させるように制動力を制御するようにしてもよい。この場合、算出した目標ヨーモーメントを操舵角、操舵角速度、操舵角加速度等の操舵状態、旋回曲率β、横方向走行抵抗τに応じて補正することにより、車両の進行方向を車線に沿う方向により正確に制御することができる。
【0096】
さらに、上記第1〜第4の実施形態においては、横変位限界値XC を定数に設定した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、車線幅Lをカメラ13からの画像を処理することで算出したり、ナビゲーションシステムの情報により、車両の位置における地図データから車線幅の情報を取り込むことで、走行する道路に応じて変更するようにしてもよく、例えば次式に従って横変位限界値XC を算出する。
【0097】
XC =min(L/2−LC /2、0.8) …………(34)
ここで、LC は本装置を装着する車両の車幅である。また、min()は括弧内の小さい方を選択する関数である。また、今後、道路のインフラストラクチャーが整備された場合に、インフラストラクチャー側からの所謂路車間通信により、車線幅が与えられる場合には、その情報も用いることができる。また、逸脱方向の車線までの距離L/2−XSがインフラストラクチャー(例えば道路に埋め込まれたマーカー)からの情報で与えられる場合には、当然、その情報を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車線逸脱防止装置を搭載した車両の一例を示す概略構成図である。
【図2】図1の制駆動力コントロールユニット内で実行される車線逸脱回避制御処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図3】図2の左側逸脱回避終了時制動力減少処理を示すフローチャートである。
【図4】図2の右側逸脱回避終了時制動力減少処理を示すフローチャートである。
【図5】図2の演算処理に用いられる車速とゲインK2との関係を示す制御マップである。
【図6】第1の実施形態における動作の説明に供するタイムチャートである。
【図7】本発明における第2の実施形態の左側逸脱回避終了時制動力減少処理を示すフローチャートである。
【図8】第2の実施形態の右側逸脱回避終了時制動力減少処理を示すフローチャートである。
【図9】第2の実施形態における動作の説明に供するタイムチャートである。
【図10】本発明における第3の実施形態の左側逸脱回避終了時制動力減少処理を示すフローチャートである。
【図11】第3の実施形態の右側逸脱回避終了時制動力減少処理を示すフローチャートである。
【図12】第3の実施形態における動作の説明に供する左コーナー内側逸脱時のタイムチャートである。
【図13】第3の実施形態における動作の説明に供する右コーナー外側逸脱時のタイムチャートである。
【図14】第3の実施形態における動作の説明に供する左コーナー外側逸脱時のタイムチャートである。
【図15】第3の実施形態における動作の説明に供する右コーナー内側逸脱時のタイムチャートである。
【図16】本発明の第4の実施形態における概略構成図である。
【図17】第4の実施形態の左側逸脱回避終了時制動力減少処理を示すフローチャートである。
【図18】第4の実施形態の右側逸脱回避終了時制動力減少処理を示すフローチャートである。
【図19】第4の実施形態における動作の説明に供する左方向走行低行路での模式図である。
【図20】第4の実施形態における動作の説明に供する左方向走行抵抗路での左側逸脱時のタイムチャートである。
【図21】第4の実施形態における動作の説明に供する右方向走行抵抗路での模式図である。
【図22】第4の実施形態における動作の説明に供する右方向走行抵抗路での左側逸脱時のタイムチャートである。
【符号の説明】
6FL〜6RRはホイールシリンダ
7は制動流体圧制御回路
8は制駆動力コントロールユニット
9はエンジン
12は駆動トルクコントロールユニット
13はCCDカメラ
14はカメラコントローラ
15は加速度センサ
16はヨーレートセンサ
17はマスタシリンダ圧センサ
18はアクセル開度センサ
19は操舵角センサ
20は方向指示スイッチ
22FL〜22RRは車輪速度センサ
31は走行抵抗センサ
Claims (15)
- 自車両の走行状態を検出する走行状態検出手段と、該走行状態検出手段で検出された走行状態から自車両が走行車線から逸脱する可能性があることを検出する逸脱判断手段と、該逸脱判断手段で自車両が走行車線から逸脱する可能性があることが検出されたときに、前記走行状態検出手段で検出された走行状態に応じて、自車両の走行車線からの逸脱を回避する方向の車線逸脱回避制御を行う逸脱回避制御手段とを備えた車線逸脱防止装置において、
車線逸脱防止制御の終了時を検出する制御終了時検出手段を有し、前記車線逸脱回避制御手段は、前記制御終了時検出手段で車線逸脱制御の終了を検出していないときに、車両を車線逸脱を回避する方向に車線逸脱回避制御を行い、車線逸脱制御の終了を検出したときに、逸脱回避方向とは逆方向に車線逸脱回避制御を行うように構成されていることを特徴とする車線逸脱防止装置。 - 前記車線逸脱回避制御手段は、前記逸脱判断手段で自車両が走行車線から逸脱する可能性があることが検出されたときに、前記走行状態検出手段で検出された走行状態に応じて、自車両の走行車線からの逸脱を回避する方向の目標ヨーモーメントを算出する目標ヨーモーメント算出手段と、該目標ヨーモーメント算出手段で算出した目標ヨーモーメントに応じて各輪の制動力制御量を算出する制動力制御量算出手段と、該制動力算出手段で算出した制動力制御量に応じて各輪の制動力を制御する制動力制御手段とを備え、前記目標ヨーモーメント算出手段は、前記制御終了時検出手段で車線逸脱制御の終了を検出していないときに、車線逸脱を回避する方向の目標ヨーモーメントを算出し、車線逸脱制御の終了を検出したときに、逸脱回避方向とは逆方向の目標ヨーモーメントを算出するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車線逸脱防止装置。
- 前記車線逸脱回避制御手段は、前記逸脱判断手段で自車両が走行車線から逸脱する可能性があることが検出されたときに、前記走行状態検出手段で検出された走行状態に応じて、自車両の走行車線からの逸脱を回避する方向の目標ヨーモーメントを算出する目標ヨーモーメント算出手段と、該目標ヨーモーメント算出手段で算出した目標ヨーモーメントに応じて各輪の制動力制御量を算出する制動力制御量算出手段と、該制動力算出手段で算出した制動力制御量に応じて各輪の制動力を制御する制動力制御手段とを備え、前記制動力制御量算出手段は、前記制御終了時検出手段で車線逸脱制御の終了を検出していないときに、車線逸脱を回避する方向の制動力制御量を算出し、車線逸脱制御の終了を検出したときに、逸脱回避方向とは逆方向の制動力制御量を算出するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車線逸脱防止装置。
- 操舵機構の操舵状態を検出する操舵状態検出手段を有し、前記制動力制御量算出手段は、前記操舵状態検出手段で検出した操舵状態に応じて制動力減圧速度を変更するように構成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の車線逸脱防止装置。
- 前記操舵状態検出手段は、操舵角、操舵角速度及び操舵角加速度の何れか1つを検出するように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の車線逸脱防止装置。
- 前記操舵状態検出手段は、操舵角速度を検出するように構成され、前記制動力制御量算出手段は、前記操舵角速度が大きいときに制動力減圧速度が速くなるように変更するように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の車線逸脱防止装置。
- 自車両の走行状態を検出する走行状態検出手段と、該走行状態検出手段で検出された走行状態から自車両が走行車線から逸脱する可能性があることを検出する逸脱判断手段と、該逸脱判断手段で自車両が走行車線から逸脱する可能性があることが検出されたときに、前記走行状態検出手段で検出された走行状態に応じて、自車両の走行車線からの逸脱を回避する方向の車線逸脱回避制御を行う逸脱回避制御手段とを備えた車線逸脱防止装置において、
旋回走行中における車線逸脱防止制御の終了時を検出する制御終了時検出手段を有し、前記車線逸脱回避制御手段は、前記制御終了時検出手段で車線逸脱制御の終了を検出していないときに、車両を車線逸脱を回避する方向に車線逸脱回避制御を行い、車線逸脱制御の終了を検出したときに、旋回方向への車両ヨーモーメントが発生するように車線逸脱回避制御を行うように構成されていることを特徴とする車線逸脱防止装置。 - 前記車線逸脱回避制御手段は、前記逸脱判断手段で自車両が走行車線から逸脱する可能性があることが検出されたときに、前記走行状態検出手段で検出された走行状態に応じて、自車両の走行車線からの逸脱を回避する方向の目標ヨーモーメントを算出する目標ヨーモーメント算出手段と、該目標ヨーモーメント算出手段で算出した目標ヨーモーメントに応じて各輪の制動力制御量を算出する制動力制御量算出手段と、該制動力算出手段で算出した制動力制御量に応じて各輪の制動力を制御する制動力制御手段とを備え、前記目標ヨーモーメント算出手段は、前記制御終了時検出手段で車線逸脱制御の終了を検出していないときに、車線逸脱を回避する方向の目標ヨーモーメントを算出し、前記制御終了時検出手段で旋回内側への逸脱防止制御の終了を検出したときには、逸脱回避方向とは逆方向に目標ヨーモーメントを算出し、旋回外側への逸脱防止制御の終了を検出したときには逸脱回避方向に目標ヨーモーメントを算出するように構成されていることを特徴とする請求項7に記載の車線逸脱防止装置。
- 旋回曲率を検出する旋回曲率検出手段を有し、前記目標ヨーモーメント算出手段は、目標ヨーモーメントを前記旋回曲率検出手段で検出した旋回曲率に応じて補正するように構成されていることを特徴とする請求項8に記載の車線逸脱防止装置。
- 前記車線逸脱回避制御手段は、前記逸脱判断手段で自車両が走行車線から逸脱する可能性があることが検出されたときに、前記走行状態検出手段で検出された走行状態に応じて、自車両の走行車線からの逸脱を回避する方向の目標ヨーモーメントを算出する目標ヨーモーメント算出手段と、該目標ヨーモーメント算出手段で算出した目標ヨーモーメントに応じて各輪の制動力制御量を算出する制動力制御量算出手段と、該制動力算出手段で算出した制動力制御量に応じて各輪の制動力を制御する制動力制御手段とを備え、前記制動力制御量算出手段は、前記制御終了時検出手段で車線逸脱制御の終了を検出していないときに、車線逸脱を回避する方向の制動力制御量を算出し、前記制御終了時検出手段で旋回内側への逸脱防止制御の終了を検出したときには、逸脱回避方向とは反対側の車輪の制動力減圧に対して、逸脱側の車輪の制動力減圧を遅延させ、旋回外側への逸脱防止制御の終了を検出したときには、逸脱側の車両の制動力減圧に対して逸脱とは反対側の車輪の制動力減圧を遅延させるように構成されていることを特徴とする請求項7に記載の車線逸脱防止装置。
- 旋回曲率を検出する旋回曲率検出手段を有し、前記制動力制御量算出手段は前記制動力減圧の遅延量を前記旋回曲率検出手段で検出した旋回曲率に応じて補正するように構成されていることを特徴とする請求項10に記載の車線逸脱防止装置。
- 車両横方向の走行抵抗を検出する走行抵抗検出手段を有し、前記目標ヨーモーメント算出手段は、前記走行抵抗検出手段で検出した走行抵抗に応じて目標ヨーモーメントを補正するように構成されていることを特徴とする請求項2、8及び9の何れかに記載の車線逸脱防止装置。
- 前記目標ヨーモーメント算出手段は、前記走行抵抗検出手段でカントを検出したときに、カントの上側への逸脱防止制御終了時には、逸脱回避方向とは逆方向に算出する目標ヨーモーメント量を大きく補正し、カントの下側への逸脱防止制御終了時には逸脱回避方向とは逆方向に算出する目標ヨーモーメント量を小さく補正するように構成されていることを特徴とする請求項12に記載の車線逸脱防止装置。
- 車両横方向の走行抵抗を検出する走行抵抗検出手段を有し、前記制動力制御量算出手段は、前記走行抵抗検出手段で検出した走行抵抗に応じて制動力制御量を補正するように構成されていることを特徴とする請求項3、10及び11の何れかに記載の車線逸脱防止装置。
- 前記制動力制御量算出手段は、前記走行抵抗検出手段でカントを検出したときに、カントの上側への逸脱防止制御終了時には、逸脱側の車輪の制動力減少を遅延させ、カントの下側への逸脱防止制御終了時には逸脱とは反対側の車輪の制動力減少を遅延させるように構成されていることを特徴とする請求項14に記載の車線逸脱防止装置。
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