JP3799412B2 - 係止耐風厚平形瓦 - Google Patents

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Description

この発明は、瓦の差込部の頭部側に抑止受部を、尻部側に係止突起を設けて、瓦のずれと浮きを防止する瓦の施工方法に関する。
従来技術1は、特許文献1「耐風厚形平瓦」によるもので、図15に示すように
瓦Kの差込受部Uの側端の頭部T寄り先端側に係止突起13が、尻部R側縁の中央
付近に凹欠部14がそれぞれ形成されていて、千鳥葺きに葺き合わせたとき、図16,
図17に示すように葺き合わせ上段側の瓦K1の係止突起13が葺き合わせ下段側の
瓦Kの凹欠部14下方に潜入して、瓦の振れ係止と浮き抑止がなされるものである。
従来技術2は、図18に示す特許文献2「耐風雨平形系瓦」による瓦Lで、
図18に示すように、瓦Lの差込受部Uの導水帯15側縁の水返し17外側の頭部
T寄りに抑止受部16を形成し、尻部R側に突堤19を備えた釘孔18を設けて
あるもので、千鳥葺きに葺き合わせたとき図19,図20に示すように、葺き合わせ
上段側の瓦L1の抑止受部16上に抑え板20の一端を載せ、他端を葺き合わせ下段側
の瓦Lの釘孔18を介して釘21をもって屋根パネルに止めつけ固定して、上段側
瓦の浮きを抑止するものである。
従来技術3は、図21に示す瓦Mのように特許文献3「耐風強化平形系瓦」に
よるもので、瓦Mの差込受部Uの流水帯22の頭部T寄りに係止凹部23を形成し、
尻部Rの中央部分を開けた左右に係止堰24,25を形成してこれに釘孔26,
27を穿設したもので、千鳥葺きに葺き合わせたとき図22,図23に示すように
葺き合わせ上段の瓦M1の係止凹部23が葺き合わせ下段の瓦Mの係止堰24,25
に間に嵌り込み、係止凹部23を抑え板28で抑え釘孔27を介して釘29で屋根
パネルに止め付け固定して、係止・抑止するものである。
特開昭63−130849号公報 特開平3−206246号公報 特開平2−38651号公報
従来技術1の課題は、係止突起13の頭部T側が傾斜面をなしており、形状的
に凹欠部14からずれ出し易く、係止信頼性に不安があることである。従来技術
2の課題は、釘孔18の突堤19の高さを尻部R側縁の水返しの高さより高くで
きないため、釘孔18から雨水侵入の恐れがあることである。従来技術3の課題
は、係止堰24,25の高さを係止凹部23表面の高さより高くできないため、
雨水を係止堰25の釘孔26に誘引する恐れのあることである。この発明は、こ
れらの課題を改善してより問題なく確実に所期の係止・抑止性能を発揮させよう
とするものである。
この発明は、桟覆部と差込受部との同段葺き合わせ部分がほぼ瓦1枚の厚さに納まる葺き合わせ構造をとる厚平形系瓦の施工方法において、差込受部の頭部側端に水返しにより導水帯と分離され、かつ瓦裏面とほぼ同じレベルの表面を有する係止受部を形成し、尻部側の中央付近に尻切欠部を形成してこの上面部分に瓦表面より高い裏面部分を有する係止突起を形成してなる瓦を、斜め上段側の瓦の導水帯の部分が斜め下段側の瓦の流水面上に置載され葺き合わせたとき、前記係止受部が斜め下段側瓦の尻切欠部内係止突起下方に装入するように施工することによって斜め上段側瓦の係止受部を抑止し振れ止め係止することを特徴とする係止耐風厚平形瓦の施工方法である。
この発明の作用を列記すると次のとおりである。
(1) 千鳥葺き合わせ瓦間において、上段瓦の係止受部が下段瓦の係止突起により
係止される。
(2) さらに、上段瓦の係止受部は下段瓦の係止突起または係止突起に装着された
抑え板により抑止固定される。
(3) 上記の作用は連鎖的に全屋根面に及ぶ。
(4) これらの当接抑止構造は、葺き合わせガイドの役割をも果たす。
この発明の効果を、列記すると次のとおりである。
(1) 瓦頭部側からの、ずれとめくり上げが防止される。
(2) 瓦尻部側の、ずれが防止される。
(3) 全屋根面の瓦が連鎖的に係止・抑止されて、耐風性能が充分に発揮される。
(4) 葺き施工が容易迅速にでき、特別の熟練もいらない。
発明の実施例1は、図1,図2に示す瓦Xのように、桟覆部Sと差込受部Uと
の同段葺き合わせ部分がほぼ瓦1枚の厚さに納まる葺き合わせ構造をとり、尻部
R側には釘孔10を穿設した厚平形系瓦において、差込受部Uの頭部T側端に水
返し6により導水帯1と分離して瓦裏面とほぼ同じレベルの表面を有する係止受
部2aを形成し、尻部R側の中央付近の水返し5の上に瓦表面より高い裏面部分
を有して瓦本体の尻部Rの外側に突出した係止突起3aを形成するものである。
この瓦を千鳥葺きに葺き合わせると、図3,図4,図5に示すように、斜め上段
側の瓦X1の導水帯1の部分は斜め下段側瓦Xの流水面12上に載置されるが、
瓦X1の係止受部2aは瓦Xの係止突起3aの下に装入されて抑止され、振れ止
め係止される係止耐風厚平形瓦である。
実施例2は、図6に示す瓦Yのように、桟覆部Sと差込受部Uとの同段葺き合
わせ部分が瓦1枚の厚さに納まる葺き合わせ構造をとる厚平形系瓦において、差
込受部Uの頭部T側端に水返し6により導水帯1と分離してかつ差込受部U側の
側縁を切欠いた形とした受切欠部7の内側に、瓦裏面とほぼ同じレベルの裏面を
有する係止受部2bを形成し、尻部R側表面の中央付近には水返し6を含めた差
込受部U側端の高さとほぼ同じ高さの係止突起3bを突設して、その中央に孔部
4を穿設するものである。この瓦を千鳥葺きに葺き合わせると、図7,図8,図
9に示すように、斜め下段側瓦Yの係止突起3bの側面と斜め上段側瓦Y1の受
切欠部7の側面および係止受部2bの側面とが当接し、さらに該係止突起3bに
係止金具9を打ち込みその他端が斜め上段側瓦Y1の係止受部2bを抑止して、
振れ止め係止する係止耐風厚平形瓦である。なお、該係止突起3bの高さは該係
止受部2bの高さより高いので、たとえ該係止受部2b上に雨水流入があったと
しても雨水が係止金具9を伝って孔部4から誘引されることはない。
実施例3は、図10、図11に示す瓦Zのように、桟覆部Sと差込受部Uとの同段葺き合わせ部分がほぼ瓦1枚の厚さに納まる葺き合わせ構造をとり、尻部R側に釘孔10を穿孔した厚平形系瓦において、差込受部Uの頭部T側端に水返し6により導水帯1と分離して瓦裏面とほぼ同じレベルの表面を有する係止受部2cを形成し、尻部R側の中央付近に尻部R側縁より内側でかつ瓦表面よりやや高い裏面部分を有する係止突起3cを形成するものである。この瓦を葺き合わせると、図12、図13、図14に示すように斜め上段側の瓦Z1の導水帯1の部分は斜め下段側の瓦Zの流水面12上に載置され、係止受部2cは尻切欠部8内係止突起3c下方に装入され、斜め下段側瓦Zの係止突起3cが斜め上段側瓦Z1の係止受部2cを抑止し、振れ止め係止する係止耐風厚平形瓦である。
実施例1の表斜視図である。 実施例1の要部a−a端面図である。 実施例1の葺き合わせ平面図である。 実施例1の葺き合わせ要部表斜視図である。 実施例1の葺き合わせ要部b−b断面図である。 実施例2の表斜視図である。 実施例2の葺き合わせ平面図である。 実施例2の葺き合わせ要部表斜視図である。 実施例2の葺き合わせ要部c−c断面図である。 実施例3の表斜視図である。 実施例3の表背面側斜視図である。 実施例3の葺き合わせ平面図である。 実施例3の葺き合わせ要部表斜視図である。 実施例3の葺き合わせ要部d−d断面図である。 従来技術1の表斜視図である。 従来技術1の葺き合わせ要部表斜視図である。 従来技術1の葺き合わせ要部e−e断面図である。 従来技術2の表斜視図である。 従来技術2の葺き合わせ表斜視図である。 従来技術2の葺合わせ要部f−f断面図である。 従来技術3の表斜視図である。 従来技術3の葺き合わせ要部斜視図である。 従来技術3の葺き合わせ要部斜視図である。
符号の説明
K,K 瓦(従来技術1)
L,L 瓦(従来技術2)
M,M 瓦(従来技術3)
R 尻部
S 桟覆部
T 頭部
U 差込受部
X,X1,X2 瓦(発明)
Y,Y1,Y2 瓦(発明)
Z,Z1,Z2 瓦(発明)
1 導水帯
2a,2b.2c 抑止受部
3a,3b,3c 係止突起
4 孔部
5 水返し(尻部)
6 水返し(差込部)
7 受切欠部
8 尻切欠部
9 係止金具
10 釘孔
11 釘
12 流水面

Claims (1)

  1. 桟覆部と差込受部との同段葺き合わせ部分がほぼ瓦1枚の厚さに納まる葺き合わせ構造をとる厚平形系瓦の施工方法において、差込受部の頭部側端に水返しにより導水帯と分離され、かつ瓦裏面とほぼ同じレベルの表面を有する係止受部を形成し、尻部側の中央付近に尻切欠部を形成してこの上面部分に瓦表面より高い裏面部分を有する係止突起を形成してなる瓦を、斜め上段側の瓦の導水帯の部分が斜め下段側の瓦の流水面上に置載され葺き合わせたとき、前記係止受部が斜め下段側瓦の尻切欠部内係止突起下方に装入するように施工することによって斜め上段側瓦の係止受部を抑止し振れ止め係止することを特徴とする係止耐風厚平形瓦の施工方法
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