JP3799194B2 - 研磨機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、研磨機に関し、特に光通信分野で用いられる光コネクタやフェルールの先端を凸球面状に簡易に研磨加工するのに適した研磨機に関する。
【0002】
【従来の技術】
光通信分野においては、光ファイバ同士又は光ファイバと光回路部品とを接続するために光コネクタが用いられている。例えば、従来のシングルモード光コネクタにおけるフェルール同士の突き合わせ状態は、図8に示すとおりである。フェルール100は、光ファイバ101(もしくは光ファイバ素線)を挿入するための小径の細孔103が中心軸線に沿って形成されたキャピラリー部102と、中心軸線に沿って光ファイバ心線111(光ファイバの外周に外被が被着されたもの)挿通用の大径の細孔105が形成されたフランジ部104とからなり、小径の細孔103と大径の細孔105はテーパ径部106を介して接続されている。光ファイバ101及び光ファイバ心線111の先端部は、接着剤108によりフェルール100の細孔103,105内に固着される。
【0003】
一対の光ファイバ101,101の接続は、それらが挿入・接合された各フェルール100,100をスリーブ109の両端から挿入し、フェルール100,100同士の端部を突き合わせることにより行なわれ、これによって光ファイバ101,101の軸線が整列した状態で先端面が突き合わせ接続される。フェルール100としては、図8に示すようなキャピラリー部102とフランジ部104が別体型のものの他に、一体型のものもある。
そして、キャピラリー部102の先端部は、突き合わされる光ファイバ間の間隙を零にして接続損失を小さくするために、一般に図8に示すようなドーム状、すなわち凸球面状に研磨加工(PC研磨加工)されている。また、反射損失を低減するために、キャピラリー部の先端面が光ファイバの軸心に対して所定角度で傾斜した傾斜面型フェルールのキャピラリー先端部を球面状に研磨加工することも知られている(特開平7−124855号)。
【0004】
フェルール先端部を凸球面状に研磨加工するための研磨機としては、従来、研磨盤上面に設けた平坦な弾性材料の研磨面又は回転盤上に一定の隙間をあけて張設した樹脂フィルムの研磨面にフェルール先端部を押し当てた状態で、研磨剤を供給しながら研磨盤又は回転盤を回転させると共に、フェルール自体をその軸心の回りに正逆回転させつつ研磨面との接触位置を移動させるための揺動運動を与え、フェルール先端面を凸球面状に研磨する装置がある。しかしながら、PC研磨機はフェルールに光ファイバを接合した状態で行なわれるため、フェルールの正逆回転及び揺動運動によって研磨加工中に光ファイバが破断するという問題がある。
【0005】
このような問題を解消するために、フェルールを固定した状態で、研磨盤を所定のパターンに従って周回・移動させる研磨機が開発されている。
例えば、特開平6−15556号には、遊星歯車機構により研磨盤の所定パターンに従った回転・移動を行なう研磨機が開示されている。しかしながら、遊星歯車機構は内歯を形成したリングギヤ等の多数の高コスト部品によって構成されているため、駆動部が全体的に複雑な構成となり、メンテナンスやコストの面で大きな負担を強いられることになる。
【0006】
一方、特開平11−58204号には、研磨盤を振れ動作させる駆動部が、振れ台と、該振れ台に一体的に設けたボス部を回転駆動軸の中心から一定半径で周回動作させる偏心駆動部材と、上記ボス部の回転動作を一定角度範囲に規制しつつ位置の移動のみを許容してその周回動作を許容する回り止めレバーとから構成され、また研磨盤の送り機構が、研磨盤と振れ台との間でこの振れ台に対して回転可能に介設する中間座と、この中間座の振れ動作によって弾発的に当接することにより振れ台の動作を妨げることなく該中間座を引止め、振れ台に対して回転ずれを生じさせる弾性ストッパとから構成されている研磨機が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記したような、フェルールを固定した状態で研磨盤を所定のパターンに従って周回・移動させる従来公知の研磨機の場合、前記のようにその駆動機構がかなり複雑なものになる。
また、前記した研磨機のいずれも、単一の加圧機構によって同時に複数の被加工物を研磨盤の研磨面に押し付ける構造となっている。そのため、フェルールの全数を保持治具にバランスよく取り付けた場合には、均等に同時に研磨することができるが、バランスが悪い場合には均等な研磨ができなくなる。例えば、前記特開平11−58204号には、「保持治具に対して加工対象物を部分的に配置し、一部を欠いて空席としたまま研磨を行うと、均等に分散された配置の場合を除き、保持治具に加えられる力を各加工対象物に均等に作用することが困難となり、特に、2本以下の少数の場合はバランスを崩して保持治具が傾斜することがあり、研磨することができない。」と教示されている。
【0008】
さらに、図9に示すように、研磨フィルム123を貼り合わせたゴムパッド122を定盤121の上に貼り付けて平坦な研磨盤120を構成し、上記研磨フィルム123に垂直方向にフェルール100を押し付けた状態で、研磨剤を供給しながら研磨盤120を周回・移動させて研磨を行なった場合、研磨盤120が平面であるために、被加工物(フェルール100)の外周側に位置する部分が過度に研磨されてしまい、凸球面に頂点ずれが生じてしまう。この点については、特開平6−15556号には指摘されておらず、また特開平11−58204号には主として傾斜型フェルールの研磨加工が記載されているため、同様に上記問題については明示されていない。本発明者らの研究によると、この現象は研磨時の被加工物の外周側に当接している研磨面部位と内周側に当接している研磨面部位の周速の差に起因しているものであり、そのため外周側の被加工物の研磨部位が内周側よりも過度に研磨されることを見出した。
【0009】
本発明は、前記したような問題を解決すべくなされたものであり、その基本的な目的は、研磨盤の駆動・送り機構が簡単であっても高精度の研磨加工を行なうことができ、しかも研磨面を比較的に広く有効に活用でき、また一度の研磨工程で処理する被加工物の数に関係なく高い研磨精度を確保でき、しかも簡易に使用できる安価な研磨機を提供することにある。
さらに本発明のより特定的な目的は、頂点ずれを生じることなく光コネクタもしくはフェルールの先端面を凸球面状に高精度で研磨加工できる持ち運び自由な携帯型の研磨機を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明によれば、駆動源の回転軸により回転される回転盤と、該回転盤の上面にてその回転軸線から所定距離偏心した位置に突設された偏心軸に、下面側にて中心から所定距離偏心した位置に形成された軸受け穴が嵌合すると共に上記回転盤の上面との間に塗布された潤滑剤の存在により、上記回転盤の回転によって上記偏心軸を介して所定の力を加えたときに該回転盤に対して相対的に回転可能に連結されて該回転盤上を周回運動し、上面が弾性の研磨面に形成された研磨盤と、該研磨盤の側方に配設され、上記研磨盤の周回運動毎にその側面に当接して周回方向と逆方向の力を間欠的に作用させる手段と、上記研磨盤の上方に配置され、被加工物を上下方向にガイドする少なくとも1つのガイド部が形成された被加工物ガイド体と、該被加工物ガイド体のガイド部に挿入された各被加工物に垂直方向に荷重を付加する錘部材と、を備えていることを特徴とする研磨機が提供される。
【0011】
凸球面状に研磨加工を行なう好適な態様によれば、上記構成の研磨機において、さらに、研磨盤の弾性の研磨面と被加工物の軸線とが成す研磨盤中心側の角度が鋭角となるように構成する。
この場合、研磨盤の弾性の研磨面が周縁部から中心部に向って高くなるように傾斜しており、被加工物ガイド体のガイド部が被加工物を垂直方向にガイドするように構成することもできるし、あるいはまた、研磨盤の研磨面が平坦面であり、被加工物ガイド体のガイド部が被加工物をその上部が研磨盤中心側に傾斜した状態にガイドするように構成することもできる。
【0012】
各被加工物に個別に負荷を掛ける機構の好適な態様は、前記被加工物ガイド体が上方に突設された少なくとも2本のガイドピンを有し、一方、前記錘部材が、上記ガイドピン挿通用の上下方向のガイド孔を有し、上記ガイドピンに沿って上下移動自在に配置され、その荷重を被加工物ガイド体のガイド部内に位置する被加工物に直接付加するように構成される。
また、前記研磨盤の側面に当接して周回方向と逆方向の力を間欠的に作用させる手段は、好ましくは、研磨盤の側面に臨み、当接したときに弾発力もしくは摩擦力を及ぼすことができる弾性部材と、該弾性部材を研磨盤に向って進退させる調整部材とからなる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の研磨機は、駆動源の回転軸により回転される回転盤とその上に配置される研磨盤を、回転盤の上面にてその回転軸線から所定距離偏心した位置に突設された偏心軸に、下面側にて中心から所定距離偏心した位置に形成された軸受け穴が嵌合すると共に上記回転盤の上面との間に塗布された潤滑剤の存在により、上記回転盤の回転によって上記偏心軸を介して所定の力を加えたときに該回転盤に対して相対的に回転可能に連結するものである。例えば、上面に弾性の研磨面が形成された研磨盤の中心から所定距離偏心した位置下面に形成された軸受け穴に、回転盤の回転軸線から所定距離偏心した位置から上方に突出する偏心軸(もしくは軸ピン)を「嵌挿」し、すなわち、偏心軸を軸受け穴に嵌合して固定するものではなく、また殆ど自由回転できるような遊嵌状態に挿入するものではなく、軸受け穴と偏心軸の間に或る程度の摩擦力が働き、所定の力が作用したときにのみ研磨盤を回転盤に対して相対的に回転させることができ、従って位置ずれもしくは位相(角度)ずれを生じさせることができるような状態に取り付け、回転盤を回転させることによってその上の研磨盤を周回運動させるものである。
【0014】
また、研磨盤の周回運動毎にその側面に当接して周回方向と逆方向の力を間欠的に作用させる手段、例えば前記当接時に弾発力もしくは摩擦力を及ぼすことができるゴム部材等の弾性部材を、周回運動毎に順次偏心した部分が当接するような位置関係で配設するものである。すなわち、研磨盤の周回運動毎に、順次偏心した部分が上記弾性部材に当接することにより、その弾発力もしくは摩擦力によって研磨盤に周回方向と逆方向の力を間欠的に作用させ、研磨盤に周回方向と逆方向の間欠的な僅かな位置ずれ(位相ずれ)を起こさせるものである。それによって、僅かずつ間欠的に位相ずれをしながら周回運動している研磨盤の研磨面上には、静止している被加工物の(相対的な移動に伴なう)後述するような軌跡が描かれ、研磨面を全体的に有効に活用しながら高精度の研磨加工を行なうことができる。
【0015】
このように、本発明の研磨機は、被加工物を静止させた状態で研磨盤を所定のパターンに従って周回・移動させる研磨機の範疇に属するものではあるが、従来の装置のように遊星歯車機構を用いることなく、また偏心駆動部材や回り止めレバーを用いることなく、偏心位置で連結された回転盤と研磨盤及び研磨盤に周回方向と逆方向の力を間欠的に作用させる手段という極めて簡単な構成により、また回転盤と研磨盤を所定の力を加えたときに相対的に回転可能に連結するという連結機構を巧みに利用したことにより、回転盤の回転に伴なう研磨盤の周回運動と位相ずれを達成できたものである。そのため、極めて簡単な構造で高精度の研磨加工を実現できる安価な研磨機が提供される。また、小型化が可能で、携帯に便利で、施工現場において簡便に使用できる研磨機が提供される。
【0016】
また、本発明の研磨機は、前記研磨盤の上方に配置された被加工物ガイド体のガイド部にそれぞれ被加工物を挿入し、各被加工物にそれぞれ垂直方向に所定の荷重を付加するように錘部材を配置する構成を採用する。例えば、被加工物ガイド体から上方に少なくとも2本のガイドピンを突設し、一方、錘部材に上記ガイドピン挿通用の上下方向のガイド孔を形成し、上記ガイドピンに沿って錘部材を上下移動自在に配置し、その荷重を被加工物に個別的に直接付加するように構成する。このような負荷機構を採用することにより、従来のように被加工物を保持する保持治具のバランスをとる必要はなく、被加工物の数に関係なく高精度に研磨加工を行なうことができ、1個のみの研磨加工及び2個以上の同時研磨加工のいずれも可能である。また、異なる重さの錘部材を用いることにより、被加工物毎に所望の加工度に応じた研磨加工を行なうことができる。さらに、適当な補助治具を用いることにより、例えばフェルールと、これを装着した光コネクタとを同時に研磨加工するなど、異なる形状の被加工物でも同時に研磨加工できる。
【0017】
さらに、本発明の研磨機により凸球面状に研磨加工を行なう好適な態様においては、研磨盤の弾性研磨面と被加工物の軸線とが成す研磨盤中心側の角度が鋭角となるように構成する。例えば、研磨盤の弾性研磨面が周縁部から中心部に向って高くなるように傾斜させ、被加工物ガイド体のガイド部が被加工物を垂直方向にガイドするように構成する。あるいはまた、研磨盤の弾性研磨面を平坦面とし、被加工物ガイド体のガイド部が被加工物をその上部が研磨盤中心側に傾斜した状態にガイドするように構成する。このような構成を採用することにより、研磨時に研磨部位の周速の差により外周側の研磨部位が過度に研磨されることが効果的に防止され、後述するような研磨時の被研磨面のサイクロイド状軌跡と相俟って、頂点ずれを生じることなく高精度の凸球面加工を行なうことができる。
【0018】
【実施例】
以下、添付図面に示す実施例を説明しつつ、本発明について具体的に説明する。
図1は本発明の研磨機の一実施例を示しており、図2はその平面図、図3は上部の左側面図、図4は研磨部の部分断面図である。図中、符号1は有底中空円筒状のモータハウジングであり、その上部開口部に取り付けられた上蓋(ベースプレート)2には減速機付き電動機3の回転軸4が軸受5により回転自在に取り付けられている。この回転軸4は円形の回転盤6の中心に一体的に形成されている。回転盤6の上面には、回転軸線L1から所定距離偏心した位置に偏心軸(ピン)7が突設されている。一方、円形の研磨盤8は、図4に示すように、樹脂、金属等の硬質材料から作製された基盤9と、該基盤9の上面中央部に配置された同様な材料から作製された円形ライナ10と、該円形ライナ10を覆うように被着されたゴム等の弾性材料からなる弾性パッド11と、該弾性パッド11の上面に貼り合わされた研磨紙12とからなり、基盤9と弾性パッド11は円形ライナを挟持した状態に接着剤により一体的に接合されている。その結果、研磨盤8には中心部が盛り上った状態の弾性の研磨面Sが形成される。基盤9の所定位置には軸受け穴9aが形成されており、この軸受け穴9aに上記回転盤6の偏心軸7が前記したような係合力で嵌挿されている。なお、回転盤6と研磨盤8の基盤9との間にはグリース等の潤滑剤が塗布されている。この潤滑剤の粘性は、研磨盤の滑らかな位相ずれ(位置ずれ)、及び回転盤6と基盤9との間の適切な摩擦力付与に寄与するものと考えられる。
【0019】
また、上蓋2の一側部には、支持部13が立設されており、該支持部13の所定の高さ位置(研磨盤8の基盤9と対向する高さ位置)に形成されたねじ穴14には、図2に示されるように、先端に位相ずらし用のゴムストッパ15が取り付けられたストッパ調整ねじ16が螺合されている。ゴムストッパ15の研磨盤8方向への進退の程度は、ストッパ調整ねじ16を回して調整することができる。一方、被加工物ガイド体17は、その一側部下面に形成された凹部18を支持部13の上端部に嵌め合わせた状態で、支持部13の上端部に形成されたねじ穴(図示せず)に螺合されるねじ部を有するねじ込み式ノブ19により支持部13に締め付けられている。従って、ねじ込み式ノブ19を回して被加工物ガイド体17を支持部13から取り外すことにより、研磨盤8(特に、研磨紙12)の交換等を行なうことができる。
【0020】
また、被加工物ガイド体17は、上記のように支持部13に取り付けたときに研磨盤8上に位置する所定の幅及び長さを有し、研磨盤8の上方に位置する部分の両側部には、光コネクタガイド部として、フェルール及び光ファイバを取り付けた光コネクタのつまみのサイズと略同一の矩形の切欠き20がそれぞれ形成され、光コネクタを装着することもできるようになっている。図示の実施例ではフェルールを装着する態様を示しており、この場合、フェルール100の先端部(キャピラリ部102)を挿入できる内径の円筒部を有するフランジ状のフェルールガイド21を用いる。このフェルールガイド21は、そのフランジ部22が上記切欠き20の下面周縁部にビス止めされている。また、被加工物ガイド体17の各切欠き20の両側部には、各々一対のガイドピン23が上方に突設されている。
【0021】
一方、錘部材24には、上記ガイドピン23を挿通するための一対のガイド孔25が上下方向に貫通して形成され、また一側から中心部に向ってフェルール挿入用のスリット26が形成されている。従って、錘部材24は、被加工物ガイド体17の一対のガイドピン23を上記錘部材24の対応する一対のガイド孔25に挿入することにより、上記ガイドピン23に沿って上下移動自在に被加工物ガイド体17上に配置することができる。上記スリット26の寸法は、フェルール100の大径フランジ部107は挿通できないが、それ以外の部分は挿入できるような大きさになっている。
被加工物であるフェルール100の取り付けに際しては、錘部材24のスリット26に大径フランジ部107より後側の小径部分を挿入し、次いでガイド孔25にガイドピン23を挿入することにより、フェルール先端部(キャピラリ部102)はフェルールガイド21の円筒部に挿入される。
【0022】
上記のようにしてフェルール100を取り付けた後、減速機付き電動機3を起動させ、必要に応じて研磨面Sに研磨剤を供給しながら、フェルール先端の球面研磨を行なう。
研磨過程においては、回転盤6の回転と共に研磨盤8も周回運動を行なう。このとき、研磨盤8は偏心軸7を介して回転盤6から側方に余分に突出している部分がゴムストッパ15の位置に達する度に、このゴムストッパ15に当接し、その時の弾発力もしくは摩擦力により周回方向と逆方向の力が間欠的に作用し、前記したように研磨盤8は偏心軸線L2を中心として僅かに回転して間欠的な位相ずれを生じる。それによって、静止しているフェルール100の先端は研磨盤8の研磨面Sにサイクロイド状の軌跡を描きながら研磨される。研磨盤8の位相ずれの大きさは、ゴムストッパ15の研磨盤8側面への接近度(進退の程度)によって変えることができ、これは前記したようにストッパ調整ねじ16を回すことにより調整する。また、回転盤6の回転速度によってもゴムストッパ15による弾発力が変化するので、位相ずれの大きさを調整することは可能である。但し、回転速度が大きすぎるとゴムストッパ15を破損し易くなるので、回転盤6の回転速度は200〜240rpm程度に調整することが好ましい。
【0023】
実際のフェルール先端の軌跡を見るために、フェルールに代えて鉛筆を被加工物ガイド体17に取り付け、また研磨紙12に代えて普通の紙を研磨盤8の上面に貼り合わせて作動させたところ、図5及び図6に示すような軌跡が描かれた。図5はゴムストッパ15の研磨盤側への突出が大の時、図6は小の時の軌跡を示している。図5及び図6に示される軌跡において、段差状の部分Aが研磨盤側面がゴムストッパに当接して位相ずれ(位置ずれ)を生じた箇所を示している。図5の軌跡が図6の軌跡よりも段差部Aの大きさ、即ち位相ずれ(位置ずれ)が大きいことがわかる。このことは、ゴムストッパ15が研磨盤8側へ接近する程、当接したときの弾発力が大きくなることで説明できる。
【0024】
また、図6に示す軌跡は多少いびつな形になっているが、いずれの軌跡も、内輪部と外輪部を有し、これら内輪部と外輪部の間で被加工物と研磨面の接点がサイクロイド状に相対的に移動することがわかる。このように、研磨面Sの外周部側から盛り上って高くなっている中央部側に被加工物の研磨部がサイクロイド状に相対的に移動することにより、外周側の研磨部位が過度に研磨されることが効果的に防止され、頂点ずれを生じることなく高精度で凸球面加工を行なうことができる。
このような効果は、図4に示すような構成の研磨盤8を用いる場合だけでなく、図7に示すように被加工物ガイド体17の切欠き20の下端内縁部とフェルールガイド21のフランジ部22の間に、樹脂、金属等の硬質材料製のライナ27を介在させ、フェルール100を上部が研磨盤中心側に傾斜した状態に取り付け、また研磨盤8の研磨面Sを従来と同様な平坦面に形成することによって得られる。
【0025】
以上、好適な実施例について説明したが、本発明は前記した実施例に限定されるものではなく、種々の適用態様、設計変更が可能である。例えば、図4に示すように研磨盤8の基盤9と弾性パッド11の間に円形ライナ10を介在させる態様に代えて、基盤9自体の上面を、中央部が盛り上ったなだらかな凸球面状に形成することもできる。また、図7に示すライナ27を用いる形態においても、被加工物ガイド体17の下面をライナ27を用いた場合と同様の形状とすることにより、ライナ27を用いることなく、フェルール100を傾斜した状態に取り付けることができる。さらに、図4と図7の形態を組み合わせることも可能である。また、回転盤6と研磨盤8の連結も、研磨盤下面に偏心軸を突設し、この偏心軸を回転盤上面に形成した軸受け穴に嵌挿するように構成することもできる。さらに、被加工物ガイド体17を入れ子式等により長さ方向に伸縮自在に構成し、研磨工程毎に研磨面Sに対する被加工物の接点を移動させて、研磨面をより広く有効に活用するようにしてもよい。さらにまた、被加工物は前記したフェルールやこれを装着した光コネクタのみに限られるものではなく、被加工物ガイド体17の切欠き20の形状を変更したり適当な補助治具を用いるなどして、他の被加工物にも勿論適用でき、また前記した実施例のように研磨面を弾性研磨面として凸球面研磨する場合に限定されるものでもなく、硬質研磨面として平坦面の研磨加工に応用することもできる。さらに、フェルールの取付傾斜角度又は研磨面の傾斜角度を適宜設定することにより、傾斜型フェルールの凸球面加工にも適用可能である。
【0026】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、駆動源の回転軸により回転盤が回転され、該回転盤の上面にてその回転軸線から所定距離偏心した位置に突設された偏心軸に、下面側にて中心から所定距離偏心した位置に形成された軸受け穴が嵌合すると共に上記回転盤の上面との間に塗布された潤滑剤の存在により、上記回転盤の回転によって上記偏心軸を介して所定の力を加えたときに該回転盤に対して相対的に回転可能に連結された研磨盤が上記回転盤上を周回運動し、該研磨盤の側方に配設された間欠的作用手段により、上記研磨盤の周回運動毎にその側面に当接して周回方向と逆方向の力を間欠的に作用させ、上面が弾性の研磨面に形成された研磨盤で被加工物の先端面を研磨加工することができる。これにより、回転盤の回転に伴なう研磨盤の周回運動と位相ずれ(位置ずれ)を達成でき、極めて簡単な構造で高精度の研磨加工を実現できる安価な研磨機が提供される。また、小型化が可能で、携帯に便利で、施工現場において簡便に使用できる研磨機が提供される。
【0027】
また、本発明の研磨機は、前記研磨盤の上方に配置された被加工物ガイド体のガイド部にそれぞれ被加工物を挿入し、各被加工物にそれぞれ個別的に垂直方向に所定の荷重を付加するように錘部材を配置する構成を採用するため、従来のように被加工物を保持する保持治具のバランスをとる必要はなく、被加工物の数に関係なく高精度に研磨加工を行なうことができ、1個のみの研磨加工及び2個以上の同時研磨加工のいずれも可能である。この場合、従来の多数個研磨機で研磨したものの中で手直しが必要なものを選んで再研磨できる。また、被加工物毎に所望の加工度に応じた研磨加工を行なうこともできる。
さらに、研磨盤の弾性研磨面と被加工物の軸線とが成す研磨盤中心側の角度が鋭角となるように構成することにより、研磨時に研磨部位の周速の差により外周側の研磨部位が過度に研磨されることが効果的に防止され、前述したような研磨時の被研磨面のサイクロイド状軌跡と相俟って、頂点ずれを生じることなく高精度の凸球面加工を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の研磨機の一実施例を示す部分破断断面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図1の部分左側面図である。
【図4】図1に示す研磨機の研磨部の構造を示す部分断面図である。
【図5】被加工物と研磨面の接点の相対的移動の軌跡の一例である。
【図6】被加工物と研磨面の接点の相対的移動の軌跡の他の例である。
【図7】被加工物(フェルール)の取付け態様の他の例を示す部分断面図である。
【図8】光コネクタ用フェルール同士の接続状態を示す部分断面図である。
【図9】従来の研磨機の一例の部分断面図である。
【符号の説明】
1 モータハウジング
3 減速機付き電動機
6 回転盤
7 偏心軸
8 研磨盤
10,27 ライナ
12 研磨紙
15 ゴムストッパ
17 被加工物ガイド体
20 切欠き(光コネクタガイド部)
21 フェルールガイド
23 ガイドピン
24 錘部材
25 ガイド孔
26 スリット
100 フェルール
S 研磨面
Claims (6)
- 駆動源(3)の回転軸により回転される回転盤(6)と、
該回転盤の上面にてその回転軸線(L1)から所定距離偏心した位置に突設された偏心軸(7)に、下面側にて中心から所定距離偏心した位置に形成された軸受け穴(9a)が嵌合すると共に上記回転盤の上面との間に塗布された潤滑剤の存在により、上記回転盤の回転によって上記偏心軸を介して所定の力を加えたときに該回転盤に対して相対的に回転可能に連結されて該回転盤上を周回運動し、上面が弾性の研磨面(S)に形成された研磨盤(8)と、
該研磨盤の側方に配設され、上記研磨盤の周回運動毎にその側面に当接して周回方向と逆方向の力を間欠的に作用させる手段(15,16)と、
上記研磨盤の上方に配置され、被加工物(100)を上下方向にガイドする少なくとも1つのガイド部(20,21)が形成された被加工物ガイド体(17)と、
該被加工物ガイド体のガイド部に挿入された各被加工物に垂直方向に荷重を付加する錘部材(24)と、
を備えていることを特徴とする研磨機。 - 前記研磨盤(8)の弾性の研磨面(S)と被加工物(100)の軸線とが成す研磨盤中心側の角度が鋭角となるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の研磨機。
- 前記研磨盤(8)の弾性の研磨面(S)が周縁部から中心部に向って高くなるように傾斜しており、被加工物ガイド体(17)のガイド部(21)が被加工物(100)を垂直方向にガイドするように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の研磨機。
- 前記研磨盤(8)の弾性の研磨面(S)が平坦面であり、被加工物ガイド体(17)のガイド部(21)が被加工物(100)をその上部が研磨盤中心側に傾斜した状態にガイドするように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の研磨機。
- 前記被加工物ガイド体(17)が上方に突設された少なくとも2本のガイドピン(23)を有し、一方、前記錘部材(24)が、上記ガイドピン挿通用の上下方向のガイド孔(25)を有し、上記ガイドピンに沿って上下移動自在に配置され、その荷重を被加工物ガイド体のガイド部(21)内に位置する被加工物(100)に直接付加するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の研磨機。
- 前記研磨盤(8)の側面に当接して周回方向と逆方向の力を間欠的に作用させる手段が、研磨盤の側面に臨み、当接したときに弾発力もしくは摩擦力を及ぼすことができる弾性部材(15)と、該弾性部材を研磨盤に向って進退させる調整部材(16)とからなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の研磨機。
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