JP3798740B2 - 車両用シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車等の車両のフロアに設置されるシートをそのフロアに対して係脱可能にロックする車両用シートのフロアロック装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の車両に設置されるシートとして、そのシートバックを前倒しにし、さらにそのシートバックと共にシートクッションの後部を上方に回動して前方側に倒立させることにより、車両内の荷室スペースを拡大することができるようしたものが知られている。
【0003】
このような倒立可能型のシートにおいては、シートクッションの後部にその後部を車両のフロアにロックして固定するためのフロアロック装置が設けられている。通常、このフロアロック装置にはシートベルトの端部が連結される。
【0004】
車両の衝突時等にはシートベルトを通してシートに大荷重が加わるが、これに対応するためにシートにはシートクッションの後部に複数、たとえば両側に2個のフロアロック装置が設けられる場合が多い。
【0005】
この場合、従来においてはその2個のフロアロック装置が連結棒等により互いに連結され、専用の解除レバーの操作によりその2個のフロアロック装置が同じタイミングで解除されるようになっている。
【0006】
しかし、この場合、シートを倒立させる際に、まずシートバックを前倒しにするためのリクライニングレバーを操作し、この後、フロアロック装置の解除用の解除レバーを操作しなければならないという二段階の面倒で煩わしい操作が必要となる。
【0007】
そこで、2個のフロアロック装置をそれぞれ個々にシートバックにワイヤケーブル等で連結し、シートバックを前倒しにする動作で個々のフロアロック装置を連動してロックを解除する方法が考えられる。
【0008】
この場合のフロアロック装置は、シートのシートクッションを車両のフロアにロックする第1のロック機構と、この第1のロック機構をロックする第2のロック機構と、前記シートバックの前倒しの動作に連動する動作で前記第2のロック機構のロックを一時的に解除する解除機構とを備え、シートバックの前倒しの動作に連動する前記解除機構により第2のロック機構のロックが解除されたときに、付勢部材の付勢力で前記第1のロック機構を前記シートクッションを跳ね上げるべく動作させてシートクッションとフロアとのロックを解除する構造となる。そして前記解除機構は、ワイヤケーブル等の操作条を用いてシートバックに連結され、その操作条を介してシートバックの前倒しの動作に連動するように構成される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このようなフロアロック装置がシートクッションに複数、例えば2個取り付けられた場合、その2個のロック装置の解除機構がシートバックの前倒しの動作に連動して同じタイミングで同時に動作すれば問題はないが、その各解除機構を個々に連動する操作条の寸法上のばらつきや取り付け長さの調整のばらつき、あるいは他の部品の寸法上や取り付け上のばらつき等により、その双方の解除機構の動作にタイミングのずれが生じることがある。
【0010】
このような場合、一方のロック装置の解除機構の動作で前記第2のロック機構のロックが一時的に解除され、これに応じて付勢部材による付勢力で前記第1のロック機構がシートクッションを跳ね上げるべく動作するわけであるが、この際、他方のロック装置の解除機構が動作していないため、シートクッションの跳ね上げが不能となり、その他方のロック装置の解除機構が動作する前に一方のロック装置の前記第2のロック機構が再ロックされてしまい、結局、フロアに対するシートクッションのロックを解除することができなくなってしまう。
【0011】
また、前記の第2のロック機構の再ロックは、2個のロック装置の取り付け位置のアンバランス、例えばシートクッションのフレームの捩れ(平面度)や、車両のフロアの平面度等のばらつきによっても生じてしまう。
【0012】
この発明はこのような点に着目してなされたもので、その目的とするところは、シートクッションに設けられた複数のロック装置の動作にタイミングのずれが生じるような場合であってもフロアに対するシートクッションのロックを的確に解除することができる車両用シートを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この発明はこのような目的を達成するために、シートクッションおよびこのシートクッションに対して前倒し可能に設けられたシートバックを備え、前記シートクッションに複数のフロアロック装置が設けられた車両用シートであって、前記各フロアロック装置はそれぞれ、前記シートクッションを車両のフロアに係脱可能にロックする第1のロック機構と、この第1のロック機構を係脱可能にロックする第2のロック機構と、前記シートのシートバックの前倒しの動作に連動する動作で前記第2のロック機構のロックを一時的に解除する解除機構とを備え、前記解除機構により第2のロック機構のロックが解除されたもとで、付勢部材の付勢力により前記第1のロック機構を前記シートクッションを跳ね上げるべく動作させてシートクッションとフロアとのロックを解除する構成であり、前記第2のロック機構のロックが前記解除機構により解除されたときに、前記第1のロック機構が前記付勢部材の付勢力で動作するまでの間、その解除機構の復帰動作を阻止して第2のロック機構のロック解除状態を保持する解除保持機構をさらに設けるようにしたものである。
【0014】
より具体的には、前記各フロアロック装置における第1のロック機構は、前記シートクッションに回動可能に設けられ、その回動動作で車両のフロアに設けられた係合体に係脱可能に係合してシートクッションをフロアにロックするロックレバーを備え、前記第2のロック機構は、前記シートクッションに回動可能に設けられ、その回動動作で前記ロックレバーに係脱可能に係合してそのロックレバーをロックするストッパレバーを備え、前記解除機構は前記シートバックの前倒しの動作に連動して回動する操作レバーを備え、この操作レバーの回動により前記ストッパレバーが前記ロックレバーに対するロック解除方向に回動し、前記解除保持機構は、回動可能なリンクレバーを備え、前記ストッパレバーがロック解除方向に回動したときに前記リンクレバーが回動して前記ストッパレバーと係合し、この係合で前記ストッパレバーの逆方向の回動を阻止して前記ロックレバーのロック解除状態を保持するように構成することが可能である。
【0015】
そして、前記解除保持機構のリンクバーと前記第2のロック機構のストッパレバーと係合は、前記第1のロック機構のロックレバーが前記付勢部材の付勢力で動作するときにそのロックレバーに設けられた押しピンを介して解除する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0017】
図1には車両のフロアの上に設置されたシートの平面図を、図2にはそのシートの側面図を示してある。このシート1は、シートクッション2とシートバック3を備え、シートクッション2は前部がピン4を介して車両のフロア5に回動可能に取り付けられ、そのピン4を中心にほぼ水平状態からほぼ垂直状態に回動して倒立させることができるようになっている。
【0018】
シートバック3はシートクッション2の後部に前倒し可能に設けられ、このシートバック3の側部にはその前倒しの際に操作するリクライニングレバー6が設けられている。
【0019】
シートクッション2の後部には2個のフロアロック装置10がその両側に位置して設けられ、これらのフロアロック装置10によりシートクッション2の後部がフロア5に係脱可能にロックされている。
【0020】
各フロアロック装置10はそれぞれワイヤケーブル等の操作条11を介してシートバック3に連結されていて、シートバック3の前倒しの動作に連動してそのロックが解除されるようになっている。
【0021】
図3には、フロアロック装置10の構造を示してあり、このフロアロック装置10はベース15を備え、このベース15がシートクッション2に取り付けられている。
【0022】
ベース15の下縁にはほぼ逆U字状をなす切欠溝16が形成され、またこのベース15の下方のフロア5の上に係合体としてのストライカ17が取り付けられ、このストライカ17が前記切欠溝16内に挿脱可能に挿入されている。
【0023】
ベース15の側面には、ロックレバー21、ストッパレバー22、リンクレバー23および操作レバー24がそれぞれ設けられている。
図4にはリンクレバー23および操作レバー24を取り除いた状態を示してあり、ロックレバー21は支軸27を介して回動自在に、ストッパレバー22は支軸28を介して回動自在にそれぞれベース15に取り付けられている。
【0024】
ロックレバー21の縁部にはU字状の係合溝30および鉤状の係合段部31がそれぞれ形成され、前記係合段部31に連なる縁部が円弧状の受け部34となっている。そしてストッパレバー22の端部には前記係合段部31に係脱可能な係合突部32が形成されている。
【0025】
ロックレバー21の端部とストッパレバー22の端部との間には付勢部材としてスプリング33が張設され、このスプリング33によりロックレバー21が図における時計回り方向に、ストッパレバー22が図における反時計回り方向にそれぞれ弾性的に付勢され、この付勢力でロックレバー21の係合段部31とストッパレバー22の係合突部32とが互いに係合する状態に保持されている。
【0026】
前記係合段部31と係合突部32とが係合する状態のもとでは、ロックレバー21の係合溝30が横向きの状態で前記ストライカ17に係合し、この係合によりシートクッション2の後部がフロア5に対してロックされている。
【0027】
そして前記係合段部31と係合突部32との係合が外れ、ロックレバー21が時計回り方向に回動したときに前記係合溝30がストライカ17から離脱するようになっている。
【0028】
また、ロックレバー21には前記係合段部31の配置側の端部に押しピン35が、ストッパレバー22には係合突部32の近傍位置に受けピン36がそれぞれ取り付けられている。
【0029】
前記リンクレバー23は、前記ロックレバー21を支持した支軸27に同軸的に取り付けられて回動自在に支持され、このリンクレバー23の端縁には係合段部38が形成されている。
【0030】
このリンクレバー23はスプリング39により図における反時回り方向に弾性的に付勢されている。そして前記係合段部31と係合突部32とが係合する状態のもとでは、スプリング39の付勢力でリンクレバー23の側縁が前記受けピン36に弾性的に当接してその反時計回り方向の回動が規制されている。
【0031】
前記操作レバー24は、前記ロックレバー21を隔てる前記ストッパレバー22の反対側におけるベース15の側面に、支軸40を介して回動自在に取り付けられている。そしてこの操作レバー24はスプリング41により図における時計回り方向に弾性的に付勢されている。
【0032】
前記支軸40の端部にはストッパリング44が嵌着固定され、このストッパリング44の外周縁の一部にストッパ片45が一体に突出形成され、このストッパ片45に前記操作レバー24に形成されたストッパ突起46が前記スプリング41による付勢力で当接し、この当接で操作レバー24の時計回り方向の回動が規制されている。
【0033】
操作レバー24は、前記支軸40を隔てて互いにほぼ反対側に延びる第1のアーム部24aと第2のアーム部24bとを有し、第1のアーム部24aの端部に押圧レバー50を備え、この押圧レバー50は支軸51を介して第1のアーム部24aに回動自在に取り付けられている。
【0034】
この押圧レバー50は前記受けピン36の配置側に向って延びる押圧部50aを有し、この押圧部50aと前記操作レバー24の第2のアーム部24bの端部との間にスプリング52が架設され、このスプリング52により押圧レバー50が前記支軸51を中心とする時計回り方向に弾性的に付勢されている。
【0035】
押圧レバー50には押圧部50aのほぼ反対側に延びるストッパ部50bが形成され、このストッパ部50bが前記ストッパリング44の外周縁に当接することにより、押圧レバー50の時計回り方向の回動が規制されている。そして前記支軸51に前記操作条11の端部が連結されている。
【0036】
なお、シートクッション2の両側に設けられた双方のフロアロック装置10は同一の構造であって、互いに対称的に向き合うように配置されている。
【0037】
次に、作用について図5および図6を参照して説明する。
シート1を倒立させる際には、まずリクライニングレバー6を操作し、図5(イ)に示すようにシートバック3を前倒しにする。シートバック3が一定角度まで傾斜した以後には、その前倒しの動作に連動して各フロアロック装置10の操作条11がそれぞれ一方向に引張られる。
【0038】
操作条11が引張られたときには、その張力で操作レバー24が図3に示す状態から図5(a)に示すようにスプリング41に抗して支軸40を中心とする図における反時計回り方向に回動する。
【0039】
この際、押圧レバー50は操作レバー24と一体に動作し、押圧部50aの先端縁部が支軸40を中心とする円周上を移動する。そしてその移動の途中に、押圧部50aの先端縁部が受けピン36に当接し、さらに操作レバー24が回動することにより、押圧部50aの先端縁部で受けピン36が押圧される。
【0040】
この押圧で受けピン36と一体にストッパレバー22が支軸28を中心にスプリング33に抗して時計回り方向に回動し、この回動によりストッパレバー22の係合突部32がロックレバー21の係合段部31から離脱し、ロックレバー21のロックが一時的に解除される。
【0041】
ここで、シートクッション2に設けられた2個のフロアロック装置10が完全に同じタイピングで動作するとき、あるいは仮にシートクッション2に1個のロック装置10のみが設けられているような場合には、上述のようにストッパレバー22の係合突部32がロックレバー21の係合段部31から離脱してロックレバー21のロックが一時的に解除されたときに、スプリング33の付勢力でロックレバー21が支軸27を中心とする図における時計回り方向に回動する。
【0042】
そしてこの回動の動作によりロックレバー21の係合溝30がストライカ17から離脱すると共に、その離脱時に横長の係合溝30の上側の側縁でストライカ17が前記スプリング33の付勢力で下方に強く押圧され、この押圧力でシートクッション2が上方に跳ね上げられ、ストライカ17がベース15の切欠溝16から相対的に離脱し、シートクッション2のフロア5に対するロックが解除される。
【0043】
ところが、前述したように、シートクッション2に設けられた2個のロック装置10は、その各ロック装置10ごとの操作条11の長さのばらつきや各部品の寸法上のばらつき等によりその動作のタイミングにずれが生じてしまうことが多い。
【0044】
いま、一方のロック装置10が図5(a)に示すロック解除状態となったにもかかわらず、他方のロック装置10の動作が遅れてロック解除状態にまで至らないようなときには、その他方のロック装置10によるロックでシートクッション2が拘束されてその跳ね上げが達成されないことになり、この結果、一方のロック装置10におけるロックレバー21はロック解除状態にあるものの時計回り方向への回動が阻止されてしまう。
【0045】
一方のロック装置10において、押圧部50aの先端縁部で受けピン36が押圧され、受けピン36と一体にストッパレバー22が時計回り方向に回動してストッパレバー22の係合突部32がロックレバー21の係合段部31から離脱した後には、図5(b)に示すように、その押圧部50aの先端縁部がさらに移動して受けピン36を通過し、その受けピン36から外れる。
【0046】
この際、もしリンクレバー23が設けられていないとすると、受けピン36に対する押圧部50aの通過後に直ちにストッパレバー22がスプリング33の付勢力で図における反時計回り方向に回動し、このストッパレバー22の係合突部32がロック待機姿勢にあるロックレバー21の係合段部31に係合し、この係合で前記ロックレバー21が再ロック状態となってしまう。
【0047】
そしてこの後、他方のロック装置10のロックレバー21がロック解除状態となるわけであるが、このときには一方のロック装置10のロックレバー21が再ロック状態となっているから、結局、フロア5に対するシートクッション2のロックを解除することができなくなる。
【0048】
しかしながら、この発明におけるロック装置10においては、リンクレバー23が設けられ、押圧部50aの先端縁部で受けピン36が押圧され、受けピン36と一体にストッパレバー22が時計回り方向に回動して受けピン36がロックレバー21の外方側に変位したときには、図5(b)に示すように、リンクレバー23がスプリング39の付勢力で図における反時計回り方向に回動して係合段部38が前記受けピン36に係合する。
【0049】
そして押圧部50aの先端縁部が受けピン36を通過し、ストッパレバー22がスプリング33の付勢力で図における反時計回り方向に回動しようとするときに、前記受けピン36とリンクレバー23の係合段部38との係合によりその回動が阻止され、したがってストッパレバー22の係合突部32がロックレバー21の係合段部31に係合することがなく、ロックレバー21のロック解除状態がそのまま保持される。
【0050】
この後、タイミングが遅れて他方のロック装置10のロックレバー21がロック解除状態となる。
【0051】
そして、双方のロック装置10のロックレバー21がそれぞれロック解除状態となったときに、そのロックの解除に応じて各ロック装置10のロックレバー21が図6(c)に示すように、スプリング33の付勢力で支軸27を中心とする図における時計回り方向に回動する。
【0052】
そしてこの回動の動作により各ロックレバー21の係合溝30がストライカ17から離脱すると共に、その離脱の際に横長の係合溝30の上側の側縁でストライカ17が前記スプリング33の付勢力で下方に強く押圧され、この押圧力でシートクッション2が図6(ハ)に示すように上方に跳ね上げられ、ストライカ17がベース15の切欠溝16から相対的に離脱し、シートクッション2のフロア5に対するロックが解除される。
【0053】
なお、シートクッション2の上方への跳ね上げは、前記スプリング33の付勢力と併せて、例えばシートクッション2とフロア5との間に設けた弾性体等の付勢部材による付勢力で行なうようにすることも可能である。
【0054】
ロックレバー21がスプリング33の付勢力で時計回り方向に回動するときには、ロックレバー21の押しピン35がリンクレバー23の側縁に当接する。そしてリンクレバー23は押しピン35により押されてスプリング39に抗して支軸27を中心とする時計回り方向に回動し、この回動によりリンクレバー23の係合段部38とストッパレバー22の受けピン36との係合が外れ、これに応じてストッパレバー22がスプリング33の付勢力で反時計回り方向に回動し、係合突部32がロックレバー21の円弧状の受け部34に摺動自在に当接する。
【0055】
このように、双方のロック装置10の動作のタイミングにずれが生じても、そのタイミングのずれに影響されることなく、シートクッション2のフロア5に対するロックの解除を的確に達成することができる。
【0056】
シートクッション2のロックを解除したのちには、図6(ニ)に示すようにそのシートクッション2の後部をさらに上方に引き上げてシートクッション2を倒立させる。これにより車両内の荷室スペースを拡大することができる。
【0057】
一方、シートクッション2を元の姿勢に戻す際には、倒立状態のシートクッション2を図6(ホ)に示すように後方に押し倒す。この動作により図6(d)に示すように、各ロック装置10におけるベース15の切欠溝16内にストライカ17が相対的に進入する。
【0058】
この進入時に、ロックレバー21における係合溝30の上側の側縁にストライカ17が当接し、この当接による押圧力でロックレバー21がスプリング33に抗して反時計回り方向に回動し、この回動で係合溝30がストライカ17と係合し、シートクッション2がフロア5に対してロックされる。
【0059】
ロックレバー21が反時計回り方向に回動する際には、その回動に応じてストッパレバー22の係合突部32がロックレバー21の受け部34の上を相対的に摺動し、さらにロックレバー21が回動したときにその係合突部32がロックレバー21の係合段部31にスプリング33の付勢力で落ち込んで係合し、この係合によりロックレバー21がロック状態となり、その時計回り方向の回動が阻止される。
【0060】
この後、前倒し状態のシートバック3を図6(ヘ)に示すように上方に引き起こす。この動作により操作条11の張力が解除され、この張力の解除に応じて操作レバー24が図6(e)に示すようにスプリング41の付勢力で時計回り方向に回動する。そしてこの回動に応じて押圧レバー50の押圧部50aがストッパレバー22の受けピン36に当接する。この際、受けピン36は定位置を保ち、押圧レバー50がスプリング52に抗して支軸51を中心として反時計回り方向に回動し、この回動の動作で押圧部50aが受けピン36の脇をすり抜けて操作レバー24および押圧レバー50が図3に示す当初の位置に復帰する。
【0061】
なお、前記実施形態においては、シートクッションに2個のフロアロック装置を設ける場合を例に挙げて説明したが、2個以上の複数のフロアロック装置をシートバックに設けることも可能であり、その場合においても、各ロック装置の動作にタイミングのずれが生じてもシートクッションのロック解除を的確に達成することができる。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したようにこの発明によれば、シートクッションに設けられた複数のロック装置の動作にタイミングのずれが生じるような場合であっても、そのタイミングのずれにかかわらずフロアに対するシートクッションのロックを的確に解除することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係るフロアロック装置を備える車両用シートの平面図。
【図2】その車両用シートの側面図。
【図3】その車両用シートに組み込まれたフロアロック装置の構造を示す側面図。
【図4】そのフロアロック装置におけるリンクレバーおよび操作レバーを取り除いた状態の側面図。
【図5】そのフロアロック装置のロック解除時における前半の動作を順に示す側面図。
【図6】そのフロアロック装置のロック解除時における後半の動作を順に示す側面図。
【符号の説明】
1…シート
2…シートクッション
3…シートバック
5…車両のフロア
10…フロアロック装置
11…操作条
15…ベース
17…ストライカ(係合体)
21…ロックレバー
22…ストッパレバー
23…リンクレバー
24…操作レバー
30…係合溝
31…係合段部
32…係合突部
33…スプリング(付勢部材)
35…押しピン
36…受けピン
38…係合段部
50…押圧レバー
Claims (4)
- シートクッションおよびこのシートクッションに対して前倒し可能に設けられたシートバックを備え、前記シートクッションに複数のフロアロック装置が設けられた車両用シートであって、
前記各フロアロック装置はそれぞれ、前記シートクッションを車両のフロアに係脱可能にロックする第1のロック機構と、この第1のロック機構を係脱可能にロックする第2のロック機構と、前記シートのシートバックの前倒しの動作に連動する動作で前記第2のロック機構のロックを一時的に解除する解除機構とを備え、前記解除機構により第2のロック機構のロックが解除されたもとで、付勢部材の付勢力により前記第1のロック機構を前記シートクッションを跳ね上げるべく動作させてシートクッションとフロアとのロックを解除する構成であり、
前記第2のロック機構のロックが前記解除機構により解除されたときに、前記第1のロック機構が前記付勢部材の付勢力で動作するまでの間、その解除機構の復帰動作を阻止して第2のロック機構のロック解除状態を保持する解除保持機構をさらに備えることを特徴とする車両用シート。 - 前記各フロアロック装置における第1のロック機構は、前記シートクッションに回動可能に設けられ、その回動動作で車両のフロアに設けられた係合体に係脱可能に係合してシートクッションをフロアにロックするロックレバーを備え、前記第2のロック機構は、前記シートクッションに回動可能に設けられ、その回動動作で前記ロックレバーに係脱可能に係合してそのロックレバーをロックするストッパレバーを備え、前記解除機構は、前記シートバックの前倒しの動作に連動して回動する操作レバーを備え、この操作レバーの回動により前記ストッパレバーが前記ロックレバーに対するロック解除方向に回動し、前記解除保持機構は回動可能なリンクレバーを備え、前記ストッパレバーがロック解除方向に回動したときに前記リンクレバーが回動して前記ストッパレバーと係合し、この係合で前記ストッパレバーの逆方向の回動を阻止して前記ロックレバーのロック解除状態を保持することを特徴とする請求項1に記載の車両用シート。
- 前記各フロアロック装置における解除保持機構のリンクレバーと前記第2のロック機構のストッパレバーとの係合は、前記第1のロック機構のロックレバーが前記付勢部材の付勢力で動作するときにそのロックレバーに設けられた押しピンを介して解除されることを特徴とする請求項2に記載の車両用シート。
- 前記フロアロック装置はシートクッションの後部の両側に位置して2個設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の車両用シート。
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